JP2006109756A - 発酵乳製品の製造方法及びその製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ラクトコッカス・クレモリス等の中温性乳酸球菌を使用しながら,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品を提供する。
【解決手段】 高温性乳酸球菌であるストレプトコッカス・サーモフィラスから分離培養したストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号 FERM AP−20230)をラクトコッカス・クレモリス等の中温性乳酸球菌に併用して,30℃近辺の発酵温度によってヨーグルトミックスの発酵を行なう。これによって中温性乳酸球菌又はこれに糸状菌,酵母若しくは酢酸菌を併用したヨーグルトにおける独特の強いチーズ香,容器膨張,外観変化等の欠点を解消することができる。

Description

本発明はヨーグルト等の発酵乳製品の製造方法及びその製品に関する。
発酵乳製品に用いられる中温性乳酸球菌としてラクトコッカス・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris),ラクトコッカス・ラクティス((Lactococcus lactis subsp. lactis),ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc mesenteroides subsp.cremoris)等が知られており,例えばロイコノストック・クレモリス単独のスターターを用いるか,これに糸状菌や酵母を併用したスターターを用いて発酵した発酵乳製品として,一般にフィンランドのヴィリ,スウェーデンのラングフィル,ノルウェーのテッテ,コーカサスのケフィール等が知られている。これらは独特の強いチーズ様風味があり,また粘性が強いことによって滑らかな食感があるものとされる。また我国でもラクトコッカス・クレモリスを主発酵菌としてこれに酢酸菌を併用することによって,同様にチーズ様風味と強い粘性を有する所謂カスピ海ヨーグルトが知られており,この場合チーズ様風味と粘性による食感が上記諸外国のものより比較的日本人の嗜好に適合し易いものとされて,一部に根強い人気がある。
株式会社食品資材研究所1988年発行「発酵乳類の機能」 111〜122頁「世界の伝統的な発酵乳」
しかし乍ら,スターターとして上記中温性乳酸球菌を単独使用したものは,発酵乳製品の保存中にチーズ臭が次第に強くなる傾向が顕著に見られ,糸状菌を併用したものは,同じく発酵乳製品の保存中にチーズ様風味の変化が激しい傾向があるとともにカード表面にマット形成がなされて外観不良を招く傾向が顕著に見られ,酵母を併用したものは,炭酸ガスの発生によって容器が膨張する傾向が顕著に見られ,また酢酸菌を併用したものは,製造当初にはチーズ香が穏やかであるも,発酵乳製品の保存中にカード表面に酢酸菌によるマット形成がなされて外観不良を招くとともに腐敗臭が発生する傾向が顕著に見られるという欠点があり,従ってこれら中温性乳酸菌を単独又は主発酵菌として使用した発酵乳製品は必ずしも日本人の嗜好に適合したものとはいえない状況にある。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決手段とするところは,中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのいずれか又は2種以上混合した乳酸球菌を用いながら,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品の製造方法を提供するにあり,またその製品を提供するにある。
上記課題に添って鋭意検討したところ,40℃近辺乃至それ以上を至適生育温度とする高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)を,特に30℃近辺で良好に生育するように分離培養し,これを,25±5℃を至適生育温度とする中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのうちのいずれか又は2種以上混合の乳酸球菌と併用してスターターとする一方,該スターターを用いて牛乳又は乳製品の発酵を30±5℃の発酵温度で行なうことによって,上記中温性乳酸球菌と上記高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌とを併用しながらも双方を有効に共培養して,上記の中温性乳酸球菌を単独使用し又はこれに糸状菌,酵母若しくは酢酸菌を併用したときに発生する上記欠点を解消し,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品を製造することが可能となり,またストレプトコッカス・サーモフィラスを上記30℃近辺で良好に生育するように分離培養して使用することによって,常法に従って接種率を数%以下として発酵乳製品の量産を効率よく行なうことが可能となるとの知見を得て,本発明をなすに至ったものであって,即ち請求項1に記載の発明を,中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのうちのいずれか又は2種以上混合の乳酸球菌と,高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の菌株を30℃近辺において良好に生育するように分離培養した乳酸球菌とを併用したスターターを用いて,牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵することを特徴とする発酵乳製品の製造方法としたものである。
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,出願人が独立行政法人産業技術総合研究所に寄託した受託番号FERM P−20230のストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸菌を使用することによって上記製造方法に適したものとし得ることから,これを,上記併用するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌を,独立行政法人産業技術総合研究所特許生物受託センターに寄託した受託番号FERM P−20230のストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌としてなることを特徴とする請求項1に記載の発酵乳製品の製造方法としたものである。
請求項3に記載の発明は,中温性乳酸球菌を用いながら,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品を提供するように,これを,中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのうちのいずれか又は2種以上混合の乳酸球菌と,高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の菌株を30℃近辺において良好に生育するように分離培養した乳酸球菌とを併用したスターターを用いて,牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵してなることを特徴とする発酵乳製品としたものである。
本発明は,これら請求項記載の発明をそれぞれ発明の要旨とすることによって上記課題解決の手段としたものである。
なお本発明で発酵乳製品とは,所謂乳等省令に定義される発酵乳の製品の他,乳酸球菌を用いて同様に発酵することによって得られる液状の乳酸菌飲料の製品を含む意味に用いる。
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,中温性乳酸球菌と上記高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌とを併用しながらも双方を有効に共培養して,上記の中温性乳酸球菌を単独使用し又はこれに糸状菌,酵母若しくは酢酸菌を併用したときに発生する上記欠点を解消し,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品とし得るとともに上記ストレプトコッカス・サーモフィラスを上記30℃近辺で良好に生育するように分離培養して使用することによって,常法に従って接種率を数%以下として効率よく量産をなし得る発酵乳製品の製造方法を提供することができる。
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,出願人が独立行政法人産業技術総合研究所に寄託した受託番号FERM P−20230のストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸菌を使用することによって上記製造方法に適したものとすることができる。
請求項3に記載の発明は,中温性乳酸球菌を用いながら,保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈し,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品を提供することができる。
以下更に本発明を具体的に説明すれば,本発明の発酵乳製品は,中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのうちのいずれか又は2種以上混合の乳酸球菌と,高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の菌株を30℃近辺において良好に生育するように分離培養した乳酸球菌とを併用したスターターを用いて,牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵したものであり,その製造方法は,同じく,これを中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスのうちのいずれか又は2種以上混合の乳酸球菌と,高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の菌株を30℃近辺において良好に生育するように分離培養した乳酸球菌とを併用したスターターを用いて,牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵するものとしてある。
中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスの乳酸球菌は,その至適生育温度を25±5℃とするもの,例えばフィンランドのヴィリ,スウェーデンのラングフィル,ノルウェーのテッテ,コーカサスのケフィール,カスピ海ヨーグルト等に使用される既知の乳酸球菌から分離した菌株を培養したものを使用するものとしてある
上記併用するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌は,高温性のストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌をそのまま使用することなく,これを30±5℃において良好に生育するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の菌株を分離培養した乳酸球菌を使用するものとしてあり,特にこれを,独立行政法人産業技術総合研究所特許生物受託センターに寄託した受託番号FERM P−20230のストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌によるものとすれば,該乳酸球菌は30℃近辺,特に30±5℃で良好に生育して上記発酵温度の範囲と適合することによって,接種率を常法に従って数%以下として発酵乳製品の量産を行なう上で更に好ましいものとすることができる。
即ち上記30±5℃の発酵温度の範囲で良好に生育するストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129は,至適生育温度を40℃近辺乃至それ以上とする高温性乳酸球菌として一般に使用されるストレプトコッカス・サーモフィラスから,30℃近辺,特に30±5℃において良好に生育する菌株として分離して,例えば数世代に亘って生育することによって該30±5℃の生育適性を有して上記発酵温度に対する順応性を確保したものとしてあり,例えば第3世代は,30℃の生育温度において酸度0.64%,総菌数2100×10/ml,生菌数20×10/mlを呈する如くに,30℃±5℃の生育温度範囲で酸度,総菌数,生菌数ともに好ましく生育するものとされる。このとき該生育温度範囲を上回ると総菌数,生菌数ともにその影響はないが,酸度が上昇する傾向が顕著となり,また該生育温度範囲を下回ると高温性乳酸球菌がその性質上,総菌数,生菌数ともにその増殖遅延傾向が顕著となり,それぞれ不適当となる。
中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスの乳酸球菌は,これを単独又は複数混合したものと,ストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129とをそれぞれ,例えば牛乳培地で培養したものをマザースターター培地に接種培養してマザースターターを形成し,これを更にバルクスターター培地に接種培養してバルクスターターとして,常法に従って牛乳又は乳製品,例えば予め調整したヨーグルトミックスに1〜10%程度添加し,そのタンク培養又は容器内培養によって発酵するようにその使用を行うようにすればよい。
このとき発酵温度は,上記中温性乳酸球菌とストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129が共に生育可能な温度によるものとしてあり,上記中温性乳酸球菌の至適生育温度は25±5℃程度であり,またストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129の乳酸球菌の良好な生育は30℃近辺,特に30±5℃でなされるから,発酵乳製品の発酵温度は,これを30±5℃の範囲内の温度とするものとしてあり,このとき発酵温度を30±3℃の範囲内の温度とするのが好ましい。
即ち発酵温度が35℃を上回ると,上記中温性乳酸球菌の菌数が減少し,例えば至適生育温度域の菌数に比較して1/5乃至それ以下となり,中温性乳酸球菌を使用することによるチーズ香や粘性による滑らかさを得られなくなる傾向が顕著となり,また25℃を下回ると上記ストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌の菌数が同じく減少し,例えば至適生育温度域の1/2乃至それ以下となり,ストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌を使用する効果が損われる結果,チーズ臭が強くなる傾向が顕著となる。また発酵温度が33℃を上回ると中温性乳酸球菌の菌数減少傾向が見られるようになり上記チーズ香や粘性による滑らかさが低下する傾向を生じ,発酵温度が27℃を下回ると同じくストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌の菌数減少傾向が見られて上記チーズ臭が強まる傾向を生じる。従って発酵温度は上記30±5℃の範囲内とすることが可能であるが,更に30±3℃の範囲内とするのが,双方の乳酸球菌を使用した発酵効果を発揮させ,日本人の嗜好に適合して,穏やかで適度のチーズ香を呈して滑らかな食感を有する発酵乳製品を製造する上で好ましい。
発酵時間は常法に従って6〜15時間程度として,タンク培養のものはその後に常法に従って混合撹拌してカードを砕き,殺菌,冷却,乳化,エージング等の工程を経て容器充填して製品とするようにし,また容器内培養のものはその後に同じく常法に従って冷蔵して製品とすればよい。
このようにっ中温性のラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス又はロイコノストック・クレモリスの乳酸球菌に,上記30℃近辺において良好に生育するように分離培養したストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌を併用したスターターを用いて30±5℃の範囲の発酵温度で発酵することによって,上記中温性乳酸球菌を単独で使用したもの,糸状菌,酵母若しくは酢酸菌を併用したものに比べて,その欠点を解消して保存中も安定した穏やかなチーズ香を呈して,粘性による滑らかな食感を有して日本人の嗜好に適合するとともに容器膨張や外観変化のない発酵乳製品とすることができる。
10%還元脱脂粉乳液をオートクレーブしたマザースターター培地でストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌,特にストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌を接種し36℃,17時間培養して継代を繰り返し,酸度,菌数が安定したものと,牛乳を130℃2秒間殺菌した培地にラクトコッカス・クレモリスを接種して25℃にて17時間培養して同様に継代を繰り返し,酸度,菌数が安定したものを各3%混合してマザースターターとし,生乳,脱脂粉乳,配合水により乳率脂肪率(FAT)3.05%−無脂乳固形分率(SNF)10.10%に調整した培地を130℃で2秒間殺菌後30℃に冷却して,マザースターターを接種して30℃,12時間培養してバルクスターターとし,その酸度,pH,総菌数,各生菌数を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様に形成したマザースターター培地にラクトコッカス・クレモリス6%を単独で接種し,これを実施例1と同様に形成したバルクスターター培地に接種して同じく30℃,12時間培養してバルクスターターとし,その酸度,pH,総菌数,各生菌数を測定した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1と同様に形成したマザースターター培地にラクトコッカス・クレモリス3%と酢酸菌(acetobacter orientalis)3%の混合マザースターター(合計6%)を接種し,これを実施例1と同様に形成したバルクスターター培地に接種して同じく30℃,12時間培養してバルクスターターとし,その酸度,pH,総菌数,各生菌数を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2006109756
実施例1のバルクスターターは酸度0.95,pH4.30,総菌数2600×10/mlであり,生菌数はラクトコッカス・クレモリスで320×10cfu/ml,ストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129で160×10cfu/mlであり,酸度,pHとも比較例1,2と同等であり,総菌数は比較例1,2を上回り,発酵乳製品の発酵菌として好適なものとなし得た。
牛乳,脱脂粉乳,配合水にて発酵ベースをFAT3.05%-SNF10.10%に調整し,95℃-flash殺菌後,30℃まで冷却して発酵ベースを調製し,この発酵ベースに実施例1のバルクスターターを4%(w/w)接種し,それぞれ容器に充填し,製品酸度が0.85%〜0.95%になるように30℃にて8時間〜12時間発酵し,その後冷却して発酵を停止し5℃にて保存して発酵乳製品(ヨーグルト)とし,充填当日及び充填日翌日から5日目にその酸度,pH,総菌数,生菌数を測定した。充填当日の結果を表2に,充填翌日から5日目の結果を表3に示す。この発酵乳製品(ヨーグルト)の香味成分について,サンプル14gを20mlバイアルに採り,ヘッドスペースGC-MSを用いて,ヘッドスペース中のフレーバー成分を測定した(SCAN法)。検出されたフレーバー成分及びそのピーク面積値の結果を表4に示す。また一般に市場で消費者が食べる機会が最も多いと考えられる5日間冷蔵(5℃)保存した発酵乳製品(ヨーグルト)を用い,その外観,香り,風味に関する10名のパネラー(男女各5名)による嗜好調査を後述の比較例3及び比較例4との対比のもとに行った。比較例3との対比結果を表5−1〜5−7に,比較例4との対比結果を表6−1〜6−9にそれぞれ質問事項とともに示す。
比較例3
実施例2と同様に調整した発酵ベースに比較例1のバルクスターターを同じく4%接種発酵して同様に発酵乳製品(ヨーグルト)とし,充填当日及び充填翌日から5日目にその酸度,pH,総菌数,生菌数を測定した。充填当日の結果を表2に,充填翌日から5日目の結果を表3に示す。また実施例2と同様にフレーバー成分を測定した。その結果を表4に示す。更に同じく実施例2と同様に10名のパネラー(男女各5名)による嗜好調査を実施例2との対比のもとに行った。その対比結果を表5−1〜5−7に質問事項とともに示す。
比較例4
実施例2と同様に調整した発酵ベースに比較例2のバルクスターターを同じく4%接種発酵して同様に発酵乳製品(ヨーグルト)とし,充填当日及び充填翌日から5日目にその酸度,pH,総菌数,生菌数を測定した。充填当日の結果を表2に,充填翌日から5日目の結果を表3に示す。また同様にフレーバー分析を行なった。その結果を表4に示す。また実施例2と同様にフレーバー成分を測定した。その結果を表4に示す。更に同じく実施例2と同様に10名のパネラー(男女各5名)による嗜好調査を実施例2との対比のもとに行った。その対比結果を表6−1〜6−9に質問事項とともに示す。
Figure 2006109756
Figure 2006109756
実施例2のヨーグルトは,充填当日は比較例3と同等の酸度,pH,総菌数を呈するが,充填翌日から5日目となるといずれも酸度が上昇するが実施例2の生菌数は実施例3より少なく,実施例2のpHは実施例4のような上昇はなく,保存中の風味変化が抑制されたものとなし得た。
Figure 2006109756
実施例2と比較例3のフレーバー成分を比較すると,検出された化合物には差がなかったが,比較例3の方がバター,チーズ特有の香気として知られる2-ブタノンのピークが6.6倍,アセトン,2,3-ブタンジオン(ダイアセチル)及びアセトインについては1.2〜1.4倍大きく,ヨーグルトの重要な香気成分である2,3-ペンタンジオンが1/5倍,アセトアルデヒドが3/5倍のピーク面積であった。
また実施例2と比較例4のフレーバー成分を比較すると,比較例4の方が酢酸のピークが10倍と非常に大きく,2,3-ブタンジオン(ダイアセチル)のピークが1/10倍,アセトインのピークは3/5倍であった。比較例4には2,3-ペンタンジオンのピークは認められなかった。
Figure 2006109756
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以上の結果から,中温性乳酸球菌のラクトコッカス・クレモリスとストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌を併用してスターターとした実施例2の発酵乳製品(ヨーグルト)は,中温性乳酸球菌のラクトコッカス・クレモリスを単独使用した比較例3の発酵乳製品(ヨーグルト)に感じられるチーズ臭を抑制して,よりすっきりした,消費者に好まれる風味に改良できたことが確認できた。
Figure 2006109756
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以上の結果から,中温性乳酸球菌のラクトコッカス・クレモリスと30℃近辺,特に30±5℃で良好に生育するストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌を併用してスターターとした実施例2の発酵乳製品(ヨーグルト)は,中温性乳酸球菌のラクトコッカス・クレモリスに酢酸菌(Acetobacter orientalis)を併用した比較例4の発酵乳製品(ヨーグルト)に見られるマット形成による外観不良や腐敗臭を解消してよりすっきりした,消費者に好まれる風味に改良できたことが確認された。

Claims (5)

  1. ラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス,ロイコノストック・クレモリス等のいずれか又は2種以上混合の中温性乳酸球菌と,ストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌とを併用したスターターを用いて牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵することを特徴とする発酵乳製品の製造方法。
  2. 上記併用するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌の接種率を,4%以上とすることを特徴とする請求項1に記載の発酵乳製品の製造方法。
  3. 上記併用するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌を,30±5℃において良好に生育するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌株を分離培養した乳酸球菌としてなることを特徴とする請求項1に記載の発酵乳製品の製造方法。
  4. 上記併用するストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌を,独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター受領番号FERM AP−20230のストレプトコッカス・サーモフィラスGCL1129乳酸球菌としてなることを特徴とする請求項1又は3に記載の発酵乳製品。
  5. ラクトコッカス・クレモリス,ラクトコッカス・ラクティス,ロイコノストック・クレモリス等のいずれか又は2種以上混合の中温性乳酸球菌と,ストレプトコッカス・サーモフィラス乳酸球菌とを併用したスターターを用いて牛乳又は乳製品を30±5℃の範囲の発酵温度によって発酵してなることを特徴とする発酵乳製品。
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