このようなコージェネレーションシステムでは、熱電併給装置により発生する電力及び熱(温水のかたちで回収される)を所要の通りに消費するときには、熱電併給装置を効率良く運転することができ、従って、エネルギーの利用効率が高くなる。しかし、発生する電力及び熱の消費にアンバランスが生じると、熱電併給装置の運転効率が悪くなり、エネルギーの利用効率が低下する。
このような背景から、従来の熱電併給装置では、過去の運転実績、即ち過去負荷データに基づいて熱電併給装置の運転スケジュールを決定し、この運転スケジュールに基づいて熱電併給装置を運転制御している。このように過去の実績に基づいて制御することによって、運転日の負荷状態をある程度予測することができ、熱電併給装置をある程度効率よく運転制御することができる。
ところが、従来のコージェネレーションシステムでは、過去の負荷データを考慮して運転スケジュールが決定されるが、運転日の負荷データが考慮されておらず、それ故に、日々変動する負荷データを考慮した運転制御となっておらず、熱電併給装置を充分に効率よく運転しているとは言えなかった。
また、負荷状態に応じて熱電併給装置の出力を変動可能に構成したものが提案されている。このようなシステムでは、負荷状態に応じて熱電併給装置の出力が変動し、最適な運転状態で運転されるように制御され、このようにその出力を調整することによって、ある程度効率よく運転制御することができる。
しかしながら、このような熱電併給装置の出力を変動させるものにおいても、その運転制御は、過去の負荷データを考慮して運転スケジュールが決定され、運転日の負荷データが考慮されておらず、それ故に、熱電併給装置を充分に効率よく運転しているとは言えなかった。
本発明の目的は、熱電併給装置の出力が変動する形態のものにおいて、比較的簡単な制御でもって省エネで効率良く運転することができるコージェネレーションシステムを提供することである。
本発明の請求項1に記載のコージェネレーションシステムは、電力と熱を発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置から発生する電力を商業電力供給ラインに系統連系するためのインバータと、前記熱電併給装置から発生する熱を回収して温水として貯えるための貯湯装置と、前記熱電併給装置を運転制御するための制御手段と、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記熱電併給装置は、負荷の大きさにより、その出力が変動するように構成されており、前記制御手段は、過去負荷データに基づいて運転日の予測負荷データを演算し、前記熱電併給装置の最小出力の運転時に発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱量と演算した前記予測負荷データとに基づいて、前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量を考慮した有効予測負荷データを演算し、この有効予測負荷データに基づいて、単位運転時間毎の省エネルギーの度合いを示す予測運転省エネ度を演算し、更にこの予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値を演算するとともに、運転日の現負荷データ及び過去負荷データに基づいて現運転省エネ度を演算し、前記現運転省エネ度が前記省エネ度しきい値より小さいときには前記熱電併給装置を前記最小出力で運転し、前記現運転省エネ度が前記省エネ度しきい値以上であるときには前記現運転省エネ度の運転条件で前記熱電併給装置を運転することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記熱電併給装置の最小出力運転時に発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱量並びに最小出力運転時に必要とする最小出力必要エネルギーに基づいて、前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量を考慮した前記有効予測負荷データ並びに前記最小出力必要エネルギーを考慮した有効予測必要エネルギーを演算し、前記有効予測負荷データ及び前記有効予測必要エネルギーに基づいて、単位運転時間毎の前記予測運転省エネ度を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項3に記載のコージェネレーションシステムでは、前記熱電併給装置は、負荷の大きさにより、その出力が複数段にステップ状に変動するように構成され、前記制御手段は、前記有効予測負荷データ及び前記有効予測必要エネルギーに基づいて、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について前記単位運転時間毎の予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値をこの単位運転時間の前記予測運転省エネ度として設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項4に記載のコージェネレーションシステムでは、前記熱電併給装置は、負荷の大きさにより、その出力が複数段にステップ状に変動するように構成され、前記制御手段は、前記有効予測負荷データ及び前記有効予測必要エネルギーに基づいて、運転スケジュール時間の単位運転時間毎について前記複数段の出力の各々についての予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度のうち最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間のその出力状態の予測省エネ度と選定し、次に、選定された単位運転時間のその出力状態を除く残りの単位運転時間の出力状態のついて予測省エネ度を再演算し、残りの単位運転時間の出力状態について最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間のその出力状態の予測省エネ度と選定し、所定の条件を満たすまで予測省エネ度の再演算を遂行することを特徴とする。
また、本発明の請求項5に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記熱電併給装置の最小出力運転時に発生する前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量と前記運転日の現負荷データ及び過去負荷データとに基づいて、前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量を考慮した前記運転日の有効現負荷データ及び有効過去負荷データを演算し、前記運転日の前記有効現負荷データ及び前記有効過去負荷データに基づいて前記現運転省エネ度を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項6に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記有効現負荷データ及び前記有効過去負荷データに基づいて現運転省エネ度を演算するための現運転省エネ度演算手段を含み、前記現運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について現省エネ度を演算し、演算した現省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を前記現運転省エネ度とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項7に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記熱電併給装置の最小出力運転時に発生する前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量並びに最小出力運転時に必要とする最小出力必要エネルギーと前記運転日の現負荷データ及び過去負荷データとに基づいて、前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量を考慮した前記運転日の有効現負荷データ及び有効過去負荷データ並びに前記最小出力必要エネルギーを考慮した有効現必要エネルギーを演算し、前記運転日の前記有効現負荷データ、前記有効過去負荷データ及び有効現必要エネルギーに基づいて前記現運転省エネ度を演算することを特徴とする。
また、本発明の請求項8に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記有効現負荷データ、前記有効過去負荷データ及び前記有効現必要エネルギーに基づいて前記現運転省エネ度を演算するための現運転省エネ度演算手段を含み、前記現運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について現省エネ度を演算し、演算した現省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を前記現運転省エネ度とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項9に記載のコージェネレーションシステムでは、電力と熱を発生する熱電併給装置と、前記熱電併給装置から発生する電力を商業電力供給ラインに系統連系するためのインバータと、前記熱電併給装置から発生する熱を回収して温水として貯えるための貯湯装置と、前記熱電併給装置を運転制御するための制御手段と、を備えたコージェネレーションシステムであって、
前記熱電併給装置は、負荷の大きさにより、その出力が複数段にステップ状に変動するように構成されており、前記制御手段は、過去負荷データに基づいて運転日の予測負荷データを演算し、前記熱電併給装置の最小出力の運転時に発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱量と演算した前記予測負荷データとに基づいて、前記最小出力発電電力及び前記最小出力発生熱量を考慮した有効予測負荷データを演算し、この有効予測負荷データに基づいて、単位運転時間毎の省エネルギーの度合いを示す予測運転省エネ度を演算し、更にこの予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値を演算するとともに、運転日の現負荷データ及び過去負荷データに基づいて前記熱電併給装置の出力の各々について現省エネ度を演算し、演算された現省エネ度のいずれもが前記省エネ度しきい値より小さいと前記熱電併給装置を前記最小出力で運転し、前記複数段の出力の各々についての現省エネ度の少なくとも一つが前記省エネ度しきい値以上であると前記省エネ度しきい値以上の現省エネ度であって、且つ最大の出力状態の運転条件でもって前記熱電併給装置を運転することを特徴とする。
また、本発明の請求項10に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記省エネ度しきい値を設定するための省エネ度しきい値演算設定手段を含み、前記省エネ度しきい値演算設定手段は、運転スケジュール時間における前記有効予測電力負荷データを演算するための有効予測電力負荷演算手段と、前記運転スケジュール時間における有効予測熱負荷データを演算するための有効予測熱負荷演算手段と、前記運転スケジュール時間における有効予測必要エネルギーを演算するための有効予測必要エネルギー演算手段と、前記予測運転省エネ度を演算するための予測運転省エネ度演算手段と、前記予測運転省エネ度演算手段により演算設定された予測運転省エネ度に基づいて前記省エネ度しきい値を設定するためのしきい値設定手段と、を含んでおり、
前記熱電併給装置から前記商業電力供給ラインへの発生電力の逆潮流が生じないように構成されており、
前記予測運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について、前記有効予測電力負荷データ、前記有効予測熱負荷データ及び前記有効予測必要エネルギーに基づいて単位運転時間毎の予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度の最も省エネ度の度合いが高い演算値をこの単位運転時間の前記予測運転省エネ度と設定することを特徴とする。
本発明の請求項11に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記省エネ度しきい値を設定するための省エネ度しきい値演算設定手段を含み、前記省エネ度しきい値演算設定手段は、運転スケジュール時間における有効予測熱負荷データを演算するための有効予測熱負荷演算手段と、運転スケジュール時間における有効予測必要エネルギーを演算するための有効予測必要エネルギー演算手段と、予測運転省エネ度を演算するための予測運転省エネ度演算手段と、前記予測運転省エネ度演算手段により演算された予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値を設定するためのしきい値設定手段と、を含んでおり、
前記熱電併給装置から前記商業電力供給ラインへの発生電力の逆潮流が許容されるように構成されており、
前記予測運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について、前記有効予測熱負荷データ及び前記有効予測必要エネルギーに基づいて単位運転時間毎の予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度の最も省エネ度の度合いが高い演算値をこの単位運転時間の前記予測運転省エネ度と設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項12に記載のコージェネレーションシステムでは、前記省エネ度しきい値演算設定手段は、更に、前記運転スケジュール時間における有効予測必要貯湯熱量を演算するための有効予測必要貯湯熱量演算手段と、前記運転スケジュール時間における各単位運転時間毎の有効予測貯湯熱量を演算するための有効予測貯湯熱量演算手段を備え、前記しきい値設定手段は、前記予測運転省エネ度演算手段により演算された前記予測運転省エネ度の大きい順に単位運転時間の順位を選定し、前記予測運転省エネ度の大きい順に選定した単位運転時間の前記有効予測貯湯熱量を積算し、その積算値が前記有効予測必要貯湯熱量となるときの予測運転省エネ度を前記省エネ度しきい値として設定することを特徴とする。
また、本発明の請求項13に記載のコージェネレーションシステムでは、前記省エネ度しきい値演算設定手段は、更に、前記運転スケジュール時間における有効予測必要貯湯熱量を演算するための有効予測必要貯湯熱量演算手段と、前記運転スケジュール時間における単位運転時間毎の有効予測貯湯熱量を演算するための有効予測貯湯熱量演算手段と、所定の予測省エネ度を選定するための予測省エネ度選定手段と、予測省エネ度の再演算を判定するための再演算判定手段と、を備え、前記予測省エネ度選定手段は、前記運転スケジュール時間における予測省エネ度のうち最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間の予測運転省エネ度と選定し、前記再演算判定手段は、選定した単位運転時間の有効予測貯湯熱量を積算してその積算値が有効予測必要貯湯熱量に達するまで予測省エネ度の再演算を行い、再演算においては、前記予測省エネ度演算手段は、選定された単位運転時間を除く残りの単位運転時間について予測省エネ度を演算し、前記予測省エネ度選定手段は、前記残りの単位運転時間について最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間の予測運転省エネ度と選定することを特徴とする。
また、本発明の請求項14に記載のコージェネレーションシステムでは、前記予測熱負荷は予測暖房熱負荷及び予測給湯熱負荷であり、前記予測熱負荷演算手段は、予測暖房熱負荷データを演算するための予測暖房熱負荷演算手段及び予測給湯熱負荷データを演算するための予測給湯熱負荷演算手段を含んでおり、また制御手段は前記現運転省エネ度を演算するための現運転省エネ度演算手段を含み、前記現運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効現電力負荷データ、現暖房熱負荷データ及び有効予測給湯負荷データ並びに有効現必要エネルギーに基づいて現省エネ度を演算し、演算した現省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を現運転省エネ度とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項15に記載のコージェネレーションシステムでは、前記予測熱負荷は予測暖房熱負荷及び予測給湯熱負荷であり、前記予測熱負荷演算手段は、予測暖房熱負荷データを演算するための予測暖房熱負荷演算手段及び予測給湯熱負荷データを演算するための予測給湯熱負荷演算手段を含んでおり、また前記制御手段は前記現運転省エネ度を演算するための現運転省エネ度演算手段を含み、前記現運転省エネ度演算手段は、前記熱電併給装置の複数段の出力の各々について、現暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データ並びに有効現必要エネルギーに基づいて現省エネ度を演算し、演算した現省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を現運転省エネ度とすることを特徴とする。
また、本発明の請求項16に記載のコージェネレーションシステムでは、前記熱電併給装置は、それを冷却する冷却水を循環するための冷却水循環流路を含み、前記貯湯装置は、温水を貯えるための貯湯タンク及び前記貯湯タンクの温水を循環するための温水循環流路を含み、前記冷却水循環流路と前記温水循環流路との間には、前記冷却水循環流路を流れる冷却水と前記温水循環流路を流れる温水との間で熱交換するための熱交換器が設けられており、更に、前記冷却水循環流路、前記温水循環流路又は前記貯湯タンクには電気加熱ヒータが設けられ、前記電気加熱ヒータは、前記熱電併給装置にて発生する電力の余剰電力を利用して冷却水又は温水を加熱することを特徴とする。
また、本発明の請求項17に記載のコージェネレーションシステムでは、前記制御手段は、前記省エネ度しきい値を修正するためのしきい値修正手段を含み、前記熱電併給装置の発電機負荷率が第1所定値を超えると、前記しきい値修正手段は、設定された省エネ度しきい値が小さくなるように修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項18に記載のコージェネレーションシステムでは、前記しきい値修正手段は、前記熱電併給装置の発電機負荷率が第2所定値より下がると、設定された省エネ度しきい値が大きくなるように修正することを特徴とする。
また、本発明の請求項19に記載のコージェネレーションシステムでは、前記熱電併給装置は、その発電出力が、前記最小出力から最大出力まで無段階に変動するように構成されていることを特徴とする。
本発明の請求項1に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の出力が負荷の大きさに応じて変動するように構成されており、このような熱電併給装置を備えたシステムでは、熱電併給装置の運転を一旦停止するとその運転効率が悪化する場合に、制御手段は最小出力で運転されることを前提に熱電併給装置を運転制御する。このような運転制御では、過去負荷データに基づいて運転日の予測負荷データが演算され、この予測負荷データが、熱電併給装置の最小出力運転時に発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱量を考慮して、熱電併給装置の運転制御のための有効予測負荷データが演算され、この有効予測負荷データに基づいて単位運転時間毎の予測運転省エネ度が演算され、更にこの予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値が演算される。また、制御手段は、運転日の現負荷データ及び過去負荷データに基づいて現運転省エネ度を演算する。そして、現運転省エネ度が省エネ度しきい値より小さいときには、熱電併給装置をどの出力で運転しても省エネ運転が達成されないとして、熱電併給装置が最小出力で運転され、また現運転省エネ度が省エネ度しきい値以上になると、熱電併給装置をこの現運転省エネ度の運転条件でもって運転すると省エネ運転が達成されるとして、熱電併給装置はこの現運転省エネ度の運転条件で運転され、このように運転制御することによって、熱電併給装置の効率のよい省エネ運転を行うことができる。また、省エネ度しきい値と現運転省エネ度を用いて運転制御するので、比較的簡単な制御でもって熱電併給装置を省エネ運転を行うことができる。尚、熱電併給装置とは、燃料電池、内燃機関と発電機の組合せ、外燃機関と発電機の組合せなどである。
また、本発明の請求項2に記載されたコージェネレーションシステムによれば、制御手段は、熱電併給装置の最小出力運転時に発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱力を考慮して有効予測負荷データが演算され、またその最小出力運転時に必要とされる最小出力必要エネルギーを考慮して、熱電併給装置の運転制御のための有効予測必要エネルギーが演算され、これら有効予測負荷データ及び有効予測必要エネルギーに基づいて、単位運転時間毎の予測運転省エネ度が演算されるので、演算される予測運転省エネ度は有効予測負荷データ及び有効予測必要エネルギーを考慮したものとなり、実際の運転に即した予測運転省エネ度をより正確に演算することができる。
また、本発明の請求項3に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の出力がステップ状に変動するように構成されている。このような熱電併給装置を備えるものでは、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効予測負荷データ及び有効予測必要エネルギーに基づいて単位運転時間毎の予測省エネ度が演算され、演算された予測省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値が予測運転省エネ度として設定され、このように設定することによって、複数段の出力のうち最も省エネ運転となる出力での運転状態が設定され、熱電併給装置の出力が変動するシステムにおける運転効率を高めて省エネを達成することができる。尚、熱電併給装置の出力は、例えば、最大出力(例えば、1000W)、最大出力の75%出力(例えば、750W)、最大出力の50%出力(例えば、500W)及び最大出力の25%の最小出力(例えば、250W)の4段階にステップ状に変動させることができるが、3段階に、又は5段階以上にステップ状に変動させるようにすることもできる。
また、本発明の請求項4に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の出力は、負荷の大きさにより複数段にステップ状に変動するように構成されており、このよう場合、制御手段は、有効予測負荷データ及び有効予測必要エネルギーに基づいて、運転スケジュール時間の単位運転時間毎について複数段の出力の各々についての予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度のうち運転スケジュール時間を通して最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間のその出力状態の予測運転省エネ度として選定する。次に、この制御手段は、選定された単位運転時間のその出力状態を除く残りの単位運転時間の各々について予測省エネ度を再演算し、この再演算した予測省エネ度のうち運転スケジュール時間を通して最も省エネ度の大きい演算値をその単位運転時間のその出力状態の予測運転省エネ度として選定する。このように運転スケジュール時間を通して単位運転時間の予測運転省エネ度を選定するので、選定された予測運転省エネ度による熱電併給装置の運転は、一層省エネ度が達成されたものとなる。
また、本発明の請求項5に記載されたコージェネレーションシステムによれば、運転日の現負荷データ及び過去負荷データ並びに熱電併給装置の最小出力運転時の最小出力発電電力及び最小電力発生熱量に基づいて、運転日の有効現負荷データ及び有効過去負荷データが演算され、運転日有効現負荷データ及び有効過去負荷データに基づいて現運転省エネ度が演算されるので、熱電併給装置の最小出力を考慮した現運転省エネ度を演算することができる。
また、本発明の請求項6に記載されたコージェネレーションシステムによれば、制御手段は現運転省エネ度演算手段を備え、この現運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効現負荷データ及び有効過去負荷データに基づいて現省エネ度を演算し、これら現省エネ度のうち最も現省エネ度の高い演算値を現運転省エネ度とするので、熱電併給装置の複数段の出力のうち最も省エネとなる運転条件での運転となり、熱電併給装置を省エネで運転することができる。
また、本発明の請求項7に記載されたコージェネレーションシステムによれば、運転日の現負荷データ及び過去負荷データ並びに熱電併給装置の最小出力運転時に発生する最小出力発電電力及び最小電力発生熱量並びにその最小出力運転時に必要とする最小出力必要エネルギーに基づいて、運転日の有効現負荷データ及び有効過去負荷データ並びに有効現必要エネルギーが演算され、運転日の有効現負荷データ、有効過去負荷データ及び有効現必要エネルギーに基づいて現運転省エネ度が演算されるので、実際の運転に即して熱電併給装置をより省エネで効率よく運転制御することができる。
また、本発明の請求項8に記載されたコージェネレーションシステムによれば、制御手段は現運転省エネ度演算手段を備え、この現運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効現負荷データ、有効過去負荷データ及び有効現必要エネルギーに基づいて現省エネ度を演算し、これら現省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を現運転省エネ度とするので、この現運転省エネ度を用いた運転制御は、熱電併給装置の複数段の出力のうち最も省エネとなる出力での運転となり、実際の運転に即して熱電併給装置をより省エネで運転することができる。
また、本発明の請求項9に記載されたコージェネレーションシステムによれば、制御手段は有効予測負荷データに基づいて予測運転省エネ度を演算し、更にこの予測運転省エネ度に基づいて、運転制御する際の基準となる省エネ度しきい値を設定するとともに、運転日の現負荷データ及び過去負荷データに基づいて熱電併給装置の複数段の出力の各々について現省エネ度を演算する。そして、制御手段は現省エネ度が省エネ度しきい値以上であるかを判別し、現省エネ度のいずれもが省エネ度しきい値より小さいと、熱電併給装置を最小出力で運転する。また現省エネ度の少なくとも一つが省エネ度しきい値以上であると、制御手段はこの省エネ度しきい値以上の現省エネ度の運転条件であって、出力状態が最も大きい運転状態を選定し、この運転条件でもって熱電併給装置を運転する。従って、このように運転制御することによって、熱電併給装置の省エネ運転が達成されるとともに、お湯の発生を多くして給湯時のお湯不足を一層少なくすることができる。
また、本発明の請求項10に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置から商業電力供給ラインへの発電電力の逆潮流が許容されないように構成され、熱電併給装置の余剰電力は商業系統に流れることはない。このようなシステムでは、有効予測電力負荷演算手段は熱電併給装置の最小出力発電電力を考慮した有効予測電力負荷データを演算し、また有効予測熱負荷演算手段は熱電併給装置の最小出力発生熱量を考慮した有効予測熱負荷データを演算し、有効予測必要エネルギー演算手段は熱電併給装置の最小出力必要エネルギーを考慮した有効予測必要エネルギーを演算する。予測運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効予測電力負荷データ、有効予測熱負荷データ及び有効予測必要エネルギーに基づいて単位運転時間毎の予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を予測運転省エネ度として設定する。このように設定される予測運転省エネ度は、予測電力負荷、予測熱負荷及び予測必要エネルギーを考慮し、また熱電併給装置の各種運転状態をも考慮したものとなる。そして、しきい値設定手段は、かく演算された予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値を設定するので、省エネ度しきい値を用いて熱電併給装置を作動制御することによって、給湯時にお湯の不足が生じないように熱電併給装置を省エネで効率良く運転することができる。
また、本発明の請求項11に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置から商業電力供給ラインへの発電電力の逆潮流が許容されるように構成され、熱電併給装置の余剰電力は商業系統に逆潮流される。このようなシステムでは、負荷として熱負荷を考慮すればよく、有効予測熱負荷演算手段は熱電併給装置の最小出力発電電力を考慮した有効予測熱負荷データを演算し、有効予測必要エネルギー演算手段は熱電併給装置の最小出力必要エネルギーを考慮した有効予測必要エネルギーを演算する。予測運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効予測熱負荷データ及び有効予測必要エネルギーに基づいて単位運転時間毎の予測省エネ度を演算し、演算した予測省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値を予測運転省エネ度として選定し、このように選定した予測運転省エネ度は、予測熱負荷及び予測必要エネルギーとともに熱電併給装置の各種運転状態を考慮したものとなる。そして、しきい値設定手段は、かく演算された予測運転省エネ度に基づいて省エネ度しきい値を設定するので、上述したと同様に、省エネ度しきい値を用いて熱電併給装置を作動制御することによって、給湯時にお湯の不足が生じないように熱電併給装置を効率良く運転することができる。
また、本発明の請求項12に記載されたコージェネレーションシステムによれば、省エネ度しきい値演算設定手段の有効予測必要貯湯熱量演算手段は運転スケジュール時間における有効予測必要貯湯熱量を演算し、その有効予測貯湯熱量演算手段は、運転スケジュール時間における各単位運転時間毎の有効予測貯湯熱量を演算し、しきい値設定手段は、予測運転省エネ度の大きい順に選定した単位運転時間の有効予測貯湯熱量を積算し、その積算値が有効予測必要貯湯熱量となるときの予測運転省エネ度を省エネ度しきい値として設定するので、熱電併給装置は省エネ度が大きいときに運転されるようになり、従って、比較的簡単に熱電併給装置を効率良く運転制御することができる。また、有効予測貯湯熱量の積算値が有効予測必要貯湯熱量となるようにしているので、省エネ度しきい値を用いた運転制御では、給湯時のお湯の不足が生じることがほとんどなく、コージェネレーションシステムを効率よく運転することができる。
また、本発明の請求項13に記載されたコージェネレーションシステムによれば、省エネ度しきい値演算設定手段の有効予測必要貯湯熱量演算手段は運転スケジュール時間における有効予測必要貯湯熱量を演算し、その有効予測貯湯熱量演算手段は運転スケジュール時間における各単位運転時間毎の有効予測貯湯熱量を演算し、予測省エネ度演算手段は、運転スケジュール時間を通して省エネ度の度合いが最も大きい演算値をその単位運転時間の予測運転省エネ度と選定する。そして、再演算判定手段は、選定した単位運転時間の有効予測貯湯熱量を積算してその積算値が有効予測必要貯湯熱量に達するまで予測省エネ度の再演算を行う。そして、再演算においては、選定された単位運転時間を除く残りの単位運転時間について予測省エネ度の演算が行われ、予測省エネ度選定手段は、再び、残りの単位運転時間について省エネ度の最も大きい演算値をその単位運転時間の予測運転省エネ度として選定する。このように予測運転省エネ度を選定した後、残りの単位運転時間についての予測省エネ度を再演算するので、熱電併給装置の省エネ運転をより達成することができ、また給湯時のお湯不足の発生をほとんどなくすことができる。
また、本発明の請求項14に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置から商業系統への逆潮流が許容されないように構成されており、このようなシステムでは、予測熱負荷演算手段は予測暖房熱負荷データ及び予測給湯熱負荷データに基づいて予測熱負荷データを演算し、有効予測熱負荷演算手段は熱電併給装置の最小出力運転を考慮して有効予測熱負荷データを演算する。また、現運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効現電力負荷データ、現暖房熱負荷データ及び有効給湯熱負荷データ並びに有効現必要エネルギーに基づいて現省エネ度を演算し、これら現省エネ度のうち最も省エネ度の高いものを現運転省エネ度とする。従って、このコージェネレーションシステムにおける現運転省エネ度は、電力、暖房、給湯及び必要エネルギー並びに熱電併給装置の出力状態を考慮したものとなり、システムを効率よく省エネ運転することができる。
また、本発明の請求項15に記載のコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置から商業系統への逆潮流が許容されるように構成されており、このようなシステムでは、予測熱負荷演算手段は予測暖房熱負荷データ及び予測給湯熱負荷データに基づいて予測熱負荷データを演算し、有効予測熱負荷演算手段は熱電併給装置の最小出力運転を考慮して有効予測熱負荷データを演算する。また、現運転省エネ度演算手段は、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、現時点の現暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データ並びに有効現必要エネルギーに基づいて現省エネ度を演算し、これら現省エネ度のうち最も省エネ度の高いものを現運転省エネ度とする。従って、このコージェネレーションシステムにおける現運転省エネ度は、暖房、給湯及び必要エネルギー並びに熱電併給装置の出力状態を考慮したものとなり、システムを効率よく省エネ運転することができる。
また、本発明の請求項16に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の冷却水循環流路と貯湯装置の温水循環流路との間に熱交換器が設けられ、熱電併給装置にて発生した熱は、冷却水循環流路の冷却水及び温水循環流路の温水を介して貯湯タンクに温水として貯えられる。また、冷却水循環流路、温水循環流路又は貯湯タンクには電気加熱ヒータが配設され、熱電併給装置にて発生した電力の余剰電力が電気加熱ヒータに送給され、この電気加熱ヒータによって冷却水又は温水が加熱され、余剰電力が熱(即ち温水)として回収される。
また、本発明の請求項17に記載されたコージェネレーションシステムによれば、制御手段はしきい値修正手段を含み、熱電併給装置の発電機負荷率が第1所定値(例えば、75〜80%)を超えると、しきい値修正手段は、設定した省エネ度しきい値が小さくなるように修正する。発電機負荷率とは、熱電併給装置の定格発電電力に対する電力負荷(電気機器)の消費電力の比率であり、この発電機負荷率が第1所定値を超えるということは、発電電力の多くが電力負荷で消費されるということである。このような場合に省エネ度しきい値を小さく修正すると、熱電併給装置が出力の大きい運転状態で運転され易くなり、従って、熱電併給装置のより大きい出力での運転時間を多くして電力負荷を考慮した効率的な運転を行うことができる。
また、本発明の請求項18に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の発電機負荷率が第2所定値(例えば、75〜80%)より下がると、しきい値修正手段は、設定した省エネ度しきい値が大きくなるように修正する。このように省エネ度しきい値を大きく修正すると、熱電併給装置が出力の大きい運転状態で運転され難くなり、従って、熱電併給装置の大きい出力での運転時間が抑えられる。尚、この第2所定値は上記第1所定値と同じ値でもよいが、上記第1所定値より小さい値でもよい。
また、本発明の請求項19に記載されたコージェネレーションシステムによれば、熱電併給装置の発電電力が最小出力(例えば、250W)から最大出力(例えば、1000W)まで無段階に変動し、このような熱電併給装置を備えたシステムにも適用することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の実施形態のコージェネレーションシステムについて説明する。
〔第1の実施形態〕
まず、図1〜図7を参照して、第1の実施形態のコージェネレーションシステムについて説明する。図1は、第1の実施形態のコージェネレーションシステムを簡略的に示すシステムブロック図であり、図2は、図1のコージェネレーションシステムの制御系の一部を簡略的に示すブロック図であり、図3は、図2の制御系における制御手段を簡略的に示すブロック図であり、図4は、省エネ度しきい値演算設定手段による予測運転省エネ度の演算を説明するための簡略説明図であり、図5は、省エネ度しきい値演算設定手段による省エネ度しきい値の設定を説明するための簡略説明図であり、図6は、図1のコージェネレーションシステムの運転制御の一部を示すフローチャートであり、図7は、図6のフローチャートにおける省エネ度しきい値の設定の流れを具体的に示すフローチャートである。
図1において、図示のコージェネレーションシステムは、電力と熱とを発生する熱電併給装置2と、熱電併給装置2にて発生した熱を回収して温水として貯える貯湯装置4とを備えている。図示の熱電併給装置2は燃料電池6から構成され、燃料電池6にて発生する排熱が貯湯装置4に温水として貯えられる。この熱電併給装置2は、燃料電池6に代えて、例えば、内燃機関及と発電装置の組合せ、外燃機関と発電装置の組合せなどでもよい。この実施形態では、燃料電池6は、その発電出力が4段階にステップ状に変動可能に構成され、例えば、最大出力(例えば、1000W)、最大出力の75%出力(例えば、750W)、最大出力の50%出力(例えば、500W)及び最大出力の25%出力(例えば、250W)のいずれかで運転されるように構成されている。
燃料電池6の出力側には系統連系用のインバータ10が設けられ、このインバータ10は、燃料電池6の出力電力を商業系統12から供給される電力と同じ電圧及び同じ周波数にする。商用系統12は、例えば単相3線式100/200Vであり、商業用電力供給ライン14を介して電力負荷16、例えばテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの各種電気機器に電気的に接続される。インバータ10は、コージェネ用供給ライン18を介して電力供給ライン14に電気的に接続され、発電装置8からの発電電力がインバータ10及びコージェネ用供給ライン18を介して電力負荷16に供給される。
電力供給ライン14には電力負荷計測手段20が設けられ、この電力負荷計測手段20は、商用系統12からの買電力と、図示しない発電電力を計測する手段及び電気加熱ヒータ52(後述する)での消費電力を計測する手段においてそれぞれ計測された各電力とから電力負荷16の負荷電力を計測する。この電力負荷計測手段20は、また、電力供給ライン14を通して流れる電流に逆潮流が発生するか否かを検知し、この実施形態では、逆潮流が生じないように、燃料電池6からインバータ10を介して電力供給ライン14に供給される電力が制御され、発電電力の余剰電力は、電気加熱ヒータ52により熱に変換され、回収熱として貯湯装置4に温水で貯えられる。
図示の貯湯装置4は、温水を貯える貯湯タンク22と、貯湯タンク22の温水を循環する温水循環流路24とを含んでいる。貯湯タンク22の底部と温水循環流路24とは温水流出流路26を介して接続され、また貯湯タンク22の上部と温水循環流路24とは温水流入流路28を介して接続され、この温水流入流路28に第1開閉弁30が配設されている。また、温水循環流路24の所定部位には第2開閉弁32が配設されているとともに、温水を循環させるための温水循環ポンプ34が配設されている。このように構成されているので、第1開閉弁30が開状態で、第2開閉弁32が閉状態のときには、貯湯タンク22の温水は温水流出流路26、温水循環流路24及び温水流入流路28を通して循環される。また、第1開閉弁30が閉状態で、第2開閉弁32が開状態のときには、貯湯タンク22の温水は温水流出流路26を流れ、温水循環流路24を通して循環される。
貯湯タンク22には、水(例えば水道水)を供給するための水供給流路36が設けられ、この水供給流路36の一端側が貯湯タンク22の底部に接続され、その他端側が水道管の如き水供給源(図示せず)に接続されている。
貯湯タンク22には、更に、温水を出湯するための温水出湯流路40が接続され、この温水出湯流路40の一端側が貯湯タンク22の上部に接続され、その他端側に、1又は2個以上のカラン(図示せず)が接続されており、カランを開栓すると、貯湯タンク22内の温水が温水出湯流路40を通して出湯する。
この実施形態では、温水循環流路24に補助加熱燃焼バーナ42が設けられている。都市ガスの如き燃料用ガス、重油の如き燃焼用油などの燃料が補助燃焼バーナ42に供給され、この燃料が補助加熱燃焼バーナにて燃焼され、この燃焼熱により温水循環流路24を流れる温水が加熱される。
また、熱電併給装置2は、燃料電池6からの冷却水を循環する冷却水循環流路46を含み、この冷却水循環流路46に冷却水循環ポンプ48が配設され、冷却水循環ポンプ48の作用にって、冷却水が冷却水循環流路46を通して循環される。この冷却水循環流路46と温水循環流路24との間には熱交換器50が配設され、この熱交換器50は、冷却水循環流路46を流れる冷却水と温水循環流路24を流れる水(又は温水)との間で熱交換を行い、燃料電池6の排熱が冷却水循環流路46を流れる冷却水及び温水循環流路24を流れる温水を介して貯湯タンク22に温水として貯えられる。
この実施形態では、燃料電池6の発電電力の余剰電力を熱でもって回収するための電気加熱ヒータ52が設けられている。電気加熱ヒータ52は複数個の電気ヒータ54から構成され、これら電気ヒータ54が冷却水循環流路46に配設され、各電気ヒータ54が作動スイッチ56を介して燃料電池6の出力側に接続されている。複数個の作動スイッチ56(作動スイッチ手段57を構成する)は、余剰電力に応じてその開閉状態が切り換えられ、余剰電力が大きい(又は小さい)ときには、電気ヒータ54の消費電力が大きく(又は小さく)なるように作動制御される。この電気加熱ヒータ52は、冷却水循環流路46に代えて、貯湯装置4の貯湯タンク22又は温水循環流路24に配設するようにしてもよい。
貯湯装置4の温水循環流路24には、温水循環流路24を通して流れる温水を暖房に用いるための暖房装置58が熱交換器64を介して接続される。暖房装置58は、例えば床暖房装置、浴室暖房乾燥機などであり、暖房装置58の暖房循環流路62と温水循環流路24との間に暖房用熱交換器64が設けられ、暖房用熱交換器64は温水循環流路24を流れる温水と暖房循環流路62を流れる温水との間で熱交換を行い、温水循環流路24を流れる温水の熱を利用して暖房装置58が加熱される。
上述したコージェネレーションシステムは、制御手段70によって作動制御される。図2及び図3をも参照して、制御手段70は、例えばマイクロコンピュータなどのコントローラから構成され、作動制御手段72、省エネ度しきい値演算設定手段74、現運転省エネ度演算手段76、タイマ手段78、第1メモリ80及び第2メモリ82を備えている。作動制御手段72は、インバータ10を制御するとともに、作動スイッチ手段57を切り換え制御し、また後述するようにして燃料電池6の運転状態を制御するとともに、冷却水循環ポンプ48などを作動制御する。
この作動制御手段72は、運転切換信号を生成する運転切換信号生成手段84と、省エネ度しきい値と現運転省エネ度とを比較する省エネ度比較手段86とを含んでいる。燃料電池6は、起動、起動停止を繰り返し遂行すると運転効率が悪くなるので、常時運転され、負荷が小さいときには最小出力(250W)で運転され、負荷が大きくなるとその負荷の大きさに応じて最大出力(1000W)、最大出力の75%出力(750W)及び最大出力の50%出力(500W)のいずれかで運転されるように構成されている。運転切換信号生成手段84は、後述するように、現運転省エネ度が省エネ度しきい値以上になると運転切換信号を生成し、燃料電池6は、現運転省エネ度の運転条件(即ち、現運転省エネ度となる出力)で運転される。
また、省エネ度しきい値演算設定手段74は、燃料電池6の運転状態を切り換える際の基準となる省エネ度しきい値を設定する。この実施形態においては、省エネ度しきい値演算設定手段74は、予測電力負荷演算手段90及び予測熱負荷演算手段92を備え、この予測熱負荷演算手段92は予測暖房熱負荷演算手段94及び予測給湯熱負荷演算手段96を含んでいる。予測電力負荷演算手段90は、過去の電力負荷16の使用による消費電力に基づいて将来の予測電力負荷データを演算する。熱電併給装置2の熱は暖房と給湯に用いられることに関連し、熱負荷として暖房熱負荷と給湯熱負荷が予測され、予測暖房熱負荷演算手段94は、暖房装置58(例えば、床暖房装置、浴室暖房乾燥機など)の使用による過去の暖房熱負荷データに基づいて将来の予測暖房熱負荷データを演算し、また予測給湯熱負荷演算手段96は、過去のお湯使用での給湯による給湯熱負荷データに基づいて将来の予測給湯熱負荷データを演算する。
図4(a)、(b)及び(c)に示すように、予測電力負荷演算手段90、予測暖房熱負荷演算手段94及び予測給湯熱負荷演算手段96は、現時点から将来にわたっての所定の運転スケジュール時間の予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び予測給湯熱負荷データを演算し、それらの負荷データの予測は、この運転スケジュール時間の単位運転時間毎に行われる。この実施形態では、運転スケジュール時間を24時間に、また単位運転時間を1時間に設定し、現時点から24時間先までの電力負荷、暖房熱負荷及び給湯熱負荷を予測し、これら負荷の予測を1時間毎に行っているが、運転スケール時間を例えば16時間、12時間などに、また単位運転時間を例えば0.5時間、0.25時間などに設定するようにしてもよい。
省エネ度しきい値演算設定手段74は、また、有効予測電力負荷データを演算するための有効予測電力負荷演算手段95と、有効予測熱負荷データ、この実施形態では有効予測給湯熱負荷データを演算するための有効予測熱負荷演算手段97とを含んでいる。この形態では、燃料電池6は常時運転され、最小出力又はそれ以上の出力で運転されるために、図4(d)及び(e)で示すように、燃料電池6の運転中は、少なくとも最小出力で運転されたときに発生する最小出力発電電力及び最小出力発生熱量が発生するようになる。
このようなことから、有効予測電力負荷演算手段95は、熱電併給装置2の最小出力運転時の最小出力発電電力を考慮した有効予測電力負荷(即ち、有効予測電力負荷)を演算し、この有効予測電力負荷の演算は、予測電力負荷から燃料電池6の最小出力発電電力を減算することにより行われ、最小出力発電電力が予測電力負荷よりも大きいときには、この余剰電力が電気加熱ヒータ52で熱に変換して貯湯装置4で温水として貯えるように行われ、有効予測電力負荷演算手段95による有効予測電力負荷データは、例えば図4(f)に示す通りとなる。
また、有効予測熱負荷演算手段97は、燃料電池6の最小出力運転時の最小出力発生熱量を考慮した有効予測熱負荷(この形態では、有効予測給湯熱負荷)を演算し、この有効予測熱負荷(有効予測給湯熱負荷)の演算は、燃料電池6の最小出力発生熱量でもって予測熱負荷(予測給湯熱負荷)をどれほどまかなえるかを演算し、最小出力発生熱量でまかなえる熱量を予測熱負荷(予測給湯熱負荷)から減算することにより行われ、有効予測熱負荷演算演算手段97による演算後の有効予測熱負荷データ(有効予測給湯熱負荷データ)は、例えば図4(g)で示す通りとなる。尚、この図4(g)の有効予測給湯負荷データは、燃料電池6の最小出力発電電力が予測電力負荷よりも大きいときに熱に変換されて温水として貯えられる熱量も考慮されており、このような熱量も予測給湯熱負荷から減算するようになる。
省エネ度しきい値演算設定手段74は、更に、有効発電出力演算手段98、運転状態判別手段100、熱出力演算手段102、有効貯湯熱量演算手段104及び予測省エネ度演算手段106を備えている。有効発電出力演算手段98は、コージェネレーションシステムの有効発電出力を演算する。このコージェネレーションシステムの有効発電出力E1は、
E1=電力負荷16での消費電力=熱電併給装置2の発電電力−(電気加熱ヒータ52
の消費電力+各種補機の消費電力) ・・・(1)
であり、有効発電出力演算手段98はこの式(1)利用して演算し、この実施形態では、熱電併給装置2の発電電力は4段階にステップ状に変動可能であるために、その運転状態の発電電力が用いられる。各種補機とは、コージェネレーションシステムで補助的に用いられる装置、機械であり、冷却水循環ポンプ48、温水循環ポンプ34などがこれに該当する。例えば、熱電併給装置2の発電電力が1000Wで、電気加熱ヒータ52の消費電力が300Wで、各種補機の消費電力が100Wであるときには、有効発電出力E1は600Wとなり、この有効発電出力が電力負荷16で消費されることになる。
運転状態判別手段100は、コージェネレーションシステムの運転状態を判別する。コージェネレーションシステムにおける熱負荷の使用形態は、回収熱を貯湯単独に用いる使用形態、回収熱を暖房単独に用いる使用形態及び回収熱を貯湯及び暖房に用いる使用形態の3つの使用形態があり、運転状態判別手段100は、システムの運転状態がいずれの運転使用状態であるかを判別する。
また、熱出力演算手段102は、コージェネレーションシステムの暖房熱出力E2を演算する。このコージェネレーションシステムの暖房熱出力E2は、
E2=暖房装置での消費熱量 ・・・(2)
であり、複数種の暖房装置(例えば、床暖房装置、浴室暖房乾燥機など)を使用するときには、これら暖房装置で消費される熱量の和となる。この熱出力E2については、各暖房装置で消費される熱量がある程度予測可能であることから、例えば暖房装置58を例えば1時間使用したときに1500kcalとすることができ、このように一律的にすることにより、後述する現省エネ度の演算を正確さを維持しながら簡略化を図ることができる。
また、有効貯湯熱量演算手段104は、貯湯タンク22に温水として貯えられる有効貯湯熱量(即ち、予測貯湯熱量)、換言するとコージェネレーションシステムの有効貯湯熱出力E3を演算する。このコージェネレーションシステムの有効貯湯熱出力E3は、
E3=(熱電併給装置2の排熱+電気加熱ヒータ52の回収熱H−暖房熱出力E2)
−放熱ロス ・・・(3)
であり、ここで、電気加熱ヒータ52の回収熱Hは、
H=電気加熱ヒータ52の消費電力×ヒータの熱効率 ・・・(4)
である。尚、電気加熱ヒータ52の消費電力は、上記(1)式から算出できる。
例えば、熱電併給装置2の排熱が2500kcalで、電気加熱ヒータ52の回収熱が300kcalで、暖房熱出力が1500kcalで、放熱ロスが200kcalであるときには、有効貯湯熱出力E3は1100kcalとなり、500kcalの熱量が温水として貯湯タンク22に貯えられることになる。一般に、お湯は長時間放置すると放熱により温度が低下するので、このように放熱ロスを考慮するのが望ましく、この放熱ロスは貯湯時間が長く(又は短く)なるほど大きく(又は小さく)なるが、後述する省エネ度の演算の簡略化を図るために、放熱ロスを省略するようにしてもよい。
予測運転省エネ度演算手段106は、次のようにして予測省エネ度を演算する。有効電力出力演算手段98、熱出力演算手段102及び有効貯湯熱量演算手段104は、それぞれ、運転スケジュール時間の単位運転時間毎に、有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データなどを用いて予測の有効発電出力E1、予測の暖房熱出力E2及び予測の有効貯湯熱出力E3を演算し、予測運転省エネ度演算手段106は、この単位運転時間毎に、予測の有効発電出力E1、予測の暖房熱出力E2及び予測の有効貯湯熱出力E3を用いて、熱電併給装置2(燃料電池6)を複数の発電出力でそれぞれ運転させた場合の、補助加熱燃焼バーナ42を稼働させた場合に対する予測省エネ度Pを演算し、演算した予測省エネ度のうち最も省エネ度の高い演算値(予測省エネ度)を予測運転省エネ度と選定する。
コージェネレーションシステムの省エネ度P(%)は、
P=〔(EK1+EK2+EK3)/熱電併給装置2の必要エネルギー〕×100
・・・(5)
=〔(EK1+EK2+EK3)/(その運転状態における熱電併給装置2発電出
力/その発電出力における発電効率)〕×100 ・・・(5A)
ここで、EK1,EK2,EK3,は、E1,E2,E3を変数とする関数であり、
EK1=有効発電出力E1の発電所一次エネルギー換算値
=f1(有効発電出力E1,発電所で発電するために必要なエネルギー)
EK2=暖房熱出力E2の従来給湯器でのエネルギー換算値
=f2(暖房熱出力E2,補助加熱燃焼バーナのバーナ効率(暖房時))
EK3=有効貯湯熱出力E3の従来給湯器でのエネルギー換算値
=f3(有効貯湯熱出力E3,補助加熱燃焼バーナのバーナ効率(給湯
時))
で表される。
予測運転省エネ度演算手段106は、上記式(5)又は上記式(5A)を用いて、予測省エネ度を演算するので、コージェネレーションシステムの各運転状態における予測省エネ度は、次のようになる。貯湯単独における予測省エネ度P(%)は、
P=〔(EK1+EK3)/熱電併給装置2の必要エネルギー〕×100
となり、暖房単独の運転状態における予測省エネ度P(%)は、
P=〔(EK1+EK2)/熱電併給装置2の必要エネルギー〕×100
となり、また貯湯及び暖房の運転状態における予測省エネ度P(%)は、
P=〔(EK1+EK2+EK3)/熱電併給装置2の必要エネルギー〕×100
となり、これらの適用式を用いることによって、熱電併給装置2を稼働させた場合の、補助加熱燃焼バーナ42を稼働させた場合に対する予測省エネ度Pを演算することができ、このような予測省エネ度Pの演算は、熱電併給装置2の各出力運転状態(この実施形態では、4段階の発電出力の各運転状態)について行われ、これら出力運転状態における予測省エネ度Pのうち省エネ度の度合いが最も大きいものが予測運転省エネ度として選定され、この予測運転省エネ度の運転条件でもって熱電併給装置2を運転することによって、その単位運転時間においては最も省エネで運転されることになる。
省エネ度しきい値演算設定手段74は、更に、貯湯熱量演算手段108、有効予測必要貯湯熱量演算手段110、有効予測貯湯熱量演算手段111及びしきい値設定手段112を備えている。貯湯熱量演算手段108は、貯湯タンク22に貯えられた温水の貯湯熱量を演算し、例えば温水の量とその温度に基づいて現時点の貯湯熱量を演算する。また、有効予測必要貯湯熱量演算手段110は、有効予測熱負荷演算手段97により演算された有効予測給湯熱負荷データから現時点の貯湯熱負荷データを減算して有効予測必要貯湯熱量を演算し、この有効予測必要貯湯熱量は、予測運転省エネ度を設定する際に利用される。有効予測貯湯熱量演算手段111は、熱電併給装置2の運転中における単位運転時間毎の有効予測貯湯熱量(運転中の予測貯湯熱量から最小出力運転時の予測貯湯熱量を減算した熱量)を演算し、この有効予測貯湯熱量が温水増加分として貯湯装置4に貯えられるようになる(最小出力運転と比較して、それより大きい出力運転において温水として貯えられる温水増加分となる)。また、しきい値設定手段112は、後述する如くして省エネ度しきい値を設定する。
更に、制御手段70の現運転省エネ度演算手段76は、省エネ度しきい値演算設定手段74と同様にして現時点の運転状態における現運転省エネ度を演算する。即ち、現運転省エネ度演算手段76は、この運転日の現負荷データ及び過去負荷データを用いて現運転省エネ度を演算するが、この実施形態では、上述したように燃料電池6が最小出力又はそれ以上の出力で常時運転されるので、このような運転を考慮して次のデータが用いられる。現運転省エネ度演算手段76は、熱電併給装置2の現省エネ度を演算するためのデータとして現負荷データ及び過去負荷データを用い、現負荷データとして現時点の電力負荷16における現電力負荷データ及び現時点の暖房装置58(床暖房装置、浴室暖房乾燥機など)における現暖房熱負荷データを用い、過去負荷データとして過去負荷データを演算した予測給湯熱負荷データを用い、これら現電力負荷データ及び現暖房負荷データ及び予測給湯熱負荷データが熱電併給装置2(燃料電池6)の最小出力発電電力及び最小出力発生熱量を考慮したものに演算される。この実施形態では、演算するに際し、上述した予測省エネ度の演算と同様に、現運転省エネ度演算手段76は、現時点の電力負荷データを熱電併給装置2の最小出力発電電力を考慮して有効現電力負荷を演算し(現電力負荷から最小出力発電電力を減算したものとなる)、また予測給湯熱量負荷データを熱電併給装置2の最小出力発生熱量を考慮して有効予測給湯熱負荷を演算する(過去データを利用して演算された予測給湯熱負荷からあ最小出力発生熱量を減算したものとなる)。そして、現運転省エネ度演算手段76は、熱電併給装置2(燃料電池6)の各出力状態について、有効現電力負荷データ及び現暖房負荷データ(有効現負荷データ)並びに有効予測給湯熱負荷データ(有効過去負荷データ)に基づき、上記式(5)又は上記式(5A)を用いて現省エネ度の演算を行い、各出力状態の現省エネ度のうち省エネの度合が最も大きい演算値を現運転省エネ度と選定する。この現省エネ度の演算に際し、有効現電力負荷データのベースとなる現時点の電力負荷データと現暖房負荷データとは刻々と変化するので、例えば、現時点から5〜20分前までの間の電力負荷データ及び暖房負荷データを平均化したものを現電力負荷データ及び現暖房負荷データとして用いるようにするのが好ましい。
この実施形態では、制御手段70の第1メモリ80には、予測電力負荷データ、有効予測電力負荷データ、予測熱負荷データ(予測暖房熱負荷データ、予測給湯熱負荷データ)、有効予測熱負荷データ(この形態では、有効予測給湯熱負荷データ)、各種暖房装置の予測運転状態、予測必要貯湯熱量、有効予測貯湯熱量、予測省エネ度、予測運転省エネ度、省エネ度しきい値、現電力負荷データ、有効現電力負荷データ、現暖房熱負荷データなどが記憶される。また、その第2メモリ82には、運転スケジュール時間(24時間)、単位運転時間、現時点の電力負荷データ及び暖房熱負荷データを平均化する時間、予測省エネ度及び現省エネ度を演算するための各種適用式などが記憶される。また、タイマ手段78は計時し、計時した時刻がコージェネレーションシステムの制御に用いられる。
次に、図1、図3及び図4〜図7を参照して、上述したコージェネレーションシステムの制御について説明する。制御に際して、省エネ度しきい値演算設定手段74による省エネ度しきい値の設定が行われる(ステップS1)。この省エネ度しきい値の設定は、図7に示すフローチャートに沿って行われる。即ち、予測電力負荷演算手段90は、過去の電力負荷16の電力負荷データに基づいて、運転スケジュール時間(例えば、現時点から先の24時間)の単位運転時間(例えば1時間)毎の予測電力負荷データを演算し(ステップS1−1)、予測暖房熱負荷演算手段94は、過去の暖房装置58(床暖房装置、浴室暖房乾燥機など)の熱負荷データに基づいて、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測暖房熱負荷データを演算し(ステップS1−2)、また予測給湯熱負荷演算手段96は、過去の給湯熱負荷データに基づいて、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測給湯熱負荷データを演算する(ステップS1−3)。予測電力負荷演算手段90による予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷演算手段94による予測暖房熱負荷データ及び予測給湯熱負荷演算手段96による予測給湯熱負荷データは、例えば、図4(a)〜(c)に示すようになる。尚、予測暖房熱負荷演算手段94による予測暖房熱負荷データの演算は、各種暖房装置58の運転状態を予測し、暖房装置の運転状態を利用して予測暖房熱負荷データを演算するようにしてもよい。
次に、熱電併給装置2が常時運転されることを考慮し、有効予測電力負荷演算手段95が熱電併給装置2の最小出力発電電力を考慮した予測電力負荷データを演算し(ステップS1−4)、有効予測熱負荷演算手段97が熱電併給装置2の最小出力発生熱量を考慮した有効予測給湯熱負荷データを演算し(ステップS1−5)、演算された有効予測電力負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データは、例えば、図4(f)及び(g)に示すようになる。
このようにして熱電併給装置2の常時運転を考慮した運転スケジュール時間の各単位運転時間における有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データを演算すると、これらデータを用いて、運転スケジュール時間の各単位運転時間について有効予測貯湯熱量の演算が行われる(ステップS1−6)。有効貯湯熱量演算手段104は、演算した有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データに基づき、上記式(3)を用いて各単位運転時間における有効貯湯熱量(予測貯湯熱量に相当する)を演算し、有効予測貯湯熱量演算手段111はこの有効貯湯熱量から熱電併給装置2の最小出力発生熱量を減算して有効予測貯湯熱量を演算し、この有効予測貯湯熱量が単位運転時間毎の増加予測貯湯熱量(最小出力より大きい出力で運転したときに増加する予測貯湯熱量)となり、この実施形態においては、増加予測貯湯熱量は、貯湯した際の放熱ロスを考慮したものとなる。
次いで、熱電併給装置2の複数段の出力の各々について、予測負荷データに基づく予測省エネ度の演算が行われ(ステップS1−7)、熱電併給装置2が常時最小出力で運転されることを考慮して、上述したように有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データに基づいて予測省エネ度の演算が行われる。予測運転省エネ度演算手段106は、上記式(5)又は式(5A)を用い、各運転状態に応じた上記適用式を利用して予測省エネ度を演算し、単位運転時間毎の熱電併給装置2の各出力についての予測省エネ度のうち省エネの度合いが最も大きい演算値を予測運転省エネ度として選定する(この単位運転時間については、予測運転省エネ度となる運転条件で熱電併給装置2運転すると、最も省エネが達成されることになる)(ステップS1−8)。このようにして演算設定される有効予測貯湯熱量及び予測運転省エネ度は、例えば、図5に示すようになる。
その後、しきい値設定手段112は、次のようにして省エネ度しきい値を設定する。有効予測必要貯湯熱量演算手段110は、必要とする有効予測貯湯熱量、(この実施形態では、例えば、12時間後に6000kcalの給湯熱負荷が必要となるとする)と現時点の貯湯熱量(例えば、2000kcalとする)とから、例えば12時間の間に必要な有効予測必要貯湯熱量(例えば、4000kcal)を演算し、しきい値設定手段112は、予測運転省エネ度演算手段106により演算選定された単位運転時間の予測運転省エネ度の大きい順に、その単位運転時間における有効予測貯湯熱量を積算し、その積算値が有効予測必要貯湯熱量に達するまで行う(ステップS1−9)。そして、単位運転時間の有効予測貯湯熱量の積算値が有効予測必要貯湯熱量に達すると、しきい値設定手段112は、この達した時点の予測運転省エネ度を省エネ度しきい値として設定し(ステップS1−10)、この省エネ度しきい値を用いて、コージェネレーションシステムの制御が以下のように行われる。
例えば、この実施形態では、図5に示すように、第1番目に大きい予測運転省エネ度の単位運転時間(t7−t8)にて500kcalの有効予測貯湯熱量が貯えられ、第2番目(又は第3番目、第4番目、第5番目)に大きい予測運転省エネ度の単位運転時間(t6−t7)〔又は(t5−t6)、(t9−t10)、(t10−t11)〕にて0kcal(又は2000kcal、500kcal、500kcal)の有効予測貯湯熱量が貯えられ、更に第6番目に大きい予測運転省エネ度の単位運転時間(t8−t9)において500kcalの有効予測貯湯熱量が貯えられ、この段階で有効予測貯湯熱量の積算値が有効予測必要貯湯熱量と等しくなるので、この段階での予測運転省エネ度、即ち単位運転時間(t8−t9)の予測運転省エネ度「106」が省エネ度しきい値として設定される。
図6に戻って、このようにして省エネ度しきい値の設定が行われると、次に、現在の省エネ度の演算が行われる(ステップS2)。この現省エネ度の演算は現運転省エネ度演算手段76により行われ、上述したように、熱電併給装置2の各出力状態について、現時点における電力負荷16の現電力負荷データをベースに熱電併給装置2の最小出力発電電力を考慮した有効現電力負荷データと、現時点における暖房装置58の現暖房熱負荷データと、過去負荷データとしての予測給湯熱負荷データをベースに熱電併給装置2の最小出力発生熱量を考慮した有効予測給湯熱負荷データを用い、予測運転省エネ度演算手段106による予測省エネ度の演算と同様にして行われ、演算された現省エネ度のうち省エネの度合いが最も大きいものが現運転省エネ度として選定される(ステップS3)。
熱電併給装置2の運転制御については、作動制御手段72の省エネ度比較手段86が現運転省エネ度と設定された省エネ度しきい値とを比較し、現運転省エネ度がこの省エネ度しきい値より小さいと、ステップS4からステップS5に進み、熱電併給装置2(燃料電池6)を大きな出力で運転させても満足な省エネが達成されないとし、作動制御手段72は熱電併給装置2を最小出力(例えば、250W)で運転する。
一方、現運転省エネ度がこの省エネ度しきい値以上になると、ステップS4からステップS6に移り、作動制御手段72の運転切換信号生成手段84が運転切換作動信号を生成し、この運転切換作動信号に基づいて、作動制御手段72は熱電併給装置2をこの現運転省エネ度となる運転条件で運転する(例えば、最大出力運転のときに現省エネ度が最も大きくなる、即ち省エネ度合いが最も大きくなる場合、この最大出力で運転される)。
そして、所定運転スケジュール時間が経過するまではステップS7からステップS2に戻り、現運転省エネ度演算手段76による現運転省エネ度の演算が行われ(ステップS2)、上述したステップS2からステップS7が繰り返し遂行され、所定運転スケジュール時間が経過すると、ステップS1に戻り、上述したステップS1からステップS7が繰り返し遂行される。
〔省エネ度しきい値設定の他の様式〕
上述した実施形態では、予測電力負荷をベースにする有効予測電力負荷及び予測熱負荷をベースにする有効予測熱負荷に基づいて予測運転省エネ度を演算し、演算した予測運転省エネ度を大きい方から順にピックアップして省エネ度しきい値を設定しているが、このような様式に代えて、次のようにすることもできる。図8は、制御手段の第1変形形態を簡略的に示すブロック図であり、図9は、この変形形態における予測運転省エネ度の再演算を説明するための図であり、図10は、予測運転省エネ度の選定を説明するための図であり、図11は、省エネ度しきい値の設定の流れを説明するためのフローチャートである。尚、以下の形態にいて、図1〜図7に示す実施形態と実質上同一のものには同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
図8において、この変形形態の制御手段70Aは、省エネ度しきい値演算設定手段74A及び現省エネ度演算手段76を備え、省エネ度しきい値演算設定手段74Aは、予測電力負荷演算手段90及び予測熱負荷演算手段92などに加えて、予測運転省エネ度選定手段115及び再演算判定手段117を含んでいる。予測運転省エネ度選定手段115は、運転スケジュール時間の単位運転時間について演算した予測運転省エネ度から最も予測運転省エネ度の大きいものを後述するように選定し、再演算判定手段117は、有効予測貯湯熱量の後述する積算値が有効予測必要貯湯熱量に達するまで予測省エネ度の再演算を行い、この予測必要貯湯熱量に達するとその再演算を終了する。制御手段70Aのその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一である。
この変形形態における省エネ度しきい値の設定は、図11に示すフローチャートに沿って行われる。主として図8及び図11を参照して、予測電力負荷演算手段90は、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測電力負荷データを演算し(ステップS1−11)、予測暖房熱負荷演算手段94は、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測暖房熱負荷データを演算し(ステップS1−12)、また予測給湯熱負荷演算手段96は、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測給湯熱負荷データを演算する(ステップS1−13)。予測電力負荷演算手段90による予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷演算手段94による予測暖房熱負荷データ及び予測給湯熱負荷演算手段96による予測給湯熱負荷データは、例えば図9(a)〜(c)に示すようになる。
次に、熱電併給装置2が常時運転されることを考慮し、有効予測電力負荷演算手段95が熱電併給装置2の最小出力発電電力(最小出力発電電力は図9(d)で示すようになる)を考慮した有効予測電力負荷データを演算し(ステップS1−14)、有効予測熱負荷演算手段97が熱電併給装置2の最小出力発生熱量(最小出力発生熱量は図9(e)で示すようになる)を考慮した有効予測給湯熱負荷データを演算し(ステップS1−15)、演算された有効予測給湯熱負荷データは、例えば、図4(f)に示すようになる。
このようにして熱電併給装置2の常時運転を考慮した運転スケジュール時間の各単位運転時間における有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データを演算すると、これらデータを用いて、運転スケジュール時間の各単位運転時間について有効貯湯熱量の演算が行われ、この有効貯湯熱量の演算は、演算した有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データに基づき、上記式(3)を用いて上述したと同様にして行われ、有効予測貯湯熱量演算手段111はこの有効貯湯熱量から熱電併給装置2の最小出力発生熱量を減算して有効予測貯湯熱量を演算する(ステップS1−16)。そして、熱電併給装置2の複数段の出力の各々について、予測省エネ度の演算が行われ(ステップS1−17)、熱電併給装置2が常時最小出力で運転されることを考慮して、上述したと同様に、有効予測電力負荷データ、予測暖房熱負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データに基づいて予測省エネ度の演算が行われ、各単位運転時間について最も大きい演算値が予測運転省エネ度と選定され、このように演算された有効予測貯湯熱量及び予測運転省エネ度は図10(a)で示す通りとなる。これらステップS1−11からステップS−17の内容は、第1の実施形態におけるステップS1−1からステップS1−7までの内容と実質上同一である。
この変形形態では、次に、予測運転省エネ度選定手段115が、運転スケジュール時間通して最大の予測運転省エネ度を選定し(ステップS1−18)、選定した単位運転時間及び予測運転省エネ度が第1メモリ80に記憶される。この場合、例えば、図10(a)に示すように、単位運転時間(t4−t5)の予測運転省エネ度「115」が選定され、この単位運転時間(t4−t5)が稼働時間として運転スケジュールに登録される(ステップS1−19)(図9(f)参照)。
その後、再演算判定手段117は、選定された単位運転時間を稼働すると有効予測給湯熱負荷をまかなうことができるか否かを判定する(ステップS1−20)。再演算判定手段117による判定は、単位運転時間を稼働したして発生する有効予測貯湯熱量が運転スケジュール時間に必要とする有効予測必要貯湯熱量を満たすことができるか否かによって判断され、まかなうことができない場合、ステップS1−20からステップS1−21を経て、予測省エネ度の再演算が次の通りに行われる。
ステップS1−21においては、有効予測熱負荷演算手段97は、選定した単位運転時間(t4−t5)について熱電併給装置2を稼働させたときに発生する有効予測貯湯熱量(この場合、1900kcal)を考慮して有効予測給湯熱負荷を修正演算する。例えば、単位運転時間(t4−t5)の稼働によって、その次の時間帯(t5−t6)の有効予測給湯熱負荷をまかなうことができると、有効予測給湯熱負荷の修正演算によって、この時間帯(t5−t6)の有効予測給湯熱負荷がなくなるようになり、有効予測給湯熱負荷として単位運転時間(t13−t14)、単位運転時間(t14−t15)及び単位運転時間(t16−17)の有効予測給湯熱負荷が残るようになる(図9(f)参照)。
そして、予測運転省エネ度演算手段106は、ステップS1−12で演算した予測暖房熱負荷、ステップS1−14で演算した有効予測電力負荷及びステップS1−19で演算修正した有効予測給湯熱負荷に基づいて上述したと同様にして予測省エネ度を再演算し、再演した各単位運転時間について最も省エネ度の大きい演算値を予測運転省エネ度として選定する(ステップS1−17)。このとき、単位運転時間(t4−t5)については稼働するとして運転スケジュールに登録されているので、この単位運転時間(t4−t5)を除いた運転ステップジュール時間の残りの単位運転時間について予測運転省エネ度の演算が行われ、このように演算された有効予測貯湯熱量及び予測運転省エネ度は、例えば、図10(b)に示すようになる。
その後、上述したと同様に、予測運転省エネ度選定手段115が、運転スケジュール時間の残りの単位運転時間についての予測運転省エネ度のうち最大の演算値のものを選定し(ステップS1−18)、選定した単位運転時間及び予測運転省エネ度が記憶される。この場合、例えば、図10(b)に示すように、単位運転時間(t12−t13)の予測運転省エネ度「114」が選定され、この単位運転時間(t12−t13)が稼働時間として運転スケジュールに追加登録される(ステップS1−19)(図9(g)参照)。そして、再演算判定手段117は、再び、選定された単位運転時間を稼働すると有効予測給湯熱負荷をまかなうことができるか否かを判定し(ステップS1−20)、まかなうことができない場合、ステップS1−20からステップS1−21を解してステップS−17に戻る。
ステップS1−21に進むと、再び、有効予測熱負荷演算手段97は、選定した単位運転時間(t4−t5)及び単位運転時間(t12−t13)について熱電併給装置2を稼働させたときに発生する有効予測貯湯熱量(この場合、単位運転時間(t4−t5)の1900kcalと単位運転時間(t12−t13)の1500kcal)を考慮して有効予測給湯熱負荷を修正演算する。例えば、新たに選定された単位運転時間(t12−t13)の稼働によって、その次の時間帯(t13−t14)の有効予測給湯熱負荷の一部をまかなうことができると、有効予測給湯熱負荷の修正演算によって、この時間帯(t13−t14)の有効予測給湯熱負荷の一部がなくなるようになり、有効予測給湯熱負荷として単位運転時間(t13−t14)の残りの有効予測給湯熱負荷、単位運転時間(t14−t15)の有効予測給湯熱負荷及び単位運転時間(t16−t17)の有効予測給湯熱負荷が残るようになる(図9(g)参照)。
そして、予測省エネ度演算手段106は、再び、ステップS1−12で演算した予測暖房熱負荷、ステップS1−14で演算した有効予測電力負荷及びステップS1−21で再演算修正した有効予測給湯熱負荷に基づいて上述したと同様にして予測省エネ度を再演算し、同様にして予測運転省エネ度を選定し(ステップS1−17)(このとき、単位運転時間(t4−t5)及び単位運転時間(t12−t13)を除いた運転スジュール時間の残りの単位運転時間について演算される)、このように演算された有効予測貯湯熱量及び予測運転省エネ度は、例えば、図10(c)に示すようになり、予測運転省エネ度選定手段115は単位運転時間(t11−t12)の予測運転省エネ度「112」を選定するようになり、この単位運転時間(t11−t12)が稼働時間として運転スケジュールに更に追加登録される。このようにして選定された単位運転時間の稼働により有効予測給湯熱負荷をまかなうことができるまで上述したステップS1−17からステップS1−21までが繰り返し遂行される。
再演算判定手段117が選定した単位運転時間の稼働(運転スケジュールに登録された稼働時間)でもって有効予測給湯熱負荷をまかなうことができると判定した場合、ステップS20からステップS−22に移り、しきい値設定手段112は、選定した予測運転省エネ度の最小値(換言すると、運転スケジュール時間において運転するとして登録された各単位運転時間における予測運転省エネ度のうち最小の演算値)を省エネ度しきい値として設定する。このように設定された省エネ度しきい値は、熱電併給装置2の運転制御に上述したと同様にして用いられ、このように運転することによっても熱電併給装置2を省エネ運転することができ、また予測運転省エネ度を再演算して省エネ度しきい値を設定しているのでより省エネを達成することができる。
上述した形態では、省エネ度しきい値の設定は、運転スケジュール時間に運転するとして登録された各単位運転時間における予測運転省エネ度のうち最小の演算値を単に省エネ度しきい値として設定しているが、図12〜図14に示すようにに構成することもできる。図12は、更に他の形態の制御手段を簡略的に示すブロック図であり、図13は、熱電併給装置を仮運転したときの予測運転省エネ度を示す図であり、図14は、省エネしきい値を設定する流れを示すフローチャートである。
図12において、この変形形態では、制御手段70Bは、熱電併給装置2を仮に運転させた場合における予測運転省エネ度を演算する仮運転予測省エネ度演算手段119を含み、その他の構成は、図8に示す変形形態の構成と実質上同一である。
この変形形態における省エネ度しきい値の設定は、図14に示すフローチャートに沿って行われる。即ち、上述したと同様にして再演算を行いながら運転スケジュール時間を通しての稼働時間の登録が行われ、ステップS1−31からステップS1−41までの内容は、図11のフローチャートにおけるステップS1−11からステップS−21の内容と実質上同一である。有効予測給湯熱負荷がまかなえるまで予測運転省エネ度を再演算しながらステップS1−40からステップS1−42に移ると、選定した単位運転時間についての運転スケジュールの仮設定が行われる。そして、仮運転予測省エネ度演算手段119は、設定された仮運転スケジュール(即ち、運転スケジュール時間を通して運転するとして登録された単位運転時間)について熱電併給装置2を稼働させたとして予測運転省エネ度を演算する(ステップS1−43)。
例えば、図13に示すように、運転スケジュール時間を通して単位運転時間(t4−t5)、(t9−t10)、(t11−12)、(t12−t13)及び(t14−t15)が稼働するとして運転スケジュールに登録されているとすると、仮運転予測省エネ度演算手段119はこれらの単位運転時間について稼働させたときの予測運転省エネ度、即ちこれらの単位運転時間における有効予測電力負荷、予測給湯熱負荷及び有効予測給湯暖房負荷に基づいて予測運転省エネ度を演算する。そして、しきい値設定手段112は、このように演算された予測運転省エネ度のうち最小の演算値、この場合においては単位運転時間(t9−t10)の予測運転省エネ度「108」を選定し(ステップS1−44)、この演算値「108」を省エネ度しきい値として設定する(ステップS1−45)。このように設定された省エネ度しきい値を用いても、上述したと同様に、熱電併給装置2を充分な省エネ運転を行うことができる。
〔第2の実施形態〕
上述した形態では、運転スケジュール時間の各単位運転時間毎に予測運転省エネ度を演算し、かく演算した予測運転省エネ度を用いて省エネ度しきい値を設定しているが、図15〜図21に示すように、運転スケジュールを通して予測省エネ度を演算し、この運転スケジュールを通して予測運転省エネ度を選定し、運転スケジュールの残りの単位運転時間について予測省エネ度を再演算するようにしてもよい。図15は、第2の実施形態のコージェネレーションシステムにおける制御手段を簡略的に示すブロック図であり、図16は、予測運転省エネ度選定手段による第1番目のピックアップを説明するための図であり、図17は、予測省エネ度選定手段による第2番目のピックアップを説明するための図であり、図18は、予測省エネ度選定手段による第3番目のピックアップを説明するための図であり、図19は、予測省エネ度選定手段による第4番目のピックアップを説明するための図であり、図20は、予測省エネ選定手段による第5番目のピックアップを説明するための図であり、図21は、図15に示す制御手段による省エネしきい値の設定の流れを示すフローチャートである。
図15において、この変形形態の制御手段70Cは、省エネ度しきい値演算設定手段74C及び現運転省エネ度演算手段76Cを備え、省エネ度しきい値演算設定手段74Cは、予測電力負荷演算手段90及び予測熱負荷演算手段92などに加えて、予測省エネ度演算手段121、予測運転省エネ度選定手段115C及び再演算判定手段117を含んでいる。予測省エネ度演算手段121は運転スケジュール時間を通しての各単位運転時間における熱電併給装置の発電出力の各々について予測省エネ度を演算し、予測運転省エネ度選定手段115Cは、運転スケジュール時間を通して熱電併給装置の発電出力の各々について演算された予測省エネ度から最も省エネ度の大きい演算値(予測省エネ度)を後述するように選定し、再演算判定手段117は、有効予測貯湯熱量の後述する積算値が有効予測必要貯湯熱量に達するまで予測省エネ度の再演算を行い、この有効予測必要貯湯熱量に達するとその再演算を終了する。制御手段70Cのその他の構成は、図8〜図11に示す上述した変形形態における制御手段70Aと実質上同一である。尚、この第2の実施形態では、暖房装置が装備されてなく、予測暖房熱負荷演算手段が省略され、暖房熱負荷を考慮しなくてもよいようになっている。
この第2の実施形態における省エネ度しきい値の設定は、図21に示すフローチャートに沿って行われる。主として図15及び図21を参照して、予測電力負荷演算手段90は、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測電力負荷データを演算し(ステップS1−51)、また予測給湯熱負荷演算手段96は、運転スケジュール時間の単位運転時間毎の予測給湯熱負荷データを演算する(ステップS1−52)。また、有効予測電力負荷演算手段95は、予測電力負荷データをベースに熱電併給装置の最小出力発電出力を考慮した有効予測電力負荷を演算し(ステップS1−53)、有効予測熱負荷演算手段97は、予測給湯熱負荷データをベースに熱電併給装置の最小出力発生熱量を考慮した有効予測給湯熱負荷を演算する(ステップS1−54)。そして、有効貯湯熱量演算手段104が運転スケジュール時間の各単位運転時間毎の有効予測電力負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データを用いて、上述したようにして運転スケジュール時間の各単位運転時間についての予測貯湯熱量の演算を行い、また有効予測貯湯熱量演算手段11は上述したようにして予測貯湯熱量に基づいて有効予測貯湯熱量を演算する(ステップS1−55)。即ち、有効貯湯熱量演算手段104は、演算した有効予測電力負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データに基づき、各単位運転時間における熱電併給装置の複数段の発電出力の各々について有効貯湯熱量を演算し、有効予測貯湯熱量演算手段111はこれら有効貯湯熱量をベースに熱電併給装置の最小出力による予測貯湯熱量を考慮した有効予測貯湯熱量演算する。
次いで、熱電併給装置の複数段の出力の各々について、有効予測負荷データ(有効予測電力負荷データ及び有効予測給湯熱負荷データ)に基づく予測省エネ度の演算が行われる(ステップS1−56)。予測省エネ度演算手段121は、上記式(15)又は式(15A)を用い、各運転状態に応じた上記適用式を利用して予測省エネ度を演算し、単位運転時間毎の熱電併給装置の各出力についての予測省エネ度を演算し、予測運転省エネ度選定手段115Cは、運転スケジュール時間を通しての単位運転時間における全発電出力についての予測省エネ度のうち省エネ度の度合いが最も大きい演算値(予測省エネ度)を予測運転省エネ度として選定する(ステップS1−57)(従って、選定された予測運転省エネ度は、運転スケジュール時間における複数段の出力のうち最も省エネ度の高いものとなる)。
例えば、運転スケジュール時間が5時間で、熱電併給装置の複数段の発電出力、例えば最小出力(例えば、最大出力の25%出力の250W)、第1中間出力(例えば、最大出力の50%出力の500W)、第2中間出力(例えば、最大出力の75%出力の750W)及び最大出力(例えば、1000W)の有効予測貯湯熱量及び予測省エネ度が、例えば図16に示す通りであるとすると、予測運転省エネ度選定手段115Cは、図16において最も省エネ度の度合いの大きい演算値、即ち時刻「6時」の第2中間出力(750W)の運転条件における予測省エネ度「123」を予測運転省エネ度として選定する。
次に、ステップS1−58に進み、選定した運転時間帯(単位運転時間)が重複しているか否かが判断され、重複していない場合には、予測運転省エネ度選定手段115Cにより選定された単位運転時間の運転状態及び予測運転省エネ度が、例えば第1メモリ80に運転スケジュールとして登録される(ステップS1−59)。一方、選定した運転時間帯が重複している場合には、ステップS1−58からステップS1−60に進み、選定した運転時間帯(単位運転時間)の出力状態のうち大きい発電出力の運転状態がこの単位運転時間の運転条件として運転スケジュールに登録される。
その後、再演算判定手段117は、選定された単位運転時間を所定の運転条件で稼働すると有効予測給湯熱負荷をまかなうことができるか否かを判定する(ステップS1−61)。再演算判定手段117による判定は、単位運転時間を所定の運転条件で稼働したとして発生する有効予測貯湯熱量が運転スケジュール時間に必要とする有効予測必要貯湯熱量、即ち有効予測給湯熱負荷を満たすことができるか否かによって判断され、まかなうことができない場合、ステップS1−61からステップS1−62を経てステップS1−56に戻り、予測省エネ度の再演算が次の通りに行われる。
ステップS1−62においては、有効予測給湯熱負荷演算手段97は、選定した単位運転時間(時刻6時)について第2中間出力(750W)で熱電併給装置を稼働させたときに発生する有効予測貯湯熱量(この場合、例えば230kcal)を考慮して有効予測給湯熱負荷を修正演算する。例えば、単位運転時間(時刻6時)の稼働によって、その次の単位運転時間(時刻7時)の有効予測給湯熱負荷(例えば1500kcal)の一部(例えば230kcal)をまかなうことができ、有効予測給湯熱負荷の修正演算によって、この単位運転時間(時刻7時)の有効予測給湯熱負荷の残り熱量が少なくなる(例えば1270kcalとなる)。
そして、予測省エネ度演算手段121は、ステップS1−53で演算した有効予測電力負荷データ及びステップS1−62で演算修正した有効予測給湯熱負荷データに基づいて上述したと同様にして予測省エネ度を再演算する(ステップS1−56)。このとき、単位運転時間(時刻6時)の第2中間出力(750W)については稼働するとして運転スケジュールに登録されているので、この単位運転時間の運転条件(時刻6時の第2中間出力運転)を除いた運転ステップジュール時間の残りの単位運転時間の運転条件について予測省エネ度の演算が行われ、このように演算された有効予測貯湯熱量及び予測省エネ度は、例えば、図17に示すようになる。
その後、上述したと同様に、予測運転省エネ度選定手段115Cが再演算された予測省エネ度のうち最大の演算値のものを選定し(ステップS1−57)、選定した単位運転時間(時刻5時)の運転条件(第2中間出力の750W)及び予測運転省エネ度としての予測省エネ度「120」が記憶される。
そして、再演算判定手段117は、再び、選定された単位運転時間を稼働すると有効予測給湯熱負荷をまかなうことができるか否かを判定し(ステップS1−61)、まかなうことができない場合、ステップS11−61からステップS1−62に進む。ステップS1−62において有効予測給湯熱負荷が修正され(5時の有効予測貯湯熱量220kcalを考慮して7時の有効予測給湯熱負荷が1050kcalに修正される)、その後ステップS1−56に戻って再び予測省エネ度が演算され、演算された予測省エネ度が例えば図18に示す通りとなると、予測省エネ度選定手段115は、再び、再演算された予測省エネ度のうち最大の演算値、予測省エネ度「118」を選定し、この単位運転時間(時刻4時)の運転条件(第2中間出力の750W)及び予測運転省エネ度としての予測省エネ度「118」が登録される。
このようにしても未だまかなうことができない場合、ステップS1−61からステップS1−62に進み、上述したと同様に、有効予測給湯熱負荷が修正された(4時の有効予測貯湯熱量210kcalを考慮して7時の有効予測給湯熱負荷が840kcalに修正される)後、再び予測省エネ度が演算される(ステップS1−56)。そして、演算された予測省エネ度が例えば図19に示す通りとなると、予測運転省エネ度選定手段115Cは、再演算された予測省エネ度のうち最大の演算値、予測運転省エネ度として予測省エネ度「114」を選定する。このとき、第1番目と第4番目において同じ単位運転時間の異なる運転条件が選定されたが、現実の運転では一つの単位運転時間については一つの運転条件しか運転することができないため、その単位運転時間については大きい出力の運転条件(例えば最大出力)が選定され、こ単位運転時間(時刻6時)の運転条件(最大出力)及び予測運転省エネ度「114」が登録される。このとき、第1番目に選定された運転条件による有効予測貯湯熱量(例えば230kcal)と第4番目に選定された運転条件による有効予測貯湯熱量(例えば600kcal)との熱量差(例えば370kcal)が追加的に貯えられるようになり、ステップS1−62において、この熱量差についての修正演算が行われる(6時の出力変更に伴う有効予測貯湯熱量の熱量差370kcalを考慮して7時の有効予測給湯熱負荷が240kcalに修正される)。
更に、ステップS1−61からステップS1−62を経てステップS−56に戻り、上述したと同様にして予測省エネ度が演算され、演算された予測省エネ度が例えば図20に示す通りとなると、予測省エネ度選定手段115Cは、再演算された予測省エネ度のうち最大の演算値、予測省エネ度「112」を選定し、この単位運転時間(時刻3時)の運転条件(第2中間出力の750W)及び予測運転省エネ度としての予測省エネ度「112」が登録される。
上述した予測運転省エネ度の選定は、運転スケジュール時間の予測給湯熱負荷をまかなうことができるまで行われ、まかなうことができると、ステップS1−61からステップS1−63に移り、しきい値設定手段112は、選定した予測運転省エネ度の最小値(換言すると、運転スケジュール時間において運転するとして登録された各単位運転時間における予測運転省エネ度のうち最小の演算値)を省エネ度しきい値として設定する。
このように設定した省エネ度しきい値は、図6のフローチャートにおける制御に同様に用いることができ、この省エネ度しきい値を用いて熱電併給装置を上述したように運転することによっても省エネ運転することができ、また予測省エネ度を再演算して省エネ度しきい値を設定しているので、より一層の省エネ運転を達成することができる。
上述した第2の実施形態では、省エネ度しきい値の設定は、運転スケジュール時間に運転するとして登録された単位運転時間の運転条件における予測運転省エネ度のうち最小の演算値を単に省エネ度しきい値として設定しているが、図12〜図14に示す変形形態と同様に構成することもできる。即ち、ステップS1−63の後に、運転スケジュール時間を通して運転するとして選定された単位運転時間の運転条件でもって登録された運転スケジュールでもって仮運転したときの予測運転省エネ度、即ちこれらの単位運転時間における有効予測電力負荷及び有効予測給湯熱負荷に基づいて予測運転省エネ度を再演算する。そして、しきい値設定手段112は、このように演算された予測運転省エネ度のうち最小演算値(最小予測運転省エネ度)を省エネ度しきい値として設定するようにしてもよく、このようにして設定された省エネ度しきい値を用いても、上述したと同様に、熱電併給装置を充分な省エネ運転を行うことができる。
上述した第1及び第2の実施形態では、熱電併給装置を運転制御する際に、複数段の発電出力のうち現省エネ度が最も大きくなるものを現運転省エネ度とし、この現運転省エネ度の運転条件で熱電併給装置を運転しているが、このように構成することに代えて、省エネ度しきい値以上となる現省エネ度の運転条件が2つ以上ある場合、これら現省エネ度のうち発電出力が最も大きくなる運転条件で熱電併給装置を運転するようにすることができる。このように省エネ度しきい値以上であって、且つ発電出力が最大の運転条件で熱電併給装置を運転することによって、熱電併給装置を省エネ運転しながら貯湯量の発生を多くすることができ、給湯時のお湯不足の発生を著しく抑えることができる。
また、第1及び第2の実施形態では、熱電併給装置の発電出力が複数段に変動可能に構成しているが、このような形態に限定されず、その発電出力が最小出力(例えば250W)から最大出力(例えば1000W)までの間を無段階に変動するように構成したものにも適用することができる。この場合、予測運転省エネ度としては、各単位運転時間について最小出力から最大出力までの範囲で最も高い省エネ度となる運転条件における予測省エネ度をその単位運転時間の予測運転省エネ度とするようにすることができる。このようなとき、現運転省エネ度としても、最小出力から最大出力までの範囲で最も高い省エネ度となる運転条件における現省エネ度を現運転省エネ度とし、この現運転省エネ度と省エネ度しきい値とを比較するようにしてもよい。
〔省エネ度しきい値の修正〕
上述したコージェネレーションシステムでは、省エネ度しきい値と現運転省エネ度に基づいて熱電併給装置の運転制御を行っているが、熱電併給装置の発電機負荷率に基づいてこの省エネ度しきい値を修正し、発電機負荷率が高いときに熱電併給装置の出力を高めるようにしてもよい。
制御手段の変形形態を示す図22において、この変形形態においては、制御手段70Dは、発電機負荷率演算手段92及びしきい値修正手段94を含んでいる。熱電併給装置(例えば燃料電池)の発電機負荷率とは、熱電併給装置の定格発電電力に対する電力負荷での消費電力の比率であり、この発電機負荷率が大きいと、熱電併給装置にて発電された電力の多くが電力負荷で消費されるようになる。発電機負荷率演算手段92は、熱電併給装置の発電電力データと電力負荷の負荷電力データ(商用系統からの買電力データと、発電電力を計測する手段及び電気加熱ヒータでの消費電力を計測する手段により計測された各電力データとから演算される)を用いて発電機負荷率を演算する。この発電機負荷率の演算は、例えば1日毎(24時間毎)に行うようにし、発電電力に対する一日の平均消費電力(電力負荷の消費電力)を演算することによって算出される。また、しきい値修正手段94は、省エネ度しきい値演算設定手段74により設定された省エネ度しきい値を後述するように修正する。この変形形態のその他の基本的構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一でよい。
次に、変形形態の制御手段70Dによる省エネ度しきい値の修正について説明する。発電機負荷率演算手段92により演算された発電機負荷率が第1所定値(例えば、80%)を超えると、しきい値修正手段94は、省エネ度しきい値が小さくなるように修正する。発電機負荷率が第1所定値を超えるということは、熱電併給装置の発生電力の大部分が電力負荷で消費され、熱電併給装置が効率の高い状態で運転されているということであり、それ故に、しきい値修正手段94は、設定した省エネ度しきい値が小さくなるように修正演算する。例えば、発電機負荷率が第1所定値を超える毎に、設定省エネ度しきい値(省エネ度しきい値演算設定手段74により設定された省エネ度しきい値及びしきい値修正手段94により修正設定された省エネ度しきい値を含む)に所定値、例えば「2」を減算して修正省エネ度しきい値を算出し、この修正省エネ度しきい値が省エネ度しきい値として設定される。従って、作動制御手段72は、減少側に修正された省エネ度しきい値を用い、この修正省エネ度しきい値と現運転省エネ度とに基づいて熱電併給装置を運転制御するので、熱電併給装置が運転され易い状態となり、所望の発電機負荷率を維持しながら熱電併給装置の運転時間を多くすることができる。
これに対して、発電機負荷率演算手段92により演算した発電機負荷率が第2所定値(例えば、80%)を下がると、しきい値修正手段94は、省エネ度しきい値が大きくなるように修正する。発電機負荷率が第2所定値を下がるということは、熱電併給装置の発生電力の電力負荷での消費が少なく、熱電併給装置の電力消費効率が高い状態で運転されていないということであり、それ故に、しきい値修正手段94は、設定省エネ度しきい値が大きくなるように修正演算する。例えば、発電機負荷率が第2所定値を下がる毎に、設定した省エネ度しきい値(省エネ度しきい値演算設定手段74により設定された省エネ度しきい値及びしきい値修正手段94により修正された省エネ度しきい値を含む)に所定値、例えば「2」を加算して修正省エネ度しきい値を算出し、この修正省エネ度しきい値が省エネ度しきい値として設定される。従って、作動制御手段72は、増加側に修正された省エネ度しきい値を用い、この修正省エネ度しきい値と現運転省エネ度とに基づいて熱電併給装置を運転制御するので、熱電併給装置が運転され難い状態となり、発電機負荷率の低い状態での熱電併給装置の運転時間を少なくし、システム全体の稼働効率を高めることができる。
〔第3の実施形態〕
次に、図23〜図25を参照して、本発明に従うコージェネレーションシステムの第3の実施形態について説明する。図23は、第3の実施形態のコージェネレーションシステムにおける制御手段を簡略的に示すブロック図であり、図24は、図23の制御手段による運転制御の一部を示すフローチャートであり、図25は、熱電併給装置の運転スケジュールと予測電力負荷などとの関係を簡略的に示す図である。尚、この第3の実施形態においては、省エネ度しきい値を用いることなく、予測運転省エネ度を利用して運転スケジュールを設定し、この運転スケジュールを利用した平均予測電力負荷及び積算予測給湯熱負荷並びに現電力負荷及び積算現給湯熱負荷を用いて熱電併給装置を運転制御している。
図23において、この第3の実施形態のコージェネレーションシステムにおける制御手段70Eは、熱電併給装置(例えば燃料電池)の運転スケジュールを設定するための運転スケジュール設定手段152を備えている。この運転スケジュール設定手段152は、予測電力負荷演算手段90、予測熱負荷演算手段92(予測暖房熱負荷演算手段94及び予測給湯熱負荷演算手段96)、有効予測電力負荷演算手段95及び有効予測熱負荷演算手段97(この形態では、予測給湯熱負荷をベースとして熱電併給装置の最小出力発生熱量を考慮した有効予測給湯熱負荷を演算する有効予測給湯熱負荷演算手段として機能する)を備え、これら予測電力負荷演算手段90、予測熱負荷演算手段92、有効予測電力負荷演算手段95及び有効予測熱負荷演算手段97は、第1の実施形態と同様に機能する。
運転スケジュール設定手段152は、更に、有効電力出力演算手段98E、熱出力演算手段102E、有効貯湯熱量演算手段104E及び予測運転省エネ度演算手段106Eを含んでいる。この第3の実施形態では、熱電併給装装置の各出力運転状態について運転スケジュール時間の各単位運転時間(例えば、30分、60分などの時間に設定される)毎に想定して仮運転スケジュールを設定し、かく設定される仮運転スケジュールは、単位運転時間が30分(又は60分)である場合に4の48乗通り(又は4の24乗通り)となる。そして、有効電力出力演算手段98E、熱出力演算手段102E及び有効貯湯熱量演算手段104Eは、それぞれ、各仮運転スケジュールに従って有効予測電力負荷及び有効予測熱負荷を満たすように熱電併給装置を運転制御したときの予測の有効発電出力E1、予測の暖房熱出力E2及び予測の有効貯湯熱出力E3を演算し、予測運転省エネ度演算手段106Eは、各仮運転スケジュール毎に、予測有効発電出力E1、予測暖房熱出力E2及び予測有効貯湯熱出力E3を用いて上述したと同様にして予測省エネ度を演算する。そして、運転スケジュール設定手段152は、仮運転スケジュールのうち、一日を通しての予測省エネ度が最も大きい仮運転スケジュールをその特定日の予測運転省エネ度の運転スケジュールとして設定し、この設定される運転スケジュールは、例えば、図25(c)に示すようになる。この運転スケジュールの設定の基本的方法は、特開2002−138902号公報に開示された方法と略同一であり、その詳細についてはこの特許公開公報を参照されたい。
制御手段70Eは、更に、平均予測電力負荷演算手段154、積算予測給湯熱負荷演算手段156、現電力負荷演算手段158、積算現給湯熱負荷演算手段160、作動制御手段162及び計時手段165を含んでいる。平均予測電力負荷演算手段154は、設定された運転スケジュールにおける熱電併給装置の最小出力より大きい出力状態における各運転時間帯の平均予測電力負荷を演算し、例えば図25(c)で示すように特定日(運転日)の運転スケジュールが設定されると、6〜8時及び16〜21時の各時間帯の予測電力負荷の平均が算出される。また、積算予測給湯熱負荷演算手段156は、特定日の運転スケジュールを設定する際に用いた予測給湯熱負荷を積算して積算予測給湯熱負荷を演算し、例えば、特定日の予測給湯熱負荷が図25(b)で示す通りであると、この予測給湯熱負荷に基づく積算予測給湯熱負荷は、図25(d)で示す通りとなり、この特定日の午前零時からの予測給湯熱負荷を積算したものとなる。
また、現電力負荷演算手段158は現時点の電力負荷を演算し、積算現給湯熱負荷演算手段160は、その運転日の午前零時から現時点までの現給湯熱負荷を積算する。また、計時手段165は時刻を計時する。
更に、作動制御手段162は、運転判定手段164及び運転切換信号生成手段166を含んでいる。運転判定手段164は、設定された運転スケジュールに基づく熱電併給装置(例えば燃料電池)の運転が実際の現電力負荷状態及び実際の現給湯熱負荷状態にマッチしているかなどを判定し、この判定結果に基づいて、運転切換信号生成手段166は後述するように運転切換信号を生成する。この第3の実施形態のコージェネレーションシステムのその他の構成は、上述した第1の実施形態と実質上同一でよい。
次に、図23及び図24を参照して、第3の実施形態のコージェネレーションシステムの制御について説明する。まず、運転スケジュール設定手段152によって運転スケジュールの設定が行われる(ステップS11)。この運転スケジュールの設定は、過去の電力負荷データに基づく予測電力負荷データに熱電併給装置の最小出力発電電力を考慮した有効予測電力負荷データと、過去の熱負荷データに基づく予測熱負荷データに熱電併給装置の最小出力発生熱量を考慮した有効予測熱負荷データを利用し、熱電併給装置の複数段の出力状態を運転スケジュール時間の各単位運転時間毎に想定して仮運転スケジュールを設定し、各仮運転スケジュール毎にその運転日の運転状態の予測省エネ度を演算し、運転スケジュール設定手段152は予測省エネ度が最も大きくなる、即ち省エネの度合いが最も大きくなる仮運転スケジュールを特定日(運転日)の予測運転省エネ度の運転スケジュールとして設定する。
次に、平均予測電力負荷演算手段154は、設定した運転スケジュールにおける熱電併給装置の最小出力よりも大きい出力状態、(1000W、750W、500W)における時間帯の平均予測電力負荷を演算する(ステップS12)。例えば、設定された運転スケジュールが図25(c)である場合、平均予測電力負荷演算手段154は、6〜8時及び16〜21時の各時間帯について、図25(a)の予測電力負荷の平均をそれぞれ演算する。
そして、積算予測給湯熱負荷演算手段156は、運転当日における現在時刻までの予測給湯熱負荷を積算し(ステップS13)、積算現給湯熱負荷演算手段160は、運転当日における現在時刻までの現給湯熱負荷を積算する(ステップS14)。このような予測給湯熱負荷及び現給湯熱負荷の演算は継続して行われ、熱電併給装置の最小出力よりも大きい出力状態による運転時間帯、例えば6〜8時(又は16〜21時)の時間帯の1時間前になると、ステップS15からステップS16に進み、熱電併給装置の出力変動のための監視が開始され、この監視は後の説明から理解されるように、上述した運転時間帯及びその前後1時間、例えば5〜9時(又は15〜22時)に渡って行われる。
この監視が開始されると、現電力負荷演算手段158は現時点の電力負荷を演算し(ステップS17)、運転判定手段164はこの稼動時間帯、例えば6〜8時における平均予測電力負荷と現電力負荷とを対比し、現電力負荷が平均予測電力負荷より大きいとステップS18からステップS19に進み、積算現給湯熱負と積算予測給湯熱負荷との対比が行われる。そして、積算現給湯熱負荷が積算予測給湯熱負荷に対して所定範囲(例えば、±20%の範囲)内であると、ステップS20からステップS21に進む。
これに対して、積算現給湯熱負荷が積算予測給湯熱負荷よりも20%以上少ないと、予測した給湯熱負荷が発生していないとしてステップS20からステップS22を経てステップS17に戻り、引き続き出力変動のための監視が継続される。一方、積算現給湯熱負荷が積算予測給湯熱負荷よりも20%以上大きいと、予測した給湯熱負荷が前倒しで発生したとしてステップS22からステップS23に移り、熱電併給装置の出力状態が最小出力に継続して維持され、次の稼動時間帯に対応するようになる。
このような監視状態において、現電力負荷が平均予測電力負荷よりも大きくなり、且つ積算現給湯熱負荷が積算予測給湯熱負荷に対して所定範囲内であると、ステップS20からステップS21に進み、運転切換信号生成手段166が運転切換信号を生成し、この運転切換信号に基づいて熱電併給装置の運転状態が切り換えられる。即ち、作動制御手段162は、設定された運転スケジュールに沿って熱電併給装置が運転されるように、設定された運転スケジュールの予測運転省エネ度となる運転状態で熱電併給装置を運転する。
熱電併給装置の出力変動後に、現電力負荷が所定時間、例えば30分間継続して平均予測電力負荷より下がると、電力負荷が低い状態が続いて効率的な運転ができないとしてステップS24からステップS25に進み、熱電併給装置の運転状態が最小出力となり、次の稼動時間帯に対応するようになる。また、熱電併給装置の出力変動後に、貯湯タンクの貯湯量が所定量に達すると、ステップS26からステップS25に移り、これ以上の貯湯は無駄として熱電併給装置の運転状態が最小出力となる。また、このように熱電併給装置が出力変動して最小出力よりも大きい出力で運転される運転時間帯から1時間経過すると、ステップS27からステップS25に移り、この運転時間帯に対する最小出力より大きい出力での熱電併給装置の運転が終了したとして最小出力に戻り、次の稼動時間帯に対応するようになる。
このコージェネレーションシステムでは、予測運転省エネ度を考慮した運転日毎の運転スケジュールをベースにするととともに、その運転日の運転状態、この実施形態では現電力負荷及び積算現給湯熱負荷を考慮して熱電併給装置の運転状態を制御するので、運転当日の運転状態に即して熱電併給装置を省エネ運転することができる。
以上、本発明に従うコージェネレーションシステムの各種実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、予測省エネ度及び現省エネ度を演算する際に、パラメータの一つとして熱電併給装置の必要エネルギーを用いているが、このパラメータとして、熱電併給装置の有効必要エネルギー(即ち、熱電併給装置のその出力状態における必要エネルギーからその最小出力状態における必要エネルギーを減算した必要エネルギー)を用いるようにしてもよく、この有効必要エネルギーを用いることによって、より正確に予測省エネ度及び現省エネ度を演算することができ、演算した予測省エネ度及び現省エネ度は熱電併給装置の実際の運転により即したものとなる。
尚、この場合、コージェネレーションシステムの予測省エネ度P1(%)は、
P1=〔(EK1+EK2+EK3)/熱電併給装置の有効必要エネルギー〕×100
ここで、EK1,EK2,EK3,は、E1,E2,E3を変数とする関数であり、
EK1=有効発電出力E1の発電所一次エネルギー換算値
=f1(有効発電出力E1,発電所で発電するために必要なエネルギー)
EK2=暖房熱出力E2の従来給湯器でのエネルギー換算値
=f2(暖房熱出力E2,補助加熱燃焼バーナのバーナ効率(暖房時))
EK3=有効貯湯熱出力E3の従来給湯器でのエネルギー換算値
=f3(有効貯湯熱出力E3,補助加熱燃焼バーナのバーナ効率(給湯
時))
で表され、コージェネレーションシステムの各運転状態における予測省エネ度P1は、次のようになる。即ち、貯湯単独における予測省エネ度P1(%)は、
P1=〔(EK1+EK3)/熱電併給装置2の有効必要エネルギー〕×100
となり、暖房単独の運転状態における予測省エネ度P1(%)は、
P1=〔(EK1+EK2)/熱電併給装置2の有効必要エネルギー〕×100
となり、また貯湯及び暖房の運転状態における予測省エネ度P1(%)は、
P1=〔(EK1+EK2+EK3)/熱電併給装置2の有効必要エネルギー〕
×100
となる。
また、例えば、上述した実施形態では、熱電併給装置からの発電電力が商用系統に逆潮流しない形態のコージェネレーションシステムに適用して説明したが、これに限定されず、熱電併給装置からの発電電力が商用系統に逆潮流する形態のコージェネレーションシステムにも適用することができ、この場合、熱負荷(給湯熱負荷及び暖房熱負荷)のみを考慮するようにすればよい。