JP2019047831A - ナチュラルチーズ - Google Patents

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誠 塩田
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愛 小杉
愛 鈴木
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【課題】ナチュラルチーズは、乳に乳酸菌、凝乳酵素を添加し、凝固後、加熱撹拌し、ホエー排除により低水分化したカードを型詰めし、加塩工程を経て熟成する。ナチュラルチーズ特有の風味は熟成中に緩やかに形成され、長期間の熟成条件により風味・食感が大きく変化するので、風味食感において優れた新規なナチュラルチーズを提供する。【解決手段】香気成分であるアセトインが1000μg/kg以上、エタノールが130μg/kg以下、ブタノイックアシッドが350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドが130μg/kg以下であり、かつ乳酸が1200mg/100g以下、かつテクスチャライザにおける硬さが5000gf以下であり付着性が4500以上にした風味食感に優れたチーズ。【選択図】図1

Description

本発明は、風味食感において優れたナチュラルチーズに関する。
近年、日本におけるナチュラルチーズの消費量は増加傾向にはあるが、それでも欧州の10分の1程度となっている。これは欧州ではナチュラルチーズの歴史が長く、多くのナチュラルチーズが欧州の人々の味覚に合うように発展してきた経緯にあることに起因する。
ナチュラルチーズは、その製造工程により多種多様な風味、食感、組織を有しており、風味発現の要因としては、乳質、乳処理方法、乳酸菌、酵素、細菌、カビ、熟成条件等の作用が大きなものとして挙げられる。近年、ナチュラルチーズの普及とともに多様な風味・食感のナチュラルチーズが市場に出回るようになってきている。例えば、ゴーダチーズ、チェダーチーズ、グラナチーズ、パルメザンチーズ等の硬質系ナチュラルチーズは、主として熟成中に乳酸菌、酵素の作用によるタンパク質及び脂肪分解にともなって生じる呈味成分、芳香成分による特有の風味を有する(非特許文献1)。
チーズ特有の香りは多様な複数の香気成分による複合的な結果であることが知られている。チーズ中の香気成分については、アルコール類、エステル類、アルデヒド類、ケトン類、含流化合物、ラクトン類など、多くの報告がなされており、個別の香気成分の香気質についても知られている。これらは、脂肪、アミノ酸、糖質などから各種微生物中の酵素の作用により、代謝された物質である。各香気は相互の増強効果やマスキング効果、複合効果により多様な香りとしてヒトは認識する。この認識は食経験にも関連することであり、国や地域により、感じ方は異なる場合も多い。チーズの嗜好性には食文化や食経験によるものであり、地域によってもチーズの嗜好性が変化することは報告されている(非特許文献1)。
これらのナチュラルチーズは、乳に乳酸菌、凝乳酵素を添加し、凝固後、加熱撹拌し、ホエー排除により低水分化したカードを型詰めし、加塩工程を経て熟成する。ナチュラルチーズ特有の風味は熟成中に緩やかに形成され、長期間の熟成条件により風味・食感が大きく変化する。
ナチュラルチーズはそのまま食されることが多いが、チェダーチーズやゴーダチーズはさらにはプロセスチーズの原料として使用され、プロセスチーズとして消費されることが多い。いずれの場合においても熟成のタイミングにより風味が異なるため、熟成中の変化を予測することは、最も望ましい風味を有する商品を提供するためには非常に重要である。
最近では、ガスクロマトグラフィー等の機器分析や多変量解析運用技術の進化や多変量解析ソフトの充実により、チーズから脂肪酸やアミノ酸、香気成分を抽出した後、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーなどにより、成分の同定と定量を行い、成分と官能評価結果を統合解析することで、チーズの香気成分と官能特性との関係を把握する試みが増えてきた。
ケモメトリクス(計量科学)分野の多変量解析を用いることで、血中成分の分析結果から疾病を予測したり、近赤外領域における分光学的特性やクロマトグラフィーによる成分の分散から、食品の品質を予測することが行われている。主成分分析(PCA, principal component analysis)や部分最小二乗法(PLS, partial least squares analysis)によるスコアプロットやローディングプロットを用いることで、試料間の位置づけや各試料に特徴的な成分、官能項目に関連する成分の特定などを行なうことができる。例えば、チェダーチーズの油分が官能特性と香気成分との関連性を示した報告(非特許文献1)、熟度の違いが官能評価点に与える影響を解析した報告(非特許文献2)が存在する。また、チーズの熟成条件や搾乳時期などが成分に与える影響を評価した報告(非特許文献3)、乳の殺菌条件が官能特性に与える影響を評価した報告(非特許文献4)などが存在する。中でもOPLS-DA(orthogonal partial least squares project to latent structures-discriminant analysis)法は、ガン患者と正常者の血液成分データを用いたマーカー候補の探察や植物代謝物において、それらの群間の差に寄与する成分を特定すること等に用いられ、代謝物解析の進展に貢献してきた(非特許情報5)
ナチュラルチーズの風味に影響する要素としては、香気成分、呈味成分、物性、色調などの複合的な効果によるものと考えられている。各要素である香気成分と官能スコアとの関連性、親水性成分と官能スコアとの関連性等については、多変量解析手法の適用により、様々な知見が公開されている(特許文献1)。
特開2013−7732公報
Journal of Dairy Science, 93, 5069-5081 (2010) Journal of Dairy Science, 87, 11-19 (2004) International Dairy Journal, 18, 801-810 (2008) International Dairy Journal, 18, 790-800 (2008) Chemometrics and Intelligent Laboratory System, 84, 82-87 (2006)
チーズのおいしさは上述のような複合的な効果によるものであるが、上記のそれぞれ文献には、香気成分分析のみ、呈味成分のみといった単独成分に着目している。また、特許文献1は、それらの複合効果の存在を示唆するが、その組合せの最適値は不明である。日本人の嗜好にあったナチュラルチーズの提供するためには、香り成分、呈味成分、テクスチャー、色調などを総合的に解析し、その最適バランスを把握することが求められる。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行ったところ、複数の同種のナチュラルチーズについて、成分分析、物性測定、色調分析を機器分析により実施し、さらに官能評価結果を組合せて多変量解析手法としてPLS回帰分析を適用することで、個別の官能特性に対応する上記要素の最適なバランスを特定することができ、日本人にとって嗜好性の高いナチュラルチーズを得るに至った。
本発明は、アセトインの含有量が1000μg/kg以上、エタノールの含有量が130μg/kg 以下、ブタノイックアシッドの含有量が350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドの含有量が130μg/kg以下、乳酸の含有量が1200 mg/100g以下であり、テクスチャアナライザ分析における硬さが5000gf以下、かつ付着性が4500 g・s以上であるナチュラルチーズである。
本発明によれば、風味食感において優れた、日本人にとって嗜好性の高いナチュラルチーズを提供することができる。
PLSによる好ましさのスコア予測結果を示す図。 各機器分析データのCoefficientsデータを示す図。
本発明のナチュラルチーズは、アセトインの含有量が1000μg/kg以上、エタノールの含有量が130μg/kg 以下、ブタノイックアシッドの含有量が350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドの含有量が130μg/kg以下、乳酸の含有量が1200 mg/100g以下であり、テクスチャアナライザ分析における硬さが5000gf以下、かつ付着性が4500 g・s以上であるナチュラルチーズである。
本発明のナチュラルチーズは一般的なナチュラルチーズの製造方法を適用して製造することができるが、(1)搾乳後殺菌処理までの時間を48時間を越えないこと、(2)乳酸菌とレンネットを添加する前の原料乳の乳糖含量を2.0重量%以下にすること、(3)加塩方法としてはブライン加塩を行なうこと、の3つの中で2つ以上の処理を併用することにより、好ましい風味を有するチーズを調製することができる。
本発明のナチュラルチーズの種類としては、ゴーダ、チェダー、エダム、サムソー、パルメザン、ミモレット等熟成期間が比較的長いナチュラルチーズが好ましいが、カビ熟成を含むか否かを含め、チーズの種類に限定されるものではない。また、チーズの原料となる乳は牛乳に限定されず、水牛や羊乳、山羊乳を用いて製造したチーズについても適用可能である。
本発明で製造するチーズの「好ましい風味」の条件は、生産者や熟成期間の異なる14種類のゴーダチーズについて、機器分析による香気成分、呈味成分、テクスチャライザによる物性、および色差計による色調評価を行なうことにより決定した。
本発明の香気成分抽出法としては、ヘッドスペース-SPME吸着法およびを用いた。香気成分抽出法は、これらの方法に限らず、Tenax樹脂を用いたダイナミックヘッドスペース吸着法、SAFE(Solvent assisted flavor extraction)法、水蒸気蒸留抽出などの方法を用いることができる。得られた香気成分抽出物をガスクロマトグラフィー(GC)を用いて分離し、質量分析計(MS)、匂い嗅ぎ法、水素イオン化検出器(FID)を用いて定量を行なう。以下、ヘッドスペース-SPME抽出法、水蒸気蒸留抽出法を用いた香気成分測定を、それぞれ、SPME-GC/MS法、SDE-GC/MS法という。
SPME-GC/MS法による香気成分測定は下記の方法で行なった。フードプロセッサーにて1〜2mm程度に粉砕したチーズ1gを20mLバイアルビンに秤量、内部標準 (trans-2-methyl-2-butenal、5ppm 70mg)をチーズ上に滴下した。窒素充填後、シリコンシールで密閉し、測定試料とした。内部標準を馴染ませる為、ボルテクスミキサーで10秒程度撹拌し、37℃恒温槽にて10分間平衡、同様に37℃にて60分間SPMEファイバー(50/30 DVB/Carboxen/PDMS (SUPELCO))に吸着した後、GC/MSにて測定した。使用カラムはDB-5ms(60m×0.32mm i.d×0.5μm、J&W社製)、分析機器は Agilent 6890(GC)、5973(MSD)(アジレント・テクノロジー社製)、測定結果の解析は MSDChemiStation (アジレント・テクノロジー社製)を使用した。
SDE-GC/MS法による香気成分測定は下記の方法で行なった。短冊状に細く刻んだチーズを50g用意し、1000mL容丸底フラスコにチーズ、イオン交換水150mL、シリコーン1滴を加えて水蒸気の吹き込みを行い、香気成分を含む凝縮液を500mL得た。得られた凝縮液と食塩10gとジクロロメタン(残留農薬用・PCB試験用5000倍濃縮品 関東化学) 100mLを1000mL容分液ろうとに入れ、香気成分をジクロロメタン層に移行させる。ジクロロメタン層を取り出し無水硫酸ナトリウムにて脱水を行った。この作業を2回繰り返し、得られた溶液を60℃の恒温槽にて加温し、0.3mLまで濃縮した。濃縮液に内部標準(Biphenyl 500ppm)を0.1mL添加し、測定試料とした。測定は各試料2回ずつ行った。使用カラムはDB-WAX(30m×0.25mm i.d×0.25 μm、J&W社製)、分析機器はVarian220-MS イオントラップ型GC/MS/MS(バリアン・テクノロジー社製)を使用した。測定条件を以下に示した。スプリットモード(1:22)、注入口温度250℃、キャリアガスHe、カラム初期流量2.4mL/min、オーブン条件40℃3分保持後、230℃まで3℃/minで昇温後、24分保持した。MS条件を以下に示した。検出器はイオントラップ型(EIモード)、測定はスキャンモード、MSトラップ温度200℃、トランスファー温度250℃、質量範囲35〜500m/z、スキャン速度0.5sec/scanとした。測定結果の解析は GC/MS付属の解析ソフトおよび同定はNIST08を使用した。
SPME-GC/MS抽出香気成分としては、Ethanol, Acetone, Dimethyl sulfide, Ethyl acetate, 3-Methyl-butanal, 2-Methyl-butanal, 2-Pentanone, Acetoin, 3-Methyl-1-butanol, Butanoic acid, 2-Heptanone, Hexanoic acid, Limonene, 2-Nonanone, Octanoicacid, Butanoic acid butyl esterの16成分を得た。
SDE-GC/MS抽出香気成分としては、2-Undecanone, 2-Tridecanone, Benzyl alcohol, δ-Octalactone, 2-Pentadecanone, δ-Decalactone, Decanoicacid, γ-Undecalactone, δ-dodecalactone, Dodecanoicacid, δ-Tetradecalactone, Tetradecanoic acid, Hexadecanoicacidの13成分を得た。ここで、SPME-GC/MS法とSDE-GC/MS法のいずれでも検出された香気成分については、SPME-GC/MS法のデータを用いた。
チーズ試料の物性は、テクスチャアナライザ(TA-XT2i, Stable Micro Systems Ltd. ドイツ)を用いて測定した。1cm x 1cm x 1cm 立方にチーズ試料を切り出し、10℃にて冷蔵保持したチーズに対して速やかに室温下で直径75mmのプローブを用いて圧縮速度0.5mm/sec、圧縮率80%まで圧縮を行なった。硬さと付着性については、下記の文献記載の方法に基づく。
Saint-Eve A. et al., Food Chemistry, 116, 167-175. (2009)
各試料について、「好ましさ」についてSD法による官能評価を実施した。評価者は、30名の26〜54歳までのパネラー(男性17名、女性13名)である。
得られた評価を用いてPLS回帰分析を行うため、全14試料を「好ましさ」のスコアが高い順に並べ、スコアが高い方から2番目(テスト試料1)、8番目(テスト試料2)、13番目(テスト試料3)をテストサンプルとし、残りの11試料をキャリブレーションサンプルとして分けた。機器分析による項目を説明変数とし、官能評価における「好ましさ」を目的変数として、PLS回帰に供した。得られたモデルの潜在因子は5であり、RMSEEが0.080を示すR2が0.994、予測精度を示すQ2が0.865であった。図1に示すように、それぞれのスコアは直線上に配列され、「好ましさ」を予測可能なモデルが得られた。テストサンプルを用いてモデルの検証を行なった結果、RMSEPが0.116と全スコア中の5%以内であり、高い予測精度を示すことが確認できた。
各説明変数について、重回帰分析によるCoefficientsを算出した結果を図2に示す。ここで、VIP値が1以上を示す変数については、黒棒で示した。これにより、「好ましさ」に正に寄与する要素として、アセトイン含量と付着性が選択され、負に寄与する要素としてエタノール含量、ブタノイックアシッド含量、ヘキサノイックアシッド含量、乳酸含量、硬さが選択された。本発明において、日本人に「好ましい」チーズとは、物性面においては、付着性が高く、硬さが低いチーズであり、アセトイン含量、エタノール含量、ブタノイックアシッド含量、ヘキサノイックアシッド含量、乳酸含量が所定の範囲にあるものである。
表1に、14種の試料の好ましさのスコアを高い順に並べ、それぞれの試料の機器分析結果を示す。表中において下線を施した数字は、正に寄与する項目は好ましさが正の値であった中での最小値を示し、負に寄与する項目は好ましさが負の値であった中での最大値を示す。上記の結果より、香気成分であるアセトインが1000μg/kg以上、エタノールが130μg/kg 以下、ブタノイックアシッドが350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドが130μg/kg以下であり、かつ乳酸が1200 mg/100g以下、かつテクスチャライザにおける硬さが5000gf以下であり、かつ付着性が4500 g・s以上であることが好ましさの条件であることが示された。
Figure 2019047831
以下に本発明の実施例を示して詳細に説明する。なお、実施例は本発明の態様の1つであり、本発明は実施例に限定されるものではない。
本実施例のチーズは以下の方法により製造した。
搾乳後、加水により脂肪分を2.8重量%に調製した原料乳をプレート型殺菌機により75℃で15秒間殺菌した。ここで、搾乳から殺菌までの時間は48時間を越えないように管理を行った。得られた原料乳に対して、40℃にて分画分子量60000Daの膜を用いて限外ろ過処理を行った。膜処理前には3.6重量%であった乳糖が、濃縮液に対して加水を行った状態で脂肪分2.8重量%であり、かつ乳糖含量が1.8重量%となるよう、乳の処理を行なった。この原料乳について、LDスターター添加を行ない、ジャケット付のチーズバット内に静置する。1時間後に仔牛レンネット(クリスチャン・ハンセン社製)を3g添加し、さらに静置した。約30分経過した時点で乳の凝固が起こり、凝固開始から5分後にチーズナイフを使用してチーズカードを10mmの立方体に切断した。切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出した。ホエーの流出を促進させるために、カードとホエー混合物を1℃/2分の加熱で38℃まで加温した。撹拌を開始してから2時間後にカードとホエーを分離し、チーズカードの形成を行なった。全カードを10kg容量のチーズモールドに入れ、縦型プレス機にて140kgの荷重をかけて2時間プレスした。プレス後20%食塩水中(10℃)に48時間浸漬して加塩し、加塩後、10℃熟成庫内で熟成し、ゴーダチーズを得たものを実施例1とした。
(比較例1)
原料乳に対する膜処理の影響を確認するため、実施例1において、膜処理を実施せず、乳糖含量が3.6重量%の乳を用い、その後の工程は実施例1と同じ方法により製造したチーズを比較例1とした。
Lactococcus diacetylactis, Lactococcus cremoris を乳酸菌として使用し、乳糖含量1.8重量%の膜処理乳を用いて、実施例1と同様の方法で製造した。
(比較例2)
加塩前の乳糖含量の影響を確認するため、乳糖含量3.6重量%の未膜処理乳を原料乳として用い、他の製造条件は実施例1と同じとしたチーズを比較例2とした。
乳酸菌としてLactococcus lactis, Streptococcus thermophilus を用い、搾乳から殺菌までの時間が20時間の乳を用いて調製したチーズを実施例3とし、膜処理により乳糖含量を1.8重量%とした後、実施例1と同様な方法でチーズを調製した。
(比較例3)
搾乳から殺菌までの時間の影響を確認するため、実施例3において、搾乳から殺菌までの時間が55時間の乳を用いて調製したチーズを比較例3とした。
乳酸菌としてLactococcus lactis, Streptococcus thermophilus を用い、搾乳から殺菌までの時間が20時間、膜処理乳を使用せず、乳糖含量は3.6重量%の乳を原料として実施例1と同様の方法でチーズを調製した。
(比較例4)
実施例4と同じく、膜処理乳を使用せず、乳糖含量は3.6重量%の乳を原料として用い、カードとホエーを分離した後、得られたカードに食塩を分散、混合させ、このカードを10kg容量のチーズモールドに入れ、縦型プレス機にて140kgの荷重をかけて2時間プレスして調製したチーズを比較例4とした。
(比較例5)
乳酸菌として Lactococcus diacetylactis, Lactococcus cremoris を用い、ホエー分離後のカードにヘキサノイックアシッド単品香料を添加し、十分な攪拌を行なった以外は、実施例1と同じ方法で調整したチーズを比較例5とした。
(比較例6)
乳酸菌として Lactococcus diacetylactis, Lactococcus cremoris を用い、ホエー分離後のカードに希釈乳酸溶液を添加し、十分な攪拌を行なった以外は実施例1と同じ方法で調製したチーズを比較例6とした。
(比較例7)
実施例1と比較して硬い物性を持つチーズを調製するため、高温菌であるStreptococcus thermophilus を用い、チーズカードを10mmの立方体に切断し、切断後、緩やかに撹拌しながらチーズカード中からホエーを流出させる工程で、ホエー流出温度を50℃まで上昇させることで、水分の上昇を促した以外は実施例1と同じ方法で調整したチーズを実施例7とした。
実施例1〜実施例3のゴーダチーズおよび比較例1〜比較例7の試料について、重回帰分析の結果およびVIP値に基づいて決定した、日本人に「好ましい」チーズに関係するパラメータについて、各チーズの数値を下記に示す。表中下線部は好ましさを示す指標から外れている数値を示す。
Figure 2019047831
さらに、それぞれのゴーダチーズの官能評価を行い、表2に示した結果との関連性の確認を行った。「好ましさ」は-2, -1, 0, +1, +2 の5段階評価により行った。ここで、-2は好ましくない、+2は好ましいを示す。評価者は30名の26〜54歳までのパネラー(男性17名、女性13名)により実施した。
官能評価の結果は表3に示すとおりであり、実施例1は他の比較例との間には有意差(p<0.05)が存在した。
Figure 2019047831
これらの結果から、香気成分であるアセトインが1000μg/kg以上、エタノールが130μg/kg 以下、ブタノイックアシッドが350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドが130μg/kg以下、乳酸が1200 mg/100g以下、テクスチャライザ分析における硬さが5000gf以下、かつ付着性が4500 g・s以上である実施例1〜4のチーズは、比較例1〜7に比べて有意に好ましいと評価されることが判った。




Claims (2)

  1. 香気成分であるアセトインの含有量が1000〜3200μg/kg、エタノールの含有量が100μg/kg 以下、ブタノイックアシッドの含有量が350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドの含有量が130μg/kg以下、乳酸の含有量が1200 mg/100g以下、テクスチャライザ分析における硬さが5000gf以下、かつ付着性が4500 g・s以上であるナチュラルチーズ。
  2. 搾乳から48時間以内に殺菌処理を行なう工程と、
    乳酸菌とレンネット添加をする前の原料乳の乳糖含量を2%以下にする工程と、
    カード形成後に、ブライン加塩を行なう工程と、
    のうち、少なくとも2つの工程を有し、
    アセトインの含有量を1000〜3200μg/kg、エタノールの含有量を100μg/kg 以下、ブタノイックアシッドの含有量を350μg/kg以下、ヘキサノイックアシッドの含有量を130μg/kg以下、乳酸の含有量を1200 mg/100g以下、テクスチャライザ分析における硬さが5000gf以下、かつ付着性が4500 g・s以上であるナチュラルチーズを製造する方法。
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