JP2006108036A - 燃料電池スタック - Google Patents

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Abstract

【課題】適した絶縁体構成を有する燃料電池スタックを提案する。
【解決手段】単位セル10の積層部材として、外縁に絶縁体19を有する盆形状の積層部材を用いる。例えば、セパレータ15の外縁に絶縁体19を設ける、またはMEA13の外縁に絶縁体19を設けることにより、盆形状の積層部材を構成する。互いに隣り合う絶縁体19は、その一部が重なるように構成されるとともに、二つの絶縁体19の間に隙間20を備えるように構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池スタックに関する。特に、燃料電池スタックの絶縁構造に関する。
従来の燃料電池スタックとして、スタック周囲に額縁状の絶縁材を有するものが知られている。
外部マニホールドを金属材料により構成し、燃料電池スタックと外部マニホールドの間に、額縁状の絶縁体を備えることにより絶縁を行っている。燃料電池スタックと絶縁体のあいだには、多孔質セラミックシートと球状ジルコニア粉末を備え、また、絶縁体と外部マニホールドの間には、球状ジルコニア粉末と多孔質セラミックシートを備える。この絶縁体は、複数の部材を用いて、予め設計された所定の形状に構成されている(例えば、特許文献1、参照。)。
特開平8−45532号公報
燃料電池スタックは通常、セパレータ、膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)等の積層部材を積層してなる単位セルを、数十〜数百枚積層して構成する。各単位セルに用いられる積層部材の表面度には僅かながらもバラツキがあるため、それらを多数積層することにより、燃料電池スタックの側面がフラットにならなかったり、スタック間で長さのバラツキが生じたりしてしまう。
そのため、予め設計した所定の形状の絶縁体で、全ての燃料電池スタックの絶縁を行うことは難しいといった問題があった。また、燃料電池スタックと絶縁体との間に隙間ができる部分と隙間がでない部分とが生じるが、この隙間も燃料電池スタック毎に異なるために、隙間に滞留した水素や水蒸気を効率的に除去するのが困難であった。
そこで、本実施形態では、適した絶縁体構成を有する燃料電池スタックを提案することを目的とする。
本発明は、複数の積層部材を積層してなる単位セルを、さらに複数積層して構成された燃料電池スタックにおいて、少なくとも一部の単位セルは、外縁に沿って略積層方向に傾斜突出した絶縁体を有する盆形状の積層部材を有する。
このように、単位セルを構成する積層部材は、外縁に沿って絶縁体が設けられるので、積層時にスタック側面の電気絶縁性を得ることができる。このとき、絶縁体は、単位セル自体に設けられるため、比較的、単位セル毎の位置や形状に対応して配置されやすく、積層構成を有する燃料電池スタックに適した絶縁体を構成することができる。
図1を参照して第1の実施形態による燃料電池スタック1の構成を説明する。
燃料電池スタック1を複数の単位セル10を積層することにより構成する。単位セル10は、両面に触媒が塗布された電解質膜11と、電解質膜11の両側に接着された一対のガス拡散層(GDL:gas diffusion layer)12と、からなる膜電極接合体(MEA:membrane electrode assembly)13を備える。GDL12の外縁に沿ってシールキャリア18を備え、電解質膜11平面の面積と、GDL12およびシールキャリア18からなる平面の面積を、等しく構成する。GDL12は多孔質材、例えばカーボンペーパ等より構成され、シールキャリア18は、反応ガスを透過しない緻密材により構成される。
また、単位セル10は、MEA13の両側に、MEA13に隣接する面に溝状の反応ガス流路14を有し、SUS系金属部材よりなるセパレータ15を備える。セパレータ15は、MEA13に接触する面の裏面に、LLC(long life coolant)を流通するLLC流路16を備えても良い。また、図1では、単位セル10毎に二つずつセパレータ15を備えたが、隣接する単位セル10同士で、両面に反応ガス流路14を有する一つのセパレータ15を共有してもよい。
また、MEA13から積層面外周方向に反応ガスが漏洩するのを防ぐために、セパレータ15平面の外周に沿ってシール17を備える。シール17は、前述したようにGDL12の外周に設けられたシールキャリア18に対峙し、シールキャリア18とセパレータ15の間を密封することにより、反応ガスの漏洩を防止する。
このような単位セル10を複数積層して燃料電池スタック1を構成する。ここで、セパレータ15を、SUS系金属で構成するため、燃料電池スタック1の側面を絶縁する必要がある。セパレータ15からの漏電を防ぐために、燃料電池スタック1の側面を略覆うように絶縁体19を備える。ここでは、絶縁体19を樹脂材により構成する。
次に、図2を参照して、絶縁体19の構成を説明する。
単位セル10を構成する積層部材として、外縁に絶縁体19を有する盆形状の積層部材を備える。つまり、絶縁体19は、盆形状の縁部分を構成する。
ここでは、セパレータ15の外縁に絶縁体19を一体化させることにより、盆形状の積層部材を構成する。言い換えれば、盆形状の底面部分をセパレータ15で構成し、縁部分を絶縁体19で構成する。さらに、絶縁体19を、セパレータ15に一体化する一体部19bと、積層方向に傾斜突出した縁部19aより構成する。
一体部19bは、セパレータ15の反応ガス流路14を設けた面の裏面に一体化された平板形状の領域よりなり、縁部19aは、一体部19bに連続し、セパレータ15から突出した平板形状の領域よりなる。縁部19aと一体部19bの内角が90°より大きく180°より小さくなるように、絶縁体19の傾斜を設定する。
なお、ここでは、図1に示すように、単位セル10を構成する積層部材のうち最も外側に設けられたセパレータ15の外側の面に一体部19を設け、その単位セル10の側面に覆い被さるように縁部19aを設けているが、この限りではない。例えば、図1において、単位セル10Y1に設けた絶縁体19Y1を、隣接する単位セル19X1の側面を覆うように構成することもできる。
図1に示すように、このような絶縁体19を有する単位セル10を積層する際には、各単位セル10の縁部19aが略同一方向に突出するように積層する。つまり、セパレータ15と絶縁体19からなる盆形状が、同一方向に重なるように積層する。
また、ここでは、各単位セル10の同極側に配置されたセパレータ15に絶縁体19を備える。このとき、ある単位セル10X1に設けられた絶縁体19X1は、その単位セル10X1の絶縁体19X1を有さないセパレータ15に隣接して配置される単位セル10Y1の絶縁体19Y1に一部が折り重なる長さとする。また、絶縁体19X1と、絶縁体19Y1との間は少なくとも一部で開口され、隙間20を有するように構成する。
ここで、燃料電池スタック1においては、このような単位セル10を数十〜数百枚重ねて構成されるので、単位セル10を構成する積層部材の僅かな平面度のバラツキから図3に示すような反りが生じてしまう可能性がある。
このような燃料電池スタック1に対して、側面に沿って平板形状の絶縁体119を設けると(図3(b)、参照)、燃料電池スタック1の側面と絶縁体119との間に不均一な隙間が形成される。燃料電池スタック1からの水素の微量の漏れが生じた場合、この水素はこの隙間に滞留してしまう。この滞留した水素は、ブロア等を用いてパージすることもできるが、隙間の大きさに応じてパージされ易さが異なり、例えば、非常に小さい隙間などにはパージする空気等が供給されにくく、パージしようとするとブロア等の負荷を大きくする必要があった。
これに対して、図3(a)に示すように、本実施形態では、燃料電池スタック1から水素の微量な漏れが生じた場合にも、各単位セル10の側面から隙間20を通って排出されるために、燃料電池スタック1付近に滞留するのを防ぐことができる。特に、燃料電池スタック1を、内部の空気をパージするブロアを有するスタックケースに収容した場合には、ブロアにより生じる空気の流れにより燃料電池スタック1近傍の水素の滞留を防ぐことができる。
なお、水素は軽い原子であるので、積層方向が垂直方向となるように燃料電池スタック1を配置する場合には、一体部19bに対して隙間20が上方に位置するように、つまり図3(a)では、左が下、右が上となるように配置されるのが好ましい。
また、ここでは、各単位セル10毎に絶縁体19を設けたがこの限りではなく、複数おきの単位セル10に絶縁体19を備えてもよい。例えば、図4に示すように一つおきの単位セル10毎に絶縁体19を備えても良い。但し、このときには、図中の単位セル10X2が有する絶縁体19Y2は、積層一方向について、その次に配置された絶縁体19Y2に一部が重なるように形成し、絶縁体19X2と19Y2の間には隙間20が形成されるように構成する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
複数の積層部材を積層してなる単位セル10を、さらに複数積層して構成された燃料電池スタック1において、少なくとも一部の単位セル10は、外縁に沿って略積層方向に傾斜突出した絶縁体19を有する盆形状の積層部材を備える。このように、単位セル10の外縁に沿って絶縁体19が設けられるので、積層時に燃料電池スタック1側面の電気絶縁性を得ることができる。このとき、絶縁体19は、単位セル10自体に設けられるため、比較的、単位セル10の位置や形状に対応して配置されやすく、積層構成を有する燃料電池スタック1に適した絶縁体19を構成することができる。
ここでは、盆形状の積層部材として、外縁に絶縁体19を有するセパレータ15を備える。既存するセパレータ15を盆形状の積層部材の一部とすることで、絶縁体19を支持する部材を新たに設ける必要がなく、単位セル10が厚くなるのを避けることができる。
絶縁体19の突出方向を、積層された単位セル10間で略同一とする。これにより、同形状の単位セル10を同一方向に積層することができる。
また、絶縁体19のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体19X,19Yは、スタック側面に垂直な方向について、一部が重なるように構成される。これにより、積層部材の平面度のバラツキに起因するスタック長さのバラツキや反りにかかわらず、それに自ずと追随する。その結果、燃料電池スタック1毎に絶縁体19の寸法を変える必要はなく、また、燃料電池スタック1構成後に絶縁体19を取り付ける際に必要となる、長さ合わせや位置合わせといった作業を省略することができる。
また、絶縁体19のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体19X、19Yの間に、隙間20を有するように構成する。これにより、燃料電池スタック1側面の電気絶縁性を確保しつつ、単位セル10Xから漏れた微量の水素や水蒸気を、燃料電池スタック1の側面と絶縁体19Xとの間から排出することができる。
次に、第2の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図5、図6を参照して、本実施形態の燃料電池スタック1の構成を説明する。
図5に示すように、盆形状の積層部材として、外縁に絶縁体29を有するMEA13を用いる。絶縁体29を、シールキャリア18と一体化して構成する。つまり、一方の極の外周に設けたシールキャリア18の外縁を、略積層方向に傾斜突出するように延長することにより、絶縁体29を構成する。MEA13を盆形状の底面としたときに、絶縁体29は盆形状の縁部分を構成する。
このようなMEA13を有する単位セル10を複数積層して燃料電池スタック1を構成する。図6に示すように、ある単位セル10X3の絶縁体29X3の一部が、一方に隣接する単位セル10Y3の絶縁体29Y3に折り重なり、絶縁体29X3と絶縁体29Y3の間には隙間30が形成されるように、絶縁体29を構成する。これにより、燃料電池スタック1の側面に絶縁性を維持し、また、側面近傍に水素が滞留するのを抑制する。
なお、第1の実施形態と同様に、絶縁体29を複数の単位セル10毎に設けることもできる。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
盆形状の積層部材として、電解質膜11とGDL12を備え、外縁に絶縁体29を有するMEA13を備える。このように、既存するMEA13を盆形状の積層部材の一部とすることで、絶縁体29を支持する部材を新たに設ける必要がなく、単位セル10が厚くなるのを避けることができる。
次に、第3の実施形態について説明する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7を参照して、本実施形態の燃料電池スタック1の構成を説明する。
ここでは、単位セル10毎の運転状態をモニタするために、各単位セル10から電流を取り出すコネクタ31を備える。コネクタ31は、各単位セル10の下方に設けることが好ましい。ここでは、燃料電池スタック1を、単位セル10の積層方向が水平方向となるように設置し、垂直方向に広がる側面の下方部分にコネクタ31を備える。つまり、図7は、燃料電池スタック1の下方部分を水平に切断した際の断面図であり、手前から紙面に垂直に向かう方向が垂直上方を示す。
コネクタ31は、単位セル10X4の絶縁体19X4と、それに隣接する単位セル10Y4の絶縁体19Y4に略囲まれた空間に収容される。コネクタ31から伸びるリード線32は、絶縁体19X4を貫通して、出力を取り出し可能に構成する。
なお、全ての単位セル10にコネクタ31を接続する必要がない場合には、隣り合う絶縁体19間に多くて一つのコネクタ31が収容されるように構成してもよい。但し、隣り合う絶縁体19の一部がスタック側面に垂直な方向に重なり合うように、絶縁体19の寸法を設定する必要がある。
次に、本実施形態の効果について説明する。以下、第1の実施形態と異なる効果のみを説明する。
単位セル10の運転状態をモニタするためのコネクタ31を、絶縁体19のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体19X、19Yの間に形成された空間に備える。隣接する単位セル10間のピッチは小さいために、コネクタ31間のピッチも小さくなる。そのため、コネクタ31には隣りに設けられたコネクタ31との間で絶縁性を持たせる必要がある。コネクタ31を互いに隣り合う絶縁体19の間に形成された空間に収容することで、単位セル10に一体化した絶縁体19によりコネクタ31の絶縁性を得ることができ、コネクタ31毎に新たに絶縁材を設ける必要がないので、大幅に製造工程を省略することができる。
特に、コネクタ31それぞれを、絶縁体19で略囲まれた個別の空間に収容することで、より確実にコネクタ31間の絶縁性を確保することができる。
なお、絶縁体19を設けるセパレータ19、絶縁体29を設けるMEA13のシールキャリア18は、アノード側、カソード側のどちらのものを用いても良い。また、セパレータ15の構成材料はSUS製金属に限らず、また、絶縁体19、29の構成材料の樹脂材に限らない。
このように、本発明は、上記発明を実施するための最良の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で、様々な変更を為し得ることはいうまでもない。
本発明は、燃料電池スタックに適用することができる。例えば、車両搭載用の燃料電池スタックに適用することができる。
第1実施形態による燃料電池スタックの要部の断面図である。 第1実施形態による絶縁体を有するセパレータの断面図である。 第1実施形態による絶縁体を用いた効果を示す図である。 第1実施形態による別の例の燃料電池スタックの要部の断面図である。 第2実施形態による絶縁体を有するMEAの断面図である。 第2実施形態による燃料電池スタックの要部の断面図である。 第3実施形態による燃料電池スタックの要部の断面図である。
符号の説明
1 燃料電池スタック
10 単位セル
11 電解質膜
12 GDL
13 MEA
15 セパレータ
16 LLC流路
17 シール
19 絶縁体
20 隙間
29 絶縁体
30 隙間
31 コネクタ

Claims (7)

  1. 複数の積層部材を積層してなる単位セルを、さらに複数積層して構成された燃料電池スタックにおいて、
    少なくとも一部の単位セルは、外縁に沿って略積層方向に傾斜突出した絶縁体を有する盆形状の積層部材を備えることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 前記盆形状の積層部材として、外縁に前記絶縁体を有するセパレータを備える請求項1に記載の燃料電池スタック。
  3. 前記盆形状の積層部材として、電解質膜とガス拡散層を備え、外縁に前記絶縁体を有する膜電極複合体を備える請求項1に記載の燃料電池スタック。
  4. 前記絶縁体の突出方向を、積層された前記単位セル間で略同一とする請求項1から3のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。
  5. 前記絶縁体のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体は、スタック側面に垂直な方向について、一部が重なるように構成される請求項1から4のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。
  6. 前記絶縁体のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体の間に、開口部を有するように構成する請求項5に記載の燃料電池スタック。
  7. 前記単位セルの運転状態をモニタするためのコネクタを、前記絶縁体のうち、積層方向に互いに隣り合う絶縁体の間に形成された空間に備える請求項1から6のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010521787A (ja) * 2007-03-20 2010-06-24 ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン 高分子電解質型燃料電池

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