JP2006098136A - ガス濃度測定方法及びガスセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 温度検出素子を用いる必要がなく、固体電解質部材の温度を精度よく測定できるガス濃度測定方法及びガスセンサを提供する。
【解決手段】 まず、ヒータ6によって固体電解質部材3を加熱する。次に、固体電解質部材3上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極4と、検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが互いに異なるように固体電解質部材3上に配置された複数の参照極5a及び5bとの間の起電力を測定する。そして、複数の参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度に対応する起電力と測定対象ガス濃度との相関に基づいて測定対象ガスの濃度を求める。これにより、温度検出素子を用いることなく、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材3の温度を測定することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガス濃度測定方法及びガスセンサに関するものである。
従来より、電気化学式のガスセンサが知られている。この種のガスセンサでは、基板状の固体電解質部材上に検知極と参照極とが形成されたセンサ素子が用いられる。検知極は、集電体としての金属層、及び、検知材料としての金属炭酸塩層または金属炭酸水素塩層を有する。
このようなガスセンサは、次のようにして測定対象ガスの濃度を測定できる。まず、測定対象ガスの濃度に応じて、金属炭酸塩層または金属炭酸水素塩層に測定対象ガスが吸着する。次に、金属炭酸塩層または金属炭酸水素塩層において、この測定対象ガスに由来するイオンを生成する平衡反応が生じる。そして、固体電解質部材において検知極と参照極との間で導電イオンの濃度差が生じ、この濃度差によって発生する起電力(電位差)に基づいて、測定対象ガスの濃度を測定できる。このとき、固体電解質部材は、イオン伝導に適した温度(例えば350℃以上)に加熱されて用いられる(特許文献1参照)。また、固体電解質部材における起電力は、同じガス濃度であっても温度によって異なる。従って、起電力に基づく測定対象ガスの濃度値は、固体電解質部材の温度に応じて補正される。
特開平11−295265号公報
従来のガスセンサでは、固体電解質部材の温度を測定するために、例えばサーミスタや熱電対などの温度検出素子を用いている。サーミスタを用いる場合、サーミスタをセンサ素子の近くに配置し、センサ素子周辺の雰囲気温度を測定する。また、熱電対を用いる場合、熱電対をセンサ素子に接触させ、センサ素子自体の温度を測定する。
しかしながら、センサ素子周辺の雰囲気温度を測定しても、固体電解質部材の温度とは異なるため測定誤差が大きくなる。また、熱電対をセンサ素子に接触させると熱電対を伝わってセンサ素子から熱が逃げるので、固体電解質部材を所定の温度に保つことが難しくなる。しかも、上述したように固体電解質部材は350℃以上といった高温に加熱されて用いられるので、熱電対をセンサ素子に固定することも難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、温度検出素子を用いる必要がなく、固体電解質部材の温度を精度よく測定できるガス濃度測定方法及びガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による第1のガス濃度測定方法は、固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように固体電解質部材上に配置された複数の参照極との間の起電力を測定する起電力測定ステップと、複数の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する、少なくとも1つの参照極における起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出ステップとを備えることを特徴とする。
固体電解質部材上に設けられた検知極と参照極との間のインピーダンスは、固体電解質部材の温度に依存する。従って、検知極と参照極との間に発生する起電力もまた、固体電解質部材の温度に依存することとなる。本発明者らは、複数の参照極を固体電解質部材上に設け、且つこれらの参照極と検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように各参照極を配置した場合、固体電解質部材の温度変化に対するインピーダンス変化の度合い(変化率)が、複数の参照極のそれぞれにおいて異なることを見出した。従って、各参照極における起電力の相違(例えば起電力差)に基づいて、固体電解質部材の温度を知ることができる。上記した第1のガス濃度測定方法では、複数の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を測定することができる。また、固体電解質部材の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材の温度を測定することができる。これにより、測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く求めることができる。
本発明による第2のガス濃度測定方法は、固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように固体電解質部材上に配置された複数の参照極との間の起電力を測定する起電力測定ステップと、複数の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくように固体電解質部材への加熱量を制御する温度制御ステップと、複数の参照極のうち少なくとも1つの参照極と検知極との間の起電力を測定し、所定の温度に対応する、少なくとも1つの参照極における起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度測定ステップとを備えることを特徴とする。
上記した第2のガス濃度測定方法では、第1のガス濃度測定方法と同様に、複数の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を測定することができる。また、固体電解質部材の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材の温度を測定することができる。これにより、固体電解質部材の温度を簡易に且つ精度よく制御することができる。
また、第1及び第2のガス濃度測定方法は、参照極と検知極との距離が、複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴としてもよい。或いは、第1及び第2のガス濃度測定方法は、参照極と固体電解質部材との接触面積が、複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴としてもよい。これらにより、検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように配置された複数の参照極を好適に実現できる。
本発明による第3のガス濃度測定方法は、固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、固体電解質部材上に配置された第1及び第2の参照極のうちいずれか一方との間の第1の起電力を測定し、第1及び第2の参照極を短絡した状態で第1及び第2の参照極と検知極との間の第2の起電力を測定する起電力測定ステップと、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する第1または第2の起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出ステップとを備えることを特徴とする。
上記した第3のガス濃度測定方法では、2つの参照極の一方と検知極との間の起電力(第1の起電力)を測定するとともに、2つの参照極を互いに短絡した状態(すなわち、参照極と固体電解質部材との接触面積を拡大した状態)で、参照極と検知極との間の起電力(第2の起電力)を更に測定している。このように、参照極と固体電解質部材との接触面積を変化させることにより、参照極と検知極との間のインピーダンスを好適に変化させることができる。従って、第1の起電力と第2の起電力との相違(例えば起電力差)に基づいて、固体電解質部材の温度を知ることができる。上記した第3のガス濃度測定方法では、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を測定することができる。また、固体電解質部材の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材の温度を測定することができる。これにより、測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く求めることができる。
本発明による第4のガス濃度測定方法は、固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、固体電解質部材上に配置された第1及び第2の参照極のうちいずれか一方との間の第1の起電力を測定し、第1及び第2の参照極を短絡した状態で第1及び第2の参照極と検知極との間の第2の起電力を測定する起電力測定ステップと、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくように固体電解質部材への加熱量を制御する温度制御ステップと、第1及び第2の参照極のうち少なくとも一方と検知極との間の第3の起電力を測定し、所定の温度に対応する第3の起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度測定ステップとを備えることを特徴とする。
上記した第4のガス濃度測定方法では、第3のガス濃度測定方法と同様に、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を測定することができる。また、固体電解質部材の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材の温度を測定することができる。これにより、固体電解質部材の温度を簡易に且つ精度よく制御することができる。
また、第1〜第4のガス濃度測定方法は、起電力測定ステップの前に、固体電解質部材を加熱するステップを更に備えることが好ましい。
本発明によるガスセンサは、固体電解質部材と、固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように固体電解質部材上に配置された複数の参照極とを備えることを特徴とする。
上述したように、本発明者らは、複数の参照極を固体電解質部材上に設け、且つこれらの参照極と検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように各参照極を配置した場合、固体電解質部材の温度変化に対するインピーダンス変化の度合いが、複数の参照極のそれぞれにおいて異なることを見出した。上記したガスセンサによれば、複数の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を知ることが可能なので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を測定することができる。また、固体電解質部材の温度を直接測定することが可能なので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材の温度を測定することができる。
また、ガスセンサは、参照極と検知極との距離が、複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴としてもよい。或いは、ガスセンサは、参照極と固体電解質部材との接触面積が、複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴としてもよい。これらにより、検知極との間の固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように配置された複数の参照極を好適に実現できる。
また、ガスセンサは、2つの端子間の通電状態を切り替えるスイッチ手段を複数備え、複数のスイッチ手段それぞれの一方の端子は複数の参照極のそれぞれに電気的に接続されており、複数のスイッチ手段の他方の端子は互いに短絡されていることを特徴としてもよい。これにより、起電力を測定する際に複数の参照極の何れかを好適に選択できるので、複数の参照極のそれぞれと検知極との間の起電力を測定するための回路を小型化することができる。
また、ガスセンサは、2つの入力端子間の電圧を増幅する増幅手段を更に備え、増幅手段の2つの入力端子のうちの一方は、複数のスイッチ手段それぞれの他方の端子と電気的に接続されており、増幅手段の2つの入力端子のうちの他方は、検知極と電気的に接続されていることを特徴としてもよい。これにより、複数の参照極のそれぞれと検知極との間の起電力をより精度よく測定することができる。
また、ガスセンサは、固体電解質部材を加熱するためのヒータを更に備えることが好ましい。
また、ガスセンサは、参照極のそれぞれと検知極との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくようにヒータへの供給電力を制御する温度制御手段を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を精度良く測定し、該温度を簡易に且つ精度よく制御可能なガスセンサを好適に実現できる。
また、ガスセンサは、参照極のそれぞれと検知極との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する、少なくとも1つの参照極における起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出手段を更に備えることを特徴としてもよい。これにより、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材の温度を精度良く測定し、測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く測定可能なガスセンサを好適に実現できる。
本発明によれば、温度検出素子を用いる必要がなく、固体電解質部材の温度を精度よく測定できるガス濃度測定方法及びガスセンサを提供できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明によるガス濃度測定方法及びガスセンサの実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明によるガスセンサの第1実施形態の構成を示す概略図である。本実施形態におけるガスセンサ1aは、例えば二酸化炭素を測定対象ガスとする二酸化炭素センサとして用いることができる。
ガスセンサ1aは、センサ素子2a、複数のスイッチ手段7a及び7b、アンプ8、ガス濃度算出手段9a、ヒータ電源10、及び配線11a〜11eを備える。
センサ素子2aは、測定対象ガスの濃度に応じた起電力を発生する素子である。ここで、図2は、図1に示すセンサ素子2aのI−I断面を示す断面図である。図2を参照すると、センサ素子2aは、平板状の固体電解質部材3と、この固体電解質部材3の一方の面3a上に接して設けられた検知極4と、固体電解質部材3の一方の面3a上に接しており且つ検知極4とは離れて設けられた複数の参照極5a及び5bと、固体電解質部材3の他方の面3b上に接して設けられたヒータ6とを有する。
固体電解質部材(固体電解質を含む部材)3は、金属イオン導電体であり、例えば、アルカリ金属イオン及び/又はアルカリ土類金属イオン導電体、好ましくはナトリウムイオン導電体を用いることができる。このようなイオン導電体としては、例えば、Na1+xZr2Six3-x12(x=0〜3)で表されるNASICON(具体例としてNa3Zr2Si2PO12など)が好適である。
なお、固体電解質部材3には、金属イオン導電体以外に、イオン導電性を妨げない程度の補強剤として、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si34)、酸化鉄(Fe23)等が質量百分率で50%以下含有されていてもよい。
検知極4は、測定対象ガスとして二酸化炭素を測定する場合には、金属炭酸塩及び/又は金属炭酸水素塩を含むことが好ましい。金属炭酸塩及び/又は金属炭酸水素塩を検知極4が含むことによって、二酸化炭素の検出に必須の炭酸水素イオンの生成がさらに促進され、感度、応答速度、選択性などがより向上する。なお、金属炭酸塩は、二酸化炭素、水と反応して金属炭酸水素塩となり、二酸化炭素に由来する炭酸水素イオンの生成を促進すると考えられる。
金属炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム(Li2CO3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸バリウム(BaCO3)等が挙げられる。また、金属炭酸水素塩としては、例えば、アルカリ金属の炭酸水素塩などがあり、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、炭酸水素ルビジウム(RbHCO3)、炭酸水素セシウム(CsHCO3)等が挙げられる。
また、検知極4は、金属酸化物を含んで構成されていてもよい。検知極4に含まれる金属酸化物は、電子導電性を有することが好ましく、例えば酸化インジウム(In23)が好適である。
参照極5a及び5bは、検知極4と所定距離離間され、固体電解質部材3上に接して形成されている。参照極5a及び5bは、検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが互いに異なるように配置されている。本実施形態では、参照極5aと検知極4との距離が参照極5bと検知極4との距離よりも短いことによって、参照極5aと検知極4との間のインピーダンスが参照極5bと検知極4との間のインピーダンスよりも小さくなっている。なお、参照極5a及び5bの材質としては、金属または導電性の金属酸化物等が好適である。
ヒータ6は、固体電解質部材3の他方の面3b上に接して設けられる。ヒータ6はヒータ電源10(図1参照)と電気的に接続されており、ヒータ電源10からの電力供給によって熱を発生し、固体電解質部材3へ熱を供給する。固体電解質部材3は、ヒータ6によってイオン伝導に適した温度(NASICONであれば、約350℃以上)に加熱される。
再び図1を参照する。スイッチ手段7aは、一対の端子71a及び72aを有する。スイッチ手段7bは、一対の端子71b及び72bを有する。スイッチ手段7a及び7bは、それぞれ端子71aと端子72aとの通電状態、及び端子71bと端子72bとの通電状態を切り替えることができる。スイッチ手段7a及び7bは、参照極5a及び5bのうち何れかを選択する(切り替える)ために用いられる。スイッチ手段7a及び7bの一方の端子71a及び71bは、それぞれ配線11b及び11cを介して参照極5a及び5bと電気的に接続されている。また、スイッチ手段7a及び7bの他方の端子72a及び72bは、配線11d及び11eを介して互いに短絡されている。本実施形態のスイッチ手段7a及び7bは機械式スイッチ17a及び17bによって実現されるが、スイッチ手段7a及び7bは例えばトランジスタなどの半導体スイッチによって実現されてもよい。
アンプ8は、2つの入力端子8a及び8b間の電圧を増幅するための増幅手段である。アンプ8の一方の入力端子8aは、配線11d及び11eを介してスイッチ手段7a及び7bの端子72a及び72bと電気的に接続されている。アンプ8の他方の入力端子8bは、配線11aを介して検知極4と電気的に接続されている。アンプ8の出力端子8cは、ガス濃度算出手段9aと電気的に接続されている。このような構成によって、スイッチ手段7a又は7bが通電状態となると、アンプ8は、参照極5a又は5bと検知極4との間の電位差(起電力)を増幅して起電力信号Sを生成し、この起電力信号Sをガス濃度算出手段9aに提供する。
ガス濃度算出手段9aは、参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度に対応する起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求める手段である。ガス濃度算出手段9aは、例えば予め特性値をマップ化し記憶したCPUなどの演算処理装置が所定のプログラムにより演算処理を実行することによって実現されることができる。マップ化された特性値およびプログラムは、例えばハードディスクやメモリなどの外部記憶装置に記憶して用いてもよい。
ここで、複数の参照極のそれぞれと検知極との間の起電力の相違と、固体電解質部材の温度との相関について説明する。図3は、この相関を調べるために試作した装置の斜視図である。この装置においては、NASICONからなる矩形板状の固体電解質部材30の表面30aの四隅に電極F1〜F4がそれぞれ配置されており、裏面30bの四隅に電極B1〜B4がそれぞれ配置されている。すなわち、電極F1と電極B1との距離は固体電解質部材30の厚さと一致し、電極F1と電極F2との距離は固体電解質部材30の表面30aの一辺の長さと一致し、電極F1と電極F3との距離は固体電解質部材30の表面30aの対角線の長さと一致し、電極F1と電極B3との距離は固体電解質部材30の表面30aから裏面30bへの対角線の長さと一致する。また、(電極F1と電極B1との距離)<(電極F1と電極F2との距離)<(電極F1と電極F3との距離)<(電極F1と電極B3との距離)となっており、各電極間のインピーダンスもこの順で大きくなっている。
図3に示す装置において、固体電解質部材30を加熱しながら、固体電解質部材30の温度変化に対する各電極間のインピーダンスの変化を測定した。図4は、電極F1と電極B1との間、電極F1と電極F2との間、電極F1と電極F3との間、及び電極F1と電極B3との間のそれぞれにおけるインピーダンスの変化を示すグラフである。このグラフに示されるように、固体電解質部材30の温度上昇に伴い、各電極間のインピーダンスは低下する。そして、本発明者らは、各電極間のインピーダンスの低下の度合い(すなわち、固体電解質部材30の温度変化に対するインピーダンス変化率)が、インピーダンスが高い電極間と比較してインピーダンスが低い電極間においてより顕著となっていることを見出した。すなわち、図4のグラフに示すように、特に固体電解質部材30の温度が200℃以上である領域において、距離が最短である電極F1と電極B1との間のインピーダンス低下率が最も大きく、次いで電極F1と電極F2との間のインピーダンス低下率が大きくなっている。対して、電極F1と電極F3との間のインピーダンス低下率は小さく、距離が最大である電極F1と電極B3との間のインピーダンス低下率は最も小さくなっている。従って、電極F1との距離が異なる電極同士(すなわち、電極F1との間の固体電解質部材30におけるインピーダンスが異なる電極同士)のインピーダンス差は、固体電解質部材30の温度上昇に伴って拡大する。このことから、電極F1との距離(電極F1との間のインピーダンス)が異なる電極同士のインピーダンスの相違に基づいて、固体電解質部材30の現在温度を測定することができる。ガス濃度算出手段9aは、このような現象を応用し、電極間のインピーダンスは起電力として現れることから、参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求める。
また、ガス濃度算出手段9aは、スイッチ手段7a及び7bの通電状態を制御するための制御端子(図示せず)と電気的に接続されている。ガス濃度算出手段9aは、参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力を個々に測定するために、開閉信号Sをスイッチ手段7a及び7bの制御端子へ送り、スイッチ手段7a及び7bの通電状態を制御することができる。
以上、本実施形態によるガスセンサ1aの構成について説明した。続いて、本実施形態によるガス濃度測定方法について、ガスセンサ1aの動作とともに図5を参照しながら説明する。図5は、ガスセンサ1aの動作を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、測定対象ガスとして二酸化炭素を、検知極4に含まれる材料として炭酸リチウムを、それぞれ例示して説明する。
まず、ヒータ電源10からヒータ6へ電力を供給し、ヒータ6が熱を発生する。そして、固体電解質部材3を例えば350℃以上といった高温に加熱する(加熱ステップ、S11)。これにより、検知極4に含まれる炭酸リチウムはLi2CO3から2LiとCO3 2−とに分離してイオン化し、活性な状態となる。2Liは、外部から検知極4に侵入する酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)との間で下記(1)の反応を生じ、新たにLi2CO3を形成する。
CO2+2Li+1/2O2+2e→Li2CO3 (1)
新たに形成されたLi2CO3は、固体電解質部材3の導電イオンであるNaイオンと下記(2)の反応を生じる。
Li2CO3+2Na→CO2+2Li+1/2O2+2e+2Na
→2Li+Na2CO3 (2)
上記の反応では、Li2CO3はNaイオンと反応する際に電子を放出する。放出された電子はNa2CO3中に取り込まれ検知極4と参照極5a及び5bとの間に起電力を生じさせる。
続いて、ガス濃度算出手段9aは、スイッチ手段7aを閉じる(通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5aとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、ガス濃度算出手段9aに提供される。ガス濃度算出手段9aは、この起電力信号Sを参照極5aにおける起電力(第1の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S12)。
続いて、ガス濃度算出手段9aは、スイッチ手段7aを開き(非通電状態とし)、スイッチ手段7bを閉じる(通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5bとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、ガス濃度算出手段9aに提供される。ガス濃度算出手段9aは、この起電力信号Sを参照極5bにおける起電力(第2の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S13)。
ガス濃度算出手段9aは、提供された第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて、固体電解質部材3の温度を求める(ガス濃度算出ステップ、S14)。このとき、ガス濃度算出手段9aは、参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力の相違(例えば起電力差)と、固体電解質部材3の温度との相関データを予め記憶しておき、第1の起電力と第2の起電力との相違をこの相関データに適用することにより、固体電解質部材3の温度を求めるとよい。
ガス濃度算出手段9aは、固体電解質部材3の温度を求めた後、起電力と二酸化炭素濃度との相関関係に基づいて、二酸化炭素濃度を求める(ガス濃度算出ステップ、S15)。すなわち、測定された第1及び第2の起電力値は、主に二酸化炭素の濃度及び固体電解質部材3の温度に依存するので、固体電解質部材3の温度が求まれば、二酸化炭素濃度を求めることができる。なお、ガス濃度算出手段9aは、参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力と二酸化炭素濃度との相関データを各温度毎に予め記憶しておき、第1の起電力値及び/または第2の起電力値と固体電解質部材3の現在温度とをこの相関データに適用することにより、二酸化炭素濃度を求めるとよい。
本実施形態によるガス濃度測定方法及びガスセンサ1aは、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態によるガス濃度測定方法及びガスセンサ1aでは、複数の参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を測定することができる。また、固体電解質部材3の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材3の温度を測定することができる。これにより、二酸化炭素などの測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く求めることができる。
また、本実施形態のガス濃度測定方法及びガスセンサ1aでは、参照極5a及び5bと検知極4との距離が、複数の参照極5a及び5bのそれぞれにおいて互いに異なることが好ましい。これにより、参照極5a及び5bと検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが各参照極5a及び5bにおいて互いに異なるように、参照極5a及び5bを好適に配置できる。
また、ガスセンサ1aは、本実施形態のように参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度に対応する起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出手段9aを備えることが好ましい。これにより、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を精度良く測定し、測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く測定可能なガスセンサを好適に実現できる。なお、本実施形態では測定対象ガス濃度の算出をガス濃度算出手段9aが自動的に行っているが、本発明によるガス濃度測定方法は、測定対象ガス濃度の算出をガスセンサ1aの外部に設けられた演算手段により行ってもよく、或いは測定者自身が行ってもよい。
また、ガスセンサ1aは、本実施形態のようにアンプ8といった増幅手段を備えることが好ましい。これにより、複数の参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の第1及び第2の起電力をより精度よく測定することができる。
また、ガスセンサ1aは、本実施形態のように複数の参照極5a及び5bに応じた複数のスイッチ手段7a及び7bを備えることが好ましい。これにより、ガス濃度算出手段9aが起電力を測定する際に複数の参照極5a及び5bの何れかを好適に選択できるので、複数の参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力を測定するための回路(例えばアンプ8)を小型化することができる。
(変形例)
図6は、上記第1実施形態によるガスセンサ1aの変形例として、センサ素子2bの構成を示す平面図である。第1実施形態のガスセンサ1aは、センサ素子2aに代えて本変形例のセンサ素子2bを備えてもよい。本変形例のセンサ素子2bは、固体電解質部材3と、検知極4と、複数の参照極5c及び5dと、ヒータ6とを備える。これらのうち、複数の参照極5c及び5d以外の構成は、上記第1実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
本変形例の参照極5c及び5dは、固体電解質部材3との接触面積が互いに異なっている。具体的には、参照極5dは参照極5cよりも面積が大きく形成されている。また、検知極4との距離は、参照極5cと参照極5dとで略同様となっている。本変形例のように、固体電解質部材3との接触面積を各参照極5c、5d同士で互いに異なるように各参照極5c、5dを設けることによっても、検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが互いに異なる複数の参照極5c、5dを好適に実現できる。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明によるガス濃度測定方法及びガスセンサの第2実施形態について説明する。図7は、本実施形態のガスセンサ1bの構成を示す概略図である。ガスセンサ1bは、センサ素子2a、スイッチ手段7a及び7b、アンプ8、ヒータ電源10、配線11a〜11e、ガス濃度測定手段19a、及び温度制御手段21aを備える。これらのうち、センサ素子2a、スイッチ手段7a及び7b、アンプ8、ヒータ電源10、及び配線11a〜11eの構成については、第1実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
温度制御手段21aは、参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくようにヒータ6への供給電力を制御する手段である。なお、温度制御手段21aにおける、固体電解質部材3の温度を求める手順は、第1実施形態のガス濃度算出手段9aと同様である。温度制御手段21aは、例えば予め特性をマップ化し記憶したCPUなどの演算処理装置が所定のプログラムにより演算処理を実行することによって実現されることができる。マップ化された特性値およびプログラムは、例えばハードディスクやメモリなどの外部記憶装置に記憶して用いてもよい。温度制御手段21aは、アンプ8の出力端子8cと電気的に接続されており、出力端子8cから起電力信号Sを受ける。また、温度制御手段21aは、スイッチ手段7a及び7bの通電状態を制御するための制御端子(図示せず)と電気的に接続されている。温度制御手段21aは、参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力を個々に測定するために、開閉信号Sをスイッチ手段7a及び7bの制御端子へ送り、スイッチ手段7a及び7bの通電状態を制御することができる。また、温度制御手段21aは、ヒータ電源10の出力を制御するための制御端子10aと電気的に接続されており、ヒータ6への供給電力を制御するための電力制御信号Sをヒータ電源10に提供する。
ガス濃度測定手段19aは、複数の参照極5a及び5bのうち少なくとも1つの参照極と検知極4との間の起電力(第3の起電力)を測定し、温度制御手段21aによって設定された所定の温度に対応する起電力と二酸化炭素濃度との相関に基づいて、二酸化炭素濃度を求める手段である。ガス濃度測定手段19aは、例えば予め特性をマップ化し記憶したCPUなどの演算処理装置が所定のプログラムにより演算処理を実行することによって実現されることができる。マップ化された特性値およびプログラムは、例えばハードディスクやメモリなどの外部記憶装置に記憶して用いてもよい。ガス濃度測定手段19aは、アンプ8の出力端子8cと電気的に接続されており、出力端子8cから起電力信号Sを受ける。また、ガス濃度測定手段19aは、所定の温度における参照極5a及び/または5bにおける起電力と二酸化炭素濃度との相関データを予め記憶している。ガス濃度測定手段19aは、起電力信号Sをこの相関データに適用することにより、二酸化炭素濃度を求める。
続いて、本実施形態によるガス濃度測定方法について、ガスセンサ1bの動作とともに図8を参照しながら説明する。図8は、ガスセンサ1bの動作を示すフローチャートである。
まず、ヒータ電源10からヒータ6へ電力を供給し、ヒータ6が熱を発生する。そして、固体電解質部材3を例えば350℃以上といった高温に加熱する(加熱ステップ、S21)。これにより、検知極4と参照極5a及び5bとの間に二酸化炭素濃度に応じた起電力が生じる。
続いて、温度制御手段21aは、スイッチ手段7aを閉じる(通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5aとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、温度制御手段21aに提供される。温度制御手段21aは、この起電力信号Sを参照極5aにおける起電力(第1の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S22)。
続いて、温度制御手段21aは、スイッチ手段7aを開き(非通電状態とし)、スイッチ手段7bを閉じる(通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5bとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、温度制御手段21aに提供される。温度制御手段21aは、この起電力信号Sを参照極5bにおける起電力(第2の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S23)。
温度制御手段21aは、提供された第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて、固体電解質部材3の温度を求める(温度制御ステップ、S24)。このとき、温度制御手段21aは、参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力の相違(例えば起電力差)と、固体電解質部材3の温度との相関データを予め記憶しておき、第1の起電力と第2の起電力との相違をこの相関データに適用することにより、固体電解質部材3の温度を求めるとよい。
温度制御手段21aは、固体電解質部材3の温度を求めた後、固体電解質部材3が所定温度に近づくように、ヒータ6への供給電力を制御する(温度制御ステップ、S25)。すなわち、温度制御手段21aは、固体電解質部材3の現在温度と所定の温度との差に基づいて、ヒータ電源10へ電力制御信号Sを送り、ヒータ電源10の出力(供給電力)を制御する。なお、温度制御手段21aは、固体電解質部材3の温度が安定するまで、以上の動作を繰り返すとよい。こうして、固体電解質部材3の温度が所定の温度または所定の温度に近い温度に制御される。
その後、ガス濃度測定手段19aは、参照極5a及び/または5bと検知極4との間の起電力を再び測定する(ガス濃度測定ステップ、S26)。すなわち、ガス濃度測定手段19aは、固体電解質部材3の温度が所定温度で安定した後、参照極5a及び5bの双方または少なくとも一方における起電力信号Sをアンプ8から受け取る。そして、ガス濃度測定手段19aは、参照極5a及び/または5bにおける起電力信号Sと二酸化炭素濃度との相関データに基づいて、二酸化炭素濃度を求める(ガス濃度測定ステップ、S27)。
本実施形態のガス濃度測定方法によれば、第1実施形態のガス濃度測定方法と同様に、複数の参照極5a及び5bのそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を測定することができる。また、固体電解質部材3の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材3の温度を測定することができる。従って、固体電解質部材3の温度を簡易に且つ精度よく制御することができる。
また、ガスセンサ1bは、本実施形態のように、参照極5a及び5bのそれぞれと検知極4との間の起電力の相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくようにヒータ6への供給電力を制御する温度制御手段21aを備えることが好ましい。これにより、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を精度良く測定し、該温度を簡易に且つ精度よく制御可能なガスセンサ1bを好適に実現できる。なお、本実施形態では固体電解質部材3の温度制御を温度制御手段21aが自動的に行っているが、本発明によるガス濃度測定方法は、固体電解質部材3の温度制御をガスセンサ1bの外部に設けられた制御手段により行ってもよく、或いは測定者自身が行ってもよい。
(第3の実施の形態)
続いて、本発明によるガス濃度測定方法及びガスセンサの第3実施形態について説明する。図9は、本実施形態のガスセンサ1cの構成を示す概略図である。ガスセンサ1cは、センサ素子2c、スイッチ手段7c、アンプ8、ガス濃度算出手段9b、ヒータ電源10、及び配線11f〜11iを備える。
センサ素子2cは、測定対象ガスの濃度に応じた起電力を発生する素子である。本実施形態のセンサ素子2cが第1実施形態のセンサ素子2aと異なる点は、参照極5e(第1の参照極)及び参照極5f(第2の参照極)の配置である。本実施形態では、参照極5e及び5fはそれぞれ検知極4から略等しい距離で固体電解質部材3上に配置されており、固体電解質部材3との接触面積も略等しく形成されている。すなわち、参照極5e及び5fと検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスは、互いに略等しくなっている。なお、本実施形態では第1実施形態との差異を明確にするために参照極5e及び5fを上記のような配置・形状としているが、本発明の第1及び第2の参照極は、検知極からの距離が互いに異なっていても良く、また、固体電解質部材3との接触面積が互いに異なっていても良い。なお、固体電解質部材3、検知極4、及びヒータ6の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
スイッチ手段7cは、参照極5e及び5fを互いに短絡するための手段である。スイッチ手段7cは、一対の端子71c及び72cを有し、端子71cと端子72cとの間の通電状態を切り替えることができる。スイッチ手段7cの一方の端子71cは、配線11hを介して参照極5fと電気的に接続されている。また、スイッチ手段7cの他方の端子72cは、配線11g及び11iを介して参照極5eと電気的に接続されている。本実施形態のスイッチ手段7cは、第1実施形態のスイッチ手段7a及び7bと同様に機械式スイッチ17cによって実現されるが、スイッチ手段7cは例えばトランジスタなどの半導体スイッチによって実現されてもよい。
アンプ8の一方の入力端子8aは、配線11iを介してスイッチ手段7cの端子72cと電気的に接続されており、且つ配線11gを介して参照極5eと電気的に接続されている。アンプ8の他方の入力端子8bは、配線11fを介して検知極4と電気的に接続されている。アンプ8の出力端子8cは、ガス濃度算出手段9bと電気的に接続されている。このような構成によって、スイッチ手段7cが非通電状態のときには、アンプ8は、参照極5eと検知極4との間の電位差(起電力)を増幅して起電力信号Sを生成する。また、スイッチ手段7cが通電状態のときには、アンプ8は、参照極5e及び5fの双方(すなわち、拡大された参照極)と検知極4との間の電位差(起電力)を増幅して起電力信号Sを生成する。アンプ8は、生成した起電力信号Sをガス濃度算出手段9bに提供する。
ガス濃度算出手段9bは、参照極5eと検知極4との間の起電力(第1の起電力)と、スイッチ手段7cによって短絡された参照極5e及び5fと検知極4との間の起電力(第2の起電力)との相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度に対応する起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、測定対象ガスの濃度を求める手段である。
また、ガス濃度算出手段9bは、スイッチ手段7cの通電状態を制御するための制御端子(図示せず)と電気的に接続されている。ガス濃度算出手段9bは、参照極5e単独での起電力と、参照極5e及び5fが互いに短絡された状態(参照極が拡大された状態)での起電力とをそれぞれ測定するために、開閉信号Sをスイッチ手段7cの制御端子へ送り、スイッチ手段7cの通電状態を制御することができる。
続いて、本実施形態によるガス濃度測定方法について、ガスセンサ1cの動作とともに図10を参照しながら説明する。図10は、ガスセンサ1cの動作を示すフローチャートである。
まず、ヒータ電源10からヒータ6へ電力を供給し、ヒータ6が熱を発生する。そして、固体電解質部材3を例えば350℃以上といった高温に加熱する(加熱ステップ、S31)。これにより、検知極4と参照極5e及び5fとの間に二酸化炭素濃度に応じた起電力が生じる。
ガス濃度算出手段9bは、まず、スイッチ手段7cを開く(非通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5eとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、ガス濃度算出手段9bに提供される。ガス濃度算出手段9bは、この起電力信号Sを参照極5eにおける起電力(第1の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S32)。
続いて、ガス濃度算出手段9bは、スイッチ手段7cを閉じる(通電状態とする)。これによって、参照極5e及び5fがスイッチ手段7cを介して短絡される。すなわち、参照極と固体電解質部材3との接触面積が拡大されるので、参照極と検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが低下することとなる。そして、短絡された参照極5e及び5fと検知極4との間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、ガス濃度算出手段9bに提供される。ガス濃度算出手段9bは、この起電力信号Sを短絡された参照極5e及び5fにおける起電力(第2の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S33)。
ガス濃度算出手段9bは、提供された第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて、固体電解質部材3の温度を求める(ガス濃度算出ステップ、S34)。このとき、ガス濃度算出手段9bは、参照極5e単独での起電力と参照極5e及び5fを短絡した場合の起電力との相違(例えば起電力差)と、固体電解質部材3の温度との相関データを予め記憶しておき、第1の起電力と第2の起電力との相違をこの相関データに適用することにより、固体電解質部材3の温度を求めるとよい。
ガス濃度算出手段9bは、固体電解質部材3の温度を求めた後、起電力と二酸化炭素濃度との相関関係に基づいて、二酸化炭素濃度を求める(ガス濃度算出ステップ、S35)。すなわち、測定された第1及び第2の起電力値は、二酸化炭素の濃度及び固体電解質部材3の温度に依存するので、固体電解質部材3の温度が求まれば、二酸化炭素濃度を求めることができる。なお、ガス濃度算出手段9bは、参照極5e単独での起電力及び/または参照極5e及び5f同士を短絡した状態での起電力と二酸化炭素濃度との相関データを各温度毎に予め記憶しておき、第1の起電力値及び/または第2の起電力値と固体電解質部材3の温度とをこの相関データに適用することにより、二酸化炭素濃度を求めるとよい。
本実施形態によるガス濃度測定方法及びガスセンサ1cは、以下の効果を有する。すなわち、本実施形態によるガス濃度測定方法及びガスセンサ1cでは、2つの参照極5e及び5fの一方と検知極4との間の起電力(第1の起電力)を測定するとともに、2つの参照極5e及び5fを互いに短絡した状態(すなわち、参照極と固体電解質部材3との接触面積を拡大した状態)で、参照極5e及び5fと検知極4との間の起電力(第2の起電力)を更に測定している。このように、参照極と固体電解質部材3との接触面積を変化させることにより、参照極と検知極4との間のインピーダンスを好適に変化させることができる。従って、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて、固体電解質部材3の温度を知ることができる。本実施形態のガス濃度測定方法及びガスセンサ1cによれば、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を測定することができる。また、固体電解質部材3の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材3の温度を測定することができる。これにより、測定対象ガスの濃度を簡易に且つ精度良く求めることができる。
(第4の実施の形態)
続いて、本発明によるガス濃度測定方法及びガスセンサの第4実施形態について説明する。図11は、本実施形態のガスセンサ1dの構成を示す概略図である。ガスセンサ1dは、センサ素子2c、スイッチ手段7c、アンプ8、ヒータ電源10、配線11f〜11i、ガス濃度測定手段19b、及び温度制御手段21bを備える。これらのうち、センサ素子2c、スイッチ手段7c、アンプ8、ヒータ電源10、及び配線11f〜11iの構成については、第3実施形態の構成と同様なので説明を省略する。
温度制御手段21bは、参照極5eと検知極4との間の起電力(第1の起電力)と、参照極5e及び5fを短絡した状態での参照極5e及び5fと検知極4との間の起電力(第2の起電力)との相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくようにヒータ6への供給電力を制御する手段である。なお、温度制御手段21bにおける固体電解質部材3の温度を求める手順は、第3実施形態のガス濃度算出手段9bと同様である。温度制御手段21bは、アンプ8の出力端子8cと電気的に接続されており、出力端子8cから起電力信号Sを受ける。また、温度制御手段21bは、スイッチ手段7cの通電状態を制御するための制御端子(図示せず)と電気的に接続されている。温度制御手段21bは、参照極5e単独での起電力、及び参照極5e及び5fを短絡した状態での起電力をそれぞれ測定するために、開閉信号Sをスイッチ手段7cの制御端子へ送り、スイッチ手段7cの通電状態を制御することができる。また、温度制御手段21bは、ヒータ電源10の出力を制御するための制御端子10aと電気的に接続されており、ヒータ6への供給電力を制御するための電力制御信号Sをヒータ電源10に提供する。
ガス濃度測定手段19bは、参照極5eと検知極4との間の起電力、または参照極5e及び5fを短絡した状態での参照極5e及び5fと検知極4との間の起電力(第3の起電力)を測定し、温度制御手段21bによって設定された所定の温度に対応する起電力と二酸化炭素濃度との相関に基づいて、二酸化炭素濃度を求める手段である。ガス濃度測定手段19bは、アンプ8の出力端子8cと電気的に接続されており、出力端子8cから起電力信号Sを受ける。また、ガス濃度測定手段19bは、所定の温度における参照極5e単独での起電力及び/または参照極5e及び5fが短絡された状態での起電力と二酸化炭素濃度との相関データを予め記憶している。ガス濃度測定手段19bは、起電力信号Sをこの相関データに適用することにより、二酸化炭素濃度を求める。
続いて、本実施形態によるガス濃度測定方法について、ガスセンサ1dの動作とともに図12を参照しながら説明する。図12は、ガスセンサ1dの動作を示すフローチャートである。
まず、ヒータ電源10からヒータ6へ電力を供給し、ヒータ6が熱を発生する。そして、固体電解質部材3を例えば350℃以上といった高温に加熱する(加熱ステップ、S41)。これにより、検知極4と参照極5e及び5fとの間に二酸化炭素濃度に応じた起電力が生じる。
温度制御手段21bは、まず、スイッチ手段7cを開く(非通電状態とする)。これによって、検知極4と参照極5eとの間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、温度制御手段21bに提供される。温度制御手段21bは、この起電力信号Sを参照極5eにおける起電力(第1の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S42)。
続いて、温度制御手段21bは、スイッチ手段7cを閉じる(通電状態とする)。これによって、参照極5e及び5fがスイッチ手段7cを介して短絡される。すなわち、参照極と固体電解質部材3との接触面積が拡大されるので、参照極と検知極4との間の固体電解質部材3におけるインピーダンスが低下することとなる。そして、短絡された参照極5e及び5fと検知極4との間に生じた起電力が、アンプ8の入力端子8a及び8bに入力され、増幅されて起電力信号Sとなり、温度制御手段21bに提供される。温度制御手段21bは、この起電力信号Sを短絡された参照極5e及び5fにおける起電力(第2の起電力)としてメモリに格納する(起電力測定ステップ、S43)。
温度制御手段21bは、提供された第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて、固体電解質部材3の温度を求める(温度制御ステップ、S44)。このとき、温度制御手段21bは、参照極5e単独での起電力と参照極5e及び5fを短絡した場合の起電力との相違(例えば起電力差)と、固体電解質部材3の温度との相関データを予め記憶しておき、第1の起電力と第2の起電力との相違をこの相関データに適用することにより、固体電解質部材3の温度を求めるとよい。
温度制御手段21bは、固体電解質部材3の温度を求めた後、固体電解質部材3が所定温度に近づくように、ヒータ6への供給電力を制御する(温度制御ステップ、S45)。すなわち、温度制御手段21bは、固体電解質部材3の現在温度と所定の温度との差に基づいて、ヒータ電源10へ電力制御信号Sを送り、ヒータ電源10の出力(供給電力)を制御する。こうして、固体電解質部材3の温度が所定の温度または所定の温度に近い温度に制御される。
その後、ガス濃度測定手段19bは、参照極5eと検知極4との間の起電力、または参照極5e及び5fを短絡した状態での参照極5e及び5fと検知極4との間の起電力を再び測定する(ガス濃度測定ステップ、S46)。すなわち、ガス濃度測定手段19bは、固体電解質部材3の温度が所定温度で安定した後、スイッチ手段7cの導通状態または非導通状態における起電力信号Sをアンプ8から受け取る。そして、ガス濃度測定手段19bは、起電力信号Sと二酸化炭素濃度との相関データに基づいて、二酸化炭素濃度を求める(ガス濃度測定ステップ、S47)。
本実施形態のガス濃度測定方法によれば、第3実施形態のガス濃度測定方法と同様に、第1の起電力と第2の起電力との相違に基づいて固体電解質部材3の温度を求めるので、温度検出素子を用いることなく固体電解質部材3の温度を測定することができる。また、固体電解質部材3の温度を直接測定することができるので、温度検出素子を用いるよりも精度よく固体電解質部材3の温度を測定することができる。これにより、固体電解質部材3の温度を簡易に且つ精度よく制御することができる。
本発明によるガス濃度測定方法及びガスセンサは、上記した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態ではヒータを用いて固体電解質部材を高温に加熱しているが、固体電解質部材が常温でもイオン伝導性を有することができれば、ヒータを備えなくてもよい。このような場合であっても、固体電解質部材の温度は周囲温度とともに変化するので、本発明によるガス濃度測定方法によって固体電解質部材の温度を求めることにより、精度よくガス濃度を測定することができる。
また、上記各実施形態では、測定対象ガスとして二酸化炭素を測定している。本発明における測定対象ガスは、固体電解質部材における起電力に基づいて濃度を測定可能なガスであればよく、本発明は例えば酸素センサ等にも応用できる。
また、上記各実施形態では、ガスセンサが平板状の固体電解質部材を備えている。固体電解質部材は平板状に限らず、他に様々な形状とすることができる。
また、上記各実施形態では、ガスセンサが2つの参照極を備えている。参照極は2つに限らず、3つ以上あってもよい。この場合、3つ以上の参照極のそれぞれにおける起電力の相違に基づいて固体電解質部材の温度を求めることができるので、該温度を更に精度よく求めることができる。
また、上記各実施形態では、検知極及び複数の参照極がそれぞれ固体電解質部材の同じ面上に設けられているが、検知極及び複数の参照極は互いに異なる面上に設けられても良い。また、複数の参照極のそれぞれについても、互いに異なる面上に設けられてもよい。
本発明によるガスセンサの第1実施形態の構成を示す概略図である。 図1に示すセンサ素子のI−I断面を示す断面図である。 複数の参照極のそれぞれと検知極との間の起電力の相違と、固体電解質部材の温度との相関を調べるために試作した装置の斜視図である。 各電極間のそれぞれにおけるインピーダンスの変化を示すグラフである。 第1実施形態のガスセンサの動作を示すフローチャートである。 第1実施形態によるガスセンサの変形例の構成を示す平面図である。 第2実施形態のガスセンサの構成を示す概略図である。 第2実施形態のガスセンサの動作を示すフローチャートである。 第3実施形態のガスセンサの構成を示す概略図である。 第3実施形態のガスセンサの動作を示すフローチャートである。 第4実施形態のガスセンサの構成を示す概略図である。 第4実施形態のガスセンサの動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1a〜1d…ガスセンサ、2a〜2c…センサ素子、3…固体電解質部材、4…検知極、5a〜5f…参照極、6…ヒータ、7a〜7c…スイッチ手段、8…アンプ、9a,9b…ガス濃度算出手段、10…ヒータ電源、11a〜11i…配線、17a〜17c…機械式スイッチ、19a,19b…ガス濃度測定手段、21a,21b…温度制御手段。

Claims (15)

  1. 固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、前記検知極との間の前記固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように前記固体電解質部材上に配置された複数の参照極との間の起電力を測定する起電力測定ステップと、
    前記複数の参照極のそれぞれにおける前記起電力の相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する、少なくとも1つの前記参照極における前記起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、前記測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出ステップと
    を備えることを特徴とする、ガス濃度測定方法。
  2. 固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、前記検知極との間の前記固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように前記固体電解質部材上に配置された複数の参照極との間の起電力を測定する起電力測定ステップと、
    前記複数の参照極のそれぞれにおける前記起電力の相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくように前記固体電解質部材への加熱量を制御する温度制御ステップと、
    前記複数の参照極のうち少なくとも1つの前記参照極と前記検知極との間の起電力を測定し、前記所定の温度に対応する、少なくとも1つの前記参照極における前記起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、前記測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度測定ステップと
    を備えることを特徴とする、ガス濃度測定方法。
  3. 前記参照極と前記検知極との距離が、前記複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス濃度測定方法。
  4. 前記参照極と前記固体電解質部材との接触面積が、前記複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス濃度測定方法。
  5. 固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、前記固体電解質部材上に配置された第1及び第2の参照極のうちいずれか一方との間の第1の起電力を測定し、前記第1及び第2の参照極を短絡した状態で前記第1及び第2の参照極と前記検知極との間の第2の起電力を測定する起電力測定ステップと、
    前記第1の起電力と前記第2の起電力との相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する前記第1または第2の起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて前記測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出ステップと
    を備えることを特徴とする、ガス濃度測定方法。
  6. 固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、前記固体電解質部材上に配置された第1及び第2の参照極のうちいずれか一方との間の第1の起電力を測定し、前記第1及び第2の参照極を短絡した状態で前記第1及び第2の参照極と前記検知極との間の第2の起電力を測定する起電力測定ステップと、
    前記第1の起電力と前記第2の起電力との相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくように前記固体電解質部材への加熱量を制御する温度制御ステップと、
    前記第1及び第2の参照極のうち少なくとも一方と前記検知極との間の第3の起電力を測定し、前記所定の温度に対応する前記第3の起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて前記測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度測定ステップと
    を備えることを特徴とする、ガス濃度測定方法。
  7. 前記起電力測定ステップの前に、前記固体電解質部材を加熱するステップを更に備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス濃度測定方法。
  8. 固体電解質部材と、
    前記固体電解質部材上に設けられ金属炭酸塩及び金属炭酸水素塩のうち少なくとも一方を含む検知極と、
    前記検知極との間の前記固体電解質部材におけるインピーダンスが互いに異なるように前記固体電解質部材上に配置された複数の参照極と
    を備えることを特徴とする、ガスセンサ。
  9. 前記参照極と前記検知極との距離が、前記複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴とする、請求項8に記載のガスセンサ。
  10. 前記参照極と前記固体電解質部材との接触面積が、前記複数の参照極のそれぞれにおいて互いに異なることを特徴とする、請求項8に記載のガスセンサ。
  11. 2つの端子間の通電状態を切り替えるスイッチ手段を複数備え、
    前記複数のスイッチ手段それぞれの一方の前記端子は前記複数の参照極のそれぞれに電気的に接続されており、前記複数のスイッチ手段の他方の前記端子は互いに短絡されていることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載のガスセンサ。
  12. 2つの入力端子間の電圧を増幅する増幅手段を更に備え、
    前記増幅手段の前記2つの入力端子のうちの一方は、前記複数のスイッチ手段それぞれの前記他方の端子と電気的に接続されており、
    前記増幅手段の前記2つの入力端子のうちの他方は、前記検知極と電気的に接続されていることを特徴とする、請求項11に記載のガスセンサ。
  13. 前記固体電解質部材を加熱するためのヒータを更に備えることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一項に記載のガスセンサ。
  14. 前記参照極のそれぞれと前記検知極との間の起電力の相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度が所定の温度に近づくように前記ヒータへの供給電力を制御する温度制御手段を更に備えることを特徴とする、請求項13に記載のガスセンサ。
  15. 前記参照極のそれぞれと前記検知極との間の起電力の相違に基づいて前記固体電解質部材の温度を求め、該温度に対応する、少なくとも1つの前記参照極における前記起電力と測定対象ガスの濃度との相関に基づいて、前記測定対象ガスの濃度を求めるガス濃度算出手段を更に備えることを特徴とする、請求項8〜13のいずれか一項に記載のガスセンサ。
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