JP2006097453A - 水路構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水路の流水断面を阻害することなく、落下した小動物等が容易に脱出できる昇降用スロープを備えた水路構造体を提供する。
【解決手段】 長手方向に連結されている断面U字形状の第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bは、それらの上流及び下流に連結されている断面U字状の第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bに対して幅は同一であるが深さが深くなるように形成されている。第1水路ブロック17aの第1側壁部21aと第1水路ブロック17bの第1側壁部21bには、底部20a及び底部20bの各々の上面近傍から上方に向かって斜めに伸びる棒状の昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bが取付けられている。第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bはその深さが通常の部分より深くなっているため、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの設置による流水断面の阻害が生じない。
【選択図】 図1

Description

この発明は水路構造体に関し、特に小動物の脱出を可能とする昇降用スロープを取り付けた水路構造体に関するものである。
コンクリート水路はその両側側面を高い側壁で寸断するため、水路に落下した小動物が救済できない等生態系に与える影響が大きく問題となっている。この問題を少しでも緩和するために取り組んでいるのが水路の横に取り付けられる昇降用スロープの設置である。この昇降用スロープを設けたことにより水路内に落ちた小動物が這い上がることができるようになった。主な対象となる小動物はカエルや昆虫からヘビ、タヌキ、キツネ等と多岐に渡っている。
従来の小動物の昇降スロープ又は脱出用スロープと呼ばれているものは、水路の流水断面を阻害しないように水路の内側の断面より外側の位置に取り付けられていた。水路内にスロープを設けると流水断面が阻害され、設計された流量が流せないというのが主な理由である。しかし、この構造では水路の中央を流される小動物にとってスロープまで辿り着けない場合があり、小動物を確実に脱出させる機能としては十分とは言えなかった。
このような昇降用スロープを有する構造には次のようなものが挙げられるが、いずれも以下の理由で本願発明とは異なるものである。
まず次の4例にあっては内幅及び外幅が標準の水路部より大きく外部に突出している。即ち、これらは内幅が同じではなく、又、水路側壁の内側に水路底から水路上端にかけて棒状に突出するように昇降用スロープを取り付けたものではない。
実願平3−76265号 登録実用新案第3012398号公報 特許第2779927号公報 登録実用新案第3040191号公報
又、次の2例についても標準水路の内幅から昇降用スロープが大きく外部に突出している。即ち、深底の水路の側壁内側に、水路底から水路上端にかけて棒状に突出するように昇降用スロープを取り付けたものではない。
実開平5−83027号公報 登録実用新案第3030733号公報
上記のように従来の小動物の昇降用スロープは流水断面を阻害しないように水路の内側の断面より外側に取り付けられていた。
尚、小動物の中で、昇降用スロープを最も多く利用するものは調査の結果カエルであることが判明した。しかし、カエルは視力が弱く50cm程度先のものしか見えないため、この設置された昇降用スロープが水路断面より外にある場合、それを見つけて脱出することができるカエルはごく僅かとなっているのが実情である。
又、今までの構造は標準水路の幅より外に小動物の脱出口となる穴やスペースが必要となる。そのため田の畦に設置した場合草が茂って穴が見えなくなり、人が転倒するといった事故が発生していた。
更に、水田に設置した場合、水路外の水田部側に昇降用スロープを確保するための凸部ができるため、大型機械で行う田植えや稲刈り等の作業の障害となっていた。
更に、この昇降用スロープの部分の材質はコンクリート製のものが多いが、コンクリートの場合、真夏の炎天下にさらされると温度が上がり、カエルがスロープの上を少し歩くと水分が吸収されて歩くことができない状況となっていた。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、水路の水流を阻害することなく落下した小動物等が容易に脱出できる昇降用スロープを備えた水路構造体を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、水路を構成するための水路構造体であって、第1の幅と第1の深さとを有する第1の水路ブロックと、第1の水路ブロックの上流側と下流側とに接続され、第1の幅と同じ幅の第2の幅と、第1の深さより浅い第2の深さとを有する2つの第2の水路ブロックと、第1水路ブロックの側壁部の少なくとも一方の内面に沿うように取り付けられ、側壁部の上端まで上方に向かって斜めに伸びる棒状の昇降用スロープとを備えたものである。
このように構成すると、第1水路ブロックの内面から側壁部の上端まで連続する経路が形成される。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、昇降用スロープの流水方向に向かう投影面積は、第1水路ブロックの流水断面積から第2水路ブロックの流水断面積を引いた面積以下としたものである。
このように構成すると、昇降用スロープの投影面積は第2水路ブロックに対して増加した分の第1水路ブロックの流水断面積以下となる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、昇降用スロープの下端は、第2水路ブロックの底面の水平レベル以下に位置するものである。
このように構成すると、渇水時に第2水路ブロックの底部の上面まで残存した第1水路ブロックの水に対して昇降用スロープの下端が浸かることになる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、昇降用スロープの少なくとも上面は、粗面状態に仕上げられるものである。
このように構成すると、昇降用スロープの上面の摩擦抵抗が増加する。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、昇降用スロープは、下流側に向かって上昇するように設置されるものである。
このように構成すると、昇降用スロープの上面は下流側に向かって上昇するように位置する。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の構成において、昇降用スロープは、側壁部の上端に脱着自在に取り付けられるものである。
このように構成すると、必要に応じて昇降用スロープの取り付け取り外しが容易となる。
請求項7記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、昇降用スロープは、水の比重より小さな比重の材質により構成されると共に、その上部を中心に回動自在となるように側壁部にその上部が取り付けられるものである。
このように構成すると、昇降用スロープの先端の位置は水流の水面レベルに追随するように上下に変化する。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1水路ブロックの内面から側壁部の上端まで連続する経路が形成されるため、水路構造体に落下した小動物等はこの経路を介して水路構造体から脱出することが可能となる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、昇降用スロープの投影面積は、第2水路ブロックに対して増加した第1水路ブロックの流水断面積以下となるため、水路構造体の流水断面を昇降スロープが阻害する虞がない。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、渇水時に残存した第1水路ブロックの水に対して昇降用スロープの下端が浸かることになるため、第1水路ブロックの底部に流された小動物等は昇降用スロープを伝って水路構造体から脱出することが可能となる。
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、昇降用スロープの上面の抵抗が増加するため、昇降用スロープを伝って小動物等の外方への脱出が容易となる。
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、昇降用スロープの上面は下流側に向かって上昇するように位置するため、流れに沿って移動する小動物等が昇降用スロープの上に乗りやすくなる。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明の効果に加えて、昇降用スロープの取り付け取り外しが容易となるため、効率的な昇降用スロープの設置が可能となる。
請求項7記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、昇降用スロープの先端の位置が水流の水面レベルに応じて追随するように変化するため、昇降用スロープの先端部は常に水流に浸かった状態となる。従って、水流の量に関わらず水面から外方に繋がる経路が常に存在することになり、小動物の脱出が容易となる。
図1はこの発明の第1の実施の形態による水路構造体の概略構成を示した斜視図であり、図2は図1で示したII−IIラインの断面図であり、図3は図1で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。
これらの図を参照して、第1の幅と第2の幅とを有する断面U字状の一対の第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bが長手方向に整列した状態で連結されている。第1水路ブロック17aの上流側には第1水路ブロック17aの第1の幅と同じ幅の第2の幅と第1水路ブロック17aの第1の深さより浅い第2の深さとを有する第2水路ブロック18aが、その上端面を第1水路ブロック17aの上端面と整列させた状態で連結されている。尚、深さの異なることによって生じる第2水路ブロック18aの底部24aと第1水路ブロック17aの底部20aとの間に生じる隙間は、これを塞ぐように現場打コンクリート30aが打設されている。
一方、第1水路ブロック17bの下流側には第1水路ブロック17bの第1の幅と同じ幅の第2の幅と第1水路ブロック17bの第1の深さより浅い第2の深さとを有する第2水路ブロック18bが連結されている。同様に第1水路ブロック17bの底部20bと第2水路ブロック18bの底部24bとの間に生じた隙間は、現場打コンクリート30bによって塞がれている。
尚、第1水路ブロック17及び第2水路ブロック18の各々はいずれも標準形状の2次製品により構成されている。そのため、特殊な形状の水路ブロックを別途準備する必要が無いため効率的な水路となる。ただし、第2水路ブロックやこれに接続する第1水路ブロックを一体的に形成するように構成しても良いことは言うまでもない。
第1水路ブロック17aの底部20aの両側から立ち上がる第1側壁部21a及び第2側壁部22aのうち、第1側壁部21aの内面に沿うように底部20aの近傍から上流側に向かって上昇するように傾斜した昇降用スロープ28aが取り付けられている。昇降用スロープ28aを主に構成するコンクリート体33は、第1側壁部21aにボルト34a,ボルト34bを介して取り付けられている。昇降用スロープ28aの上面側には繊維質材35が取り付けられている。同様に第1水路ブロック17bの第1側壁部21bに対しても、昇降用スロープ28aと同材質の昇降用スロープ28bが取り付けられている。但し、昇降用スロープ28bは下流側に向かって上昇するように第1側壁部21bに取り付けられている。
昇降用スロープ28の勾配は緩いほど良いが、通常1:1.0から1:2.0程度の間が最も多く使用される。また、標準の水路ブロック18の底部24と少し下げた深底の水路ブロック17の底部20との差Hを大きくするほど水路ブロック17の流水断面が大きくなるが、通常はその差が20cm前後のものが最も多く利用される。
図4は図3に対応した図であって、流水方向に向かった各部分の投影面積を模式的に示した図である。
図を参照して、記載されている符号は、図3の拡大断面図に示した符号に対応するものである。即ち、点Aは第2側壁部22aの内側の上端位置を示し、点Bは底部24aと第2側壁部26aとの接続点を示し、点Cは底部24aと第1側壁部25aの接続点を示し、点Dは第1側壁部21aの内側の上端部を示している。又、点Eは昇降用スロープ28aの内方側の上端部を示し、点Fは昇降用スロープ28aの内方側と底部24aの上面とが交差する点を示し、点Gは底部20aと第2側壁部22aの接続点を示し、点Hは昇降用スロープ28aの内方側の面の延長部分が底部20aと交差する点を示し、符号Iは底部20aと第1側壁部21aの接続点を示している。
従って、長方形ABCDは第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bで規定される基本的な水路の流水断面を意味するものとなる。一方、長方形AGIDは第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bによって規定される流水断面積に相当する。即ち、長方形BGICが第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17b部分において増加した流水断面と言える。
一方、長方形EFCDは、昇降用スロープ28aの取り付けによって第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bの流水断面を阻害する面積であると言える。この実施の形態においては、このEFCDよりなる面積よりBGHFよりなる面積が大きくなるように第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17b及び昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの大きさが設定されている。従って、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの取り付けによって阻害される流水断面は、第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bの深さの増加によって得られる流水断面の増加によって補われることになる。結果として、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bを第1側壁部21a,第1側壁部21bの内方側に設置した状態でも、第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bによって規定される基本的な流水断面を阻害することはない。
このようにこの実施の形態によれば、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bを、通常の水路となる第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bの第1側壁部25a,第1側壁部25bの内面位置より水流中央側に設けることができるため、水路を流される小動物等にとってこれらのスロープに容易に辿り着くことが可能となる。又、第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bの横幅は第2水路ブロック18a,第2水路ブロック18bと全く同一で互いに整列されている。そのため、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの設置による小動物等の脱出用穴を第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bの外方側に設ける必要もない。従って、そのような穴から不用意に人が落下する虞もなく、また畦道等にこの水路構造体を設けた場合であっても、標準の水路幅より外方に突き出る構造物が存在しないため、稲刈り等の作業に支障を与えることはない。
又、図2及び図3から明らかなように、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの各々の下端は、底部20a,底部20bの上面近くまで下がっており、第2水路ブロック18aの底部24a及び第2水路ブロック18bの底部24bの水平レベルより下に位置している。従って、渇水時に底部24a及び底部24bの上に水がなくなった時点であっても、第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bの底部20a,底部20bには水が残存することになる。この場合でも、残存した水に落下した小動物は、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bを介して容易に水路構造体15から脱出することが可能となる。
又、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bの上面には上述のように繊維質材35が取り付けられているため、直射日光による温度の上昇を防止すると共に、その摩擦抵抗を高めることによって小動物の脱出をより容易とするものとなっている。尚、この実施の形態にあっては、昇降用スロープ28a,昇降用スロープ28bを第1水路ブロック17a,第1水路ブロック17bの各々に取り付けているが、いずれか一方のみを第1側壁部21a,第1側壁部21bのいずれかに取り付けるように構成しても良い。この場合、昇降用スロープ28を下流側に向かって上昇するように取り付ければ、流されて来た小動物がより容易に脱出しやすくなる。
図5はこの発明の第2の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。
図を参照して、この実施の形態による水路構造体は、先の第1の実施の形態による水路構造体に対して昇降用スロープ28のみが異なっている。他の構造については、同一であるためここでの説明は繰り返さない。
昇降用スロープ28が第1水路ブロック17bの底部20bの近傍から下流に向かって上昇するように第1側壁部21bに沿って取り付けられている点は、先の第1の実施の形態と同一である。この昇降用スロープ28は、その全体が繊維質材によって構成されている。昇降用スロープ28全体を繊維質材によって構成することにより表面全体が粗面となり、カエルや昆虫類が昇降用スロープ28に容易に掴まり易くなる。又、爪を持っているような小動物も、コンクリート表面のように滑ることなく昇降用スロープ28に対してスムーズな昇降が可能となる。更に、全体が繊維質材によって構成されていることにより、直射日光による表面温度の上昇が抑えられるため、小動物等にとってはより優しい構造物となる。尚、昇降用スロープ28は、第1水路ブロック17bの第1側壁部21bに対して接着剤を介して取り付けられている。
図6はこの発明の第3の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。
図を参照して、この実施の形態による水路構造体も昇降用スロープ28を除いて他の部分は先の第1の実施の形態による水路構造体と同一である。この昇降用スロープ28は全体が木材によって構成されている。木材を用いることによって昇降用スロープ28はより自然に優しい材料となる上に、間伐材等の有効利用を図ることが可能となる。又、木材は豊富にあるため安価に入手できるので、古くなった場合でも、以下のように昇降用スロープ28のみを容易に取り替えることができる。又、水路の大きさに合わせて現場にて容易に加工して取り付けることが可能となる。この実施の形態においては、昇降用スロープ28は第1水路ブロック17bの第1側壁部21bに対してボルト34a,ボルト34bを介して取り付けられている。従って昇降用スロープ28の木材そのものを交換して第1側壁部21bに取り付けることが可能となる。
尚、昇降用スロープ28は木材にて構成されているため、そのままでもコンクリート製のものに比べて昇降しやすいものとなっているが、その表面を粗面状に加工しておけばより昇降しやすくなることは言うまでもない。又、全体が木材によって構成されていることにより、直射日光による表面温度の上昇が抑えられるため、小動物等にとってはより優しい構造物となる。
図7はこの発明の第4の実施の形態による水路構造体の概略構成を示した断面図であって、図6において長手方向に沿う断面から第1水路ブロック17bの第1側壁部21bを見た図に対向している。
図を参照して、昇降用スロープ28はその全体が木材にて構成されている点は先の第3の実施の形態によるものと同一であるが、その固定方法が異なっている。即ちこの実施の形態にあっては、昇降用スロープ28はその上部の位置において回転軸37の周りに回動自在となるように第1側壁部21bに取り付けられている。木材は一般的に水の比重より小さなものである。そのため、底部20bの上面を流れる水流の水面31が上下すると、昇降用スロープ28の先端部分がこれに合わせて上下に移動することになる。従って、水流が増加している場合には水面31が上昇するため、これに合わせて昇降用スロープ28の傾斜の程度が緩くなる。そのため水流に流された軽い小動物等は水流の増加時にはより容易に昇降用スロープ28を介して外部に脱出することが可能となる。
図8はこの発明の第5の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図であり、図9は図8で示したIX−IXラインの断面図であり、図10は図8で示したX−Xラインの拡大断面図である。
これらの図を参照して、この実施の形態にあっては、昇降用スロープ28の形状が異なっているのみで、他の部分は第1の実施の形態による水路構造体と同一である。この昇降用スロープ28は先の各実施の形態によるものとは異なり、第1水路ブロック17aのいずれの部分にも固定されておらず、脱着自在に取付けできるように構成されている。具体的には昇降用スロープ28は、第1水路ブロック17aの底部20aの上面から斜めに立ち上がるように形成されている傾斜部39と、傾斜部39に接続され第1側壁部21aの上面を水平方向の外方向に横切るように形成されている平坦部40と、平坦部40の外方端部に接続され第1側壁部21aの外方面に沿うように下降する下降部41とからなり、これらはコンクリート体33の一体成形により形成されている。尚、傾斜部39、平坦部40及び下降部41の上面には腐食布等の繊維質材35が取り付けられている。
使用時には昇降用スロープ28を、その傾斜部39及び下降部41を第1側壁部21aを挟むようにして第1側壁部21aの上端面に設置する。この状態で傾斜部39の下面が底部20aの上面に接するように傾斜部39の寸法が設定されている。このように構成することによって昇降用スロープ28を必要に応じて水路構造体15の第1側壁部21に取り付けることができるため、極めて使い勝手が向上する。
尚、図においては昇降用スロープ28を第1水路ブロック17aの第1側壁部21aに取り付けているが、これを第1水路ブロック17bの第2側壁部22bに取り付けるようにしても良い。この場合、昇降用スロープ28の傾斜部39は下流に向かって上昇するように取り付けられることになるため、より小動物の脱出が容易となる。又、この場合水流によって傾斜部39は底部20bによって押さえ付けられるような力が働くため、昇降用スロープ28の設置状態がより安定することになる。
尚、上記の各実施の形態では、昇降用スロープの下端は第1水路ブロックの底面近傍に位置しているが、第2水路ブロックの底面レベルより上方に位置していても良い。この場合、水流の水面より下方に位置していれば、水面を流れてきた小動物等は昇降用スロープを介して容易に水路から脱出することが可能となる。
又、上記の各実施の形態では、昇降用スロープの水平投影面積より第1水路ブロックによって増加した流水断面のほうを大きく設定している。しかし、昇降用スロープは斜めに形成されているため、実際に流水を阻害する面積はスロープの各垂直断面となるため、第1水路ブロックで増加させる流水断面は実施の形態によるものより少なくても良い。
更に、上記の第1の実施の形態では、一対の昇降用スロープを上方にいくにしたがって離れるように設置しているが、これとは反対に上方にいくにしたがって接近するように側面視においてハの字状に設置しても良い。
更に、上記の各実施の形態では、昇降用スロープの材質を特定しているが、同様の機能を発揮するものであれば他の材質によるものであっても良い。
更に、上記の第5の実施の形態では、脱着構造として特定の構造を採用しているが、他の脱着構造であっても良いことは言うまでもない。
更に、上記の各実施の形態では、深さの深い水路ブロックを2つ連結して使用しているが、この水路ブロックは1つでも良く、又3つ以上を連結して使用しても同様の効果を奏する。
上記の実施の形態から以下のような項目の発明の保護が考えられる。
1.コンクリート水路内幅及び外幅がほぼ同じで、標準の水路底より少し下げた深底の水路を標準水路底の水路間に所定の間隔で設け、深底の水路の側壁内側に斜めに水路底から水路上端にかけて棒状に突出するように、小動物の昇降用スロープを取り付けることを特徴とした水路構造。
2.深底の水路の側壁内側に斜めに水路底から水路上端にかけて棒状に突出するように、小動物の昇降用スロープを取り付け、その昇降用スロープの上面または全体の材質を繊維質材または木材、ポーラスコンクリート等の粗面仕上げとしたことを特徴とした項目1記載の水路構造。
上記の項目による発明の効果として、今まで小動物の昇降用スロープは流水断面を阻害しないように水路の内側の断面より外側に取り付けられていた。しかし、標準の水路底より少し下げた深底の水路を設けた事により水路断面が大幅に増えた結果、棒状に突出した小動物の昇降用スロープを水路内側に設置しても非常に僅かな流水断面の欠損であり、流水断面を阻害する心配が無くなった。むしろ流水断面は増加する結果になった。
水の中に落ちた小動物は流速の最も早くなる水路中央付近を流されることになり、水路の流水断面より外部に取り付けられた位置の昇降用スロープにはめったにたどり着けない事が指摘されていた。そこで本発明のように水路内側にスロープを設置した事により昇降用スロープまたは脱出用スロープとしての性能が大幅に向上し、流されているカエルや昆
虫がスロープを見つけ易くかつつかまり易くなり、脱出する確率が向上し、生きものに優しい構造となった。
さらに、今までのように水路上部に小動物の脱出口となる穴が形成されず、田の畦に設置した場合草が茂って穴が見えなくなり、人が転倒するといった事故も無くなった。また、水田に設置した場合、田に欠損部ができるため、田植えや稲刈りに使用する大型機械で行なう作業の障害となっていたが、そういった問題も全て無くなった。
昇降用スロープの上面または全体を繊維質または木質、ポーラスコンクリート等の粗面仕上げとした事で、今までのようなコンクリート製の場合、真夏の炎天下にさらされると温度が上がり熱くなるため、昇降が出来ない小動物が多くいたが、これを防ぐ事が出来るようになった。
この棒状の昇降用スロープの材質を温度の上がり難い椰子の実のような繊維質か水分を保存できるような木質やポーラスコンクリート等にすると良い。またはこれらを組み合わせたものや、木片チップを固めて作ったものでも良い。要はこの棒状の昇降用スロープ表面が熱くならない工夫をしてやればよい。別の例としては全く吸水性の無い温度の上がり難いアルミ等の材料でも良い。この様にすればカエルなどの熱に弱い生物でも昇降できる、生きものに対して優しい構造物となる。
この発明の第1の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。 図1で示したII−IIラインの断面図である。 図1で示したIII−IIIラインの拡大断面図である。 図3に対応した図であって、流水断面の位置関係を示した図である。 この発明の第2の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。 この発明の第3の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。 この発明の第4の実施の形態による水路構造体の要部断面図である。 この発明の第5の実施の形態による水路構造体の概略構造を示した斜視図である。 図8で示したIX−IXラインの断面図である。 図8で示したX−Xラインの拡大断面図である。
符号の説明
15…水路構造体
17…第1水路ブロック
18…第2水路ブロック
20,24…底部
21…第1側壁部
22…第2側壁部
28…昇降用スロープ
35…繊維質材
37…回転軸
39…傾斜部
40…平坦部
41…下降部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (7)

  1. 水路を構成するための水路構造体であって、
    第1の幅と第1の深さとを有する第1水路ブロックと、
    前記第1水路ブロックの上流側と下流側とに接続され、前記第1の幅と同じ幅の第2の幅と前記第1の深さより浅い第2の深さとを有する2つの第2の水路ブロックと、
    前記第1水路ブロックの側壁部の少なくとも一方の内面に沿うように取り付けられ、前記側壁部の上端まで上方に向かって斜めに伸びる棒状の昇降用スロープとを備えた、水路構造体。
  2. 前記昇降用スロープの流水方向に向かう投影面積は、前記第1水路ブロックの流水断面積から前記第2水路ブロックの流水断面積を引いた面積以下である、請求項1記載の水路構造体。
  3. 前記昇降用スロープの下端は、前記第2水路ブロックの底面の水平レベル以下に位置する、請求項1又は請求項2記載の水路構造体。
  4. 前記昇降用スロープの少なくとも上面は、粗面状態に仕上げられる、請求項1から請求項3のいずれかに記載の水路構造体。
  5. 前記昇降用スロープは、下流側に向かって上昇するように設置される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の水路構造体。
  6. 前記昇降用スロープは、前記側壁部の上端に脱着自在に取り付けられる、請求項5記載の水路構造体。
  7. 前記昇降用スロープは、水の比重より小さな比重の材質により構成されると共に、その上部を中心に回動自在となるように前記側壁部に前記上部が取り付けられる、請求項3記載の水路構造体。
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