以下、この発明の実施の一形態を、図面を参照しながら説明する。先ず、理解を容易とするために、この発明に適用可能な記録媒体および記録再生装置について説明する。図1は、ディスク状記録媒体における一例のデータ配置を示す。この図1に一例が示されるデータ配置は、記録可能な光ディスク、ハードディスクといった、ランダムアクセスが可能なディスク状記録媒体における一般的なデータ配置である。このようなデータ配置を、半導体メモリなどの、非ディスク状記録媒体に適用することもできる。論理アドレス空間は、任意のデータを記録再生可能な領域である。
論理アドレスの先端および後端には、ファイルシステムFSが配置される。任意のデータは、論理アドレス空間内に一般的にファイルと称される所定の形式で記録される。記録媒体上のデータは、基本的にファイル単位で管理される。ファイルの管理情報は、ファイルシステムFSに記録される。記録再生装置のシステム制御部(後述する)のファイルシステム層は、このファイルシステムFSの情報を参照および操作することで、多種多様なデータを一つの記録媒体上で管理することができる。
論理アドレス空間の外に、交替領域が配置される。交替領域は、記録媒体の一部が欠陥(ディフェクト)により物理的に読み書きできなくなった場合に代替的に用いることができる領域である。例えば、記録媒体に対するアクセス(特に記録時のアクセス)の際に欠陥領域が認識された場合、通常は交替処理が行われ、当該欠陥領域のアドレスが交替領域内に移動される。
交替領域の使用状況は、所定領域にディフェクトリストとして記憶され、記録再生装置のドライブ制御部や、システム制御部の下位階層により用いられる。すなわち、後述するドライブ制御部やシステム制御部の下位階層では、記録媒体へのアクセスの際にディフェクトリストを参照することで、交替処理が行われている場合にも、適切な領域へのアクセスを行うことができる。交替領域のこの仕組みにより、上位アプリケーションは、記録媒体上の不良記録領域の有無や位置などを考慮することなく、記録媒体に対するデータの記録再生を行うことができる。
ディスク状記録媒体の場合、交替領域は、ディスクの最内周側または最外周側に配置されることが多い。ディスクの回転制御を、ディスクの半径方向に段階的に回転速度を変更するゾーン制御で行っている場合には、ゾーン毎に交替領域を設ける場合もある。記録媒体が半導体メモリなどディスク状記録媒体ではない場合には、物理アドレスが最も小さい側または最も大きい側に配置されることが多い。
AVデータを扱うアプリケーションにおいては、連続同期再生、すなわち実時間再生が保障された再生が必要な単位となるデータのまとまりを、クリップと呼ぶ。例えば、ビデオカメラにより撮影が開始されてから終了されるまでのひとまとまりのデータがクリップとされる。クリップの実体は、単一のファイルまたは複数のファイルからなる。この発明においては、クリップは、複数のファイルからなる。クリップの詳細については、後述する。
論理アドレス空間に対して、例えば先頭側にクリップ以外の任意のファイルが記録できるNRT(Non Real Time)領域が配置され、NRT領域の次から、クリップが順に詰め込まれていく。クリップは、光ディスク100上のディフェクト位置を避けて配置され、上述した交替処理が行われないようにされる。各クリップには、ヘッダ(H)およびフッタ(F)が付加される。この例では、ヘッダおよびフッタは、クリップの後端側にまとめて配置されている。
論理アドレス空間内において、データが記録されていない領域や、過去にデータが記録されていたが現在では不要になった領域は、未使用領域としてファイルシステムFSに管理される。記録媒体上に新たに記録されるファイルに対して、未使用領域に基づき記録領域が割り当てられる。当該ファイルの管理情報は、ファイルシステムFSに追加される。
記録媒体として記録可能な光ディスクを用いた場合、この発明では、クリップを年輪構造によって記録媒体に記録する。図2および図3を用いて、年輪構造について説明する。図2Aは、一つのクリップ20をタイムライン上に示す例である。この例では、クリップ20は、ビデオデータ21、オーディオデータ22A〜22D、補助AVデータ23およびリアルタイムメタデータ24の7ファイルからなる。
ビデオデータ21は、ベースバンドのビデオデータを高ビットレートで圧縮符号化したビデオデータである。圧縮符号化方式としては、例えばMPEG2(Moving Pictures Experts Group 2)方式が用いられる。オーディオデータ22A、22B、22Cおよび22Dは、ベースバンドのオーディオデータが用いられ、それぞれ2チャンネルのオーディオデータである。これに限らず、オーディオデータ22A、22B、22Cおよび22Dは、ベースバンドのオーディオデータを高ビットレートで圧縮符号化したオーディオデータを用いてもよい。ビデオデータ21およびオーディオデータ22A〜22Dは、実際の放送や編集の対象とされるデータであって、本線系のデータと称される。
補助AVデータ23は、ベースバンドのビデオデータおよびオーディオデータを、本線系のビデオデータおよびオーディオデータに対してより低ビットレートで圧縮符号化して多重化したデータである。圧縮符号化方式としては、例えばMPEG4方式が用いられ、本線系のAVデータを、ビットレートを例えば数Mbps(Mega bits per second)まで落とすように圧縮符号化して生成する。補助AVデータ23は、編集点などを決める際に本線系のデータの代理として用いられるデータであって、プロキシ(Proxy)データとも称される。なお、この実施の一形態では、補助AVデータにおけるオーディオデータのチャンネル数が8チャンネルに固定的とされる。
メタデータは、あるデータに関する上位データであり、各種データの内容を表すためのインデックスとして機能する。メタデータには、上述の本線系のAVデータの時系列に沿って発生されるリアルタイムメタデータ24と、本線系のAVデータにおけるシーン毎など、所定の区間に対して発生される非時系列メタデータの2種類がある。非時系列メタデータは、例えば図1で説明したNRT領域に記録される。
クリップ20は、図2Bに一例が示されるように、所定の再生時間を基準として分割され、年輪構造として光ディスクに記録される。一つの年輪は、図2Cに一例が示されるように、ビデオデータ21、オーディオデータ22A〜22D、補助AVデータ23およびリアルタイムメタデータ24を、それぞれ再生時間帯が対応するように、トラック1周分以上のデータサイズを有する所定の再生時間単位に分割し、分割された再生時間単位毎に順に配置して記録する。すなわち、クリップ20を構成する各データは、年輪構造により所定時間単位でインターリーブされ、光ディスクに記録される。
なお、年輪を形成するデータを年輪データと称する。年輪データは、ディスクにおける最小の記録単位の整数倍のデータ量とされる。また、年輪は、その境界がディスクの記録単位のブロック境界と一致するように記録される。
図3は、光ディスク100に対して年輪データが形成された一例の様子を示す。この図3の例では、光ディスク100の内周側から順に、補助AV年輪データ#1、リアルタイムメタ年輪データ#1、チャンネル数分のオーディオ年輪データ#1、ビデオ年輪データ#1が記録されており、この周期で年輪データが扱われる。ビデオ年輪データ#1の外周側には、さらに、次の周期の年輪データの一部が補助AV年輪データ#2として示されている。
この図3の例は、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯と補助AV年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とが対応し、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とオーディオ年輪データの2周期分の再生時間帯が対応することを示している。同様に、リアルタイムメタ年輪データの1年輪データ分の再生時間帯とビデオ年輪データの4周期分の再生時間帯が対応することを示している。このような、各年輪データの再生時間帯および周期の対応付けは、例えばそれぞれのデータレートなどに基づき設定される。以下では、1年輪データ分の再生時間を2秒とする。
なお、クリップに対するヘッダやフッタも、図2Dに一例が示されるように、年輪構造によって記録される。
図4は、この発明に適用可能な記録再生装置の一例の構成を概略的に示す。この記録再生装置は、例えばビデオカメラと接続され、ビデオカメラで撮影され得られたAVデータを信号処理して光ディスク100に記録する。また、光ディスク100に記録されたAVデータなどを再生し、所定に信号処理して出力する。さらに、装置に付属するコントロールパネルや、図示されないRS−422インターフェイスを介して接続される入力装置などからの指示に基づき、光ディスク100に記録されたAVデータに対して編集作業を行うことができる。
システム制御部17は、1または複数のCPU(Central Processing Unit)と、プログラムやデータが予め記憶されるROM(Read Only Memory)、CPUのワークメモリとして用いられるRAM(Random Access Memory)などを有し、ROMから読み出されたプログラムに従い、制御入出力端から入力された制御信号に応じて、この記録再生装置の全体を制御する。制御入力端には、例えば上述したコントロールパネルや、RS−422インターフェイスを介して入力装置が接続される。
記録系の構成について説明する。制御入出力端からシステム制御部17に対して記録動作が指示される。システム制御部17は、この記録動作指示に基づき、この記録再生装置の各部に対して、記録動作を開始できるように命令を出す。
例えばビデオカメラや外部の装置から、記録すべきベースバンドのAVデータが記録信号処理部13に供給される。記録信号処理部13は、入力されたベースバンドのAVデータに対して所定の信号処理や圧縮符号化処理を施し、記録するための本線系AVデータおよび補助AVデータを生成する。
例えば、ベースバンドのビデオデータがMPEG2方式により、1GOP(Group Of Picture)が1フレームから構成されるようにし、さらに、所定のビットレートになるように制御されて圧縮符号化され、本線系のビデオデータが生成される。オーディオデータに関しては、例えばPCM(Pulse Code Modulation)データのまま、圧縮符号化されずに本線系のオーディオデータとして用いられる。
また、ベースバンドのビデオデータおよびオーディオデータが例えばMPEG4方式により、ビットレートが数Mbpsにて圧縮符号化され、補助AVデータが生成される。ビデオデータに関して、補助AVデータでは、所定数のフレームを単位として符号化が行われる。この実施の一形態では、補助AVデータのビデオデータは、1枚のIピクチャおよび9枚のPピクチャの10フレームで、1GOV(Group Of Video Object Plane)が形成されてなる。
補助AVデータにおけるオーディオデータは、本線系のオーディオデータを、例えば時間軸方向を圧縮するサンプリング周波数変換と、語長を圧縮する対数圧縮とを組み合わせて瞬時圧縮することにより、生成している。サンプリング周波数変換は、例えばサンプリング周波数が48kHzの本線系のオーディオデータを、サンプリング周波数が8kHzのオーディオデータにダウンサンプリングして行う。語長圧縮の方式としては、データの小振幅時には量子化ステップを小さく設定し、大振幅時には量子化ステップを大きく設定することで語長の圧縮を行う、A−Law方式を用いることができる。また、圧縮符号化を行う前に、本線系のオーディオデータを、ローパスフィルタにより予め帯域制限することで、圧縮符号化による音質劣化を最小限とすることができる。この実施の一形態では、ローパスフィルタとして、512タップのFIR(Finite Impulse Response)フィルタを用いている。
記録信号処理部13から出力された本線系AVデータおよび補助AVデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。この記録信号処理部13から出力される本線系AVデータおよび補助AVデータと、後述するメタデータ処理部15から出力されるリアルタイムメタデータにより、クリップが構成される。
メタデータ処理部15は、システム制御部17の制御に基づき、本線系AVデータおよび補助AVデータと共に光ディスク100に記録されるリアルタイムメタデータや、クリップを所定の形式に整えるためのデータ(ヘッダおよびフッタ)を生成する。メタデータ処理部15では、非時系列系メタデータも生成される。メタデータ処理部15で生成されたこれらのデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。
フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、記録信号処理部13およびメタデータ処理部15から供給された各データを、上述した年輪構造に配置する。例えば、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、メモリを有し、供給された各データを、メモリ上に年輪構造に対応したアドレス配置で以て溜め込む。そして、メモリから、年輪単位でデータを読み出すように、読み出し制御を行う。年輪構造に配置されたクリップは、年輪単位でドライブ制御部11に供給される。
ドライブ制御部11は、記録時には、供給されたデータに対して所定の記録信号処理を施すと共に、後述するリード/ライト部10およびサーボ部14から得られる信号に基づきリード/ライト部10およびサーボ制御部14を制御することにより、記録データが光ディスク100の所定のアドレスに書き込まれるように、書き込み動作を制御する。
フォーマッタ/アンフォーマッタ部12からドライブ制御部11に供給された本線系AVデータ、補助AVデータ、リアルタイムメタデータおよびヘッダ、フッタは、所定サイズのECC(Error Correction Coding)ブロック単位でエラー訂正符号化される。エラー訂正符号化されたデータは、所定に記録符号化され、記録信号とされてリード/ライト部10に供給される。
リード/ライト部10は、例えばレーザダイオードからなる光ピックアップと、光ピックアップのレーザパワーを、記録再生の動作モードに応じて所定に制御するレーザ駆動回路を有する。また、リード/ライト部10は、ディスク100の半径方向に対する光ピックアップの位置を、サーボ制御部14から供給されるスレッド制御信号に基づき制御するスレッド駆動部を有する。サーボ制御部14は、ドライブ制御部11およびシステム制御部17からそれぞれ供給される制御信号に基づき、スレッド駆動部の制御と、光ディスク100を回転駆動するための図示されないスピンドルモータの制御とを行う。
リード/ライト部10は、ドライブ制御部11から供給された記録信号に基づき光ピックアップを駆動し、光ディスク100に対して記録信号に基づく記録を行う。記録位置は、記録動作に先立って光ディスク100から予め読み込まれたファイルシステムFSの情報などに基づく、光ディスク100の領域使用状況を示す情報や、制御入出力端からの指示に基づき、システム制御部17およびドライブ制御部11により指定される。
なお、この実施の一形態では、光ディスク100に対する記録動作は、年輪単位毎に連続的に行われる。また、この実施の一形態では、光ディスク100の最小記録単位のブロックサイズとECCブロックのサイズとが同一とされ、光ディスク100の最小記録単位とECCブロックとが一致するように記録される。すなわち、この実施の一形態においては、ECCブロックは、記録信号処理の単位であると共に、実際に光ディスク100におけるデータの読み書きの単位となるブロックである。
さらに、年輪単位毎に、例えば1乃至数ECCブロック分の所定データ列からなるマーカブロックが記録される。このマーカブロックは、1年輪分を記録中に記録エラーなどが生じた場合に、直前の年輪までの記録データを再生可能とするために用いられる。したがって、1年輪分の記録が完了する毎に、当該年輪のマーカブロックは、不要となる。
再生系の構成について説明する。制御入出力端からシステム制御部17に対して再生動作が指示される。システム制御部17は、この再生動作指示に基づき、この記録再生装置の各部に、再生動作を開始できるように命令を出す。リード/ライト部10が所定に制御され、光ディスク100の指定されたアドレスから、記録単位毎に読み出しがなされる。読み出された再生信号は、リード/ライト部10からドライブ制御部11に供給される。
ドライブ制御部11は、供給された再生信号の記録符号を復号化して再生データとし、さらに、再生データのエラー訂正符号を復号化してエラー訂正を行う。エラー訂正された再生データは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。フォーマッタ/アンフォーマッタ部12は、供給された再生データを、本線系AVデータ、補助AVデータおよびリアルタイムメタデータといったデータ種類毎に分離する。例えば、供給された再生データは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12が有するメモリに溜め込まれる。1年輪分が溜め込まれると、年輪を構成する各データが読み出され、それぞれ対応する処理部に供給される。本線系AVデータおよび補助AVデータは、再生信号処理部16に供給される。また、リアルタイムメタデータは、メタデータ処理部15に供給される。
メタデータ処理部は、供給されたリアルタイムメタデータを解読し、解読された情報をシステム制御部17に供給する。
再生信号処理部16は、供給された本線系AVデータと、補助AVデータとに所定の信号処理を施す。例えば、本線系AVデータと補助AVデータとがそれぞれまたは何方か一方が復号化される。復号化せずに出力することもできる。なお、補助AVデータについて、ビデオデータは、10フレームで1GOVが形成されているため、1GOV単位で復号化がなされる。また、オーディオデータは、A−Law方式による語長圧縮を瞬時伸長され、ダウンサンプリングされたサンプリング周波数が48kHzにアップサンプリングされる。アップサンプリングの際に、記録時と同様の、512タップのFIRフィルタがローパスフィルタとして用いられ、音質劣化が最小限に抑えられる。
ネットワークインターフェイス(I/F)18は、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)といったネットワークと接続され、ネットワークを介した通信を制御する。例えばこの記録再生装置は、ネットワークを介して送信されたAVデータを受信し、光ディスク100に記録することができる。
例えば、ネットワークを介して送信され、ネットワークI/F18により受信されたAVデータは、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12に供給される。この場合、ネットワークI/F18から記録信号処理部13に供給するようにしてもよい。また、ネットワークI/F18から直接的にドライブ制御部11に供給することも考えられる。例えば、システム制御部17は、ネットワークI/F18にAVデータが受信されると、受信されたAVデータの形式を判断し、必要に応じて記録信号処理、フォーマッタ/アンフォーマッタ部12による処理、メタデータ処理などを行う。処理後のAVデータは、ドライブ制御部11に供給され、所定の処理を施された後、光ディスク100に記録される。
光ディスク100から読み出されたAVデータや補助AVデータをフォーマッタ/アンフォーマッタ部12を介してネットワークI/F18に供給し、ネットワークに向けて送信することもできる。この場合、補助AVデータは、低ビットレートで以て圧縮符号化されているため、ネットワークで送信するのに用いて好適である。
この記録再生装置は、光ディスク100上のクリップに対して編集作業を行うことができる。例えば、外部から供給されたAVデータや、光ディスク100自身に記録された他のAVデータを用いて、光ディスク100上のAVデータに対する編集処理を行うことができる。
次に、この発明に適用可能な編集方法について説明する。この発明では、光ディスク100といったランダムアクセス可能な記録媒体上に記録されたクリップに対する編集を、破壊編集により行う。破壊編集は、編集対象となる下地データに対して、必要部分のデータを上書きする処理である。破壊編集においては、IN点およびOUT点といった編集点の指示、ならびに、インサート編集やアセンブル編集といった編集モードの指定に従い、下地データの適当なデータを編集データで上書きし、直接的に書き換える。このとき、下地データの当該記録媒体上の別領域への移動や複製は行われない。なお、以下では、編集対象として編集点が設定される側のデータを下地記録または下地データと呼び、編集点に対して書き込む側のデータを編集データと呼ぶ。
図5を用いて、より具体的に説明する。図5Aに示される編集前のクリップ#1を下地データとして、クリップ#1に対してIN点およびOUT点を設定して編集対象を指定し、このIN点およびOUT点間に、編集データとして他の映像カットを挿入するインサート編集について考える。破壊編集では、下地データのIN点およびOUT点間に、編集データが直接的に上書き記録される。したがって、編集後は、図5Bに一例が示されるように、クリップ#1において、クリップ#1の先頭からIN点までが下地データ(元のクリップ#1のデータ)となり、IN点およびOUT点間が編集データとなり、さらに、OUT点からクリップ#1の終端までが下地データとなる。
なお、破壊編集においても、クリップ#1本体の編集に伴い、クリップ#1に対応するヘッダH#1およびフッタF#1が書き換えられる。
このように、破壊編集では、下地記録において編集対象区間外のデータは、書き換えなどの必要が無いため、編集実行に要する時間は、最小限で済む。また、編集データが下地の編集対象区間に上書きされるため、未使用領域が編集によって変化することがない。したがって、未使用領域のサイズや未使用領域の分断化の程度といった、未使用領域の状態の如何および編集の複雑さの如何に関わらず、常に編集動作を実行可能である。さらに、破壊編集では、編集によるデータ配置の移動は発生しないため、下地記録によるクリップ(図5Aの例ではクリップ#1)が連続再生可能であれば、編集結果も、連続再生が可能であることが保障される。
このように、この発明は、ノンリニア記録媒体を用いて、下地データに対して編集データを上書きする破壊編集を行うため、編集実行に際し記録媒体の空き領域を必要としない。また、破壊編集により、書き換え対象のデータが最小限となるため、編集動作に伴う書き換えに要する時間が短い。さらに、破壊編集により、下地データに対して編集データを上書きして編集を行うため、編集結果を再生する際にも、編集前に対してシーク動作が増加することがないという効果がある。また、それにより高度な編集が可能となる。
ここで、破壊編集の際に編集対象区間内にディフェクトが存在し、それにより交替処理が行われる場合について考える。例えば、図6Aに一例が示されるように、クリップ#1に指定されたIN点およびOUT点に基づき破壊編集を行う際に、IN点およびOUT点間、すなわち編集対象区間にディフェクト部200が存在する場合、交替処理により、ディフェクト部200に対応したサイズの交替部201が交替領域内に設けられ、データの配置情報が変更される。その結果、破壊編集によりIN点およびOUT点間の下地データに対して編集データを上書きする際に、交替処理がなされ、本来ディフェクト部200に書き込まれるべきデータが交替領域内の交替部201に書き込まれる。
この編集結果を再生する際の動作は、図6Bに一例が示されるようになる。すなわち、クリップ#1を再生し、再生位置がディフェクト部200の先頭位置aに達すると、交替部201の先頭位置a’へのシークがなされ、交替部201が先頭位置a’から再生される。そして、再生が交替部201の終端位置b’に達すると、ディフェクト部200の終端位置bまでシークがなされ、以降、このディフェクト部200の終端位置bから例えばクリップ#1の終端まで、再生が継続される。
このように、破壊編集時に編集対象区間内においてディフェクトが存在すると、交替処理により、編集データの一部が交替領域内に書き込まれてしまい、編集結果を再生する際に、交替領域へのシーク動作が発生してしまう。このとき、ディフェクト位置と交替領域とが離れた位置にあると、シーク動作に多大な時間を要してしまい、再生動作が破綻してしまう可能性がある。特に、記録媒体として光ディスク100のような、シーク動作に比較的長い時間を要する記録媒体を用いている場合には、実時間再生動作を保証するのが困難となってしまう。この発明は、このような、破壊編集時の交替処理による実時間再生処理の破綻を防ぐようにしたものである。
以下に、この発明の実施の第1の形態について説明する。この発明の実施の第1の形態は、破壊編集時の交替処理を制限して、上述したような、破壊編集時の交替処理によるシーク動作を抑制する。より具体的には、破壊編集時の交替処理を禁止する。これにより、編集対象区間内にディフェクトが存在した場合でも、データの配置情報に変化が無く、シーク動作に対する影響も生じない。したがって、編集結果の再生時に交替処理によるシーク動作が起こらず、編集結果の実時間再生が保障される。
図7を用いて説明する。IN点およびOUT点で示される編集対象区間にディフェクト部200が存在しても、破壊編集による編集対象区間に対する編集データの上書きは、ディフェクト部200を無視して継続される。実際にディフェクト部200が編集対象区間内に存在する場合には、当該ディフェクト部200の区間に記録されるべきデータは、失われるが、編集結果の再生時において、シーク動作による再生動作の破綻は、生じない。そのため、再生位置がディフェクト部200を通過した後は、比較的容易に正常動作に復帰することができる。したがって、編集されたクリップ#1全体を通しての実時間再生動作が可能である。
実際には、ディフェクトの発生確率は、低いため、交替処理の禁止により失われるデータは、極めて一部に限定されたものとなる。
なお、交替処理を禁止する場合でも、ディフェクト部200のディフェクトリストへの登録は、行ってもよい。ディフェクト位置を登録しておくことで、再生時に、何らかの対処が可能となる。すなわち、既知のディフェクト領域に関しては、ディフェクトリストを参照することで、ディフェクトの有無や、ディフェクトが存在する場合にはディフェクト位置が判明する。そこで、例えば編集結果の再生時に、ディフェクト位置では記録媒体へのアクセスを行わず、直前のデータをホールドして再生することが可能である。
次に、この発明の実施の第2の形態について説明する。この実施の第2の形態では、破壊編集の際のディフェクトに対する交替処理を、記録媒体に対して例えばフォーマット時などに予め設けられた本来の交替領域を用いて行うのではなく、ディフェクト位置の近傍にある不要領域または空き領域を代替的に用いて行う。
この交替領域の代替領域としては、例えば上述したマーカブロックが用いて好適である。マーカブロックは、上述したように、年輪単位毎に配置されると共に、1年輪分の記録が終了した時点でファイルシステムが正常に書き込まれれば、当該年輪のためのマーカブロックは、不要となる。したがって、編集を行う際には、マーカブロックは、他用途に使用可能な状態となっており、交替領域の代替領域として用いることが可能である。
図8は、年輪構造に対する一例のマーカブロック202の配置を示す。この例では、年輪#Nのマーカブロック202#Nは、年輪#Nの先頭側に配置される。年輪#N内の各データから見ると、当該年輪#N自身のマーカブロック202#Nと、次の年輪#(N+1)のマーカブロック202#(N+1)とが両側に配置されているように見える。したがって、マーカブロック202は、光ディスク100上のどの年輪内から見ても、常に本来の交替領域よりもアクセス距離的に近い位置にあることになる。したがって、マーカブロック202を交替領域の代替領域として用いることで、交替処理に伴うシーク動作を極めて短い時間に抑えることができ、編集結果の再生時に交替処理によるシーク動作が実時間再生に影響することを避けることができる。
なお、この実施の一形態では、マーカブロック202のサイズは、光ディスク100の記録単位としているECCブロック単位で、1乃至数ECCブロックとされる。1ECCブロックのサイズが64kB(キロバイト)、マーカブロック202に対して3ECCブロックが割り当てられるとすれば、マーカブロック202のサイズは192kBとされ、年輪内のディフェクト部200に対する交替領域として十分に使用可能であると考えられる。
図9および図10を用いて、マーカブロック202を交替領域の代替領域として用いた場合の交替処理の例について説明する。図9は、編集時の動作の例を示す。図9Aに一例が示されるように、IN点およびOUT点で指定される編集対象区間内にディフェクト部200が存在するものとする。図9Bは、図9Aのディフェクト部200を拡大した例である。ディフェクト部200は、実際には年輪のサイズに対して極めて小さいものと考えられる。実際のディフェクト部は、例えば、図9Bに例示されるように、本線オーディオデータA1領域内の一部(ディフェクト部200A)であったり、本線ビデオデータ領域内の一部(ディフェクト部200B)であったりする。
破壊編集動作中の交替処理は、年輪#Nの前後に存在するマーカブロック202#N、202#(N+1)のうち、ディフェクト位置に近いマーカブロック202を交替領域の代替領域として用いることで行う。図9Bの例では、ディフェクトが本線オーディオデータA1領域内にディフェクト部200Aとして存在するときは、マーカブロック202#Nおよび202#(N+1)のうち、ディフェクト部200Aにより近いマーカブロック202#Nを交替領域の代替領域として用いて、交替処理を行う。
例えば、破壊編集の際に、編集対象区間内の本線オーディオデータA1領域にディフェクト部200Aが存在する場合、交替処理により、ディフェクト部200Aにより近いマーカブロック202#Nが交替領域の代替領域として選択され、当該領域に対して交替部203Aが設けられ、データの配置情報が変更される。その結果、破壊編集によりIN点およびOUT点間の下地データに対して編集データを上書きする際に、交替処理がなされ、本来ディフェクト部200Aに書き込まれるべきデータが、マーカブロック202#N内の交替部203Aに対して書き込まれる。
ディフェクトが本線ビデオデータ領域内にディフェクト部200Bとして存在する場合も、同様である。この場合には、マーカブロック202#Nおよび202#(N+1)のうち、ディフェクト部200Bにより近いマーカブロック202#(N+1)を交替領域の代替領域として用い、マーカブロック202#2内に交替部203Bを設け、破壊編集の際に、本来ディフェクト部200Bに書き込まれるべきデータを交替部203Bに書き込むことで、交替処理を行う。
図10は、編集結果を再生する際の動作の例を示す。例えばディフェクト部200Aに対して交替部203Aを用いて交替処理を行った場合、クリップ#1を再生し、再生位置がディフェクト部200Aの先頭位置cに達すると、この位置cから交替部203Aの先頭位置c’へシークがなされ、交替部203Aが先頭位置c’から再生される。そして、再生が交替部203Aの終端位置d’に達すると、位置d’からディフェクト部203Aの終端位置dまでシークがなされ、以降、このディフェクト部203Aの終端位置dから例えばクリップ#1の終端まで、再生が継続される。
ディフェクト部200Bに対して交替部203Bを用いて交替処理を行った場合も、同様である。すなわち、クリップ#1を再生し、再生位置がディフェクト部200Bの先頭位置eに達すると、この位置eから交替部203Bの先頭位置e’へシークがなされ、交替部203Bが先頭位置e’から再生される。そして、再生が交替部203Bの終端位置f’に達すると、位置f’からディフェクト部203Bの終端位置fまでシークがなされ、以降、このディフェクト部203Bの終端位置fから例えばクリップ#1の終端まで、再生が継続される。
このように、この発明の実施の第2の形態によれば、ディフェクトに対する交替処理が、本来の交替領域よりも近い位置であって、且つ、ディフェクト位置の近傍に設けられる交替領域の代替領域を用いてなされる。そのため、破壊編集後の再生動作においても、交替処理によるシーク動作が極めて短い距離で済み、交替処理に伴うシーク動作が実時間再生に影響することが避けられる。
なお、上述では、年輪に対するマーカブロックを、マーカブロック本来の機能が不要となった後に交替領域の代替領域として用いたが、これはこの例に限定されない。例えば、記録媒体上に、所定の期間毎に交替領域の代替領域として用いることができる領域を別途、設けるようにしてもよい。また、この場合、記録フォーマットが年輪形式である必要はなく、任意のフォーマットに対してこの発明の実施の第2の形態を適用することができる。
さらに、上述では、当初書き込まれた情報が編集時には不要となっている領域を交替領域の代替領域として用いるように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、編集時に空き領域となっている領域を、交替領域の代替領域として用いることができる。
また、マーカブロックを交替領域の代替領域として用いる場合でも、本来の交替領域およびディフェクトリストを用いた通常の交替処理を併用することができる。例えば、クリップが記録される領域に対する破壊編集時に、マーカブロックを交替領域委の代替領域として用い、それ以外の動作、例えばNRT領域に対するアクセスの際には、本来の交替領域を用いた通常の交替処理を行うようにできる。
さらに、上述では、本線ビデオデータ領域や本線オーディオデータ領域にディフェクトが存在する場合の交替処理について説明したが、ディフェクトが補助AVデータ領域やリアルタイムメタデータ領域に存在する場合でも、同様にして交替処理が行われる。
次に、この発明の実施の第1および第2の形態に適用可能な一例の編集動作について、図11および図12のフローチャートを用いて概略的に説明する。なお、図11および図12において、符号「A」および「B」は、図11および図12間で対応する符号に処理が移行することを示す。
なお、図11および図12に示される処理は、例えば図4を用いて説明したシステム制御部17により判断および実行命令などがなされる処理である。また、ここでは、実際のIN点およびOUT点の指定や、再生開始、再生終了などの指示は、記録再生装置と例えばRS−422をインターフェイスとして接続される編集操作部を用いてなされる、所謂9ピン制御によって行われるものとする。システム制御部17は、この編集操作部から供給される各種制御信号に従い、記録再生装置の各部を制御する。
図11において、動作開始点がIN点から一定時間前に既に戻され、プリロール開始点への頭出しが完了しているものとする。ステップS10で、プリロール開始点からの再生動作(プリロール動作)が開始される。次に、編集操作部からの、編集対象のデータ種類などを示すエディットプリセット信号に基づき、編集対象が指定されているか否かが判断され(ステップS11)、指定されていなければ、処理はステップS10に戻される。編集対象が指定されていれば、処理はステップS12に移行され、編集動作が実行可能か否かが判断される。編集動作の実行が可能であると判断されれば、処理はステップS13に移行され、記録再生装置において、エディットプリセットに対する応答であるエディットフラグが立てられる。
一方、ステップS12で、例えば当該記録再生装置が編集動作そのものに対応していないなど、何らかの理由で編集動作の実行が不可能であると判断されれば、処理は図12のステップS26に移行され、編集不能に対するエラー処理が行われる。
ステップS13でエディットフラグが立てられると、次に、ステップS14〜ステップS16で調相動作が行われる。調相動作は、編集元のビデオデータと編集先のビデオデータとが所定の位相関係になるように、例えばフレームパルスを用いて調整する動作である。調相動作により、編集元のビデオデータと編集先のビデオデータとの位相がフレーム単位で制御される。ステップS15で、調相動作が完了しサーボロックされたか否かが判断される。調相動作が完了しておらず、サーボロックがかけられていないと判断されれば、処理はステップS14に戻される。ステップS15でサーボロックされたと判断されれば、処理はステップS16に移行し、再生速度が変更された否かが判断される。若し、停止、順方向早送り、逆方向早送り、順方向スロー再生、逆方向スロー再生など、再生速度に変更があったと判断されたら、処理はステップS14に戻される。再生速度に変更が無ければ、調相動作が完了したとして、処理はステップS17に移行される。
ステップS17では、編集操作部からの編集開始点(IN点)を指示するEDIT ON信号が待機される。このEDIT ON信号のタイミングが編集開始点(IN点)のタイミングとなり、記録再生装置は、このEDIT ON信号により、実際の編集動作を開始する。次のステップS18(図12参照)で、編集可能か否かが判断される。若し、何らかの理由で編集が不可能であると判断されれば処理はステップS26に移行し、編集不能に対するエラー処理が行われる。編集可能であると判断されれば処理はステップS19に移行され、実際の編集動作を開始するための処理が行われる。
ステップS19での編集開始処理が終わると、ステップS20で、実際の編集動作が実行される。編集動作は、編集操作部からの編集終了点(OUT点)を示すEDIT OFF信号が受信されるまで、継続して行われる(ステップS21)。
EDIT OFF信号を受信し、編集動作が終了すると、処理はステップS22に移行され、編集先のAVデータにおいてOUT点以降が継続的に再生される、ポストロール動作が行われる。
ポストロール動作中にEDIT ON信号が受信され、さらにIN点が指定されることが起こりうる。ステップS23では、ポストロール動作中にEDIT ON信号を受信したか否かが判断される。受信したと判断されれば、処理はステップS18に戻され、受信されたEDIT ON信号に基づく編集動作が行われる。
一方、ステップS23でEDIT ON信号が受信されないと判断されれば、処理はステップS24に移行され、再生速度が変更されたか否かが判断される。若し、停止、順方向早送り、逆方向早送り、順方向スロー再生、逆方向スロー再生など、再生速度に変更があったと判断されたら、編集動作が完了したとして、処理はステップS25に移行され、編集完了処理が行われる。一方、ステップS24で、再生速度に変更がなされていないと判断されれば、処理はステップS22に戻され、ポストロール動作が継続される。
図13は、上述したステップS19の編集開始処理の一例をより詳細に示す。ステップS30で、交替処理に対する制限が設定される。例えば、上述したこの発明の実施の第1の形態では、このステップS30で、破壊編集時の交替処理の禁止が設定される。また、この発明の実施の第2の形態では、このステップS30で、マーカブロックのような、記録媒体に予め交替領域として設定された以外の所定領域を交替領域の代替領域として用いた交替処理を行うように設定される。
ステップS31で、例えば本線系ビデオデータおよびオーディオデータ、補助AVデータのビデオデータおよびオーディオデータ、ならびに、リアルタイムメタデータなどに対する、編集動作に伴う信号処理を開始する開始点が算出され、次のステップS32で、編集されたデータの記録媒体上への書き戻しを開始するブロック(ECCブロック)が算出される。そして、ステップS33で、上述したステップS30〜ステップS32の処理を踏まえて、編集元および編集先それぞれのAVデータの符号化処理が行われる。なお、上述のステップS30〜ステップS32の処理の順序は、この順に限られない。
図14は、上述したステップS20の編集実行処理の一例を、より詳細に示す。図14は、編集実行処理のうち、記録媒体へのアクセスに関する処理を中心に示す。この図14に示す編集実行処理と並行して、編集に伴うAVデータの復号化処理や符号化処理が行われている。図14の説明に先立って、理解を容易とするために、記録と再生を並列的に行う場合の、バッファメモリの使用について、概略的に説明する。
1枚の光ディスク100上に編集元のAVデータと編集先のAVデータとが記録され、当該光ディスク100上で編集が完結される場合、編集実行時には、光ディスク100からのAVデータの読み出しおよび再生と、光ディスク100に対するAVデータの書き戻しとが、記録単位で並列的に行われることになる。例えば、AVデータが記録単位毎に、記録単位のAVデータの再生時間よりも高速に読み出され、バッファに溜め込まれる。バッファに溜め込まれたAVデータは、デコード速度で読み出され再生される。バッファアンダーフロー状態が発生しないように、光ディスク100からのデータの読み出し速度と、バッファからのAVデータの読み出し速度とが所定に制御される。AVデータの書き戻しは、記録単位のAVデータがバッファに溜め込まれるのを待って、行われる。
図14の説明に戻り、ステップS60で、編集動作が継続されるか否かが判断される。継続される場合、処理はステップS61に移行される。ステップS61では、再生用のデータがバッファに所定量だけ確保されているか否かが判断される。若し、バッファに溜め込まれたAVデータが所定量以下であると判断されれば、処理はステップS64に移行し、再生用のデータが読み出され、バッファに溜め込まれる。
一方、ステップS61で、再生用データがバッファに所定量以上確保されていると判断されれば、処理はステップS62に移行する。ステップS62では、バッファに溜め込まれている書き戻しデータが所定量に達したか否かが判断される。若し、所定量に達していると判断されれば、処理はステップS63に移行し、バッファに溜め込まれたAVデータが光ディスク100に対して書き戻される。一方、書き戻しデータがバッファに所定量、溜め込まれていないと判断されれば、処理はステップS60に戻される。
図15は、上述したステップS22のポストロール動作の一例をより詳細に示す。図15は、ポストロール動作のうち、記録媒体へのアクセスに関する処理を中心に示す。この図15に示すポストロール動作と並行して、ポストロール動作による再生に伴うAVデータの復号化処理や符号化処理が行われている。
先ず、ステップS40で、図13で説明した編集開始処理におけるステップS31の信号処理開始点の算出処理と同様にして、信号処理を終了する終了点が算出される。次のステップS41で、図13のステップS32と同様にして、編集されたデータの記録媒体上への書き戻しを終了するブロックが算出される。そして、次のステップS42で、符号化処理が停止される。なお、このステップS42の処理は省略することができる。
次のステップS43で、ポストロール動作が継続されるか否かが判断される。若し、継続されないと判断された場合、処理はステップS48に移行され、図13のステップS30でなされた交替処理に対する制限が解除され、ポストロール動作が終了される。一方、ポストロール動作が継続されると判断された場合、処理はステップS44に移行し、図14で説明した編集動作の処理と同様にして、再生用のデータがバッファに所定量だけ確保されているか否かが判断される。若し、バッファに溜め込まれたAVデータが所定量以下であると判断されれば、処理はステップS47に移行し、再生用のデータが読み出され、バッファに溜め込まれる。
一方、ステップS44で、再生用データがバッファに所定量以上確保されていると判断されれば、処理はステップS45に移行する。ステップS45では、記録媒体に書き戻すべきデータがあるか否かが判断される。例えば編集対象のデータの書き戻しが完了していないなど、書き戻すべきデータがあると判断されれば、処理はステップS46に移行し、当該データの記録媒体への書き戻し処理が行われる。書き戻すべきデータがないと判断されれば、処理はステップS43に戻される。
なお、図11および図12を用いて説明した処理のうち、ステップS23のEDIT ON信号受信の有無の判断およびステップS24の再生速度変更の有無の判断は、実際には、図15で説明したポストロール動作と並列的に実行することができる処理である。一例として、ポストロール動作中にEDIT ON信号の有無や再生速度変更の有無が判断され、EDIT ON信号が受信されたり、再生速度変更が検出された場合には、ポストロール動作におけるデータの読み書きの処理や符号化、復号化などの処理が所定に終了され、EDIT ON信号が受信された場合には処理がステップS18に戻され、速度変更が検出された場合には処理がステップS25に移行される。
図16は、上述したステップS25の編集完了処理の一例をより詳細に示す。編集処理に伴い、ヘッダおよびフッタの情報が更新され、ヘッダおよびフッタに編集結果が反映される。ステップS50で、このヘッダおよびフッタに対する処理が行われ、更新されたヘッダおよびフッタが記録媒体に書き戻される。次のステップS51で、メタデータに関する処理が行われる。例えば、メタデータ処理部15で生成された非時系列メタデータが記録媒体のNRT領域に書き込まれる。
この発明の実施の第1の形態では、破壊編集時の交替処理を禁止しているため、破壊編集による編集結果を再生する際にも交替処理によるシーク動作が発生せず、編集結果の実時間再生が保障される効果がある。
また、この発明の実施の第2の形態では、破壊編集時の交替処理を、記録媒体に対して予め設けられた本来の交替領域を用いずに、ディフェクト位置の近傍にある不要領域を代替的に用いて行うようにしているため、ディフェクトに対する交替処理を行えると共に、本来の交替領域を用いて交替処理を行った場合よりも、編集結果の再生時における交替処理によるシーク動作が小さくて済むため、交替処理のシーク動作による実時間再生の破綻を防ぐことができる効果がある。
なお、上述では、この発明が光ディスク100を記録媒体として用いた場合に適用されるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、この発明による破壊編集の際の交替処理の制御方法は、例えばハードディスクなどの他のディスク記録媒体にも適用可能なものである。これに限らず、所定サイズのブロック単位でランダムアクセスが可能とされていれば、半導体メモリなどさらに他のノンリニア記録媒体にも、この発明を適用することができる。
また、上述では、この発明において、クリップの記録が年輪単位で行われるように説明したが、これはこの例に限定されない。クリップを構成するデータが年輪以外の他の配置で記録されている場合にも、この発明による破壊編集の際の交替処理の制御方法を適用することができる。