JP4883558B2 - 両極性有機電界効果薄層トランジスター及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属/絶縁体/半導体構造(MIS)を有する薄膜電界効果トランジスターにおいて、絶縁体層の材料として誘電体の特性を有する、特には強誘電体類似のヒステリシスを有する特定の有機化合物を用いたp型及びn型の両方のトランジスター特性を示す両極性有機電界効果薄層トランジスター及びその製造方法に関する。
従来型のシリコン半導体や化合物半導体を利用した薄層電界効果トランジスター(TFT)は、一般的な集積回路以外にも、その利用分野は拡大している。その一方で、これらデバイスを適用したい新しい用途が増え始め、より安価であることや屈曲可能なデバイスの要求が増大している。これに対応すべく、低コスト、柔軟性等多様な機能性をデバイスに応用可能であることから、有機半導体に関する研究が盛んに行われている。この実用化により、プリンタブル集積回路や電子ペーパー等の実現が見込まれているが、ほとんどの有機半導体がp型の挙動を示し、n型の挙動を示すものはC60等、極僅かの物質しかない。
n型有機半導体は、p−nジャンクションをはじめとする有機電子デバイスの実現に非常に重要な物質である。
有機半導体が、一般的にp型からn型への極性反転を示さないのは、シリコン半導体に比べてバンドギャップが大きいため、多大なゲート電圧をかけてバンドを曲げても反転層が形成されないからである。反転層を形成するためには、ゲート絶縁膜と有機半導体の界面に多大なキャリアを誘起させればよいが、従来のゲート絶縁膜を用いる場合は、高ゲート電圧により絶縁破壊を起こしてしまい、極性反転を起こすのに十分なキャリア量を誘起するのは困難だった。
例えば、絶縁膜として高耐電圧・高誘電率・低リーク電流を有する酸化アルミニウム薄膜を、有機半導体として単結晶を使用することが提案されている(非特許文献1:Appl,Phys.Lett,Vol.85,p3899(2004))。これは、有機半導体として単結晶を用いることで、半導体薄膜におけるグレインやトラップ準位による影響をなくすことができるために、高移動度が得られることが期待できるとしている。しかし、酸化物絶縁体は薄膜化しやすく、誘電率が高いという利点がある反面、酸素欠損が必ず存在し、耐電圧が下がってしまう。
Appl,Phys.Lett,Vol.85,p3899(2004)
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、比較的簡便な方法で、p型及びn型の両方のトランジスター特性を示す両極性有機電界効果薄層トランジスター及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、半導体層を形成する物質が有機化合物であり、絶縁体層を形成する物質が有機溶剤に溶解可能で、かつ強誘電体類似の自発分極を示すシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物を用いることにより、この絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物の抗電界以上で耐電圧以下の電圧をソース及びゲート電極間に印加するポーリングを行った場合に、n型のトランジスターの特性を示す一方、ポーリングを行わない場合には、p型のトランジスター特性を示し、このように比較的簡便な方法でp型及びn型の両方のトランジスター特性を示す両極性有機電界効果薄層トランジスターが得られることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、以下に示す両極性有機電界効果薄層トランジスター及びその製造方法を提供するものである。
(1)金属/絶縁体/半導体構造(MIS)を有する薄膜電界効果トランジスターにおいて、半導体層を形成する物質が有機化合物であり、絶縁体層を形成する物質が有機溶剤に溶解可能で、かつ強誘電体類似の自発分極を示すシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物であり、この絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物の抗電界以上で耐電圧以下の電圧をソース及びゲート電極間に印加するポーリングを行った場合に、n型のトランジスターの特性を示し、ポーリングを行わない場合には、p型のトランジスター特性を示すことを特徴とする両極性有機電界効果薄層トランジスター。
(2)絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物の重量平均分子量2,500〜1,000,000あることを特徴とする(1)記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、シアノエチルプルランである(1)又は(2)記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
)絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、耐電圧が1MV/cm以上で、かつ抗電界が50kV/cm以上、自発分極がPr=1.5μC/cm2以上である(1)、(2)又は(3)記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
)金属層からなるゲート電極上に、有機溶剤に溶解可能なシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物を有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて絶縁体層を形成後、半導体層を積層することを特徴とする(1)記載の両極性有機電界効果薄層トランジスターの製造方法。
(6)シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、シアノエチルプルランである(4)記載の両極性有機電界効果薄層トランジスターの製造方法。
本発明によれば、金属/絶縁体/半導体構造(MIS)を有する薄膜電界効果トランジスターにおいて、半導体層及び絶縁体層を形成する物質を有機化合物とした有機電界効果トランジスターでは通常得られないn型の特性が得られるため、p型及びn型の両方のトランジスター特性を示す両極性有機電界効果薄層トランジスターを得ることができる。このことから、p−n接合、インバータ回路及びレーザヘの応用が可能である。
また、半導体層及び絶縁体層を形成する物質が有機化合物であることから、従来の金属/絶縁体/半導体構造の電界効果トランジスター等が金属系半導体及び絶縁体の使用における回路形成技術でフォトレジスト等によるパターン化及びエッチング等の処理を必要とするのに対し、主として溶剤プロセスでの作製が可能となるため、インクジェットをはじめとするプリント技術等により容易に作製することができ、製造コストの低減を図ることもできる。
本発明の両極性有機電界効果薄層トランジスターは、例えば図1に示されるように、SiO2等の基板1上にゲート電極となる金属層2が形成され、その上に絶縁体層3が形成され、更にその上に半導体層4が形成されると共に、この半導体層4上にソース電極5及びドレイン電極6が形成されたものである。なお、基板としては、ガラスやポリマーシート等が用いられる。
この場合、金属層としては、一般的なITO(Indium Tin Oxide)膜又は物理的気相蒸着法(Physical Vapor Deposition)や有機金属化学気相蒸着法(Metal Organic CVD=MOCVD)によるAu、Cu、Al等の単独金属又はAu/Ti、Cu/Ti、Al/Ti等の積層金属を使用することができるが、本発明の目的から印刷により作製できることが好ましいので、実用上問題がなければ導電性金属ペーストの使用が好ましい。
半導体の極性反転という現象は、半導体と絶縁体のバンドアライメントと界面に蓄積される電荷量に大きく依存するため、極性反転という観点では、絶縁体の特性がより重要なポイントになる。従って、トランジスター動作を示し、界面に巨大な電荷を蓄積することのできる薄膜が、極性反転をする上で望まれていた。
そこで、本発明者らは、有機絶縁体が一般に高い耐電圧を持ち、低リーク電流を示すことに着目し、検討を行った。絶縁膜としての酸化アルミニウム薄膜において酸素欠損が避けられないことは上述した通りである。有機化合物にも分子の欠損が存在するが、酸化物の酸素欠損が絶縁体の電子状態を変えてしまうのに対して、有機化合物では分子上における欠損が電子状態に関与しないため低リーク電流を示す。しかし、有機絶縁体は誘電率が低いために界面に多数の電荷を蓄積することができない。そこで、本発明者らは、更に検討を進めた結果、絶縁体層を形成する物質として高耐電圧と高誘電率を有する特定の有機化合物を用いることにより、p型及びn型の両方のトランジスター特性を示す両極性有機電界効果薄層トランジスターが得られることを見出したものである。
このような絶縁体層を形成する物質としては、有機溶剤に溶解可能で、強誘電体類似の自発分極を示し、好ましくは耐電圧が1MV/cm以上、抗電界が50kV/cm以上、自発分極がPr=1.5μC/cm2以上の有機化合物が挙げられる。このような有機化合物としては、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量2,500〜1,000,000の高分子化合物、好ましくはシアノ基、特にシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が挙げられる。具体的にはシアノエチルプルラン、シアノエチル化ジヒドロキシプロピルプルラン、シアノエチルセルロース、シアノエチルポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル等が挙げられ、特にシアノエチルプルランが好ましい。これらのシアノ基を有する絶縁性高分子化合物は、例えばシアノエチルプルランの場合、微生物産出多糖類であるプルラン樹脂の水酸基をアルカリ触媒存在下、アクリロニトリルと反応させてシアノエチル基に置換することにより得られる(特公昭59−31521号公報参照)。この側鎖に導入されたシアノ基(シアノエチルプルランの場合、シアノエチル基)は、大きな極性モーメントを有するため、導入量が増加するに従い、比誘電率が増加し、ロスファクターである誘電正接が減少する。
従って、本発明のシアノ基を有する絶縁性高分子化合物のシアノ基の置換率(シアノエチルプルランの場合、プルラン樹脂の水酸基に対するシアノエチル基の置換率)は80モル%以上、好ましくは85モル%以上で、その上限は特に制限されないが、理論的には100モル%である。シアノエチルプルランの場合、上記置換率では100Hz〜1kHzにおける比誘電率が19となり、高分子化合物としては大きな値を示す。また、1MV/cm以上の高い耐電圧を持ち、優れた絶縁特性を示す誘電体である。
シアノエチルプルランにより作製した絶縁膜の誘電特性を1mHzで測定すると、図2に示すようにP−E曲線がヒステリシスループを示し、自発分極における電荷量(P)がPr=1.5μC/cm2、抗電界は50kV/cmであった。ヒステリシスループの−10kV/cm〜10kV/cmにおける直線領域では、C=17.7nF/cm2の高い静電容量(C)を持つ。このP−E曲線におけるヒステリシスループは強誘電体類似の特性を示す。従って、例えばシアノエチルプルランをゲート絶縁膜に用い、抗電界以上の電圧(V)を印加してポーリングを行えば、Q=P+CVに従う大きな電荷量(Q)を界面に蓄積することができる。
本発明の両極性有機電界効果薄層トランジスターにおいて、半導体層を形成する物質は、有機化合物であり、具体的には、ペンタセン、銅フタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属フタロシアニン、α−セキシチエニル等の低分子化合物、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリチエニレンビニレン類、ポリフェニレンビニレン類等の高分子化合物が挙げられる。しかし、低分子物質の場合、いわゆるプリント技術により製膜することが難しい場合があるため、この場合における半導体層は、有機溶剤に溶解可能なGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量が2,000〜1,000,000の高分子化合物が好ましく、具体的にはポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリチエニレンビニレン類、ポリフェニレンビニレン類等が挙げられる。なお、有機溶剤への可溶性、良好な加工性等の点を考慮すると、特にポリ(3−ヘキシルチオフェン)等のポリチオフェン類が特に好ましい。
また、絶縁体層上に半導体層を形成する場合、半導体層を形成する物質が低分子化合物では真空蒸着等の一般的な方法が用いられる。半導体層を形成する有機化合物が、低分子化合物でも高分子化合物でも有機溶剤に溶解する性質を有する場合は、絶縁体層上に溶液塗布・乾燥による積層を行うことができるが、この場合は、絶縁体層が溶解しない有機溶媒に溶解する必要がある。これは、積層により半導体層及び絶縁体層を形成しようとすると、一般的には界面状態が均一にならないと考えられているからである。
例えば、絶縁体層を形成する有機化合物が、シアノ基を有する絶縁性高分子化合物の場合、溶解する有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルホルムアミド、アセトン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン等が使用され、一方、半導体層を形成する物質を溶解する有機溶媒としては、シアノ基を有する絶縁性高分子化合物を溶解しない溶媒、例えばクロロホルム、トルエン、ヘキサン、アルコール類等が使用される。いずれの場合も1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明において、両極性有機電界効果薄層トランジスターの製造方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、ガラス又は一般的なポリマーシート等から選択された基板上にゲート電極となる金属層をスパッタリングで形成するか、あるいは金属ペーストや導電性高分子等をスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥して形成する。なお、一般的に入手可能なITO膜付きガラスを用いてもよい。
形成されたゲート電極上に、絶縁体層を形成する物質を有機溶媒に溶解した溶液をスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥して絶縁体層を形成する。
その後、上記絶縁体層を形成する物質が溶解しない有機溶剤に半導体層を形成する物質を溶解した溶液を、絶縁体層上にスピンコート、スクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥するか、真空気化により蒸着して半導体層を作製する。なお、この際に絶縁体層−半導体層間の界面で半導体分子を配向させるために、絶縁体層表面に公知のラビング処理等、物理的処理を行ってもよい。
最後に、半導体層上にソース及びドレイン電極をスパッタリングで形成するか、金属ペーストや導電性高分子等をスクリーン印刷、インクジェット印刷により塗布、乾燥する。
なお、絶縁体層の厚さは、0.2〜10μm、特に0.5〜3μmであることが好ましく、半導体層の厚さは、50〜300nm、特に50〜100nmであることが好ましく、金属層の厚さは、30〜50nmであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
本発明の有機電界効果薄層トランジスターは、絶縁体層を形成する有機化合物の抗電界以上で耐電圧以下の電圧をソース及びゲート電極間に印加するポーリングを行った場合に、n型のトランジスターの特性を示し、ポーリングを行わない場合には、p型のトランジスターの特性を示すものである。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例1]
絶縁体層を形成する物質として、シアノエチル基置換率が85.2モル%であるシアノエチルプルラン(CyEPL、信越化学工業(株)製、CR−S、重量平均分子量:49,000)を、半導体層を形成する物質として、銅フタロシアニン(ALDRICH社製)を用いて、下記に示す方法で両極性有機電界効果薄層トランジスターを作製し、評価した。熱酸化シリコン基板上に、室温、背圧10-4Paの条件でRFスパッタ法によりTiを20nm蒸着し、次いでAuを60nm蒸着することでゲート電極を作製した。
次に、ゲート電極Au表面上に、シアノエチルプルランのN−メチル−2−ピロリドン15質量%溶液を0.2μmメンブランフィルターで濾過後、スピンコートして100℃で1時間乾燥し、2μmの絶縁体層を形成した。この絶縁膜の1mHzにおける静電容量は、17.7nF/cm2であった。
次に、真空蒸着法により膜厚が70nmの銅フタロシアニン膜を作製した。X線回折測定したところ、2θ=6.8°にピークが観測され、銅フタロシアニン薄膜がα構造であることが分かった。
次に、基板を−20℃に冷却し、半導体層にメタルマスクを介して、背圧10-5Pa以下の条件でRFスパッタ法により、Auを300nm蒸着した。ソース・ドレイン間の距離と電極幅は、それぞれ38μmの間隔(図1においてL=38μm)、3.9mm幅(図1においてW=3.9mm)であった。
作製した電界効果トランジスターの電気特性評価は、1.3×10-3Pa以下の真空・遮光下で行った。
絶縁膜にポーリングを行わないで、電流−電圧(ISD−VSD)特性を室温(25℃)で測定したところ、負のゲート電圧の時には典型的なp型の性質を示した。一方、正のゲート電圧の時には、ゲート電圧の増加と共に、ソース・ドレイン電流は小さくなり、空乏層が形成されていくだけであった。
次に、大きな蓄積電荷量を得るために、抗電界以上のソース・ゲート電圧(|VSG|=20V)を2,000秒間以上印加してポーリングを行った後、デバイスの電流−電圧(ISD−VSD)特性を室温で測定した。図3のように、負のゲート電圧を印加した揚合は、ゲート電圧の増加と共に電流値が増加していく、典型的なp型のトランジスター特性を示した(図3(A))。一方、正のゲート電圧を印加した場合は、ゲート電圧を印加すると空乏化が進み、電流値が減少して行ったが、20V以上では、反転層が形成され、電流値が増加していくn型の特性を示した(図3(B))。銅フタロシアニン層がp型であり、更にバンドギャップが1.5eVと大きいために、多量の電荷を蓄積しているにも拘わらず、弱い反転状態であると考えられる。そのため、n型のソース・ドレイン電流値は、p型のソース・ドレイン電流値に比べて2,000分の1(|Vg|=50Vの時)と小さな値を示す。電界効果移動度は、通常、飽和電流値から求められるが、このデバイスでは静電容量がQ=CVで決められないため、ソース・ドレイン電流−ソース・ドレイン電圧曲線のチャネルコンダクタンスから移動度(∫)を見積もった。VTはソース・ドレイン電流が立ち上がる閾値電圧であり、ISD=(W/L)μ[P+C(VSG−VT)]VSDの式を用いた。p型の移動度は4.1×10-3cm2/Vsであり、酸化シリコンをゲート絶縁膜にした電界効果トランジスターにおいて得られる値とほぼ同程度であった。
一方、n型における電界効果移動度は、p型の約1,000分の1の3.5×10-6cm2/Vsであった。また、|VSD|=10Vにおけるp型、n型のOn/Off比は、それぞれ6×104、70であり、VTはそれぞれ−0.1V、0.9Vであった。
[実施例2]
絶縁体層を形成する物質として、シアノエチル基置換率が85.2モル%であるシアノエチルプルラン(CyEPL、信越化学工業(株)製、CR−S、重量平均分子量:49,000)を、半導体層を形成する物質として、鉄フタロシアニン(ALDRICH社製)を用いて、下記に示す方法で両極性有機電界効果薄層トランジスターを作製し、評価した。熱酸化シリコン基板上に、室温、背圧10-4Paの条件でRFスパッタ法によりTiを20nm蒸着し、次いでAuを60nm蒸着することでゲート電極を作製した。
次に、ゲート電極Au表面上に、シアノエチルプルランのN−メチル−2−ピロリドン15質量%溶液を0.2μmメンブランフィルターで濾過後、スピンコートして100℃で1時間乾燥し、2μmの絶縁体層を形成した。この絶縁膜の1mHzにおける静電容量は、17.7nF/cm2であった。
次に、真空蒸着法により膜厚が36nmの鉄フタロシアニン膜を作製した。
次に、基板を−20℃に冷却し、半導体層にメタルマスクを介して、背圧10-5Pa以下の条件でRFスパッタ法により、Auを300nm蒸着した。ソース・ドレイン間の距離と電極幅は、それぞれ38μmの間隔(図1においてL=38μm)、3.9mm幅(図1においてW=3.9mm)であった。
作製した電界効果トランジスターの電気特性評価は、1.3×10-3Pa以下の真空・遮光下で行った。
絶縁膜にポーリングを行わないで、電流−電圧(ISD−VSD)特性を室温(25℃)で測定したところ、負のゲート電圧の時には典型的なp型の性質を示した。一方、正のゲート電圧の時には、ゲート電圧の増加と共に、ソース・ドレイン電流は小さくなり、空乏層が形成されていくだけであった。
次に、大きな蓄積電荷量を得るために、抗電界以上のソース・ゲート電圧(|VSG|=20V)を2,000秒間以上印加してポーリングを行った後、デバイスの電流−電圧(ISD−VSD)特性を室温で測定した。図4のように、負のゲート電圧を印加した揚合は、ゲート電圧の増加と共に電流値が増加していく、典型的なp型のトランジスター特性を示した(図4(A))。一方、正のゲート電圧を印加した場合は、ゲート電圧を印加すると空乏化が進み、電流値が減少して行ったが、60V以上では、反転層が形成され、電流値が増加していくn型の特性を示した(図4(B))。鉄フタロシアニン層がp型であり、更にバンドギャップが1.4eVと大きいために、多量の電荷を蓄積しているにも拘わらず、弱い反転状態であると考えられる。そのため、n型のソース・ドレイン電流値は、p型のソース・ドレイン電流値に比べて4,000分の1(|Vg|=80Vの時)と小さな値を示す。電界効果移動度は、通常、飽和電流値から求められるが、このデバイスでは静電容量がQ=CVで決められないため、ソース・ドレイン電流−ソース・ドレイン電圧曲線のチャネルコンダクタンスから移動度(∫)を見積もった。VTはソース・ドレイン電流が立ち上がる閾値電圧であり、ISD=(W/L)μ[P+C(VSG−VT)]VSDの式を用いた。p型の移動度は1.1×10-4cm2/Vsであり、酸化シリコンをゲート絶縁膜にした電界効果トランジスターにおいて得られる値とほぼ同程度であった。
一方、n型における電界効果移動度は、p型の約65分の1の1.7×10-6cm2/Vsであった。また、|VSD|=40Vにおけるp型、n型のOn/Off比は、それぞれ3.5×103、70であり、VTはそれぞれ−4.3V、4.0Vであった。
本発明の両極性有機電界効果薄層トランジスターの一態様を示す斜視図である。 シアノエチルプルランのP−E曲線である。 ポーリングを行った後の本発明の実施例1の両極性有機電界効果薄層トランジスターのISD−VSD曲線を示す図であり、(A)は、p型のトランジスター特性を示した場合、(B)はn型のトランジスター特性を示した場合である。 ポーリングを行った後の本発明の実施例2の両極性有機電界効果薄層トランジスターのISD−VSD曲線を示す図であり、(A)は、p型のトランジスター特性を示した場合、(B)はn型のトランジスター特性を示した場合である。
符号の説明
1 基板
2 金属層(ゲート電極)
3 絶縁体層
4 半導体層
5 ソース電極
6 ドレイン電極

Claims (6)

  1. 金属/絶縁体/半導体構造(MIS)を有する薄膜電界効果トランジスターにおいて、半導体層を形成する物質が有機化合物であり、絶縁体層を形成する物質が有機溶剤に溶解可能で、かつ強誘電体類似の自発分極を示すシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物であり、この絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物の抗電界以上で耐電圧以下の電圧をソース及びゲート電極間に印加するポーリングを行った場合に、n型のトランジスターの特性を示し、ポーリングを行わない場合には、p型のトランジスター特性を示すことを特徴とする両極性有機電界効果薄層トランジスター。
  2. 絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物の重量平均分子量2,500〜1,000,000あることを特徴とする請求項1記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
  3. シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、シアノエチルプルランである請求項1又は2記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
  4. 絶縁体層を形成するシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、耐電圧が1MV/cm以上で、かつ抗電界が50kV/cm以上、自発分極がPr=1.5μC/cm2以上である請求項1、2又は3記載の両極性有機電界効果薄層トランジスター。
  5. 金属層からなるゲート電極上に、有機溶剤に溶解可能なシアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物を有機溶剤に溶解した溶液を塗着、乾燥させて絶縁体層を形成後、半導体層を積層することを特徴とする請求項1記載の両極性有機電界効果薄層トランジスターの製造方法。
  6. シアノエチル基を有する絶縁性高分子化合物が、シアノエチルプルランである請求項4記載の両極性有機電界効果薄層トランジスターの製造方法。
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