JP2006100022A - 反応ガス用加湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】反応ガスを効率的且つ確実に加湿するとともに、セパレータの強度を有効に向上させることを可能にする。
【解決手段】水透過性膜50を挟んで交互に配設される第1セパレータ52及び第2セパレータ54を備える。第1セパレータ52は、反応前の空気を供給する第1及び第2流路62、64を設けるとともに、第2セパレータ54は、オフガスを供給する第3及び第4流路80、82を設ける。第1セパレータ52は、断面波形状に構成され、第1及び第2流路62、64は、断面波形状の開口端部が空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bに直接連通する。
【選択図】図4
【解決手段】水透過性膜50を挟んで交互に配設される第1セパレータ52及び第2セパレータ54を備える。第1セパレータ52は、反応前の空気を供給する第1及び第2流路62、64を設けるとともに、第2セパレータ54は、オフガスを供給する第3及び第4流路80、82を設ける。第1セパレータ52は、断面波形状に構成され、第1及び第2流路62、64は、断面波形状の開口端部が空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bに直接連通する。
【選択図】図4
Description
本発明は、水透過性膜の一方の面に被加湿用の反応ガスを導入するとともに、前記水透過性膜の他方の面に加湿流体を導入して前記反応ガスを加湿する反応ガス用加湿装置に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持した発電セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の発電セルを積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
この燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されている。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
この場合、上記の燃料電池では、有効な発電機能を発揮させるために、電解質膜を適度な湿潤状態に維持することが必要とされている。このため、燃料ガスや酸化剤ガスを、予め水により加湿する加湿装置を用意し、この加湿装置を燃料電池に連結することにより、前記加湿された燃料ガスや酸化剤ガスを燃料電池に供給するものが知られている。
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池用加湿器は、図16に示すように、加湿膜1を挟んで一対の樹脂製の板部材2が配置され、これらが積層されてスタックを構成している。加湿膜1の一方の面と一方の板部材2との間には、燃料電池の空気極に供給される前の空気を通過させるための加湿往路3が設けられるとともに、前記加湿膜1の他方の面と他方の板部材2との間には、前記燃料電池の空気極から吐出された反応後のオフガスを通過させる加湿復路4が設けられている。
しかしながら、上記の加湿器では、加湿膜1を挟んで加湿往路3に反応前の空気が供給される一方、加湿復路4にオフガスが供給されるため、オフガス側から反応前の空気への加湿は、前記加湿膜1の近傍のみでしか行われていない。これにより、加湿往路3を流れる反応前の空気全体を、加湿復路4を流れるオフガス中の水分によって効率的に加湿することができないという問題がある。
その際、反応前の空気を十分に加湿しようとすると、加湿器全体が相当に大型化してしまい、前記加湿器の配置スペースが拡大し、例えば、車載用として採用することができないという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、反応ガスを効率的且つ確実に加湿するとともに、セパレータの強度を有効に向上させることが可能な反応ガス用加湿装置を提供することを目的とする。
本発明は、固体高分子型燃料電池に供給される少なくとも一方の反応ガスを、加湿流体によって加湿するための反応ガス用加湿装置である。この加湿装置は、水透過性膜の一方の面に配設される第1セパレータと、前記水透過性膜の他方の面に配設される第2セパレータとを備えている。
少なくとも第1セパレータは、断面凹凸形状に構成されることにより、水透過性膜の一方の面に向かう第1面側及び前記第1面とは反対の第2面側に、同一の反応ガス又は同一の加湿流体を流通させる第1流路及び第2流路を設けるとともに、前記第1流路及び前記第2流路は、前記断面凹凸形状の開口端部が前記第1セパレータを積層方向に貫通する連通孔に直接連通している。
また、第2セパレータは、断面凹凸形状に構成されることにより、水透過性膜の他方の面に向かう第3面側及び前記第3面とは反対の第4面側に、同一の加湿流体又は同一の反応ガスを流通させる第3流路及び第4流路を設けるとともに、前記第3流路及び前記第4流路は、前記断面凹凸形状の開口端部が前記第2セパレータを積層方向に貫通する連通孔に直接連通するが好ましい。
さらに、水透過性膜を介装して第1セパレータと第2セパレータとが交互に積層されてスタックを構成することが好ましい。
さらにまた、第1セパレータと第2セパレータとは、金属製又は樹脂製プレートを波形状に成形して第1流路及び第2流路と第3流路及び第4流路とを構成することが好ましい。
本発明では、少なくとも第1セパレータの第1面側及び第2面側には、同一の反応ガス又は同一の加湿流体を流通させる第1流路及び第2流路が設けられており、前記反応ガスを良好に加湿することができる。このため、反応ガスを効率的且つ確実に加湿することが可能になるとともに、加湿装置全体を容易に小型化することができる。
しかも、少なくとも第1セパレータでは、第1流路及び第2流路の断面凹凸形状の開口端部が、連通孔に直接連通しているため、前記断面凹凸形状の端部は、リブ機能を有することができる。従って、第1セパレータ自体の強度が有効に向上するとともに、反応ガス又は加湿流体を第1及び第2流路に沿って均一に供給することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る加湿装置10を組み込む燃料電池システム12の概略構成説明図である。
燃料電池システム12は、例えば、自動車等の車両に搭載されており、燃料電池スタック14を備える。この燃料電池スタック14は、複数の発電セル16を矢印A方向に積層するとともに、積層方向両端にエンドプレート18a、18bが配置されており、前記エンドプレート18a、18bが図示しない締め付けボルトにより積層方向に締め付けられている。
発電セル16は、例えば、固体高分子電解質膜20aの両側にアノード側電極20bとカソード側電極20cとを配置した電解質膜・電極構造体20と、前記電解質膜・電極構造体20を挟持する一対のセパレータ22、24とを備える。アノード側電極20bには、燃料ガスとして、例えば、水素ガスが供給される一方、カソード側電極20cには、酸化剤ガスとして、例えば、酸素を含む空気が供給される。
エンドプレート18aには、各発電セル16に水素ガスを供給するための水素供給口26aと、前記発電セル16から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを燃料電池スタック14から排出するための水素排出口26bとが設けられる。エンドプレート18bには、発電セル16に空気を供給するための空気供給口28aと、前記発電セル16から排出される空気(以下、オフガスともいう)を燃料電池スタック14から排出するための空気排出口28bとが設けられる。
燃料電池システム12は、燃料電池スタック14に水素ガスを供給する水素供給流路30と、前記燃料電池スタック14から排出される未使用の水素ガスを含む排ガスを、前記水素供給流路30の途上に戻して該燃料電池スタック14に供給するための水素循環流路32とを備える。
水素供給流路30には、高圧水素を貯留する水素タンク34と、前記水素タンク34から供給される水素ガスの圧力を減圧するレギュレータ36と、減圧された前記水素ガスを燃料電池スタック14に供給するとともに、水素循環流路32から排ガスを吸引して前記燃料電池スタック14に戻すためのエゼクタ38とが配設される。
燃料電池システム12は、燃料電池スタック14に空気を供給する空気供給流路40と、前記燃料電池スタック14から排出されるオフガスを、外部に排気するための空気排出流路42とを備える。空気供給流路40には、空気を圧縮して供給するためにスーパーチャージャ(又はポンプ)44が設けられる。
燃料電池スタック14には、エンドプレート18bに連結されて加湿装置10が装着される。図2及び図3に示すように、加湿装置10は、水透過性膜50の一方の面50aと他方の面50bとに交互に配設される第1セパレータ52及び第2セパレータ54を備える。第1及び第2セパレータ52、54は、水透過性膜50を介装して交互に矢印A方向に積層されて積層体56を構成する。
積層体56の矢印A方向両端には、エンドプレート57a、57bが配置され、前記エンドプレート57a、57b間は、複数の締め付けロッド59を介して締め付け保持される。第1及び第2セパレータ52、54は、金属製プレートを断面凹凸形状、例えば、波形状に成形して構成される。なお、この第1及び第2セパレータ52、54は、例えば、カーボンプレートに削り加工等を施して構成してもよい。
図4に示すように、積層体56の矢印B方向の一端縁部には、互いに矢印A方向に貫通して、反応前の空気(一方の反応ガス)を供給する空気供給連通孔58aと、加湿された反応前の空気を排出する空気排出連通孔58bとが上下(矢印C方向)に設けられる。
積層体56の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、オフガスが供給されるオフガス供給連通孔60aと、反応前の空気を加湿した後のオフガスを排出するオフガス排出連通孔60bとが上下方向に配列されて設けられる。
図1に示すように、空気供給連通孔58aは、空気供給流路40に連通し、空気排出連通孔58bは、燃料電池スタック14の空気供給口28aに連通する。オフガス供給連通孔60aは、燃料電池スタック14の空気排出口28bに連通し、オフガス排出連通孔60bは、空気排出流路42に連通する。
図4に示すように、第1セパレータ52は、水透過性膜50の一方の面50aに向かう第1面52a側に、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通し、略U字状に屈曲乃至湾曲する第1流路62を設ける。この第1流路62は、第1面52aに設けられた複数の溝部62aにより構成される。
第1セパレータ52の第1面52aとは反対の第2面52b側には、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通し、略U字状の第2流路64が設けられる。この第2流路64は、第2面52bに設けられた複数の溝部64aにより構成されており、この溝部64aは、第1流路62を構成する各溝部62aと交互に形成され、全体として波形状を有している。
溝部62a、64aの供給側波形状の開口端部は、空気供給連通孔58aに直接連通する一方(図5参照)、前記溝部62a、64aの排出側波形状の開口端部は、空気排出連通孔58bに直接連通する(図4参照)。
第1流路62の空気供給連通孔58aの近傍(入口近傍)及び空気排出連通孔58bの近傍(出口近傍)には、前記第1流路62を閉塞する第1シール部材66が配設されるとともに、第2流路64の前記空気供給連通孔58aの近傍及び前記空気排出連通孔58bの近傍には、前記第2流路64を閉塞する第2シール部材68が配設される。
図5に示すように、第1及び第2シール部材66、68は、弾性材料、例えば、ゴム材料で形成されており、板状部70a、70bと複数の膨出部72a、72bとを一体的に設ける。第1セパレータ52は、波形状の両側の山部に第1及び第2流路62、64の入口近傍から出口近傍にわたって矢印C方向に近在してそれぞれ凹部74a、74bが設けられる。凹部74bは、凹部74aの内方にオフセットしている。
第1シール部材66は、板状部70aが凹部74aに挿入されるとともに、各膨出部72aが第1流路62を構成する各溝部62aに挿入される。第1シール部材66の板状部70aは、第1面52a側に突出する山部平面部分と同一平面上に配置される一方、各膨出部72aにより第1流路62が閉塞される。
第2シール部材68は、板状部70bが凹部74bに挿入されるとともに、各膨出部72bが第2流路64の各溝部64aに配置されて前記第2流路64を閉塞する。
図5及び図6に示すように、第1セパレータ52には、第1流路62と第2流路64とを仕切る壁部に、第1シール部材66aと第2シール部材68aとの間に位置して、第1流路62と第2流路64とを連通する第1貫通孔76aが形成される。第1セパレータ52には、第2シール部材68aの内方に位置して、第1流路62と第2流路64とを連通する第2貫通孔76bが形成される。
図4及び図7に示すように、第2セパレータ54は、水透過性膜50の他方の面50bに向かう第3面54a側にオフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通する略U字状の第3流路80を設ける。第3流路80は、第3面54aに設けられた複数の溝部80aにより構成される。
第2セパレータ54は、第3面54aとは反対の第4面54b側に、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通する略U字状の第4流路82を設ける。この第4流路82は、複数の溝部82aを有し、各溝部82aは、溝部80aと交互に配設され、全体として波形状を有している。
溝部80a、82aの供給側波形状の開口端部は、オフガス供給連通孔60aに直接連通する一方、前記溝部80a、82aの排出側波形状の開口端部は、オフガス排出連通孔60bに直接連通する(図4参照)。
第3流路80の入口近傍から出口近傍にわたって矢印C方向に延在し、この第3流路80を閉塞する第3シール部材84が配設される一方、第4流路82の入口近傍から出口近傍にわたって矢印C方向に延在し、この第4流路82を閉塞し且つ前記第3シール部材84に対し矢印B方向にオフセットして第4シール部材86が配設される。
第3及び第4シール部材84、86は、第1及び第2シール部材66、68と同一に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
第2セパレータ54には、図7に示すように、第3流路80と第4流路82とを仕切る壁部に、前記第3流路80と前記第4流路82とを連通する第1貫通孔88aが第3シール部材84と第4シール部材86との間に設けられる。第2セパレータ54には、第4シール部材86の内方に、第3流路80と第4流路82とを連通する第2貫通孔88bが形成される。
第1セパレータ52と第2セパレータ54とが水透過性膜50を介装して互いに積層される際、第1シール部材66の膨出部72aは、第3流路80の各溝部80a間の突部に対応して配設される一方、第3シール部材84の膨出部72aは、第1流路62の各溝部62a間の突部に対応して配置される。
図4に示すように、第1セパレータ52には、外周縁部を覆ってシール90が一体成形される。このシール90は、第1及び第2面52a、52bで、空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bを第1流路62と第2流路64とに連通するとともに、前記第1及び第2流路62、64をオフガス供給連通孔60a及びオフガス排出連通孔60bからシールする。
第2セパレータ54には、その外周縁部を覆ってシール92が一体成形される。このシール92は、第3及び第4面54a、54bにおいて、それぞれオフガス供給連通孔60a及びオフガス排出連通孔60bを第3流路80及び第4流路82に連通する一方、前記第3及び第4流路80、82を空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bからシールする。
このように構成される燃料電池システム12の動作について、加湿装置10との関連で以下に説明する。
図1に示すように、水素タンク34から水素供給流路30に供給される水素ガスは、レギュレータ36を介して所定の圧力に減圧され、エゼクタ38を通って燃料電池スタック14の水素供給口26aに供給される。水素供給口26aに供給された水素は、各発電セル16を構成するアノード側電極20bに沿って移動した後、未使用の水素を含む排ガスが、水素排出口26bから水素循環流路32に排出される。この排ガスは、エゼクタ38の吸引作用下に、水素供給流路30の途上に戻された後、再度、燃料電池スタック14内に燃料ガスとして供給される。
一方、スーパーチャージャ44を介して空気供給流路40に空気が供給される。この空気は、加湿装置10を構成するエンドプレート57bから積層体56の空気供給連通孔58aに供給される。
図5及び図8に示すように、第1セパレータ52では、空気供給連通孔58aに第1流路62及び第2流路64の入口端部(開口端部)が開放されるとともに、前記第1流路62の入口近傍が第1シール部材66によって閉塞されている。このため、空気供給連通孔58aに供給された空気は、第2流路64を構成する各溝部64aに導入された後、第2シール部材68の各膨出部72bによって前方への移動が阻止され、第1貫通孔76aを通って第1流路62を構成する溝部62aに移動する。
この空気は、各溝部62aに沿って移動するとともに、一部が第2貫通孔76bを介して溝部64aに分流され、前記空気が各溝部62a、62bに沿って移動する。従って、反応前の空気は、U字状の第1流路62及び第2流路64に沿って移動し、前記第1流路62を流れる空気は、水透過性膜50の一方の面50aに接触するとともに、第2流路64に沿って移動する空気は、他の水透過性膜50の他方の面50bに接触する(図3参照)。
加湿装置10では、燃料電池スタック14の発電に使用された反応済みの空気であるオフガスが、オフガス供給連通孔60aに供給される。このオフガスは、第2セパレータ54のオフガス供給連通孔60aに連通する第3流路80及び第4流路82に導入される。
図4及び図7に示すように、第3及び第4流路80、82には、第3及び第4シール部材84、86が配設されており、第1セパレータ52と同様に、オフガスは、先ず、第4流路82の溝部82aに一旦導入された後、第1貫通孔88aを通って第3流路80の各溝部80aに導入される。オフガスは、さらに第2貫通孔88bを通るとともに、一部が溝部82aに分流し、U字状の第3及び第4流路80、82に沿って移動する。
このため、第3流路80を移動するオフガスは、水透過性膜50の他方の面50bに接触する一方、第4流路82に沿って移動するオフガスは、また別の水透過性膜50の一方の面50aに接触する(図3参照)。
従って、第2セパレータ54の第3流路80に沿って移動するオフガス中の水分は、水透過性膜50を透過し第1流路62に沿って移動する反応前の空気に供給され、この空気が加湿される。さらに、第2流路64に沿って移動する反応前の空気は、第4流路82に沿って移動するオフガスにより加湿される。そして、加湿された空気は、空気排出連通孔58bから燃料電池スタック14の空気供給口28aに供給される。
この加湿された空気は、図1に示すように、各発電セル16のカソード側電極20cに供給され、未使用の空気を含むオフガスが、上記のように空気排出口28bから加湿装置10に排出される。これにより、各発電セル16では、アノード側電極20bに供給される水素と、カソード側電極20cに供給される空気中の酸素とが反応して発電が行われる。
この場合、第1の実施形態では、図3及び図4に示すように、第1セパレータ52の第1面52a側と第2面52b側とに、第1流路62と第2流路64とが設けられるとともに、前記第1及び第2流路62、64は、空気供給連通孔58aに一体的に連通して同一の反応ガスである空気を流通させている。
一方、第2セパレータ54は、第3面54a側と第4面54b側に、第3流路80と第4流路82とが設けられるとともに、前記第3及び第4流路80、82は、オフガス供給連通孔60a及びオフガス排出連通孔60bに一体的に連通して同一の加湿流体であるオフガスを流通させている。
このため、第1セパレータ52の第1流路62に沿って移動する空気は、第2セパレータ54の第3流路80に沿って移動するオフガスにより加湿されるとともに、第2流路64に沿って移動する空気は、第4流路82に沿って移動するオフガスにより加湿される。これにより、第1セパレータ52に供給された空気は、第1及び第2流路62、64に分流されて両側の水透過性膜50を介し加湿されるため、前記空気の加湿効率が有効に向上するという効果が得られる。
従って、加湿装置10全体を容易に小型化するとともに、反応前の空気を効率的且つ確実に加湿することが可能になり、燃料電池スタック14の発電効率の向上を図ることができる。
さらに、第1の実施形態では、第1セパレータ52において、溝部62a、64aの供給側波形状の開口端部が、空気供給連通孔58aに直接連通する一方(図5参照)、前記溝部62a、64aの排出側波形状の開口端部が、空気排出連通孔58bに直接連通している(図4参照)。このため、溝部62a、64aを構成する断面凹凸形状の端部は、リブ機能を有することができ、第1セパレータ52自体の強度が有効に向上するとともに、反応前の空気を第1及び第2流路62、64に沿って均一に供給することが可能になるという効果が得られる。
同様に、第2セパレータ54において、溝部80a、82aの供給側波形状の開口端部が、オフガス供給連通孔60aに直接連通する一方、前記溝部80a、82aの排出側波形状の開口端部が、オフガス排出連通孔60bに直接連通している(図4参照)。これにより、溝部80a、82aを構成する断面凹凸形状の端部は、リブ機能を有することができ、第2セパレータ54自体の強度が有効に向上するとともに、オフガスを第3及び第4流路80、82に沿って均一に供給することが可能になるという効果が得られる。
さらにまた、溝部62a、64aでは、各凹部74a、74bの高さと第1及び第2貫通孔76a、76bの開口面積とを変更することにより、各溝部62a、64aに対する空気の配流を変化させることが可能になり、良好な配流が確実に行われる。なお、溝部80a、82aにおいても、上記の溝部62a、64aと同様の効果が得られる。
なお、第1の実施形態では、一方の反応ガスである空気を加湿して燃料電池スタック14に供給するように構成しているが、これに限定されるものではなく、他方の反応ガスである燃料ガスを加湿する構造を採用してもよい。また、加湿流体として燃料電池スタック14から排出される空気であるオフガスを用いているが、これに限定されるものではなく、他の加湿ガス、例えば、専用の水蒸気ガスや純水又は液体等を用いてもよい。
さらに、第1の実施形態では、空気供給連通孔58a及びオフガス供給連通孔60aを空気排出連通孔58b及びオフガス排出連通孔60bの上方に配置しているが、これとは逆に、該空気排出連通孔58b及び該オフガス排出連通孔60bの下方に配置してもよい。
図9は、本発明の第2の実施形態に係る加湿装置100の要部分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る加湿装置10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第7の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
加湿装置100は、水透過性膜50の一方の面50aと他方の面50bとに交互に配設される第1セパレータ102及び第2セパレータ104を備える。加湿装置100では、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとが一方の対角位置に設けられるとともに、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとが他方の対角位置に設けられる。
第1セパレータ102は、水透過性膜50の一方の面50aに向かう第1面102a側に、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通し、矢印B方向に1往復半のサーペンタイン形状の第1流路106を設ける。第1セパレータ102は、第1面102aとは反対の第2面102b側に、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通するサーペンタイン形状の第2流路108を設ける。サーペンタイン形状に設定することにより、流路長を長くすることができ、加湿量の増加が図られる。
第1流路106を構成する複数の溝部106aと、第2流路108を構成する複数の溝部108aとは交互に設けられており、その波形状の両開口端部が空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとに、直接、開放される。
第1流路106には、空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bの近傍に第1シール部材110a、110bが配設されるとともに、第2流路108には、前記第1シール部材110a、110bに対し内方にオフセットして第2シール部材112a、112bが配設される。
第2セパレータ104は、水透過性膜50の他方の面50bに向かう第3面104a側に、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通し、矢印B方向に1往復半のサーペンタイン形状の第3流路114を設ける。第2セパレータ104の第3面104aとは反対の第4面104b側には、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通するサーペンタイン形状の第4流路116が設けられる。
第3流路114を構成する複数の溝部114aと、第4流路116を構成する複数の溝部116aとは、交互に設けられる。溝部114a、116aは、波形状の両開口端部がオフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとに、直接、開放される。
第3流路114のオフガス供給連通孔60a及びオフガス排出連通孔60bの近傍に第3シール部材118a、118bが配設される一方、第4流路116の前記オフガス供給連通孔60a及びオフガス排出連通孔60bの近傍に前記第3シール部材118a、118bに対し内方にオフセットして第4シール部材120a、120bが配設される。
図10は、本発明の第3の実施形態に係る加湿装置130の要部分解斜視説明である。
加湿装置130は、水透過性膜50の一方の面50aと他方の面50bとに交互に配設される第1セパレータ132及び第2セパレータ134を備える。
第1セパレータ132の第1面132a側には、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通し、矢印B方向に2往復するサーペンタイン形状の第1流路136が設けられる。第1セパレータ132の第1面132aとは反対の第2面132b側には、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとを連通するサーペンタイン形状の第2流路138が設けられる。
第1流路136の入口及び出口近傍には、第1シール部材140a、140bが配設されるとともに、第2流路138の入口及び出口近傍には、前記第1シール部材140a、140bに対し内方にオフセットして第2シール部材142a、142bが配設される。
第2セパレータ134の第3面134a側には、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通し、矢印B方向に2往復するサーペンタイン形状の第3流路144が設けられる。第2セパレータ134の第3面134aとは反対の第4面134b側には、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとを連通するサーペンタイン形状の第4流路146が設けられる。
第3流路144の入口及び出口近傍には、第3シール部材148a、148bが配設される一方、第4流路146の入口及び出口近傍には、前記第3シール部材148a、148bに対し内方にオフセットして第4シール部材150a、150bが配設される。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る加湿装置160の要部分解斜視説明図である。
加湿装置160は、水透過性膜50の一方の面50aと他方の面50bとに交互に配設される第1セパレータ162及び第2セパレータ164を備える。
第1セパレータ162は、第1面162aと第2面162bとに、それぞれ矢印B方向に延在する直線状の第1流路166と第2流路168とを設ける。第1及び第2流路166、168は、空気供給連通孔58a及び空気排出連通孔58bに連通するそれぞれ複数の溝部166a、168aを備え、前記溝部166a、168aが交互に設けられる。
第2セパレータ164は、第3面164aと第4面164bとに、第3流路170と第4流路172とがそれぞれ矢印B方向に延在して設けられる。第3及び第4流路170、172は、それぞれ複数の溝部170a、172aを交互に設けるとともに、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとに連通する。
図12は、本発明の第5の実施形態に係る加湿装置190の要部分解斜視説明図である。
加湿装置190は、水透過性膜50の一方の面50aと他方の面50bとに交互に配設される第1セパレータ192及び第2セパレータ193を備える。加湿装置190の矢印B方向一端縁部に、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとが設けられるとともに、該一端縁部の上下には、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとが設けられる。
第1セパレータ192は、第1面192a側及び第2面192b側に、空気供給連通孔58aと空気排出連通孔58bとに連通してU字状に屈曲乃至湾曲する第1流路194及び第2流路196を設ける。第1流路194を構成する複数の溝部194aは、第2流路196を構成する複数の溝部196aと交互に設けられる。
第2セパレータ193は、第3面193a側及び第4面193b側に、第3流路198及び第4流路200を設ける。第3流路198及び第4流路200は、オフガス供給連通孔60aとオフガス排出連通孔60bとに連通して略U字状に構成されるとともに、各溝部198a、200aが交互に設けられる。
なお、空気排出連通孔58bとオフガス排出連通孔60bとを入れ替えて、又は空気供給連通孔58aとオフガス供給連通孔60aとを入れ替えて構成してもよい。これにより、第1〜第4流路194〜200は、一方の端部側が直線状で且つ他方の端部側が屈曲形状に構成される。
上記のように構成される第2〜第5の実施形態では、上記の第1の実施形態に係る加湿装置10と同様の効果が得られる。
図13は、本発明の第6の実施形態に係る加湿装置210の一部断面側面図である。
加湿装置210は、水透過性膜50を挟んで交互に配設される第1セパレータ52と第2セパレータ212とを備える。第2セパレータ212の高さ方向(矢印A方向)の寸法は、第1セパレータ52の高さ方向の寸法に比べて大きく設定される。
このように構成される第6の実施形態では、第2セパレータ212の高さ方向の寸法を変更させることにより、この第2セパレータ212の両面に沿って流れるオフガスの圧損等を変更することができ、前記オフガスによる加湿性能が容易に変更可能になるという効果が得られる。なお、第1セパレータ52の高さ方向の寸法を変更することにより、反応前の空気の圧損等の変更が、オフガスとは個別に容易に遂行可能になる。
図14は、本発明の第7の実施形態に係る加湿装置220の一部断面側面図であり、図15は、前記加湿装置220の要部分解斜視説明図である。
加湿装置220は、水透過性膜50を挟んで交互に積層される第1セパレータ222と第2セパレータ224とを備える。第1セパレータ222は、各溝部62a間の凸部(各溝部64aを形成する凹部)に開口部226aを形成するとともに、前記溝部62aを構成する凹部に開口部226bを設ける。開口部226aは、各溝部64aを水透過性膜50の一方の面50aに開放するとともに、開口部226bは、溝部62aを他の水透過性膜50の他方の面50bに開放する。
第2セパレータ224は、溝部80a間の凸部(溝部82aを形成する凹部)に開口部228aを形成するとともに、前記溝部80aを形成する凹部に開口部228bを設ける。開口部228aは、溝部82aを水透過性膜50の他方の面50bに開放するとともに、開口部228bは、溝部80aを他の水透過性膜50の一方の面50aに開放する。
このように構成される第7の実施形態では、例えば、各溝部82aに供給されるオフガスは、この溝部82aの底面側の水蒸気分圧の高騰により、開口部228a、226aを介して溝部64aの反応前の空気を加湿することができる。
10、100、130、160、190、210、220…加湿装置
12…燃料電池システム 14…燃料電池スタック
16…発電セル 20…電解質膜・電極構造体
20a…固体高分子電解質膜 20b…アノード側電極
20c…カソード側電極
22、24、52、54、102、104、132、134、162、164、192、193、212、222、224…セパレータ
40…空気供給流路 42…空気排出流路
50…水透過性膜 56…積層体
58a…空気供給連通孔 58b…空気排出連通孔
60a…オフガス供給連通孔 60b…オフガス排出連通孔
62、64、80、82、106、108、114、116、136、138、144、146、166、168、170、172、194、196、198、200…流路
62a、62b、64a、80a、82a、106a、108a、114a、116a、166a、168a、170a、172a、194a、196a、198a、200a…溝部
70a、70b…板状部 72a、72b…膨出部
74a、74b…凹部 76a、76b、88a、88b…貫通孔
12…燃料電池システム 14…燃料電池スタック
16…発電セル 20…電解質膜・電極構造体
20a…固体高分子電解質膜 20b…アノード側電極
20c…カソード側電極
22、24、52、54、102、104、132、134、162、164、192、193、212、222、224…セパレータ
40…空気供給流路 42…空気排出流路
50…水透過性膜 56…積層体
58a…空気供給連通孔 58b…空気排出連通孔
60a…オフガス供給連通孔 60b…オフガス排出連通孔
62、64、80、82、106、108、114、116、136、138、144、146、166、168、170、172、194、196、198、200…流路
62a、62b、64a、80a、82a、106a、108a、114a、116a、166a、168a、170a、172a、194a、196a、198a、200a…溝部
70a、70b…板状部 72a、72b…膨出部
74a、74b…凹部 76a、76b、88a、88b…貫通孔
Claims (4)
- 固体高分子型燃料電池に供給される少なくとも一方の反応ガスを、加湿流体によって加湿するための反応ガス用加湿装置であって、
水透過性膜の一方の面に配設される第1セパレータと、
前記水透過性膜の他方の面に配設される第2セパレータと、
を備え、
少なくとも前記第1セパレータは、断面凹凸形状に構成されることにより、前記水透過性膜の一方の面に向かう第1面側及び前記第1面とは反対の第2面側に、同一の反応ガス又は同一の加湿流体を流通させる第1流路及び第2流路を設けるとともに、
前記第1流路及び前記第2流路は、前記断面凹凸形状の開口端部が前記第1セパレータを積層方向に貫通する連通孔に直接連通することを特徴とする反応ガス用加湿装置。 - 請求項1記載の反応ガス用加湿装置において、前記第2セパレータは、断面凹凸形状に構成されることにより、前記水透過性膜の他方の面に向かう第3面側及び前記第3面とは反対の第4面側に、同一の加湿流体又は同一の反応ガスを流通させる第3流路及び第4流路を設けるとともに、
前記第3流路及び前記第4流路は、前記断面凹凸形状の開口端部が前記第2セパレータを積層方向に貫通する連通孔に直接連通することを特徴とする反応ガス用加湿装置。 - 請求項1又は2記載の反応ガス用加湿装置において、前記水透過性膜を介装して前記第1セパレータと前記第2セパレータとが交互に積層されてスタックを構成することを特徴とする反応ガス用加湿装置。
- 請求項2又は3記載の反応ガス用加湿装置において、前記第1セパレータと前記第2セパレータとは、金属製又は樹脂製プレートを波形状に成形して前記第1流路及び前記第2流路と前記第3流路及び前記第4流路とを構成することを特徴とする反応ガス用加湿装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004281913A JP2006100022A (ja) | 2004-09-28 | 2004-09-28 | 反応ガス用加湿装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004281913A JP2006100022A (ja) | 2004-09-28 | 2004-09-28 | 反応ガス用加湿装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006100022A true JP2006100022A (ja) | 2006-04-13 |
Family
ID=36239622
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004281913A Pending JP2006100022A (ja) | 2004-09-28 | 2004-09-28 | 反応ガス用加湿装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006100022A (ja) |
-
2004
- 2004-09-28 JP JP2004281913A patent/JP2006100022A/ja active Pending
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