JP4051353B2 - 腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品およびその製造方法 - Google Patents

腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、乳と豆乳を混合することによって調製される主原料に、種菌として腸内生息性乳酸菌を接種し、発酵せしめたのちに得られる、長期間にわたり高濃度の腸内生息性乳酸菌を含むので、保健機能の面で著しい効果が期待される腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸発酵食品およびその製造方法に関するものである。
腸内に棲息する乳酸菌はヒトの健康に重要な役割を担っており、整腸作用、血清コレステロール低下作用、免疫力増強作用、抗腫瘍作用など、さまざまな疾病改善効果のあることが知られている(非特許文献1参照)。
このような腸内生息性乳酸菌を生きたまま摂取し、且つ腸内に定着させることは予防医学上有効なことであり、そのための方法としてヨーグルトへの応用が試みられている。通常、ヨーグルトの形態で腸内生息性乳酸菌を摂取した場合、すべての菌細胞が生きたまま腸まで到達することはなく、その殆どはpHの低い胃液で死滅することが知られている。したがって腸内生息性乳酸菌を使ってヨーグルトを製造する際には、あらかじめ胃液で死滅することを見越して、発酵段階でヨーグルトミックス中にできるだけ高濃度の生菌数を保持させることが重要となってくる。
しかしながら腸内生息性乳酸菌はブルガリア菌やサーモフィルス菌と云ったいわゆる乳業用乳酸菌に比べて乳中での増殖性に劣ることから、これを種菌として用いた場合、製品に高濃度の菌数を維持させることはなかなか困難である。
それを解決するために、腸内生息性乳酸菌の増殖促進を目的として、酵母エキスやペプチドのヨーグルトミックスへの添加が考えられているが、これら促進物質は苦味を呈することから、製品への多量の添加は現実不可能である。また、高い生菌数を得るためにミックスの発酵時間を長くすることも解決策として考えられるが、その場合、充分な菌数を得るまでには24〜36時間という長い発酵時間を要することになる。
すなわち、製造にかかるコスト増や発酵中の雑菌汚染の可能性を考えると、長時間発酵はリスクが大きく現実的な方法とは云えない。
さらにいえば、腸内生息性乳酸菌の多くはブルガリア菌やサーモフィルス菌に比べてヨーグルト中での生存性が悪いため、長期間にわたり高濃度の菌数を保持することが極めて難しいということも問題点として挙げられる。
それを解決する為の有効な手段はあらかじめ高濃度の腸内生息性乳酸菌をヨーグルト中に生存せしめることであるが、前述したように初期菌数を増やす為にヨーグルトミックスを長時間発酵したり、ミックスに酵母エキスやペプチドのような生育促進物質を多量に添加する方法では問題解決とはならない。
一方、乳又は乳製品と豆乳又は豆乳製品を併用して主原料とし、これらを乳業用乳酸菌又は酵母で醗酵させ、クリーム状(固形状)、液状又は凍結状にした乳酸菌醗酵飲食料が提案されている(特許文献1参照)。
「発酵乳の科学」、細野明義編、p104-147 、2002年、アイ・ケイコーポレーション 特開2000−217510号公報
従来提案された前記乳酸菌醗酵飲食料は、不快な臭気がなく、美味しくかつ旨い乳酸菌醗酵飲食料であることを特徴とするものであり、腸内生息性乳酸菌を用いて製造される、長期間にわたり高濃度の腸内生息性乳酸菌を含み保健機能の面で著しい効果が期待される乳酸発酵食品ではない。
したがって本発明の第1の目的は、種菌として腸内生息性乳酸菌を用いて製造される、腸内生息性乳酸菌を長期間にわたって高濃度に含み、長期保存後も腸内生息性乳酸菌の生存比率が高く、そのため保健機能の面で著しい効果が期待される乳酸発酵食品を提供することにある。
また本発明の第2の目的は、製造にかかるコスト増や発酵中の雑菌汚染のリスクをなくすため、従来よりも短い発酵時間で目的とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有し、長期保存後も腸内生息性乳酸菌の生存比率が高い乳酸発酵食品を製造する方法を提供することである。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、乳と豆乳からなる主原料に、種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55を接種し、発酵させることにより、従来よりも短い発酵時間で前記腸内生息性乳酸菌を高濃度に含む発酵食品が製造できることを見出し、また、こうして得られる発酵食品は、長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存比率が高く、長期間にわたって高濃度の前記腸内生息性乳酸菌を含んでいることから、保健効果が極めて高いヨーグルトなどの発酵食品を製造できることを見出し、本発明を成すに至った。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめて得られる乳酸醗酵食品であって、
(1)37℃で8〜10時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 9 〜5×10 9 コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.7〜0.9質量%である酸味のある食品であるか、あるいは
(2)37℃で4〜6時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 8 〜1×10 9 未満コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.3〜0.5質量%である酸味を抑えた食品であり、
(3)長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存菌数が1×10 7 コロニー数/ml以上であることを特徴とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品である。
請求項2の発明は、請求項1記載の乳酸醗酵食品において、前記腸内生息性乳酸菌が、ヒト腸管内に定住している乳酸菌の中から選ばれた腸内生息性乳酸菌、ヒト糞便から分離された腸内生息性乳酸菌であることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の乳酸醗酵食品において、種菌として前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用することを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品において、乾燥粉末化されているか、あるいは錠剤化されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品の製造方法であって、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめるか、あるいは前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用して接種して醗酵せしめることを特徴とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品の製造方法である。
本発明の請求項1の腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品は、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめて得られる乳酸醗酵食品であって、
(1)37℃で8〜10時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 9 〜5×10 9 コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.7〜0.9質量%である酸味のある食品であるか、あるいは
(2)37℃で4〜6時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 8 〜1×10 9 未満コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.3〜0.5質量%である酸味を抑えた食品であり、
(3)長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存菌数が1×10 7 コロニー数/ml以上であることを特徴とするものであり、胃液にさらされても死滅せず、長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存比率が高く、前記腸内生息性乳酸菌を長期間にわたって高濃度に含み、そのため保健機能の面で著しい効果が期待される、という顕著な効果を奏する。
請求項2の発明は、請求項1記載の乳酸醗酵食品において、前記腸内生息性乳酸菌が、ヒト腸管内に定住している乳酸菌の中から選ばれた腸内生息性乳酸菌、ヒト糞便から分離された腸内生息性乳酸菌であることを特徴とするものであり、前記腸内生息性乳酸菌を長期間にわたって高濃度に維持できる上、入手が容易で安価である、というさらなる顕著な効果を奏する。
請求項3の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の乳酸醗酵食品において、種菌として前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用することを特徴とするものであり、乳業用乳酸菌の併用により種々の風味をだすことができ、ユーザーからの多様な要望に応じることができる、というさらなる顕著な効果を奏する。
請求項4の乳酸醗酵食品は、請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品において、乾燥粉末化されているか、あるいは錠剤化されていることを特徴とするものであり、商品価値を向上でき、食べ易さ、保存性、取り扱い性などを改善できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品の製造方法であって、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめるか、あるいは前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用して接種して醗酵せしめることを特徴とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品の製造方法であり、長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存比率が高く、従来よりも短い発酵時間で目的とする前記腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸発酵食品を製造できるので、製造にかかるコスト増や発酵中の雑菌汚染のリスクをなくすことができる、という顕著な効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る乳酸発酵食品の主原料は乳と豆乳を混合することで得られ、また発酵に使われる種菌は、腸内生息性乳酸菌の中から選ばれるものである。
この中で主原料の構成成分である乳は、獣乳そのものに限定されることはなく、たとえば還元脱脂乳や乳清なども、それら単独もしくは獣乳と混合することによって用いられる。
一方、主原料を構成するもうひとつの食材である豆乳についても、特にその製造方法が限定されるものではなく、公知の方法、例えば、丸大豆を一晩水に浸漬後、磨り潰し、公知の方法で加熱、濾過されたのちに得られたものを使うことができる。また、砂糖、植物性油、乳化剤、香料などを加えて飲み易くした、いわゆる調製豆乳も主原料のひとつとして使用することができる。
本発明によれば、乳と豆乳の混合比(質量比)は乳:豆乳=9:1〜1:9の範囲であれば任意に設定できるが、腸内生息性乳酸菌の増殖にとって最も適した条件としては乳:豆乳=9:1〜6:4が好ましい。
乳の混合比が9を超え豆乳が1未満になると得られる乳酸醗酵食品中に含有される腸内生息性乳酸菌の濃度があまり高くならない恐れがあり、乳の混合比が6未満で豆乳が4を超えるとやはり得られる乳酸醗酵食品中に含有される腸内生息性乳酸菌の濃度があまり高くならない恐れがあり、好ましくない。
また、このようにして調製される乳と豆乳からなる主原料はそのまま発酵食材として用いることができるが、本発明の乳酸発酵食品の種類に応じて、添加物、例えば甘味料、果汁、果肉、野菜汁、ゲル化剤、香料などを任意に加えることができる。
本発明の乳酸発酵食品の製造にあたり、必須の種菌として用いられる腸内生息性乳酸菌は、ヒト腸管内に定住している乳酸菌の中から任意に選ぶことができ、その分離源にはこだわりはなく、一例としてヒト糞便から分離された菌株であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652] を用いることができる。
本発明においては、必須の種菌としての腸内生息性乳酸菌以外に、普通のヨーグルトなどの醗酵乳の製造などに用いられている乳業用乳酸菌を併用することができる。乳業用乳酸菌の併用により種々の風味をだすことができ、ユーザーからの多様な要望に応じることができる。
乳業用乳酸菌の具体例としては、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス、ラクトバチルス・ゼアエ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ラムノーサス、ストレプトコッカス・サーモフィラス、ラクトコッカス・ラクチスなどを挙げることができる。
また、これら乳業用乳酸菌は単一菌で使用できることは勿論であるが、2種以上組み合わせて使用することもできる。
腸内生息性乳酸菌と乳業用乳酸菌の混合比率は任意に設定できるが、例えば腸内生息性乳酸菌:乳業用乳酸菌の混合比率=約2:1とか、約1:1とか、約1:0.5とか、2種以上組み合わせて例えば3種類使用する場合はそれぞれ約1:1:1とか、例えば4種類使用する場合はそれぞれ約1:1:1:1とか、の例を挙げることができる。使用する菌の種類によっても、その配合比率によっても種々の風味をだすことができ、ユーザーからの多様な要望に応じることができる。
種菌を調製するにあたっては従来どおりの方法を用いることができ、例えば腸内生息性乳酸菌を脱脂乳培地で培養することによって得られる。またこの際、培養温度は当該菌の最適増殖温度である35〜40℃(最適生育温度帯)が望ましい。
さらに必要に応じて乳酸菌の生育促進物質である酵母エキスまたは乳蛋白質の加水分解物などを同培地に適量添加することによって、培養時間の短縮が可能となり、同時に活性の高い種菌を得ることができる。
一例として、0.1質量%酵母エキス添加脱脂乳培地に胃液耐性能をもったヒト糞便から分離された腸内生息性乳酸菌である前記ラクトバチルス・アシドフィルスL55を1質量%量接種し、37℃で16時間培養することによって生菌数が10〜20億コロニ−/mlの種菌を得ることができる。
本発明の乳酸醗酵食品は、酸味のある乳酸醗酵食品を得る場合は、37℃で8〜10時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×109 〜5×109 コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.7〜0.9質量%であることが好ましい。
乳と豆乳を所定の割合で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として腸内生息性乳酸菌を接種して最適生育温度帯で醗酵せしめるか、あるいは前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用して接種して最適生育温度帯で醗酵すると腸内生息性乳酸菌の濃度が非常に高くなり最高1×109 〜5×109 コロニー数/mlのレベルに達する。得られた本発明の乳酸醗酵食品は例えば普通のヨーグト程度の適度な範囲の酸味を有するものであり、この程度の酸味のある方が好きな人に好まれるタイプであり、腸内生息性乳酸菌をより長期間にわたって高濃度に維持できる。生成乳酸酸度が0.9質量%を超えると酸っぱくなり過ぎる。
本発明の他の乳酸醗酵食品は、酸味を抑えた乳酸醗酵食品であって、乳と豆乳を所定の割合で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として腸内生息性乳酸菌を接種するか、あるいは前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用して接種して、37℃で4〜6時間培養して、乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×108 〜1×109未満コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.3〜0.5質量%になるように制御することが好ましい。
得られた本発明の乳酸醗酵食品は、酸味を抑えたヨーグルトが好きな人に好まれるタイプである。
生成乳酸酸度が0.3質量%未満では例えば乳単味のような風味になり酸っぱさが少なさ過ぎ、0.5質量%を超えると酸っぱさが多すぎる。
本発明の目的である、腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸発酵食品は、腸内生息性乳酸菌を種菌として、これを乳と豆乳から成る主原料に接種し、発酵せしめることで得られるが、この場合の食品形態としては、ハードタイプヨーグルトのほか、カードを崩した、いわゆるソフトタイプヨーグルトや液状タイプヨーグルト、或いは冷凍タイプヨーグルト(フローズンヨーグルト)があり、その具体例として、例えば、プレーンヨーグルト、加糖ヨーグルト、飲むヨーグルト、フルーツヨーグルトが挙げられる。
さらに本発明の乳酸発酵食品は、上記のようにそのまま食品として提供できるだけでなく、それを原料にして牛乳、果物ジュース、野菜ジュースなどと混合することによって乳飲料や清涼飲料などを製造することができるほか、調味料、食酢、油脂などと混合することによって造られるドレッシング類の原料にも応用できる。
また、本発明の乳酸発酵食品の形態は固体状でも、液体状でも、弾性のある状態でも、ヨーグルトなどのように流動性のある状態でも、発泡状であっても、あるいはこれらの組み合わせなどでもよく、特に限定されない。しかし本発明の乳酸発酵食品を凍結乾燥化、粉末化或いは錠剤化することで、食べ易さ、保存性、取り扱い性などが改善でき、例えばラムネ菓子などの菓子原料に応用することもできる。
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1)
市販の無調製牛乳および無調製豆乳を混ぜ合わせ、混合比(質量比)がそれぞれ牛乳:豆乳=10:0、9:1、8:2、6:4、5:5、4:6、2:8、1:9および0:10になるように調製した9種類のヨーグルトミックスを1Kgづつ作成した。これらのミックスを煮沸殺菌後、37℃まで冷却し、続いてヒト糞便から分離された胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55を種菌として1質量%量接種し、ただちにヨーグルトカップに100gづつ充填し、アルミシールを施したのち、37℃で12時間培養した。
培養12時間後におけるミックスの酸度と生菌数を計測し、その結果を図1と図2に示した。
図1に示したように、牛乳と豆乳の混合比が9:1〜5:5のときミックスの酸度は0.8〜0.85%に達し、牛乳だけを培養したときの酸度(0.31%)と比較して2.5〜3倍高かった。
また図2に示したように牛乳と豆乳の混合比が9:1から6:4のときミックス中の生菌数は1〜2×109コロニー数/mlであった。この生菌数は牛乳だけを培養したときの生菌数(3.5×108コロニー数/ml)と比較して、4〜6倍多かった。このことから、牛乳と豆乳の混合比が9:1〜5:5の範囲で調製されたヨーグルトミックスを使用することで、腸内生息性乳酸菌であるL55の生酸活性がもっとも活発になり、その結果、発酵時間が大幅に短縮できることがわかった。
更に牛乳と豆乳の混合比が9:1から6:4の範囲で調製されたヨーグルトミックスを使用することで109コロニー数/ml以上の生菌数を含んだ乳酸発酵食品の製造が可能になることがわかった。
(実施例2)
市販の無調製牛乳および無調製豆乳の混合比(質量比)が牛乳:豆乳=10:0、9:1および8:2になるように調製した3種類のヨーグルトミックス(1Kg)を殺菌(95℃、48秒)したのち、実施例1の記載に従いヨーグルトを作成した。そしてミックスを37℃で発酵させ、経時的に酸度と生菌数を測定した。
上記3種類のヨーグルトミックスをそれぞれ37℃で10時間培養したときの酸度上昇曲線と増菌曲線を図3と図4に示した。図3より、牛乳と豆乳でつくった混合ミックス(牛乳:豆乳=9:1および8:2)のほうはどちらも培養8〜10時間でヨーグルトに適した酸度(0.8%)に到達したが、牛乳だけのミックスでは凝固がみられず、酸度も低かった。
また、図4より、培養8〜10時間後の両混合ミックス中(牛乳:豆乳=9:1および8:2)に含まれる生菌数は、1〜2×109コロニー数/mlであった。すなわち腸内生息性乳酸菌L55を種菌としてヨーグルトを製造する場合、混合比が牛乳:豆乳=9:1或いは8:2のヨーグルトミックスを使用することで、従来の牛乳だけのミックスに比べて、発酵時間が大幅に短縮でき、高濃度の生菌を含むことがわかった。
次に牛乳:豆乳の混合比が10:0、9:1および8:2の混合乳でつくった上記ヨーグルトを10℃のもとで4週間保存し、生存菌数を比較した。結果を表1に示す。
Figure 0004051353
その結果、4週間の保存試験では、牛乳だけでつくったヨーグルトの生存菌数は2桁以上の減少を示し、その生存比率は0.45%であったのに対して、豆乳と牛乳からなる混合乳(牛乳:豆乳=9:1および8:2)でつくったヨーグルトでは4週間の保存後も生菌数に顕著な減少はみられず、生存比率もそれぞれ35.71%、36.75%と高かった。
本発明の腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品は、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめて得られる乳酸醗酵食品であって、
(1)37℃で8〜10時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 9 〜5×10 9 コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.7〜0.9質量%である酸味のある食品であるか、あるいは
(2)37℃で4〜6時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 8 〜1×10 9 未満コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.3〜0.5質量%である酸味を抑えた食品であり、
(3)長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存菌数が1×10 7 コロニー数/ml以上であることを特徴とするものであり、胃液にさらされても死滅せず、長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存比率が高く、前記腸内生息性乳酸菌を長期間にわたって高濃度に含み、そのため保健機能の面で著しい効果が期待される、という顕著な効果を奏するものであり、
本発明の製造方法により、従来よりも短い発酵時間で目的とする前記腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸発酵食品を製造できるので、製造にかかるコスト増や発酵中の雑菌汚染のリスクをなくすことができる、という顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。
乳と豆乳を混合したヨーグルトミックスに腸内生息性乳酸菌L55を接種し、37℃で12時間発酵させたときのミックスにおける酸度を測定した際の牛乳と豆乳との混合比と酸度の関係を示すグラフである。 乳と豆乳を混合したヨーグルトミックスに腸内生息性乳酸菌L55を接種し、37℃で12時間発酵させたときのミックスにおける生菌数を測定した際の牛乳と豆乳との混合比と生菌数の関係を示すグラフである。 乳と豆乳を混合したヨーグルトミックスに腸内生息性乳酸菌L55を接種し、37℃で10時間発酵させミックスにおける酸度を測定した際の酸度と培養時間の関係を示すグラフである。 乳と豆乳を混合したヨーグルトミックスに腸内生息性乳酸菌L55を接種し、37℃で10時間発酵させミックスにおける生菌数を測定した際の生菌数と培養時間の関係を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめて得られる乳酸醗酵食品であって、
    (1)37℃で8〜10時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 9 〜5×10 9 コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.7〜0.9質量%である酸味のある食品であるか、あるいは
    (2)37℃で4〜6時間培養して得られる乳酸醗酵食品中に含有される前記腸内生息性乳酸菌の濃度が、1×10 8 〜1×10 9 未満コロニー数/mlであり、かつ生成乳酸酸度が0.3〜0.5質量%である酸味を抑えた食品であり、
    (3)長期保存後も前記腸内生息性乳酸菌の生存菌数が1×10 7 コロニー数/ml以上であることを特徴とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品。
  2. 前記腸内生息性乳酸菌が、ヒト腸管内に定住している乳酸菌の中から選ばれた腸内生息性乳酸菌、ヒト糞便から分離された腸内生息性乳酸菌であることを特徴とする請求項1記載の乳酸醗酵食品。
  3. 種菌として前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の乳酸醗酵食品。
  4. 乾燥粉末化されているか、あるいは錠剤化されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の乳酸醗酵食品の製造方法であって、乳と豆乳を混合比(質量比)9:1〜6:4で混合して調製される原料を主成分として含む主原料に対して、必須の種菌として胃液耐性能に優れた腸内生息性乳酸菌であるラクトバチルス・アシドフィルスL55[(受託番号)FERM P−18652]を接種して醗酵せしめるか、あるいは前記腸内生息性乳酸菌以外に乳業用乳酸菌を併用して接種して醗酵せしめることを特徴とする腸内生息性乳酸菌を高濃度で含有する乳酸醗酵食品の製造方法。
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