以下、この発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。先ず、理解を容易とするために、この発明に適用可能な記録媒体および記録再生装置について説明する。図1は、ディスク状記録媒体における一例のデータ配置を示す。この図1に一例が示されるデータ配置は、記録可能な光ディスク、ハードディスクといった、ランダムアクセスが可能なディスク状記録媒体における一般的なデータ配置である。このようなデータ配置を、半導体メモリなどの、非ディスク状記録媒体に適用することもできる。論理アドレス空間は、任意のデータを記録再生可能な領域である。
論理アドレスの先端および後端には、ファイルシステムFSが配置される。任意のデータは、論理アドレス空間内に一般的にファイルと称される所定の形式で記録される。記録媒体上のデータは、基本的にファイル単位で管理される。ファイルの管理情報は、ファイルシステムFSに記録される。記録再生装置のシステム制御部(後述する)のファイルシステム層は、このファイルシステムFSの情報を参照および操作することで、多種多様なデータを一つの記録媒体上で管理することができる。
論理アドレス空間の外に、交替領域が配置される。交替領域は、記録媒体の一部が欠陥(ディフェクト)により物理的に読み書きできなくなった場合に代替的に用いることができる領域である。例えば、記録媒体に対するアクセス(特に記録時のアクセス)の際に欠陥領域が認識された場合、通常は交替処理が行われ、当該欠陥領域のアドレスが交替領域内に移動される。
交替領域の使用状況は、所定領域にディフェクトリストとして記憶され、記録再生装置のドライブ制御部や、システム制御部の下位階層により用いられる。すなわち、後述するドライブ制御部やシステム制御部の下位階層では、記録媒体へのアクセスの際にディフェクトリストを参照することで、交替処理が行われている場合にも、適切な領域へのアクセスを行うことができる。交替領域のこの仕組みにより、上位アプリケーションは、記録媒体上の不良記録領域の有無や位置などを考慮することなく、記録媒体に対するデータの記録再生を行うことができる。
ディスク状記録媒体の場合、交替領域は、ディスクの最内周側または最外周側に配置されることが多い。ディスクの回転制御を、ディスクの半径方向に段階的に回転速度を変更するゾーン制御で行っている場合には、ゾーン毎に交替領域を設ける場合もある。記録媒体が半導体メモリなどディスク状記録媒体ではない場合には、物理アドレスが最も小さい側または最も大きい側に配置されることが多い。
AVデータを扱うアプリケーションにおいては、連続同期再生、すなわち実時間再生が保障された再生が必要な単位となるデータのまとまりを、クリップと呼ぶ。例えば、ビデオカメラにより撮影が開始されてから終了されるまでのひとまとまりのデータがクリップとされる。クリップの実体は、単一のファイルまたは複数のファイルからなる。この発明においては、クリップは、複数のファイルからなる。クリップの詳細については、後述する。
論理アドレス空間に対して、例えば先頭側にクリップ以外の任意のファイルが記録できるNRT(Non Real Time)領域が配置され、NRT領域の次から、クリップが順に詰め込まれていく。クリップは、光ディスク100上のディフェクト位置を避けて配置され、上述した交替処理が行われないようにされる。各クリップには、ヘッダ(H)およびフッタ(F)が付加される。この例では、ヘッダおよびフッタは、クリップの後端側にまとめて配置されている。
論理アドレス空間内において、データが記録されていない領域や、過去にデータが記録されていたが現在では不要になった領域は、未使用領域としてファイルシステムFSに管理される。記録媒体上に新たに記録されるファイルに対して、未使用領域に基づき記録領域が割り当てられる。当該ファイルの管理情報は、ファイルシステムFSに追加される。
記録媒体として記録可能な光ディスクを用いた場合、この発明では、クリップを年輪構造によって記録媒体に記録する。図2および図3を用いて、年輪構造について説明する。図2Aは、一つのクリップ20をタイムライン上に示す例である。この例では、クリップ20は、ビデオデータ21、オーディオデータ22A〜22D、補助AVデータ23およびリアルタイムメタデータ24の7ファイルからなる。
ビデオデータ21は、ベースバンドのビデオデータを高ビットレートで圧縮符号化したビデオデータである。圧縮符号化方式としては、例えばMPEG2(Moving Pictures Experts Group 2)方式が用いられる。オーディオデータ22A、22B、22Cおよび22Dは、ベースバンドのオーディオデータが用いられ、それぞれ2チャンネルのオーディオデータである。これに限らず、オーディオデータ22A、22B、22Cおよび22Dは、ベースバンドのオーディオデータを高ビットレートで圧縮符号化したオーディオデータを用いてもよい。ビデオデータ21およびオーディオデータ22A〜22Dは、実際の放送や編集の対象とされるデータであって、本線系のデータと称される。
補助AVデータ23は、ベースバンドのビデオデータおよびオーディオデータを、本線系のビデオデータおよびオーディオデータに対してより低ビットレートで圧縮符号化して多重化したデータである。圧縮符号化方式としては、例えばMPEG4方式が用いられ、本線系のAVデータを、ビットレートを例えば数Mbps(Mega bits per second)まで落とすように圧縮符号化して生成する。補助AVデータ23は、編集点などを決める際に本線系のデータの代理として用いられるデータであって、プロキシ(Proxy)データとも称される。なお、この実施の一形態では、補助AVデータにおけるオーディオデータのチャンネル数が8チャンネルに固定的とされる。
メタデータは、あるデータに関する上位データであり、各種データの内容を表すためのインデックスとして機能する。メタデータには、上述の本線系のAVデータの時系列に沿って発生されるリアルタイムメタデータ24と、本線系のAVデータにおけるシーン毎など、所定の区間に対して発生される非時系列メタデータの2種類がある。非時系列メタデータは、例えば図1で説明したNRT領域に記録される。
クリップ20は、図2Bに一例が示されるように、所定の再生時間を基準として分割され、年輪構造として光ディスクに記録される。一つの年輪は、図2Cに一例が示されるように、ビデオデータ21、オーディオデータ22A〜22D、補助AVデータ23およびリアルタイムメタデータ24を、それぞれ再生時間帯が対応するように、トラック1周分以上のデータサイズを有する所定の再生時間単位に分割し、分割された再生時間単位毎に順に配置して記録する。すなわち、クリップ20を構成する各データは、年輪構造により所定時間単位でインターリーブされ、光ディスクに記録される。
なお、年輪を形成するデータを年輪データと称する。年輪データは、ディスクにおける最小の記録単位の整数倍のデータ量とされる。また、年輪は、その境界がディスクの記録単位のブロック境界と一致するように記録される。
図3は、光ディスク100に対して年輪データが形成された一例の様子を示す。この図3の例では、光ディスク100の内周側から順に、補助AV年輪データ#1、リアルタイムメタ年輪データ#1、チャンネル数分のオーディオ年輪データ#1、ビデオ年輪データ#1が記録されており、この周期で年輪データが扱われる。ビデオ年輪データ#1の外周側には、さらに、次の周期の年輪データの一部が補助AV年輪データ#2として示されている。
この図3の例は、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯と補助AV年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とが対応し、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とオーディオ年輪データの2周期分の再生時間帯が対応することを示している。同様に、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とビデオ年輪データの4周期分の再生時間帯が対応することを示している。このような、各年輪データの再生時間帯および周期の対応付けは、例えばそれぞれのデータレートなどに基づき設定される。以下では、1年輪データ分の再生時間を2秒とする。
なお、クリップに対するヘッダやフッタも、図2Dに一例が示されるように、年輪構造によって記録される。
図4は、この発明に適用可能な記録再生装置の一例の構成を概略的に示す。この記録再生装置は、例えばビデオカメラと接続され、ビデオカメラで撮影され得られたAVデータを信号処理して光ディスク100に記録する。また、光ディスク100に記録されたAVデータなどを再生し、所定に信号処理して出力する。さらに、装置に付属するコントロールパネルや、図示されないRS−422インターフェイスを介して接続される入力装置などからの指示に基づき、光ディスク100に記録されたAVデータに対して編集作業を行うことができる。
システム制御部17は、1または複数のCPU(Central Processing Unit)と、プログラムやデータが予め記憶されるROM(Read Only Memory)、CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)などを有し、ROMから読み出されたプログラムに従い、制御入出力端から入力された制御信号に応じて、この記録再生装置の全体を制御する。制御入力端には、例えば上述したコントロールパネルや、RS−422インターフェイスを介して入力装置が接続される。
記録系の構成について説明する。制御入出力端からシステム制御部17に対して記録動作が指示される。システム制御部17は、この記録動作指示に基づき、この記録再生装置の各部に対して、記録動作を開始できるように命令を出す。
例えばビデオカメラや外部の装置から、記録すべきベースバンドのAVデータが記録信号処理部13に供給される。記録信号処理部13は、入力されたベースバンドのAVデータに対して所定の信号処理や圧縮符号化処理を施し、記録するための本線系AVデータおよび補助AVデータを生成する。
例えば、ベースバンドのビデオデータがMPEG2方式により、1GOP(Group Of Picture)が1フレームから構成されるようにし、さらに、所定のビットレートになるように制御されて圧縮符号化され、本線系のビデオデータが生成される。オーディオデータに関しては、例えばPCM(Pulse Code Modulation)データのまま、圧縮符号化されずに本線系のオーディオデータとして用いられる。
また、ベースバンドのビデオデータおよびオーディオデータが例えばMPEG4方式により、ビットレートが数Mbpsに固定的とされて圧縮符号化され、補助AVデータが生成される。ビデオデータに関して、補助AVデータでは、所定数のフレームを単位として符号化が行われる。この実施の一形態では、補助AVデータのビデオデータは、1枚のIピクチャおよび9枚のPピクチャの10フレームで、1GOV(Group Of Video Object Plane)が形成されてなる。
補助AVデータにおけるオーディオデータは、本線系のオーディオデータを、例えば時間軸方向を圧縮するサンプリング周波数変換と、語長を圧縮する対数圧縮とを組み合わせて瞬時圧縮することにより、生成している。サンプリング周波数変換は、例えばサンプリング周波数が48kHzの本線系のオーディオデータを、サンプリング周波数が8kHzのオーディオデータにダウンサンプリングして行う。語長圧縮の方式としては、データの小振幅時には量子化ステップを小さく設定し、大振幅時には量子化ステップを大きく設定することで語長の圧縮を行う、A−Law方式を用いることができる。また、圧縮符号化を行う前に、本線系のオーディオデータを、ローパスフィルタにより予め帯域制限することで、圧縮符号化による音質劣化を最小限とすることができる。この実施の一形態では、ローパスフィルタとして、512タップのFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いている。
記録信号処理部13から出力された本線系AVデータおよび補助AVデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。この記録信号処理部13から出力される本線系AVデータおよび補助AVデータと、後述するメタデータ処理部15から出力されるリアルタイムメタデータにより、クリップが構成される。
メタデータ処理部15は、システム制御部17の制御に基づき、本線系AVデータおよび補助AVデータと共に光ディスク100に記録されるリアルタイムメタデータや、クリップを所定の形式に整えるためのデータ(ヘッダおよびフッタ)を生成する。メタデータ処理部15では、非時系列系メタデータも生成される。メタデータ処理部15で生成されたこれらのデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。
フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、記録信号処理部13およびメタデータ処理部15から供給された各データを、上述した年輪構造に配置する。例えば、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、メモリを有し、供給された各データを、メモリ上に年輪構造に対応したアドレス配置で以て溜め込む。そして、メモリから、年輪単位でデータを読み出すように、読み出し制御を行う。年輪構造に配置されたクリップは、年輪単位でドライブ制御部11に供給される。
ドライブ制御部11は、記録時には、供給されたデータに対して所定の記録信号処理を施すと共に、後述するリード/ライト部10およびサーボ部14から得られる信号に基づきリード/ライト部10およびサーボ制御部14を制御することにより、記録データが光ディスク100の所定のアドレスに書き込まれるように、書き込み動作を制御する。
フォーマッタ/アンフォーマッタ部12からドライブ制御部11に供給された本線系AVデータ、補助AVデータ、リアルタイムメタデータおよびヘッダ、フッタは、所定サイズのECC(Error Correction Coding)ブロック単位でエラー訂正符号化される。エラー訂正符号化されたデータは、所定に記録符号化され、記録信号とされてリード/ライト部10に供給される。
リード/ライト部10は、例えばレーザダイオードからなる光ピックアップと、光ピックアップのレーザパワーを、記録再生の動作モードに応じて所定に制御するレーザ駆動回路を有する。また、リード/ライト部10は、ディスク100の半径方向に対する光ピックアップの位置を、サーボ制御部14から供給されるスレッド制御信号に基づき制御するスレッド駆動部を有する。サーボ制御部14は、ドライブ制御部11およびシステム制御部17からそれぞれ供給される制御信号に基づき、スレッド駆動部の制御と、光ディスク100を回転駆動するための図示されないスピンドルモータの制御とを行う。
リード/ライト部10は、ドライブ制御部11から供給された記録信号に基づき光ピックアップを駆動し、光ディスク100に対して記録信号に基づく記録を行う。記録位置は、記録動作に先立って光ディスク100から予め読み込まれたファイルシステムFSの情報などに基づく、光ディスク100の領域使用状況を示す情報や、制御入出力端からの指示に基づき、システム制御部17およびドライブ制御部11により指定される。
なお、この実施の一形態では、光ディスク100に対する記録動作は、年輪単位毎に連続的に行われる。また、この実施の一形態では、光ディスク100の最小記録単位のブロックサイズとECCブロックのサイズとが同一とされ、光ディスク100の最小記録単位とECCブロックとが一致するように記録される。すなわち、この実施の一形態においては、ECCブロックは、記録信号処理の単位であると共に、実際に光ディスク100におけるデータの読み書きの単位となるブロックである。
さらに、年輪単位毎に、例えば1乃至数ECCブロック分の所定データ列からなるマーカブロックが記録される。このマーカブロックは、1年輪分を記録中に記録エラーなどが生じた場合に、直前の年輪までの記録データを再生可能とするために用いられる。したがって、1年輪分の記録が完了する毎に、当該年輪のマーカブロックは、不要となる。
再生系の構成について説明する。制御入出力端からシステム制御部17に対して再生動作が指示される。システム制御部17は、この再生動作指示に基づき、この記録再生装置の各部に、再生動作を開始できるように命令を出す。リード/ライト部10が所定に制御され、光ディスク100の指定されたアドレスから、記録単位毎に読み出しがなされる。読み出された再生信号は、リード/ライト部10からドライブ制御部11に供給される。
ドライブ制御部11は、供給された再生信号の記録符号を復号化して再生データとし、さらに、再生データのエラー訂正符号を復号化してエラー訂正を行う。エラー訂正された再生データは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、供給された再生データを、本線系AVデータ、補助AVデータおよびリアルタイムメタデータといったデータ種類毎に分離する。例えば、供給された再生データは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12が有するメモリに溜め込まれる。1年輪分が溜め込まれると、年輪を構成する各データが読み出され、それぞれ対応する処理部に供給される。本線系AVデータおよび補助AVデータは、再生信号処理部16に供給される。また、リアルタイムメタデータは、メタデータ処理部15に供給される。
メタデータ処理部は、供給されたリアルタイムメタデータを解読し、解読された情報をシステム制御部17に供給する。
再生信号処理部16は、供給された本線系AVデータと、補助AVデータとに所定の信号処理を施す。例えば、本線系AVデータと補助AVデータとがそれぞれまたは何方か一方が復号化される。復号化せずに出力することもできる。なお、補助AVデータについて、ビデオデータは、10フレームで1GOVが形成されているため、1GOV単位で復号化がなされる。また、オーディオデータは、A−Law方式による語長圧縮を瞬時伸長され、ダウンサンプリングされたサンプリング周波数が48kHzにアップサンプリングされる。アップサンプリングの際に、記録時と同様の、512タップのFIRフィルタがローパスフィルタとして用いられ、音質劣化が最小限に抑えられる。
ネットワークインターフェイス(I/F)18は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)といったネットワークと接続され、ネットワークを介した通信を制御する。例えばこの記録再生装置は、ネットワークを介して送信されたAVデータを受信し、光ディスク100に記録することができる。
例えば、ネットワークを介して送信され、ネットワークI/F18により受信されたAVデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。この場合、ネットワークI/F18から記録信号処理部13に供給するようにしてもよい。また、ネットワークI/F18から直接的にドライブ制御部11に供給することも考えられる。例えば、システム制御部17は、ネットワークI/F18にAVデータが受信されると、受信されたAVデータの形式を判断し、必要に応じて記録信号処理、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12による処理、メタデータ処理などを行う。処理後のAVデータは、ドライブ制御部11に供給され、所定の処理を施された後、光ディスク100に記録される。
光ディスク100から読み出されたAVデータや補助AVデータをフォーマッタ/アンフォーマッタ部12を介してネットワークI/F18に供給し、ネットワークに向けて送信することもできる。この場合、補助AVデータは、低ビットレートで以て圧縮符号化されているため、ネットワークで送信するのに用いて好適である。
この記録再生装置は、光ディスク100上のクリップに対して編集作業を行うことができる。例えば、外部から供給されたAVデータや、光ディスク100自身に記録された他のAVデータを用いて、光ディスク100上のAVデータに対する編集処理を行うことができる。
次に、この発明に適用可能な編集方法について説明する。この発明では、光ディスク100といったランダムアクセス可能な記録媒体上に記録されたクリップに対する編集を、破壊編集により行う。破壊編集は、編集対象となる下地データに対して、必要部分のデータを上書きする処理である。破壊編集においては、IN点およびOUT点といった編集点の指示、ならびに、インサート編集やアセンブル編集といった編集モードの指定に従い、下地データの適当なデータを編集データで上書きし、直接的に書き換える。このとき、下地データの当該記録媒体上の別領域への移動や複製は行われない。なお、以下では、編集対象として編集点が設定される側のデータを下地記録または下地データと呼び、編集点に対して書き込む側のデータを編集データと呼ぶ。
図5を用いて、より具体的に説明する。図5Aに示される編集前のクリップ#1を下地データとして、クリップ#1に対してIN点およびOUT点を設定して編集対象を指定し、このIN点およびOUT点間に、編集データとして他の映像カットを挿入するインサート編集について考える。破壊編集では、下地データのIN点およびOUT点間に、編集データが直接的に上書き記録される。したがって、編集後は、図5Bに一例が示されるように、クリップ#1において、クリップ#1の先頭からIN点までが下地データ(元のクリップ#1のデータ)となり、IN点およびOUT点間が編集データとなり、さらに、OUT点からクリップ#1の終端までが下地データとなる。
なお、破壊編集においても、クリップ#1本体の編集に伴い、クリップ#1に対応するヘッダH#1およびフッタF#1が書き換えられる。
このように、破壊編集では、下地記録において編集対象区間外のデータは、書き換えなどの必要が無いため、編集実行に要する時間は、最小限で済む。また、編集データが下地の編集対象区間に上書きされるため、未使用領域が編集によって変化することがない。したがって、未使用領域のサイズや未使用領域の分断化の程度といった、未使用領域の状態の如何および編集の複雑さの如何に関わらず、常に編集動作を実行可能である。さらに、破壊編集では、編集によるデータ配置の移動は発生しないため、下地記録によるクリップ(図5Aの例ではクリップ#1)が連続再生可能であれば、編集結果も、連続再生が可能であることが保障される。
このように、この発明は、ノンリニア記録媒体を用いて、下地データに対して編集データを上書きする破壊編集を行うため、編集実行に際し記録媒体の空き領域を必要としない。また、破壊編集により、書き換え対象のデータが最小限となるため、編集動作に伴う書き換えに要する時間が短い。さらに、破壊編集により、下地データに対して編集データを上書きして編集を行うため、編集結果を再生する際にも、編集前に対してシーク動作が増加することがない。また、それにより高度な編集が可能となる。
次に、この発明の実施の一形態による、破壊編集時のヘッダおよびフッタ更新処理について説明する。破壊編集においては、基本的に、下地記録のデータ配置が保存される。すなわち、編集結果に基づき変更されたヘッダおよびフッタは、下地記録としてヘッダおよびフッタが記録されていた位置に上書きされる。したがって、通常は、クリップ本体における編集終了点と、ヘッダおよびフッタの記録位置とは、記録媒体上で離れた位置にある。これに限らず、編集結果に基づくヘッダおよびフッタを、下地データのヘッダおよびフッタに対して上書きせずに異なる位置に記録する場合でも、記録媒体上で編集終了点の近傍に、ヘッダおよびフッタを記録可能な空き領域があるとは限らない。
一方、編集動作においては、編集が終了した後も再生を継続して行う、ポストロール動作が一般的に行われている。このポストロール動作による再生画像を確認して、連続的に次の編集開始点を指定することができる。記録媒体上で、編集終了点とヘッダおよびフッタの書き込み位置との間の距離が大きいと、編集終了点からヘッダおよびフッタの書き込み位置までのシーク時間が長くなり、ポストロール動作による再生を行うために用いられるバッファにおいて、バッファアンダーフローを起こし、このポストロール動作時の再生が破綻してしまうおそれがある。この発明の実施の一形態では、ヘッダおよびフッタの書き込みのタイミングを制御して、このような、編集後のヘッダおよびフッタ更新に伴うバッファアンダーフローを防止し、ポストロール動作による再生が途切れないようにする。
先ず、編集動作に伴うデータの書き戻し処理について説明する。破壊編集の編集動作は、下地データを再生しつつ、編集データを上書き記録する動作となる場合が多い。この場合、再生動作と記録動作とを並列的に実行する必要が生じる。ここで、記録再生部を1系統しか持たないシステムでは、時分割により再生動作と記録動作とを繰り返し、見かけ上、記録動作および再生動作が並列的に実行されているように動作させる。一方、記録再生部を2系統以上、有するシステムでは、上述のような時分割動作を行う場合と、複数の記録再生系統のうち一部の系統を記録動作に充て、別の一部の系統を再生動作に充てるようにして、記録再生を並列動作させる場合とが考えられる。以下では、記録動作および再生動作を、時分割動作により行う場合を例にとって、図6を用いて説明する。
図6は、破壊編集動作時の信号処理およびバッファ軌跡を概略的に示す。図6A〜図6Eは、記録再生装置各部における一例のデータの推移を年輪単位で示す。図6Fは、光ディスク100における一例の記録再生動作を示す。斜線および「W」が付されるブロックは、記録を、「R」が付されるブロックは、再生を示す。図6Gは、再生のために再生側バッファに溜め込まれるプリフェッチデータの推移を示し、図6Hは、記録のために記録側バッファに溜め込まれる書き戻し(ライトバック)データの推移を示す。
図6Aは、光ディスク100から、1年輪分のデータを1年輪分の再生時間(以下、必要に応じて1年輪時間と記述)で読み出したと仮定した場合の、仮想的な読み出しタイミングを示す。実際には、図6Fに一例が示されるように、例えば年輪#1のデータを光ディスク100から1年輪分の再生時間よりも高速に読み出して再生側バッファに蓄積する。このようにして再生側バッファにデータを蓄積することをプリフェッチと称し、再生側バッファに蓄積されるデータを、プリフェッチデータと称する。再生側バッファに蓄積されたデータは、所定のタイミングで読み出され、再生信号処理部16により、図6Bのように1年輪時間で復号化処理される。
編集システムでは、記録再生装置からの出力に同期し、且つ、所定の位相関係で編集データが生成され、生成された編集データが記録再生装置に入力される。図6Cは、記録再生装置の入出力の位相が一致している場合の例を示す。すなわち、図6Bのように復号化されたデータが例えば記録再生装置からの出力信号として出力されると共に、この出力信号に同期し且つ位相が一致された編集データが記録再生装置に入力される。これに限らず、記録再生装置からの出力信号と、編集データとの位相がずれている場合もある。
記録再生装置に入力された編集データは、記録信号処理部13により符号化処理(図6D)された後、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12およびドライブ制御部11を介してリード/ライト部10に供給され、光ディスク100上に記録される(図6E)。データは、記録側バッファに蓄積され、1年輪分のデータが1年輪時間よりも高速に光ディスク100に記録される(図6F)。このようにして記録側バッファに蓄積されるデータを、ライトバックデータと称する。
上述したように、リード/ライト部10による光ディスク100に対する実際の記録および再生動作は、図6Fに一例が示されるように、時分割により記録および再生が交互に行われる。記録および再生が切り替わる際に、図6において図6Aの仮想読み出しから図6Eの仮想記録までの間に記録再生装置および編集システム内で発生する遅延に対応する年輪分のシーク動作が行われる。このシーク動作は、例えば図6Fのように、数年輪分の比較的近距離のシーク動作である。
なお、バッファメモリは、上述した図4では明示的に示されていないが、一般的には、データパス上に所定に設けられる。すなわち、ドライブ制御部11、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12、記録信号処理部13、再生信号処理部16などに、所定に設けられる。バッファメモリを実際に記録再生装置内のどの部位に設けるかは、システムの構成により異なる。
図6Gは、上述した動作により再生側バッファに蓄積されるプリフェッチデータ量の一例の推移を示す。図6Aの動作によりプリフェッチが開始されると、再生側バッファ内にプリフェッチデータが溜まり始める。再生側バッファにある程度データが蓄積されると、図6Bに示す復号化処理が開始される。復号化された信号は、記録再生装置の出力端から出力される(図6C)。復号化処理が開始されると、再生側バッファ内に蓄積されたプリフェッチデータが一定速度で消費される。このように、再生側バッファ内のデータ量は、リード/ライト部10が再生動作中(図6FのブロックRに対応)には増加し、リード/ライト部10による再生動作が途切れた期間には減少し、図6Gのような脈動軌跡となる。
図6Hは、上述した動作により記録側バッファに蓄積されるライトバックデータ量の一例の推移を示す。記録再生装置に入力された編集データ(図6C)は、符号化処理後、一旦記録側バッファに溜め込まれ(図6D)、記録側バッファのライトバックデータ量が増加する。記録側バッファ内のライトバックデータ量が光ディスク100に対する書き込み単位量以上に達し、且つ、リード/ライト部10が記録動作可能な状態になると、ライトバックデータの光ディスク100への書き込み動作が開始される。ライトバックデータは、1年輪分のデータ量を1年輪時間よりも高速に、光ディスク100に対して書き込まれる。書き込み動作中は、記録側バッファのデータ量は、減少する。したがって、記録側バッファ内のデータ量は、図6Hのような脈動軌跡となる。
ところで、編集が完了した時点で、編集対象区間に上書きされた新たな記録データと、ヘッダおよびフッタの内容とを整合させるために、編集されたクリップに対応するヘッダおよびフッタを書き換える必要がある。一例として、あるクリップに対して破壊編集によりインサート編集を行った場合、そのクリップの内容は、編集前とは異なるものになっている。そのため、例えばUMID(Unique Material Identifier)といった素材に固有の識別子には、新たな識別情報を割り当てるべきである。この実施の一形態では、例えばこのUMIDが素材識別子としてヘッダに記録されているものとする。勿論、素材識別子として他の情報を用いてもよい。素材識別子を振り替える際には、ヘッダ情報も更新される。
図7は、編集終了後にヘッダおよびフッタに対する書き込みを実行した例を示す。なお、図7(および後述する図8)において、図7A〜図7H(図8A〜図8H)の示す意味は、上述の図6A〜図6Hそれぞれと対応する。図7では、記録再生装置の出力に基づき年輪#2内にIN点が指定され、年輪#4内にOUT点が指定されているものとする(図7C)。すなわち、編集データは、年輪#2の途中のIN点から年輪#4のOUT点まで、供給される。IN点から供給された編集データは、符号化され、図7Hに一例が示されるように、記録側バッファにライトバックデータとして蓄積される。記録側バッファ内のライトバックデータ量が光ディスク100に対する書き込み単位量以上に達し、且つ、リード/ライト部10が記録動作可能な状態になると、ライトバックデータの光ディスク100への書き込み動作が開始され、記録側バッファ内のデータが減少し始める。
年輪#2内のライトバックデータの光ディスク100への書き込みが終了したら、リード/ライト部10の動作が再生動作に移行され、プリフェッチデータが再生側バッファに蓄積されると共に、年輪#3の期間の編集データが符号化され記録側バッファに蓄積される。これにより、リード/ライト部10が再生動作となっている間、記録側バッファ内のライトバックデータ量が増加する。再生動作により年輪#7分のデータが読み出されると、動作が記録動作に移行され、年輪#3のデータが光ディスク100に書き込まれ、記録バッファメモリ内のライトバックデータ量が減少する。年輪#3のデータの書き込みが終了すると、動作が再生動作に移行され、年輪#8の分のプリフェッチデータの蓄積が開始される。この例では、ライトバックデータは、年輪#7の再生動作中に、既にOUT点までの分が蓄積され終わっているので、ここでは増加しない。そして、年輪#8の分のプリフェッチデータの蓄積が終了されると動作が記録動作に移行され、年輪#4のOUT点までのライトバックデータの記録が行われる。記録側バッファ内にライトバックデータが無くなった時点で、編集動作が終了される。
編集動作が終了した時点では、記録再生装置の動作は、未だ停止しておらず、下地データを継続して再生する(ポストロール動作)。一方、上述したように、編集動作終了後には、編集に伴い変更されるヘッダおよびフッタを書き換える必要がある。すなわち、編集終了のタイミングでヘッダおよびフッタを書き換える場合、ポストロール動作の最中に、ヘッダおよびフッタの位置までシーク動作を行い、ヘッダおよびフッタの書き込み動作を行う必要がある。ヘッダおよびフッタは、例えばクリップの終端側に配置され、図7Fに例示されるように、編集動作が終了した位置からヘッダおよびフッタの位置までのシーク動作は、長距離にわたる可能性がある。
シーク動作中は、記録動作や再生動作が行えない。一方、プリフェッチデータの再生側バッファからの読み出しは、ポストロール動作中は継続して行われる。そのため、シーク動作に要する時間が長いと、ヘッダおよびフッタの書き込み動作中に再生側バッファ内のプリフェッチデータが全て読み出され、再生側バッファにおいてバッファアンダーフローを起こし、ポストロール動作が途切れてしまう可能性がある。
そこで、この発明の実施の一形態では、ヘッダおよびフッタの書き込み動作を、ポストロール動作が完了するまで遅延させる。こうすることで、編集終了後もプリフェッチ動作を継続することができるので、ポストロール動作中の再生側バッファにおけるバッファアンダーフローは、発生せず、ポストロール動作を継続することができる。この様子を図8に示す。ポストロール動作が完了されるまで、ヘッダおよびフッタの書き込み動作を行わず、再生動作を継続する。ポストロール動作が完了されると、再生動作も停止させ、ヘッダおよびフッタの書き込み位置まで、シーク動作を行う。
ポストロール動作の完了は、例えば、編集終了後に、停止、順方向早送り、逆方向早送り、順方向スロー再生、逆方向スロー再生などにより再生速度が変化したことで判断することができる。これは、換言すれば、編集終了(EDIT OFF信号受信)後に再生速度に変化が生じない期間は、ポストロール動作が継続中であると判断することができることを意味する。したがって、編集終了後に、再生速度に変化が生じていない期間中は、ヘッダおよびフッタの書き込み動作を行わない。
また、EDIT OFF信号受信後、再生速度が変化しないうちに再びEDIT ON信号を受信した場合には(例えば図8のIN点IN’)、引き続き編集動作が行われると判断し、その編集と、それに続くポストロール動作が完了するまで、ヘッダおよびフッタの書き込み処理を遅延させる。
なお、編集終了後にヘッダおよびフッタ書き込み動作を行った上で、さらに再生が継続できるだけのプリフェッチデータが再生側バッファメモリ内に蓄積されている場合には、上述したようなヘッダおよびフッタの書き込み遅延処理を行わず、編集動作終了の直後にヘッダおよびフッタの書き込み処理を行うようにしてもよい。例えば、記録媒体の再生速度が高速で、且つ、再生側バッファの容量が十分大きい場合や、記録媒体上で編集終了点とヘッダおよびフッタの位置とが極めて近接している場合などは、ヘッダおよびフッタの書き込み遅延処理を行わなくても、ポストロール動作による再生が途切れないことが考えられる。
また、上述では、ヘッダおよびフッタの両方を更新するように説明したが、これはこの例に限定されず、ヘッダまたはフッタの何方か一方のみを更新する場合にも、この実施の一形態によるヘッダおよびフッタの書き込み遅延処理を適用することができる。
次に、この発明の実施の一形態に適用可能な一例の編集動作について、図9および図10のフローチャートを用いて概略的に説明する。なお、図9および図10において、符号「A」および「B」は、図9および図10間で対応する符号に処理が移行することを示す。
なお、図9および図10に示される処理は、例えば図4を用いて説明したシステム制御部17により判断および実行命令などがなされる処理である。また、ここでは、実際のIN点およびOUT点の指定や、再生開始、再生終了などの指示は、記録再生装置と例えばRS−422をインターフェイスとして接続される編集操作部を用いてなされる、所謂9ピン制御によって行われるものとする。システム制御部17は、この編集操作部から供給される各種制御信号に従い、記録再生装置の各部を制御する。
図9において、動作開始点がIN点から一定時間前に既に戻され、プリロール開始点への頭出しが完了しているものとする。ステップS10で、プリロール開始点からの再生動作(プリロール動作)が開始される。次に、編集操作部からの、編集対象のデータ種類などを示すエディットプリセット信号に基づき、編集対象が指定されているか否かが判断され(ステップS11)、指定されていなければ、処理はステップS10に戻される。編集対象が指定されていれば、処理はステップS12に移行され、編集動作が実行可能か否かが判断される。編集動作の実行が可能であると判断されれば、処理はステップS13に移行され、記録再生装置において、エディットプリセットに対する応答であるエディットフラグが立てられる。
一方、ステップS12で、例えば当該記録再生装置が編集動作そのものに対応していないなど、何らかの理由で編集動作の実行が不可能であると判断されれば、処理は図10のステップS26に移行され、編集不能に対するエラー処理が行われる。
ステップS13でエディットフラグが立てられると、次に、ステップS14〜ステップS16で調相動作が行われる。調相動作は、編集ビデオデータと下地ビデオデータとが所定の位相関係になるように、例えばフレームパルスを用いて調整する動作である。調相動作により、編集ビデオデータと下地ビデオデータとの位相がフレーム単位で制御される。ステップS15で、調相動作が完了しサーボロックされたか否かが判断される。調相動作が完了しておらず、サーボロックがかけられていないと判断されれば、処理はステップS14に戻される。ステップS15でサーボロックされたと判断されれば、処理はステップS16に移行し、再生速度が変更された否かが判断される。若し、停止、順方向早送り、逆方向早送り、順方向スロー再生、逆方向スロー再生など、再生速度に変更があったと判断されたら、処理はステップS14に戻される。再生速度に変更が無ければ、調相動作が完了したとして、処理はステップS17に移行される。
ステップS17では、編集操作部からの編集開始点(IN点)を指示するEDIT ON信号が待機される。このEDIT ON信号のタイミングが編集開始点(IN点)のタイミングとなり、記録再生装置は、このEDIT ON信号により、実際の編集動作を開始する。次のステップS18(図10参照)で、編集可能か否かが判断される。若し、何らかの理由で編集が不可能であると判断されれば処理はステップS26に移行し、編集不能に対するエラー処理が行われる。編集可能であると判断されれば処理はステップS19に移行され、実際の編集動作を開始するための処理が行われる。
ステップS19での編集開始処理が終わると、ステップS20で、実際の編集動作が実行される。編集動作は、編集操作部からの編集終了点(OUT点)を示すEDIT OFF信号が受信されるまで、継続して行われる(ステップS21)。
EDIT OFF信号を受信し、編集動作が終了すると、処理はステップS22に移行され、編集先のAVデータにおいてOUT点以降が継続的に再生される、ポストロール動作が行われる。
ポストロール動作中にEDIT ON信号が受信され、さらにIN点が指定されることが起こりうる。ステップS23では、ポストロール動作中にEDIT ON信号を受信したか否かが判断される。受信したと判断されれば、処理はステップS18に戻され、受信されたEDIT ON信号に基づく編集動作が行われる。
一方、ステップS23でEDIT ON信号が受信されないと判断されれば、処理はステップS24に移行され、再生速度が変更されたか否かが判断される。若し、停止、順方向早送り、逆方向早送り、順方向スロー再生、逆方向スロー再生など、再生速度に変更があったと判断されたら、編集動作が完了したとして、処理はステップS25に移行され、編集完了処理が行われる。一方、ステップS24で、再生速度に変更がなされていないと判断されれば、処理はステップS22に戻され、ポストロール動作が継続される。
図11は、上述したステップS19の編集開始処理の一例をより詳細に示す。ステップS30で、交替処理に対する制限が設定される。例えば、交替処理自体を禁止したり、例えば上述したマーカブロックのような、記録媒体に予め交替領域として設定された以外の所定領域を用いて交替処理を行うことができる。ステップS30では、交替処理に対するこれらの処理が必要に応じて行われる。
ステップS31で、例えば本線系ビデオデータおよびオーディオデータ、ならびに、補助AVデータのビデオデータおよびオーディオデータなどに対する、編集動作に伴う信号処理を開始する開始点が算出され、次のステップS32で、編集されたデータの記録媒体上への書き戻しを開始するブロック(ECCブロック)が算出される。そして、ステップS33で、上述したステップS30〜ステップS32の処理を踏まえて、編集データおよび下地データそれぞれのAVデータの符号化処理が行われる。なお、上述のステップS30〜ステップS32の処理の順序は、この順に限られない。
図12は、上述したステップS20の編集実行処理の一例を、より詳細に示す。図12は、編集実行処理のうち、記録媒体へのアクセスに関する処理を中心に示す。ステップS60で、編集動作が継続されるか否かが判断される。継続される場合、処理はステップS61に移行される。ステップS61では、再生用のデータ(プリフェッチデータ)が再生側バッファに所定量だけ確保されているか否かが判断される。若し、再生側バッファに溜め込まれたAVデータが所定量以下であると判断されれば、処理はステップS64に移行し、再生用のデータがディスクから読み出され、再生側バッファに溜め込まれる。
一方、ステップS61で、再生用データが再生側バッファに所定量以上確保されていると判断されれば、処理はステップS62に移行する。ステップS62では、記録側バッファに溜め込まれている書き戻しデータ(ライトバックデータ)が所定量に達したか否かが判断される。若し、所定量に達していると判断されれば、処理はステップS63に移行し、記録側バッファに溜め込まれたAVデータが光ディスク100に対して書き戻される。一方、書き戻しデータが記録側バッファに所定量、溜め込まれていないと判断されれば、処理はステップS60に戻される。
図13は、上述したステップS22のポストロール動作の一例をより詳細に示す。図13は、ポストロール動作のうち、記録媒体へのアクセスに関する処理を中心に示す。この図13に示すポストロール動作と並行して、ポストロール動作による再生や、ポストロール動作直前の編集動作に伴うAVデータの復号化処理や符号化処理が行われている。
先ず、ステップS40で、図12で説明した編集開始処理におけるステップS31の信号処理開始点の算出処理と同様にして、信号処理を終了する終了点が算出される。次のステップS41で、図12のステップS32と同様にして、編集されたデータの記録媒体上にへの書き戻しを終了するブロックが算出される。そして、次のステップS42で、符号化処理が停止される。なお、このステップS42の処理は省略することができる。
次のステップS43で、ポストロール動作が継続されるか否かが判断される。若し、継続されないと判断された場合、処理はステップS48に移行され、図9のステップS30でなされた交替処理に対する制限が解除され、ポストロール動作が終了される。一方、ポストロール動作が継続されると判断された場合、処理はステップS44に移行し、図12で説明した編集動作の処理と同様にして、再生用のデータが再生側バッファに所定量だけ確保されているか否かが判断される。若し、再生側バッファに溜め込まれたAVデータが所定量以下であると判断されれば、処理はステップS47に移行し、再生用のデータがディスクから読み出され、再生側バッファに溜め込まれる。
一方、ステップS44で、再生用データが再生側バッファに所定量以上確保されていると判断されれば、処理はステップS45に移行する。ステップS45では、記録媒体に書き戻すべきデータがあるか否かが判断され、書き戻すべきデータがないと判断されれば、処理はステップS43に戻される。
一方、ステップS45で、例えば編集対象のデータの書き戻しが完了していないなど、書き戻すべきデータがあると判断されれば、処理はステップS46に移行し、当該データの記録媒体への書き戻し処理が行われる。
なお、図7および図8を用いて説明した処理のうち、ステップS23のEDIT ON信号受信の有無の判断およびステップS24の再生速度変更の有無の判断は、実際には、図10で説明したポストロール動作と並列的に実行することができる処理である。一例として、ポストロール動作中にEDIT ON信号の有無や再生速度変更の有無が判断され、EDIT ON信号が受信されたり、再生速度変更が検出された場合には、ポストロール動作におけるデータの読み書きの処理や符号化、復号化などの処理が所定に終了され、EDIT ON信号が受信された場合には処理がステップS18に戻され、速度変更が検出された場合には処理がステップS25に移行される。
図14は、上述したステップS25の編集完了処理の一例をより詳細に示す。編集処理に伴い、ヘッダおよびフッタの情報が更新され、ヘッダおよびフッタに編集結果が反映される。ステップS50で、このヘッダおよびフッタに対する処理が行われ、更新されたヘッダおよびフッタが記録媒体に書き戻される。このとき、上述したように、ポストロール動作が完了するまでヘッダおよびフッタの書き戻し動作が遅延される。次のステップS51で、メタデータに関する処理が行われる。例えば、メタデータ処理部15で生成された非時系列メタデータが記録媒体のNRT領域に書き込まれる。
なお、上述では、この発明が光ディスク100を記録媒体として用いた場合に適用されるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、この発明による破壊編集の際のヘッダおよびフッタの書き戻しタイミングの制御方法は、例えばハードディスクなどのランダムアクセス可能な他のディスク記録媒体にも適用可能なものである。
また、上述では、この発明において、クリップの記録が年輪単位で行われるように説明したが、これはこの例に限定されない。クリップを構成するデータが年輪以外の他の記録単位で記録されている場合にも、この発明による破壊編集の際のヘッダおよびフッタの書き戻しタイミングの制御方法を適用することができる。