JP2006100782A - 薄層化学トランジスター及びその製造方法 - Google Patents

薄層化学トランジスター及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【解決手段】 金属/固体電解質/半導体構造を有する薄層化学トランジスターにおいて、固体電解質層及び半導体層を形成する物質が、有機溶剤に溶解可能な化合物であることを特徴とする薄層化学トランジスター。
【効果】 本発明によれば、溶剤プロセスのみから作製されるため、インクジェットをはじめとするプリント技術により、容易に作製することが可能であり、TFT欠陥の確率を減少させて、製造コストの低減を図ることも可能となる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電界効果トランジスター(FET)の一種であるショットキーバリヤゲート電界効果トランジスター(SB−FET、MES−FET)、特に金属と半導体層間に高いイオン伝導を示す特定の高分子物質を材料とする固体電解質層を設け、半導体層の材料として特定の有機物を用いる薄膜化学トタンジスター及びその製造方法に関する。
シリコン半導体や化合物半導体を利用した薄層電界効果トランジスター(TFT)は、一般的な集積回路以外にも、その利用分野は拡大している。特に、液晶ディスプレイにおけるTFTの使用は常識化している。
特に近年、液晶ディスプレイは、ディスプレイの大型化と共に精細化も進みつつあり、従来以上に画素数に対応した多数のTFTの組み込みが要求されるようになってきている。
しかし、従来から用いられている通常の金属系半導体では、基板上に回路を形成する際、フォトレジスト等によるパターン化及びエッチング等の処理から、形成されるTFTに僅かの欠陥を生じ、対応する画素に表示欠陥を生ずることが避けられなかった。しかも、これらの処理によりTFTの製造コストを低減するには一定の限界があった。他の薄型ディスプレイ、即ちプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイにおいても、TFTを用いる場合には同様なことがいえる。
また、近年の大面積及び精細化傾向は、TFTの製造における欠陥の確率を高める傾向になっており、このTFT欠陥を最小限とする方法が強く望まれている。
一方、金属/絶縁体/半導体(MIS)構造を有するTFTにおいて、絶縁体及び半導体の材料を有機物とする試みがなされている。例えば、特表平5−508745号公報(特許文献1)では、絶縁層として比誘電率5以上の絶縁性有機高分子を、半導体層として重量平均分子量2,000以下の多共役有機化合物を用いて作製されたデバイスが電界効果を示し、その移動度が10-2cm2-1-1程度であることが記載されている。しかし、有機半導体材料としてα−セキシチエニルを用いて、蒸着により半導体層を形成することから、フォトレジスト等によるパターン化及びエッチング等の処理が必要となり、コストの低減が図られない。
更に、上記MIS構造を有するTFT及び化合物半導体を主として用いる金属/半導体(MES)構造を有するTFTにおいて、金属と半導体の層間物質として、固体電解質を用いたものはあまり知られていない。
特表平5−508745号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、固体電解質層及び半導体層を形成する物質として有機溶剤に溶解可能な化合物を用いて簡便な方法で、かつ欠陥を最小限に抑えた新規な薄層化学トランジスター及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、金属/固体電解質/半導体構造を有する薄層化学トランジスターにおいて、固体電解質層及び半導体層を形成する物質として有機溶剤に溶解可能な化合物を用いた簡便な方法により、欠陥を最小限に抑えることができることを見出した。
更に、有機半導体物質の中で電気化学的に酸化・還元が可逆である物質は、中性時に比べてその電気伝導度が劇的に向上する物質があることに着目し、金属と上記特性を有する有機半導体の層間物質として無機イオン塩を含んだ高いイオン伝導性を有する高分子化合物を用いた場合、従来のFETのように空乏層も反転層も存在せず、ポリマー電解質の高イオン伝導性と有機半導体のドーピングに対する可逆性から、トランジスター性能を発現することも見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、以下に示す新規な薄層化学トランジスター及びその製造方法を提供するものである。
(1)金属/固体電解質/半導体構造を有する薄層化学トランジスターにおいて、固体電解質層及び半導体層を形成する物質が、有機溶剤に溶解可能な化合物であることを特徴とする薄層化学トランジスター。
(2)上記固体電解質層が、有機溶剤に溶解可能な化合物と無機イオン塩を含むことを特徴とする(1)記載の薄層化学トランジスター。
(3)固体電解質層を形成する化合物のイオン伝導率が、1×10-5Scm-1以上であることを特徴とする(1)又は(2)記載の薄層化学トランジスター。
(4)固体電解質層を形成する化合物が、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量2,000〜1,000,000の高分子化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の薄層化学トランジスター。
(5)固体電解質層を形成する化合物が、シアノ基を有する絶縁性高分子化合物であることを特徴とする(4)記載の薄層化学トランジスター。
(6)固体電解質層を形成する化合物が、シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物であることを特徴とする(4)又は(5)に記載の薄層化学トランジスター。
(7)固体電解質層を形成する化合物が、シアノエチルプルランであることを特徴とする(6)記載の薄層化学トランジスター。
(8)上記シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、ビス−2−シアノエチルエーテルを100ppm以下含むことを特徴とする(6)又は(7)記載の薄層化学トランジスター。
(9)半導体層を形成する化合物が、電気化学的に可逆であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の薄層化学トランジスター。
(10)半導体層を形成する化合物が、銅フタロシアニンであることを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の薄層化学トランジスター。
(11)半導体層を形成する化合物が、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量2,500〜1,000,000の高分子化合物であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の薄層化学トランジスター。
(12)半導体層を形成する化合物が、ポリチオフェン類であることを特徴とする(11)記載の薄層化学トランジスター。
(13)金属層からなるゲート電極上に有機溶剤に溶解可能な化合物と無機イオン塩とを有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて固体電解質層を形成後、固体電解質層が溶解しない有機溶剤に溶解した半導体層を形成する物質を固体電解質層に塗着、乾燥させて半導体層を形成することを特徴とする薄層化学トランジスターの製造方法。
本発明によれば、金属/固体電解質/半導体構造を有する新規なトランジスターを形成することができる。また、固体電解質層及び半導体層材料の両者が有機溶剤に溶解可能な化合物であることから、従来の金属/絶縁体/半導体構造の電界効果トランジスター等が金属系半導体及び絶縁体の使用における回路形成技術でフォトレジスト等によるパターン化及びエッチング等の処理を必要とするのに対し、溶剤プロセスのみから作製されるため、インクジェットをはじめとするプリント技術により、容易に作製することが可能であり、TFT欠陥の確率を減少させて、製造コストの低減を図ることも可能となる。
更に、50Hz以上のスイッチング速度が得られることから、ペーパーディスプレイ、フラットパネルディスプレイの駆動回路への応用も可能となる。
本発明の薄層化学トランジスターは、例えば図1に示されるように、通常の電界効果トランジスターと同じ構造であるが、ゲート絶縁膜の代わりに有機溶剤に溶解可能な化合物からなる固体電解質膜を用いている。
即ち、SiO2等の基板1上にゲート電極となる金属層2が形成され、その上に無機イオン塩を含む固体電解質層3が形成され、更にその上に半導体層4が形成されると共に、この半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6が形成されたものである。この場合、金属層としては、一般的なITO(Indium Tin Oxide)膜又は物理的気相蒸着法(Physical Vapor Deposition)や有機金属化学気相蒸着法(Metal Organic CVD:MOCVD)によるAu、Cu、Al等の単独金属又はAu/Ti、Cu/Ti、Al/Ti等の積層金属を使用することができるが、本発明の目的から印刷により作製できることが好ましいので、実用上問題がなければ導電性金属ペーストの使用が好ましい。
本発明の薄層化学トランジスターにおいて、固体電解質層を形成する物質は、有機溶剤に溶解可能な化合物及び無機イオン塩である。このうち、有機溶剤に溶解可能な化合物は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜1,000,000の高分子化合物が好ましく、特にシアノ基を有する絶縁性高分子化合物が好ましい。具体的にはシアノエチルプルラン、シアノエチルセルロース、シアノエチルポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられ、このうちシアノエチルプルランが特に好ましい。シアノ基を有する絶縁性高分子化合物は、多くの分極基が分子内に存在するため(例えば、シアノエチルプルランは、1kHzで比誘電率19を持つ高誘電体)、固体電解質層を形成するもう一つの成分である無機イオン塩の静電エネルギーを緩和させ、イオンへの解離を促進する結果、アニオン種とカチオン種が可動イオンとなり、イオン伝導度を示す固体電解質となる。
これらのシアノ基を有する絶縁性高分子化合物は、例えばシアノエチルプルランの場合、プルラン樹脂をアルカリ触媒存在下、アクリロニトリルと反応させることにより得られる(特公昭59−31521号公報参照)。上記反応の副反応によりビス−2−シアノエチルエーテルが生成されるが、これを精製工程により取り除くことが必要となる。理由はシアノ基を有する絶縁性高分子化合物は、分子内に存在する極性基が電場に配向することにより誘電性を生ずる物質であるが、上記反応副生成物であるビス−2−シアノエチルエーテルが多量に存在すると、ロスファクターである誘電正接が増加し、好ましくないためである。従って、シアノ基を有する絶縁性高分子化合物中に残存するビス−2−シアノエーテル含量は、少なくとも100ppm以下、特に50ppm以下が好ましい。
本発明の薄層化学トランジスターは、このイオン移動による有機半導体の可逆的ドーピングを利用するものであり、イオン伝導度は高い方が好ましく、1×10-5Scm-1以上、特に1×10-4Scm-1以上が好ましい。なお、その上限は特に制限されない。
本発明のシアノ基を有する絶縁性高分子化合物のシアノ基の置換率(シアノエチルプルランの場合、シアノエチル基の置換率)は80モル%以上、特に85〜100モル%が好ましい。これは、上述のようにイオン種の解離は分極基であるシアノ基により促進されるため、一定以上のシアノ基の極性基濃度が必要であるばかりでなく、残存水酸基量が多いとロスファクターである誘電正接が増加し、本発明の目的において好ましくない場合があるからである。
固体電解質層を形成するもう一つの成分である無機イオン塩は、Li、Na、K、Cs、Ag、Cu、Mg及びRbのうちの少なくとも1種以上の元素を含むものである。この場合、アニオンは特に限定されず、無機イオン塩を使用する有機溶剤に溶解させるものであればよく、例えばCe-、I-、Br-、ClO4 -、SCN-、BF4 -、AsF5 -、CF3SO3 -、PF4 -、PF5 -、PF6 -、NO3 -等が挙げられる。
上記無機イオン塩として具体的には、LiClO4、LiI、LiSCN、LiBF4、LiAsF5、LiCF3SO3、LiPF4、NaI、NaSCN、NaBr、NaPF5、KI、KSCN、KPF5、KAsF5、CsSCN、CsPF6、AgNO3、CuCl2Mg(ClO42、Rb41.75Cl3.25等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせても使用できる。
なお、無機イオンの使用量は、上記高分子化合物に対して0.01〜80質量%、特に0.5〜20質量%が好ましい。
本発明の薄層化学トランジスターにおいて、半導体層は、電気化学的酸化・還元を可逆的に行える物質、言い換えればp型構造,n型構造を可逆的にとることができれば特に制限されず、分子量に拘わらず原理的に動作するものである。従って、半導体層は、電気化学的に酸化・還元が可逆であり、中性時に比べてその電気伝導度が向上する物質であれば、特に限定されるものではないが、固体電解質層が溶解しない有機溶剤に溶解する必要がある。これは、一般的なTFTの場合、積層により半導体層及び絶縁層(本発明では固体電解質層)を形成しようとすると、一般的には界面状態が均一にならないと考えられているからである。
従来、有機TFTの検討においては、特表平5−508745号公報(特許文献1)にも記載されているように、有機絶縁膜上に有機半導体層を蒸着により形成する方法や無機系絶縁膜上に有機半導体層のみを形成する方法が採られていた。例えば、有機半導体材料及び有機絶縁材料共に同一の有機溶剤に溶解して用いた場合、塗着、乾燥により得られた有機絶縁層上に、有機半導体材料を溶解した溶解液を塗着して、その塗着界面において有機絶縁材料の微少な溶解を生じ、最終的に乾燥して得られた積層界面には乱れを生ずることとなる。しかし、本発明においては、半導体材料及び固体電解質材料を溶解する有機溶剤種類を変えること、即ち、いずれかの材料がいずれかの有機溶剤に溶解しないものを用いることによって、この問題を回避することに成功した。具体的には、半導体層を形成する有機溶剤に溶解する化合物としては、ペンタセン、銅フタロシアニン、α−セキシチエニル等の低分子化合物、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリチェニレンビニレン類、ポリフェニレンビニレン類等の高分子化合物が挙げられる。しかし、低分子物質の場合、いわゆるプリント技術により製膜することが難しい場合があるため、本発明における半導体層は、有機溶剤に溶解可能なGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量が2,500〜1,000,000の高分子化合物が好ましく、具体的にはポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリチェニレンビニレン類、ポリフェニレンビニレン類等が挙げられる。なお、有機溶剤への可溶性、良好な加工性、安定性、電気化学的酸化・還元が可逆に行われ、中性時に比べてその電気伝導度が劇的に向上する等の点を考慮すると、特にポリ(3−ヘキシルチオフェン)等のポリチオフェン類が特に好ましい。ポリチオフェン類は、p型の有機電界効果トランジスターを与え、高い電界効果移動度を示すポリマーとして知られている。また、ポリチオフェン類は、有機溶剤中で電気化学的に酸化・還元を可逆的に行うことが知られており、電解法で作製されるドープしたポリチオフェンの電気伝導度は、中性のポリチオフェンの1,000倍以上になることが知られている。
固体電解質層を形成する化合物を溶解する有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、γ−ブチルラクトン等が使用され、一方、半導体層を形成する化合物を溶解する有機溶剤としては、クロロホルム、トルエン、ヘキサン、アルコール類等が使用される。いずれの場合も1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、金属層からなるゲート電極上に、有機溶剤に溶解可能な化合物と無機イオン塩とを有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて固体電解質層を形成後、固体電解質層が溶解しない有機溶剤に溶解する半導体層を形成する物質を有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて半導体層を形成する薄層化学トランジスターの製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ガラス又は一般的なポリマーシート等から選択された基板上にゲート電極となる金属層をスパッタリングで形成するか、あるいは金属ペーストや導電性高分子等をスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥して形成する。なお、一般的に入手可能なITO膜付きガラスを用いてもよい。
形成されたゲート電極上に、固体電解質層を形成する化合物と無機イオン塩を有機溶剤に溶解した溶液をスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥して固体電解質層を形成する。
その後、上記固体電解質層を形成する化合物が溶解しない有機溶剤に半導体層を形成する物質を溶解した溶液を、固体電解質層上にスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥して半導体層を作製する。なお、この際に固体電解質層−半導体層間の界面で半導体分子を配向させるために、固体電解質層表面に公知のラビング処理等、物理的処理を行ってもよい。
最後に、半導体層上にソース及びドレイン電極をスパッタリングで形成するか、金属ペーストや導電性高分子等をスクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥する。
なお、固体電解質の厚さは、0.2〜10μm、特に0.5〜3μmであることが好ましく、半導体層の厚さは、50〜300nm、特に100〜200nmであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の薄層化学トランジスターは、金属層からなるゲート電極上に無機イオン塩を含む固体電解質層を設け、更にその上に半導体層を形成した構造であり、ゲートに電位が付加されることにより無機イオン塩の解離を生じ、固体電解質層近傍の半導体物質がドーピングされた電気伝導度の高いパスを形成することを利用したのである。従って、従来のFETのように空乏層も反転層も存在せず、固体電解質の高イオン伝導性と半導体層を形成する化合物、例えばポリチオフェンのドーピングに対する可逆性の二つの性質を利用するものである。
即ち、本発明の薄層化学トランジスターの原理は、固体電解質と半導体の層界面付近において、図2に示すようにゲートに電位を付加することにより下記の酸化・還元に基づく電気化学反応が起きて、ドーピング、脱ドーピングによる可逆な半導体(金属)−固体電解質転移を用いて、上記電気化学反応を制御し、ソース・ドレイン間の電流値を変調することにより動作するものである。中性のポリチオフェンがOFF状態に、ドーピングした状態がON状態に対応する。
Polythiophene+nBF4 -1
⇔ Polythiophene(BF4n+ne-
従って、固体電解質層と半導体層の界面状態が非常に重要であり、その界面が平坦である程、好ましいことを意味する。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
固体電解質層を形成する高分子化合物として、シアノエチル基置換率が85.2モル%であるシアノエチルプルラン(CyEPL、信越化学工業(株)製、CR−S、重量平均分子量:49,000 ビス−2−シアノエチルエーテル含有量:46ppm)を、無機イオン塩としてLiBF4を用いた。
また、半導体層材料として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT、ALDRICH社製、重量平均分子量:87,000)を用い、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)を溶解する有機溶剤としてシアノエチルプルランを溶解しないクロロホルムを用いて、下記に示す方法で薄層化学トランジスターを作製し、評価した。
ガラス(SiO2)基板上に、室温,背圧10-4Paの条件でRFスパッタ法によりTiを5nm蒸着し、次いでAuを20nmの膜厚に蒸着することでゲート電極を作製した。
次に、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンに15質量%の濃度でシアノエチルプロランを溶解し、これにシアノエチルプルランに対して5質量%になるようにLiBF4を加え、溶解し、0.2μmメンブランフィルターで濾過後、スピンコートして100℃で1時間乾燥し、固体電解質層を形成した。
形成された固体電解質層上に、半導体層材料であるポリ(3−ヘキシルチオフェン)のクロロホルム0.8質量%溶液を、0.2μmメンブランフィルターで濾過後、スピンコートし、100℃で1時間乾燥し、膜厚50nmの半導体層を形成した。最後にソース・ドレイン電極を熱蒸着法で作製した。
固体電解質層及びポリ(3−ヘキシルチオフェン)の膜厚は、それぞれ700nm、100nmであり、ソース・ドレイン間の距離と電極幅は、それぞれ30μm(図1においてL=30μm)、2mm(図1においてW=2mm)であった。電気測定は全て、室温、遮光、1.3×10-3Pa以下の真空下で行った。
各ゲート電圧におけるソース・ドレイン電流・電圧ISD−VSD曲線を図3に示す。VSG>−1Vでは、ISDに変化はないが、VSG<−1Vでは、ゲート電圧が増加するにつれて、ISDも増加した。VSG<−1Vでは、BF4 -がポリ(3−ヘキシルチオフェン)にドーピングされているため半導体層はp型であり、ゲート電圧に対するソース・ドレイン電流の応答性は、電界効果トランジスターと同様となる。
一方、VSD=−30VにおけるVSG=0Vと−20VのISDは、それぞれ−4.7nA、−0.13μAであり、ON/OFF比は28であった。
このトランジスターのスイッチング特性を評価するため、交流ゲート電圧に対するISDの応答を測定した。VSDを−10Vに固定して、サイン波のゲート電圧−6〜0Vまでを、1Hz〜1kHzの周波数で印加して測定したところ、約300HzまでISDの時間変化が観測された。
トランジスターのスイッチング速度として20msecである50HzでのISDの時間変化を見てみると、図4に示すようにVSGが0〜−6Vに減少する領域では、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)へのドーピングが生じるため、ISDの値は増加していった。一方、VSGが−6〜0Vへ増加する領域では、脱ドーピングが生じるため、ISDが減少した。ISDの最大値と最小値はそれぞれ5.9nA、4.3nAであったため、ISDの増幅率は38%であった。
本発明の薄層化学トランジスターの一態様を示す斜視図である。 電解質層と半導体層の層界面付近における電気化学反応を示す図であり、(A)は電圧を付加していないオフ状態、(B)は電圧を付加したオン状態(ドーピングした状態)である。 本発明の実施例の薄層化学トランジスターのISD−VSD曲線を示す図である。 本発明の実施例の薄層化学トランジスターのISD−VSD特性を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 金属層(ゲート電極)
3 固体電解質層
4 半導体層
4a ドープされた半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極

Claims (13)

  1. 金属/固体電解質/半導体構造を有する薄層化学トランジスターにおいて、固体電解質層及び半導体層を形成する物質が、有機溶剤に溶解可能な化合物であることを特徴とする薄層化学トランジスター。
  2. 上記固体電解質層が、有機溶剤に溶解可能な化合物と無機イオン塩を含むことを特徴とする請求項1記載の薄層化学トランジスター。
  3. 固体電解質層を形成する化合物のイオン伝導率が、1×10-5Scm-1以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の薄層化学トランジスター。
  4. 固体電解質層を形成する化合物が、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量2,000〜1,000,000の高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の薄層化学トランジスター。
  5. 固体電解質層を形成する化合物が、シアノ基を有する絶縁性高分子化合物であることを特徴とする請求項4記載の薄層化学トランジスター。
  6. 固体電解質層を形成する化合物が、シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物であることを特徴とする請求項4又は5記載の薄層化学トランジスター。
  7. 固体電解質層を形成する化合物が、シアノエチルプルランであることを特徴とする請求項6記載の薄層化学トランジスター。
  8. 上記シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、ビス−2−シアノエチルエーテルを100ppm以下含むことを特徴とする請求項6又は7記載の薄層化学トランジスター。
  9. 半導体層を形成する化合物が、電気化学的に可逆であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の薄層化学トランジスター。
  10. 半導体層を形成する化合物が、銅フタロシアニンであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の薄層化学トランジスター。
  11. 半導体層を形成する化合物が、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量2,500〜1,000,000の高分子化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の薄層化学トランジスター。
  12. 半導体層を形成する化合物が、ポリチオフェン類であることを特徴とする請求項11記載の薄層化学トランジスター。
  13. 金属層からなるゲート電極上に有機溶剤に溶解可能な化合物と無機イオン塩とを有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて固体電解質層を形成後、固体電解質層が溶解しない有機溶剤に溶解した半導体層を形成する物質を固体電解質層に塗着、乾燥させて半導体層を形成することを特徴とする薄層化学トランジスターの製造方法。
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