JP2006104087A - 層状化合物、その製造方法及び硬質膜 - Google Patents

層状化合物、その製造方法及び硬質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】運搬の容易な、固形のハフニウム及び/又はジルコニウム層状化合物、その効率的な製造方法並びに前記層状化合物を含有する塗布層から形成され、高い硬度と優れた疎水性とを有する硬質膜を提供すること。
【解決手段】(1)ハフニウム及び/又はジルコニウムとカルボニル基とを含有することを特徴とする層状化合物。(2)水酸化ハフニウム及び/又は水酸化ジルコニウムと水とカルボン酸とを混合し、加熱することを特徴とする前記(1)の層状化合物の製造方法。(3)前記(1)の層状化合物層状化合物を含有する塗布層に紫外線を照射することによって形成されて成ることを特徴とする硬質膜。
【選択図】図1

Description

この発明は、層状化合物、その製造方法及び硬質膜に関し、さらに詳しくは、運搬の容易な、ハフニウム及び/又はジルコニウムを含有する固形の層状化合物、その効率的な製造方法並びに前記層状化合物を含有する塗布層から形成され、高い硬度と優れた疎水性とを有する硬質膜に関する。
代表的な無機層状化合物としては、粘土鉱物であるケイ酸塩又はアルミノケイ酸塩が古くから知られている。また、近年では、薄板状含水ジルコニア微結晶及びその製造方法が知られている(特許文献1及び2参照)。
特開昭62−223018号公報
特開昭62−7629号公報
前記特許文献1に記載の発明は、
「Zrを主とする金属のイオンと、Oを主とする陰イオンとから成る層状構造の化合物で、ZrとOの相互位置がZrO結晶と類似してその粉末X線回折図形の主要ピークのいくつかが正方又は立方型ZrOとほぼ同じ位置にある結晶で、層面に平行方向に広がり、厚さが200Å以下であることを特徴とする薄板状含水ジルコニア微結晶。」
及び
「可溶性ジルコニウム塩をZrとして0.1〜1.0g・atom/l、SO 2−イオンを0.2〜2.0g・atom/l含有するpH2以下の酸性水溶液を100〜300℃熱処理して先ず薄板状の含SO 2−ジルコニア微結晶を生成させ、この微結晶を塩基性水溶液中で熟成してSO 2−イオンを置換除去することを特徴とする薄板状含水ジルコニア微結晶の製造方法。」
である。
前記特許文献1には、
「本発明は・・・昭和60年特許願第147238号(この特許出願は特開昭62−7629号公報として公開された。その公開公報は上記特許文献2である。)の追加の発明であり、発明の目的、用途はほぼ同じで、加熱により一層優れた薄板状ジルコニア微結晶に変化する薄板状含水ジルコニア微結晶及び製造方法に関するものでる。」
との記載がある(特許文献1の第1頁左欄第20行〜第1頁右欄第4行参照)。
また、前記特許文献1には、
「本発明の薄板状含水ジルコニア微結晶は可溶性ジルコニウム塩をZrとして0.1〜1.0g・atom/l、SO 2−イオンを0.2〜2.0g・atom/l含有するPH2以下の酸性水溶液を100〜300℃熱処理して先ず薄板状の含SO 2−ジルコニア微結晶を生成させ、この微結晶を塩基性水溶液中で熟成してSO 2−イオンを置換除去することにより得ることができる。」
との記載がある(特許文献1の第2頁左上欄第9行〜第15行参照)。
前記特許文献2に記載の発明は、
「 1)Zrを主とする金属イオンと、その原子数のほぼ2/5のSO 2−イオンを含有する層状構造の化合物で、層面に垂直に六方もしくは三方対称の結晶軸を持ち、ZrとOの相互位置がZrOの結晶と類似し、その粉末X線回折図形の主要ピークのいくつかが正方もしくは立方晶ZrOとほぼ同じ位置になる結晶であり、層面に平行に広がり、厚さが500Å以下であることを特徴とする薄板状ジルコニア系微結晶。
2)粉末粒子が、厚さ500Å以下、広さ方向がその5倍以上ある薄板状の形状を持つ緻密質又は多孔質のジルコニア微結晶から成ることを特徴とする薄板状ジルコニア微結晶粉末。
3)水溶性ジルコニウム塩をZrとして0.1〜1.5g・atom/l、SO 2−イオンを0.3〜3.0g・atom/l含有するpH1.0以下の酸性水溶液を110〜350℃に熱処理することを特徴とする薄板状ジルコニア系微結晶の製造方法。
4)可溶性ジルコニウム塩をZrとして0.1〜1.5g・atom/l、SO 2−イオンを0.3〜3.0g・atom/l含有するPH1.0以下の酸性水溶液を110〜350℃に熱処理することにより、薄板状微結晶を合成し、この微結晶を加熱脱硫処理して酸化物の薄板状微粒子とすることを特徴とする薄板状ジルコニア微結晶粉末の製造方法。」
である。
前記特許文献1における特許請求の範囲第1項には、「Zrを主とする金属イオンと、Oを主とする陰イオンとからなる層状構造の化合物」という記載があるが、前記特許文献1にて開示された「層状構造の化合物」は、硫酸(陰)イオンがZr原子に配位している構造であって、このような構造以外の層状構造を有する化合物の開示がなく、また、前記特許文献1に記載の発明が前記特許文献2の発明の目的及び用途が同じであることから、「Zrを主とする金属イオンと、Oを主とする陰イオンとからなる層状構造の化合物」は、「Zrを主とする金属イオンと、SO 2−イオンとからなる層状構造の化合物」であると、解される。
前記特許文献1に記載の薄板状微結晶の製造方法は、硫酸と可溶性ジルコニウム塩とを混合することであって、かかる製造方法以外の方法が開示されていない。
また、前記特許文献1には、ハフニウム及び/又はジルコニウムとカルボニル基とを含有する層状化合物を用いて硬質膜を形成することについての記載はなく、これを示唆する記載もない。
前記特許文献2に記載の発明は、特許文献1に記載の発明と同様の内容である。
この発明は、前記特許文献1〜2に記載の発明とは異なり、運搬の容易な、固形のハフニウム及び/又はジルコニウム層状化合物、その効率的な製造方法並びに前記層状化合物を含有する塗布層から形成され、高い硬度と優れた疎水性とを有する硬質膜を提供することをその課題とする。
この発明の前記課題を解決するための第1の手段は、
(1)ハフニウム及び/又はジルコニウムとカルボニル基とを含有することを特徴とする層状化合物
である。
この発明の前記課題を解決するための第2の手段は、
(2)水酸化ハフニウム及び/又は水酸化ジルコニウムと水とカルボン酸とを混合し、加熱することを特徴とする前記(1)の層状化合物の製造方法
である。
この発明の前記課題を解決するための第3の手段は、
(3)前記(1)の層状化合物を含有する塗布層に紫外線を照射することによって形成されて成ることを特徴とする硬質膜
である。
前記第3の手段における好ましい態様としては、
前記塗布層が、シランカップリング剤を含有する硬質膜
及び
前記塗布層が、有機物を含有する硬質膜
を挙げることができる。
前記(1)の発明によると、ハフニウム及び/又はジルコニウムを含有する固形の層状化合物が提供され、この層状化合物は、運搬が容易で、硬質膜の原料に使用することができ、現場施工により、容易に硬質膜を形成することができる。
また、前記(2)の発明によると、前記ハフニウム及び/又はジルコニウム層状化合物の効率的な製造方法が提供される。
さらに、前記(3)の発明によると、前記ハフニウム及び/又はジルコニウム層状化合物を含有する水溶液を基板に塗布することにより形成された塗布層に紫外線を照射することにより、ガラス基板、ステンレス基板、又はプラスチック基板等の基板上に、鉛筆硬度9H以上の硬質膜を形成することができる。この硬質膜は、硬質膜を形成する現場に、前記ハフニウム及び/又はジルコニウムを含有する固形の層状化合物を運びこみ、現場で塗布液を調製し、塗布層を形成することによって、現場施工により容易に形成することができる。
この発明の層状化合物は、ハフニウム及び/又はジルコニウムとカルボニル基とを含有する化合物である。
この発明に係る層状化合物は、ハフニウム及び/又はジルコニウム原子とカルボニル基とを含有することにより特長づけられ、前記ハフニウムイオン及び/又はジルコニウムイオンとカルボニル基中の酸素原子とが配位結合しているものと推測される。層状化合物に含まれるカルボニル基は、RCOOH(ただし、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。)で示されるカルボン酸に由来することができる。
前記層状化合物は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、多数のシート状物が積層して成る構造を有するものとして観察される。この層状化合物は、エネルギー分散型X線分光法(EDS)による定性分析の結果、Hf(又はZr)、C、及びOを含有していることが確認された。また、ClやNは観測されなかったので、ClイオンやNH イオンは含有されていないことが明らかになった。
さらに、前記層状化合物は、フーリエ変換赤外吸収スペクトル(FTIRスペクトル)によって、COO基に基づく吸収が観測された。また、前記層状化合物は、X線回折(XRD)によると、2θ=10°(CuKα線使用)付近に反射ピークが観測され、層状構造であることが示されている。この層状化合物は、水溶性である。したがって、この層状化合物は、水性溶媒例えば水、並びに、メチルアルコール及びエチルアルコール等の低級水溶性アルコール等の混合溶媒等に溶解することができる。
さらに、この発明に係る層状化合物は、ハフニウムとカルボニル基とを含有する化合物及びジルコニウムとカルボニル基とを含有する化合物のそれぞれの単独層状化合物であってもよく、両者の混合層状化合物であってもよい。両者の混合割合に特に制限はない。
一般に、ゾル−ゲル法等の湿式法による硬質膜等の皮膜の形成においては、ゾルを塗布液として用いる。一般に、このゾル中の固形分量は、1〜10質量%であり、他の成分は、アルコール等の溶媒である。ゾルの塗布により溶媒は除去され、有用な固形分のみが残存して皮膜が形成される。したがって、ゾルの運搬時、皮膜の形成に直接寄与しない溶媒も同時に運搬しなければならず、このことは、輸送コストに反映されることとなる。また、ゾルのポットライフは、長くとも1年であり、一層の改良が要求されている。
この発明の層状化合物は、固形であり、皮膜の形成に有用な成分のみであることから、前記ゾルに比して軽量であって運搬が容易であり、輸送コストを低減することができる。また、この発明の層状化合物は、室温下で安定であり、少なくとも1年は、構造の変化を生じることはない。したがって、硬質膜の形成材料として、長寿命を維持することができる。しかも、この発明の層状化合物は、水溶性であることから、前記硬質膜の形成に用いる塗布液の調製が簡便であり、現場施工により、容易に硬質膜を形成することができる。
この発明に係る層状化合物は、この発明に係る製造方法により、すなわち、水酸化ハフニウム及び/又は水酸化ジルコニウムと水とカルボン酸とを混合し、加熱することにより製造されることができる。
ハフニウムおよび/またはジルコニウムの水酸化物は、ハフニウム及び/又はジルコニウムの塩を含有する塩溶液または前記元素のアルコキシドを含有するアルコキシド溶液とアンモニア水および/またはアミン類とを混合することにより、得ることができる。
前記ハフニウムまたはジルコニウムの塩としては、ハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩などが挙げられ、好適な塩はハロゲン化物である。
前記ハフニウムのハロゲン化物としては、四塩化ハフニウム、四フッ化ハフニウム、四臭化ハフニウム、四ヨウ化ハフニウム、四塩化ハフニウムが好ましい。
前記ジルコニウムのハロゲン化物としては、四塩化ジルコニウム、四フッ化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、二塩化酸化ジルコニウム・八水和物を挙げることができる。
前記ハフニウムまたはジルコニウムのアルコキシドとしては特に制限はないが、炭素数5以下のアルコキシド、具体的には、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシド、ペントキシドが好ましい。
上述の塩溶液またはアルコキシド溶液における溶媒として、水またはアルコール、ケトン、アミン、アミドなどの有機溶媒が挙げられるが、好ましく用いられる溶媒は水である。有機溶媒を用いるときは、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、ビニルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサンなどの水溶性有機溶媒が好ましい。
上記元素の塩溶液またはアルコキシド溶液と混合されるアンモニア溶液またはアミン類は、アンモニアおよび/またはアミン類を含有する。前記アミン類としては、第1級アミン類、第2級アミン類、第3級アミン類などを挙げることができる。
前記塩化ハフニウム水溶液における塩化ハフニウムの濃度に制限はないが、通常は1〜70質量%、好ましくは1〜50質量%とされる。また、前記アンモニア水の添加量にも特に制限はないが、前記塩化ハフニウム水溶液のpHが7〜14となる量とすることが好ましい。
この発明の層状化合物の製造方法において用いる水酸化ジルコニウムは、前記塩化ハフニウムに代えて、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム等のジルコニウム化合物を用いること以外には、特に、前記水酸化ハフニウムの製造と異なるところはない。また、塩化ハフニウムと塩化ジルコニウムとの混合物の水溶液を調製し、前記と同様にして、水酸化ハフニウムと水酸化ジルコニウムとの混合物を製造してもよい。水酸化ハフニウムと水酸化ジルコニウムとの混合割合は、任意である。
このようにして製造された水酸化ハフニウム及び/又は水酸化ジルコニウムに、水とカルボン酸とを添加、混合し、加熱することによって、この発明の層状化合物を製造することができる。
前記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸等を挙げることができ、中でも、ギ酸、酢酸、シュウ酸及びマロン酸が好ましい。
前記水及びカルボン酸の添加量にも特に制限はないが、水酸化ハフニウム又は水酸化ジルコニウム100質量部に対し、水の添加量が、通常は50〜1000質量部、好ましくは100〜600質量部であり、カルボン酸の添加量が、通常は900質量部以上、好ましくは900〜5000質量部である。
また、前記加熱の条件としては、通常は50〜100℃、好ましくは65〜95℃の加熱温度の範囲から、通常は0.1〜30時間、好ましくは1〜24時間の加熱時間の範囲から、適宜、選択された条件を採用することができる。
この発明の層状化合物の製造に用いる水酸化ハフニウム又は水酸化ジルコニウム及びカルボン酸は、容易に水に溶解することから、この発明の層状化合物の製造方法は、多数の工程を経ることなく、かつ複雑な手段を採ることのない、効率的に層状化合物を製造することのできる方法である。
この発明の硬質膜は、前記層状化合物を含有する塗布層に紫外線を照射することによって形成することができる。
この発明の硬質膜は、まず、塗布層を形成するための塗布液を調製し、次いで、この塗布液を基板上に塗布して前記塗布層を形成した後、この塗布層に紫外線を照射することによって形成される。
前記塗布液は、前記層状化合物を水に溶解して得られる層状化合物の水溶液として調製される。この層状化合物の水溶液における層状化合物の濃度に制限はないが、通常は1〜40質量%、好ましくは1〜20質量%とされる。
前記塗布液には、シランカップリング剤が含有されていることが好ましい。シランカップリング剤を含有する塗布液を基板上に塗布して形成される塗布層は、基板との密着性に優れた硬質膜を与えるからである。また、前記塗布液には、有機物が含有されていることが好ましい。耐久性に優れた硬質膜を得ることができるからである。前記シランカップリング剤及び有機物は、塗布液中にそれぞれ、単独で含有されていてもよく、両者が含有されていてもよい。
前記シランカップリング剤としては、官能基を有するシラン化合物を挙げることができ、前記官能基としては、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、メタクリロキシル基、アルコキシル基、グリシジル基、ビニル基等を挙げることができる。
このようなシランカップリング剤の中でも、一般式、R lmSiR2 n(式中、Rはアルキル基を、Xはアルコキシ基またはハロゲン化物イオンを、R2は有機官能基を有するアルキル基を示し、l、m及びnはそれぞれ0、1、2、3または4であり、l+m+nは4である。)で表されるシラン化合物が好ましい。Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R2で示されるアルキル基に結合する有機官能基としては、−Y−Z(ただし、Yは単結合、又は炭素数が1〜3のアルキレン結合を示し、Zはビニル基、エポキシ基、グリシジル基、−X(CH)=CH、−NH、−CHCl、−SH、グリシジルオキシ基、1−メチルビニルカルボオキシ基、2−アミノ−エチルアミノ基、3、4−エポキシシクロヘキシル基等である。)で示される基を挙げることができ、特にビニル基、エポキシ基、グリシジル基、1−メチルビニル基、アミノ基、クロロメチル基、メルカプト基、グリシジルオキシプロピル基、1−メチル−ビニルカルボオキシプロピル基、2−アミノ−エチルアミノプロピル基等を好適例として挙げることができる。
このようなシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリヒドロキシシリルメチルホスホネートナトリウム塩、ニトクロトリス(メチレン)トリホスホン酸、トリス(トリメチルシリル)ホスフエート、トリス(トリメチルシリル)ホスファイト、ジエチルホスフエートエチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
また、前記有機物としては、光硬化性モノマー、前記光硬化性モノマーを構成単位とするポリマー、タンニン及びカキシブから選ばれた少なくとも一種を挙げることができる。
前記光硬化性モノマーとしては、例えば、紫外線硬化性モノマーを挙げることができ、アクリル酸、メタタクリル酸及びクロトン酸等の(メタ)アクリル酸類、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプオピルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート及びジシクロペンタンジエンアクリレート等の単官能アクリレート類、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール400ジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレート等の二官能アクリレート類、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三官能以上のアクリレート類を挙げることができる。これら光硬化性モノマーの中でも、(メタ)アクリル酸類が好ましい。
前記光硬化性モノマーを構成単位とするポリマーとしては、例えば、前記(メタ)アクリル酸類、前記単官能アクリレート類、前記二官能アクリレート類又は前記三官能以上のアクリレート類を紫外線照射し重合して得られるポリ(メタ)アクリル酸類又はポリアクリレート類を挙げることができる。これらポリマーの中でも、ポリ(メタ)アクリル酸類が好ましい。
また、タンニンは、樹皮や種子等の植物に含まれ、加水分解によって多価フェノールカルボン酸を生成する物質である。加水分解によって水溶性の没食子酸等を生成する加水分解性タンニンと不溶性のフロバフェン酸等を生成する縮合タンニンとに分類される。この発明において用いるタンニンは、いずれのタンニンであってもよい。m−ガロイル没食子酸もタンニンの一種であり、同様に用いることができる。
さらに、カキシブは、タンニンの重合体であり、例えば、渋柿の実から採取されるカキタンニンを構成単位とする高分子物質を含む液を挙げることができ、このカキタンニンの分子構造は、鹿児島大学によって、下記の構造を有するものと推測されている。
Figure 2006104087
前記塗布液に含有さるシランカップリング剤及び/又は有機物の量に特に制限はないが、HfO換算されたハフニアゾル100質量部に対し、通常は50〜5000質量部、好ましくは50〜2000質量部とされる。
前記塗布液が塗布される基板の材質に制限はないが、好ましい材質として、ガラス、金属又はプラスチックを挙げることができる。
前記ガラスとしては、例えば、石英ガラス、96%石英ガラス、ソーダライムガラス、ソーダ石灰ガラス、アルミノ硼珪酸ガラス、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、無アルカリガラス、鉛ガラス等のガラスを挙げることができる。
前記金属としては、例えば、普通鋼、構造用定合金鋼、高張力鋼、耐熱鋼、高クロム系耐熱鋼、高ニッケル−クロム系耐熱鋼等の合金鋼、ステンレス鋼等の鉄鋼材料、工業用純アルミニウム、5000系の合金、Al−Mg系アルミニウム合金、6000系アルミニウム合金等のアルミニウム合金、銀入銅、錫入銅、クロム銅、クロム・ジルコニウム銅、ジルコニウム銅等の銅合金、純チタン、抗力チタン合金、耐食性チタン合金等のチタン合金等を挙げることができる。
また、前記プラスチックとしては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフイド、ポリイミド等を挙げることができる。
さらに、例えば、前記プラスチックの表面に、また、ムライト磁器、アルミナ磁器、ジルコン磁器、コーディエライト磁器、ステアタイト磁器等のセラミックスの表面に、さらには、スチール、ステンレス等の各種金属の表面に、金メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ等のメッキを施した材料をも挙げることができる。
この発明の硬質膜は、前記塗布液を基板上に塗布して塗布層を形成し、この塗布層に紫外線を照射することによって形成されるが、前記塗布液を基板上に塗布するに先立ち、基板表面を清浄化することが好ましい。基板表面を清浄化することにより、はじきを生じることなく、均一な塗布層を形成することができるからである。
前記清浄化の手段としては、例えば、基板がガラスの場合は、洗剤、特に中性洗剤を用いて洗浄処理する手段を挙げることができ、基板が金属の場合は、脱脂剤を用いて金属表面を脱脂処理する手段を挙げることができる。
前記脱脂剤としては、塩基性の化合物を含有する脱脂剤が好適であり、この塩基性の化合物として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム等を挙げることができる。前記脱脂剤としては、市販のアルカリ性クリーナ、例えば、アトテックジャパン(株)から市販されているクリーナーE33(商品名)、大同化学工業(株)から市販されているダイクリーナー(商品名)、メルテックス(株)から市販されているクリーナーS−61(商品名)、エンボンドCA−S(商品名)、エンボンドQ−547(商品名)及びクリーナー160(商品名)、奥野製薬工業(株)から市販されているトップクリーン(商品名)、トップクリーナー(商品名)及びエースクリーン(商品名)等を容易に入手することができる。これら脱脂剤は、溶媒に溶解させた溶液として用いられ、溶媒としては、通常、水が用いられる。前記脱脂剤を含有する溶液における前記脱脂剤の濃度は、通常、0.1〜60質量%である。
前記基板上に塗布液を塗布する方法としては、例えば、塗布液中に基板を浸漬し、これをゆっくりと引き上げるディップ法、固定された基板上に塗布液を流延する流延法、塗布液の貯留された槽の一端から塗布液に基板を浸漬し、槽の他端から基板を取り出す連続法、回転する基板上に布液を滴下し、基板に作用する遠心力によって塗布液を基板上に流延するスピンナー法、基板上に塗布液を吹き付けるスプレー法及びフローコート法等を挙げることができる。
このようにして、基板上に塗布液を塗布して塗布層を形成し、この塗布層に紫外線を照射することによって、この発明の硬質膜が形成される。紫外線の照射に際して用いる光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、エキシマレーザー、Nd:YAGレーザー等を挙げることができる。これらの光源を使用することにより、紫外線を廉価に照射することができる。照射時間は、通常、1分〜1時間である。
前記塗布層に紫外線を照射することによって形成されたこの発明の硬質膜(ハフニア膜及び/又はジルコニア膜)の硬度は、鉛筆硬度法(JIS K 5400)によって評価することができる。この発明の硬質膜の鉛筆硬度は、9H以上である。
また、この発明の硬質膜の疎水性は、接触角計を用いて測定される水滴の接触角によって評価することができる。この発明の硬質膜の接触角は、85°以上である。
さらに、この発明の硬質膜は、透明であり、クラックの発生のない膜である。また、X線回折装置によって、この発明の硬質膜は、無定形(アモルファス)であることが確認された。
高い硬度を有し、疎水処理が必要とされ、または望まれる、各種の設備、装置、機械器具、例えば、自動車の窓ガラス、自動車の塗装表面、台所設備、台所用品、台所設備に付設される排気装置、入浴設備、洗面設備、医療用施設、医療用機械器具、鏡、眼鏡等の表面に、この発明の硬質膜を形成することによって、この発明の硬質膜は、その機能を存分に果たすこととなる。
以下に、実施例を挙げてこの発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例によってこの発明はなんら限定されるものではない。
(実施例1)
塩化ハフニウム(HfCl)16.3gを窒素雰囲気下、水96g中に溶解した。得られた溶液に、pH9.0になるまで29%アンモニア水27mlを添加し、生成した水酸化ハフニウムの沈殿物をろ過して、ろ液がpH7以下になるまで、沈殿物を純水により洗浄した。洗浄を終えた沈殿物(洗浄後沈殿物と称することがある。)に純水41gとギ酸158gとを添加し、80〜90℃の温度範囲内に成るように加熱温度を調節しながら5時間、撹拌した後、室温まで冷却した。生成した白色沈殿物を吸引ろ過し、風乾して、ハフニウム含有の層状化合物(Hf−1)を得た。この層状化合物(Hf−1)の電子顕微鏡写真を図1に、この層状化合物(Hf−1)のX線回折チャート図を図2に示した。
このようにして得られた層状化合物(Hf−1) 2.5gを純水22.5gに加え、55〜60℃の温度範囲になるように加熱温度を調節しながら1時間、撹拌して層状化合物(Hf−1)の水溶液を調製した。一方、ソーダライムガラス製のガラス基板を、中性洗剤で洗浄し、純水でリンスした後、風乾しておいた。前記層状化合物(Hf−1)の水溶液を前記ガラス基板上に、スピンナー法によって塗布した。この塗布試料を光源の9cm下に置き、1kw高圧水銀灯(H1000L、東芝ライテック社製)により10分間、紫外線照射して、ガラス基板上に硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、前記硬質膜の水に対する接触角を、接触角計(CA−D、協和界面科学社製)によって測定した(このとき、硬質膜が形成されたガラス基板を室内に放置して、7日後に測定した)。接触角は92°であった。さらに、前記硬質膜の構造を、X線回折装置(RAD−2B、リガク社製)によって調べた。2θ=5〜90°まで測定したが、ガラスのハローパターン以外、鋭い反射ピークは観測できなかった。このことから、前記硬質膜はアモルファスであることが分った。
(実施例2)
ギ酸の使用量を104gとした以外は、実施例1と同様して、ハフニウム含有の層状化合物(Hf−2)を得た。
このようにして得られた層状化合物(Hf−2) 2.5gを純水47.5gに室温で溶解して、層状化合物(Hf−2)の水溶液を調製した。この層状化合物(Hf−2)の水溶液を用い、実施例1と同様にして、硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例1と同様にして測定した接触角は89°であった。さらに、実施例1と同様に、硬質膜はアモルファスであることが分った。
(実施例3)
ギ酸の代わりに酢酸168gを用い、80〜90℃の温度範囲内に成るように加熱温度を調節しながら5時間加熱する代わりに3時間加熱したこと以外は、実施例1と同様して、ハフニウム含有の層状化合物(Hf−3)を得た。
このようにして得られた層状化合物(Hf−3) 3.0gを純水21gに加えたこと、ガラス基板として、無アルカリガラスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例1と同様にして測定した接触角は95°であった。さらに、実施例1と同様に、この硬質膜はアモルファスであることが分った。
(実施例4)
層状化合物(Hf−3) 4.0gを純水とエタノールとの混合溶媒(純水:エタノール=1:1容量比)23gに加えて、40℃で30分間、撹拌したこと、5分間、紫外線照射したこと以外は、実施例3と同様にして、ハフニア含有の硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例1と同様にして測定した接触角は96°であった。さらに、実施例1と同様に、ハフニア膜はアモルファスであることが分った。
(実施例5)
実施例1で得られた水酸化ハフニウムの洗浄後沈殿物に純水300gを加えたこと、ギ酸158gに代えてシュウ酸202.5gを用いたこと、80〜90℃の温度範囲になるように加熱温度を調節しながら4時間加熱撹拌した以外は、実施例1と同様して、ハフニウム含有の層状化合物(Hf−4)を得た。
このようにして得られた層状化合物(Hf−4) 2.5gを純水35gに加えて50〜60℃になるように温度調節しながら1.5時間加熱撹拌したこと以外は、実施例1と同様にして、硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例1と同様にして測定した接触角は90°であった。さらに、実施例1と同様に、ハフニア膜はアモルファスであることが分った。
(実施例6)
塩化酸化ジルコニウム(ZrClO・8HO)16.4gを水120g中に溶解した。得られた溶液に、29%アンモニア水25mlを添加して溶液のpHを9.0にし、生成した水酸化ジルコニウムの沈殿物をろ過して、ろ液がpH7以下になるまで、沈殿物を純水により洗浄した。洗浄を終えた沈殿物(洗浄沈殿物と称することがある。)に純水50gとギ酸143gとを添加し、80〜90℃の温度範囲になるように温度調節しながら2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却した。生成した白色沈殿物を吸引ろ過し、風乾して、ジルコニウム含有の層状化合物(Zr−1)を得た。
このようにして得られた層状化合物(Zr−1) 3.0gを純水27gに加え、50〜60℃になるように温度調節しながら1時間加熱撹拌して層状化合物(Zr−1)の水溶液を調製した。一方、ソーダライムガラス製のガラス基板を、中性洗剤で洗浄し、純水でリンスした後、風乾しておいた。この層状化合物(Zr−1)の水溶液を前記ガラス基板上に、スピンナー法によって塗布した。この塗布試料を光源の9cm下に置き、1kw高圧水銀灯(H1000L、東芝ライテック社製)により20分間、紫外線照射して、ガラス基板上にジルコニア含有の硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、硬質膜が形成されたガラス基板を室内に7日間放置しておいたその硬質膜の水に対する接触角を、接触角計(CA−D、協和界面科学社製)によって測定した。測定結果として接触角は95°であった。さらに、前記硬質膜の構造を、X線回折装置(RAD−2B、リガク社製)によって調べた。2θ=5〜90°まで測定したが、ガラスのハローパターン以外、鋭い反射ピークは観測できなかった。このことから、ジルコニア膜はアモルファスであることが分った。
(実施例7)
純水の使用量を60gとしたこと、ギ酸143gに代えて酢酸210gを用いたこと以外は、実施例6と同様して、ジルコニウム含有の層状化合物(Zr−2)を得た。
層状化合物(Zr−2) 3.0gを純水とエタノールとの混合溶媒(純水:エタノール=1:1容量比)57gに加えたこと、ガラス基板として、無アルカリガラスを用いたこと、15分間、紫外線照射したこと以外は、実施例6と同様にして、硬質膜を形成した。
ガラス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。前記硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例6と同様にして測定した接触角は98°であった。さらに、実施例6と同様に、硬質膜はアモルファスであることが分った。
(実施例8)
実施例1において調製された層状化合物(Hf−1)の水溶液に、5%アンモニア水を添加して、pH7とし、シランカップリング剤〔(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン〕1.33gとアクリル酸3.3gとを添加し、撹拌して、混合液を調製した。一方、ステンレス基板(SUS 304)を脱脂処理した後、風乾した。このステンレス基板上に、スプレー法により前記混合物を塗布した。この塗布試料を光源の9cm下に置き、1kw高圧水銀灯(H1000L、東芝ライテック社製)により10分間、紫外線照射して、ステンレス基板上に硬質膜を形成した。
ステンレス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。ガラス基板上に形成された硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、硬質膜が形成されたガラス基板を室内に7日間放置しておいたその硬質膜の水に対する接触角を、接触角計(CA−D、協和界面科学社製)によって測定した(このとき、硬質膜が形成されたステンレス基板を室内に放置して、7日後に測定した)。接触角は87°であった。さらに、前記硬質膜の構造を、X線回折装置(RAD−2B、リガク社製)によって調べた。2θ=5〜90°まで測定したが、ステンレスのハローパターン以外、鋭い反射ピークは観測できなかった。このことから、硬質膜はアモルファスであることが分った。
(実施例9)
実施例6において調製された層状化合物(Zr−1)の水溶液に、5%アンモニア水を添加して、pH7とし、シランカップリング剤〔(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン〕1.6gとアクリル酸4.2gとを添加し、撹拌して、混合液を調製した。この混合液を用い、15分間、紫外線照射した以外は、実施例6と同様にして、硬質膜(ジルコニア膜)を形成した。
ステンレス基板上に形成された硬質膜は、透明で、10倍のルーペにより観察したところ、クラックは一切、認められなかった。硬質膜の鉛筆硬度は9H以上であった。また、実施例6と同様にして測定した接触角は85°であった。さらに、実施例6と同様に、ジルコニア膜はアモルファスであることが分った。
図1は、実施例1で得られた層状化合物の電子顕微鏡写真を示す図である。 図2は、実施例1で得られた層状化合物のX線回折図である。

Claims (5)

  1. ハフニウム及び/又はジルコニウムとカルボニル基とを含有することを特徴とする層状化合物。
  2. 水酸化ハフニウム及び/又は水酸化ジルコニウムと水とカルボン酸とを混合し、加熱することを特徴とする請求項1に記載の層状化合物の製造方法。
  3. 請求項1に記載の層状化合物を含有する塗布層に紫外線を照射することによって形成されて成ることを特徴とする硬質膜。
  4. 前記塗布層が、シランカップリング剤を含有する請求項3に記載の硬質膜。
  5. 前記塗布層が、有機物を含有する請求項3又は4に記載の硬質膜。
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