JP2006099582A - Cad装置、情報処理方法、及びcadプログラム - Google Patents

Cad装置、情報処理方法、及びcadプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 CAD装置において、複雑な屋根の配置、変更を容易に行うこと
【解決手段】 本実実施の形態のCAD装置は、基本的な構造の屋根組を屋根要素を複数枚配置することにより構成する。この基本的な屋根組を基本屋根組と呼び、基本屋根組を組み合わせることにより寄り複雑な形状の屋根を構成する。基本屋根組は、例えば、勾配や高さなどのパラメータにより形状や位置が規定されるが、本実施の形態のCAD装置は、これらのパラメータで規定される基本屋根組の形状から各屋根要素の配置を計算する。そして、計算結果による各屋根要素の配置によって基本屋根組の配置が規定される。また、基本屋根組を構成する屋根要素は、共通のID番号を付与することによりグループ化されており、他の基本屋根組を構成する屋根要素から識別できるようになっている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、CAD装置、情報処理方法、及びCADプログラムに関し、例えば、家屋の設計を支援するものに関する。
近年のコンピュータの普及に伴い、従来は手作業で行ってきた建築の設計もコンピュータを用いて行うようになってきた。
このように、コンピュータを用いて設計業務を支援する装置はCAD(Computer Aided Design)装置と呼ばれ、コンピュータ上にて設計図面の作成や、各種シミュレーションを行うことができる。
CAD装置を用いることにより、家屋の間取り、屋根の形状など、顧客の要望に基づくCADデータを作成することができる。
また、CADデータは、ベクトルデータとして生成されるため、パラメータを変更することにより、設計変更などに対しても容易に対応することができる。
このようにCAD装置を用いた発明としては次の「屋根設計システム」がある。
特開平8−278991号公報
特許文献1には、屋根の形状などを入力するだけで自動的に屋根の形状などを設計する技術について記載されている。
ところで、従来のCAD装置では、複雑な形状の屋根を扱うのが困難であった。
例えば、4枚の屋根板から形成される屋根組(例えば、寄棟型)や2枚の屋根組から形成される屋根組(例えば、切妻型)など、基本的な屋根組であれば容易に配置できるが、更にその2つの屋根組が組み合わさって形成される屋根組のような複雑な屋根組となると、容易には配置できない。この場合、例えば、屋根組を構成する個々の屋根板を手動にて配置する必要がある。
また、上記のような複雑な屋根組を、1枚1枚の屋根板で配置し形成した後、「勾配」や「軒の出」など、形状などの修正を行う場合には、それぞれの屋根板のデータ内容を変更するか、全ての屋根板を再配置する必要があった。
更に、一部の屋根板だけ「勾配」や「軒の出」を変更する際にも、他の屋根データの領域に影響が出てしまうため、その都度影響のある屋根板のデータを変更する必要があった。
そこで、本発明の目的は、複雑な屋根の配置、変更を容易に行うことである。
本発明は、前記目的を達成するために、請求項1に記載した発明では、基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算手段と、前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけ手段と、前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示手段と、前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付手段と、前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ手段による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出手段と、を具備し、前記座標値計算手段は、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算し、前記表示手段は、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新することを特徴とするCAD装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、前記表示手段で表示している基本屋根組の外形を規定するパラメータを表示し、前記パラメータの変更に係る値を入力するパラメータ入力欄を表示するパラメータ入力欄表示手段と、を具備し、前記パラメータ変更受付手段は、前記表示したパラメータ入力欄に入力された値を取得することを特徴とする請求項1に記載のCAD装置を提供する。
請求項3に記載の発明では、2つの基本屋根組が重なる重なり部分を有する場合、前記座標値計算手段は、高さ方向の座標値の小さい方の重なり部分が消去されるように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のCAD装置を提供する。
請求項4に記載の発明では、前記2つの基本屋根組の交線を計算する交線計算手段を具備し、前記座標値計算手段は、前記2つの基本屋根組の前記交線により分割された重なり部分のうち、高さ方向の座標値が小さい重なり部分が消去されるように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項3に記載のCAD装置を提供する。
請求項5に記載の発明では、交わる2つの基本屋根組のうち、一方の基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値が更新された場合に、当該屋根要素の更新された座標値を用いて前記2つの基本屋根組の交線を計算する交線計算手段を具備し、
前記座標値計算手段は、前記2つの基本屋根組の接合部分が前記計算した交線に合致するように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項1に記載のCAD装置を提供する。
請求項6に記載の発明では、請求項5で再計算する前の空間座標値を復元する復元情報を記憶する復元情報記憶手段を具備し、前記計算手段は、交線に合致するように再度前記屋根要素の空間座標値を計算する場合、前記記憶した復元情報を用いて計算を行うことを特徴とする請求項5に記載のCAD装置を提供する。
請求項7に記載の発明では、座標値計算手段と、関連づけ手段と、表示手段と、パラメータ変更受付手段と、屋根要素抽出手段と、を備えたコンピュータにおいて、前記座標値計算手段によって、基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算ステップと、前記関連づけ手段によって、前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけステップと、前記表示手段によって、前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示ステップと、前記パラメータ変更受付手段によって、前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付ステップと、前記屋根要素抽出手段によって、前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ手段による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出ステップと、前記屋根要素抽出手段によって、前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ手段による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出ステップと、前記座標値計算手段によって、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算する再計算ステップと、前記表示手段によって、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新する表示更新ステップと、から構成されたことを特徴とする情報処理方法。
請求項8に記載の発明では、基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算機能と、前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけ機能と、前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示機能と、前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付機能と、前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ機能による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出機能と、をコンピュータで実現するCADプログラムであって、前記座標値計算機能は、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算し、前記表示機能は、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新することを特徴とするCADプログラムを提供する。
本発明によると、複雑な屋根の配置、変更を容易に行うことができる。
(1)実施の形態の概要
本実施の形態のCAD装置は、切妻とか寄棟などといった、基本的な構造の屋根組を、例えば板状の屋根要素を複数枚配置することにより構成する。
この基本的な屋根組を基本屋根組と呼び、基本屋根組を組み合わせることにより、より複雑な形状の屋根を構成することができる。
基本屋根組は、例えば、勾配や高さなどのパラメータにより形状や位置が規定されるが、本実施の形態のCAD装置は、これらのパラメータで規定される基本屋根組の形状から各屋根要素の空間座標値(配置)を計算する(座標値計算手段)。
そして、計算結果による各屋根要素の配置によって基本屋根組の配置が規定される。
また、基本屋根組を構成する屋根要素は、共通のID番号を付与することによりグループ化されており、他の基本屋根組を構成する屋根要素から識別できるようになっている(関連づけ手段)。
そのため、複数の基本屋根組を組み合わせて構成した複合屋根組から、ID番号を用いて所望の基本屋根組を抽出して処理することができる(屋根要素抽出手段)。
このように、本実施の形態では、基本屋根組が複数の構成単位である屋根要素から構成されているにもかかわらず、基本屋根組をあたかも1つの要素の如く扱うことができる。
本実施の形態では、一例として基本屋根組を棟ごとに作成するように構成されている。基本屋根組は、ID番号を用いて1つの要素として処理することができるため、複雑な複合屋根組も棟ごとに形成するが如く配置し、形状の変更を行うことができ、ユーザの操作性、利便性を高めている。
本実施の形態のCAD装置は、基本屋根組を組み合わせて複合屋根組を構成するが、基本屋根組を構成する屋根要素がグループ化されているために、基本屋根組同士の調整・補正を自動的に行うことができる。
例えば、既存の基本屋根組に新たな基本屋根組を配置する場合に、既存の基本屋根組と新たな基本屋根組との間に重複する部分が生じる。
この場合、本実施の形態のCAD装置は、重複する部分のうち、高さの高い方の部分を残し、高さの低い部分を削除(消去)する。
即ち、既存の基本屋根組に新たな基本屋根組を配置する際に「勾配」、「高さ」などを考慮して各屋根データ領域(基本屋根組の存在する空間)を自動で取り合うことができる。
なお、屋根と屋根、壁と床など、要素と要素が接する部分、あるいは接する様を取り合いと呼ぶが、本実施の形態では、2つの基本屋根組の重複する部分を削除して(あるいは、後述するように間隙がある場合は間隙を埋めて)、これら2つの基本屋根組の接する部分を調節する処理を取り合い処理と呼ぶことにする。
これは、基本屋根組の接する部分の形状が調節されるように、屋根要素の空間座標値を計算することにより行われる。
また、一旦複合屋根組を構成した後、ある基本屋根組の勾配や高さを変更したいなど、複合屋根組の一部の形状変更を行う場合がある。この場合、本実施の形態のCAD装置は、パラメータの変更をユーザより受け付けて(パラメータ受付手段)、これにより各屋根要素の配置を計算する。
一般に、複合屋根組で一部の基本屋根組を変更すると、その変更による影響は隣接する他の基本屋根組にも波及するが、本実施の形態のCAD装置は、変更対象である基本屋根組を変更すると共に、隣接する基本屋根組をも変更して両者の整合性を自動的にとる。
このため、ユーザは、一旦配置した複合屋根組に対しても容易に基本屋根組の変更を行うことができる。
このように、本実施の形態のCAD装置は、単位となる屋根組を基本屋根組という、あたかも1つの要素のように扱うことにより、屋根組の追加や形状変更を容易に行うことができる。
また、本実施の形態のCAD装置は表示装置を備えており、これらの屋根要素を、空間座標値に基づいて表示装置にてユーザに対して表示することができる(表示手段)。
そして、パラメータの変更によって屋根要素が再配置された場合、本実施の形態のCAD装置は、更新後の屋根要素の空間座標値に基づいて表示を更新し、ユーザが更新後の基本屋根組を確認することができる。
なお、表示装置に、パラメータ入力欄を表示する際に、現在表示している基本屋根組のパラメータを合わせて表示することによりユーザの利便性を高めることができる(パラメータ入力欄表示装置)。
以上の処理の具体的な形態を図1(基本屋根組の追加)及び図2(複合屋根組での基本屋根組の変更)を用いて説明する。
今、図1(a)に示したような基本屋根組10があったとする。基本屋根組10は、複数の板状の屋根要素10aを中央が凸状となるように配置して構成されており、所謂カマボコ型と呼ばれる屋根形状を有している。各屋根要素10aの位置と形状(配置)は、屋根要素10aの空間座標値により規定される。
本実施の形態のCAD装置は、これらの屋根要素の配置を保持すると共に、これらに同一のID番号を付与して、グループとして管理している。
ここで、図1(b)に示したように、2つ目のカマボコ型の基本屋根組12を配置したとする。基本屋根組12も、基本屋根組10と同様に板状の屋根要素を基本屋根組12の形状に合わせて配置することにより構成されている。
なお、図1(b)では、簡略化のため、基本屋根組10、12の外形を示しており、個々の屋根要素は図示していない。
基本屋根組12の軸線は、基本屋根組10の軸線と垂直になるように配置されており、基本屋根組12の一端部13が基本屋根組10の側面を貫通して基本屋根組10の内部に潜り込んでいる。
本実施の形態のCAD装置は、基本屋根組10と基本屋根組12の重なり部分を検出し、重なり部分における基本屋根組10の高さと基本屋根組12の高さの高低を調べる。
そして、重なり部分のうち、高さの低い方の部分、即ち一端部13を検出して削除する。
この削除は、基本屋根組10と基本屋根組12の交線を計算し、基本屋根組12を構成する各屋根要素に対して、この交線よりも一端部13側に存在する部分を削除することにより行う。
なお、重なり部分とは、垂直方向(高さ方向)に複数の基本屋根組が存在している部分をいう。
この処理により、図1(c)に示したように、基本屋根組12と基本屋根組10の重なり部分が解消される。
本実施の形態のCAD装置は、基本屋根組10と基本屋根組12の重なり部分を解消した後、両者を1つの複合屋根組として統合する。
なお、統合した後も、基本屋根組10と基本屋根組12は、異なるID番号が付与されるため、これらを個別に扱うことができる。
例えば、複合屋根組から基本屋根組10を抽出して半径を大きくするなどの処理を行うことができる。
このように、本実施の形態のCAD装置は、2つの基本屋根組を重なり部分を持つように配置した場合、自動的に重なり部分の取り合いを行って複合屋根組に統合する。
次に、複合屋根組を構成する基本屋根組を変更する場合について説明する。
今、図2(a)に示したように、基本屋根組16と基本屋根組18からなる複合屋根組17があったとする。
基本屋根組16、18は、何れも切妻型と呼ばれる屋根形状をしている。基本屋根組16は、板状の屋根要素16aと屋根要素16bが山形に組み合わされて構成されている。
基本屋根組18も同様に2つの板状の屋根要素を組み合わせて構成されている。
基本屋根組16と基本屋根組18は、軸線(棟線)が垂直となるように配設されており、基本屋根組18の一端が基本屋根組16の側面(屋根要素16b)に接続している。
このように構成された複合屋根組17において、図2(b)に示したように、基本屋根組16を基本屋根組16cのように、勾配が急になるように形状を変更したとする。
この場合、基本屋根組16の基本的な形状を保ったまま勾配を急にして基本屋根組16cを生成すると、基本屋根組16cと基本屋根組18の間に間隙20が生じる。
本実施の形態のCAD装置は、間隙20を埋めるため、次のような処理を行う。CAD装置は、まず、基本屋根組16cを生成した後、基本屋根組16cの形状を復元する(即ち、基本屋根組16cの基本屋根組18側の屋根面を矩形形状に復元する)。これにより、復元後の基本屋根組16cと基本屋根組18が交わった状態となるので、両者の交線を計算し、この交線を用いて取り合い処理を行う。
また、交線を求めるのに基本屋根組18を復元する必要がある場合(例えば、基本屋根組16の勾配を小さくする場合)は、基本屋根組18の形状を復元してから交線を計算する。
このように、基本屋根組の形状を復元してから交線を求めて取り合い処理を行うことにより、屋根要素が交線に届かない場合、これを交線まで伸張し、交線を越えている場合は、その部分を削除(消去)することができる。
このようにして取り合い処理を行った結果、図2(c)に示したように、更新後の基本屋根組16dと基本屋根組18が適切に接合する複合屋根組17aが形成される。
このように、本実施の形態のCAD装置は、複合屋根組を成す基本屋根組の形状を変更した場合、隣接する他の基本屋根組との交線を計算し、両者の重なりや間隙を確認する。そして、重なる場合は重なり部分を削除し、間隙が生じる場合は、屋根要素を伸張して両者が過不足無く接合するようにする。
(2)実施の形態の詳細
図3は、本実施の形態で建築関連図面の設計に用いるCAD装置の構成を示したブロック図である。
CAD装置1は、家屋などの建築設計用に構成されたCAD装置であって、例えば、パーソナルコンピュータにCADプログラムをインストールすることにより構成される。
CAD装置1は、建築関連図面の作図・編集を支援する機能を備えており、屋根組の設計では、後述するように屋根組を1つの要素として扱えるようになっている。
CAD装置1が処理するCADデータは、ベクタデータにより構成されている。ベクタデータとは、線分や円弧といった要素を数式にて幾何学的に定義し、これら定義された要素を用いて図面を構成したものである。基本屋根組を構成する屋根要素も形状や位置が幾何学的に定義される。
CAD装置1は、CPU(Central Processing Unit)109、RAM(Random Access Memory)110、ROM(Read Only Memory)111、キーボード112、マウス113、表示装置114、印刷装置115、記憶装置116、記憶媒体駆動装置117、通信制御装置118、入出力I/F(インターフェース)119などから構成されている。
CPU109は、プログラムを実行して各種の情報処理を行う中央処理装置である。
本実施の形態では、記憶装置116に記憶されたCADプログラムを実行して、建築関連図面の作図・編集を支援する機能を発揮する。また、CAD装置1は、このCADプログラムを実行することにより、複数の屋根要素からなる基本屋根組を棟ごとにグループ制御することができる。
RAM110は、随時書き込みと読み出しができるメモリであって、プログラムやデータを書き込んだり消去したりすることができる。
RAM110は、CPU109がCAD機能を発揮する際のワーキングエリアを提供する。
ROM111は、読み取り専用のメモリであって、CAD装置1を機能させるための基本的なプログラムやデータが記憶されている。
キーボード112は、文字キー、テンキー、ファンクションキー、カーソルキーなど、各種のキーを備えた入力装置であって、ユーザが文字やコマンドなどの情報を入力するのに用いる。
ユーザは、作図や図面編集を行う際にキーボード112から文字や数字を入力することにより、基本屋根組の新規作成・追加・形状変更などを行う際のパラメータを入力することができる。
マウス113は、ポインティングデバイスであって、キーボード112と同様に入力装置を構成している。
マウス113は、表示装置114に表示されたアイコンなどをクリックすることにより、情報を入力したり、コマンドを実行させたりすることができる。
本実施の形態では、例えば、基本屋根組を設定するためのユニット棟線(後述)を指定したり、あるいは、形状を変更する基本屋根組を指定するのに用いることができる。
表示装置114は、出力装置を構成し、例えばCRT(Cathode−ray Tube)や液晶ディスプレイなどで構成されている。
表示装置114には、建築設計図面などが表示され、ユーザは表示された図面を参照しながらキーボード112やマウス113を操作して作図・編集を行ったり、屋根組の形状を編集したりすることができる。
印刷装置115も出力装置を構成し、レーザプリンタ、インクジェットプリンタなどのプリンタ装置やプロッタなどで構成される。
印刷装置115は、紙などの印刷媒体上に建築設計図面やその他の情報を印刷することができる。
記憶装置116は、読み書き可能な記憶媒体と、その記憶媒体に対してプログラムやデータなどの各種の情報を読み書きする駆動装置から構成されている。記憶装置116として、例えば、大容量のハードディスクが使用される。
記憶装置116は、プログラム格納部121、データ格納部122、図示しないその他の格納部が形成されている。
プログラム格納部121には、CAD装置1を機能させるための基本的なプログラムであるOS(Operating System)や、CAD装置1がCAD機能を発揮し、情報処理を行うためのCADプログラムなどが格納されている。
CPU109は、プログラム格納部121からCADプログラムを読み出して実行し、建築設計図面の作図・編集機能などを発揮する。
データ格納部122には、建築設計図面のCADデータやその他のデータが格納されている。
CAD装置1は、データ格納部122からCADデータを読み出して、作図、編集などの各処理を行うことができる。
記憶媒体駆動装置117は、CPU109が外部の記憶媒体からコンピュータプログラムやデータを読み込むための駆動装置である。
CAD装置1は、記憶媒体駆動装置117を駆動して、記憶媒体に記録されたコンピュータプログラム、CADデータなどの情報を取得することができる。
ここで、記憶媒体とは、コンピュータプログラムやデータなどが記憶される記憶媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどの磁気記憶媒体、メモリチップやICカードなどの半導体記憶媒体、光ディスクなどの光記憶媒体などがある。
通信制御装置118は、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークとCAD装置1を接続するための制御装置である。
CAD装置1は、通信制御装置118を用いてネットワーク経由にて、コンピュータプログラム、CADデータなどを受信したり、あるいは、これらの情報を送信したりすることができる。
入出力I/F119は、CAD装置1に周辺機器を接続するためのインターフェースである。
周辺機器としては、スピーカ、スキャナ、ドライブ装置などがあり、これらの機器によりCAD装置1の機能を拡張することができる。
CAD装置1は、平面図や立面図の作図を支援したり、各種シミュレーションを行ったりなど、一般のCAD装置と同様の機能を備えているが、以下では、これらの機能のうち屋根組の作成機能について説明する。
図4は、CAD装置1が扱う基本屋根組の各種形状の一例を示した模式図である。複合屋根組は、これらの基本屋根組の組み合わせにより作成される。
図4(a)に示した基本屋根組30は、板状の形状を有する屋根要素30a、30bを基本屋根組30の中央部が高くなるように(棟から両側に勾配屋根があり、勾配屋根の棟線側両端は壁になっているように)接合した形状を有しており、この形状は切妻と呼ばれる。なお、棟とは2つの屋根面の交差部分をいう。
切妻型の基本屋根組の場合、形状を規定するパラメータとしては、軒の出、けらばの出、軒高±、勾配などがある。
これらのパラメータに対して、屋根要素30a、30bを配設することにより切妻型の基本屋根組30が得られる。
ここで、軒とは屋根面のうち、屋根面の勾配方向において外壁から外側の部分をいい、軒の出とは、軒の距離をいう。
これを図示すると図5(a)に示したようになる。軒線32は、外壁の輪郭線である。
軒の出は、屋根面の勾配方向おいて、屋根組30の縁と軒線32との距離となる。
また、けらばとは屋根面のうち、屋根面の勾配方向と垂直方向において外壁から外側の部分をいい、けらばの出とはその距離をいう。
これを図示すると図5(a)のようになる。
軒線32の設計値(例えば、建物正面方向の長さa、建物正面方向に垂直方向の長さb)は予めわかっているため、この設計値と軒の出、及びけらばの出を用いることにより、屋根組30の勾配方向、及び勾配に垂直方向の外形を規定することができる。
一方、軒高±とは、図5(b)に示したように軒高から屋根組の基準線までの高さである。
なお、軒高とは、地盤面から建築物の小屋組、または横架材(桁)を支持する壁、敷桁(しきげた)または柱の上端までの高さのことである。
勾配とは、屋根面が水平方向と成す勾配である。
軒高±と勾配により、屋根組30の地位直方向の外形が規定される。
以上、これらのパラメータを指定することにより、基本屋根組30の3次元的な配置が規定される。
図4(b)に示した基本屋根組32は、板状の形状を有する屋根要素32a〜32dの棟を中心に四方に流れを持つように配設した形状を有しており、この形状は寄棟と呼ばれている。
寄棟型の基本屋根組の形状は、軒の出、勾配、軒高±などのパラメータにより規定される。
図4(c)に示した基本屋根組34は、切妻の勾配が2段階となった形状を有しており、この形状はマンサード切妻と呼ばれる。
即ち、屋根要素34a、34bが2段階の勾配を持つことにより一方の側の屋根面が形成され、屋根要素34d、34cが2段階の勾配を持つことにより他方の側の屋根面が形成されている。
基本屋根組34の形状を規定するパラメータとしては、軒の出、けらばの出、軒高±のほか、図6(a)に示したように、下段側の屋根要素(屋根要素34d、34a)の勾配と、上段側の屋根要素(屋根要素34c、34b)の勾配などがある。
図4(d)に示した基本屋根組36は、寄棟の勾配が2段となった形状を有しており、この形状はマンサード寄棟と呼ばれる。
基本屋根組36では、屋根要素36aの下段に、屋根要素36aより勾配が急峻な屋根要素36eが配設され、屋根要素36bの下段に屋根要素36fが配設されている。図示しない他の側面も同様に構成されている。
基本屋根組36の形状を規定するパラメータとしては、軒の出、軒高±のほか、上段側の屋根要素の勾配と下段側の屋根要素の勾配などがある。
図4(e)に示した基本屋根組38は、複数の板状の屋根要素38a〜38dを、垂直上方向に凸型の円弧を成すように配設しており、その形状からカマボコなどと呼ばれる。なお、図4(e)では、4枚の屋根要素により基本屋根組38を構成しているが、更に多くの屋根要素を用いることもできる。屋根要素数が多いほど丸みがより正確に表現される。
カマボコ型の基本屋根組38を規定するパラメータとしては、軒の出、けらばの出、軒高±、棟位置、棟高、分割数などがある。
このうち、棟の位置は、図6(b)に示したように、カマボコ型の中心線と軒の基準線との距離であり、棟高は、軒高から棟までの距離である。
分割数は、基本屋根組を構成するための屋根要素の数であり、屋根要素の数が多いほど滑らかな円弧の基本屋根組を構成することができる。図6(b)の例では、片側が屋根要素38e、38f、38gの3つの屋根要素で構成されており、対向する側も3つの屋根要素でできているとすると、分割数は6となる。
図4(f)に示した基本屋根組40は、板状の屋根要素40a〜40cを半円弧状に配設して構成されている。
基本屋根組40は、カマボコ型の基本屋根組を軸線に沿って2等分した形状を有しており、半カマボコと呼ばれている。
半カマボコ型の基本屋根組を規定するパラメータはカマボコ型の基本屋根組と同じである。
図4(g)に示した基本屋根組42は、板状の屋根要素42a〜42cを屋根面に対して凹型となるように配設して構成されている。向かい側の側面も同様に凹型に構成されている。
基本屋根組42のように、側面が凹型に形成された屋根組はそりと呼ばれている。
そり型の基本屋根組を規定するパラメータとしては、軒の出、けらばの出、軒高±、そり高、分割数などがある。
このうち、そり高は、図6(c)に示したように、基本屋根組42の上端部と下端部を結ぶ線と、凹部の底部との距離である。分割数は、カマボコ型の基本屋根組と同様に屋根要素の数である。
図4(h)に示した基本屋根組44は、板状の屋根要素44a〜44cを屋根面に対して凸型となるように配設して構成されている。向かい側の側面も同様に凸型に構成されている。
基本屋根組44のように、側面が凸型に形成された屋根組はむくりと呼ばれている。
むくり型の基本屋根組を規定するパラメータとしては、軒の出、けらばの出、軒高±、むくり高、分割数などがある。
このうち、むくり高は、図6(c)に示したように、基本屋根組44の上端部と下端部を結ぶ線と、凸部の頂部との距離である。分割数は、カマボコ型の基本屋根組と同様に屋根要素の数である。
以上のように、各基本屋根組の形状は、軒の出、けらばの出などのパラメータで規定することができる。
そして、CAD装置1は、屋根要素の外寸や位置を計算して配置することにより、屋根要素を組み合わせて基本屋根を構成することができる。
次に、屋根要素のグループ化について説明する。
CAD装置1は、1つの基本屋根組を構成する屋根要素に共通のID番号を付与することによりグループ化する。
これによって、CAD装置1のユーザは基本屋根組をあたかも1つの要素であるかのように扱うことができる。
CAD装置1は、基本屋根組を棟ごとに生成するようになっており、基本屋根組を設置する軒線をユニット軒線として登録し、ID番号を付与する。
そして、このユニット軒線に対して配置された屋根要素に対して、このユニット軒線と同じID番号を付与する。
これにより、ユニット軒線に対して配置された基本屋根組は、これを構成するグループ化された屋根要素のID番号で識別することが可能となる。
図7(a)は、ユニット軒線の一例を示した図である。この図では、点線で示した軒線がユニット軒線50を構成し、ID番号として10が付与されている。
ID番号は、他のユニット軒線と重複しないようにCAD装置1が自動的に付与する。
図7(b)は、ユニット軒線50に屋根要素50a〜50dを配置したところを示している。屋根要素50a〜50dにより基本屋根組51が構成される。
屋根要素の配置は、例えば、ユーザがCAD装置1に対して屋根組の型、形状規定するパラメータなどを入力し、これを用いてCAD装置1が行う。
屋根要素50a〜50dは、CAD装置1により、ユニット軒線50と同じID番号10が付与される。
即ち、屋根要素50a〜50dは、それぞれ、外形の寸法や位置をあらわす3次元情報に加えて、ユニット軒線50のID情報を保持している。
そのため、このID情報を指定すると、屋根要素50a〜50dが指定され、これによって基本屋根組51が指定される。これが屋根要素50a〜50dをグループ化したことの効果である。即ち、CAD装置1は、ID番号により、当該ID番号で指定される基本屋根組を構成する各屋根要素を認識することができる。
CAD装置1は、以上のようにして、屋根要素にユニット軒線と同じID番号を付与して基本屋根組を登録する。
CAD装置1は、更に、新たなユニット軒線を作成した場合には、同様にこのユニット軒線に対して固有のID番号を付与する。そして、このユニット軒線に配置された屋根要素にこのID番号を付与する。
このようにして、新たなユニット軒線に対して配置された屋根要素をグループ化し、これら屋根要素により構成される基本屋根組を追加登録する。
図7(c)は、ユニット軒線50に対して設置された基本屋根組51に加えてユニット軒線52に対して配置された基本屋根組53を新たに追加したところを示している。
基本屋根組53は、屋根要素52a、52bから構成されている。
ユニット軒線52には、ID番号11が付与されている。そして、ユニット軒線52に対して配置された屋根要素52a、52bにもID番号11が付与されている。そのため基本屋根組53はID番号11により識別することができる。CAD装置1は、このように追加の屋根要素に固有のID番号を付与することによりこれらをグループ化し、これによって基本屋根組を追加登録する。
なお、CAD装置1は、基本屋根組が追加された場合、既存の基本屋根組に複合化して複合屋根組を完成する。
つまり、取り合いなどを行って、これら屋根組の形状を調整して複合屋根組とする。
図8(a)に基本屋根組51と基本屋根組53により形成された複合屋根組を示す。
図8(a)に示したように、基本屋根組51、53は、合体して1つの複合屋根組を形成しているが、これらの基本屋根組を構成する屋根要素は異なるID番号を保持しているため、個別に処理することができる。
即ち、複合屋根組の構成後に、複合屋根組を構成する基本屋根組の勾配などの条件を変更する場合、ID番号を用いて変更対象の基本屋根組を識別し、複合屋根組から変更対象の基本屋根組を抽出することができる。
図8(b)は、基本屋根組51、53から成る複合屋根組から基本屋根組51を抽出したところ(太線で示してある)を示している。
このように、CAD装置1は、何らかの方法でID番号を取得すれば、当該ID番号を保持する屋根要素を検索することができ、検索された屋根要素で構成される基本屋根組を他の基本屋根組から区別して抽出することができる。
なお、CAD装置1に対するID番号の指定は、例えば、ユーザが、基本屋根組を構成する屋根要素の何れかを選択したり、あるいは基本屋根組のID番号を直接入力するなどして行うことができる。
図9は、基本屋根組を登録する手順を説明するためのフローチャートである。
以下の処理はCAD装置1が備えるCPU109がCADプログラムに従って行うものである。
まず、CAD装置1は、ユニット軒線の登録を受け付ける(ステップ5)。これは、例えば、ユーザが表示装置114に表示された画面上で軒線を選択するなどして行う。
CAD装置1は、登録を受け付けたユニット軒線に対して固有のID番号を生成して付与する。
次に、ユーザが、当該ユニット軒線に対して基本屋根組を設定する(ステップ10)。
これは、例えば、ユーザが、画面上に「切妻」、「マンサード切妻」などと表示されたメニューから基本形状を選択し、更にパラメータを指定することにより行われる。
すると、CAD装置1は、当該ユニット軒線上に、屋根要素を配置し、基本屋根組を作成する。
なお、これは、一例であって、他の方法により基本屋根組を生成してもよい。
次に、CAD装置1は、生成した基本屋根組を構成する各屋根要素に、ユニット軒線と同じID番号を付与する(ステップ15)。
次に、CAD装置1は、新規登録する他のユニット軒線がある場合(ステップ20;Y)、CAD装置1は、この他のユニット軒線に対しても同様に基本屋根組の登録を行う。
また、新規登録する他のユニット軒線がなかった場合(ステップ20;N)、基本屋根組の登録処理を終了する。
次に、基本屋根組を抽出する手順について図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、CAD装置1は、ユーザから基本屋根組の条件変更の要求を受け付ける(ステップ30)。
この要求は、例えば、画面上に表示されたメニューから基本屋根組の条件変更を選択するなどして行われる。
CAD装置1は、条件変更の要求対象となっている基本屋根組のID番号を取得する(ステップ35)。
これは、例えば、ユーザが画面上で基本屋根組をマウス操作にてクリックするなどし、CAD装置1が、クリックされた屋根要素が保持しているID番号を取得することにより行われる。
次に、CAD装置1は、取得したID番号を有する屋根要素を検索し、抽出する(ステップ40)。これにより、変更対象である基本屋根組を抽出することができる。
次に、CAD装置1は、変更後の屋根組形状を規定するパラメータの入力をユーザより受け付け、この形状に適合するように抽出した各屋根要素の形状や配置などを計算する(ステップ45)。
次に、CAD装置1は、計算結果を用いて各屋根要素を再配置する。これによって、変更後の基本屋根組の配置が成される(ステップ50)。
以上のようにして、CAD装置1は、変更対象の基本屋根組を他の基本屋根組から区別して抽出し、変更後の配置とすることができる。
即ち、基本屋根組を構成する屋根要素をID番号によりグループとして認識することにより、これらをグループ制御することができる。
次に、基本屋根組の配置や形状の自動補正について説明する。
例えば、基本屋根組の勾配を変更した場合、この基本屋根組と接続する他の基本屋根組との間に隙間が生じたり、あるいは貫通する場合がある。
また、基本屋根組を追加した場合も同様な場合が生じることがある。
そこで、CAD装置1は、このような場合に、基本屋根組の長さを伸縮して適切な長さとし、更に、基本屋根組の重なる部分、足りない部分を取り合いすることにより基本屋根組の配置や形状を自動補正する。
図11(a)は、2つの基本屋根組間に隙間が生じる場合の一例を示している。
基本屋根組60、62は、何れも切妻型の基本屋根組である。そして、基本屋根組62の棟は、基本屋根組60の屋根面の勾配方向に対して垂直になっている。
基本屋根組62の棟は、基本屋根組60の屋根面に達せず、隙間が空いている。
なお、基本屋根組60、62を切妻型としたのは一例であって他の形状の基本屋根組であってもよい。
このように、基本屋根組間に隙間が空く場合、CAD装置1は、隙間が埋められるように、一方の基本屋根組を棟線方向に延ばす。
図11(a)の場合、CAD装置1は、基本屋根組62を基本屋根組60方向に、基本屋根組62の棟が基本屋根組60の屋根面に達するように伸ばす。
図11(a)では、基本屋根組62の伸ばした部分を点線で示してある。
この伸張処理は、基本屋根組62を構成する各屋根要素の長さをそれぞれ伸張することにより行われる。
図11(b)は、逆に基本屋根組62が基本屋根組60に過剰に潜り込んだ場合を示している。
このように、一方の基本屋根組が他の基本屋根組に過剰に潜り込んでいる場合、CAD装置1は、潜り込んでいる方の基本屋根組を棟線方向に縮めて適当な長さとする。
この収縮処理は、基本屋根組62を構成する各屋根要素の長さをそれぞれ収縮することにより行われる。
図11(b)の場合は、基本屋根組62を点線で示したように縮め、基本屋根組62の棟部分が基本屋根組60の側面と一致するようになっている。
なお、この処理は外観上必ずしも必要な処理ではないが、この処理を行うと計算精度を高めることができ、後の設計が容易になる。
なお、CAD装置1は、屋根組の長さの調整を行う際に、基本屋根組の形状によっては、その形状を自動的に切妻型に変換する機能も備えている。
例えば、図11(c)に示したように基本屋根組62aが切妻型の寄棟型の場合、寄棟の形状のまま延ばしても延長後の形状が屋根の形状としては理想的でないため、CAD装置1は、図11(c)の点線で示したように、基本屋根組62aを切妻に変換して延ばす。
このように、CAD装置1は、伸ばすのに適当でない形状の基本屋根組に関しては、適当な形状の基本屋根組(例えば、切妻型)に変換してから伸ばす機能を備えている。
以上のように、CAD装置1は、基本屋根組が部分的に重なっており、かつ、一方の基本屋根組の棟の当たる部分の線端を他方の基本屋根組の表面まで伸縮できる場合、取り合い処理の前段階として、当該一方の基本屋根組を伸縮して、当該一方の基本屋根組の棟の線端を当該他の基本屋根組の屋根面まで移動する。
CAD装置1は、以上のようにして、基本屋根組の長さを調整した後、更に両者の取り合い処理を行う。
ここで、基本屋根組の取り合い処理の一例を図12を用いて説明する。
図12(a)において、基本屋根組66は、屋根要素66a、66bを切妻型に組み合わせて構成されており、基本屋根組68は、屋根要素68a、68bを切妻型に組み合わせて構成されている。
そして、基本屋根組66と基本屋根組68は、棟が垂直になるように配置されており、かつ、基本屋根組68は一端が基本屋根組66の屋根要素66aに重なるように配置されている。
このように、2つの基本屋根組が重なる場合、CAD装置1は、両者の重なった部分を算出し、更に屋根要素の交線を求め(交線計算手段)、重なった部分を交線で最小単位に分割する。
そして、CAD装置1は、分割面ごとに、どちらの面が(地面から)高いか判断し、高い方を残して低い方を削除する。
即ち、CAD装置1は、どちらの面の高さ方向の座標値が大きいか判断し小さい方の部分を削除して大きい部分の方を残す。
図12(b)に点線で交線を示してある。点線69aは、屋根要素68bと屋根要素66aの交線を示しており、点線69bは、屋根要素68aと屋根要素66aとの交線を示している。
ここで、重なった部分のうちの半分である、点abefで囲まれた部分について考える。
点abefで囲まれた部分は、交線69aにより点abcdで囲まれた部分70と、点dcefで囲まれた部分71から構成されている。
部分70には、屋根要素68aの分割面と、屋根要素66aの分割面が重なって存在しているが、部分70では、屋根要素68aの分割面が屋根要素66aの分割面の上側に存在している。
そのため、CAD装置1は、部分70に関しては、屋根要素68aの分割面を残し、屋根要素66aの分割面を削除する。
一方、部分71においても、屋根要素68aの分割面と、屋根要素66aの分割面が重なって存在しているが、部分71では、屋根要素66aの分割面が屋根要素68aの分割面の上側に存在している。
そのため、CAD装置1は、部分71に関しては、屋根要素66aの分割面を残し、屋根要素68aの分割面を削除する。
更に、CAD装置1は、残りの部分(屋根要素66aと屋根要素68bの重なり部分)についても同様に処理する。
CAD装置1は、以上のように取り合いを行い、基本屋根組の重なり部分のうち、高い方の部分を選択する。
図12(c)は、基本屋根組66、68の取り合い後を示した図である。
図12(c)に示したように、基本屋根組66、68の重なり部分が解消され、取り合いが適切に行われたことがわかる。
なお、CAD装置1は、重なり部分において分割面の高低を判断した後に、接続先の基本屋根組との同一平面性を更に判断するように構成することができる。
即ち、CAD装置1は、基本屋根組68の棟が基本屋根組66の棟よりも高くならないことを確認する。
また、図2(a)〜(c)に示したように、複合屋根組を構成する基本屋根組の形状を変更する場合の取り合い処理も、同様に交線を計算して(交線計算手段)行うことができる。
即ち、図2(b)において基本屋根組16cと基本屋根組18の交線を計算し、屋根部分のうち交線に達しないを伸張伸張し、交線を越えている部分は削除するように、屋根要素の空間座標値を計算して更新する。
これにより、基本屋根組16cと基本屋根組18の接合部分が交線と一致するように屋根要素を更新することができる。
以上、取り合い処理の一例について説明したが、2つの基本屋根組を取り合い処理した後に更に取り合い処理を行う場合、前回の取り合い処理を行った後の形状から引き続き今回の取り合い処理を行うと、例えば、立体的な間隙が生じるなど、意図しない結果が得られる場合がある。
そのため、CAD装置1は、取り合い処理を行う際に、取り合い前の基本屋根組の形状を復元するための復元用情報を保存する機能を備え(復元情報記憶手段)、再度取り合い処理を行う場合に、前回の取り合い処理前の形状を復元した後、今回の取り合い処理を行う機能を備えている。
前回の取り合い処理前の形状を復元する場合の一例を図13を用いて説明する。
屋根組80は、切妻型の基本屋根組66に切妻型の基本屋根組68を追加して構成されている。
CAD装置1は、基本屋根組68を追加する際に、基本屋根組66と基本屋根組68の取り合い処理を行っている。
そして、CAD装置1は、その際に、復元用情報73、76を取得して保持している。
復元用情報73は、基本屋根組66のうち取り合いによって変化した部分を規定する情報であり、切り取られた領域を特定する情報と、基本屋根組のID番号、及び取り合いの際に形状を切妻に変換した場合は切妻化の内容が特定される情報などから構成されている。
CAD装置1は、復元用情報73と、取り合い処理後の基本屋根組66を用いて取り合い処理前の基本屋根組66を復元することができる。
同様に、CAD装置1は、基本屋根組68の復元用情報76と、取り合い処理後の基本屋根組68を用いて取り合い処理前の基本屋根組68を復元することができる。
このように、CAD装置1は、復元用情報73、76を用いることにより、取り合い処理後の複合屋根組80から取り合い処理前の屋根組84を再現することができる。
CAD装置1は、屋根組80にて、基本屋根組66や基本屋根組68の形状変更に伴う取り合い処理を再度行う場合は、復元用情報73、76を用いて取り合い処理前の屋根組84を復元してから取り合い処理を行う。
これにより、取り合い処理を行った後に更に取り合い処理を行った場合に生じる不都合を回避することができる。
以上、復元用情報を用いて、基本屋根組の形状を復元した後取り合い処理を行う例について説明したが、複合屋根組を構成する基本屋根組に対し、配置と再配置(再作成)以外の編集を無視してよい場合は(例えば、基本屋根組を単体で編集する必要が無い場合)、基本屋根組を復元せずに再度取り合い処理を行うことも可能である。
また、複合屋根組で形状変更などで基本屋根組の再配置を行う場合、基本屋根組の接続の関係から次のように配置順序を設定すると、配置処理を適切に行うことができる。
(ルール1)再配置対象の基本屋根組のけらば側と他の基本屋根組の軒側が取り合っている場合、当該他の基本屋根組を配置した後、再配置対象の基本屋根組を配置する。
(ルール2)再配置対象の基本屋根組の軒側に、他の基本屋根組のけらば側が取り合っている場合、当該他の基本屋根組を配置する前に、対象の基本屋根組を配置する。
これらルールを総括すると、2つの基本屋根組がT字型に配置されている場合、T字の横線に対応する基本屋根組を再配置した後、T字の縦線に対応する基本屋根組を再配置する、ということになる。そして、再配置の際に、T字の横線・縦線に対応する基本屋根組で取り合い処理を行う。
例えば、図14に示したように、基本屋根組91〜94で構成された複合屋根組があったとする。
これら基本屋根組はそれぞれ切妻型の形状を有しており、基本屋根組93の両端のけらば側は、それぞれ基本屋根組91、92の軒側と取り合っている。
更に、基本屋根組94のけらば側と基本屋根組93の軒側が取り合っている。
このように構成された複合屋根組で、基本屋根組93を形状変更などにより再配置する場合を考える。
基本屋根組93を再配置する場合、連動して再配置が必要な基本屋根組は、基本屋根組91、92、94である。
そして、ルール1により、基本屋根組93よりも基本屋根組91、92を先に再配置し、その後に基本屋根組93を配置することになる。
また、ルール2により、基本屋根組93を先に再配置した後、基本屋根組94を再配置することになる。
これにより、CAD装置1が基本屋根組93を再配置する場合の処理順序は、基本屋根組91、92→基本屋根組93→基本屋根組94となる。
また、取り合い処理に関しては、ある基本屋根組を再配置した場合、CAD装置1は、その処理時点で配置が完了している基本屋根組との取り合い処理を行い、後に再配置することになっている基本屋根組に関しては考慮しない。
以上により、取り合い処理を含めた基本屋根組93を再配置処理は、次のようになる。まず、基本屋根組93との取り合いを考慮せずに、基本屋根組91、92を再配置する。次に、基本屋根組93を再配置し、基本屋根組93と基本屋根組91、92との取り合い処理を行う。このとき、基本屋根組93と基本屋根組94との取り合いは考慮しない。次に、基本屋根組94を再配置し、基本屋根組93と基本屋根組94との取り合い処理を行う。
同様に、基本屋根組94を再配置する場合の処理順序は次のようになる。基本屋根組94と連動して再配置が必要なのは基本屋根組93である。
そのため、まず、CAD装置1は、基本屋根組93を再配置し、基本屋根組93と基本屋根組91、92との取り合い処理を行う。この際に、基本屋根組93と基本屋根組94との取り合いは考慮しない。
次に、CAD装置1値は、基本屋根組94を再配置し、基本屋根組94と基本屋根組93との取り合い処理を行う。
更に同様に、基本屋根組91を再配置する場合の処理順序は次のようになる。基本屋根組91と連動して再配置が必要なのは基本屋根組93である。
そのため、まず、CAD装置1は、基本屋根組91を再配置する。次に、CAD装置1は、基本屋根組93を再配置する。その際に、CAD装置1は、基本屋根組93と基本屋根組91、92、94との取り合い処理を行う。
なお、基本屋根組92、94と基本屋根組93との間では、基本屋根組91の再配置では取り合いの形状は変わらないので、取り合い処理の際に基本屋根組92、94を復元しなくても基本屋根組93の不要箇所だけを削除することが可能である。
以上に説明した本実施の形態により次のような効果を得ることができる。
(1)複雑な屋根組も棟ごとに基本屋根組を形成して配置して構成し、変更することができる。
(2)複数の屋根要素をグループ化することにより、これらの屋根組から構成される基本屋根組を1つの要素のように扱い、グループ制御することができる。
(3)既存の基本屋根組に新たな基本屋根組を追加する際に、勾配や高さなどのの基本屋根組の属性を考慮して自動で取り合いを行うことができる。そのため、基本屋根組の追加や組み合わせを容易に行うことができる。
(4)取り合い処理を行う際に復元用情報を保持するため、再度取り合い処理を行う際に、前回の取り合い処理の前の状態を復元することができる。
屋根組の処理例を説明するための図である。 屋根組の他の処理例を説明するための図である。 本実施の形態のCAD装置の構成を示したブロック図である。 基本屋根組の各種形状の一例を示した模式図である。 基本屋根組を規定するパラメータを説明するための図である。 基本屋根組を規定するパラメータを説明するための図である。 基本屋根組とID番号の関係を説明するための図である。 基本屋根組とID番号の関係を説明するための図である。 基本屋根組を登録する手順を説明するためのフローチャートである。 基本屋根組を抽出する手順を説明するためのフローチャートである。 基本屋根組間の調整を説明するための図である。 取り合い処理の一例を説明するための図である。 元の形状を復元してから取り合い処理を行う場合を説明するための図である。 複合屋根組において基本屋根組を再配置する順序を説明するための図である。
符号の説明
10 基本屋根組
12 基本屋根組
16 基本屋根組
17 複合屋根組
18 基本屋根組
20 間隙
109 CPU
110 RAM
111 ROM
112 キーボード
113 マウス
114 表示装置
115 印刷装置
117 記憶媒体駆動装置
118 通信制御装置
119 入出力I/F
121 プログラム格納部
122 データ格納部

Claims (8)

  1. 基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算手段と、
    前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけ手段と、
    前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示手段と、
    前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付手段と、
    前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ手段による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出手段と、
    を具備し、
    前記座標値計算手段は、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算し、
    前記表示手段は、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新することを特徴とするCAD装置。
  2. 前記表示手段で表示している基本屋根組の外形を規定するパラメータを表示し、前記パラメータの変更に係る値を入力するパラメータ入力欄を表示するパラメータ入力欄表示手段と、を具備し、
    前記パラメータ変更受付手段は、前記表示したパラメータ入力欄に入力された値を取得することを特徴とする請求項1に記載のCAD装置。
  3. 2つの基本屋根組が重なる重なり部分を有する場合、前記座標値計算手段は、高さ方向の座標値の小さい方の重なり部分が消去されるように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のCAD装置。
  4. 前記2つの基本屋根組の交線を計算する交線計算手段を具備し、
    前記座標値計算手段は、前記2つの基本屋根組の前記交線により分割された重なり部分のうち、高さ方向の座標値が小さい重なり部分が消去されるように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項3に記載のCAD装置。
  5. 交わる2つの基本屋根組のうち、一方の基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値が更新された場合に、当該屋根要素の更新された座標値を用いて前記2つの基本屋根組の交線を計算する交線計算手段を具備し、
    前記座標値計算手段は、前記2つの基本屋根組の接合部分が前記計算した交線に合致するように、前記2つの基本屋根組を構成する屋根要素の空間座標値を再計算することを特徴とする請求項1に記載のCAD装置。
  6. 請求項5で再計算する前の空間座標値を復元する復元情報を記憶する復元情報記憶手段を具備し、
    前記計算手段は、交線に合致するように再度前記屋根要素の空間座標値を計算する場合、前記記憶した復元情報を用いて計算を行うことを特徴とする請求項5に記載のCAD装置。
  7. 座標値計算手段と、関連づけ手段と、表示手段と、パラメータ変更受付手段と、屋根要素抽出手段と、を備えたコンピュータにおいて、
    前記座標値計算手段によって、基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算ステップと、
    前記関連づけ手段によって、前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけステップと、
    前記表示手段によって、前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示ステップと、
    前記パラメータ変更受付手段によって、前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付ステップと、
    前記屋根要素抽出手段によって、前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ手段による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出ステップと、
    前記座標値計算手段によって、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算する再計算ステップと、
    前記表示手段によって、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新する表示更新ステップと、
    から構成されたことを特徴とする情報処理方法。
  8. 基本屋根組の外形を規定するパラメータを用いて、前記基本屋根組の構成単位である複数の屋根要素の空間座標値を計算する座標値計算機能と、
    前記空間座標値を計算した複数の屋根要素を関連づける関連づけ機能と、
    前記関連づけた複数の屋根要素を前記計算した空間座標値に基づいて表示する表示機能と、
    前記パラメータの変更を受け付けるパラメータ変更受付機能と、
    前記パラメータの変更を受け付けた場合に、前記関連づけ機能による関連づけを用いて前記複数の屋根要素を抽出する屋根要素抽出機能と、
    をコンピュータで実現するCADプログラムであって、
    前記座標値計算機能は、前記受け付けたパラメータで規定される外形を成すように、前記抽出した複数の屋根要素の空間座標値を再計算し、
    前記表示機能は、前記再計算後の空間座標値に基づいて前記複数の屋根要素の表示を更新することを特徴とするCADプログラム。
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