このようなコージェネレーションシステムでは、熱電併給装置により発生する電力及び熱(温水のかたちで回収される)を所要の通りに消費するときには、熱電併給装置を効率良く運転することができ、従って、エネルギーの利用効率が高くなる。しかし、発生する電力及び熱の消費にアンバランスが生じると、熱電併給装置の運転効率が悪くなり、エネルギーの利用効率が低下する。
従来の熱電併給装置では、過去の運転実績、即ち過去負荷データに基づいて熱電併給装置の運転パターンを決定し、この運転パターンに基づいて熱電併給装置を運転制御している。このように過去の実績に基づいて制御することによって、運転日の負荷状態をある程度予測することができ、熱電併給装置をある程度効率よく運転制御することができる。
ところが、従来のコージェネレーションシステムでは、過去の負荷データを考慮して運転パターンが決定されるが、熱電併給装置の運転制御においてその消費エネルギーを充分に削減するための制御になっておらず、その運転制御の更なる改善が強く望まれており、またその制御も比較的簡単な演算でもって効率の良い制御の実現が望まれている。
本発明の目的は、比較的簡単な制御でもって、熱電併給装置の消費エネルギーを充分に削減することができるコージェネレーションシステムを提供することである。
本発明の請求項1に記載のコージェネレーションシステムは、電力と熱を発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置から発生する電力を商業電力供給ラインに系統連系するためのインバータと、前記熱電併給装置からの熱出力を回収して温水として貯えるための貯湯装置と、温水を生成するためのボイラ手段と、前記熱電併給装置を運転制御するための制御手段と、を備え、前記制御手段は設定時間範囲における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づいて前記熱電併給装置を運転制御するコージェネレーションシステムであって、
前記制御手段は、前記予測電力負荷をまかなうように前記熱電併給装置を運転制御する電主運転パターンを設定するための仮運転パターン設定手段と、前記仮運転パターンにより仮運転したときの前記熱電併給装置の予測熱出力を演算するための予測熱出力演算手段と、前記仮運転パターンにより前記熱電併給装置を仮運転したときの前記貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量を演算するための予測貯湯蓄熱量演算手段と、前記熱電併給装置の予測熱出力を増加修正する増加修正モードを設定するための増加修正モード設定手段と、を含み、前記予測貯湯蓄熱量演算手段により演算された前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において設定最低蓄熱量以下になると、前記増加修正モード設定手段は前記増加修正モードを設定することを特徴とする。
本発明の請求項2にコージェネレーションシステムでは、請求項1に記載の構成に加えて、前記制御手段は、貯湯熱量増加目標値を演算するための増加目標値演算手段と、前記仮運転パターンを修正するための仮運転パターン修正手段とを含み、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において前記設定最低蓄熱量以下になって前記増加修正モードが設定されると、前記増加目標値演算手段は前記予測貯湯蓄熱量演算手段により演算された前記予測貯湯蓄熱量及び前記予測熱負荷に基づいて、前記貯湯装置にて熱量の不足が発生する熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値を演算し、前記仮運転パターン修正手段は、前記熱不足時間帯より前の時間範囲において、前記熱電併給装置の前記予測熱出力が前記予測貯湯熱量増加目標値増加するように前記仮運転パターンを修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項2に記載の構成に加えて、前記制御手段は、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定最低蓄熱量以下になる前記熱不足時間帯を決定するための増加目標決定手段と、前記熱不足時間帯をピックアップするための増加目標ピックアップ手段とを更に備え、前記増加目標値演算手段は前記熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値を演算し、前記増加目標ピックアップ手段は前記設定時間範囲において発生する前記熱不足時間帯を時刻順に順次にピックアップし、前記仮運転パターン修正手段は、前記増加目標ピックアップ手段によりピックアップされた特定熱不足時間帯より前の時間範囲において前記熱電併給装置の前記予測熱出力が前記予測貯湯熱量増加目標値増加するように前記仮運転パターンを修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項に記載の構成に加えて、前記制御手段は、更に、前記熱不足時間帯のピックアップを禁止するための増加目標ピックアップ禁止手段を備えており、前記増加目標ピックアップ禁止手段は、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲内において設定最大蓄熱量以上になったときにそれ以降に発生する前記熱不足時間帯のピックアップを禁止することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、単位運転時間の熱電併給装置の前記仮運転パターンの発電出力に対する特定発電出力における予測エネルギー削減比率を演算するための予測エネルギー削減比率演算手段を備え、前記増加修正モードが設定されると、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項5に記載の構成に加えて、前記熱電併給装置の予測熱出力は前記熱不足時間帯までの放熱ロスを考慮した予測有効貯湯熱量であり、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記増加修正モードにおいては、前記仮運転パターンの発電出力をベース出力として、特定単位運転時間の前記予測エネルギー削減比率Ppを次式、
Pp=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所とボイラ手段を運転した時に対する熱 電併給装置を運転した時の予測エネルギー削減量)−(熱電併給装置のベース 出力時の発電所とボイラ手段を運転した時に対する熱電併給装置を運転した時 の予測エネルギー削減量)〕/〔(熱電併給装置の特定出力時の予測有効貯湯 熱量)−(熱電併給装置のベース出力時の予測有効貯湯熱量)〕
を用いて演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項5又は6に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、更に、前記予測エネルギー削減比率を正の値の範囲において大きい順にピックアップするための予測エネルギー削減比率選定手段と、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率による発電出力で仮運転したときに増加する予測増加貯湯熱量を積算するための予測増加貯湯熱量積算手段と、前記予測エネルギー削減比率を再演算する予測エネルギー削減比率再演算手段と、を含み、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量増加目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように前記仮運転パターンが更新され、前記予測エネルギー削減比率再演算手段は、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯について、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率の発電出力をベースにして、このベースとなる発電出力より大きい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項8に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項5に記載の構成に加えて、前記熱電併給装置の予測熱出力は前記熱不足時間帯までの放熱ロスを考慮した予測有効貯湯熱量であり、前記熱電併給装置の熱出力は前記貯湯装置に温水として貯えられるとともに、その一部が暖房装置に用いられるように構成されており、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記増加修正モードにおいては、前記仮運転パターンの発電出力をベース出力として、特定単位運転時間の前記予測エネルギー削減比率Ppを次式、
Pp=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所とボイラ手段を運転した時に対する熱 電併給装置を運転した時の予測エネルギー削減量)−(熱電併給装置のベース 出力時の発電所とボイラ手段を運転した時に対する熱電併給装置を運転した時 の予測エネルギー削減量)〕/{〔(熱電併給装置の特定出力時の予測有効貯 湯熱量)+(熱電併給装置の特定出力時の熱出力のうち暖房装置に用いられる 熱量)〕−〔(熱電併給装置のベース出力時の予測有効貯湯熱量)+(熱電併 給装置のベース出力時の熱出力のうち暖房装置に用いられる熱量)〕}
を用いて演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項9に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項5又は8に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、更に、前記予測エネルギー削減比率を正の値の範囲において大きい順にピックアップするための予測エネルギー削減比率選定手段と、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率による発電出力で仮運転したときに増加する予測増加貯湯熱量を積算するための予測増加貯湯熱量積算手段と、前記予測エネルギー削減比率を再演算する予測エネルギー削減比率再演算手段と、前記暖房装置の予測暖房熱負荷の負荷割合を変更設定するための予測暖房熱負荷割合変更手段とを含み、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量増加目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように前記仮運転パターンが更新され、前記予測エネルギー削減比率再演算手段は、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯について、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率の発電出力をベースにして、このベースとなる発電出力より大きい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量増加目標に達しないときには、前記予測暖房熱負荷割合変更手段は、前記暖房装置の前記予測暖房熱負荷割合を小さい値に設定変更し、設定変更された予測暖房熱負荷割合を用いて前記予測エネルギー削減比率演算手段は前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測エネルギー削減比率選定手段によるピックアップが再度行われることを特徴とする。
また、本発明の請求項10に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項9に記載の構成に加えて、前記予測暖房熱負荷割合変更手段は、前記予測暖房熱負荷割合を3段階に設定変更し、最初の前記予測エネルギー削減比率のピックアップにおいては前記予測暖房熱負荷割合を100%に設定し、次の前記予測エネルギー削減比率のピックアップにおいては前記予測暖房熱負荷割合を50%に設定し、最終の前記予測エネルギー削減比率のピックアップにおいては前記予測暖房熱負荷割合を0%に設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項11に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項8〜10のいずれかに記載の構成に加えて、前記予測貯湯蓄熱量演算手段は、前記貯湯装置に貯湯された温水の貯湯量及びその貯湯温度に基づいて前記予測貯湯蓄熱量を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項12に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項7又は9に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、更に、前記予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止するための削減比率ピックアップ禁止手段を含み、前記予測貯湯蓄熱量演算手段の前記予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になると、前記削減比率ピックアップ禁止手段は前記予測エネルギー削減比率選定手段によるそのピックアップを禁止し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上となる時間帯の後の時間帯範囲において、前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量増加目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように前記仮運転パターンが更新され、前記予測エネルギー削減比率再演算手段は、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯について、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率の発電出力をベースにして、このベースとなる発電出力より大きい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項13に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項7、9又は12に記載の構成に加えて、前記増加目標ピックアップ手段は前記設定時間範囲において発生する前記熱不足時間帯を時刻順に順次にピックアップし、第1番目の前記熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値に対しては、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記第1番目の熱不足時間帯より前の時間帯範囲において前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、このピックアップ毎に前記仮運転パターンが更新され、前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記第1番目の熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値に達するまで、前記予測エネルギー削減比率のピックアップ及び前記仮運転パターンの更新が繰り返し遂行され、前記予測貯湯熱量増加目標値に達したときの前記仮運転パターンが第1仮運転パターンとして修正され、また第2番目の前記熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値に対しては、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記第1仮運転パターンより大きい発電出力範囲について、前記第1仮運転パターンの発電出力をベースにして前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記第2番目の熱不足時間帯より前の時間帯範囲において前記予測増加貯湯熱量積算手段による積算値が前記第2番目の熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、このピックアップ毎に前記第1仮運転パターンが更新されて第2仮運転パターンとして修正され、このようにして前記設定時間範囲内のn番目までの全ての前記熱不足時間帯の前記予測貯湯熱量増加目標値に対する前記予測エネルギー削減比率のピックアップ及び前記仮運転パターンの更新が遂行され、全ピックアップが終了したときの第n仮運転パターンが前記仮運転修正パターンとして修正されることを特徴とする。
また、本発明の請求項14に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項5〜13のいずれかに記載の構成に加えて、前記制御手段は、更に、前記熱電併給装置を運転制御する際の基準値となる出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値を演算設定するためのしきい値演算設定手段を更に備え、前記しきい値演算設定手段は、現時点から第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲において、単位時間帯毎に前記仮運転パターンの発電出力に対する前記仮運転パターン修正手段により修正された仮運転修正パターンの発電出力における仮運転エネルギー削減比率を演算する仮運転エネルギー削減比率演算手段と、前記仮運転エネルギー削減比率演算手段により演算された仮運転エネルギー削減比率のうち最小値を出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値として設定するしきい値設定手段とを含んでいることを特徴とする。
また、本発明の請求項15に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項14に記載の構成に加えて、前記制御手段は前記熱電併給装置の運転モードを設定するための運転モード設定手段を更に含み、前記しきい値演算設定手段により前記しきい値が設定された場合、前記運転モード設定手段は、前記しきい値を用いて前記熱電併給装置を運転制御するしきい値運転モードを設定し、前記しきい値が設定されていない場合、前記運転モード設定手段は、現電力負荷をまかなうように前記熱電併給装置を運転制御する電主運転モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項16に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項15に記載の構成に加えて、現時点から第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲における全ての時間帯について、前記仮運転パターン設定手段により設定される前記仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力が前記仮運転パターン修正手段により修正設定された場合、前記しきい値演算設定手段は前記しきい値の設定を行い、前記運転モード設定手段は前記しきい値運転モードを設定し、また現時点から第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲における時間帯の少なくとも一つについて、前記予測エネルギー削減比率演算手段により演算された前記予測エネルギー削減比率が正の値を含むにもかかわらず前記仮運転パターンの発電出力が設定されている場合、前記しきい値演算設定手段は前記しきい値の設定を行わず、前記運転モード設定手段は前記電主運転モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項17に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項15又は16に記載の構成に加えて、前記制御手段は、現時点の現エネルギー削減比率を演算するための現エネルギー削減比率演算手段と、前記熱電併給装置の発電出力を設定するための発電出力設定手段とを更に含み、前記しきい値運転モードにおいては、前記現エネルギー削減比率演算手段は現電力負荷をまかなう前記熱電併給装置の現発電出力に対する特定発電出力における現エネルギー削減比率を演算し、前記発電出力設定手段は、前記しきい値を超える前記現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最大発電出力を前記熱電併給装置の発電出力として設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項18に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項1〜17のいずれかに記載の構成に加えて、前記増加修正モード設定手段により前記増加修正モードが設定された場合、前記予測熱負荷の演算において予測暖房熱負荷が発生すると予測した予測暖房熱負荷発生時間帯に対応する現在の稼働時間帯において暖房装置が作動すると、前記予測暖房熱負荷発生時間帯に対応する時間帯範囲において、前記熱電併給装置にて発生する熱が前記暖房装置の暖房熱として用いられることを特徴とする。
また、本発明の請求項19に記載のコージェネレーションシステムは、電力と熱を発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置から発生する電力を商業電力供給ラインに系統連系するためのインバータと、前記熱電併給装置からの熱出力を回収して温水として貯えるための貯湯装置と、温水を生成するためのボイラ手段と、前記熱電併給装置を運転制御するための制御手段と、を備え、前記制御手段は設定時間範囲における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づいて前記熱電併給装置を運転制御するコージェネレーションシステムであって、
前記制御手段は、前記予測電力負荷をまかなうように前記熱電併給装置を運転制御する電主運転パターンを設定するための仮運転パターン設定手段と、前記仮運転パターンにより仮運転したときの前記熱電併給装置の予測熱出力を演算するための予測熱出力演算手段と、前記仮運転パターンにより前記熱電併給装置を仮運転したときの前記貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量を演算するための予測貯湯蓄熱量演算手段と、前記熱電併給装置の予測熱出力を削減修正する削減修正モードを設定するための削減修正モード設定手段と、を含み、前記予測貯湯蓄熱量演算手段により演算された前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において設定最大蓄熱量以上になると、前記削減修正モード設定手段は前記削減修正モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項20に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項19に記載の構成に加えて、前記制御手段は、貯湯熱量削減目標値を演算するための削減目標値演算手段と、前記仮運転パターンを修正するための仮運転パターン修正手段と含み、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において前記設定最大蓄熱量以上になって前記削減修正モードが設定されると、前記削減目標値演算手段は前記予測貯湯蓄熱量演算手段により演算された前記予測貯湯蓄熱量及び前記予測熱負荷に基づいて、前記貯湯装置にて熱量の余剰が発生する熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値を演算し、前記仮運転パターン修正手段は、前記熱余剰時間帯より前の時間範囲において、前記熱電併給装置の前記予測熱出力が前記予測貯湯熱量削減目標値減少するように前記仮運転パターンを修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項21に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項20に記載の構成に加えて、前記制御手段は、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定最大蓄熱量以上になる前記熱余剰時間帯を決定するための削減目標決定手段と、前記熱余剰時間帯をピックアップするための削減目標ピックアップ手段とを更に備え、前記削減目標値演算手段は前記熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値を演算し、前記削減目標ピックアップ手段は前記設定時間範囲において発生する前記熱余剰時間帯を時刻順に順次にピックアップし、前記仮運転パターン修正手段は、前記削減目標ピックアップ手段によりピックアップされた特定熱余剰時間帯より前の時間範囲において前記熱電併給装置の前記予測熱出力が前記予測貯湯熱量削減目標値減少するように前記仮運転パターンを修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項22に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項21に記載の構成に加えて、前記制御手段は、更に、前記熱余剰時間帯のピックアップを禁止するための削減目標ピックアップ禁止手段を備えており、前記削減目標ピックアップ禁止手段は、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲内において設定最低蓄熱量以下になったときにそれ以降に発生する前記熱余剰時間帯のピックアップを禁止することを特徴とする。
また、本発明の請求項23に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項19〜22に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、単位運転時間の熱電併給装置の前記仮運転パターンの発電出力に対する特定発電出力における予測エネルギー削減比率を演算するための予測エネルギー削減比率演算手段を備え、前記削減修正モードが設定されると、前記予測エネルギー削減演算手段は、前記仮運転パターンの発電出力より小さい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項24に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項23に記載の構成に加えて、前記熱電併給装置の予測熱出力は前記熱余剰時間帯までの放熱ロスを考慮した予測有効ラジエター放熱量であり、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記削減修正モードにおいては、前記仮運転パターンの発電出力をベース出力として、特定単位運転時間の前記予測エネルギー削減比率Ppを次式、
Pp=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所を運転した時に対する熱電併給装置運 転した時の予測エネルギー削減量)−(熱電併給装置のベース出力時の発電所 を運転した時に対する熱電併給装置を運転した時の予測エネルギー削減量)〕 /〔(熱電併給装置の特定出力時の予測有効ラジエター放熱量)−(熱電併給 装置のベース出力時の予測有効ラジエター放熱量)〕
を用いて演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項25に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項23又は24に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、更に、前記予測エネルギー削減比率を負の値の範囲において絶対値の大きい順にピックアップするための予測エネルギー削減比率選定手段と、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率による発電出力で仮運転したときに減少する予測削減貯湯熱量を積算するための予測削減貯湯熱量積算手段と、前記予測エネルギー削減比率を再演算する予測エネルギー削減比率再演算手段と、を含み、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記予測削減貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量削減目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように前記仮運転パターンが更新され、前記予測エネルギー削減比率再演算手段は、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯について、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースにして、このベースとなる発電出力より小さい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項26に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項25に記載の構成に加えて、前記仮運転パターン修正手段は、更に、前記予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止するための削減比率ピックアップ禁止手段を含み、前記予測貯湯蓄熱量演算手段の前記予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になると、前記削減比率ピックアップ禁止手段は前記予測エネルギー削減比率選定手段によるそのピックアップを禁止し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記予測貯湯蓄熱量が前記設定最低蓄熱量以下となる時間帯の後の時間帯範囲において、前記予測削減貯湯熱量積算手段による積算値が前記予測貯湯熱量削減目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、ピックアップした前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように前記仮運転パターンが更新され、前記予測エネルギー削減比率再演算手段は、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯について、ピックアップされた前記予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースにして、このベースとなる予測発電出力より小さい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項27に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項25又は26に記載の構成に加えて、前記削減目標ピックアップ手段は前記設定時間範囲において発生する前記熱余剰時間帯を時刻順に順次にピックアップし、第1番目の前記熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値に対しては、前記予測エネルギー削減比率演算手段は、前記仮運転パターンの発電出力より小さい発電出力範囲について前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記第1番目の熱余剰時間帯より前の時間帯範囲において前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、このピックアップ毎に前記第1仮運転パターンが更新され、前記予測削減貯湯熱量積算手段による積算値が前記第1番目の熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値に達するまで、前記予測エネルギー削減比率のピックアップ及び前記仮運転パターンの更新が繰り返し遂行され、前記予測貯湯熱量削減目標値に達したときの前記仮運転パターンが第1仮運転パターンとして修正され、また第2番目の前記熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値に対しては、前記第1仮運転パターンより小さい発電出力範囲について、前記第1仮運転パターンの発電出力をベースにして前記予測エネルギー削減比率を演算し、前記予測エネルギー削減比率選定手段は、前記第2番目の熱余剰時間帯より前の時間帯範囲において前記予測削減貯湯熱量積算手段による積算値が前記第2番目の熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値に達するまで前記予測エネルギー削減比率をピックアップし、このピックアップ毎に前記第1仮運転パターンが更新されて第2仮運転パターンとして修正され、このようにして前記設定時間範囲内のn番目までの全ての前記熱余剰時間帯の前記予測貯湯熱量削減目標値に対する前記予測エネルギー削減比率のピックアップ及び前記仮運転パターンの更新が遂行され、全ピックアップが終了したときの第n仮運転パターンが前記仮運転修正パターンとして修正されることを特徴とする。
また、本発明の請求項28に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項23〜27のいずれかに記載の構成に加えて、前記制御手段は、更に、前記熱電併給装置を運転制御する際の基準値となる出力のためのエネルギー削減比率しきい値を演算設定するためのしきい値演算設定手段を更に備え、前記しきい値演算設定手段は、現時点から第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間範囲において、単位時間帯毎に前記仮運転パターンの発電出力に対する前記仮運転パターン修正手段により修正された仮運転修正パターンの発電出力における仮運転エネルギー削減比率を演算する仮運転エネルギー削減比率演算手段と、前記仮運転エネルギー削減比率演算手段により演算された仮運転エネルギー削減比率のうち絶対値の最小値を出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値として設定するしきい値設定手段とを含んでいることを特徴とする。
また、本発明の請求項請求項29に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項23に記載の構成に加えて、前記制御手段は前記熱電併給装置の運転モードを設定するための運転モード設定手段を更に含み、前記しきい値演算設定手段により前記しきい値が設定された場合、前記運転モード設定手段は、前記しきい値を用いて前記熱電併給装置を運転制御するしきい値運転モードを設定し、前記しきい値が設定されていない場合、前記運転モード設定手段は、現電力負荷をまかなうように前記熱電併給装置を運転制御する電主運転モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項30に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項29に記載の構成に加えて、現時点から第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間帯範囲における全ての時間帯について、前記仮運転パターン設定手段により設定される前記仮運転パターンの発電出力よりも小さい発電出力が前記仮運転パターン修正手段により修正設定された場合、前記しきい値演算設定手段は前記しきい値の設定を行い、前記運転モード設定手段は前記しきい値運転モードを設定し、また現時点から第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間帯範囲における時間帯の少なくとも一つについて、前記予測エネルギー削減比率演算手段により演算された前記予測エネルギー削減比率が負の値を含むにもかかわらず前記仮運転パターンの発電出力が設定されている場合、前記しきい値演算設定手段は前記しきい値の設定を行わず、前記運転モード設定手段は前記電主運転モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項31に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項29又は30に記載の構成に加えて、前記制御手段は、現時点の現エネルギー削減比率を演算するための現エネルギー削減比率演算手段と、前記熱電併給装置の発電出力を設定するための発電出力設定手段とを更に含み、前記しきい値運転モードにおいては、前記現エネルギー削減比率演算手段は現電力負荷をまかなう前記熱電併給装置の現発電出力に対する特定発電出力における現エネルギー削減比率を演算し、前記発電出力設定手段は、前記しきい値を超える絶対値の前記現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最小発電出力を前記熱電併給装置の発電出力として設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項32に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項19〜31のいずれかに記載の構成に加えて、前記削減修正モード設定手段により前記削減修正モードが設定された場合、現在の稼働時間帯において暖房装置が作動すると、前記熱電併給装置にて発生する熱が前記暖房装置の暖房熱として用いられることを特徴とする。
また、本発明の請求項33に記載のコージェネレーションシステムは、電力と熱を発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置から発生する電力を商業電力供給ラインに系統連系するためのインバータと、前記熱電併給装置からの熱出力を回収して温水として貯えるための貯湯装置と、温水を生成するためのボイラ手段と、前記熱電併給装置を運転制御するための制御手段と、を備え、前記制御手段は設定時間範囲における予測電力負荷及び予測熱負荷に基づいて前記熱電併給装置を運転制御するコージェネレーションシステムであって、
前記制御手段は、前記予測電力負荷をまかなうように前記熱電併給装置を運転制御する電主運転パターンを設定するための仮運転パターン設定手段と、前記仮運転パターンにより仮運転したときの前記熱電併給装置の予測熱出力を演算するための予測熱出力演算手段と、前記仮運転パターンにより前記熱電併給装置を仮運転したときの前記貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量を演算するための予測貯湯蓄熱量演算手段と、前記熱電併給装置の予測熱出力を修正する修正モードを設定するための修正モード設定手段と、を含み、前記修正モード設定手段は、前記予測貯湯蓄熱量演算手段により演算された前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において設定最低蓄熱量以下になると前記熱電併給装置の予測熱出力を増加修正する増加修正モードを設定し、また前記予測貯湯蓄熱量が前記設定時間範囲において設定最大蓄熱量以上になると前記熱電併給装置の予測熱出力を削減修正する削減修正モードを設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項34に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項1、19又は33に記載の構成に加えて、前記貯湯装置に関連して、前記貯湯装置内の温水がなくなったことを検知する温水空検知センサが設けられており、前記貯湯装置による給湯中に前記温水空検知センサが空検知を行うと、前記制御手段はボイラ作動信号を生成し、このボイラ作動信号に基づいて前記ボイラ手段が作動されることを特徴とする。
また、本発明の請求項35に記載のコージェネレーションシステムでは、請求項1,19又は33に記載の構成に加えて、前記熱電併給装置と前記貯湯装置とが循環流路を介して接続され、前記貯湯装置の底部から流出した水は前記循環流路及び前記熱電併給装置を通して前記貯湯装置の上部に流入し、前記貯湯装置においては温水が上側に、水が下側となるように層状に貯湯され、前記貯湯装置の上部から給湯流路が延びており、また前記循環流路の一部をバイパスしてバイパス流路が設けられ、このバイパス流路に熱交換器を介して暖房用流路が設けられ、前記暖房用循環流路に暖房装置が設けられており、前記ボイラ手段は、前記給湯流路に配設され、前記給湯流路を通して流れる水を温めるた第1ボイラ手段と、前記暖房用流路に配設され、前記暖房用流路を通して流れる水を温める第2ボイラ手段とから構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測電力負荷をまかなうように電主運転パターンの仮運転パターンが設定され、この仮運転パターンにより熱電併給装置を仮運転したときの貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量が演算される。そして、この予測貯湯蓄熱量が設定時間範囲において設定最低蓄熱量以下になると、増加修正モード設定手段は増加修正モードを設定し、熱電併給装置の予測熱出力が増加修正されるようになる。従って、熱電併給装置の熱の発生量が多くなり、貯湯装置におけるお湯不足の発生を抑えることができる。尚、設定最低蓄熱量とは、例えば貯湯装置の温水の貯湯量がなくなるときの熱量であり、この場合、設定時間範囲において貯湯装置の温水不足が発生すると判定されたときに、増加修正モードが設定される。また、このようにコージェネレーションシステムを制御することによって、その制御が簡単になるととともに、電力負荷をまかないながら温水不足の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項2に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になって増加修正モードが設定されると、予測貯湯蓄熱量及び予測熱負荷に基づいて、熱不足、即ち温水不足が発生する熱不足時間帯の予測不足熱量が演算され、この予測不足熱量が温水不足を解消するための増加熱量としての予測貯湯熱量増加目標値となる。そして、熱不足時間帯よりも前の時間帯範囲において、熱電併給装置の予測熱出力が予測貯湯熱量増加目標値増加するように仮運転パターンが修正されるので、熱不足時間帯の予測不足熱量が補われるようになり、温水不足の発生をほぼ解消することができる。
また、本発明の請求項3に記載のコージェネレーションシステムによれば、設定時間範囲において熱不足が発生する熱不足時間帯及びその予測貯湯熱量増加目標値が演算され、この設定時間範囲において発生する熱不足時間帯が時刻順にピックアップされる。そして、ピックアップされた熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値について、熱電併給装置の予測熱出力がその熱不足時間帯より前において予測貯湯熱量増加目標値増加するように仮運転パターンが修正されるので、仮運転パターンを温水不足が生じないようにように容易に修正することができる。また、設定時間範囲に生じる複数の熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値についても、時刻順に一つずつピックアップして仮運転パターンを順次に修正するので、熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値が複数発生しても、温水不足が生じないように仮運転パターンの修正を容易に行うことができる。
また、本発明の請求項4に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になるとそれ以降に発生する熱不足時間帯のピックアップが禁止されるので、熱不足を補う際に予測貯湯蓄熱量が過剰となるのを防止することができ、これによってラジエター放熱の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項5に記載のコージェネレーションシステムによれば、仮運転パターンの発電出力に対する特定発電出力における予測エネルギー削減比率が演算されるので、この予測エネルギー削減比率を用いることによって、省エネルギーを維持しながら予測貯湯熱量を増加させることができる。また、この予測エネルギー削減比率の演算は、仮運転パターンの発電出力より大きい範囲について行われるので、比較的簡単に且つ効率よく予測エネルギー削減比率を演算することができる。
また、本発明の請求項6に記載のコージェネレーションシステムによれば、増加修正モードにおいては、温水を発生するボイラ手段の予測エネルギーを考慮した予測エネルギー削減比率が所要の通りに演算されるので、この予測エネルギー削減比率は熱電併給装置及びボイラ手段の稼働を考慮したものとなり、このような予測エネルギー削減比率を用いて制御することによって、温水不足がほとんど生じない省エネルギー制御を比較的簡単に行うことが可能となる。
また、本発明の請求項7に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測エネルギー削減比率はその正の値の範囲において大きい順にピックアップされるので、そのピックアップはより省エネルギーが達成される順となり、このようにピックアップすることにより、より効率的な省エネルギー制御が可能となる。また、この予測エネルギー削減比率のピックアップは予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで行われるので、この運転条件の修正によって熱不足を補い、温水不足の発生を抑えることができる。更に、ピックアップした予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯については、この予測エネルギー削減比率に対応する発電出力となるように仮運転パターンが修正され、またピックアップされた予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースに、このベースの発電出力より大きい範囲について予測エネルギー削減比率が再演算されるので、より実情に沿って予測エネルギー削減比率を演算することができる。
また、本発明の請求項8に記載のコージェネレーションシステムによれば、増加修正モードにおいては、温水を発生するボイラ手段の予測エネルギー及び暖房装置で用いる熱量を考慮した予測エネルギー削減比率が所要の通りに演算されるので、暖房装置(例えば、床暖房装置、浴室暖房乾燥機)を備えたコージェネレーションシステムに好都合に適用することができ、その予測エネルギー削減比率は熱電併給装置、ボイラ手段及び暖房装置の稼働を考慮したものとなり、このような予測エネルギー削減比率を用いて制御することによって、温水不足がほとんど生じない省エネルギー制御を比較的簡単に行うことが可能となる。
また、本発明の請求項9に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測エネルギー削減比率はその正の値の範囲において大きい順にピックアップされるので、より効率的な省エネルギー制御が可能となり、またこの予測エネルギー削減比率のピックアップは予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで行われるので、この運転条件の修正によって熱不足を補い、温水不足の発生を抑えることができる。また、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯増加目標値に達しないときには、暖房装置の予測暖房熱負荷割合を小さい値に設定変更して予測エネルギー削減比率を再演算してそのピックアップが行われ、このように暖房装置の予測暖房熱負荷割合を変更することによって、暖房装置の熱利用を考慮しながら温水不足の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項10に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測暖房負荷割合が100%、50%及び0%の三段階に順に変更されるので、温水不足の発生を抑えながら熱電併給装置にて発生する熱をより有効に暖房装置に用いるように運転することが可能となる。
また、本発明の請求項11に記載のコージェネレーションシステムによれば、貯湯装置の温水の貯湯量及び貯湯温度に基づいて予測貯湯蓄熱量が演算されるので、この予測貯湯蓄熱量をより正確に演算することができる。
また、本発明の請求項12に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測エネルギー削減比率のピックアップによって予測貯湯熱蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になると、その予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止し、設定最大蓄熱量以上となった時間帯の後の時間帯範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまでそのピックアップが行われる。設定最大蓄熱量とは、例えば貯湯装置の温水の貯湯量が満杯になるときの熱量であり、設定最大蓄熱量以上になった段階でその予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止することによって、貯湯装置に温水が余剰に貯まるのを防止することができ、また設定最大蓄熱量以上になった時間帯の後の時間帯範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで継続して予測エネルギー削減比率のピックアップ及び仮運転パターンの更新が行われるので、過剰な温水の発生を防止しながら温水不足の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項13に記載のコージェネレーションシステムによれば、第1番目の熱不足時間帯に対しては、その時間帯より前の時間帯範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が第1番目の熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われて第1仮運転パターンとして修正され、また第2番目の熱不足時間帯に対しては、予測増加貯湯熱量の積算値が第2番目の熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われて第2仮運転パターンとして修正され、このように発生する熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値毎に演算するので、比較的簡単に且つ容易に複数の熱不足時間帯の予測貯湯熱量増加目標値に対応することができる。そして、設定時間範囲内の全ての予測貯湯熱量増加目標値に対するピックアップが終了したときに、その仮運転パターンが仮運転修正パターンとして設定される。また、第2番目の熱不足時間帯に対しては、第1仮運転パターンより大きい発電出力範囲について、第1仮運転パターンの発電出力をベースにして予測エネルギー削減比率が演算されるので、第2番目に発生する熱不足については、第1番目に発生する熱不足をも考慮して予測エネルギー削減比率の演算が行われ、より実情に沿って熱不足を補うようにすることができる。
また、本発明の請求項14に記載のコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の運転制御の基準となる出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値を用いるので、熱電併給装置を比較的簡単な制御でもって省エネルギー運転することができる。また、このエネルギー削減比率しきい値の設定は、第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲における各時間帯について、仮運転パターンの発電出力に対する仮運転修正パターンの発電出力における仮運転エネルギー削減比率を演算し、演算した仮運転エネルギー削減比率のうち最小値を出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値として設定するので、より実情に沿って省エネルギー制御を行うことができる。
また、本発明の請求項15に記載のコージェネレーションシステムによれば、しきい値が設定された場合、このしきい値を用いて熱電併給装置を運転制御するしきい値運転モードによる運転が行われ、しきい値が設定されない場合、現時点の電力負荷をまかなうように熱電併給装置を運転制御する電主運転モードによる運転が行われ、このように運転制御することによって、熱不足の発生を抑えながら熱電併給装置を比較的簡単な制御でもって省エネルギー運転することができる。
また、本発明の請求項16に記載のコージェネレーションシステムによれば、現時点から第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲における全ての時間帯について、仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力が修正設定された場合、熱不足、換言すると温水不足が発生するとして熱電併給装置の予測熱出力が増加修正されており、このような場合には、しきい値を用いたしきい値運転モードが設定され、省エネルギーの運転制御を行いながら温水不足の発生を抑えることができる。また、現時点から第1番目の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲における時間帯の少なくとも一つにおいて、予測エネルギー削減比率が正の値を含むにもかかわらず仮運転パターンの発電出力が設定されている場合には、熱電併給装置の予測熱出力の増加修正が必要ないとしてしきい値運転モードが許可されず、電主運転モードが設定される。
また、本発明の請求項17に記載のコージェネレーションシステムによれば、しきい値運転モードにおいては、現電力負荷をまかなう電熱併給装置の現発電出力に対する特定発電出力における現エネルギー削減比率が演算され、エネルギー削減比率しきい値を超える現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最大発電出力が熱電併給装置の発電出力として設定されるので、熱電併給装置を省エネルギーで運転制御しながら充分な温水を生成することができる。
また、本発明の請求項18に記載のコージェネレーションシステムによれば、増加修正モードが設定された場合、熱電併給装置から発生する熱を暖房装置に多く使用すると、貯湯タンクの温水不足が発生するおそれがあるので、予測暖房熱負荷発生時間帯に対応する現在の稼働時間帯において暖房装置が作動されると、この予測暖房熱負荷発生時間帯に対応する時間帯範囲において、熱電併給装置にて発生する熱が暖房装置の暖房熱として用いられ、このように熱利用することによって、温水不足の発生を少なくすることができる。
また、本発明の請求項19に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測電力負荷をまかなうように電主運転パターンの仮運転パターンが設定され、この仮運転パターンにより熱電併給装置を仮運転したときの貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量が演算される。そして、この予測貯湯蓄熱量が設定時間範囲において設定最大蓄熱量以上になると、削減修正モード設定手段は削減修正モードを設定し、熱電併給装置の予測熱出力が削減修正されるようになる。従って、熱電併給装置の熱の発生量が少なくなり、貯湯装置におけるお湯の余剰発生を抑えることができる。尚、設定最大蓄熱量とは、例えば貯湯装置の温水の貯湯量が満杯になるときの熱量であり、この場合、設定時間範囲において貯湯装置の温水余剰が発生すると判定されたときに、削減修正モードが設定される。また、このようにコージェネレーションシステムを制御することによって、その制御が簡単になるととともに、電力負荷をまかないながら温水余剰の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項20に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になって削減修正モードが設定されると、予測貯湯蓄熱量及び予測熱負荷に基づいて、熱余剰、即ち温水過剰が発生する熱余剰時間帯の予測余剰熱量が演算され、この予測余剰熱量が温水余剰を解消するための削減熱量としての予測貯湯熱量削減目標値となる。そして、熱余剰時間帯よりも前の時間帯範囲において、熱電併給装置の予測熱出力が予測貯湯熱量削減目標値減少するように仮運転パターンが修正されるので、熱余剰時間帯の予測余剰熱量が削減されるようになり、温水余剰による熱の無駄な発生をほぼ解消することができる。
また、本発明の請求項21に記載のコージェネレーションシステムによれば、設定時間範囲において熱余剰が発生する熱余剰時間帯及びその予測貯湯熱量削減目標値が演算され、この設定時間範囲において発生する熱余剰時間帯が時刻順にピックアップされる。そして、ピックアップされた熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値について、熱電併給装置の予測熱出力がその熱余剰時間帯より前において予測貯湯熱量削減目標値減少するように仮運転パターンが修正されるので、仮運転パターンを温水過剰が生じないようにように容易に修正することができる。また、設定時間範囲に生じる複数の熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値についても、時刻順に一つずつピックアップして仮運転パターンを順次に修正するので、熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値が複数発生しても、温水余剰が生じないように仮運転パターンの修正を容易に行うことができる。
また、本発明の請求項22に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になるとそれ以降に発生する熱余剰時間帯のピックアップを禁止するので、熱余剰を解消する際に予測貯湯蓄熱量が過少となるのを防止することができ、これによって湯切れの発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項23に記載のコージェネレーションシステムによれば、仮運転パターンの発電出力に対する特定発電出力における予測エネルギー削減比率が演算されるので、この予測エネルギー削減比率を用いることによって、省エネルギーを維持しながら予測貯湯熱量を削減させることができる。また、この予測エネルギー削減比率の演算は、仮運転パターンの発電出力より小さい範囲について行われるので、比較的簡単に且つ効率よく予測エネルギー削減比率を演算することができる。
また、本発明の請求項24に記載のコージェネレーションシステムによれば、削減修正モードにおいては、ボイラ手段の稼働を考慮する必要がなく、このボイラ手段を考慮しない予測エネルギー削減比率が所要の通りに演算されるので、この予測エネルギー削減比率は熱電併給装置の稼働を考慮したものとなり、このような予測エネルギー削減比率を用いて制御することによって、温水余剰がほとんど生じない省エネルギー制御を比較的簡単に行うことが可能となる。また、暖房装置を備えたコージェネレーションシステムにおいても、削減修正モードにおいてはこの暖房装置を考慮する必要がなく、暖房装置及びボイラ手段を考慮しない予測エネルギー削減比率が所要の通りに演算される。
また、本発明の請求項25に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測エネルギー削減比率はその負の値の範囲において絶対値の大きい順にピックアップされるので、そのピックアップはより省エネルギーが達成される順となり、このようにピックアップすることにより、より効率的な省エネルギー制御が可能となる。また、この予測エネルギー削減比率のピックアップは予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで行われるので、この運転条件の修正によって熱余剰を補い、温水過剰の発生を抑えることができる。更に、ピックアップした予測エネルギー削減比率を含む特定時間帯については、この予測削減比率に対応する発電出力となるように仮運転パターンが修正され、またピックアップされた予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースに、このベースの発電出力より小さい範囲について予測エネルギー削減比率が再演算されるので、より実情に沿って予測エネルギー削減比率を演算することができる。
また、本発明の請求項26に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測エネルギー削減比率のピックアップによって予測貯湯熱蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になると、その予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止し、設定最低蓄熱量以下になった時間帯の後の時間帯範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまでそのピックアップが行われる。設定最低蓄熱量とは、例えば貯湯装置の温水の貯湯量がなくなるときの熱量であり、設定最低蓄熱量以下になった段階でその予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止することによって、貯湯装置における熱不足(温水不足)の発生を防止することができ、設定最低蓄熱量以下になった時間帯の後の時間帯範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで継続して予測エネルギー削減比率のピックアップ及び仮運転パターンの更新が行われるので、温水不足の発生を防止しながら温水余剰の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項27に記載のコージェネレーションシステムによれば、第1番目の熱余剰時間帯に対しては、その時間帯より前の時間帯範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が第1番目の熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われて第1仮運転パターンとして修正され、また第2番目の熱余剰時間帯に対しては、予測削減貯湯熱量の積算値が第2番目の熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われて第2仮運転パターンとして修正され、このように発生する熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値毎に演算するので、比較的簡単に且つ容易に複数の熱余剰時間帯の予測貯湯熱量削減目標値に対応することができる。そして、設定時間範囲内の全ての予測貯湯熱量削減目標値に対するピックアップが終了したときに、その仮運転パターンが仮運転修正パターンとして設定される。また、第2番目の熱余剰時間帯に対しては、第1仮運転パターンより小さい発電出力範囲について、第1仮運転パターンの発電出力をベースにして予測エネルギー削減比率が演算されるので、第2番目に発生する熱余剰については、第1番目に発生する熱余剰をも考慮して予測エネルギー削減比率の演算が行われ、より実情に沿って熱余剰の発生をなくすようにすることができる。
また、本発明の請求項28に記載のコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の運転制御の基準となる出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値を用いるので、熱電併給装置を比較的簡単な制御でもって省エネルギー運転することができる。また、このエネルギー削減比率しきい値の設定は、第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間帯範囲における各時間帯について、仮運転パターンの発電出力に対する仮運転修正パターンの発電出力における仮運転エネルギー削減比率を演算し、演算した仮運転エネルギー削減比率のうち絶対値の最小値を出力低下のためのしきい値として設定するので、より実情に沿って省エネルギー制御を行うことができる。
また、本発明の請求項29に記載のコージェネレーションシステムによれば、しきい値が設定された場合、このしきい値を用いて熱電併給装置を運転制御するしきい値運転モードによる運転が行われ、しきい値が設定されない場合、現時点の電力負荷をまかなうように熱電併給装置を運転制御する電主運転モードによる運転が行われ、このように運転制御することによって、熱余剰の発生を抑えながら熱電併給装置を比較的簡単な制御でもって省エネルギー運転することができる。
また、本発明の請求項30に記載のコージェネレーションシステムによれば、現時点から第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間帯範囲における全ての時間帯について、仮運転パターンの発電出力よりも小さい発電出力が修正設定された場合、熱余剰、換言すると温水過剰が発生するとして熱電併給装置の予測熱出力が削減修正されており、このような場合には、しきい値を用いたしきい値運転モードが設定され、省エネルギーの運転制御を行いながら温水余剰の発生を抑えることができる。また、現時点から第1番目の熱余剰時間帯の前までの時間帯範囲における時間帯の少なくとも一つにおいて、予測エネルギー削減比率が負の値を含むにもかかわらず仮運転パターンの発電出力が設定されている場合には、熱電併給装置の予測熱出力の削減修正が必要ないとしてしきい値運転モードが許可されず、電主運転モードが設定される。
また、本発明の請求項31に記載のコージェネレーションシステムによれば、しきい値運転モードにおいては、現電力負荷をまかなう電熱併給装置の現発電出力に対する特定発電出力における現エネルギー削減比率が演算され、エネルギー削減比率しきい値を超える絶対値の現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最小発電出力が熱電併給装置の発電出力として設定されるので、熱電併給装置を省エネルギーで運転制御しながら余分な放熱を回避することができる。
また、本発明の請求項32に記載のコージェネレーションシステムによれば、削減修正モードが設定された場合、熱電併給装置から発生する熱の使用が少ないと、この熱が無駄に放熱されるようになるので、現在の稼動時間において暖房装置が作動すると、熱電併給装置にて発生する熱が暖房装置の暖房熱として用いられ、このように熱を利用することによって、放熱の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項33に記載のコージェネレーションシステムによれば、予測電力負荷をまかなうように電主運転パターンの仮運転パターンが設定され、この仮運転パターンにより熱電併給装置を仮運転したときの貯湯装置に蓄熱される予測貯湯蓄熱量が演算される。そして、この予測貯湯蓄熱量が設定時間範囲において設定最低蓄熱量以下になると、増加修正モードが設定されて熱電併給装置の予測熱出力が増加修正される。また、予測貯湯蓄熱量が設定時間範囲にいて設定最大蓄熱量以上になると、削減修正モードが設定されて熱電併給装置の予測熱出力が削減修正される。従って、貯湯装置の蓄熱量が少なくなると、熱電併給装置の熱の発生量が多くなるように修正され、貯湯装置におけるお湯不足の発生を抑えることができ、また貯湯装置の蓄熱量が多くなると、熱電併給装置の熱の発生量が少なくなるように修正され、貯湯装置におけるお湯余剰の発生を抑えることができる。
また、本発明の請求項34に記載のコージェネレーションシステムによれば、貯湯装置に温水空検知センサが設けられ、この温水空検知センサが空検知を行うと、ボイラ手段が作動して温水を生成するので、ボイラ手段の稼働制御を簡単にし、温水不足時にボイラ手段から温水を供給することができる。
更に、本発明の請求項35に記載のコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置と貯湯装置とが循環流路を介して接続され、この循環流路の一部をバイパスするバイパス流路に熱交換器を介して暖房用流路が設けられ、給湯装置から延びる給湯流路に第1ボイラ手段が配設され、暖房用流路に第2ボイラ手段が設けられているので、比較的簡単な構成でもって、熱電併給装置にて発生した熱を暖房装置に利用することができるとともに、貯湯装置に温水として貯えられる貯湯蓄熱量を比較的簡単に且つほぼ正確に演算することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うコージェネレーションシステムの一実施形態について説明する。図1は、一実施形態のコージェネレーションシステムを簡略的に示すシステムブロック図であり、図2は、図1のコージェネレーションシステムの制御系の一部を簡略的に示すブロック図であり、図3は、図2の制御系における増加側修正手段を具体的に示すブロック図であり、図4は、図2の制御系における削減側修正手段を具体的に示すブロック図である。
図1において、図示のコージェネレーションシステムは、電力と熱とを発生する熱電併給装置2と、熱電併給装置2にて発生した熱を回収して温水として貯える貯湯装置4とを備えている。図示の熱電併給装置2は燃料電池6から構成され、燃料電池6で発生する排熱が貯湯装置4で温水として貯えられる。この熱電併給装置2は、燃料電池6に代えて、内燃機関(例えばガスエンジン)とこの内燃機関により駆動される発電装置との組合せ、又は外燃機関と発電装置との組合せなどでもよい。
燃料電池6の出力側には系統連系用のインバータ10が設けられ、このインバータ10は、燃料電池6の出力電力を商業系統12から供給される電力と同じ電圧及び同じ周波数にする。商用系統12は、例えば単相3線式100/200Vであり、商業用電力供給ライン14を介して電力負荷16、例えばテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの各種電気機器に電気的に接続される。インバータ10は、コージェネ用供給ライン18を介して電力供給ライン14に電気的に接続され、燃料電池6からの発電電力がインバータ10及びコージェネ用供給ライン18を介して電力負荷16に供給される。
電力供給ライン14には電力負荷計測手段20が設けられ、この電力負荷計測手段20は、商用系統12からの買電力と、図示しない発電電力を計測する手段及び電気加熱ヒータ52(後述する)での消費電力を計測する手段において各々計算された各電力とから電力負荷16の負荷電力を計測する。この電力負荷計測手段20は、また、電力供給ライン14を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かを検知し、この実施形態では、逆潮流が生じないように、燃料電池6からインバータ10を介して電力供給ライン14に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、後述するように回収熱として貯湯装置4に貯えられる。
図示の貯湯装置4は、温水を貯える貯湯タンク22と、貯湯タンク22の水(乃至温水)を循環する貯湯循環流路24とを含んでいる。貯湯タンク22の底部と貯湯循環流路24とは流出流路26を介して接続され、また貯湯タンク22の上部と貯湯循環流路24とは流入流路28を介して接続され、この流入流路28に第1開閉弁30が配設されている。また、貯湯循環流路24の所定部位には第2開閉弁32が配設されているとともに、水(乃至温水)を循環させるための第1循環ポンプ34が配設されている。このように構成されているので、第1開閉弁30が開状態で、第2開閉弁32が閉状態のときには、貯湯タンク22の水は流出流路26、貯湯循環流路24及び流入流路28を通して循環される。また、第1開閉弁30が閉状態で、第2開閉弁32が開状態のときには、貯湯循環流路24内の水(乃至温水)がこの貯湯循環流路24を通して循環される。
貯湯タンク22には、水(例えば水道水)を供給するための水供給流路36が設けられ、この水供給流路36の一端側が貯湯タンク22の底部に接続され、その他端側が水道管の如き水供給源(図示せず)に接続されている。従って、水供給流路36から供給される水は、貯湯タンク22の底部に層状に貯まるようになる。
貯湯タンク22には、更に、温水を出湯するための温水出湯流路40が接続され、この温水出湯流路40の一端側が貯湯タンク22の上部に接続され、その他端側に、1又は2個以上のカラン(図示せず)が接続されており、カランを開栓すると、貯湯タンク22内の温水が温水出湯流路40を通して出湯する。この温水出湯流路40には出湯する温水の流量を検知する流量センサ41と、この温水の温度を検知する温度センサ43が配設され、流量センサ41及び温度センサ43の検知流量及び検知温度を利用して後述する給湯熱負荷が演算される。
貯湯タンク22内には、また、水乃至温水の温度を検知するための温水検知手段44が設けられている。図示の温水検知手段44は複数(例えば5個)の温度センサ45から構成され、これら温度センサ45が貯湯タンク22内に上下方向に間隔をおいて配設されている。最上位の温度センサを45aとし、最下位の温度センサを45bとすると、最上位の温度センサ45aは、貯湯タンク22内の温水なしを検知し、また最下位の温度センサ45bは、貯湯タンク22内の温水満杯を検知する。
この実施形態では、温水出湯流路40にボイラ手段42が設けられている。都市ガスの如き燃料用ガス又は重油の如き燃焼用油が供給されてボイラ手段42にて燃焼され、この燃焼熱により温水出湯流路40を通して流れる水(乃至温水)が加熱される。温水検知手段44の温度センサ45aは温水空検知センサとして機能し、この温度センサ45aが温水空検知を行うと、後に説明する制御手段がボイラ作動信号を生成し、このボイラ作動信号に基づいてボイラ手段42が作動される。
また、熱電併給装置2は、燃料電池6からの冷却水を循環する冷却水循環流路46を含み、この冷却水循環流路46に第2循環ポンプ48が配設され、第2循環ポンプ48の作用によって、冷却水が冷却水循環流路46を通して循環される。この冷却水循環流路46と貯湯循環流路24との間には熱交換器50が配設され、この熱交換器50は、冷却水循環流路46を流れる冷却水と貯湯循環流路24を流れる水(乃至温水)との間で熱交換を行う。冷却水循環流路46には、熱交換器50をバイパスして放熱流路51が接続され、この放熱流路51に、冷却水の熱を大気中に放熱するためのラジエター53が設けられている。また、冷却水循環流路46には第3開閉弁55が配設され、放熱流路51には第4開閉弁57が配設されている。第3開閉弁55が開状態で、第4開閉弁57が閉状態のときには、燃料電池6からの冷却水は熱交換器50を通して循環され、燃料電池6の排熱が冷却水循環流路46を流れる冷却水及び貯湯循環流路24を流れる温水を介して貯湯タンク22に温水として貯えられ、このように貯えられる温水は貯湯タンク22の上部に層状に貯えられる。また、第3開閉弁55が閉状態で、第4開閉弁57が開状態のときのは、燃料電池6からの冷却水が放熱流路51及びラジエター53を通して流れ、燃料電池6の排熱がラジエター53から大気に放熱される。
この実施形態では、燃料電池6の発電電力の余剰電力を熱でもって回収するためのヒータ手段52が設けられている。ヒータ手段52は電気ヒータ54から構成され、電気ヒータ54が冷却水循環流路46に配設され、電気ヒータ54が作動スイッチ56を介して燃料電池6の出力側に接続されている。作動スイッチ56が閉状態(ON)になると、燃料電池6の発電電力の一部が電気ヒータ54に供給され、電気ヒータ54にて発生する熱でもって、冷却水循環流路46を流れる冷却水が加熱される。このヒータ手段52においては、余剰電力が大きい(又は小さい)ときには、電気ヒータ54の消費電力が大きく(又は小さく)なって発熱量が大きく(又は小さく)なるなるように構成されている。尚、ヒータ手段52は、冷却水循環流路46に代えて、貯湯装置4の貯湯タンク22又は貯湯循環流路24に配設するようにしてもよい。
貯湯装置4の貯湯循環流路24には、温水循環流路24を通して流れる温水を暖房に用いるための暖房装置58が熱交換器64を介して接続される。暖房装置58は、例えば床暖房装置、浴室暖房乾燥機などであり、暖房装置58の暖房循環流路62と貯湯循環流路24との間に暖房用熱交換器64が設けられる。暖房用熱交換器64は、貯湯循環流路24を流れる温水と暖房循環流路62を流れる温水との間で熱交換を行い、貯湯循環流路24を流れる温水の熱を利用して暖房装置58が加熱される。
上述したコージェネレーションシステムは、制御手段70によって作動制御される。図2〜図4を参照して、制御手段70は、例えばマイクロコンピュータから構成され、予測電力負荷演算手段72、予測熱負荷演算手段74、仮運転パターン設定手段76、予測熱出力演算手段78、予測貯湯蓄熱量演算手段80、修正モード設定手段82、増加側修正手段84、削減側修正手段86及びしきい値演算設定手段88を備えている。予測電力負荷演算手段72は、過去の電力負荷16の使用による消費電力データに基づいて将来の予測電力負荷を演算し、この予測電力負荷を演算する際には、例えば電力負荷計測手段20の電力負荷計測データが用いられる。予測熱負荷演算手段74は過去の温水の使用などによる消費熱量データに基づいて将来の予測熱負荷を演算する。この熱負荷には、給湯により温水を使用する給湯熱負荷と、暖房装置58により温水の熱を消費する暖房熱負荷とがある。尚、予測給湯負荷を演算する際には、例えば温水出湯流路40の流量センサ41の流量データ及び温度センサ43の温度データが用いられ、また予測暖房負荷を演算する際には、例えば暖房装置58の稼働データが用いられる。
また、仮運転パターン設定手段76は、予測電力負荷をまかなうように仮運転パターンを設定し、予測熱出力演算手段78は予測運転パターンに従って燃料電池6を仮運転したときに発生する予測熱出力、換言すると貯湯タンク22に貯えられる予測貯湯熱量を演算する。この予測熱出力は、貯湯タンク22に貯湯された際の放熱ロスを考慮したもの(この放熱ロスは予測給湯熱負荷に基づき、貯湯タンク22に貯湯される時間を勘案して演算され、貯湯熱量を増加するときにはこの放熱ロスを考慮した所謂予測有効貯湯熱量、貯湯熱量を削減するときにはこの放熱ロスを考慮した所謂予測有効ラジエター放熱量)であるのが好ましく、この放熱ロスは、貯湯タンク22に貯湯された時間が長くなるほど大きくなり、従って、この予測熱出力は、貯湯される時間が長くなるほど小さくなる。予測貯湯蓄熱量演算手段80は、貯湯タンク22に温水として貯えられる予測熱量、即ち予測貯湯蓄熱量を演算する。
更に、修正モード設定手段82は、仮運転パターン設定手段76により設定された仮運転パターンを修正するかを判定し、後述したようにして増加修正する必要があると判定すると増加修正モードを設定し、また後述するようにして削減修正する必要があると判定すると削減修正モードを設定する。増加側修正手段84は、増加修正モードが設定された場合に仮運転パターンを後述するように増加修正し、削減側修正手段86は、削減修正モードが設定された場合に仮運転パターンを後述するように削減修正し、またしきい値演算設定手段88は仮運転エネルギー削減比率演算手段90及びしきい値設定手段92を含み、仮運転エネルギー削減比率演算手段90は後述するようにして仮運転エネルギー削減比率を演算し、しきい値設定手段92はこの仮運転エネルギー削減比率に基づいてしきい値を設定する。
制御手段70は、更に、運転モード設定手段94、現エネルギー削減比率演算手段96、発電出力設定手段98、作動制御手段100及びメモリ手段102を含んでいる。運転モード設定手段94は、後述する所定の条件を満足する場合にしきい値運転モードを設定し、このしきい値運転モードが許可されない場合に電主運転モードを設定する。また、現エネルギー削減比率演算手段96は、しきい値運転モードの場合に後述する如くして現エネルギー削減比率を演算し、発電出力設定手段98は後述する如くして発電出力を演算する。また、作動制御手段100は、後述する如くしてコージェネレーションシステム、即ち燃料電池6、インバータ10、ヒータ手段52及びボイラ手段42などを作動制御する。尚、メモリ手段102には各種情報、例えば電力負荷計測手段20の電力負荷データ、流量センサ42の流量データ、温度センサ43の温度データ、予測電力負荷、予測熱負荷、仮運転パターン、予測熱出力、予測貯湯蓄熱量、現エネルギー削減比率、発電出力などが記憶される。
次に、図3を参照して、仮運転パターンを増加修正する増加側修正手段84について説明すると、図示の増加側修正手段84は、増加目標決定手段104、増加目標値演算手段106、増加目標ピックアップ手段108、増加目標ピックアップ禁止手段110及び仮運転パターン修正手段112を備え、仮運転パターン修正手段112は、予測エネルギー削減比率演算手段114、予測増加貯湯熱量演算手段115、予測エネルギー削減比率選定手段116、予測増加貯湯熱量積算手段118、予測エネルギー削減比率再演算手段120及び削減比率ピックアップ禁止手段122を含んでいる。増加目標決定手段104は後述するようにして増加修正の対象となる増加目標を決定し、増加目標値演算手段106は貯湯タンク22に温水として貯える貯湯熱量の増加目標値を演算し、増加目標ピックアップ手段108は増加目標決定手段104により決定された増加目標を時刻順に順次にピックアップし、増加目標ピックアップ禁止手段110は、上述した増加目標のピックアップを強制的に禁止する。
また、仮運転パターン修正手段112は、仮設定された仮運転パターンを後述するように増加修正し、この増加修正の際に、予測エネルギー削減比率演算手段114は後述するようにしてエネルギー削減比率を演算し、予測増加貯湯熱量演算手段115は後述するようにして予測増加貯湯熱量を演算し、エネルギー削減比率選定手段116は、予測増加貯湯熱量が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで演算したエネルギー削減比率を所要の通りに選定し、予測増加貯湯熱量積算手段118は、選定したエネルギー削減比率に対応する発電出力で稼働したときの予測増加貯湯熱量を積算する。また、予測エネルギー削減比率再演算手段120は、選定したエネルギー削減比率を含む時間帯についてエネルギー削減比率を後述するように再演算し、また削減比率ピックアップ禁止手段122は後述したときに予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止する。
次いで、図4を参照して、仮運転パターンを削減修正する削減側修正手段86について説明すると、図示の削減側修正手段86は、削減目標決定手段124、削減目標値演算手段126、削減目標ピックアップ手段128、削減目標ピックアップ禁止手段130及び仮運転パターン修正手段132を備え、仮運転パターン修正手段132は、予測エネルギー削減比率演算手段134、予測削減貯湯熱量演算手段135、予測エネルギー削減比率選定手段136、予測削減貯湯熱量積算手段138、予測エネルギー削減比率再演算手段140及び削減比率ピックアップ禁止手段142を含んでいる。削減目標決定手段124は後述するようにして削減修正の対象となる削減目標を決定し、削減目標値演算手段126は貯湯タンク22に温水として貯える貯湯熱量の削減目標値を演算し、削減目標ピックアップ手段128は削減目標決定手段124により決定された削減目標を時刻順に順次にピックアップし、削減目標ピックアップ禁止手段130は、上述した削減目標のピックアップを強制的に禁止する。
また、仮運転パターン修正手段132は、仮設定された仮運転パターンを後述するように削減修正し、この削減修正の際に、予測エネルギー削減比率演算手段134は後述するようにしてエネルギー削減比率を演算し、予測削減貯湯熱量演算手段135は後述するようにして予測削減貯湯熱量を演算し、エネルギー削減比率選定手段136は、予測削減貯湯熱量が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで演算したエネルギー削減比率を所要の通りに選定し、予測削減貯湯熱量積算手段138は、選定したエネルギー削減比率に対応する発電出力で稼働したときの予測削減貯湯熱量を積算する。また、予測エネルギー削減比率再演算手段140は、選定したエネルギー削減比率を含む時間帯についてエネルギー削減比率を後述するように再演算し、また削減比率ピックアップ禁止手段142は後述したときに予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止する。
次に、上述した制御手段70によるコージェネレーションシステムの制御について説明する。図5は、コージェネレーションシステムの制御の概要を示すフローチャートであり、図6は、ラジエター53の放熱量及びボイラ手段42の給湯熱量を説明するための図であり、図7は、図6のラジエター53の放熱量及びボイラ手段42の給湯熱量を求めるための演算を示す図である。
図1及び図2とともに図5〜図7を参照して、このコージェネレーションシステムの制御では、現時刻からの所定設定時間範囲、この実施形態では24時間における予測電力負荷の演算が行われる(ステップS1)とともに、この所定設定時間範囲における予測熱負荷の演算が行われる(ステップS2)。予測電力負荷の演算は、過去の電力負荷データに基づいて予測電力負荷演算手段72が所要の通りに演算し、この予測電力負荷は、例えば図6(a)に示す通りとなる。また、予測熱負荷の演算は、過去の熱負荷(給湯熱負荷及び暖房熱負荷)データに基づいて予測熱負荷演算手段74が所要の通りに演算する。この実施形態では、説明を簡単にするために、暖房装置58を使用していない場合、即ち予測熱負荷として予測給湯熱負荷のみが発生する場合を考え、予測熱負荷演算手段74は過去の給湯熱負荷データに基づいて予測給湯熱負荷を演算し、この予測給湯熱負荷は、例えば図6(b)に示す通りとなる。尚、実施形態では、予測電力負荷及び予測熱負荷を演算する所定設定時間範囲を24時間としているが、例えば6時間、12時間、16時間などの適宜の時間に設定することができる。また、この実施形態では、予測電力負荷及び予測熱負荷を演算する時間帯を1時間とし、1時間単位で予測電力負荷及び予測熱負荷を演算しているが、例えば0.5時間単位、0.25時間単位などの適宜の時間単位に設定することができる。
次に、予測電力負荷をまかなうように仮運転パターンが設定される(ステップS3)。この仮運転パターンの設定は、仮運転パターン設定手段76により行われ、燃料電池6の発電出力の最小出力が300Wであるとし、予測電力負荷が図6(a)に示す通りであるとすると、運転パターンは、例えば図6(a)にステップ状に示す通りとなる。例えば、現時刻が例えば午後0時であり、午後0時〜午後1時、午後1時〜午後2時、午後2時〜午後3時・・・までの1時間の予測電力負荷が200W、230W、500W・・・であるとすると、設定される仮運転パターンは、午後0時〜午後1時の時間帯は300W、午後1時〜午後2時の時間帯は300W、午後2時〜午後3時の時間帯は500W・・・と所定設定時間範囲についての仮運転パターンが設定される。
このように仮運転パターンが設定されると、燃料電池6の予測熱出力が演算される。この予測熱出力は予測熱出力演算手段78により行われ、燃料電池6の発電電力の全てが電力負荷16で消費される場合、この燃料電池6の排熱の熱量が予測熱出力となり、また燃料電池6の発電電力の一部が電力負荷16で消費され、その残部がヒータ手段52で冷却水の加熱に消費される場合、この燃料電池6の排熱の熱量及び発電電力の余剰電力でもってヒータ手段52で発生する加熱熱量が予測熱出力となり、この予測熱出力が貯湯装置4の貯湯タンク22に貯えられる予測貯湯熱量となる。燃料電池6の予測熱出力は、貯湯タンク22に貯えられる時間の間に生じる放熱ロスを考慮したものであるのが好ましく、放熱ロスを考慮した予測熱出力は、予測有功貯湯熱量となる。
その後、貯湯タンク22に温水として貯えられる予測貯湯蓄熱量が演算される(ステップS5)。この予測貯湯蓄熱量の演算は予測貯湯蓄熱量演算手段80により行われ、予測貯湯蓄熱量演算手段80は、現時刻の貯湯タンク22の現蓄熱量に各時間帯の燃料電池6の予測熱出力を加算することによって、対応する時間帯の予測貯湯蓄熱量を演算し、この予測貯湯蓄熱量は、例えば図6(c)に示す通りとなる。尚、現時刻の貯湯タンク22の現蓄熱量は、例えば温水検知手段44によって検知される温水温度及び温水量に基づいて演算することができる。
このように予測貯湯蓄熱量が演算されると、予測貯湯蓄熱量を削減するための削減目標が決定されたかが判断される(ステップS6)。即ち、図6(d)に示すように、貯湯タンク22の現蓄熱量、燃料電池6を仮運転パターンに従って運転させたときに発生する予測熱出力及び予測給湯熱負荷に基づいて、設定時間範囲において予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量、例えば貯湯タンク22が所定温度(例えば80℃)の温水で満杯になる貯湯蓄熱量以上になるが判定され、設定最大蓄熱量以上になる場合、ステップS6からステップS7に進み、修正モード設定手段82は削減修正モードを設定する。貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になるということは、貯湯タンク22にて燃料電池6の排熱などの蓄熱がこれ以上できないということであり、かかる場合、燃料電池6の冷却水は放熱流路51を流れ、ラジエター53にて冷却水の大気への放熱が行われ、燃料電池6の排熱が無駄に大気中に放熱されるようになり、このような無駄な放熱を抑えるように削減修正モードが設定され、仮運転パターンの削減修正が後述するように行われる(ステップS8)。
また、ステップS6からステップS9に進むと、予測貯湯蓄熱量を増加するための増加目標が決定されたかが判断される。即ち、図6(d)に示すように、貯湯タンク22の現蓄熱量、燃料電池6を仮運転パターンに従って運転させたときに発生する予測熱出力、予測給湯熱負荷及び放熱ロスに基づいて、設定時間範囲において予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量、例えば貯湯タンク22内の温水がなくなる貯湯蓄熱量以下になるが判定され、設定最低蓄熱量以下になる場合、ステップS9からステップS10に進み、修正モード設定手段82は増加修正モードを設定する。貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になるということは、貯湯タンク22内の所定温度(例えば、80℃)の温水を消費して温水が残っていないということであり、かかる場合、ボイラ手段42が稼働して温水が生成され、ボイラ手段42にて生成された温水が温水出湯流路40を通して供給され、ボイラ手段42にて燃料が消費されるようになり、このようなボイラ手段42の無駄な稼働を抑えるように増加修正モードが設定され、仮運転パターンの増加修正が後述するように行われる(ステップS11)。
また、上記削減目標及び上記増加目標のいずれもが決定されない場合、ステップS6からステップS9を経てステップS12に進む。この場合、運転モード設定手段94は電主運転モードを設定し、作動制御手段100は、後述するように現電力負荷をまかなうようにコージェネレーションシステムを運転制御する。
図6及び図7を参照して、例えば、予測電力負荷が図6(a)及び図7の予測電力負荷欄に示す通りで、予測給湯熱負荷が図6(b)及び図7の予測給湯熱負荷欄に示す通りであり、このときの電主制御の仮運転パターンによる燃料電池6の予測発電出力は図7の予測発電出力欄に示す通りで、この仮運転パターンによる稼働時に生じる予測熱出力は図7の予測熱出力欄に示す通りであり、このときの予測貯湯蓄熱量が図6(c)及び図7の予測貯湯蓄熱量欄に示す通りであるとすると、図6(d)及び図7のラジエター53の予測放熱量欄に示す通り、午後2時〜午後3時の時間帯において400kcalの放熱が生じ、午後3時〜午後4時の時間帯において1400kcalの放熱が生じるようになり、また図6(d)及び図7のボイラ手段42の予測給湯熱量欄に示す通り、午後5時〜午後6時の時間帯において3300kcalの温水不足が発生してボイラ手段42により給湯されるようになる。
削減修正モードが設定されて仮運転パターンの削減側修正が行われると、所定時間帯範囲が最小出力かが判断され(ステップS13)、所定時間帯範囲の各時間帯の発電出力が最小出力である場合に、ステップS14に進み、燃料電池6は最小発電出力で運転される。また、所定時間帯範囲の各時間帯の発電出力が最小発電出力でない場合、ステップS13からステップS15に進み、所定の条件を満たしてしきい値による運転が許可されたかが判断され、その運転が許可されると、エネルギー削減比率しきい値の演算設定が行われ(ステップS16)、運転モード設定手段94はしきい値運転モードを設定し、作動制御手段100は、後述する如くして設定されるエネルギー削減比率しきい値を用いてコージェネレーションシステムを運転制御する(ステップS17)。一方、しきい値による運転が許可されない場合、ステップS15からステップS12に移り、運転モード設定手段94は電主運転モードを設定し、上述したように、現電力負荷をまかなうようにコージェネレーションシステムが運転制御される。
また、増加修正モードが設定されて仮運転パターンの増加側修正が行われると、所定時間帯範囲が最大出力かが判断され(ステップS18)、所定時間帯範囲の各時間帯の発電出力が最大出力である場合に、ステップS19に進み、燃料電池6は最大発電出力で運転される。また、所定時間帯範囲の各時間帯の発電出力が最大発電出力でない場合、ステップS18からステップS20に進み、所定の条件を満たしてしきい値による運転が許可されたかが判断され、その運転が許可されると、エネルギー削減比率しきい値の演算設定が行われ(ステップS21)、運転モード設定手段94はしきい値運転モードを設定し、作動制御手段100は、後述する如くして設定されるエネルギー削減比率しきい値を用いてコージェネレーションシステムを運転制御する(ステップS22)。一方、しきい値による運転が許可されない場合、ステップS20からステップS12に移り、運転モード設定手段94は電主運転モードを設定し、上述したように現電力負荷をまかなうように運転制御される。エネルギー削減比率しきい値の演算設定、しきい値運転モードによる運転などについては、後に詳述する。
次に、ボイラ手段42による給湯を抑えるために行われる仮運転パターンの増加側修正について説明する。図8は、仮運転パターンの増加側修正の流れを示すフローチャートであり、図9は、予測エネルギー削減比率の第1番目のピックアップを説明するための図であり、図10は、予測エネルギー削減比率の第2番目のピックアップを説明するための図であり、図11は、第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対する最後のピックアップを説明するための図であり、図12は、第2番目の熱不足時間帯が存在する場合の第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対する増加修正を説明するための図であり、図13は、第2番目の熱不足時間帯が存在する場合の第2番目の熱不足に対する第1番目のピックアップを説明するための図であり、図14は、第2番目の熱不足に対する最後のピックアップを説明するための図であり、図15は、第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対する増加修正中に設定最大蓄熱量以上になったときの予測エネルギー削減比率のピックアップを説明するための図であり、図16は、図15におけるピックアップにおいて設定最大蓄熱量以上になった後の第1番目のピックアップを説明するための図である。
主として図3及び図8〜図14を参照して、仮運転パターンの増加側修正を行う場合、まず、熱不足時間帯の選定が行われる(ステップS11−1)。この熱不足時間帯の選定は、増加目標ピックアップ手段108によって行われ、増加目標ピックアップ手段108は現時点からの時刻順に順次に選定し、例えば、図9に示すように、例えば、現時刻が午後0時とし、午後3時から午後4時の時間帯(図10の時間帯「4」)において第1番目の熱不足(即ち、温水不足)が3000kcal発生するとすると、この時間帯「4」が決定される。尚、図9〜図16を参照しての説明では、理解を容易にするために、図7の内容とは異なるものになっている。
第1番目の熱不足時間帯(時間帯「4」)が選定されると、この熱不足時間帯における予測貯湯熱量増加目標値が増加目標値演算手段106により演算される(ステップS11−2)。この予測貯湯熱量増加目標値は、熱不足(温水不足)が生じないように、換言するとこの熱不足時間帯においてボイラ手段42が稼働することがないように予測貯湯熱量増加目標値が演算され、この熱不足時間帯における熱不足量が予測貯湯熱量増加目標値として演算される。
次に、第1番目の熱不足時間帯(時間帯「4」)より前の時間帯範囲、即ち午後0時〜午3時までの各時間帯について予測エネルギー削減比率の演算が行われる(ステップS11−3)。この予測エネルギー削減比率の演算は予測エネルギー削減比率演算手段114によって行われ、この場合、増加側修正であるので、予測貯湯熱量、好ましくは予測有効貯湯熱量を用いて設定された仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率が演算される。この実施形態では、燃料電池6の最小発電出力が300Wで、その最大発電出力が1000Wで、この予測エネルギー削減比率の演算が燃料電池6の100W刻みで行われるように構成されている。従って、仮運転パターンの発電出力が例えば300W(又は例えば700W)である場合、予測エネルギー削減比率は燃料電池6の発電出力400W、500W、600W、700W、800W、900W及び1000W(又は800W、900W及び1000W)について行われる。
予測エネルギー削減比率Pは、熱不足時間帯(例えば時間帯「4」)までの放熱ロスを考慮すると、
P=〔(発電所と加熱ボイラを運転させたときの予測消費エネルギー量E1)−(熱 電併給装置を運転したときの予測消費エネルギー量E2)〕/特定予測有効貯湯 熱量 ・・・(1)
であり、ここで、予測消費エネルギー量E1,E2は、それぞれ、特定の単位運転時間について考えると、
E1=(特定予測電力負荷/発電所の発電効率)+(特定予測有効貯湯熱量/ボイ ラ手段の給湯効率)+(特定予測暖房熱負荷/ボイラ手段の暖房効率)
・・・(2)
E2=(熱電併給装置の特定予測消費エネルギー量)+(特定予測買電量/発電所 の発電効率)+〔(特定予測暖房熱負荷)−(熱電併給装置の排熱のうち暖 房に用いられる熱量)〕/ボイラ手段の暖房効率 ・・・(3)
となり、熱電併給装置2を稼働させた場合と稼働させない場合を考えると、稼働させない場合が発電所とボイラ手段を運転したときとなる。
この実施形態では、燃料電池6は、予測エネルギー削減比率を演算する際に、その発電出力が100W刻みになるように構成されており、このようなことから、予測エネルギー削減比率演算手段114は、次式(4)を用いて仮運転パターンの発電出力をベース出力として、熱電併給装置2(この形態では、燃料電池6)のベース出力(この形態では、燃料電池6が仮運転パターンの発電出力で仮運転されるとしているので、このベース出力は仮運転パターンの発電出力となる)時に対する特定発電出力時の予測エネルギー削減比率を演算する。この場合における予測エネルギー削減比率Ppは、
Pp=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所とボイラ手段を運転したときに対す る熱電併給装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)−(熱電併給装 置のベース出力時の発電所とボイラ手段を運転させたときに対する熱電併給 装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)〕/〔(熱電併給装置の特 定出力時の予測有効貯湯熱量)−(熱電併給装置のベース出力時の予測有効 貯湯熱量)〕 ・・・(4)
となる。
燃料電池6の最大出力が例えば1000Wで、一例として、仮運転パターンの発電出力が300Wである場合、発電出力が300Wから400W、500W、600W、700W、800W、900W及び1000Wにそれぞれ増加するときの予測エネルギー削減比率が演算され、特定出力が例えば400Wとすると、このときの予測エネルギー削減比率Ppは、
Pp=〔(400W出力時の発電所とボイラ手段を運転したときに対する熱電併給装 置を運転させたときの予測エネルギー削減量)−(300W出力時の発電所と ボイラ手段を運転させたときに対する熱電併給装置を運転させたときの予測エ ネルギー削減量)〕/〔(400W出力時の予測有効貯湯熱量)−(300W 出力時の予測有効貯湯熱量)〕 ・・・(5)
となる。
このように演算されたエネルギー削減比率は、例えば図9(a)に示す通りとなる。図9(a)において、燃料電池6の発電出力欄で「−」で示されている出力が仮運転パターンによる発電出力、即ちベース出力であり、増加側修正の場合には、この仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲についての予測エネルギー削減比率が用いられる。
次に、予測エネルギー削減比率の演算に関連して、予測増加貯湯熱量の演算が行われる(ステップS11−4)。予測増加貯湯熱量演算手段115は、設定された仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力範囲について、仮運転パターンの発電出力にて発生する予測熱出力よりも増加する増加熱量、即ち予測増加貯湯熱量を演算する。この予測増加貯湯熱量は、例えば図9(b)の燃料電池6の予測増加熱出力の欄に示す通りとなり、この図9(b)においても、燃料電池6の予測増加熱出力の欄で「−」で示されている発電出力が仮運転パターンによる発電出力、即ちベース出力である。
このように予測エネルギー削減比率及び予測増加貯湯熱量が演算されると、次に、予測エネルギー削減比率のピックアップが予測エネルギー削減比率選定手段116によって行われる(ステップS11−5)。このピックアップは、熱不足が発生しないようにするための増加側修正であるので、第1番目の熱不足時間帯の前の時間帯範囲、即ち予測エネルギー削減比率及び予測増加貯湯熱量を演算した時間帯範囲(この場合、時間帯「1」〜「3」の範囲)であって、仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲について行われ、図9(a)で示すように、予測エネルギー削減比率選定手段116は、正の値の範囲において最も大きい値、この場合、午後0時〜午後1時の時間帯(時間帯「1」)の燃料電池6の発電出力600Wに対応する予測エネルギー削減比率「1.8」を選定し、このように選定された予測エネルギー削減比率に対応する発電出力がこの時間帯「1」の発電出力となるように仮運転パターンが修正、更新される。
このようにピックアップすると、燃料電池6の発電出力が300Wから600Wに上昇することにより、それに伴ってその予測熱出力も増加するので、予測貯湯蓄熱量演算手段80は出力上昇に伴う貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量を演算する(ステップS11−6)。そして、この演算した予測貯湯蓄熱量が所定最大蓄熱量以上になったかが判断され、所定最大蓄熱量より小さいと、ステップS11−7からステップS11−8に進み、予測増加貯湯熱量積算手段118は、更新前の仮運転パターンの熱出力から増加した予測増加貯湯熱量を積算する。第1回目のピックアップのときには、時間帯「1」において燃料電池6の発電出力が300Wから600Wに上昇し、このときの予測増加貯湯熱量が613kcalであるので、このときの積算値は、図9(b)から理解されるように、613kcalとなる。
次いで、予測増加貯湯熱量積算手段118が予測増加貯湯熱量を積算し(ステップS11−8)、この積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達したかが判断され(ステップS11−9)、この予測貯湯熱量増加目標値に達しない場合、ステップS11−9からステップS11−10に進み、予測エネルギー削減比率の再演算が行われる。このときの再演算は、予測エネルギー削減比率をピックアップした時間帯(時間帯「1」)について行われ、ピックアップした予測エネルギー削減比率に対応する発電出力(換言すると、更新された仮運転パターンの発電出力であって、この場合600W)をベースにし、この発電出力(600W)時に対する特定発電出力時の予測エネルギー削減比率を演算することによって行われ、ピックアップされた予測エネルギー削減比率に対応する発電出力より大きい発電出力範囲について(この場合、700W、800W、900W、1000W)行われ、その再演算は、例えば図10(a)の時間帯「1」の欄に示す通りとなる。
そして、再演算の後に、ステップS11−5に戻り、予測エネルギー削減比率のピックアップが再度行われ、図10(a)で示すように、予測エネルギー削減比率選定手段116は、残りのエネルギー削減比率のうち正の範囲において最も大きい値、この場合、午後0時〜午後1時の時間帯(時間帯「1」)の燃料電池6の発電出力800Wに対応する予測エネルギー削減比率「1.65」を選定する。その後、ステップS11−6からステップS11−9が遂行され、予測貯湯蓄熱量が所定最大蓄熱量以上であるかが判断され、また予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達したかが判断され、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまでステップS11−5からステップS11−10が繰り返し遂行され、予測エネルギー削減比率の再演算及び予測エネルギー削減比率のピックアップが行われる。
このようにして時間帯「1」の予測エネルギー削減比率「1.8」(600W)、時間帯「1」の予測エネルギー削減比率「1.65」(800W)・・・時間帯3の予測エネルギー削減比率「1.3」(800W)を順次にピックアップすると、図11に示すように、予測増加貯湯熱量の積算値、即ち電主制御からの上昇分の積算貯湯熱量が、予測貯湯熱量増加目標値の3000kcalに達し、第1番目の熱不足に対する増加修正が終了し、ステップS11−8からステップS11−11に進む。尚、この実施形態では、予測エネルギー削減比率のピックアップを行った後に、ピックアップした時間帯について予測エネルギー削減比率を再演しているが、この再演算を行うことなく、予測エネルギー削減比率演算手段114により演算した予測エネルギー削減比率を正の範囲において大きい順にピックアップするようにしてもよい。
ステップS11−11においては、設定時間範囲(現時刻から24時間)に熱不足時間帯が存在するかが判断され、次の熱不足時間帯が存在する場合、増加目標ピックアップ手段110は、現時点からの時刻順に第2番目の熱不足時間帯をピックアップし、ステップS11−1に戻って、第2番目の熱不足時間帯の熱不足に対しての増加修正が行われる。
図12(a)に示すように、例えば午後3時〜午後4時の時間帯(時間帯「4」)に第1番目の熱不足が存在し、例えば午後6時〜午後7時の時間帯(時間帯「6」)に第2番目の熱不足が存在する場合、まず、第1番目の熱不足に対する増加修正が行われ、この熱不足の予測貯湯熱量増加目標値が3000kcalであると、上述したように、第1番目の熱不足の時間帯よりも前の時間帯範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、予測エネルギー削減比率選定手段116は、予測エネルギー削減比率を大きい順に順次にピックアップし、図12(a)及び(b)に示すようにピックアップされた燃料電池2の所定設定時間の修正出力が、第1番目の熱不足に対する第1仮運転パターンとしてメモリ手段102に登録される。
次に、図13(a)及び(b)に示すように、第2番目の熱不足に対する増加修正が行われ、この熱不足の予測貯湯熱量増加目標値が1000kcalであると、第2番目の熱不足時間帯(時間帯「6」)よりも前の時間帯範囲、即ち時間帯「1」〜時間帯「5」の範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われる。このとき、第1番目の熱不足に対応するために増加側に修正された第1仮運転パターンが仮設定されているので、この修正された第1仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力よりも大きい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率及び予測増加貯湯熱量の演算が行われ、このようにして演算された予測削減比率及び予測増加貯湯熱量は、例えば図13(a)及び(b)に示す通りとなる。
このように演算された後に、上述したように、第2番目の熱不足の時間帯よりも前の時間帯範囲において、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、このピックアップは正の値の範囲において大きい順に行われる。このとき、第2番目の熱不足の予測貯湯熱量増加目標値が例えば1000kcalであるので、予測エネルギー削減比率選定手段116は、図13(a)に示すように、予測エネルギー削減比率「1.1」(時間帯「1」の900W)をピックアップし、その後上述したと同様に予測エネルギー削減比率の再演算とそのピックアップが行われ、図14(a),(b)に示すまで行われ、このようにピックアップされた燃料電池2の修正出力が、第1及び第2番目の熱不足に対する第2仮運転パターンとしてメモリ手段102に登録される。この第2番目の熱不足に対しても、予測エネルギー削減比率をピックアップすると、そのピックアップした時間帯においては、ピックアップした予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースにして、この発電出力より大きい発電範囲についてエネルギー削減比率が再演算される。尚、第3番目以降の熱不足に対しても、第2番目(第3番目・・・)の熱不足までの第2(第3・・・)仮運転パターンをベースにして、上述した第2番目の熱不足と同様にして、第3番目(第4番目・・・)の熱不足に対する増加修正が行われる。
このようにして設定時間範囲に存在する熱不足の全て、例えばn番目の熱不足に対して仮運転パターンの増加修正が行われ、n番目までの全熱不足に対する増加修正が行われると、ステップS11−11からステップS11−14に進み、増加修正された第n仮運転パターンが仮運転修正パターンとしてメモリ手段102に登録される。尚、次の熱不足時間帯の前に、例えば第2番目と第3番目の熱不足時間帯の間に、貯湯タンク22の貯湯蓄熱量が過剰となる熱余剰時間帯が存在すると、この熱余剰時間帯においては燃料電池6の排熱の大気放熱が行われる故に、この熱余剰時間帯の前の時間帯における仮運転パターンの増加修正は無駄となるおそれがある。このようなことから、増加目標ピックアップ禁止手段110は、熱余剰時間帯の後に発生する熱不足に対するピックアップを禁止し(ステップS11−13)、熱余剰時間帯より後に発生する熱不足に対する仮運転パターンの修正は行われず、熱余剰時間帯の前に発生する熱不足に対する仮運転パターンの増加修正が仮運転修正パターンとして登録される(ステップS11−14)。
この実施形態では、予測エネルギー削減比率をピックアップしたときに、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達したかを判断するととともに、予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になったかを判断し、設定最大蓄熱量以上になったときには、ステップS11−7からステップS11−15及びステップS11−16を経てステップS11−5に移るように構成されている。図15及び図16(図15及び図16は、ピックアップの禁止を説明するためのものであり、上述した図9〜図14と内容が異なっている)を参照して、例えば午後6時〜午後7時の時間帯(時間帯「7」)に第1番目の熱不足が存在し、この熱不足の予測貯湯熱量増加目標値が5000kcalであるとすると、この時間帯「7」の前の時間帯範囲において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力よりも大きい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率及び予測増加貯湯熱量の演算が行われる。
この場合においても、第1番目の熱不足時間帯の前の時間帯範囲、即ち時間帯「1」から時間帯「6」の範囲において予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、このピックアップは、予測エネルギー削減比率の正の値の範囲において大きい順に行われ、かくピックアップする毎に、上述したように、予測貯湯蓄熱量が所定最大蓄熱量以上になったかが判断され(ステップS11−7)、また予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達したかが判断される(ステップS11−9)。
上述したようにして予測エネルギー削減比率をピックアップし、例えば図15(a)に示す予測エネルギー削減比率「1.6」(時間帯「2」の900W)をピックアップすると、図15(b)から理解される如く、時間帯「2」における貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量、例えば10000kcalを超えるようになる。このようにその予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱熱量を超えると、削減比率ピックアップ禁止手段122はこの予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止し(ステップS11−16)、図16(a)及び(b)に示すように設定最大蓄熱量を超えない時間帯範囲、換言すると設定最大蓄熱量以上となる時間帯より後の時間帯範囲(この場合、午後2時〜午後6時の時間帯、即ち時間帯「3」から時間帯「6」の範囲)に変更され(ステップS11−17)、この変更された時間帯範囲において、予測エネルギー削減比率のピックアップが継続して行われ(ステップS11−5)、その後においては、図16(a)に示すように、予測エネルギー削減比率「1.5」(時間帯「5」の1000W)・・・がピックアップされ、予測増加貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達するまで予測エネルギー削減比率の再演算及びそのピックアップが行われ、仮運転パターンの増加修正が行われる。
次に、主として図4及び図17〜図25を参照して、仮運転パターンの削減側修正について説明する。図17は、仮運転パターンの削減側修正の流れを示すフローチャートであり、図18は、予測エネルギー削減比率の第1番目のピックアップを説明するための図であり、図19は、予測エネルギー削減比率の第2番目のピックアップを説明するための図であり、図20は、第1番目の熱余剰時間帯の熱余剰に対する最後のピックアップを説明するための図であり、図21は、第2番目の熱余剰時間帯が存在する場合の第1番目の熱余剰時間帯の熱余剰に対する削減修正を説明するための図であり、図22は、第2番目の熱余剰時間帯が存在する場合の第2番目の熱余剰に対する第1番目のピックアップを説明するための図であり、図23は、第2番目の熱余剰に対する最後のピックアップを説明するための図であり、図24は、第1番目の熱余剰時間帯の熱余剰に対する削減修正中に設定最低蓄熱量以下になったときの予測エネルギー削減比率のピックアップを説明するための図であり、図25は図24におけるピックアップにおいて設定最低蓄熱量以下になった後の第1番目のピックアップを説明するための図である。
主として図4及び図17〜図25を参照して、この削減側修正を行う場合、まず、熱余剰時間帯の選定が行われる(ステップS8−1)。この熱余剰時間帯の選定は、削減目標ピックアップ手段128によって行われ、削減目標ピックアップ手段128は現時点からの時刻順に順次に選定し、例えば、図18(b)に示すように、例えば、現時刻が午後0時とし、午後4時から午後5時の時間帯(図16の時間帯「5」)において第1番目の熱余剰(即ち、温水過剰)が1000kcal発生するとすると、この時間帯「5」が決定される。尚、図18〜図25を参照しての説明では、理解を容易にするために、図7の内容とは異なるものになっている。
第1番目の熱余剰時間帯(時間帯「5」)が選定されると、この熱余剰時間帯における予測貯湯熱量削減目標値が削減目標値演算手段126により演算される(ステップS8−2)。この予測貯湯熱量削減目標値は、熱余剰(温水過剰)が生じないように、換言するとこの熱余剰時間帯においてラジエター53による放熱がないように予測貯湯熱量削減目標値が演算され、この熱余剰時間帯における熱余剰量が予測貯湯熱量削減目標値として演算される。
次に、第1番目の熱余剰時間帯(時間帯「5」)より前の時間帯範囲、即ち午後0時〜午後4時までの各時間帯について予測エネルギー削減比率の演算が行われる(ステップS8−3)。この予測エネルギー削減比率の演算は予測エネルギー削減比率演算手段114によって行われ、この場合、削減側修正であるので、予測ラジエター放熱量、好ましくは予測有効ラジエター放熱量を用いて設定された仮運転パターンの発電出力よりも小さい発電出力範囲について、上述したと同様に100W刻みで予測エネルギー削減比率の演算が行われる。従って、仮運転パターンの発電出力が例えば1000W(又は例えば500W)である場合、予測エネルギー削減比率は燃料電池6の発電出力900W、800W、700W、600W、500W、400W及び300W(又は400W及び300W)について行われる。
この場合の予測エネルギー削減比率Pは、熱余剰時間帯(例えば時間帯「5」)までの放熱ロスを考慮すると、ボイラ手段42の稼動を考慮する必要はないが、
P1=〔(発電所を運転させたときの予測消費エネルギー量E11)−(熱電併給 装置を運転したときの予測消費エネルギー量E12)〕/特定予測有効ラジ エター放熱量 ・・・(11)
であり、ここで、予測消費エネルギー量E11,E21は、それぞれ、特定の単位運転時間について考えると、
E11=(特定予測電力負荷/発電所の発電効率) ・・・(12)
E21=(熱電併給装置の特定予測消費エネルギー量)+(特定予測買電量/発電 所の発電効率) ・・・(13)
となる。
この実施形態では、燃料電池6は、予測エネルギー削減比率を演算する際に、その発電出力が100W刻みになるように構成されており、このようなことから、予測エネルギー削減比率演算手段134は、次式(14)を用いて熱電併給装置2(この形態では、燃料電池6)のベース出力(燃料電池6が仮運転パターンの発電出力で運転されるとしているので、このときにも、ベース出力は仮運転パターンの発電出力となる)時に対する特定発電出力時の予測エネルギー削減比率を演算する。この場合における予測エネルギー削減比率Pp1は、仮運転パターンの発電出力をベース出力として、
Pp1=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所を運転したときに対する熱電併給 装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)−(熱電併給装置のベー ス出力時の発電所を運転させたときに対する熱電併給装置を運転させたと きの予測エネルギー削減量)〕/〔(熱電併給装置の特定出力時の予測有 効ラジエター放熱量)−(熱電併給装置のベース出力時の予測有効ラジエ ター放熱量)〕 ・・・(14)
となる。
このように演算されたエネルギー削減比率は、例えば図18(a)に示す通りとなる。図18(a)において、燃料電池6の発電出力欄で「−」で示されている出力が仮運転パターンによる発電出力、即ちベース出力であり、削減側修正の場合には、この仮運転パターンの発電出力より小さい発電出力範囲についての予測エネルギー削減比率が用いられる。
次に、予測エネルギー削減比率の演算に関連して、予測削減貯湯熱量の演算が行われる(ステップS8−4)。予測削減貯湯熱量演算手段135は、設定された仮運転パターンの発電出力よりも小さい発電出力範囲について、仮運転パターンの発電出力にて発生する予測熱出力よりも減少する削減熱量、即ち予測削減貯湯熱量を演算する。この予測削減貯湯熱量は、例えば図18(b)の燃料電池6の予測削減熱出力の欄に示す通りとなり、この図18(b)においても、燃料電池6の予測削減熱出力の欄で「−」で示されている発電出力が仮運転パターンによる発電出力、即ちベース出力である。
このように予測エネルギー削減比率及び予測削減貯湯熱量が演算されると、次に、予測エネルギー削減比率のピックアップが予測エネルギー削減比率選定手段116によって行われる(ステップS8−5)。このピックアップは、熱余剰が発生しないようにするための削減側修正であるので、第1番目の熱余剰時間帯の前の時間帯範囲、即ち予測エネルギー削減比率及び予測削減貯湯熱量を演算した時間帯範囲(この場合、時間帯「1」〜「4」の範囲)であって、仮運転パターンの発電出力より小さい発電出力範囲について行われ、図18(a)で示すように、予測エネルギー削減比率選定手段116は、負の値の範囲において絶対値が最も大きい値、この場合、午後0時〜午後1時の時間帯(時間帯「1」)の燃料電池6の発電出力400Wに対応する予測エネルギー削減比率「−1.55」を選定し、このように選定された予測エネルギー削減比率に対応する発電出力がこの時間帯の「1」の発電出力となるように仮運転パターンが修正、更新される。
このようにピックアップすると、燃料電池6の発電出力が600Wから400Wに低下することにより、それに伴ってその予測熱出力も減少するので、予測貯湯蓄熱量演算手段80は出力低下に伴う貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量を演算する(ステップS8−6)。そして、この演算した予測貯湯蓄熱量が所定最低蓄熱量以下になったかが判断され、所定最低蓄熱量より大きいと、ステップS8−7からステップS8−8に進み、予測削減貯湯熱量積算手段138は、更新前の仮運転パターンの熱出力から減少した予測削減貯湯熱量を積算する。第1回目のピックアップのときには、時間帯「1」において燃料電池6の発電出力が600Wから400Wに低下し、このときの予測削減貯湯熱量が300kcalであるので、このときの積算値は、図18(b)から理解されるように、300kcalとなる。
次いで、予測削減貯湯熱量積算手段138が予測削減貯湯熱量を積算し、この積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達したかが判断され(ステップS8−9)、この予測貯湯熱量削減目標値に達しない場合、ステップS8−9からステップS8−10に進み、予測エネルギー削減比率の再演算が行われる。このときの再演算は、予測エネルギー削減比率をピックアップした時間帯(時間帯「1」)について行われ、ピックアップした予測エネルギー削減比率に対応する発電出力(換言すると、更新された仮運転パターンの発電出力であって、この場合400W)をベースにし、この発電出力(400W)時に対する特定発電出力時の予測エネルギー削減比率を演算することによって行われ、ピックアップされた予測エネルギー削減比率に対応する発電出力より小さい発電出力範囲について(この場合、300W)行われ、その再演算は、例えば図19(a)の時間帯「1」の欄に示す通りとなる。
そして、再演算の後に、ステップS8−5に戻り、予測エネルギー削減比率のピックアップが再度行われ、図19(a)で示すように、予測エネルギー削減比率選定手段136は、残りのエネルギー削減比率のうち負の値の範囲において絶対値が最も大きい値、この場合、午後3時〜午後4時の時間帯(時間帯「4」)の燃料電池6の発電出力400Wに対応する予測エネルギー削減比率「−1.5」を選定する。その後、ステップS8−6からステップS8−9が遂行され、予測貯湯蓄熱量が所定最低蓄熱量以下であるかが判断され、また予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達したかが判断され、予測貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまでステップS8−5からステップS8−10が繰り返し遂行され、予測エネルギー削減比率の再演算及び予測エネルギー削減比率のピックアップが行われる。
このようにして予測エネルギー削減比率「−1.55」(時間帯「1」の400W)、「−1.5」(時間帯「4」の400W)・・・「−1.2」(時間帯「3」の400W)が順次にピックアップされ、この段階までピックアップすると、図20に示すように、予測削減貯湯熱量の積算値、即ち電主制御からの低下分の積算貯湯熱量が、予測貯湯熱量削減目標値の1000kcalに達し、第1番目の熱余剰に対する削減修正が終了し、ステップS8−8からステップS8−11に進む。尚、この実施形態では、予測エネルギー削減比率のピックアップを行った後に、ピックアップした時間帯について予測エネルギー削減比率を再演しているが、この再演算を行うことなく、予測エネルギー削減比率演算手段134により演算した予測エネルギー削減比率を負の範囲において大きい順にピックアップするようにしてもよい。
ステップS8−11においては、設定時間範囲(現時刻から24時間)に熱余剰時間帯が存在するかが判断され、次の熱余剰時間帯が存在する場合、削減目標ピックアップ手段128は、現時点からの時刻順に第2番目の熱余剰時間帯をピックアップし、ステップS8−1に戻って、第2番目の熱余剰時間帯の熱余剰に対しての削減修正が行われる。
図21(a)に示すように、例えば午後4時〜午後5時の時間帯(時間帯「5」)に第1番目の熱余剰が存在し、例えば午後6時〜午後7時の時間帯(時間帯「7」)に第2番目の熱余剰が存在する場合、まず、第1番目の熱余剰に対する削減修正が行われ、この熱余剰の予測貯湯熱量削減目標値が1000kcalであると、上述したように、第1番目の熱余剰の時間帯よりも前の時間帯範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、予測エネルギー削減比率選定手段136は、予測エネルギー削減比率を絶対値の大きい順に順次にピックアップし、図21(a)及び(b)に示すように、ピックアップされた燃料電池2の所定設定時間の修正出力が、第1番目の熱余剰に対する第1仮運転パターンとしてメモリ手段102に登録される。
次に、図22(a)及び(b)に示すように、第2番目の熱余剰に対する削減修正が行われ、この熱余剰の予測貯湯熱量削減目標値が400kcalであるとすると、第2番目の熱余剰時間帯(時間帯「7」)よりも前の時間帯範囲、即ち時間帯「1」〜時間帯「6」の範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われる。このとき、第1番目の熱余剰に対応するために削減側に修正された第1仮運転パターンが仮設定されているので、この修正された第1仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力よりも小さい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率及び予測削減貯湯熱量の演算が行われ、このようにして演算された予測削減比率及び予測増加貯湯熱量は、例えば図22(a)及び(b)に示す通りとなる。
このように演算された後に、上述したように、第2番目の熱余剰の時間帯よりも前の時間帯範囲において、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、このピックアップは負の値の範囲において絶対値が大きい順に行われる。このとき、第2番目の熱余剰の予測貯湯熱量削減目標値が例えば400kcalであるので、予測エネルギー削減比率選定手段136は、図22(a)に示すように、予測エネルギー削減比率「−1.2」(時間帯「5」の500W)をピックアップし、その後上述したと同様に予測エネルギー削減比率の再演算とそのピックアップが行われ、図23(a)及び(b)に示すまで行われ、このようにピックアップされた燃料電池2の修正出力が、第1及び第2番目の熱余剰に対する第2仮運転パターンとしてメモリ手段102に登録される。尚、この第2番目の熱余剰に対しても、予測エネルギー削減比率をピックアップすると、そのピックアップした時間帯においては、ピックアップした予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースにして、この発電出力より小さい発電範囲についてエネルギー削減比率が再演算される。尚、第3番目以降の熱余剰に対しても、第2番目(第3番目・・・)の熱余剰までの第2(第3・・・)仮運転パターンをベースにして、上述した第2番目の熱余剰と同様にして、第3番目(第4番目・・・)の熱余剰に対する削減修正が行われる。
このようにして設定時間範囲に存在する熱余剰の全て、例えばn番目の熱不足に対して仮運転パターンの削減修正が行われ、n番目までの全熱余剰に対する削減修正が行われると、ステップS8−11からステップS8−14に進み、削減修正された第n仮運転パターンが仮運転修正パターンとしてメモリ手段102に登録される。尚、次の熱余剰時間帯の前に、例えば第2番目と第3番目の熱余剰時間帯の間に、貯湯タンク22の貯湯蓄熱量が不足する熱不足時間帯が存在すると、この熱不足時間帯においてはボイラ手段42が稼動するようになる故に、この熱不足時間帯の前の時間帯における仮運転パターンの削減修正は好ましくない。このようなことから、削減目標ピックアップ禁止手段130は、熱不足時間帯の後に発生する熱余剰に対するピックアップを禁止し(ステップS8−13)、熱不足時間帯より後に発生する熱余剰に対する仮運転パターンの修正は行われず、熱不足時間帯の前に発生する熱余剰に対する仮運転パターンの削減修正が仮運転修正パターンとして登録される(ステップS8−14)。
この実施形態では、予測エネルギー削減比率をピックアップしたときに、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達したかを判断するととともに、予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になったかを判断し、設定最低蓄熱量以下になったときには、ステップS8−7からステップS8−15及びステップS8−16を経てステップS8−5に移るように構成されている。図24(a)及び(b)(この図24は、ピックアップの禁止を説明するためのものであり、上述した図18〜図23と内容が異なっている)を参照して、例えば午後5時〜午後6時の時間帯(時間帯「6」)に第1番目の熱余剰が存在し、この熱余剰の予測貯湯熱量削減目標値が1200kcalであるとすると、この時間帯「6」の前の時間帯範囲において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力よりも小さい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率及び予測削減貯湯熱量の演算が行われる。
この場合においても、第1番目の熱余剰時間帯の前の時間帯範囲、即ち時間帯「1」から時間帯「5」の範囲において予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、このピックアップは、予測エネルギー削減比率の負の値の範囲において絶対値が大きい順に行われ、かくピックアップする毎に、上述したように、予測貯湯蓄熱量が所定最低蓄熱量以下になったかが判断され(ステップS8−7)、また予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達したかが判断される(ステップS8−9)。
上述したようにして予測エネルギー削減比率をピックアップし、例えば図24(a)に示す予測エネルギー削減比率「−1.3」(時間帯「2」の400W)をピックアップすると、図24(b)から理解される如く、時間帯「2」における貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量よりも小さくなる。このようにその予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量より下がると、削減比率ピックアップ禁止手段142はこの予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止し(ステップS8−16)、設定最低蓄熱量以下とならない時間帯範囲、換言すると設定最低蓄熱量以下となる時間帯より後の時間帯範囲(この場合、時間帯「3」から時間帯「5」の範囲)に変更され(ステップS8−17)、この変更された時間帯範囲において、予測エネルギー削減比率のピックアップが継続して行われ(ステップS8−5)、その後においては、図25(a)に示すように、予測エネルギー削減比率「−1.2」(時間帯「5」の500W)・・・がピックアップされ、予測削減貯湯熱量の積算値が予測貯湯熱量削減目標値に達するまで予測エネルギー削減比率のピックアップが行われ、仮運転パターンの増加修正が行われる。
図5に戻って、上述したようにして仮運転パターンの増加修正が行われると、しきい値による運転が許可されるか否かが判定され、この実施形態においては、現時刻から直近の熱不足時間帯(即ち、予測貯湯熱量増加目標値が発生する第1番目の時間帯)の前までの全時間帯において、仮運転パターン修正手段112によって修正された仮運転修正パターンの発電出力が仮運転パターン設定手段76によって設定された仮運転パターンの発電出力よりも大きいときにはしきい値による運転が許可され、後述するようにしてエネルギー削減比率しきい値の設定が行われる。また、この時間帯の範囲において、発電出力が上昇していない時間帯については、仮運転パターンの発電出力からの全ての出力上昇において予測エネルギー削減比率が負の値になり、出力上昇が選択されてない(その他の時間帯については、仮運転修正パターンの発電出力が上昇している)とき、また発電出力が上昇していない時間帯については、仮運転パターンの発電出力が最大発電出力に設定されている(その他の時間帯については、仮運転修正パターンの発電出力が上昇している)ときにも、しきい値による運転が許可される。
一方、現時刻から直近の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲の少なくとも一つの時間帯において、仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電範囲における予測エネルギー削減比率の値が正の値を含んでいるにもかかわらず仮運転パターンの発電出力が維持されているときには、しきい値による運転は許可されない。
次に、図26及び図27を参照して、エネルギー削減比率しきい値の設定について説明する。図26は、第1番目の熱不足時間帯までの仮運転修正パターンを示す図であり、図27は、仮運転修正スケジュールに従って仮運転したときの仮運転エネルギー削減比率を示す図である。
しきい値の運転に際しては、しきい値演算設定手段88によって出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値が設定される(ステップS21)。例えば、仮運転修正パターンの発電出力が図26に示す通りである、即ち時間帯「1」では900W、時間帯「2」では900W、また時間帯「3」では700Wに選定されているとすると、これらの時間帯の各々において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力に対する修正発電出力(仮運転修正スケジュールの発電出力)の仮運転エネルギー削減比率が仮運転エネルギー削減比率演算手段90によって演算され(予測エネルギー削減比率と同様にして演算される)、その演算値は、例えば図27に示す通りとなる。このような場合、しきい値設定手段92は、仮運転エネルギー削減比率のうち最も小さい値「1.3」(時間帯「3」の900W)を出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値として設定する。
このエネルギー削減比率しきい値(単に「しきい値」ともいう)を用いたしきい値運転モードによる運転(ステップS22)においては、現エネルギー削減比率演算手段96は、現時点における現電力負荷(例えば、5分の移動平均電気負荷)並びに予測給湯熱負荷及び予測電力負荷に基づく貯湯量増加目標までの時間を考慮して、現電力負荷による電主運転の発電出力に対する燃料電池6の各発電出力(例えば、300W〜1000Wの範囲における100W刻みの出力)における現エネルギー削減比率を演算し、この現エネルギー削減比率の演算は、上述した予測エネルギー削減比率と同様にして演算することができる。そして、各発電出力の現エネルギー削減比率と上記エネルギー削減比率しきい値との対比が行われ、これらの現エネルギー削減比率の少なくとも一つが上記しきい値を超える場合、発電出力設定手段98は、このしきい値を超える現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最も大きい出力を発電出力として設定し、燃料電池6はこの発電出力でもって運転される。
一方、各発電出力の現エネルギー削減比率のいずれもが上記しきい値を超えない場合、発電出力設定手段98による発電出力の設定は行われず、燃料電池6は現電力負荷をまかなうように運転される。この現電力負荷として、例えば、現時点から5分前までの電力負荷の平均値を用いることができる。尚、現電力負荷をまかなうように燃料電池6を運転する(電主運転モードによる運転を含む)場合、現電力負荷よりも幾分小さい(例えば20〜50W程度小さい)発電出力でもって運転制御するようにしてもよい。
また、上述したようにして仮運転パターンの削減修正が行われると、この場合においても、しきい値による運転が許可されるか否かが判定され、この実施形態においては、現時刻から直近の熱余剰時間帯(即ち、予測貯湯熱量削減目標値が発生する第1番目の時間帯)の前までの各時間帯において、仮運転パターン修正手段132によって修正された仮運転修正パターンの発電出力が仮運転パターン設定手段76によって設定された仮運転パターンの発電出力よりも小さいときにはしきい値による運転が許可され、後述するようにして出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値の設定が行われる。また、この時間帯の範囲において、発電出力が低下していない時間帯については、仮運転パターンの発電出力からの全ての出力低下において予測エネルギー削減比率が正の値になり、出力低下が選択されてない(その他の時間帯については、仮運転修正パターンの発電出力が低下している)とき、また発電出力が低下していない時間帯については、仮運転パターンの発電出力が最小発電出力に設定されている(その他の時間帯については、仮運転修正パターンの発電出力が低下している)ときにも、しきい値による運転が許可される。
一方、現時刻から直近の熱不足時間帯の前までの時間帯範囲の少なくとも一つの時間帯において、仮運転パターンの発電出力よりも小さい発電範囲における予測エネルギー削減比率の値が負の値を含んでいるにもかかわらず仮運転パターンの発電出力が維持されているときには、しきい値による運転は許可されない。
次に、図28及び図29を参照して、上述した場合におけるエネルギー削減比率しきい値の設定について説明する。図28は、第1番目の熱余剰時間帯までの仮運転修正パターンを示す図であり、図29は、仮運転修正スケジュールに従って仮運転したときの仮運転エネルギー削減比率を示す図である。 しきい値の運転に際しては、しきい値演算設定手段88によってエネルギー削減比率しきい値が設定される(ステップS16)。例えば、仮運転修正パターンの発電出力が図28に示す通りである、即ち時間帯「1」では300W、時間帯「2」では600W、時間帯「3」では300W、時間帯「4」では300W、また時間帯「5」では400Wに選定されているとすると、これらの時間帯の各々において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力に対する修正発電出力(仮運転修正スケジュールの発電出力)の仮運転エネルギー削減比率が仮運転エネルギー削減比率演算手段90によって演算され(予測エネルギー削減比率と同様にして演算される)、その演算値は、例えば図29に示す通りとなる。このような場合、しきい値設定手段92は、仮運転エネルギー削減比率のうち絶対値が最も小さい値、「−1.0」(時間帯「1」の300W)の絶対値を出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値(「1.0」)として設定する。
このエネルギー削減比率しきい値を用いたしきい値運転モードによる運転(ステップS17)においては、現エネルギー削減比率演算手段96は、現時点における現電力負荷(例えば、5分の移動平均電気負荷)並びに予測給湯熱負荷及び予測電力負荷に基づく貯湯量削減目標までの時間を考慮して、現電力負荷による電主運転の発電出力に対する燃料電池6の各発電出力(例えば、300W〜1000Wの範囲における100W刻みの出力)における現エネルギー削減比率を演算し、この現エネルギー削減比率の演算は、上述したと同様にして演算することができる。そして、各発電出力の現エネルギー削減比率と上記エネルギー削減比率しきい値との対比が行われ、これらの現エネルギー削減比率の絶対値の少なくとも一つが上記しきい値を超える場合、発電出力設定手段98は、このしきい値を超える絶対値の現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最も小さい出力を発電出力として設定し、燃料電池6はこの発電出力でもって運転される。
一方、各発電出力の絶対値の現エネルギー削減比率のいずれもが上記しきい値を超えない場合、発電出力設定手段98による発電出力の設定は行われず、燃料電池6は現電力負荷をまかなうように運転される。尚、この場合においても、現電力負荷よりも幾分小さい発電出力でもって運転制御するようにしてもよい。
上述した実施形態では、暖房装置を備えたコージェネレーションシステムであるが、その制御については暖房装置を考慮しないもの(即ち、暖房装置を作動させない稼動状態)について説明したが、この暖房装置を備えたものにおいては、図30〜図45に示すように構成することによって、コージェネレーションシステムの構成を比較的簡単にすることができるとともに、暖房装置を稼動させた際の暖房装置で用いる熱量及び貯湯装置で温水として貯えられる貯湯蓄熱量を容易に且つ正確に演算することが可能となる。図30は、他の実施形態のコージェネレーションシステムを簡略的に示すシステムブロック図であり、図31は、図30のコージェネレーションシステムの制御系の一部を簡略的に示すブロック図である。尚、この他の実施形態において、上述した実施形態と実質上同一のものには同一の番号を付し、その説明を省略する。
図30において、このコージェネレーションシステムは、上述したと同様の熱電併給装置2及び貯湯装置4を備え、熱電併給装置2が燃料電池6から構成されている。燃料電池6の出力側にはインバータ10が設けられ、このインバータ10が商業用電力供給ライン14を介して電力負荷16に電気的に接続され、また商用系統12も電力供給ライン14を介して電力負荷16に電気的に接続され、この電力供給ライン14に電力負荷計測手段20が設けられている。また、貯湯装置4Aは貯湯タンク22を備え、貯湯タンク22の底部には水供給流路36が接続されているとともに、この貯湯タンク22の上部には温水出湯流路40が接続され、この温水出湯流路40に流量センサ41及び温度センサ43が配設され、更に貯湯タンク22には、5個の温度センサ45から構成される温水検知手段44が設けられており、これらの構成は、上述した実施形態と実質上同様である
この実施形態では、貯湯タンク22と燃料電池6とが循環流路202を介して接続され、貯湯タンク22の底部の水が循環流路202及び燃料電池6を介して貯湯タンク22の上部に流入され、貯湯タンク22内においては、温水が上側に、水が下側となるように層状に温水が貯湯される。循環流路202における燃料電池6の下流側には循環ポンプ48が配設され、この循環ポンプ48の下流側と燃料電池6の上流側とが放熱流路51を介して接続され、この放熱流路51にラジエター53が設けられている。また、循環流路20における放熱流路51との接続部の下流側には開閉弁55が配設され、放熱流路51には開閉弁57が配設されている。更に、開閉弁55の下流側には、燃料電池6の発電電力の余剰電力を熱でもって回収するためのヒータ手段52が設けられている。これら循環ポンプ48、放熱流路52及びこれに関連する構成並びにヒータ手段52に関する構成は、上述した実施形態と実質上同一である。
この実施形態では、更に、循環流路202の一部(具体的には、ヒータ手段52が配設された部位の下流側)をバイパスしてバイパス流路204が設けられ、このバイパス流路204に熱交換器206を介して暖房用流路208が設けられ、この暖房用流路208に暖房装置210及び暖房用ポンプ212が配設されている。また、バイパス流路204の上流側部位と循環流路202との接続部には三方弁214が配設され、三方弁214が第1の状態にあるときにはバイパス流路204が閉塞され、燃料電池6からの温水は循環流路202を通して流れ、また三方弁214が第2の状態にあるときには循環流路202が閉塞され、燃料電池6からの温水はバイパス流路204(即ち、熱交換器206)を通して流れる。尚、暖房装置210とは床暖房装置、浴室暖房乾燥機などである。
更に、ボイラ手段は第1ボイラ手段216及び第2ボイラ手段218から構成され、第1ボイラ手段216は温水出湯流路40に配設され、温水出湯流路40を流れる温水の温度が低いときに作動して加温し、また第2ボイラ手段218は暖房用流路208に配設され、暖房用流路208を流れる温水の温度が低いときに作動して加温する。
この他の実施形態のコージェネレーションシステムは、図31に示す制御系によって作動制御される。図31において、この制御手段70Aは、を参照して、制御手段70は、例えばマイクロコンピュータから構成され、予測熱負荷演算手段74Aは、過去の給湯熱負荷に基づいて予測給湯熱負荷を演算する予測給湯熱負荷演算手段220と、過去の暖房熱負荷(熱電併給装置2にて発生する熱量のうち暖房装置210で利用する熱量)に基づいて予測暖房熱負荷(予測の暖房利用熱量)を演算する予測暖房熱負荷演算手段222を含み、予測熱負荷として予測給湯熱負荷及び予測暖房熱負荷が演算される。また、この制御手段70Aは、熱電併給装置6にて発生する熱が暖房装置210の暖房に利用されることに関連して、予測暖房利用熱量演算手段224、タンク入り予測平均温度演算手段226、予測貯湯湯量演算手段228、予測貯湯温度演算手段230及び予測暖房負荷割合変更手段232を含んでいる。予測暖房利用熱量演算手段224は暖房装置210にて利用される予測の暖房利用熱量を演算する。この実施形態の場合、所定設定時間(例えば、20分)に対する温水の循環時間の割合を利用して予測暖房熱負荷が演算され、暖房熱負荷が0.9とは、20分間のうち18分間暖房用温水が流れ、暖房負荷割合が最大、即ち100%のときに暖房負荷0.9となり、この予測暖房負荷割合100%のときの暖房熱量に温水循環時間割合(予測暖房負荷割合)を積算することによって演算される。また、タンク入り予測平均温度演算手段226は貯湯タンク22に流入する温水の平均温度を演算する。この実施形態の場合、熱電併給装置2(燃料電池6)からの熱を暖房装置210に利用しないときには熱電併給装置2からの温水がそのまま貯湯タンク22に貯えられ、この時の温水の温度は約60℃であり、また熱電併給装置2からの熱を暖房装置210に利用したときには熱電併給装置2からの温水の熱が熱交換器206を介して暖房用流路208を流れる温水に奪われ、温度低下した温水が貯湯タンク22に貯えられ、この時の温水の温度は約46℃であり、タンク入り予測平均温度演算手段226は暖房装置210の温水循環割合を利用してタンク入り側平均温度を演算する。更に、予測貯湯湯量演算手段228は、貯湯タンク22に貯えられた予測の貯湯湯量を演算し、この実施形態では、熱電併給装置2(燃料電池6)の予測熱出力に基づいてタンク入りの予測湯量を演算し、貯湯タンク22に貯えられた貯湯湯量にこのタンク入り予測湯量を加算することによって算出される。尚、貯湯タンク22の流入側に、流入温水の温度を検知する温水温度検知手段とその流量を検知する温水流量検知手段を設け、かかる温水温度検知手段の検知温度及び温水流量検知手段の検知流量を利用して予測暖房利用熱量、タンク入り予測平均温度、予測貯湯湯量を演算するようにしてもよい。
また、予測貯湯温度演算手段230は貯湯タンク22内に貯えたれた予測貯湯湯量の温度を演算し、この実施形態では、貯湯タンク22内に貯えられた貯湯湯量及びその貯湯温度、並びに熱電併給装置2の稼働によって貯湯タンク22に貯えられるタンク入り予測湯量及びタンク入り平均温度に基づいて予測貯湯温度を演算する。このことに関連して、予測貯湯蓄熱量演算手段80Aは、貯湯タンク22に貯えられる予測貯湯湯量にその予測貯湯温度を積算することによって予測貯湯蓄熱量を算出する。また、予測暖房負荷割合変更手段232は後述する如く予測暖房負荷割合を変更する。この実施形態では、予測暖房負荷割合が100%(予測暖房負荷:0.9)、50%(予遅く暖房負荷:0.45)、0%(暖房負荷:0)の三段階に変更可能に構成され、後述するように、100%、50%及び0%と大きい順に変更される。
また、この実施形態では、熱電併給装置2からの熱を暖房装置208に利用することに関連して、しきい値演算設定手段88Aは仮運転エネルギー削減比率演算手段90Aを後述する如く演算し、現エネルギー削減比率演算手段96Aは後述する如く演算しする。尚、制御手段70Aのその他の構成は、上述した実施形態の実質上同一である。
図30及び図31とともに図32〜図34を参照して、このコージェネレーションシステムの制御について説明すると、現時刻からの所定設定時間範囲、この実施形態では24時間における予測電力負荷の演算が行われ(ステップS31)、この所定設定時間範囲における予測給湯熱負荷の演算が行われ(ステップS32)、更にこの所定設定時間範囲における予測暖房熱負荷の演算が行われる(ステップS33)。予測電力負荷の演算は過去の電力負荷データに基づいて予測電力負荷演算手段72によって行われ、この予測電力負荷は例えば図33(a)に示す通りとなり、予測給湯熱負荷の演算は過去の給湯熱負荷に基づいて予測給湯熱負荷演算手段220によって行われ、この予測給湯熱負荷は例えば図33(b)で示す通りとなり、また予測暖房熱負荷(予測暖房利用熱量)の演算は過去の暖房熱負荷(暖房利用熱量)に基づいて予測暖房熱負荷演算手段222によって行われ、この予測暖房熱負荷は例えば図33(c)で示す通りとなる。この実施形態においても、予測電力負荷、予測給湯熱負荷及び予測暖房熱負荷を演算する時間帯を1時間単位としているが、例えば0.5時間単位、0.25時間単位などに設定することもできる。
次に、予測電力負荷をまかなうように仮運転パターンが設定される(ステップS34)。この仮運転パターンの設定は、上述したと同様に、仮運転パターン設定手段76により行われ、燃料電池6の発電出力の最小出力が300Wであるとし、予測電力負荷が図33(a)に示す通りであるとすると、運転パターンは、例えば図33(a)にステップ状に示す通りとなる。この仮運転パターンが設定されると、タンク入り予測平均温度の演算が行われ(ステップS35)、次いで、予測貯湯湯量の演算が行われ(ステップS36)、更に、予測貯湯温度の演算が行われ(ステップS37)、その後に、予測貯湯蓄熱量の演算が行われる(ステップS38)。タンク入り予測平均温度の演算はタンク入り予測平均温度演算手段226によって行われ、予測貯湯湯量の演算は予測貯湯湯量演算手段228によって行われ、また予測貯湯温度の演算は予測貯湯温度演算手段230によって行われ、更に予測貯湯湯量の演算は予測貯湯湯量演算手段228によって行われ、この予測貯湯蓄熱量は、例えば図33(d)に示す通りとなる。
このように予測貯湯蓄熱量が演算されると、予測貯湯蓄熱量を削減するための削減目標が決定されたかが判断される(ステップS39)。即ち、図33(e)に示すように、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量、例えば貯湯タンク22が所定温度(例えば60℃)の温水で満杯になる貯湯蓄熱量以上になるが判定され、設定最大蓄熱量以上になる場合、ステップS39からステップS40に進み、修正モード設定手段82は削減修正モードを設定する。貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になると、開閉弁55が閉状態に、開閉弁57が開状態になり、燃料電池6を流れる温水は放熱流路51を流れ、ラジエター53にて温水の大気への放熱が行われ、熱電併給装置2の熱が無駄となるために削減修正モードが設定され、仮運転パターンの削減側修正が行われる(ステップS41)。
また、ステップS39からステップS42に進むと、予測貯湯蓄熱量を増加するための増加目標が決定されたかが判断される。即ち、図33(e)に示すように、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量、例えば貯湯タンク22内の温水がなくなる貯湯蓄熱量以下になるが判定され、設定最低蓄熱量以下になる場合、ステップS42からステップS44に進み、修正モード設定手段82は増加修正モードを設定する。貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になると、第1ボイラ手段216が稼働して温水が生成され、第1ボイラ手段216にて生成された温水が温水出湯流路40を通して供給され、第1ボイラ手段216が無駄に稼働されるようになるために増加修正モードが設定され、仮運転パターンの増加側修正が行われる(ステップS45)。
また、上記削減目標及び上記増加目標のいずれもが決定されない場合、ステップS39からステップS42を経てステップS43に進む。この場合、運転モード設定手段94は電主運転モードを設定し、作動制御手段100は、後述するように現電力負荷をまかなうようにコージェネレーションシステムを運転制御する。
図33及び図34を参照して、例えば、予測電力負荷が図33(a)及び図34の予測電力負荷欄に示す通りで、予測給湯熱負荷が図33(b)及び図34の予測給湯熱負荷欄に示す通りで、また予測暖房熱負荷(換言すると、予測暖房利用熱量)が図33(c)及び図34の予測暖房熱負荷欄に示す通りであり、このときの電主制御の仮運転パターンによる燃料電池6の予測発電出力は図34の予測発電出力欄に示す通りで、この仮運転パターンによるタンク入り予測平均温度は図34のタンク入り予測平均温度欄に示す通りであり、このときの貯湯タンク22の予測貯湯湯量は図34の予測貯湯湯量欄に示す通りで、貯湯タンク22内に貯えられた温水の予測貯湯温度は図34の予測タンク貯湯温度欄に示す通りで、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が図33(d)及び図34の予測貯湯蓄熱量欄に示す通りであるとすると、図33(e)及び図34のラジエター53の予測放熱量欄に示す通り、午後2時〜午後3時の時間帯において例えば1000kcalの放熱が生じ、午後3時〜午後4時の時間帯において例えば1000kcalの放熱が生じるようになり、また図33(e)及び図34の第1ボイラ手段42の予測給湯熱量欄に示す通り、午後5時〜午後6時の時間帯において4000kcalの温水不足が発生して第1ボイラ手段216により給湯されるようになる。
削減修正モードが設定されて仮運転パターンの削減側修正が後述する如く行われると、ステップS46〜ステップS50が遂行され、これらステップS46〜ステップS50の内容は上述した実施形態におけるステップS13〜ステップS17の内容と基本的に同一である。
また、増加修正モードが設定されて仮運転パターンの増加側修正が行われると、ステップS51〜ステップS55が遂行され、これらステップS51〜ステップS55の内容は上述した実施形態におけるステップS18〜ステップS22の内容と基本的に同一である。
次に、第1ボイラ手段216による給湯を抑えるために行われる仮運転パターンの増加側修正について説明する。図35は、仮運転パターンの増加側修正の流れを示すフローチャートであり、図36は、予測エネルギー削減比率の第1番目のピックアップを説明するための図であり、図37は、第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対するピックアップを説明するための図であり、図38は、予測暖房負荷割合を一段階低下させた場合における予測エネルギー削減比率の第1番目のピックアップを説明するための図であり、図39は、予測暖房負荷割合を一段階低下させた場合における第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対するピックアップを説明するための図であり、図40は、予測暖房負荷割合を二段階低下させた場合における予測エネルギー削減比率の第1番目のピックアップを説明するための図であり、図41は、予測暖房負荷割合を二段階低下させた場合における第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対するピックアップを説明するための図である。
主として図31及び図36〜図41を参照して、仮運転パターンの増加側修正を行う場合について説明する。尚、制御手段70Aの増加側修正手段84の構成は上述した実施形態と実質上同一であり、それ故に、その具体的構成については図3を参照されたい。
この場合、熱不足時間帯の選定が行われる(ステップS45−1)。この熱不足時間帯の選定は、増加側修正手段84の増加目標ピックアップ手段によって上述したと同様に行われ、図37に示すように、例えば、現時刻が午後0時とし、午後3時から午後4時の時間帯(図37の時間帯「4」)において第1番目の熱不足(即ち、温水不足)が例えば3000kcal発生するとすると、この時間帯「4」が決定される。尚、図36〜図41を参照しての説明では、理解を容易にするために、図37の内容とは異なるものになっている。
第1番目の熱不足時間帯(時間帯「4」)が選定されると、この熱不足時間帯における予測貯湯熱量増加目標値が増加側修正手段84の増加目標値演算手段により演算され(ステップS45−2)、この予測貯湯熱量増加目標値は、熱不足(温水不足)が生じないように、換言するとこの熱不足時間帯において第1ボイラ手段216が稼働することがないように予測貯湯熱量増加目標値が演算される。
次に、第1番目の熱不足時間帯(時間帯「4」)より前の時間帯範囲、即ち午後0時〜午3時までの各時間帯について予測エネルギー削減比率の演算が行われる(ステップS45−3)。この予測エネルギー削減比率の演算は増加側修正手段84の予測エネルギー削減比率演算手段によって行われ、この場合、増加側修正であるので、予測貯湯熱量、好ましくは予測有効貯湯熱量を用いて設定された仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力範囲について予測エネルギー削減比率の演算が行われる。尚、この実施形態においても、燃料電池6の最小発電出力が300Wで、その最大発電出力が1000Wで、この予測エネルギー削減比率の演算が燃料電池6の100W刻みで行われるように構成されている。
この実施形態では、熱電併給装置2によって発生する熱が暖房装置に利用されるので、このことを考慮すると、予測エネルギー削減比率の演算は次式(15)を用いて行われ、この場合における予測エネルギー削減比率Ppは、
Pp=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所とボイラ手段を運転したときに対す る熱電併給装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)−(熱電併給装 置のベース出力時の発電所とボイラ手段を運転させたときに対する熱電併給 装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)〕/{〔(熱電併給装置の 特定出力時の予測有効貯湯熱量)+(熱電併給装置の特定出力時の熱出力の うち暖房装置に用いられる熱量)〕−〔(熱電併給装置のベース出力時の予 測有効貯湯熱量)+(熱電併給装置のベース出力時の熱出力のうち暖房装置 に用いられる熱量)〕} ・・・(15)
となる。尚、給湯のときには第1ボイラ手段が用いられ、暖房のときには第2ボイラ手段が用いられるが、これら第1及び第2ボイラ手段が実質上同一のものであるときには、これら第1及び第2ボイラ手段をボイラ手段とすることができる。
このように演算されたエネルギー削減比率は、例えば図36に示す通りとなる。図36において、予測エネルギー削減比率欄で「−」で示されている出力が仮運転パターンによる発電出力(即ち、ベース出力)であり、増加側修正の場合には、この仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲についての予測エネルギー削減比率が演算される。
次に、予測エネルギー削減比率の演算に関連して、予測増加貯湯熱量の演算が行われる(ステップS45−4)。増加側修正手段84の予測増加貯湯熱量演算手段は、設定された仮運転パターンの発電出力よりも大きい発電出力範囲について、仮運転パターンの発電出力にて発生する予測熱出力よりも増加する増加熱量、即ち予測増加貯湯熱量を演算し、この予測増加貯湯熱量は、例えば図37の燃料電池6の予測増加熱出力の欄に示す通りとなる。
このように予測エネルギー削減比率及び予測増加貯湯熱量が演算されると、次に、予測エネルギー削減比率のピックアップが増加側修正手段84の予測エネルギー削減比率選定手段によって行われる(ステップS45−5)。このピックアップは、上述した実施形態と同様に、第1番目の熱不足時間帯の前の時間帯範囲(この場合、時間帯「1」〜「3」の範囲)であって、仮運転パターンの発電出力より大きい発電出力範囲について行われ、図36で示すように、予測エネルギー削減比率選定手段は、正の値の範囲において最も大きい値、この場合、午後0時〜午後1時の時間帯(時間帯「1」)の燃料電池6の発電出力600Wに対応する予測エネルギー削減比率「1.8」を選定し、このように選定された予測エネルギー削減比率に対応する発電出力がこの時間帯「1」の発電出力となるように仮運転パターンが修正、更新される。
このようにピックアップすると、燃料電池6の発電出力が300Wから600Wに上昇することにより、燃料電池6の予測熱出力の増加に伴い貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が増加するので、予測貯湯蓄熱量演算手段80Aは出力上昇に伴う貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量を上述した如くして演算する(ステップS45−6)。そして、この演算した予測貯湯蓄熱量が所定最大蓄熱量以上になったかが判断され、所定最大蓄熱量より小さいと、ステップS45−7からステップS45−8に進み、増加側修正手段84の予測増加貯湯熱量積算手段は、更新前の仮運転パターンによる貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量と更新後の貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量から増加した予測増加貯湯熱量(換言すると、電主制御からの上昇分での積算湯熱熱量)を積算する。上述したように、この実施形態では、予測貯湯蓄熱量演算手段80Aは、貯湯タンク22の予測貯湯湯量と予測タンク貯湯温度に基づいて予測貯湯蓄熱量を演算する。
次いで、予測増加貯湯熱量積算手段118の積算値が予測貯湯熱量増加目標値に達したかが判断され(ステップS45−9)、この予測貯湯熱量増加目標値に達しない場合、設定された予測暖房負荷割合(予測暖房負荷:0.9)において予測エネルギー削減比率の再演算が可能かが判断され(ステップS45−10)、再演算が可能なときにはステップS45−11に進み、予測エネルギー削減比率の再演算が行われる。このときの再演算は、上述した実施形態と同様に、予測エネルギー削減比率をピックアップした時間帯(時間帯「1」)について行われ、ピックアップした予測エネルギー削減比率に対応する発電出力をベースにし、この発電出力(600W)時に対する特定発電出力時の予測エネルギー削減比率を演算することによって行われ、ピックアップされた予測エネルギー削減比率に対応する発電出力より大きい発電出力範囲について(この場合、700W、800W、900W、1000W)行われる。
そして、再演算の後に、ステップS45−5に戻り、ステップS45−5からステップS45−11が遂行され、予測貯湯熱量増加目標に達するまで繰り返し遂行され、予測貯湯熱量増加目標値に達すると、ステップS45−12に移る。一方、上述した予測エネルギー削減比率のピックアップによっても予測貯湯熱量増加目標値に達しない場合、ステップS45−10からステップS45−13に移り、予測暖房負荷割合の変更が可能かが判断され、予測暖房負荷割合の変更が可能な場合にはステップS45−14に進み、予測暖房熱負荷割合の変更が行われる。予測エネルギー削減比率のピックアップを最大限行っても予測貯湯増加熱量が例えば2500kcalしか増加せず、例えば500kcalの熱量不足が生じ、このような場合、予測暖房負荷割合変更手段232は、図38及び図39に示すように、予測暖房負荷割合を100%(予測暖房負荷:0.9)から50%(予測暖房負荷:0.45)に設定変更する。
このように予測暖房負荷割合の設定変更が行われると、設定された予測暖房負荷割合を用いて予測エネルギー削減比率の再演算が行われ(ステップS45−15)、その後ステップS45−5に戻り、上述したと同様にステップS45−5からステップS45−11が遂行され、予測貯湯熱量増加目標に達するまで繰り返し遂行され、設定した予測暖房負荷割合でもって予測貯湯熱量増加目標値に達すると、ステップS45−12に移る。一方、上述した予測エネルギー削減比率のピックアップによっても予測貯湯熱量増加目標値に達しない場合、再びステップS45−10からステップS45−13に移り、予測暖房負荷割合の変更が可能かが判断され、予測暖房負荷割合の変更が可能な場合にはステップS45−14に進み、予測暖房熱負荷割合の再度の変更が行われる。予測エネルギー削減比率のピックアップを最大限行っても予測貯湯増加熱量が例えば2500kcalしか増加せず、例えば200kcalの熱量不足が生じ(この場合、暖房装置210によって利用される熱量が少なく、熱電併給装置2の発生熱量はより多く貯湯タンク22に蓄熱されるようになり、従って時間帯「4」における貯湯熱量増加目標値は例えば2700kcalと小さくなり、この貯湯熱量増加加目標値に対しての熱不足となる)、この場合、予測暖房負荷割合変更手段232は、図40及び図41に示すように、予測暖房負荷割合を50%(予測暖房負荷:0.45)から0%(予測暖房負荷:0)に設定変更する。
このように予測暖房負荷割合の設定変更が行われると、上述したと同様に、再設定された予測暖房負荷割合を用いて予測エネルギー削減比率の再演算が行われ(ステップS45−15)、その後ステップS45−5に戻り、上述したと同様にステップS45−5からステップS45−11が遂行され、予測貯湯熱量増加目標に達するまで繰り返し遂行され、再設定した予測暖房負荷割合でもって予測貯湯熱量増加目標値に達すると、ステップS45−12に移る。一方、上述した予測エネルギー削減比率のピックアップによっても予測貯湯熱量増加目標値に達しない場合、再びステップS45−10からステップS45−13に移り、予測暖房負荷割合の変更が可能かが判断される。予測エネルギー削減比率のピックアップを最大限行っても予測貯湯増加熱量が例えば2200kcalしか増加せず、例えば100kcalの熱量不足が生じる(この場合、熱電併給装置2の発生熱量は暖房装置210に利用されず、その発生熱量の全てが温水として貯湯タンク22に蓄熱されるようになり、従って時間帯「4」における貯湯熱量増加目標値は例えば2300kcalと小さくなり、この貯湯熱量増加加目標値に対して例えば100kcalの熱不足となる)。この場合、予測暖房負荷割合変更手段232による設定変更が許容されないので、この段階の仮運転パターンでもって第1番目の熱不足時間帯の熱不足に対するピックアップが終了する。
尚、この実施形態では、予測暖房負荷割合を三段階に、例えば100%、50%及び0%に設定変更可能に構成しているが、この予測暖房負荷割合を二段階又は四段階以上の適宜の段階に設定可能に構成することもできる。
上述したようにしてステップS45−12に進むと、設定時間範囲(現時刻から24時間)に熱不足時間帯が存在するかが判断され、次の熱不足時間帯が存在する場合、増加目標ピックアップ手段110は、現時点からの時刻順に第2番目の熱不足時間帯をピックアップし、ステップS45−1に戻って、第2番目の熱不足時間帯の熱不足に対しての増加修正が行われる。この第2番目に対するピックアップは、図13及び図14を参照しながら上述したように行われる。そして、設定時間範囲に存在する熱不足の全て、例えばn番目の熱不足に対して仮運転パターンの増加修正が行われ、n番目までの全熱不足に対する増加修正が行われると、ステップS45−12からステップS45−18に進み、増加修正された第n仮運転パターンが仮運転修正パターンとしてメモリ手段102に登録される。
尚、上述したと同様に、次の熱不足時間帯の前に、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が過剰となる熱余剰時間帯が存在すると、増加側修正手段84の増加目標ピックアップ禁止手段は、熱余剰時間帯の後に発生する熱不足に対するピックアップを禁止し(ステップS45−17)、熱余剰時間帯より後に発生する熱不足に対する仮運転パターンの修正は行われず、熱余剰時間帯の前に発生する熱不足に対する仮運転パターンの増加修正が仮運転修正パターンとして登録される(ステップS45−18)。
この実施形態においても、上述したと同様に、予測エネルギー削減比率をピックアップしたときに、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最大蓄熱量以上になったかを判断し、設定最大蓄熱量以上になったときには、ステップS45−7からステップS45−19及びステップS45−20を経てステップS45−5に移るように構成されている。
次に、仮運転パターンの削減側修正について説明する。この削減側修正については、制御手段70Aの削減側修正手段86によって上述したと同様に行われる。この際、削減修正であるので、予測暖房負荷割合の変更は考慮する必要はなく、また、予測エネルギー削減比率Pp1についても、上述したと同様に、
Pp1=〔(熱電併給装置の特定出力時の発電所を運転したときに対する熱電併給 装置を運転させたときの予測エネルギー削減量)−(熱電併給装置のベー ス出力時の発電所を運転させたときに対する熱電併給装置を運転させたと きの予測エネルギー削減量)〕/〔(熱電併給装置の特定出力時の予測有 効ラジエター放熱量)−(熱電併給装置のベース出力時の予測有効ラジエ ター放熱量)〕 ・・・(16)
となり、その詳細については上述したと同様であるので省略する。また、この場合においても、貯湯タンク22の予測貯湯蓄熱量が設定最低蓄熱量以下になるときには、削減側修正手段86の削減比率ピックアップ禁止手段はこの予測エネルギー削減比率のピックアップを禁止し、設定最低蓄熱量以下とならない時間帯範囲において、予測エネルギー削減比率のピックアップを行う。
図32に戻って、上述したようにして仮運転パターンの増加修正が行われると、しきい値による運転が許可されるか否かが判定され、上述した実施形態と同様の条件を満たすときにはしきい値による運転が許可される一方、上述した許可されない条件をみたすときには、しきい値による運転は許可されない。
次に、エネルギー削減比率しきい値の設定について説明すると、このエネルギー削減比率の設定は、上述した実施形態と略同様に行われ、しきい値の運転に際しては、しきい値演算設定手段88Aによって出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値が設定される(ステップS55)。例えば、仮運転修正パターン(予測暖房負荷については、仮運転修正パターンが設定されたときの予測暖房負荷となる)の発電出力が図42(a)に示す通りである、即ち時間帯「1」では900W、時間帯「2」では900W、また時間帯「3」では700Wに選定されているとすると、これらの時間帯の各々において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力に対する修正発電出力(仮運転修正スケジュールの発電出力)の仮運転エネルギー削減比率が仮運転エネルギー削減比率演算手段90Aによって演算され(予測エネルギー削減比率と同様にして演算される)、その演算値は、例えば図42(b)に示す通りとなる。このような場合、しきい値設定手段92は、仮運転エネルギー削減比率のうち最も小さい値「1.3」(時間帯「3」の700W)を出力上昇のためのエネルギー削減比率しきい値として設定する。尚、このとき、図43に示すように、電主運転(仮運転パターン)からの熱電併給装置2の出力上昇に伴って貯湯タンク22の予測貯湯増加熱量が貯湯熱量増加目標値を超えることもあるが、このように超えたとしても仮運転エネルギー削減比率演算手段90Aによる演算が行われる。
このエネルギー削減比率しきい値(単に「しきい値」ともいう)を用いたしきい値運転モードによる運転(ステップS56)においては、現エネルギー削減比率演算手段96は、現時点における現電力負荷(例えば、5分の移動平均電気負荷)、予測給湯熱負荷及び予測暖房熱負荷並びに予測電力負荷に基づく貯湯量増加目標までの時間を考慮して、現電力負荷による電主運転の発電出力に対する燃料電池6の各発電出力(例えば、300W〜1000Wの範囲における100W刻みの出力)における現エネルギー削減比率を演算し、この現エネルギー削減比率の演算は、上述した予測エネルギー削減比率と同様にして演算することができる。そして、各発電出力の現エネルギー削減比率と上記エネルギー削減比率しきい値との対比が行われ、これらの現エネルギー削減比率の少なくとも一つが上記しきい値を超える場合、発電出力設定手段98は、このしきい値を超える現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最も大きい出力を発電出力として設定し、燃料電池6はこの発電出力でもって運転される。
一方、各発電出力の現エネルギー削減比率のいずれもが上記しきい値を超えない場合、発電出力設定手段98による発電出力の設定は行われず、燃料電池6は現電力負荷をまかなうように電主運転モードによる運転が行われる。この電主運転モード(他の場合における電主運転モードも含む)においては、この現電力負荷として、例えば、現時点から5分前までの電力負荷の平均値を用いることができる。
この増加修正モードが設定された場合、予測暖房熱負荷が発生すると予測した予測暖房熱負荷発生時間帯(この実施形態では、時間帯「3」及び「4」の時間帯)に対応する現在の稼働時間帯において暖房装置210が実際に作動すると、熱電併給装置2にて発生する熱が暖房装置210の暖房熱として用いられ、暖房装置210に利用される暖房用熱量は、貯湯タンク22での蓄熱を考慮して修正仮運転パターンで設定された予測暖房負荷の熱量だけ利用されるようになり、暖房用熱として利用する時間帯範囲は上記予遅く暖房熱負荷発生時間帯に対応する時間帯範囲となり、この時間帯範囲から外れると、暖房用熱として利用しなくなり、このようにして貯湯タンク22の温水不足の発生を抑えている。
また、上述したようにして仮運転パターンの削減修正が行われると、この場合においても、しきい値による運転が許可されるか否かが判定され、上述した実施形態と同様の条件を満たすときにはしきい値による運転が許可される一方、上述した許可されない条件をみたすときには、しきい値による運転は許可されない。
次に、エネルギー削減比率しきい値の設定について説明すると、このエネルギー削減比率の設定は、上述した実施形態と略同様に行われ、しきい値の運転に際しては、しきい値演算設定手段88Aによって出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値が設定される(ステップS49)。例えば、仮運転修正パターン(予測暖房負荷については、仮運転修正パターンが設定されたときの予測暖房負荷となる)の発電出力が図44(a)に示す通りである、即ち時間帯「1」では300W、時間帯「2」では600W、また時間帯「3」では300Wに選定されているとすると、これらの時間帯の各々において、仮運転パターンの発電出力をベースに、この発電出力に対する修正発電出力(仮運転修正スケジュールの発電出力)の仮運転エネルギー削減比率が仮運転エネルギー削減比率演算手段90Aによって演算され、その演算値は、例えば図44(b)に示す通りとなる。このような場合、しきい値設定手段92は、仮運転エネルギー削減比率のうち最も小さい値の絶対値「1.0」(時間帯「1」の300W)を出力低下のためのエネルギー削減比率しきい値として設定する。尚、このとき、図45に示すように、電主運転(仮運転パターン)からの熱電併給装置2の出力低下に伴って貯湯タンク22の予測削減貯湯熱量が貯湯熱量削減目標値を超えることもあるが、このように超えたとしても仮運転エネルギー削減比率演算手段90Aによる演算が行われる。
このエネルギー削減比率しきい値(単に「しきい値」ともいう)を用いたしきい値運転モードによる運転(ステップS50)においては、現エネルギー削減比率演算手段96は、現時点における現電力負荷(例えば、5分の移動平均電気負荷)、予測給湯熱負荷及び予測暖房熱負荷並びに予測電力負荷に基づく貯湯量削減目標までの時間を考慮して、現電力負荷による電主運転の発電出力に対する燃料電池6の各発電出力(例えば、300W〜1000Wの範囲における100W刻みの出力)における現エネルギー削減比率を演算し、この現エネルギー削減比率の演算は、上述したと同様にして演算することができる。そして、各発電出力の現エネルギー削減比率と上記エネルギー削減比率しきい値との対比が行われ、これらの現エネルギー削減比率の絶対値の少なくとも一つが上記しきい値を超える場合、発電出力設定手段98は、このしきい値を超える絶対値の現エネルギー削減比率に対応する発電出力のうち最も小さい出力を発電出力として設定し、燃料電池6はこの発電出力でもって運転される。
一方、各発電出力の絶対値の現エネルギー削減比率のいずれもが上記しきい値を超えない場合、発電出力設定手段98による発電出力の設定は行われず、燃料電池6は現電力負荷をまかなうように電主運転モードによる運転が行われる。この電主運転モード(他の場合における電主運転モードも含む)においては、この現電力負荷として、例えば、現時点から5分前までの電力負荷の平均値を用いることができる。
この削減修正モードが設定された場合、現在の稼働時間帯において暖房装置210が作動すると、熱電併給装置2にて発生する熱が暖房装置210の暖房熱として用いられ、このように暖房熱に用いることによって、発生する熱をできるだけ暖房熱として利用して放熱の発生を少なく抑えることができる。
以上、本発明に従うコージェネレーションシステムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されえるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態における図5のフロー(又は図32のフロー)は、例えば30分間隔、60分間隔などの適宜の時間間隔で遂行されるように設定することができ、このように設定した場合、エネルギー削減比率の演算、そのピックアップなどはこの時間間隔で行われる。
また、例えば、上述した実施形態では、熱不足を解消するための仮運転パターンの増加修正と温水過剰を解消するための仮運転パターンの削減修正とを組み合わせて説明したが、増加修正及び削減修正を組み合わせることなく単独で適用することも可能である。