JP2006110508A - 焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗脱水方法並びに装置 - Google Patents

焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗脱水方法並びに装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 焼却灰及び/又はセメントキルンダストを水洗脱水する装置において、従来の水洗のための複数の水槽や脱水機を設けることなくコンパクトで運転管理が容易な一段水洗にし、また、水洗に要する水量も従来と同量程度で済む水洗脱水方法及び装置を提供する。
【解決手段】 塩類を含む焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて水洗し可溶性塩を溶出させる焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗方法において、該焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて形成した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過し、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、該フィルタープレスろ室内スラリーに水洗水を注入して、該ろ室内のスラリーの水洗を行い、その後、該水洗した前記スラリーを圧搾脱水することで、従来の多段水洗と同じ水洗効果が得られることを特徴とする水洗脱水方法、及び装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ごみ焼却炉などから排出される焼却灰、焼却飛灰、溶融飛灰(以下、「焼却灰」と総称する)、及び/又はセメントキルンから排出されるセメントキルンダストを、セメント原料あるいはセメント添加物として再利用するための焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗脱水方法、並びに装置に関する。
焼却灰及び/又はセメントキルンダストを水洗し可溶性塩を溶出させることは一般的に広く行われている。しかしながら、例えば、特許文献1に開示されている焼却灰の洗浄方法及び装置では、複数段の水洗脱水のため、複数の水槽と複数の脱水機が必要となり、装置全体の占有スペースが大きく、多大な設備費が必要であった。また、水洗と脱水を繰り返すため、水量バランスをとるための複雑な運転管理が必要であるという問題点があった。
特開2003−211129号公報
このような従来の実情より、脱塩が十分に行われ、焼却灰や飛灰のセメント原料化に支障が生じなく、コンパクトで運転管理が容易な灰の水洗が行える方法の実現が望まれている。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、従って、本発明の目的は、焼却灰及び/又はセメントキルンダストを水洗脱水する装置において、従来の水洗のための複数の水槽や脱水機を設けることなく、コンパクトで運転管理が容易な一段水洗にし、また、水洗に要する水量も従来と同量程度で済む水洗脱水方法及び装置を提供することにある。
本発明者等は、焼却灰や飛灰の水洗脱水装置として、スラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過することにより、塩が溶解した液をあらかじめ分離することで、その後に、ろ室内スラリーを水洗水で水洗すると、一段水洗で従来の多段水洗と同じ水洗効果が得られることを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成とすることにより前記の課題を解決することができた。
(1)塩類を含む焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて水洗し可溶性塩を溶出させる焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗方法において、該焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて形成した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過し、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、該フィルタープレスろ室内スラリーに、前記スラリー圧入時より高い圧力で水洗水を注入して、該ろ室内スラリーの水洗を行い、その後、該水洗した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧搾脱水することを特徴とする水洗脱水方法。
(2)該フィルタープレスろ室内に、前記焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧入ろ過する際に排出された塩類を含むろ液を、カルシウムイオン除去および重金属・懸濁物除去および塩化物除去し、除去処理後のろ液を水洗水として再利用することを特徴とする前記(1)記載の水洗脱水方法。
(3)塩類を含む焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて水洗し可溶性塩を溶出させる焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗装置において、該焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて形成した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを貯留するスラリ−貯槽と、前記スラリ−貯槽からの前記スラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過する、スラリー供給ポンプ及びスラリー供給弁を備えたスラリー供給系、水洗水を該フィルタープレスろ室内に前記スラリー圧入時より高い圧力で注入する、水洗水ポンプ及び水洗水供給弁を備えた水洗水供給系、圧搾水を供給して水洗後の焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧搾脱水する、圧搾水ポンプ及び圧搾水供給弁を備えたフィルタープレスを設けたことを特徴とする水洗脱水装置。
(4)圧入ろ過時のろ液を、カルシウムイオン除去および重金属・懸濁物除去および塩化物除去する装置、該装置のろ液を水洗水供給系に導く配管を設けたことを特徴とする前記(3)記載の水洗脱水装置。
本発明は、スラリーをフィルタープレスで圧入ろ過し、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、フィルタープレスろ室内スラリーを水洗するため、一段水洗で従来の多段水洗と同じ水洗効果が得られ、従来の多段水洗に必要となる複数の水槽や脱水機が不要で、省スペースであると同時に運転管理が容易になる。従って、本発明により、より廉価な装置とすることが出来る。
さらに、ろ液の塩化物除去を行うことにより、ろ液の水洗水としての再利用が可能となり、系外に排出する廃液量を大きく削減することができる。また、ろ液を系外に放流する場合にも、塩化物による放流水域への影響がなくなる。
本発明は、焼却灰及び/又はセメントキルンダストと水の混合スラリーをフィルタープレスで圧入ろ過することで、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、フィルタープレスろ室内スラリーを水洗するという新規な思想に基づくものである。
本発明の焼却灰等の水洗脱水方法においては、焼却灰スラリー等をフィルタープレスろ室に圧入ろ過し、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、フィルタープレスろ室内スラリーを水洗するため、一段水洗で従来の多段水洗と同じ水洗効果が得られる技術を確立したことが、最大の利点と言える。
その結果、本発明では、脱水機であるフィルタープレス内で一段水洗を行うため、運転管理が容易になると同時に従来の水洗時に使用する複数の水槽や脱水機が不要となり、省スペース化が可能である。
また、圧入ろ過により排出されるろ液には、カルシウムイオン、重金属、懸濁物及び塩化物が含まれている。まず、炭酸ナトリウムを添加し、ろ液中のカルシウムイオンを炭酸カルシウムとして析出させ、固液分離除去する。次に、ろ液中に有機物がある場合には、接触酸化処理等の生物処理により有機物を除去する。次に、pH調整を行い、液体キレート及び凝集剤を添加し、ろ液中の重金属及び懸濁物を固形物とし固液分離除去する。さらに、ろ液中の塩化物を電気透析膜及び逆浸透膜を使い濃縮分離する。これらの処理によりろ液は、焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗水として再利用が可能となる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここでは、本発明の具体的一例を図1、図2に示し、また水洗に供する原料を焼却飛灰とし、本発明を説明するが、以下の説明は本発明をこれに限定させるものではない。
実施例及び比較例
本発明の実施例を図面に基づいて説明するが、図1は本発明の焼却灰等の水洗脱水方法に使用する装置の構成を示すフローシートである。
本実施例は一段水洗脱水であり、この一段水洗脱水装置においては、焼却飛灰の塩素イオン濃度は15.9%で、脱水ケーキ中の塩素イオン濃度を0.5%以下にすることを目的に水洗処理した。図1において、水洗脱水装置は、基本的には焼却飛灰1のスラリー3を貯留するスラリー貯槽2と、圧搾水12を貯留する圧搾水槽11と、スラリー供給ポンプ4、フィルタープレス6、圧搾水ポンプ13よりなる。
図1においては、上記の基本構成に加えて、焼却飛灰スラリー3のフィルタープレス6への供給、停止を行うスラリー供給弁5、圧搾水12のフィルタープレス6への供給管中に設けた圧搾水供給弁14、水洗水8のフィルタープレス6への供給管中に設けた水洗水供給弁9が配備されている。水洗水8の圧力を高くするために水洗水ポンプ16を設ける。図1中、7はろ液、15は脱水ケーキ、10は水洗排水である。
まず、20kgの焼却飛灰1に5倍量の水100リットルを添加して撹拌混合する。ここで使用する水は、フィルタープレス6で水洗に使用して排出された水洗排水10を用いる。スラリー供給弁5を開、水洗水供給弁9を閉としてスラリー貯槽2からスラリー供給ポンプ4を介して焼却飛灰スラリー3をフィルタープレス内ろ室に圧力0.6Mpaで圧入ろ過した後に、スラリー供給弁5を閉、水洗水供給弁9を開としてろ室容積50リットルの2倍量である100リットルの水洗水8を、水洗水ラインを経由し該フィルタープレスろ室に圧力0.8Mpaで圧入してろ室スラリーを水洗する。焼却飛灰スラリー3の圧入ろ過の際に出るろ液7は別の貯槽に貯留し、水洗排水10はスラリー貯槽2に入れる。ろ室スラリーを圧入水洗後、圧搾水ポンプ13を用いて圧搾水12を圧力1.6Mpaでフィルタープレス6に圧入して圧搾したところ、含水率45%で、かつ塩素イオン濃度0.42%の脱水ケーキ15を得た(第1表水洗脱水処理結果を参照)。前記ろ液の水質は、塩素イオン濃度が32,700mg/リットルのものである。
一方、従来例(比較例)では、同一のフィルタープレスを用い、本発明と同量の焼却飛灰と水を混合水洗したスラリーをフィルタープレス内ろ室に圧入ろ過した後に、圧搾脱水し、次の水洗水槽で脱水ケーキと水を混合水洗する水洗脱水操作を三段に行うようにしたところ、三段水洗脱水で含水率は45%となり、塩素イオン濃度は0.44%となった。なお水洗に使う水は、三段目、二段目、一段目の順に再利用した。
このように、本発明では、複数の水槽と脱水機を必要とせず一つの装置内で水洗と脱水ができるため、装置をコンパクトにすることができる。
しかも、本発明の焼却灰等の水洗脱水方法は、従来例(比較例)の三段水洗脱水法を使用する必要がなく、スラリーをろ室に圧入ろ過し、塩を含むろ液をあらかじめ分離し、その後、ろ室内スラリーを一段で水洗、圧搾脱水するだけで、従来の多段水洗と同じ水洗効果が得られる。そのため、従来の多段水洗に必要な、水量バランスを調整する複雑な運転管理が不要になる。
一方、スラリーをフィルタープレス内で水洗する時間は、フィルタープレスにとっては雑時間になるため、水洗時間はなるべく短いほうがよい。そのため水洗水圧力は圧入ろ過圧入圧力より高いほうがよく、水洗時間は短くなる。ちなみに、実施例では水洗水圧力は0.8Mpaとした。その時の水洗時間が3分であったのに対し、水洗水圧力が0.6Mpaの場合、7分を要した。
ここで、スラリーを水洗するのに水を用いたが、水の代わりに温水としてもよく、スラリーを加温して供給してもよい。また、熱源装置をスラリー配管や脱水機本体に設け、加温しながらスラリーを圧入ろ過、水洗、圧搾してもよいし、さらに、脱水促進のため真空装置でろ液排出ラインを真空下にしてもよい。
次に、水洗脱水装置から出たろ液の水質分析結果を第1表に示す。鉛が8mg/リットルで排水基準を上回っていた。このろ液を図2に示すフローで処理し、水洗水として再利用する。
Figure 2006110508
まず、ろ液に、炭酸ナトリウムをろ液中のカルシウムイオン濃度と等量添加し、炭酸カルシウムとして析出させた。ここで、このろ液には有機物がなかったため、有機物除去処理は行わなかった。次に、ろ液pHをpH=8に調整し、そこに液体キレート及び塩化第二鉄及び高分子凝集剤等の薬品を添加し、ろ液中の微量重金属及び懸濁物を除去した。さらに、処理済みろ液を精密ろ過膜で前処理し、電気透析膜により塩化物の濃縮処理を行った。この結果を第1表に示す。処理水中の重金属の鉛、亜鉛、銅は全て排水基準以下となり、塩素イオン濃度は、32,700mg/リットルが890mg/リットルに、カルシウムイオン濃度は8,200mg/リットルが22mg/リットルになった。この処理水は、焼却灰の水洗水として十分再利用可能な水質である。
本発明の焼却灰等の水洗脱水方法及び装置によれば、ケーキ等を一段水洗脱水するだけで、セメントにとって大敵である、焼却灰等に多量に残留している塩類を有効に水洗除去できるので、焼却灰、飛灰等およびセメントキルンダストのセメント原料あるいはセメント添加物への再資源化技術に極めて有用である。
本発明の焼却灰等の水洗脱水装置の構成を示すフローシートである。 本発明の水洗脱水装置のろ液の無害化処理、再利用方法の工程を示すフローシートである。
符号の説明
1 焼却飛灰
2 スラリー貯槽
3 スラリー
4 スラリー供給ポンプ
5 スラリー供給弁
6 フィルタープレス
7 ろ液
8 水洗水
9 水洗水供給弁
10 水洗排水
11 圧搾水槽
12 圧搾水
13 圧搾水ポンプ
14 圧搾水供給弁
15 脱水ケーキ
16 水洗水ポンプ

Claims (4)

  1. 塩類を含む焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて水洗し可溶性塩を溶出させる焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗方法において、該焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて形成した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過し、スラリー中の塩が溶解した液をあらかじめ分離し、その後に、該フィルタープレスろ室内スラリーに、前記スラリー圧入時より高い圧力で水洗水を注入して、該ろ室内スラリーの水洗を行い、その後、該水洗した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧搾脱水することを特徴とする水洗脱水方法。
  2. 該フィルタープレスで、前記焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧入ろ過する際に排出された塩類を含むろ液を、カルシウムイオン除去および重金属・懸濁物除去および塩化物除去し、除去処理後のろ液を水洗水として再利用することを特徴とする請求項1記載の水洗脱水方法。
  3. 塩類を含む焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて水洗し可溶性塩を溶出させる焼却灰及び/又はセメントキルンダストの水洗装置において、該焼却灰及び/又はセメントキルンダストに水を加えて形成した焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを貯留するスラリ−貯槽と、前記スラリ−貯槽からの前記スラリーをフィルタープレスろ室に圧入ろ過する、スラリー供給ポンプ及びスラリー供給弁を備えたスラリー供給系、水洗水を該フィルタープレスろ室内に前記スラリー圧入時より高い圧力で注入する、水洗水ポンプ及び水洗水供給弁を備えた水洗水供給系、圧搾水を供給して水洗後の焼却灰スラリー及び/又はセメントキルンダストスラリーを圧搾脱水する、圧搾水ポンプ及び圧搾水供給弁を備えたフィルタープレスを設けたことを特徴とする水洗脱水装置。
  4. 圧入ろ過時のろ液を、カルシウムイオン除去および重金属・懸濁物除去および塩化物除去する装置、該装置のろ液を水洗水供給系に導く配管を設けたことを特徴とする請求項3記載の水洗脱水装置。
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