JP2006098390A6 - 液体の電気化学的測定に用いる指示電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】緩衝能力の高い溶液のみならず、緩衝力の低い溶液についても安定性のある測定を可能とした液体の電気化学的測定に用いる指示電極を提供する。
【解決手段】液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による中心線算術平均粗さRa(μm)で0.50以下にした。また指示電極の表面粗さ特性をJIS B0601−1994による最大高さRy(μm)1.70以下にした。さらにまた指示電極の表面粗さ特性をJIS B0601−1994による十点平均粗さRz(μm)1.00以下にした。前記表面粗さのいずれか1つを前記基準以下に設定することにより、緩衝能力の高い溶液のみならず、緩衝能力の低い溶液に対しても安定した電位の測定が可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による中心線算術平均粗さRa(μm)で0.50以下にした。また指示電極の表面粗さ特性をJIS B0601−1994による最大高さRy(μm)1.70以下にした。さらにまた指示電極の表面粗さ特性をJIS B0601−1994による十点平均粗さRz(μm)1.00以下にした。前記表面粗さのいずれか1つを前記基準以下に設定することにより、緩衝能力の高い溶液のみならず、緩衝能力の低い溶液に対しても安定した電位の測定が可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は酸化還元電位測定装置の指示電極など、液体の電気化学的測定に用いる指示電極にかんする。
導電性物質を指示電極とし、指示電極と溶液との界面に生ずる電位、電流を測定する電気化学的な測定装置に、例えば、酸化還元電位測定装置がある。酸化還元電位測定装置は、金属などの導電性物質の指示電極と参照電極とを備え、指示電極に溶液を接触させ、溶液中の電解質の濃度や酸化体・還元体のイオン濃度比などを測定する。すなわち酸化体と還元体を含む溶液に対して、この溶液に侵されない白金などの電極を浸すとその電極は溶液に対して電位を持って平衡に達する。この電位を酸化還元電位という。
酸化体をOx,還元体をRedとすると酸化還元反応は
であり、酸化還元電位Eは次のネルンストの式で示される。
E=Eo+nF−RT 1n [Red] [Ox]
ここに、Eo:標準酸化還元電位([Ox]=[Red])のときのEで、系に固有の値)
R:ガス定数 T:絶対温度 F:ファラデー定数
n:反応に関与する電子数
[]:濃度(活量)
酸化体をOx,還元体をRedとすると酸化還元反応は
であり、酸化還元電位Eは次のネルンストの式で示される。
E=Eo+nF−RT 1n [Red] [Ox]
ここに、Eo:標準酸化還元電位([Ox]=[Red])のときのEで、系に固有の値)
R:ガス定数 T:絶対温度 F:ファラデー定数
n:反応に関与する電子数
[]:濃度(活量)
しかし従来の指示電極ではその測定値に大きな差が生じることがある。例えば、溶液中の酸化還元系物質濃度が低い場合、あるいは溶液の性質が純粋すぎるような場合、酸化還元電位Eが不定となり、電位測定の安定性が低下した。つまり、同じ溶液を同じ条件下でほぼ同じ時間に複数回測定したときの測定値が一定しないだけでなくその差も大きい。水質検査のためのプラント水、工業用水など種々の液体が測定対象となっているが、溶液の種類によっては測定の安定性と正確性にかけるという問題があった。
特開平11−118756
本発明が解決しようとする課題は、このような欠点を克服し、溶液の種類を問わず、正確で安定した電位の測定を可能とする酸化還元電位測定装置など、液体の電気化学的測定に用いる指示電極を提供する。特に酸化還元系物質濃度の高い溶液のみならず、酸化還元系物質濃度の低い溶液や、溶液の性質が純粋すぎるものについても正確で安定した電位の測定が可能な指示電極を提供する。
本発明は上記のような課題を解決するため次のような手段をとる。すなわち、液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施し、表面粗さ特性をJIS B0601による中心線算術平均粗さRa(μm)で0.50以下にした。
また液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による最大高さRy(μm)で1.70以下にした。
また液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による十点平均粗さRz(μm)で1.00以下にした。
表面粗さを基準以下にした本発明の指示電極によれば、酸化還元系物質濃度が高い溶液、のみならず、酸化還元系物質濃度が低い溶液あるいは性質が純粋すぎる溶液についても安定した電位の測定が可能である。そこで排水のように酸化還元系物質濃度が高く緩衝能力の高い溶液はもとより、唾液などの生体液や純水のように緩衝能力の低い溶液についても正確で安定した電位の測定が可能となる。
本発明にかかる指示電極につき発明を実施するための最良の形態を説明する。導電性物質を指示電極とし、指示電極と溶液との界面に生ずる電位、電流を測定する電気化学的な測定装置の1つに、溶液の酸化還元電位を測定する酸化還元電位測定装置がある。以下、酸化還元電位測定装置を例に説明をする。図1の構成概念図に示されるように、酸化還元電位測定装置1は指示電極2と参照電極3を備え、指示電極2と参照電極3を溶液5に浸して指示電極2の表面に溶液5を接触させ、指示電極2と溶液5との界面に生ずる電酸化還元電位を計測する。指示電極2は溶液に侵されない金属などの導電性物質からなる。白金、金などの不活性金属を用いることが多いがこれに限定されない。参照電極3は銀−塩化銀電極等の金属などから形成される。このような構成の酸化還元電位測定装置は公知である。
従来の指示電極を仔細に観察すると、指示電極の表面に無数の小さな凹凸など存在していることがわかる。加工前の素材がもつ小さな凹凸や、加工などの製造過程で生じたキズなど多種多様な凹凸などである。これら凹凸には肉眼で目視できる程度のものから目視しにくいもの、さらには目視できないものがある。本発明者は種々の実験と研究を重ねた結果、指示電極のミクロレベルの表面粗さ特性が電位測定の安定性と正確性に関係していることを突き止めた。とくに溶液の酸化還元系物質濃度が低い場合や溶液の性質が純粋すぎる場合、指示電極の表面の粗さ特性が電位測定の安定性に影響を与えることを確認した。すなわち指示電極表面に接触する溶液は、凹凸などによる表面の粗さが一定の基準を超え過大となるとその測定値が一定しない、つまり電位の測定が不安定となる。しかし指示電極の表面の粗さを一定の基準以下とし表面粗さが過大でないとき電位の測定が安定する。その理由の1つとして指示電極表面の過大な粗さが局部電池を発生させ、これにより安定した電位測定が阻害されるものとおもわれる。
本発明にかかる指示電極では指示電極の表面の粗さ特定を調整する。すなわち指示電極の表面粗さを一定の基準以下とし、表面の粗さ特性を規制する。指示電極の表面粗さはJIS B0601−1994の中心線算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRzによる。表面粗さの基準となるのは、中心線算術平均粗さRa(μm)が0.50、最大高さRy(μm)が1.70、十点平均粗さRz(μm)が1.00である。表面粗さはそのうちの1つが基準以下であればよい。指示電極の表面粗さをこの基準以下とすることにより電位の測定が安定する。さらに好ましい表面粗さの基準は、中心線算術平均粗さRa(μm)が0.40、最大高さRy(μm)が1.50、十点平均粗さRz(μm)が0.90である。同様に指示電極の表面粗さの1つが基準以下であればよい。指示電極の表面粗さをこの基準以下とすることにより電位の測定がさらに安定する。酸化還元系物質濃度の高く、従って緩衝能力が高い溶液はもちろんのこと、緩衝能力の低い溶液についても正確で安定した電位の測定が可能である。
表面粗さの中心線算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz(JIS B0601−1994)の定義は次のとおりである。中心線算術平均粗さRaは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、その抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し平均した値である。最大高さRyは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、その抜き取り部分の平均線から最も高い山頂までの高さと、最も低い谷底までの深さとの和である。十点平均粗さRzは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、その抜き取り部分の平均線から最も高い山頂より5番目までの山頂の標高の絶対値の平均値と、最も低い谷底より5番目までの谷底の標高の絶対値の平均値との和である。
精密な研摩処理により白金、金などの指示電極の表面粗さを調整する。機械的な精密研磨により指示電極を前記基準以下の表面粗さにするには、ラッピング加工やポリシング加工など公知の研磨加工法が選択できるが、研磨方法、装置に限定はない。例えば、1μmから数10μmの遊離砥粒を潤滑材に混ぜて粉粒材とし、この粉粒剤を回転定盤に供給するとともに指示電極(金属片)を押し付け、これら三者の相対運動によるラッピング加工をする。さらに1μm以下の微細研摩材などを用いて研磨すると所定の研磨が容易である。研摩布などで仕上げの研磨をすることもできる。
指示電極は平板状、角型棒状など(図示せず)その形状は任意である。 図14、15に示される指示電極2は、丸みを帯びた先端部10と繋ぎ目がなく一体に形成された丸棒状であり、先端部10を含む外周面に研摩処理が施こされる。指示電極の基端部11の研磨は任意である。指示電極2は先端部10と繋ぎ目なく一体に形成され、かつ丸棒状であり外周面は全体が湾曲面であるから、外周面を均一で精密に研磨することができる。また図15に示される指示電極2は、中ぐりの中空部12が長手方向に形成されている。中空部12により白金や金など高価な素材のコストを軽減することができる。指示電極2、つまり研摩された指示電極2の外周面に溶液が接触する。しかし中空部12には溶液が接触しないから、中空部12の内周面を研磨する必要はない。
ここで先行技術(日本国特許公開公報−特開平11−118756)が開示する指示電極の研摩につき説明する。確かに同公報には指示電極の表面を研摩することが示されているが、それは、電位測定を繰り返すなど溶液との接触回数が増えると指示電極表面に酸化膜などの皮膜が生じることがあるため、このような皮膜を除去して指示電極の表面を元の状態に戻すための研磨にすぎない。そこには指示電極の本来的な表面の粗さ特性の調整や精密な研磨は意識されていない。本発明は精密研磨により指示電極の表面粗さをミクロレベルで調整し、表面粗さを一定の基準以下に設定するものである。これによりはじめて安定した電位測定が可能となるのであり、同じく研摩であっても先行技術とはその技術的意義が異なる。
溶液の電位測定後、指示電極の表面にその溶液が残留すると、次におこなう溶液の電位測定の安定性を阻害することがある。残留した溶液が次の溶液を汚染するおそれがあるからである。残留した溶液の緩衝能力が高いとき、あるいは次に測定する溶液の緩衝能力が低いとき、特にその汚染が生じやすい。そこで測定後には指示電極を洗浄し、付着した残留溶液を十分に除去してから次の溶液の電位測定をするのが好ましい。本発明では、指示電極の表面粗さが一定の基準以下であり表面粗さは過大でないから、指示電極の表面に付着する残留溶液は洗浄により確実に除去される。よって表面の残留溶液を原因とする電位測定の不安定性は生じない。また残留溶液の除去には精製水(純水)で十分であり、特に洗浄用の薬剤を用いる必要もない。なお排水のように緩衝能力の高い溶液の電位測定をする場合は、残留した先の溶液による汚染の影響は相対的に小さいから、通常その電位測定が不安定になることはない。
表面粗さを前記基準以下に設定した指示電極を用い、酸化還元電位測定装置をはじめとする各種測定装置により溶液の電気化学的測定を安定しておこなうことができる。緩衝能力の高い溶液のみならず、緩衝能力の低い溶液に対しても安定した電位の測定が可能である。緩衝能力の低い溶液には唾液、血液、尿を含む生体液、飲料水、精製水(純水)などが含まれる。
以下本発明にかかる実施例を比較例とともに説明する。実施例および比較例において指示電極はいずれも白金製の先端部が丸みを帯びた丸棒状である。内部に中空部はない(図14参照)。長さ40mm、直径2mmである。指示電極(4)乃至(9)は表面にラッピング加工による精密な研磨処理を施した。すなわち1μm乃至数10μm程度の遊離砥粒を潤滑材に混ぜた粉粒材を使用してラッピング加工をし、さらにμm以下の微細研磨材によりラッピング加工をした。ラッピング加工には市販の研磨機を使用した。なお表面粗さの特に小さい一部の指示電極には研摩布による仕上げをした。仕上げ用の研磨布には「真珠てりクロス」(真珠科学研究所製)を使用した。指示電極(1)乃至(9)の表面粗さはそれぞれ異なり、その表面粗さを中心線算術平均粗さRa(μm)、最大高さRy(μm)、十点平均粗さRz(μm)(いずれもJIS B0601−1994)により測定した。本発明の対象外である比較例(指示電極(1)乃至(3))のうち、指示電極(1)は未研磨であり、指示電極(2)(3)は研磨が十分でない。なお参照電極は銀−塩化銀電極である。
試料溶液は、(A)ヒトの唾液、(B)精製水(純水)、(C)KCl(1mol)、(D)Fe(CN)6 コ−/Fe(CN)6 4−系標準液の4種類である。試料溶液(A)(B)は緩衝能力が低い溶液、試料溶液(C)(D)は緩衝能力が高い溶液である。その試料溶液を指示電極(1)乃至指示電極(9)の表面に接触させ、酸化還元電位(単位はmV)の測定をした。同一の試料溶液につき3回の測定をおこなった。現在多くのメーカーにより酸化還元電位測定装置が製造販売されているが、市販の酸化還元測定装置に指示電極(1)乃至(9)を差し替え、試料溶液の酸化還元電位を測定した。
表1及び図2乃至図13のグラフによれば、緩緩衝能力が高い試料溶液(C)(D)についてみると、本発明の対象である実施例の指示電極(4)乃至(9)による測定値と、本発明対象外である比較例の指示電極(1)乃至(3)による測定値がほぼ同じであり、両者は基本的に一致している。すなわち緩衝能力が高い溶液の場合は、指示電極の表面粗さ、つまり研磨処理の有無、研磨の程度に関係なく、安定した電位の測定が可能であることを示す。緩衝能力が低い試料溶液(A)(B)についてみると、本発明対象外の指示電極(1)乃至(3)による測定値にかなりのばらつきがある。しかもその測定値の差がかなり大きく、安定した電位の測定が困難である。これは従来の指示電極の欠点として指摘したところと一致する。
実施例の指示電極(4)乃至(9)はすべての試料溶液に対する電位の測定が安定している。すなわち中心線算術平均粗さRa(μm)0.50、最大高さRy(μm)1.70、十点平均粗さRz(μm)1.00を基準とし、Ra、Ry、Rzのいずれか1つが基準以下の指示電極(4)乃至(9)は電位の測定がすべて安定している。さらに好ましくは、中心線算術平均粗さRa(μm)0.40、最大高さRy(μm)1.50、十点平均粗さRz(μm)0.90を基準とし、Ra、Ry、Rzのいずれか1つがこの基準以下の指示電極(5)乃至(9)は、さらに電位の測定が安定している。これに対して参考例の指示電極(1)乃至(3)は緩衝能力が低い試料溶液に対する電位の測定が不安定である。このように本発明の指示電極による電位の測定は緩衝能力が低い溶液に対しても有効であり、また正確で安定した電位の測定が可能であることを示す。
図2乃至図5のグラフは中心線算術平均粗さRaの異なる指示電極による試料溶液(A)(B)(C)(D)の電位の測定結果を表わす(縦軸の電位の単位はmV、横軸の表面粗さの単位はμm)。それによると中心線算術平均粗さRa(μm)を0.50以下に研磨した指示電極は4種類の試料溶液に対する電位の測定が安定している。またRa(μm)が0.40以下の指示電極はさらに電位の測定が安定している。一方、中心線算術平均粗さRa(μm)が0.50を超える研磨不十分な指示電極は、試料溶液(C)(D)に対する電位の測定は安定しているが、試料溶液(A)(B)に対する電位の測定が不安定である。なお図2乃至図13のグラフにおいて、小さい白丸(○)は本発明の対象となる指示電極による測定値、小さい黒丸(●)は本発明の対象外の研磨不十分な指示電極による測定値、小さい2重丸(◎)は従来の指示電極(市販の指示電極)による測定値を表す。
図6乃至図9のグラフは最大高さRyの異なる指示電極による試料溶液(A)(B)(C)(D)の電位の測定結果を表わす。それによると、最大高さRy(μm)を1.70以下に研磨した指示電極は4種類の試料溶液に対する電位の測定が安定している。またRy(μm)が1.50以下の指示電極はさらに電位の測定が安定している。一方、最大高さRy(μm)が1.70を超える研磨不十分な指示電極は試料溶液(C)(D)に対する電位の測定は安定しているが、試料溶液(A)(B)に対する電位の測定が不安定である。
図10乃至図13のグラフは十点平均粗さRzの異なる指示電極による試料溶液(A)(B)(C)(D)の電位の測定結果を表したものである。それによると、十点平均粗さRz(μm)を1.00以下に研磨した指示電極は4種類の試料溶液に対する電位の測定が安定している。また十点平均粗Rz(μm)が0.90以下の指示電極はさらに電位の測定が安定 している。一方、十点平均粗さRz(μm)が1.00を超える研磨不十分な指示電極は試料溶液(C)(D)に対する電位の測定は安定しているが、試料溶液(A)(B)に対する電位の測定が不安定である。
従来の酸化還元電位測定装置においては、例えば、測定範囲が−1500mV乃至+1500mV、−1999mV乃至+1999mVの場合、再現の測定精度について 0.2乃至0.5%の許容範囲が設定されている。従ってこの場合、前者では最小60mVから最大150mVまでの範囲、また後者では最小79mVから最大199mVまでの範囲での測定誤差が許容されることになる。本発明にかかる指示電極の場合、前記表1、グラフに示されるように、緩衝能力の低い唾液においても再現の測定精度が最大で15mV以下を達成した。さらに好ましくは再現の測定精度が最大で5mV以下であった。なお中空部12を有する指示電極(図15参照)についても同様な結果が得られた。
このように本発明にかかる指示電極は、緩衝能力の低い溶液についても測定の精度が向上し、正確で安定した電位の測定が可能である。そこで、たとえば、生体の唾液を測定することにより体内の酸化体と還元体の状況を確認し、健康管理保持に資することができるなど、広く産業上に利用が可能である。
1 酸化還元電位測定装置
2 指示電極
3 参照電極
5 試料溶液
6 電位計
7 指示電極側リード線
9 参照電極側リード線
10 指示電極の先端部
11 指示電極の基端部
12 中空部
2 指示電極
3 参照電極
5 試料溶液
6 電位計
7 指示電極側リード線
9 参照電極側リード線
10 指示電極の先端部
11 指示電極の基端部
12 中空部
Claims (5)
- 液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による中心線算術平均粗さRa(μm)で0.50以下にしたことを特徴とする指示電極。
- 液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による最大高さRy(μm)で1.70以下にしたことを特徴とする指示電極。
- 液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに表面粗さ特性をJIS B0601−1994による十点平均粗さRz(μm)で1.00以下にしたことを特徴とする指示電極。
- 液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施すとともに丸みを帯びた先端部と繋ぎ目がなく一体に形成された丸棒状であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の指示電極。
- 液体との界面に生ずる電位、電流の測定に用いる指示電極であって、液体の電気化学的測定装置が備える金属などの導電性物質の指示電極において、表面に研摩処理を施こすとともに丸みを帯びた先端部と繋ぎ目がなく一体に形成された丸棒状であり、かつ中ぐりの中空部が長手方向に形成されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の指示電極。
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JP7336166B1 (ja) | 2023-05-16 | 2023-08-31 | 慶孝 大友 | 純金を作用電極に用いたorp測定装置 |
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