JP2005071987A - 燃料電池システム - Google Patents

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賢治 武田
Masaya Ichinose
雅哉 一瀬
Motoo Futami
基生 二見
Kenji Kubo
謙二 久保
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Abstract

【課題】
燃料電池の出力する電力および熱をそれぞれの負荷に供給するシステムにおいて、貯湯量を適正に管理することで電力と熱の負荷に追従し、運転効率の低下を防止することが可能となる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】
燃料電池と、この燃料電池の発電運転にともなう発熱で温められる温水が蓄えられる貯湯タンクと、この貯湯タンクの蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段を備え、発電運転は、増減する負荷電力に相当した出力を発電する通常運転と、前記通常運転の出力よりも小さい発電に出力を抑える発熱抑制出力運転とを有すること。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池を用いて電気負荷および熱負荷にエネルギーを供給する燃料電池システム、燃料電池システムの稼動装置、および燃料電池システムの運転方法に関する。
近年、住宅の電力および熱のエネルギー源として燃料電池を用いることが検討されている。燃料電池は化学エネルギーが直接電力に変換されるので優れた変換効率が得られる。また燃料電池の発電に伴う熱を利用してトータルのエネルギー効率を高めることが検討されている。特許文献1には電力および給湯の需要を予測し最適な運転計画を予め設定することで発電および給湯を実現するようになっている。
特開2002−298887号公報
しかしながら、電力および給湯需要の予測を行うと、予測に反した負荷で運転し給湯が過剰となった場合、特に貯湯タンクが満タンになった場合には燃料電池の発電運転を停止するため高効率運転の継続が困難となる。また、負荷電力にのみ燃料電池出力を追従させる方法では、熱供給が負荷に追従出来ないという課題がある。
本発明は、前記の問題に対処し、発電運転の停止頻度を抑えて高効率運転を計ることを目的とする。
本発明は、燃料電池と、この燃料電池の発電運転にともなう発熱で温められる温水が蓄えられる貯湯タンクと、この貯湯タンクの蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段を備え、発電運転には、増減する負荷電力に相当した出力を発電する通常運転と、前記通常運転の出力よりも小さい発電に出力を抑える発熱抑制出力運転とを有することを特徴とする。
本発明によれば、発熱抑制出力運転により発電運転の停止が抑えられるので、燃料電池の高効率運転を提供できる。
本発明に係わる実施形態について図1〜図8を用いて説明する。
図1に示す本発明の実施形態に係わる燃料電池システムの概要から述べる。
この燃料電池システムは燃料電池1と、直流コンデンサ3と、燃料電池1の出力電流を制御するDC/DCコンバータ2と、DC/DCコンバータ2の出力および直流コンデンサ3の直流電力を交流電力に変換するDC/ACインバータ4と、DC/ACインバータ4の出力側に接続された高調波除去用のリアクトル20とコンデンサ21、および遮断投入手段24と、蓄電池44と、蓄電池44の充放電を制御する双方向のDC/DCコンバータ45とを備えている。双方向のDC/DCコンバータ45の一方が蓄電池44に、もう一方が直流コンデンサ3に接続されている。この燃料電池システムは制御装置29により運転を制御している。
なお、DC/DCコンバータ2とDC/ACインバータ4で電力変換装置を構成する。
遮断投入手段24を介して高調波除去後のシステム出力は電力系統に連系され、一方は家庭内受電盤27を介して商用系統電源28へ、もう一方は家庭内電力負荷25へ接続される。
商用系統電源28から家庭内受電盤27を介して流れる電流を受電電流検出手段26により受電電流検出値37として検出する。また、遮断投入手段24を投入し、系統に連系した場合の系統電圧およびDC/ACインバータ4の出力する系統電流はそれぞれ、リアクトル20と遮断投入手段24の接続線上に設けられた交流電圧検出手段23と連系電流検出手段22により交流電圧検出値36および連系電流検出値35として検出される。
さらに、燃料電池1とDC/DCコンバータ2の接続線上にある、燃料電池電圧検出手段17および燃料電池電流検出手段18はそれぞれ、燃料電池電圧検出値38および燃料電池電流検出値39を検出する。さらに、蓄電池44と双方向のDC/DCコンバータ
45の接続線上の蓄電池電圧検出手段47と蓄電池電流検出手段46はそれぞれ、蓄電池電圧検出値49および蓄電池電流検出値48を検出する。さらに直流コンデンサ3の両端に設けられた直流電圧検出手段19は直流電圧検出値41を検出する。
なお、双方向のDC/DCコンバータ45は蓄電池44に充電/放電を行わせる蓄電池充放電装置である。
また、燃料ガス製造手段14により発生した燃料ガス15は、燃料ガス弁16により適正な流量に制御され、燃料として燃料電池1に供給される。また、上記の各電流検出値,各電圧検出値、および蓄電池44の充電量51は制御装置29に演算パラメータとして入力される。ここで充電量51は蓄電池の電圧,電流積算値,温度を用いて推定する。
燃料ガス弁16,DC/DCコンバータ2,DC/ACインバータ4,双方向のDC/DCコンバータ45は、それぞれ制御装置29から出力される燃料ガス弁開度指令43,パルス指令40,42,50に基づいて制御を行う。制御装置29には家庭内に設置された操作リモコン52が信号線53により接続され、操作リモコン52上には操作ボタン
54を備えている。
操作ボタン54は燃料電池システムの運転/停止操作機能の他、1日のうち特定の時間帯を利用者が選択する機能を持つ。さらに制御装置29には外気温検出手段55として、例えばサーミスタなどの温度センサが接続され、外気温度を測定する。
また、燃料電池1には燃料電池1の冷却を目的とした循環水経路7が接続され、循環水タンク8から出た水が燃料電池1の内部を通過した後に熱交換器6の一次側を通過し、循環水タンク8に戻るように循環水経路7が配管されている。水処理装置13は純度の高い水を循環水経路7に供給する。
また、家庭の上水道などの取水手段9から取水した水道水を貯める貯湯タンク5があり、貯湯タンク5の底部から出た水は熱交換器6の二次側を通過し貯湯タンク5の頂部に戻り、さらに貯湯タンク5の頂部からは家庭内熱負荷11へ温水を供給し、家庭内熱負荷
11へ供給した温水の量に等しい量の水道水が貯湯タンク5の底部に供給され、常に貯湯タンク5には温水と冷水の層を構成した水が充填される。
また、貯湯タンク5の底部から出た水を温め貯湯タンク5の頂部に供給する追焚き装置10も配管されている。貯湯タンク5には複数個の水温検出器を水温検出手段12として設け、タンク高さ方向にそれらの水温検出器を配置する。ここで例えば水温検出手段12にはサーミスタを用い、水温検出手段12からは水温検出値30,31,32が検出される。
図2に制御装置(システム出力制御装置)29の詳細図を示す。
交流電圧検出値36より位相・電圧検出手段102は交流電圧位相107および交流電圧振幅108を検出する。連系電流制御手段103は交流電圧位相107,交流電圧振幅108,連系電流検出値35および直流電圧検出値41に基づき、連系電流を制御する
DC/ACインバータ4に対しパルス指令42を出力する。
受電電力演算手段101は、受電電流検出値37および交流電圧検出値36の各実効値の積より受電電力106を求める。システム出力演算手段104は、受電電力106,蓄熱量検出値112,蓄電池電圧49および充電量51に基づき、燃料電池電流指令109,蓄電池電流指令114および燃料ガス弁開度指令43を演算する。燃料電池電流制御手段105は燃料電池電流指令109と燃料電池電流検出値39に基づきパルス指令40を出力する。
燃料電池電流を制御するDC/DCコンバータ2はパルス指令40に基づき燃料電池1からの給電を行う。さらに蓄電池電流制御手段113は蓄電池電流指令114と蓄電池電流検出値48に基づき、パルス指令50を出力する。蓄電池電流を制御する双方向のDC/DCコンバータ45はパルス指令50に基づき蓄電池44の充放電を行う。
蓄熱量判定手段110は3つの水温検出値30,31,32より貯湯タンク5の蓄熱量を判断し、蓄熱量検出値112を出力する。また、追焚き指令手段111は蓄熱量検出値112が「低」であった場合に、蓄熱量検出値112が「中」もしくは「高」になるまで追焚きを行うことができる。
図3に蓄熱量判定手段110の詳細図を示す。
貯湯タンク5の内部には高温と低温の二つの層に水が分布しており、高温の層の水位を検出することで貯湯タンク5の蓄熱量を検出している。貯湯タンク5の水位は水温検出手段12の位置で複数の蓄熱水位603に分割される。本実施例では水温検出手段12を3点とした場合について述べている。蓄熱量判定手段110では、3つの水温検出値30,31,32を所定の水温閾値と比較し、水温閾値の水位が「低」「中」「高」「高高」といった貯湯タンク5内のどの蓄熱水位603にあるかを判定し、判定された蓄熱水位603を蓄熱量検出値112として出力する。
ここで、例えば判定に用いる水温閾値は60℃とし、3つの水温検出値30,31,
32の値がそれぞれ61℃,25℃,25℃であれば、60℃の層が水温検出手段30と31の中間にあると判定し、蓄熱水位603b「中」が蓄熱量検出値112として出力される。
図4にシステム出力演算手段104の詳細図を示す。
受電電力106と受電電力閾値310との差が蓄電池出力電力指令311となり、蓄電池電流換算手段312へ入力され、蓄電池電流換算手段312において電圧検出値49等の任意の換算係数を乗算または割算することにより蓄電池電流指令114に換算され、前記の蓄電池電流制御手段45に入力される。
燃料電池電力指令306と、蓄電池出力電力指令311と、受電電力106とを加算して得られる負荷電力検出値307は急峻な変動を除去するフィルタ301を介して負荷電力値308に変換され、燃料電池出力演算手段302に入力される。
例えばフィルタ301には、一次遅れフィルタを用いる。負荷電力値308と蓄熱量検出値112および充電量51を用いて燃料電池出力演算手段302において演算された燃料電池出力指令309は、燃料ガス流量換算手段303により燃料ガス弁開度指令43に変換される。
前記の燃料ガス15は、変化を指令した後に安定するまで所定の時間が必要なため、燃料電池出力指令309は、安定までの時間を考慮した遅延手段304を介して燃料電池電力指令306として出力される。燃料電池電力指令306は燃料電池電流換算手段305において電圧検出値38等の任意の換算係数を乗算または割算することにより燃料電池電流指令109に換算され、燃料電池電流制御手段105に入力される。
図5に燃料電池出力演算手段302の詳細図を示す。
温度差判定手段401,日付判定手段402,給湯時間判定手段403はそれぞれ、貯湯温度と外気温との温度差を基準値との大小,日付が予め定めた寒冷期か否か、時刻がリモコンで選択した給湯時間帯か否かを判定する。条件に該当する場合はそれぞれ蓄熱閾値を変更する。
ここで、外気温は外気温検出手段55から、日付は制御装置29に内蔵されたカレンダー機能から、給湯時間帯は操作リモコン52からの情報に基づく。その後、蓄熱量超過タイマ404において、蓄熱量が蓄熱閾値を超えた蓄熱超過時間(発電運転停止時間)を所定の時間閾値(停止許容時間閾値)と比較し、時間閾値(停止許容時間閾値)を超えない場合は通常運転407とする。ここで、通常運転407とは、負荷電力値308に相当する燃料電池出力指令309を与える運転である。負荷電力に相当する出力とは、家庭で消費される負荷電力の変動に沿うように燃料電池出力を変更することで負荷電力と燃料電池出力の電力の誤差を抑える運転を意味し、例えば負荷電力値308に対し燃料電池出力指令309を直に対応させる負荷電力追従出力運転や、負荷電力値308の過去の記録に基づき現在の負荷電力値308を推定した推定値に燃料電池出力指令309を対応させるスケジュール運転がある。時間閾値(停止許容時間閾値)を超えた場合は蓄電池充電率判定手段405において蓄電池44の充電量が十分に蓄えられていると判断された場合に、燃料電池の出力を所定の発熱抑制出力406とする。通常運転407と発熱抑制出力406のどちらかを燃料電池の出力を決定する運転出力411とする。
なお、停止許容時間閾値は、貯湯タンク5の蓄熱量が蓄熱閾値を超えて停止した燃料電池が直に運転再開するまでの経過時間を言う。停止許容時間閾値は約1時間程度で、燃料電池には余熱が残っており、運転再開によって直ちに通常の発電が行われる。停止許容時間閾値を超えて停止してしまうと、燃料電池が冷え切ってしまい運転を再開しても、通常の発電に立ち上がるまで、時間がかかる。発電運転の停止頻度を抑えることで、燃料電池の発電効率を上げることができるのである。
蓄電池44を用いない場合は、蓄熱量超過時間が時間閾値を超えた場合に発熱抑制出力406とする。また、蓄電池充電率判定手段405で判定する充電率は例えば50%から70%とする。さらに、操作リモコン52で選択する給湯時間帯は、1日、すなわち24時間を2時間ないし3時間で等分した複数の時間帯の中から選択するものとする。
この給湯時間帯は、操作リモコン52を用いなくとも設定できる。2時間ないし3時間で等分した時間割の区分への給湯時間帯の割り付けは、制御装置29に設けた入力操作部(図示せず)で行う。また給湯時間帯をニ種類(第1/第2の給湯時間帯)設けることも可能である。第1の給湯時間帯は1日経過すると割り当て効力が失われ、第2の給湯時間帯は1日経過後も割り当て効力が失われずに継続する異なる機能を付加することで、更に使い勝手がよくなる。
図6に、通常運転407を負荷電力追従出力運転とした場合に燃料電池出力指令309を作成する負荷電力比較器409を示す。
図6中の太線で示すように、燃料電池1の定格電力出力を100%とした場合に20〜30%程度の高さ間隔の離散的な値とし、負荷電力値308の増加時は図6中の斜線で示す傾き1の直線より下の範囲に収まる太線上を増加方向へ移動、また、負荷電力値309の減少時は傾き1の直線より上の範囲の太破線上を減少方向に移動する。
負荷電力比較器409の出力は出力指令器410において、運転出力411に合わせて燃料電池出力指令309に変換される。出力指令器410は、運転出力411が通常運転407の場合は負荷電力比較器409出力を、運転出力411が発熱抑制出力406の場合は所定の発熱抑制運転を行う。
また図9に、通常運転407をスケジュール運転とした場合に燃料電池出力指令309を作成する負荷電力推定器412を示す。負荷電力推定器412では、過去N日、例えば1週間の負荷電力308の24時間の時間推移を記録し、過去N日における平均的な負荷電力スケジュールを得る。当日の負荷電力の時間推移は、この過去N日の平均的な負荷スケジュールにより特徴が推定されるため、この平均的な負荷電力スケジュールを負荷電力比較器409に入力することで、当日の所定時刻の負荷電力に必要な運転スケジュールを得ることが出来る。ここでは、負荷電力推定器412において過去の負荷電力308の平均を用いて当日の負荷電力308を推定したが、ファジィ推論,ニューラルネットワークなど用いた学習手法によって当日の負荷電力308を推定する機能を負荷電力推定器412に持たせても良い。負荷電力比較器409の出力が運転出力411に合わせて燃料電池出力指令309に変換されるのは、図6と同様である。
発熱抑制運転とは、通常運転407を主(基本)として所定の補正により燃料電池出力を低減し、発電に伴う排熱の発生を抑制する運転を意味する。
通常運転では、低出力(25%未満)から高出力(75%以上/100%以下)まで増減する負荷電力の要求に応じて燃料電池は発電する。発熱抑制出力運転では、増減する負荷電力の要求に対して低出力(25%未満)から中出力(75%未満)までの範囲でしか発電されない。つまり、通常運転の出力よりも小さい発電に出力を抑える運転が行われる。
家庭の負荷電力は、所定の時間間隔ごとに例えば、1日,1週間,1年といった24時間の倍数周期を持って変化している。そこでこれら周期ごとに蓄熱閾値超過時間を測定し、蓄熱閾値超過時間が所定の時間閾値を超えた場合は給湯が過剰と判断できるため、次周期では運転出力411を発熱抑制出力406とし、前周期よりも発熱を低減することでシステムの停止回数を減らしシステムの稼働率を向上することが出来る。
例えば、複数段の燃料電池出力指令のうちどれか一つ以上の段、例えば最大出力段を禁止し、禁止段よりも低い出力段で運転することにより、燃料電池の発熱を抑制出来る。または発熱抑制出力406として、通常運転407よりも1段低い段での運転を行っても良い。
図7は、負荷電力308の時間変化に対する燃料電池出力指令309の変化を示す。
図7では1日周期T1で蓄熱閾値を超えた蓄熱超過時間(発電運転停止時間)の計測を行った場合に、発電運転停止時間T3が停止許容時間閾値T4を超えたため、次周期T2では発熱抑制出力406を出力している。図7の(a)(b)はそれぞれ、(a)最大出力を禁止した出力と、(b)通常運転より1段低い出力の2通りの発熱抑制出力406を示している。
すなわち、1日目周期T1では、通常運転が行われたが、蓄熱閾値を超えた発電運転停止時間が停止許容時間閾値を超えたため、二日目周期T2では発熱抑制出力運転が行われる。つまり、前日の運転を調べて次に来る日の運転を選ぶようにしているが、その選定条件は蓄熱閾値を超えた発電運転停止時間が停止許容時間閾値よりも長いか短いかで決めるようにしているので、前日の運転を全体に亘って記憶しておくものに比べて制御が極めて簡単で、制御装置も簡単になるのである。
前日の運転で、蓄熱閾値を超える発電運転停止がなかったり、蓄熱閾値を超えて発電運転停止しても停止許容時間閾値よりも短かったりしたときには場合には翌日は通常運転が実行される。
また二日目周期T2のように発熱抑制出力運転が選定されたもとで、50%以下の発電しか行われないときには、その次の運転は通常運転が選ばれる。
このように、発電運転は通常運転を基本とし、貯湯タンクの蓄熱量が蓄熱閾値を超えるような負荷電力が要求されたときは、翌日も同じ負荷電力になる可能性が高いので、発電を中程度の出力に抑える発熱抑制出力運転にすることにより、燃料電池の発電運転を止めずに運転できる。このため、燃料電池の運転効率が向上するのである。
なお、蓄熱閾値や停止許容時間閾値をもとに通常運転,発熱抑制出力運転が選択されるので、蓄熱閾値や停止許容時間閾値は出力運転択一手段として捉えることができる。この通常運転や発熱抑制出力運転は、負荷電力に相当する運転を基本とするも、発電した出力の程度に応じて次に来る出力運転が入れ替えられることで燃料電池の発電運転停止を極力抑え、燃料電池の運転効率の向上に努めることができる。ここで、負荷電力に相当する運転とは、負荷電力追従出力運転やスケジュール運転のように、家庭で消費される負荷電力の変動に沿うように燃料電池出力を変更することで負荷電力と燃料電池出力の電力の誤差を抑える運転を意味する。
さらに本システムにおいて、例えば蓄電池44が最大蓄電量の50%以上の蓄電電力量を蓄電している場合など、十分に蓄電池44が放電出来る場合にのみ、発熱抑制出力406とすれば、燃料電池の出力を減らしても、家庭の受電電力量を増やすことなく発熱のみ抑制することが可能となる。
さらに、1年間のうち晩秋から初春までなどの寒冷期は家庭での熱負荷は増加する。このとき貯湯タンクの蓄熱閾値が低いと家庭の熱負荷に対し供給が不足する。そこで本システムでは外気温検出手段55において外気温を検出し、タンクの貯湯温度と外気温との温度差が所定の温度差以上となった場合は家庭での熱負荷が増加すると判断し、貯湯タンクの蓄熱閾値を増やし蓄熱量を増加することで家庭の熱負荷への供給を増すことができる。
ここで、例えば、所定の温度差を65℃以上とする。また、外気温を用いる代わりに、時刻や日付を記憶するカレンダー機能を備え、所定の日付や時刻、例えば12月から2月までなどを寒冷期として判断し、蓄熱閾値を変化させても良い。
図8は操作リモコン52の設定による時間帯別運転を示す。
時間帯別運転とは、給湯が必要になる給湯時間帯を予め利用者が操作ボタン54を用いて入力しておく運転である。利用者が入力できる給湯時間帯には利用者が普段給湯を利用する時間帯と、入力時刻から24時間以内の将来で利用者が予測した場合に選択する時間帯の2種類の給湯時間帯を設ける。
これまでの燃料電池システムでは、例えば、蓄熱閾値を蓄熱水位「高」とした場合に、蓄熱量「高」の状態が所定時間続いた場合には出力を低減していたが、給湯時間帯であれば給湯需要が大きく、蓄熱量が閾値を超えることに問題が無いため、一時的に蓄熱閾値を蓄熱水位「高高」に増加することで不要な燃料電池の出力低減を防ぐことができる。図8の時間帯Aの付近では蓄熱水位が「高」の範囲にあるが、すでに給湯時間帯の範囲に入っており「高高」を蓄熱閾値としているため、燃料電池出力は変更することがない。
また、実施例では、貯湯タンクの蓄熱量検出手段を3点として示したが、点数を増やすことにより、細かい貯湯の管理が可能となる。
以上のように、本燃料電池システムは、負荷電力に相当する燃料電池の出力を基本とした上で、貯湯タンクの蓄熱量を検出し、得られた蓄熱情報に基づき燃料電池の出力を補正することで、熱負荷にも適応した高効率な運転を実現することが出来る。
本発明の実施形態に係わる燃料電池システムの概要を示す図。 図1における、システム出力制御装置の詳細図。 図2における、蓄熱量判定手段の詳細図。 図2における、システム出力演算手段の詳細図。 図4における、燃料電池出力演算手段の詳細図(運転選択フロー図)。 図4における、燃料電池出力演算手段内部の詳細図。 本発明の実施形態に係るもので、燃料電池出力の時間推移を示す図。 本発明の他の実施形態に係るもので、燃料電池出力の時間推移を示す図。 本発明の実施形態に係るもので、時間帯別運転を用いた燃料電池出力の時間推移を示す図。 図4における、燃料電池出力演算手段内部の詳細図。
符号の説明
1…燃料電池、2…DC/DCコンバータ、3…直流コンデンサ、4…DC/ACインバータ、5…貯湯タンク、6…熱交換器、7…循環水経路、8…循環水タンク、9…取水手段、10…追焚き装置、11…家庭内熱負荷、12…水温検出手段、13…水処理装置、14…燃料ガス製造手段、15…燃料ガス、16…燃料ガス弁、17…燃料電池電圧検出手段、18…燃料電池電流検出手段、19…直流電圧検出手段、20…リアクトル、
21…コンデンサ、22…連系電流検出手段、23…交流電圧検出手段、24…遮断投入手段、25…家庭内電力負荷、26…受電電流検出手段、27…家庭内受電盤、28…商用系統電源、29…制御装置(システム出力制御装置)、44…蓄電池、45…双方向のDC/DCコンバータ、46…蓄電池電流検出手段、47…蓄電池電圧検出手段、52…操作リモコン、53…信号線、54…操作ボタン、55…外気温検出手段、101…受電電力演算手段、102…位相・電圧検出手段、103…連系電流制御手段、104…システム出力演算手段、105…燃料電池電流制御手段、113…蓄電池電流制御手段、301…フィルタ、302…燃料電池出力演算手段、303…燃料ガス流量換算手段、304…遅延手段、305…燃料電池電流換算手段、312…蓄電池電流換算手段、313…蓄熱閾値、314…比較器、315…比較出力、317…切替スイッチ、401…温度差判定手段、402…日付判定手段、403…給湯時間判定手段、404…蓄熱量超過タイマ、405…蓄電池充電率判定手段、406…発熱抑制出力、407…通常運転、603a,603b,603c,603d…蓄熱水位。

Claims (13)

  1. 燃料電池と、この燃料電池の発電運転にともなう発熱で温められる温水が蓄えられる貯湯タンクと、この貯湯タンクの蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段を備え、
    前記発電運転は、増減する負荷電力に相当した出力を発電する通常運転と、前記通常運転の出力よりも小さい発電に出力を抑える発熱抑制出力運転とを有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記通常運転は、増減する負荷電力に相当するよう予め定められた運転スケジュールに基づき低出力から高出力までの発電を運転するスケジュール運転を行うことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 増減する負荷電力を検出する負荷電力検出手段を備え、
    前記通常運転は、前記負荷電力検出手段で検出した負荷電力に相当するよう低出力から高出力までの発電を運転する負荷電力追従出力運転を行うことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  4. 前記通常運転と前記発熱抑制出力運転を択一する出力運転択一手段を有することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  5. 前記通常運転と前記発熱抑制出力運転は、所定の時間間隔ごとに選択され、前記選択は前記所定間隔の一つ前の時間間隔における運転情報をもとに決定されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  6. 燃料電池と、この燃料電池の発電運転にともなう発熱で温められる温水が蓄えられる貯湯タンクと、この貯湯タンクの蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段を備え、
    前記蓄熱量が所定量になったら前記発電運転を停止させる蓄熱閾値と、運転停止後の発電再開が直に行われる発電運転停止時間限度の停止許容時間閾値とを設け、
    前記通常運転に際し、前記蓄熱閾値で停止した発電運転停止時間が前記停止許容時間閾値を上回ったときは、次に来る出力運転を発熱抑制出力運転に移行させることを特徴とする燃料電池システムの運転方法。
  7. 前記発電運転の推移を24時間の区切で管理し、前記区切で得られた前記蓄熱量,前記発電運転停止時間、および前記発電の出力に関する運転情報が24時間の整数倍周期で更新されることを特徴とする請求項6記載の燃料電池システムの運転方法。
  8. 外気温と前記貯湯タンクの温度差を計り、その温度差値に応じて前記蓄熱閾値を選択することを特徴とする請求項6記載の燃料電池システムの運転方法。
  9. カレンダー機能を備え、
    前記カレンダー機能の時刻および日付に関する情報をもとに前記蓄熱閾値を選択することを特徴とする請求項6記載の燃料電池システムの運転方法。
  10. 燃料電池システムが稼動する1日の時間を2時間乃至3時間ずつ等分した複数の時間割に区分し、この区分に給湯を利用する頻度の高い給湯時間帯を割り当て、この給湯の区分では前記蓄熱閾値が高く設定されることを特徴とする請求項6記載の燃料電池システムの運転方法。
  11. 前記給湯時間帯をニ種類(第1/第2の給湯時間帯)設け、
    第1の給湯時間帯は1日経過すると割り当て効力が失われ、第2の給湯時間帯は1日経過後も割り当て効力が失われずに継続することを特徴とする請求項10記載の燃料電池システムの運転方法。
  12. 前記給湯時間帯の割り当て設定を行うリモコンを備えたことを特徴とする請求項10記載の燃料電池システムの稼動装置。
  13. 燃料電池と、この燃料電池の発電運転にともなう発熱で温められる温水が蓄えられる貯湯タンクと、前記燃料電池が出力する直流の電力を商用系統電源の周波数に合わせた交流電力に変換する電力変換装置と、前記貯湯タンクの蓄熱量を検出する蓄熱量検出手段と、供給される前記直流の電力を蓄電したり、蓄電されている電力を放出したりする蓄電池と、この蓄電池の蓄電/放出を行う蓄電池充放電装置とを有する燃料電池システムの稼動装置において、
    増減する負荷電力に相当した出力を発電する通常運転と、前記通常運転の出力よりも小さい発電に出力を抑える発熱抑制出力運転とを有することを特徴とする燃料電池システムの稼動装置。
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