JP2006107789A - 燃料電池ユニット、基板ユニット、および動作制御方法 - Google Patents

燃料電池ユニット、基板ユニット、および動作制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】各セルの電圧を効果的に測定して適切な処理を行うことができるようにする。
【解決手段】DMFCスタックにおいては、セルに相当する複数のMEAがそれぞれセパレータ202を介して積層されている。このDMFCスタックには、電圧監視基盤210が取り付けられる。コンタクト214は、基板210の下側の面に設けられ、複数のセパレータ202にそれぞれ対向するように配列された複数の弾性体を有する。回路212は、基板210の上側の面に設けられ、コンタクト214を通じて得られる各セルの電圧値を測定する。
【選択図】 図13

Description

本発明は、例えばダイレクトメタノール方式の燃料電池ユニット、基板ユニット、および動作制御方法に関する。
燃料電池の方式には種々のものがあるが、情報処理装置に適するものとして、ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC: Direct Methanol Fuel Cell)が挙げられる。この種の燃料電池には、複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックが適用される。セルスタックにおいては、燃料供給のバランスなどが崩れると、特定のセルの電圧が他のセルの電圧に比べて低下する現象が起こることがある。この場合、発電を続行すると、セルが破壊される可能性がある。そのため、異常なセルを事前に検知してシステムに障害が生じないように工夫する必要がある。
セルスタックを構成する複数のセルの電圧をそれぞれ測定する技術としては、例えば特許文献1が挙げられる。この文献には、複数のセパレータの側面にそれぞれ弾性部材を用いて圧接するための複数個の電圧測定端子を有する固定プレートをセルスタックに取り付け、各電圧測定端子をリード線でコネクタに接続し、このコネクタを電圧測定装置に接続することにより、各セルの電圧を測定することが開示されている。
特開2003−151613号公報
しかしながら、上記文献の技術では、各セルの電圧を測定するためにはリード線などが必要となるため、構成が煩雑となる。また、構成が複雑であるため、故障率の増加やコストアップにつながるという問題がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、各セルの電圧を効果的に測定して適切な処理を行うことができる燃料電池ユニット、基板ユニット、および動作制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池ユニットは、複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックと、前記セルスタックに取り付けられる基板とを具備し、前記基板は、前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記セルスタックにおける前記複数のセパレータにそれぞれ接触するように配列された複数の弾性体を有する端子と、前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記複数の端子を通じて得られる各セルの電圧値を測定する回路とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係る燃料電池ユニットは、複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックと、負荷が電気的に接続された状態で前記セルスタックにおける前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定し、所定値を下回る電圧値のセルがある場合に前記負荷を電気的に切断する制御手段とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係る基板ユニットは、複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックに装着するための基板ユニットであって、前記セルスタックに取り付けられる基板と、前記基板は、前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記セルスタックにおける前記複数のセパレータにそれぞれ接触するように配列された複数の弾性体を有する端子と、前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記複数の端子を通じて得られる各セルの電圧値を測定する回路とを具備することを特徴とする。
また、本発明に係る動作制御方法は、複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックを備えた燃料電池ユニットに適用される動作制御方法であって、負荷が電気的に接続された状態で前記セルスタックにおける前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定し、所定値を下回る電圧値のセルがある場合に前記負荷を電気的に切断することを特徴とする。
本発明によれば、各セルの電圧を効果的に測定して適切な処理を行うことができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池ユニットを示す外観図である。図1に示すように、この燃料電池ユニット10は、情報処理装置、例えばノート型パーソナルコンピュータの後部を載置するための載置部11と、燃料電池ユニット本体12とから構成される。燃料電池ユニット本体12には、電気化学反応で発電を行うDMFCスタックや、DMFCスタックに対して燃料となるメタノールや空気を注入、循環させるための補機(ポンプやバルブ等)を内蔵している。
また、燃料電池ユニット本体12のユニットケース12a内部の例えば左端に、着脱可能な燃料カートリッジ(図示していない)が内蔵されており、この燃料カートリッジを交換できるように、カバー12bは取り外し可能となっている。
載置部11には情報処理装置が載置される。載置部11の上面には、情報処理装置と接続するための接続部としてドッキングコネクタ14が設けられている。一方、情報処理装置の例えば底面後部には、燃料電池ユニット10と接続するための接続部としてドッキングコネクタ21(図示していない)が設けられており、燃料電池ユニット10のドッキングコネクタ14と機械的、電気的に接続される。また、載置部11上に三箇所の位置決め突起15とフック16が設けられており、対応して設けられた情報処理装置の底面後部の三箇所の穴に、位置決め突起15とフック16が挿入される。
情報処理装置を燃料電池ユニット10から取り外す時は、図2に示した燃料電池ユニット10のイジェクトボタン17を押すことにより、ロック機構(図示していない)の解除が行われて、容易に取り外すことができる。
また、燃料電池ユニット本体12の例えば右側面には、発電設定スイッチ112と燃料電池運転スイッチ116が設けられる。
発電設定スイッチ112は、燃料電池ユニット10での発電を許可或いは禁止するためにユーザが予め設定するためのスイッチであり、例えばスライド型スイッチで構成される。
燃料電池運転スイッチ116は、例えば、燃料電池ユニット10で発電される電力で情報処理装置18が動作している時に、情報処理装置18の動作は継続しつつ燃料電池ユニット10での発電のみを停止させるような場合等に用いる。この場合、情報処理装置18は内蔵された二次電池の電力を用いて動作を継続することになる。燃料電池運転スイッチ116は、例えばプッシュスイッチ等で構成される。
図2は、情報処理装置18(例えば、ノート型パーソナルコンピュータ)を燃料電池ユニット10の載置部11の上に載置、接続した時の外観を示す図である。
なお、図1、図2に示した燃料電池ユニット10の形状や大きさ、或いはドッキングコネクタ14の形状や位置等は、種々の形態が考えられる。
図3は、燃料電池ユニット10の系統図を示したものであり、特にDMFCスタックとその周辺に設けられた補機について細部の系統を示している。
燃料電池ユニット10は、発電部40と、燃料電池ユニット10の制御部である燃料電池制御部41とから構成される。燃料電池制御部41は発電部40の制御を行う他、情報処理装置18との通信を行う通信制御部としての機能を有する。
発電部40は、発電を行うための中心となるDMFCスタック42を有する他、燃料となるメタノールを収納する燃料カートリッジ43を有する。燃料カートリッジ43には高濃度のメタノールが封入されている。燃料カートリッジ43は、燃料を消費した時には容易に交換できるよう、着脱可能となっている。
また、一般に、ダイレクトメタノール型燃料電池においては、発電効率をあげるためにクロスオーバ現象を低減する必要がある。このために高濃度メタノールを希釈して低濃度化し、これを燃料極47に注入することが有効である。この実現のため、燃料電池ユニット10では、希釈循環システム62を採用しており、発電部40に希釈循環システム62の実現に必要な補機63を設ける。
補機63には液体流路に設けられるものと気体流路に設けられるものがある。
液体流路に設けられる補機63の接続関係は、燃料電池カートリッジ43の出力部から燃料供給ポンプ44が配管接続され、さらに燃料供給ポンプ44の出力部から混合タンク45に接続される。さらに、混合タンク45の出力部は送液ポンプ46に接続され、送液ポンプ46の出力部はDMFCスタック42の燃料極47に接続される。燃料極47の出力部は混合タンク45に配管接続される。また、水回収タンク55の出力部は水回収ポンプ56に配管接続され、水回収ポンプ56は混合タンク45へ接続される。
一方、気体流路においては、送気ポンプ50が送気バルブ51を介してDMFCスタック42の空気極52に接続される。空気極52の出力部は凝縮器53に接続される。また、混合タンク45からも、混合タンクバルブ48を介して凝縮器53に接続される。凝縮器53は排気バルブ57を介して排気口58に接続される。この凝縮器53には、水蒸気を効果的に凝縮するフィンが備えられている。また、冷却ファン54は凝縮器53の近傍に配設される。
次に、燃料電池ユニット10の発電部40の発電メカニズムについて、燃料と空気(酸素)の流れに沿って説明する。
まず、燃料カートリッジ43内の高濃度メタノールは、燃料供給ポンプ44によって、混合タンク45に流入する。混合タンク45の内部で高濃度メタノールは、回収された水や燃料極47からの低濃度メタノール(発電反応の残余分)等と混合されて希釈され、低濃度メタノールが生成される。低濃度メタノールの濃度は発電効率の高い濃度(例えば3〜6%)を保てるように制御される。この濃度制御は、例えば、濃度センサ60の検出結果を基に、燃料電池制御部41が燃料供給ポンプ44によって混合タンク45に供給される高濃度メタノールの量を制御することによって実現される。または、混合タンク45に環流する水の量を水回収ポンプ56等で制御することによって実現できる。
また、混合タンク45には、混合タンク45内のメタノール水溶液の液量を検出する液量センサ61や、温度を検出する温度センサ64が備えられており、これらの検出結果は燃料電池制御部41に送られて発電部40の制御などに使用される。
混合タンク45で希釈されたメタノール水溶液は送液ポンプ46で加圧されて、DMFCスタック42の燃料極(負極)47に注入される。燃料極47では、メタノールの酸化反応が行われることで電子が発生する。酸化反応で生成される水素イオン(H+)はDMFCスタック42内の固体高分子電解質膜422を透過して空気極(正極)52に達する。
一方、燃料極47で行われる酸化反応によって生成される二酸化炭素は、反応に供されなかったメタノール水溶液とともに再び混合タンク45に環流する。二酸化炭素は混合タンク45内で気化し、混合タンクバルブ48を介して、凝縮器53へ向かい、最終的には排気バルブ57を介して、排気口58から外部へ排気される。
他方、空気(酸素)の流れは、吸気口49から取り込まれ、送気ポンプ50で加圧され、送気バルブ51を介し空気極(正極)52に注入される。空気極52では、酸素(O2)の還元反応が進行し、外部の負荷からの電子(e-)と、燃料極47からの水素イオン(H+)と、酸素(O2)から水(H2O)が水蒸気として生成される。この水蒸気は空気極52から排出され、凝縮器53に入る。凝縮器53では、冷却ファン54によって水蒸気が冷却されて水(液体)となり、水回収タンク55内に一時的に蓄積される。この回収された水は水回収ポンプ56によって混合タンク45へと環流し、高濃度メタノールを希釈するための希釈循環システム62が構成される。
この希釈循環システム62による燃料電池ユニット10の発電メカニズムからわかるように、DMFCスタック42から電力が取り出す、即ち、発電を開始するために、各部のポンプ44,46,50,56やバルブ48、51、57或いは冷却ファン54等の補機63を駆動させる。これによってメタノール水溶液と空気(酸素)がDMFCスタック42内に注入されそこで電気化学反応が進行することによって電力が得られる。一方、発電を停止するには、これらの補機63の駆動を停止することによる。
図4は、本発明に係る燃料電池ユニット10が接続される情報処理装置18のシステム構成を示したものである。
情報処理装置18は、CPU65、主記憶66、ディスプレイコントローラ67、ディスプレイ68、HDD(Hard Disk Drive)69、キーボードコントローラ70、ポインタデバイス71、キーボード72、FDD73、これら構成品間において信号を伝送するバス74、バス74を介して伝送される信号を変換するためのノースブリッジ75、サウスブリッジ76と呼ばれるデバイス等から構成される。また、情報処理装置18の内部に電源部79を設け、ここに二次電池80として、例えばリチウムイオン電池を保有している。電源部79は、制御部77(以降、電源制御部77と記載する)によって制御される。
燃料電池ユニット10と情報処理装置18との電気的インタフェースとして制御系インタフェースと電源系インタフェースとを設ける。制御系インタフェースは情報処理装置18の電源制御部77と燃料電池ユニット10の制御部41との間にて通信を行うために設けられるインタフェースである。制御系インタフェースを介して情報処理装置18と燃料電池ユニット10との間で行われる通信は、例えばI2Cバス78といったシリアルバスを介して行われる。
電源系インタフェースは、燃料電池ユニット10と情報処理装置18との間における電力の授受のために設けられるインタフェースである。例えば、発電部40のDMFCスタック42で発電された電力が制御部41(以降、燃料電池制御部41と記載する)およびドッキングコネクタ14、21を介して情報処理装置18に供給される。また、電源系インタフェースには、情報処理装置18の電源部79から、燃料電池ユニット10内の補機63等への電力供給83もある。
なお、情報処理装置18の電源部79に対してACアダプタ用コネクタ81を介してAC/DC変換された直流電源が供給され、これによって情報処理装置18の動作、二次電池(リチウムイオン電池)80の充電が可能である。
図5は、燃料電池ユニット10の燃料電池制御部41と、情報処理装置18の電源部79との、接続関係を示す構成例である。
燃料電池ユニット10と情報処理装置18とはドッキングコネクタ14、21によって機械的かつ電気的に接続される。ドッキングコネクタ14、21には、燃料電池ユニット10のDMFCスタック42で発電された電力を情報処理装置18へ供給するための第一の電源端子(出力電源端子)91および、情報処理装置18から、燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95にレギュレータ94を介して電源を供給し、かつ補機用電源回路97にスイッチ101を介して電源を供給するための第二の電源端子(補機用入力電源端子)92を有する。また、情報処理装置18からEEPROM99へ電源供給するための第三の電源端子92aを有している。
さらに、ドッキングコネクタ14、21は情報処理装置18の電源制御部77と燃料電池ユニット10のマイクロコンピュータ95との通信や、書き込み可能な不揮発性メモリ(EEPROM)99との通信、を行うための通信用入出力端子93を有している。
次に、図5に示した接続図と、図6に示した燃料電池ユニット10の状態遷移図とを用いて、燃料電池ユニット10から情報処理装置18へ、燃料電池ユニット10に設けられるDMFCスタック42の電力が供給されるまでの基本的な処理の流れを説明する。
なお、情報処理装置18の二次電池(リチウムイオン電池)80には所定の電力が充電されているものとする。また、図5の中のスイッチは全て開いているものとする。
まず、情報処理装置18は、コネクタ接続検出部111から出力される信号に基いて、情報処理装置18と燃料電池ユニット10とが機械的および電気的に接続されたことを認識する。この認識は、コネクタ接続検出部111が例えばコネクタ接続検出部111へ入力される信号に基いて、ドッキングコネクタ14、21の接続によって燃料電池ユニット10の内部で接地されることを検出することによって行われる。
また、情報処理装置18の電源制御部77は、燃料電池ユニット10の発電設定スイッチ112の設定が発電許可設定であるか発電禁止設定であるかを認識する。例えば、発電設定スイッチ検出部113へ入力される信号に基いて、発電設定スイッチ検出部113が発電設定スイッチ112の設定状態に応じて接地状態であるか或いは解放状態であるか否かを検出する。発電設定スイッチ112が解放状態である場合は、電源制御部77は発電禁止設定として認識する。
発電設定スイッチ112が発電禁止設定である状態は、図6の状態遷移図において「ストップステート(0)」ST10に相当する状態である。
情報処理装置18と燃料電池ユニット10とがドッキングコネクタ14、21を介して機械的に接続されると、情報処理装置18側から第三の電源端子92aを介して燃料電池制御部41の記憶部である不揮発性メモリ(EEPROM)99に電源が供給される。このEEPROM99には、燃料電池ユニット10の識別情報等が予め記憶される。識別情報には、例えば燃料電池ユニットの部品コードや製造シリアル番号、或いは定格出力などの情報を予め含ませることができる。また、このEEPROM99は、例えば、I2Cバス93といったシリアルバスに接続されており、EEPROM99に記憶されているデータはこのEEPROM99に電源が供給されている状態において読み出し可能である。図5の構成では、電源制御部77が通信用入出力端子93を介してEEPROM99の情報を読み出すことが可能である。
この状態においては、燃料電池ユニット10は発電を行っておらず、また燃料電池ユニット10の内部の状態は、EEPROM99の電源以外は電源が供給されていない状態である。
ここで、ユーザが発電設定スイッチ112の設定を発電許可設定に設定すると(図5では発電設定スイッチを接地状態側に設定する)、情報処理装置18に設けられる電源制御部77は、燃料電池ユニット10に設けられるEEPROM99に記憶された識別情報を読み出すことが可能となる。この状態が、図6の「ストップステート(1)」ST11の状態である。
換言すると、ユーザが発電設定スイッチ112を発電許可設定に設定しない限り、即ち発電禁止設定の設定である限り、「ストップステート(0)」ST10の状態であり、燃料電池ユニット10における発電を禁止することが可能である。
なお、発電設定スイッチは、例えばスライドスイッチ等のように開または閉の状態をいずれか一方の状態に保持できるものが好ましい。
電源制御部77による識別情報の読み出しは、I2Cバス78といったシリアルバスを介して燃料電池ユニット10に設けられるEEPROM99に記憶されている燃料電池ユニット10の識別情報を読み出すことによって行われる。
電源制御部77が読み出された識別情報に基いて、情報処理装置18に接続されている燃料電池ユニット10が情報処理装置18に適合した燃料電池ユニットであると判断した場合、図6の状態は、「ストップステート(1)」ST11から「スタンバイステート」ST20に遷移する。
具体的には、情報処理装置18に設けられる電源制御部77は、情報処理装置18に設けられるスイッチ100を閉じることによって、二次電池80の電力を第1の電源端子92を介して燃料電池ユニット10へ供給し、レギュレータ94を介してマイクロコンピュータ95へ電源が供給される。
この「スタンバイステート」ST20の状態では、燃料電池ユニット10に設けられるスイッチ101は開いており、補機用電源回路97には電源は供給されていない。従って、この状態において補機63は動作していない。
しかしながら、マイクロコンピュータ95は動作を開始しており、情報処理装置18に設けられる電源制御部77から、I2Cバス78を介して各種の制御用コマンドを受信することが可能な状態である。また、マイクロコンピュータ95は、燃料電池ユニット10の電源情報を、I2Cバスを介して情報処理装置18へ送信可能な状態である。
図7は、情報処理装置18に設けられる電源制御部77から、燃料電池制御部41に設けられるマイクロコンピュータ95に送られる制御用コマンドの一例を示した図である。
図8は、燃料電池制御部41に設けられるマイクロコンピュータ95から情報処理装置18に設けられる電源制御部77に送られる電源情報の一例を示した図である。
情報処理装置18に設けられる電源制御部77は、図8の電源情報のうち「DMFC運転状態」(図8の番号1)を読み取ることによって、燃料電池ユニット10が「スタンバイステート」ST20であること認識する。
この「スタンバイステート」ST20の状態で、電源制御部77が、図7に示した制御用コマンドのうち「DMFC運転ON要求」コマンド(発電開始コマンド)を燃料電池制御部41に送ると、これを受信した燃料電池制御部41は、燃料電池ユニット10の状態を「ウォームアップステート」ST30に移行させる。
具体的には、マイクロコンピュータ95からの制御によって燃料電池制御部41に設けられるスイッチ101を閉じて補機用電源回路97に情報処理装置18からの電源を供給する。併せて、マイクロコンピュータ95から送信される補機用制御信号によって、発電部40に設けられる補機63、即ち、図4に示した各ポンプ44、46、50、56、バルブ48、51、57及び冷却ファン54等を駆動させる。さらにマイクロコンピュータ95は、燃料電池制御部41に設けられたスイッチ102を閉じる。
この結果、発電部40に設けられるDMFCスタック42に対してメタノール水溶液や空気が注入され、発電が開始される。また、DMFCスタック42による発電電力は、情報処理装置18に供給が開始される。ただし、発電出力は、瞬時に定格値に達するわけではないため、定格値に達するまでの状態を「ウォームアップステート」ST30と呼んでいる。
燃料電池制御部41に設けられるマイクロコンピュータ95は、例えばDMFCスタック42の出力電圧およびDMFCスタック42の温度をモニタすることにより、DMFCスタック42の出力が定格値に達したと判断すると、燃料電池ユニット10に設けられるスイッチ101を開き、補機63への電力供給源を情報処理装置18からDMFCスタック42に切り替える。この状態が「オンステート」ST40である。
以上が「ストップステート」ST10から「オンステート」ST40への処理の流れの概要である。
以下、上述したDMFCスタック42(図5参照)における各セルの電圧を効果的に測定して適切な処理を行う手法について説明する。
DMFCスタック42内の各セルの出力は、燃料供給のバランスがとれている場合には、各セルの出力も均等となっている。しかし、燃料供給のバランスが何らかの要因により崩れてしまうと、各セルの出力のバランスも崩れてしまうことがある。そのほか、温度分布などの要因により各セルの出力のバランスが崩れることもある。
図9は、燃料供給が減少した場合のセルの電流−電圧特性を示す図である。
燃料供給の減少が起こった場合と起こらない場合とを比較すると、燃料供給の減少が起こった場合の方が、出力電流値が減少することがわかる。すなわち、出力電力が低下することとなる。セルを直列接続するスタック構造の場合、スタックを構成する各セルの電流値は同じとなる。しかし、出力バランスが崩れた場合には出力電圧値が各セルで異なることになる。このとき、出力の落ちたセルの効率は低下し、発熱も大きくなる。他のセルの負荷は場合によっては軽くなるが、スタック全体での効率は低下し、発熱が大きくなってしまう。更に、出力の低い状態で発電を続けた場合、転極によりセルが破壊される場合がある。故障したセルは発電不能となり、高抵抗状態となる。そのため、スタックの出力が上がらず、最悪の場合にはスタックが使用不能となってしまうことも考えられる。
本実施形態では、以下に説明する手法により、このような不具合を未然に防止することができる。
DMFCスタック42内の複数のセルは直列に接続されている。燃料供給のバランスが一定に保たれている場合には、図10のように各セルの電圧は同じになり、効率良く電力を供給することができる。一方、燃料供給のバランスが大きく崩れると、図11のように特定のセルの電圧が低くなる可能性があり、この場合に発電を継続すると電力供給の効率が悪化するとともに発熱量も増加し、やがてセルの破壊に至ることがある。
このようなことを未然に防止するためには、低電圧のセルの発生を検知し、検知した内容に基づいて適切な制御を行うことが好ましい。
図12は、電圧監視基板が取り付けられたDMCFスタック42を上から見た図である。また、図13は、電圧監視基板が取り付けられたDMCFスタック42を横から見た図である。
DMFCスタック42は、セルに相当する発電部としてのMEA(Membrane Electrode Assembly)201及び燃料流路となるセパレータ202の積層構造となっている。この積層構造の両端には、エンドプレート203が接合されている。
DMFCスタック42の上部には、電圧監視基板(基板ユニット)210が取り付けられている。この電圧監視基板210は、取り付けねじ211により開口部210Aを通じてエンドプレート203に固定される。
電圧監視基板210の下側の面には、複数のセパレータ202にそれぞれ対向するように配列された複数のコンタクト214が実装されている。複数のコンタクト214は、複数のセパレータ202とそれぞれ電気的に接続するための端子であり、対向するセパレータ202にそれぞれ圧接されている。
また、電圧監視基板210の上側の面には、LSIなどから成る回路212及びコネクタ213が実装されている。回路212は、複数のコンタクト214を通じて得られる各セルの電圧値を測定し、図5に示される燃料電池制御部10側のマイクロコンピュータ95へ通知すべきデータの生成処理などを行う。コネクタ213は、電圧監視基板210とマイクロコンピュータ95との間で信号の送受を行うための信号線を接続したりするものである。
図14は、コンタクト202が実装される電圧監視基板210の裏面を示す斜視図である。また、図15は、図14に示したコンタクト202を横から見た側面図である。
複数のコンタクト202は、図14及び図15に示されるように、例えばシールドフィンガータイプのコンタクトのコンタクトである。シールドフィンガータイプのコンタクト214は、セパレータ202に圧接される弾性体部分214Aと基板に接地される固定部分とから構成されている。弾性体部分214Aは、セパレータ202に圧接される部分である。また、個々のコネクタ214は、基板上の配線215を通じて前述の回路212に電気的に接続されている。
また、上記コンタクト214を実装する代わりに、図16に示すようなスプリングプローブタイプのコンタクト216を実装するようにしてもよい。このコンタクト216は、セパレータ202に圧接される移動体部分216Aと基板に接地される固定部分216Bとから構成されている。
このようにコネクタ216を用いることにより、図17に示されるようにセパレータ202のばらつきがある場合にも、電気的な接続を確実に行うことができる。また、各端子にリード線を接続する必要がないため、燃料電池ユニット内における複数のリード線による煩雑さを省くことができる。
また、電圧監視基板210に実装された回路212などに障害が生じた場合には、電圧監視基板210を交換するだけで済むという利点がある。基板の交換は、取り付けねじ211をはずすだけで簡単に行うことができる。
また、電圧監視基板210上の回路212は、コンタクト214が実装される面とは異なる面に実装されているので、配線を少なくすることができ、回路構成を簡潔にすることができ、製造上の困難性を低減している。また、検査やメンテナンスなどを行いやすい。
また、DMFCスタック42上のわずかなスペースを電圧監視基板210の配置に有効に利用しているので、極めてコンパクトな構成を実現しているといえる。
次に、図18のフローチャートを参照して、電圧監視の動作を説明する。
まず、DMFCスタック42による発電動作が無負荷の状態で開始される(ステップS1)。これにより、燃料電池ユニット10の状態は、例えば図6にて説明した「ストップステート(0)」ST10から、「ストップステート(1)」ST11、「スタンバイステート」ST20、「ウォームアップステート」ST30、「オンステート」ST40へと順次遷移する。
マイクロコンピュータ95(図5参照)は、DMFCスタック42の電圧値を得て、その電圧値が規定値以上であるか否かを判定する(ステップS2)。ここで、DMFCスタック42の電圧値が規定値未満の場合、異常とみなし、DMFCスタック42による発電動作を停止する(ステップS3)。このとき、燃料電池ユニット10の状態は、例えば「ストップステート(0)」ST10へ遷移する。一方、DMFCスタック42の電圧値が規定値以上の場合、正常とみなし、マイクロコンピュータ95は、電圧監視基板210を用いた各セルの電圧監視を開始する(ステップS4)。
マイクロコンピュータ95は、電圧監視基板210上の回路212を通じて、OCV監視を実行し、無負荷時の状態における各セルが規定値以上であるか否かを判定する(ステップS5)。ここで、電圧値が規定値未満のセルがある場合には、異常とみなし、DMFCスタック42による発電動作を停止する(ステップS3)。このとき、燃料電池ユニット10の状態は、例えば「ストップステート(0)」ST10へ遷移する。一方、DMFCスタック42の電圧値が規定値以上の場合、正常とみなし、マイクロコンピュータ95は、負荷が電気的に接続された状態での各セルの電圧監視を開始する(ステップS6)。
ここで、全てのセルが規定値以上であれば、発電を継続する(ステップS8)。一方、電圧値が規定値未満のセルがある場合には、負荷を電気的に切断する(ステップS9)。
負荷を切断した後、マイクロコンピュータ95は、電圧監視において電圧値が規定値未満となった回数(以下、NG回数と呼ぶ)が何回目であるかを判定する(ステップS10)。NG回数が規定回数未満である場合には、該当するセルを正常に復帰させるため、例えば、無負荷状態で定常よりも流量を上げてリフレッシュを行う等といったリフレッシュ処理を行う(ステップS11)。このとき、燃料電池ユニット10の状態は、例えば「リフレッシュステート」ST60へ遷移する。リフレッシュ処理を終了した後はステップS5へ進む。このとき、燃料電池ユニット10の状態は、例えば「オンステート」ST40へ遷移する。一方、NG回数が規定回数以上である場合には、異常とみなし、DMFCスタック42による発電動作を停止する(ステップS3)。このとき、燃料電池ユニット10の状態は、例えば「ストップステート(0)」ST10へ遷移する。
このような動作によれば、セルに異常が生じた場合にその旨を電圧監視基板210を通じて確実に検出することができ、マイクロコンピュータ95は適切な処理(発電の停止や復帰処理)を施すので、セルが破壊する等といった不具合を未然に防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態に係る燃料電池ユニットを示す外観図。 上記燃料電池ユニットに情報処理装置を接続した状態を示す外観図。 上記燃料電池ユニットの発電部の構成を主に示す系統図。 上記燃料電池ユニットに上記情報処理装置を接続した状態を示す系統図。 上記燃料電池ユニット及び上記情報処理装置の構成を示す系統図。 上記燃料電池ユニット及び上記情報処理装置の状態遷移図。 上記燃料電池ユニットに対する主な制御用コマンドを示す図。 上記燃料電池ユニットの主な電源情報を示す図。 燃料供給が減少した場合のセルの電流−電圧特性を示す図。 燃料電池のセルの直列構造と電圧バランスにおける各セルのバランスが完全な場合を説明するための図。 燃料電池のセルの直列構造と電圧バランスにおける特定のセルのバランスが極端に悪い場合を説明するための図。 電圧監視基板が取り付けられたDMCFスタックを上から見た図。 電圧監視基板が取り付けられたDMCFスタックを横から見た図。 コンタクトが実装される電圧監視基板の裏面を示す斜視図。 電圧監視基板の裏面に実装されるコンタクトの一例を示す側面図。 電圧監視基板の裏面に実装されるコンタクトの別の例を示す側面図。 図13のDMFCスタックにおいてセパレータの長さにばらつきがある場合の例を示す側面図。 電圧監視の動作を示すフローチャート。
符号の説明
10…燃料電池ユニット、11…載置部、12…燃料電池ユニット本体、14…ドッキングコネクタ、40…発電部、41…燃料電池制御部、42…DMFCスタック、43…燃料カートリッジ、44…燃料供給ポンプ、45…混合タンク、46…送液ポンプ、47…燃料極(負極)、48…混合タンクバルブ、50…送気ポンプ、51…送気ポンプ、52…空気極(正極)、53…凝縮器、54…冷却ファン、55…水回収タンク、56…水回収ポンプ、57…排気バルブ、58…排気口、60…濃度センサ、61…液量センサ、62…希釈循環システム、63…補機、64…温度センサ、201…MEA、202…セパレータ、203…エンドプレート、210…電圧監視基盤、211…取り付けねじ、212…回路、213…コネクタ、214,216…コンタクト。

Claims (15)

  1. 複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックと、
    前記セルスタックに取り付けられる基板とを具備し、
    前記基板は、
    前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記セルスタックにおける前記複数のセパレータにそれぞれ接触するように配列された複数の弾性体を有する端子と、
    前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記複数の端子を通じて得られる各セルの電圧値を測定する回路とを具備することを特徴とする燃料電池ユニット。
  2. 前記端子は、前記基板の第1の面に設けられ、
    前記回路は、前記基板の前記第1の面とは異なる第2の面に設けられることを特徴とする請求項1記載の燃料電池ユニット。
  3. 前記回路によって測定された前記複数のセルの電圧値の中で所定値を下回る電圧値のセルがある場合に負荷を電気的に切断する制御手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の燃料電池ユニット。
  4. 前記制御手段は、
    前記回路によって測定された前記複数のセルの電圧値の中で所定値を下回る電圧値のセルがあった場合の回数をカウントする手段と、
    前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値未満の場合、リフレッシュ処理を開始する手段とをさらに具備することを特徴とする請求項3記載の燃料電池ユニット。
  5. 前記制御部は、前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値以上の場合、ストップ処理を開始する手段をさらに具備することを特徴とする請求項3記載の燃料電池ユニット。
  6. 複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックと、
    負荷が電気的に接続された状態で前記セルスタックにおける前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定し、所定値を下回る電圧値のセルがある場合に前記負荷を電気的に切断する制御手段と
    を具備することを特徴とする燃料電池ユニット。
  7. 前記制御手段は、発電開始の際に負荷が電気的に切断された状態で前記セルスタックの電圧値を測定し、その電圧値が所定値以上である場合に前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定する処理を行うことを特徴とする請求項4記載の燃料電池ユニット。
  8. 前記制御手段は、
    前記測定された前記複数のセルの電圧値の中で所定値を下回る電圧値のセルがあった場合の回数をカウントする手段と、
    前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値未満の場合、リフレッシュ処理を開始する手段とをさらに具備することを特徴とする請求項6又は7記載の燃料電池ユニット。
  9. 前記制御部は、前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値以上の場合、ストップ処理を開始する手段をさらに具備することを特徴とする請求項6記載の燃料電池ユニット。
  10. 複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックに装着するための基板ユニットであって、
    前記セルスタックに取り付けられる基板と、
    前記基板は、
    前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記セルスタックにおける前記複数のセパレータにそれぞれ接触するように配列された複数の弾性体を有する端子と、
    前記基板を前記セルスタックに取り付けた際、前記複数の端子を通じて得られる各セルの電圧値を測定する回路とを具備することを特徴とする基板ユニット。
  11. 前記端子は、前記基板の第1の面に設けられ、
    前記回路は、前記基板の前記第1の面とは異なる第2の面に設けられることを特徴とする請求項10記載の基板ユニット。
  12. 複数のセルがそれぞれセパレータを介して積層されたセルスタックを備えた燃料電池ユニットに適用される動作制御方法であって、
    負荷が電気的に接続された状態で前記セルスタックにおける前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定し、
    所定値を下回る電圧値のセルがある場合に前記負荷を電気的に切断することを特徴とする動作制御方法。
  13. 発電開始の際に負荷が電気的に切断された状態で前記セルスタックの電圧値を測定し、
    その電圧値が所定値以上である場合に前記複数のセルの電圧値をそれぞれ測定する処理を行うことを特徴とする請求項12記載の動作制御方法。
  14. 前記制御手段は、
    前記回路によって測定された前記複数のセルの電圧値の中で所定値を下回る電圧値のセルがあった場合の回数をカウントする手段と、
    前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値未満の場合、リフレッシュ処理を開始する手段とをさらに具備することを特徴とする請求項12又は13記載の動作制御方法。
  15. 前記制御部は、前記カウント手段によってカウントされた回数が所定値以上の場合、ストップ処理を開始する手段をさらに具備することを特徴とする請求項14記載の動作制御方法。
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