JPH07198669A - 化学センサ用電極、その製造法及び化学センサプレート - Google Patents

化学センサ用電極、その製造法及び化学センサプレート

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JPH07198669A
JPH07198669A JP5349379A JP34937993A JPH07198669A JP H07198669 A JPH07198669 A JP H07198669A JP 5349379 A JP5349379 A JP 5349379A JP 34937993 A JP34937993 A JP 34937993A JP H07198669 A JPH07198669 A JP H07198669A
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electrode
chemical sensor
layer
copper
silver
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JP5349379A
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English (en)
Inventor
Mitsuaki Kato
光明 加藤
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Taiyo Yuden Co Ltd
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Taiyo Yuden Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電解質等の化学物質の濃度とその出力値の直線
性を高め、測定値の精度を高める。 【構成】鏡面銅電極に銀メッキ層を形成し、さらに塩化
銀層を形成する。塩化銀層の周縁を絶縁膜で覆う。塩化
銀層は掃引を行って形成する。 【効果】銀メッキ層も鏡面に近くなり、塩化銀層の粒子
も細かくなり、上記直線性が高まるとともに精度も良く
なり、これは上記絶縁膜を設けることによりさらに改善
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液等を検査する化学
センサに用いられる電極、この電極を用いた使い捨ての
簡易型化学センサプレート及びこの電極の製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】血液等の検体液のイオン濃度を測定する
には、基板上にイオン感応膜を形成した検体液測定電極
と基準電極を一対にして設け、これらの電極の先端側に
窓部を形成するように絶縁膜で覆い、これらの窓部に基
準液、検体液を滴下し、イオン導電状態にした状態で、
それぞれの電極を測定回路に接続して基準液と検体液の
濃度差に基づく電位差を測定する、いわゆる差動式化学
センサが知られている。この化学センサには、測定回路
を分離した、いわゆる化学センサプレートを用いること
も行われ、これには使い捨ての簡易型検査用化学センサ
プレートも多く用いられている。
【0003】この簡易型検査用化学センサプレートを製
造するには、例えばエポキシ複合材からなる基板上に張
りつけた厚さ35μmの銅箔をフォトリソグラフィック
法等により導電パターンにエッチングし、これにより一
対の銅の細長片を離間して突き合わせた状態に配置し、
この一対の銅電極を一組にして何組も形成する。つい
で、これら銅電極の表面に脱脂等の処理を行った後、電
気メッキ法で5〜20μmの銀層を形成し、さらに基板
全体を0.1NHCl溶液に浸漬し、銀層が対極と平行
になるようにセットする。そして基板の各組一対の銀層
の相対する端部を除いてマスキングし、その露出した銀
層をプラス電極、対極をマイナス極に接続し、両極に電
圧を印加して銀の表面層を酸化し、塩化銀層を形成す
る。
【0004】さらにこのセンサプレート本体に各対の電
極の塩化銀層及びその間に対応する細長孔、さらにはそ
れぞれの外部電極に対応する貫通孔を有する堤体を重ね
て接合する。そして、例えばイオン感応材料溶液を上記
窓部が露出する細長孔に滴下し、乾燥させて各窓部の塩
化銀層の上にイオン感応膜を形成する。このようにして
化学センサプレートができあがる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法によると、エッチング後の脱脂した銅電極の表面はそ
の表面粗さ係数が5μm以上となり、その表面に上記の
ような銀メッキを行ない、さらに塩化銀層を形成する
と、塩化銀の粒子の粒径が0.5μm〜数10μmの大
きさの範囲にばらつくのみならず、銅電極の周縁部はそ
の内側に比べて銀メッキ、さらに塩化銀処理するときに
電流密度が高くなり、銀の粒子、塩化銀の粒子の粒径が
大きくなっている傾向を示す。このような銅電極に銀メ
ッキ層、さらに塩化銀層を有する検体液測定電極、基準
電極を用を有するセンサプレートを用いて試料の例えば
特定のイオン濃度を測定した場合、そのイオン濃度と測
定される起電力(電圧)をプロットすると、直線性を示
す相関係数が0.9以下となり、正確なイオン濃度を求
めることができず、その精度も±10%以上となり、信
頼性の点で問題がある。
【0006】本発明の第1の目的は、電解質等の化学物
質濃度とその出力値の直線性の良い化学センサ用電極を
提供することにある。本発明の第2の目的は、その化学
センサ用電極を用いた化学センサプレートを提供するこ
とにある。本発明の第3の目的は、その化学センサ用電
極の製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、検体液測定電極と基準電極を一対にして
少なくとも1組を有し、該検体液測定電極が銅電極に銀
メッキ層を有し、該銀メッキ層表層部に塩化銀層を有す
る化学センサ用電極において、上記銅電極は鏡面電極で
ある化学センサ用電極を提供するものである。この際、
鏡面電極は物理的研磨処理電極、電解研磨処理電極、光
沢銅メッキ電極であること、銅電極の表面粗さ係数R
max が0.3μm以下であること、塩化銀層は粒径が1
μm以下の粒子からなること、塩化銀層の周縁部を絶縁
膜で被覆することが好ましく、これらを組み合わせると
さらに好ましい。また、本発明は、化学感応膜の被覆膜
を有する検体液測定電極と基準電極を一対にして少なく
とも1組を基板上に設けた化学センサプレート本体と、
上記検体液測定電極に検体液を供給する閉じた流通路と
上記基準電極に基準液を供給する閉じた流通路をそれぞ
れ上記基板面上に形成し、それぞれの流通路の一端に連
通する検体液投入部、基準液投入部を有する上部セルと
を少なくとも有し、上記検体液測定電極銅電極に銀メッ
キ層を有し、該銀メッキ層表層部に塩化銀層を有する化
学センサプレートであって、上記銅電極が上記の化学セ
ンサ用電極である化学センサプレートを提供するもので
ある。また、本発明は、上記の化学センサ用電極の製法
であって、塩化銀層を得る工程が銀層を電解処理するに
あたって該銀層と対極の極性を掃引させる工程を有する
化学センサ用電極の製法を提供するものである。
【0008】本発明において鏡面とは、表面粗さ係数R
max が0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下であ
る平滑な面をいう。また、物理的研磨とは研磨材による
研磨をいい、研磨材としてはダイヤモンドスラリーその
他の研磨材が挙げられる。光沢銅メッキとは、メッキさ
れる粒子が小さくなる条件、すなわちメッキ液、電流密
度等を選択することにより得られる仕上がり面が緻密で
光沢のあるメッキであり、そのメッキ膜の厚さとしては
10μm程度が適当である。銀メッキ層は光沢銀メッキ
で形成されることも好ましい。また、本発明において掃
引を行う範囲は−80mV〜+80mVが好ましいがこ
れに限らない。
【0009】
【作用】銅電極を鏡面化することによりその上に形成さ
れる銀層も鏡面となり易く、さらにその上に形成される
塩化銀層は粒子の粒径が微細(1μm以下)となり、か
つ均一となる。これは塩化銀層を電解処理で形成すると
きに掃引を行うと微細な塩化銀の核を生成することがで
きるからさらに促進される。このような電極を用いると
例えばイオン濃度とその出力値の直線性が良くなり、精
度も向上する。また、このような電極の周縁を絶縁膜で
覆うことにより、銀メッキ層や塩化銀層を形成する際に
電極の周縁は電流密度が大きくなることが避けられない
ことにより銀や塩化銀の結晶が大きく、粒子が大きくな
っている部分を使用しないことになり、上記の直線性が
良くなり、安定化する。
【0010】
【実施例】次に本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。 実施例1 エポキシ複合材からなる基板に銅箔を張ったプリン
ト基板(CEM−3)をフォトリソグラフィック法ある
いはスクリーン印刷法によりパターニングを行い、一対
の小判型の銅片を離間して突き合わせ、5対の銅電極を
形成した。図1(a)中、1aはエポキシ複合材からな
る基板、1bは銅電極を示す。銅電極の表面は粗面にな
っている。 この基板をポリッシングディスクMM420と2μ
mのダイヤモンドスラリーが収容された研磨器にセット
し、ポリッシングディスクを約20rpmの回転数で回
転させ、ダイヤモンドスラリーを1分毎に5秒噴射させ
る。これを40分間行ってからポリッシングディスクの
回転を止め、銅電極が鏡面になっているかどうか表面粗
さ計(テンカー社製α−ステップ200)により測定
し、Rmaxが0.3μm以下になっているかどうか確か
める。なっていない場合には再度同じ条件で研磨を繰り
返す。図1(b)中、銅電極1bの表面は鏡面になって
いる。 研磨を終えた基板を水で洗浄し、エアーガンで水分
を吹き飛ばし、さらに脱脂等のメッキのための前処理を
行なう。次にpHが7.2〜8.5、比重13〜15°
Be(ボーメ)に調整されたKCNとKAg(CN)
2(シアン化銀カリウム)の水溶液の入った銀メッキ槽
に上記基板を浸漬し、マイナス極に各銅電極を接続し、
プラス極と対向させる。それから、この基板を揺動させ
ながら、電流を流し、厚さ6〜8μmの電解光沢銀メッ
キ層を形成する。基板を取り出し、表面に付着している
KCNとKAg(CN)2を洗浄により完全に除去し、エ
アーガンで水分を吹き飛ばす。図1(c)中、1cは銅
電極1bの上に形成された銀メッキ層である。
【0011】 各対の銀メッキ層を形成した電極の互
いに遠ざかる側の端部(測定装置の端子を接触させる外
部電極となる部分)を例えばマスキングテープ3M85
1(スリーエム社製)あるいはメッキレジスト(太陽イ
ンキ社製SSZ−100SC130℃─10)によりマ
スキングした後、基板を0.1NHCl溶液の入ってい
る電解浴槽に浸漬し、10mV/秒の速度で−80mV
から+80mVまで掃引し、これを12サイクル行う。
この掃引により塩化銀の核が微細になる。その途中、基
板を電解浴槽から取り出し、気泡を除去してからその処
理を継続する。その後、基板の各電極をプラス極に接続
してマイナス極と対向させ、その基板を揺動させながら
約115mA/dm2 の電流密度で電流を流す。これを
20秒間続けた後、電流を流すのを停止する。このよう
にして、上記銀メッキ層の上に塩化銀層か形成される。
塩化銀層の粒子の粒径を電子顕微鏡により調べたところ
1μm以下であった。図1(d)中、1dは銀メッキ層
1cの表層部に形成された塩化銀層である。 上記塩化銀層を形成する処理を行った基板の上記マ
スキングを行った部分のそのマスキングをマスキングテ
ープの剥離あるいはメッキレジストの溶解等により除
く。その後スクリーン印刷法によりエポキシ樹脂を各電
極の周縁部及び基板の表面に塗布し、各電極をその周縁
部を除いて露出させた絶縁膜を形成する。このようにし
て有効化された塩化銀層を有する電極が得られる。図1
(e)中、1eは塩化銀層4の周縁部と基板の表面を覆
った絶縁膜である。このようにして検体液測定電極、基
準電極を有する化学センサ用電極が得られる。 この化学センサ用電極に、各対の電極の相対する端
部とその間、及び各対の電極の互いに反対側の端部を露
出する貫通孔を有する堤体を重ねて接合し、相対する端
部の電極にイオン感応材料からなる溶液を塗布し、乾燥
させてイオン感応膜を形成することによりイオン濃度測
定センサプレートを作成し、このセンサを用いて3種類
のイオン濃度と出力値(電圧)の関係を調べた結果、5
対の電極の各チャンネルについてその直線性は相関係数
で0.99以上であり、また、測定精度は±5%以内で
あった。
【0012】実施例2 図1と同一符号は同一構成部分を示す図2に示すよう
に、銅電極を研磨することに代えて光沢銅メッキを行な
う工程図2(b)を設け、銅電極1bの上に厚さ10μ
mの光沢銅メッキ層1’bを設けた以外は実施例1と同
様にして化学センサ用電極を作成した。これについても
実施例1と同様に直線性、精度を調べた結果同様な結果
が得られた。
【0013】実施例3 実施例1において、銅電極の研磨を物理的研磨の代わり
に電解研磨を行った以外は同様にして化学センサ用電極
を作成した。これについても実施例1と同様に直線性、
精度を調べた結果同様な結果が得られた。
【0014】比較例 図1と同一符号は同一構成部分を示す図3に示すよう
に、同図(a)の銅電極1bの上に実施例1と同様に銀
メッキを行い、同図(b)に示す銀メッキ層1’cを形
成し、その後実施例1の掃引を行なわない以外は同様に
して同図(c)に示す塩化銀層1’dを形成した化学セ
ンサ用電極を作成し、これについても実施例1と同様に
直線性、精度を調べた結果、直線性の相関係数は0.9
以下、精度は±10%以上であった。
【0015】次に上記実施例の化学センサ用電極を用い
た化学センサプレートを図4、5に基づいて説明する。
図4中、1はマルチセンサプレート本体であって、エポ
キシ複合材からなる基板1aには一対一組の基準電極2
a、検体液測定電極2bが5組設けられ、さらにそれぞ
れの電極の相対する端部の円形部分とそれぞれの電極の
互いに遠ざかる側の端部を残してエポキシ樹脂等の樹脂
膜からなる絶縁膜3が被覆され、前者が窓部4a、4b
とされ、後者が外部電極とされる。ここで、マルチセン
サプレート本体1は上記の化学センサ用電極であって、
基準電極2a、検体液測定電極2bは実施例1〜3の銅
電極1b(1’b)、銀メッキ層(1c)及び塩化銀層
(1d)からなり、絶縁膜3はその電極の構成の絶縁膜
1eを電極の周縁のみならずその相対する端部に窓部を
形成するように被覆範囲を広げたものである。5は上記
マルチセンサプレート本体に重ねられるポリエステルフ
ィルム等からなる堤体であって、上記の一組を除いた他
の各組の窓部4a、4bのそれぞれに対応させかつ連続
させた細長孔6a〜6dと、残りの一組の窓部4a、4
bのそれぞれに対応させた透孔7a,7bが設けられて
いるとともに、上記基準電極2a、2a・・・の外部電
極に対応してそれぞれ外部電極露出用孔8a、8a・・
・が設けられ、上記検体液測定電極2b、2b・・・の
外部電極に対応してそれぞれ外部電極露出用孔8b、8
b・・・が設けられている。この堤体5をマルチセンサ
プレート本体1に上記各孔が塞がれないように切り抜き
加工した両面接着テープにより接合し、その状態で各細
長孔6a〜6dのそれぞれに異なる4種のイオン感応物
質を含有する樹脂溶液を滴下し、乾燥することにより上
記塩化銀層上にそれぞれのイオン感応膜が形成され、そ
れぞれのイオン感応性電極ができあがる。残りの一組の
窓部4a、4bの中の塩化銀層の電極はそのままにして
おき、イオン感応膜を必要としない物質の測定に使用さ
れる。ここで、両面接着テープとは、プラスチックテー
プの両面に接着剤を塗布したテープあるいは不織布等の
基材に接着剤を含浸させたテープからなり、不使用時に
はその接着剤表面に離型紙がはられているが、使用時に
この離型紙を剥がされ、他の物をその両面に接着できる
テープをいう。接着剤は粘着剤でも良いし、常温では非
粘着性であるが加熱することにより溶融する、いわゆる
ホットメルト型のものでも良いし、両者を併用したもの
でも良い。この溶融は基材のプラスチックフィルム自体
でも良い。
【0016】この堤体5とマルチセンサプレート本体1
との接合体をアクリル系樹脂、スチロール系樹脂等の透
明材料からなる下部セル9の凹部9aに堤体5、凹部9
bにマルチセンサプレート1を嵌め込み、堤体と下部セ
ルの上面を同一平面状に位置させる。そしてこの下部セ
ル9を後述するように上記両面接着テープと同様な構成
の透明材料からなる両面接着テープ10を介して透明ア
クリル樹脂からなる上部セル11と接合し、上記堤体と
マルチセンサプレート本体との接合体を内装する。ここ
で、下部セル9の上記凹部9bには図4に示すように、
その底部、すなわち下部セルの底面の該当する部分が前
後両側の突片9d、9dを残してその中央部が開口され
て四角の開口部9eが設けられ、これら突片9d、9d
に上記基板1aが載置されて上記堤体とマルチセンサプ
レート本体の接合体が支持されている。また、この下部
セルの先端には切欠部9fが設けられ、測定装置の測定
部に挿入されたときの被挿入部の所定箇所に係合し合致
するようになっている。
【0017】上記上部セルは11は、図4、5に示すよ
うに、上記下部セルの材料と同様な材料からなる透明板
の裏面に上記透孔6a〜6e、7a〜7eに連通する凹
溝からなる基準液流通路12a、検体液流通路13aが
下面を梨地状の粗面に形成した隔壁14により二分して
設けられ、それぞれの流通路の一端には基準液投入部1
2b、検体液投入部13bが設けられているとともに、
それぞれの流通路の他端にはこれに連通する細幅の凹溝
からなる空気抜き溝12c、13cがそれぞれL字状に
配設され、さらに上記各組の検体液測定電極2a、基準
電極2bの露出した端部、すなわちそれぞれの外部電極
に対応して図示省略した測定器の端子を挿入する端子挿
入孔15a、15bが表面側に貫通して設けられてい
る。上記基準液投入部12b、検体液投入部13bは、
その上部が一体に連続されて上記透明板の表面に突出す
る横長ボックス状に形成され、その下面が開口されて上
記隔壁14を長さ方向及び高さ方向に延長することによ
り内部が二分され、その上面には投入孔12b─1、1
3b─1が形成されているとともに、それぞれの投入孔
とは反対側寄りの内部に突壁12b─3、13b─3が
設けられ、投入された液の拡散が邪魔されるようになっ
ている。また、これらの基準液投入部12b、検体液投
入部13bの前壁には半円柱状の膨出部が設けられ、そ
れぞれの縦孔12d、13dに上記空気抜き溝12c、
13cのそれぞれが連通されている。16a、16bは
上記基準液投入部12b、検体液投入部13bの外側面
両側の上端に設けられた把持用突起であり、両者を指で
持つと上部セルの先端を傾け易く、また、後述する完成
されたマルチセンサプレートを測定装置に挿入したり、
そこから抜き取るときの把持用にすれば、その取扱いが
容易である。また、上記透明板の先端部には上記切欠部
9fと同様な切欠部11bが設けられている。
【0018】上記両面接着テープ10は、中央部に間隔
を置いて矩形状にくり抜いた貫通枠部10a、10a及
びそれぞれの外側に同様な外部電極用貫通枠部10b、
10bを有し、前者のそれぞれに上記細長孔6a〜6
d、透孔7a、7b、後者のそれぞれに外部電極露出用
孔8a、8a・・・、8b、8b・・・が臨ませられ、
かつ前者のそれぞれには各組の端子挿入孔15a、15
bが連通され、基準液投入部12b、検体液投入部13
bの開口部及びその間に対応する部分には穴があいてお
らず接着テープにとなっている。また、この両面接着テ
ープ10にも上記切欠部9f、切欠部11bと同様な切
欠部10cが設けられている。
【0019】17a〜17d、18a〜18d、19a
〜19dはそれぞれ上部セル11、両面接着テープ1
0、下部セル9に設けられた位置決め用の突起、切欠
部、挿入孔であり、これらが組立てられるときの位置決
めをするものである。
【0020】このような構成において、上記各部材を組
み立てると、両面接着テープ10により上部セル11は
下部セル9とそれぞれの周辺部で接合されるとともに、
堤体5の細長孔6a〜6dの各孔間、透孔7a、7bの
間及びこれらの延長上の両側の板面に接合され、これに
より基準液投入部12b、検体液投入部13bの開口部
は両面接着テープ10の表面により閉塞されて液の貯溜
ができ、また、基準液流通路12a、検体液流通路13
aはその開口部が堤体5及びその透孔の下のマルチセン
サプレート本体1のイオン感応膜により閉じられ、それ
ぞれの閉じた流通路が形成され、さらに空気抜き溝12
c、13cの開口部も両面接着テープ10により閉塞さ
れ、上記閉じた流通路に連通される連続孔が形成されて
その先端が上記縦孔12d、13dに連通され、これら
連続孔と縦孔からなる空気抜き孔が形成され、一方各組
の端子挿入孔15a、15bはマルチセンサプレート本
体1の基準電極2a、2a・・・の外部電極、検体液測
定電極2b、2b・・・の外部電極に連通し、測定用端
子がこれら外部電極に接触されるようになる。そして下
部セル9、両面接着テープ10及び上部セル11が重ね
られることにより、それぞれの切欠部9f、11a、1
0cも重ねられ、その全体からなる切欠部が形成され
る。
【0021】上記マルチセンサプレートを使用するとき
は、基準液投入部12b、検体液投入部13bにそれぞ
れ基準液、検体液を注射器等により投入し、把持用突起
16a、16bを持って傾けることにより、流通路12
a、13a及び堤体5等により形成された閉じた流通部
にそれぞれの液が速やかに流通され、それぞれの液が細
長孔、透孔を介して各組窓部4a、4bのそれぞれのイ
オン感応性電極上に供給されるとともに、流通路12
a、13aを隔てている隔壁14と両面接着テープ10
の接合部や両面接着テープと堤体5との接合部の特に前
者に生じた微細空隙に毛細管現象等により浸透して検体
液と基準液は接触し、電気的導通をなし得る状態にな
る。この状態でマルチセンサプレートを測定装置の被挿
入部に挿入すると上記切欠部は所定箇所に係合し、その
挿入が正しいことが示される。そして、測定装置の端子
を各端子挿入孔15a、15bに挿入してその電極に接
触させることにより検体液に含まれる異なるイオンの濃
度が測定され、合計5種類のイオン成分が検体液、基準
液の1回の投入操作で測定される。測定後は把持用突起
16a、16bを持って抜き取る。この一連の操作にお
いて、マルチセンサプレートに多少の振動等が加えられ
ても、基準液、検体液は投入孔が小さいので流出しな
い。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、鏡面銅電極を用いて、
これに銀メッキ層、塩化銀層を形成したので、塩化銀層
の表面の粗さが少なくなった化学センサ用電極を提供で
き、これを用いた例えばイオンセンサはその濃度と出力
の直線性を良くすることができるとともに、測定値の精
度を高めることができる。これらの直線性、精度は塩化
銀層の粒子を小さくすること、電極の周縁を絶縁膜で覆
うことによりさらに高められ、直線性は例えば相関係数
で0.99以上とすることができ、測定値の精度を±5
%以内にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の化学センサ用電極の製
造工程を示す断面説明図である。
【図2】本発明の第2の実施例の化学センサ用電極の製
造工程を示す断面説明図である。
【図3】比較例の化学センサ用電極の製造工程を示す断
面説明図である。
【図4】本発明の実施例のマルチセンサープレートの分
解斜視図である
【図5】その上部セルの下部から見た斜視図である。
【符号の説明】
1a 基板 1b 銅電極 1c 銀メッキ層 1d 塩化銀層 1e 絶縁膜 1 マルチセンサープレート本体 2a 基準液測定電極 2b 検体液測定電極 5 堤体 9 下部セル 11 上部セル 12a 基準液流通路 13a 検体液流通路 12b 基準液投入部 13b 検体液投入部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検体液測定電極と基準電極を一対にして
    少なくとも1組を有し、該検体液測定電極が銅電極に銀
    メッキ層を有し、該銀メッキ層表層部に塩化銀層を有す
    る化学センサ用電極において、上記銅電極は鏡面電極で
    ある化学センサ用電極。
  2. 【請求項2】 鏡面電極は物理的研磨処理電極である請
    求項1記載の化学センサ用電極。
  3. 【請求項3】 鏡面電極は電解研磨処理電極である請求
    項1記載の化学センサ用電極。
  4. 【請求項4】 鏡面電極は光沢銅メッキ電極である請求
    項1記載の化学センサ用電極。
  5. 【請求項5】 銅電極の表面粗さ係数Rmax が0.3μ
    m以下である請求項1ないし4のいずれかに記載の化学
    センサ用電極。
  6. 【請求項6】 塩化銀層は粒径が1μm以下の粒子から
    なる請求項1ないし5のいずれかに記載の化学センサ用
    電極。
  7. 【請求項7】 塩化銀層の少なくとも周縁部を絶縁膜で
    被覆した請求項1ないし6のいずれかに記載の化学セン
    サ用電極。
  8. 【請求項8】 化学感応膜の被覆膜を有する検体液測定
    電極と基準電極を一対にして少なくとも1組を基板上に
    設けた化学センサプレート本体と、上記検体液測定電極
    に検体液を供給する閉じた流通路と上記基準電極に基準
    液を供給する閉じた流通路をそれぞれ上記基板面上に形
    成し、それぞれの流通路の一端に連通する検体液投入
    部、基準液投入部を有する上部セルとを少なくとも有
    し、上記検体液測定電極銅電極に銀メッキ層を有し、該
    銀メッキ層表層部に塩化銀層を有する化学センサプレー
    トであって、上記銅電極が請求項1ないし7のいずれか
    に記載された化学センサ用電極である化学センサプレー
    ト。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし7のいずれかに記載の化
    学センサ用電極の製法であって、塩化銀層を得る工程が
    銀メッキ層を電解処理するにあたって該銀メッキ層と対
    極の極性を掃引させる工程を有する化学センサ用電極の
    製造法。
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