JP2006097129A - 耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg合金めっき鋼板 - Google Patents

耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn−Al−Mg合金めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】 優れた耐溶融金属脆化割れ性を呈し、Zn-Al-Mg合金めっき層の高耐食性を活用できるめっき鋼板を提供する。
【解決手段】 Zn-Al-Mg合金めっき層が形成されためっき鋼板であり、下地鋼は、C:0.001〜0.3質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下を含み、更にTi:0.001〜0.1質量%,Nb:0.001〜0.1質量%,V:0.01〜0.3質量%,Mo:0.01〜0.5質量%,Zr:0.01〜0.5質量%の一種又は二種以上を含み、必要に応じB:0.0001〜0.01質量%を含む。下地鋼のマトリックスには粒径:10〜2000ÅのTi,Nb,V,Mo,Zr系析出物又は複合析出物が分散しており、表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径が50μm以下に調質されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、Zn-Al-Mg合金めっき層の優れた高耐食性を活用し、溶接,ろう付け時等に加熱されても溶融金属脆化割れを生じがたいZn-Al-Mg合金めっき鋼板に関する。
代表的な耐食材料にめっき鋼板があり、なかでもZn-Al-Mg合金めっき鋼板は過酷な腐食雰囲気においても優れた耐食性を呈する。Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を用い各種構造体を組み立てる場合、所定形状に成形したZn-Al-Mg合金めっき鋼板を溶接する方法が多用されているが、溶接時の高温加熱で溶接熱影響部に粒界割れが発生しやすい。粒界に沿って割れが伝播すると、溶融金属脆化現象として現れる。
溶融金属脆化割れは、たとえば鋼材を溶接して鉄塔,橋梁等の大型構造物を組み立てた後、防錆を狙って溶融亜鉛めっき(ドブ漬けめっき)する場合にも溶接熱影響部に発生しやすい。溶融金属脆化割れの防止には、旧オーステナイト粒界の不鮮明化,Bを初めとする鋼中不純物元素の低減等が有効とされている。しかし、旧オーステナイト粒界の不鮮明化や鋼中不純物元素の低減等は、たかだか450℃程度の溶融亜鉛めっき浴にドブ漬けする場合に発生する割れ防止の対策であり、溶接時に短時間で千数百度の高温に曝された直後に溶接熱影響部に発生する割れの防止には別途の対策が必要とされる。
P添加で溶融金属脆化を防止できる(特許文献1,2)とされているが、この場合も加熱温度が600℃程度であり、溶接時の高温には程遠く溶接後の溶融金属脆化に起因する割れ発生の防止対策としては不十分である。ドブ漬け溶融亜鉛めっきした溶接部品に発生しがちな溶融亜鉛めっき割れを防止するため、TiNを析出させて溶接時に溶接熱影響部のオーステナイト粒の成長を抑制し、溶接後の冷却時、溶接熱影響部の粒界に微細なフェライト粒からなる金属組織とする方法も知られている(特許文献3)。しかし、溶接,冷却後の金属組織が細粒化されるに留まり、溶接直後のオーステナイト域で生じる割れの抑制には十分な対策とはいえない。
特開昭56-93864号公報 特開2001-279371号公報 特開平10-96021号公報
極低炭素鋼では、溶接やろう付け時に高温加熱されたときのオーステナイト粒の異常成長をNb炭化物で抑制し、成形性,疲労強度に優れ、耐溶融金属脆化割れ性も改善された薄鋼板が知られている(特許文献4)。Nb炭化物によるオーステナイト粒の粗大化防止は鋼板の成形性,疲労特性の改善を狙ったものであり、めっき鋼板の溶接時に生じがちな溶融金属脆化の抑制に有効であるか否かは不明である。実際、同じ鋼材をめっき原板に用いた場合、Zn系又はAl系めっき鋼板では溶融金属脆化割れが発生しなくても、Zn-Al-Mg合金めっき鋼板で発生する傾向が高い。この点でも、一層有効な改善策が求められる。
特開平10-195597号公報
Zn-Al-Mg合金めっき鋼板に発生しがちな溶融金属脆化割れは、低融点のMg含有相が原因と考えられており、同じ鋼材を下地鋼に用いた場合でも通常の亜鉛系,アルミニウム系めっきに比較して発生傾向が強い。そのため、従来の溶融金属脆化割れ防止法に代わる対策が要求される。
本発明は、結晶粒界の微細化が溶融金属脆化割れの発生,進展防止に有効であるとの知見をベースに、素材の結晶粒を微細化し、且つTi,Nb,V,Mo,Zr系の析出物又は複合析出物のピンニング作用によってオーステナイト粒の成長を抑え、耐溶融金属脆化割れ性を改善したZn-Al-Mg合金めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明のZn-Al-Mg合金めっき鋼板は、Zn-Al-Mg合金めっき層が形成される下地鋼に成分・組成,析出物,結晶粒径が特定された鋼板を使用することを特徴とする。
下地鋼は、C:0.001〜0.3質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下を含み、更にTi:0.001〜0.1質量%,Nb:0.001〜0.1質量%,V:0.01〜0.3質量%,Mo:0.01〜0.5質量%,Zr:0.01〜0.5質量%の一種又は二種以上を含み、必要に応じB:0.0001〜0.01質量%を含み、残部が実質的にFeの組成をもつ。P含有量は、0.02質量%を超え0.2質量%の範囲が好適である。
下地鋼のマトリックスには粒径:10〜2000ÅのTi,Nb,V,Mo,Zr系の析出物又は複合析出物が分散しており、表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径が50μm以下に調質されている。
発明の効果及び実施の形態
Zn-Al-Mg合金めっき鋼板を溶接するとき、千数百度まで昇温するので材料がオーステナイト域にある。オーステナイト域にある材料の結晶粒界を微細化すると、割れ応力が分散され割れの進展が抑制される。そこで、素材鋼板の結晶粒微細化に加え、Ti,Nb,V,Mo,Zr等を鋼中に添加し、ピンニング作用のあるTi,Nb,V,Mo,Zr系の析出物や複合析出物を分散させることにより、溶接中におけるオーステナイト粒の成長抑制が可能となる。Ti,Nb,V,Mo,Zr等の添加成分は、溶接時に固溶,再析出して結晶粒界に偏析することによっても割れの発生を抑制する。その結果、Zn-Al-Mg合金めっき層の優れた高耐食性が活用され、溶融金属脆化割れのない健全な構造体が得られる。
以下、下地鋼に含まれる合金成分,含有量等を説明する。
〔下地鋼の成分・組成〕
・C:0.001〜0.3質量%
材料強度の確保に有効な成分であり、必要強度を得るため0.001質量%以上にC含有量を定める。しかし、フェライト相への固溶,炭化物の形成により鋼板の延性を低下させるので、上限を0.3質量%に規制する。
・Si:1.5質量%以下
フェライト相に固溶して強度を向上させる成分であり、フェライト粒内を硬化して粒界への応力集中を促進させ、粒界の溶融金属脆化を助長するのでSi含有量は低いほど好ましい。1.5質量%を超える過剰量のSiが含まれると、鋼板の延性が低下し、めっき密着性にとって有害なSi濃化層が鋼板表面に生成しやすくなる。好ましくは、Si含有量の上限を0.3質量%に規制する。
・Mn:0.05〜2.0質量%
S起因の脆化を防止すると共に強度向上にも有効な元素であり、0.05質量%以上でMnの添加効果がみられる。しかし、2.0質量%を超える過剰量のMnは、加工性,溶接性を劣化させ、めっき密着性にとって有害なMn濃化層を鋼板表面に生成させる。好ましくは、0.1〜1.5質量%の範囲でMn含有量を選定する。
・P:0.2質量%以下
延性に悪影響を及ぼす成分であることから、高加工性が要求される用途ではP含有量が低いほど好ましい。強度向上に寄与し、粒界偏析しやすい元素でもある。粒界に偏析したPは、溶融しためっき金属の結晶粒界への侵入を抑え、溶融金属脆化割れを防止する作用を呈する。このような効果は、0.02質量%を超えるP添加で顕著になる。溶接時に溶融しためっき金属に起因する溶融金属脆化は、Pに加えてTi,Nb,V,Mo,Zr等を複合添加することにより一層効果的に抑制される。しかし、過剰量のP添加は延性に悪影響を及ぼし加工性を低下させるので、0.2質量%以下(好ましくは0.02質量%を超え0.15質量%以下)にP含有量を設定する。
・S:0.03質量%以下
熱間脆化の原因となり、加工性,耐食性に有害な成分であるので、可能な限り低減することが好ましい。本成分系では、製造コストを考慮してS含有量の上限を0.03質量%(好ましくは、0.015質量%)に定めた。
・Ti,Nb:0.001〜0.1質量%,V:0.01〜0.3質量%,Mo,Zr:0.01〜0.5質量%
何れも、鋼中のC,Nと結合して炭化物,窒化物,炭窒化物等の析出物又は複合析出物としてマトリックスに分散析出し、下地鋼の結晶粒を微細化する作用を呈する。結晶粒の微細化により耐溶融金属脆化割れ性が改善される。なかでも、強力な窒化物形成元素であるTiは、下地鋼のNを窒化物として固定し、耐溶融金属脆化割れ性を改善する有効B量を確保する上で重要な成分である。何れの成分も溶接時の高熱によって鋼中に一旦固溶すると、溶接後の急冷過程で炭化物等の析出物となることなく結晶粒界に偏析する傾向を示す。粒界に偏析したTi,Nb,V,Mo,Zr等は、溶接時の高熱で溶融しためっき層成分が粒界に侵入することを抑え、耐溶融金属脆化割れ性を改善する。
このような作用は、0.001質量%以上のTi,0.001質量%以上のNb,0.01質量%以上のV,0.01質量%以上のMo又は0.01質量%以上のZrでみられ、Ti,Nb,V,Mo,Zrの単独添加又は複合添加した場合でも同様である。しかし、過剰添加は鋼板の延性,加工性,溶接性を低下させるので、上限をTi:0.1質量%,Nb:0.1質量%,V:0.3質量%,Mo:0.5質量%,Zr:0.5質量%に規制する。好ましくは、Ti:0.005〜0.05質量%,Nb:0.005〜0.08質量%,V:0.03〜0.2質量%,Mo:0.05〜0.4質量%,Zr:0.05〜0.4質量%の範囲で、それぞれの含有量を選定する。
B:0.0001〜0.01質量%
必要に応じて添加される成分であり、結晶粒界に偏析することにより界面結合力を高め、耐溶融金属脆化割れ性を改善する。0.0001質量%以上でBの添加効果が現れるが、0.01質量%を超える過剰量のBは硼化物の生成,結晶粒の成長阻害,加工性の劣化等、悪影響を及ぼす。Bを添加する場合、0.0005〜0.005質量%の範囲で含有量を選定することが好ましい。耐溶融金属脆化割れ性の改善には有効B量の確保が必要であり、C,Nを低減した成分系やC,NをTiで固定した成分系が好適である。
〔Ti,Nb,V,Mo,Zr系析出物又は複合析出物の粒径:10〜2000Å〕
Ti,Nb,V,Mo,Zr系析出物又は複合析出物は、オーステナイト粒の成長を抑えるピンニング作用を呈し、平均粒径:10Å以上(好ましくは、30Å以上)で効果が顕著になる。しかし、平均粒径が2000Åを超える粗粒では、延性,加工性が低下するばかりでなく、却って析出物周辺への応力集中のため割れが助長される傾向を示す。析出物の粗大成長は溶接時の固溶量減少,粒界偏析の不完全化をもたらし、却って溶融金属脆化割れの抑制作用が小さくなる。析出物又は複合析出物の粒径は、熱延前のスラブ加熱温度や仕上げ熱延後の冷却速度によって制御できる。
〔表層から板厚×1/3の深さまでの領域の平均結晶粒径:50μm以下〕
鋼材の結晶粒が細かいほど、溶融金属脆化割れに対して大きな抵抗力を示す。結晶粒径が溶融金属脆化割れに及ぼす影響は、粒界割れである溶融金属脆化割れに必要な結晶粒界への応力集中が結晶粒の微細化により抑制されることで説明できる。溶接時の高温に曝されることによりフェライト相からオーステナイト相に変態した金属組織も、溶接前のフェライト粒が小さいほどフェライト粒から生成するオーステナイト粒も小さくなり、優れた耐溶融金属脆化割れ性を示す。
溶融金属脆化割れは、溶接時の高温加熱で溶融しためっき金属の存在下で生じることから、溶融めっき金属が存在する鋼板表層部に割れの起点があると予想される。この予想は、表層部の結晶粒径を微細化することにより溶融金属脆化割れが防止されることを意味する。かかる前提で表層部の結晶粒径と溶融金属脆化割れとの関係を調査した結果、表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径を50μm以下とするとき、溶融金属脆化割れが効果的に抑制されることを見出した。
表層部の結晶粒は、熱延鋼帯を下地鋼に使用する場合には加熱温度,仕上げ温度,冷却速度,巻取り温度等の熱延条件によって50μm以下に調質でき、冷延鋼帯を下地鋼に使用する場合には熱延条件に加えて冷延条件によっても50μm以下に調質できる。
たとえば、加熱温度,仕上げ熱延から巻取りまでの冷却速度,巻取り温度が特定された条件下で熱間圧延することにより、適正粒径のTi,Nb,V,Mo,Zr系析出物又は複合析出物がマトリックスに分散析出し、表層から板厚×1/3の深さまでの領域の平均結晶粒径が50μm以下の鋼帯が得られる。
加熱温度は、Ti,Nb,V,Mo,Zr等をマトリックスに一旦固溶させ、熱延時に微細な炭窒化物として析出させるため、1200℃以上に設定される。仕上げ熱延から巻取りまでの冷却速度は、熱延鋼帯の再結晶に影響を及ぼし、微細な結晶粒を得る上で5〜70℃/秒(好ましくは、10〜50℃/秒)の範囲に設定される。5℃/秒未満の緩冷では微細な結晶粒が得られず、逆に70℃/秒を超える急冷ではマルテンサイト主体の金属組織となって靭性が著しく低下する。また、Ti,Nb,V,Mo,Zr等の炭窒化物を十分に析出させる上で巻取り温度を500℃以上とするが、750℃を超える巻取り温度では析出物が粗大化し目標とする特性が得られない。
下地鋼の表面に形成されるZn-Al-Mg合金めっき層は、Mg:0.05〜10質量%,Al:4〜22質量%を含み、必要に応じて、Ti:0.001〜0.1質量%,B:0.0005〜0.045質量%,希土類元素,Y,Zr,Si等の易酸化性元素少なくとも一種:0.005〜2.0質量%を含ませることもできる。
Mgはめっき層の最表層にMgを含むZn系腐食生成物を形成させ、該腐食生成物がインヒビターとなって高耐食性を付与する。溶接ビード部や切断端面にも腐食生成物の一部が流れ込み、ビード部や切断端面の腐食が抑制される。めっき層中にZn-Mg系の金属間化合物を形成させてめっき層を硬質化する上でもMgは有効な成分である。このような効果を発揮させるため、Mg含有量を0.05〜10質量%(好ましくは、1〜4質量%)の範囲に調整する。
めっき層中のZn,MgがMg含有Zn系腐食生成物を形成するのに対し、Alは固着性の極めて強いZn-Al系腐食生成物を形成し、耐食性の向上に寄与する。また、Al含有によりZn/Al/Zn2Mg三元共晶がめっき層の凝固組織に出現する。Zn/Al/Zn2Mg三元共晶組織は、Zn/Zn2Mg二元共晶組織より組織が微細であり、耐食性向上,めっき層の硬質化に有効である。固着性の強いZn-Al系腐食生成物を形成し、Zn/Al/Zn2Mg三元共晶組織を形成させるため、4質量%以上のAl含有量が必要である。しかし、Al含有量の増加に応じてめっき金属の融点が上昇し、めっき浴を高温に保持することが必要になり素材の生産性も悪くなるので、Al含有量の上限を22質量%とすることが好ましい。
任意成分であるTi,Bを添加すると、表面外観を害するZn11Mg2相の生成が抑制され、めっき層中に晶出するZn-Mg系金属間化合物が実質的にZn2Mgのみになる。具体的には、Ti:0.001質量%以上(好ましくは、0.002質量%以上)でZn11Mg2相の生成を効果的に抑制される。しかし、0.1質量%を超える過剰量のTiが含まれると、めっき層中にTi-Al系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観が損なわれる。
Zn11Mg2相の生成抑制は、0.0005質量%以上(好ましくは、0.001質量%以上)のB含有によっても達成される。しかし、0.045質量%を超える過剰量のB含有では、めっき層中にTi-B系析出物、Al-B系析出物が成長し、めっき層に凹凸(ブツ)が生じ、外観を損ねるようになる。更に、易酸化性元素である希土類元素,Y,Zr,Siの少なくとも一種を0.005質量%以上添加することにより、表面光沢劣化現象を抑制できる。しかし、過剰添加しても増量に見合った改善効果が得られないので、希土類元素,Y,Zr,Si等の添加量上限は2.0質量%とする。
表1の鋼材を真空溶解炉で溶製し、インゴットに鋳造した後、鍛造,熱間圧延を経て板厚:5mmの熱延鋼帯を製造した。熱延条件を表2に示す。
Figure 2006097129
Figure 2006097129
表面研削で熱延鋼帯を脱スケールした後、還元焼鈍炉を介して浴温:400℃の溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴(Al:6質量%,Mg:3質量%,Zn:残部)に浸漬した。溶融めっき浴から鋼帯を引き上げた後、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2に調整した。
得られためっき鋼板から試験片を切り出し、高温引張試験に供した。
高温引張試験では、室温から昇温速度:100℃/秒で1000℃まで加熱することにより試験片をオーステナイト化した後、冷却速度:50℃/秒で800℃,550℃の設定温度まで冷却し、設定温度に保持した試験片を破断するまで引っ張った。破断した試験片の破面を観察すると共に、無めっき材の破断伸びに対するめっき材の破断伸びの比率として破断伸び比を算出した。
また、試験片の表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径を求めると共に、下地鋼の組織観察により析出物の種類,サイズ,析出量を測定し、引張り特性との関係を調査した。
表3の調査結果にみられるように、本発明例のめっき材は、Ti,Nb,V,Mo,Zr等の微細な析出物が下地鋼に分散し、結晶粒径が小さく大きな破断伸び比を示している。下地鋼の溶接熱影響部を更に詳細に分析した結果、結晶粒界及び粒界近傍にTi,Nb,V,Mo,Zr等の元素が偏析している状態が確認された。この結果から、結晶粒の微細化,Ti,Nb,V,Mo,Zr等の粒界偏析により、溶融金属脆化の程度が抑制されていることが判る。
他方、Ti,Nb,V,Mo,Zr等が無添加の比較例B1や初期結晶粒が大きすぎる比較例B2は、何れも破断伸び比が小さな値となっており、脆性破断からも判るように著しい溶融金属脆化割れが発生していた。
Figure 2006097129
表4の鋼材を真空溶解炉で溶製し、インゴットに鋳造した後、鍛造,熱間圧延を経て板厚:5mmの熱延鋼帯を製造した。熱延条件を表5に示す。
Figure 2006097129
Figure 2006097129
表面研削で熱延鋼帯を脱スケールした後、還元焼鈍炉を介して実施例1と同じ溶融Zn-Al-Mg合金めっき浴に浸漬した。溶融めっき浴から鋼帯を引き上げた後、ガスワイピングでめっき付着量を90g/m2に調整した。
得られためっき鋼板から試験片を切り出し、高温引張試験に供した。
高温引張試験では、室温から昇温速度:100℃/秒で1000℃まで加熱することにより試験片をオーステナイト化した後、冷却速度:50℃/秒で設定温度:800℃まで冷却し、設定温度に保持した試験片を破断するまで引っ張った。破断した試験片の破面を観察すると共に、無めっき材の破断伸びに対するめっき材の破断伸びの比率として破断伸び比を算出した。
また、試験片の表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径を求めると共に、下地鋼の組織観察により析出物の種類,サイズ,析出量を測定し、引張り特性との関係を調査した。
表6の調査結果にみられるように、本発明例のめっき材は、Ti,Nb,V,Mo,Zr等の微細な析出物が下地鋼に分散し、結晶粒径が小さく大きな破断伸び比を示している。下地鋼の溶接熱影響部を更に詳細に分析した結果、結晶粒界及び粒界近傍にTi,Nb,V,Mo,Zr,P等の元素が偏析している状態が確認された。この結果から、結晶粒の微細化,Ti,Nb,V,Mo,Zr,P等の粒界偏析により、溶融金属脆化の程度が抑制されていることが判る。
他方、Ti,Nb,V,Mo,Zr等が無添加の比較例B3,表層域の結晶粒が大きすぎる比較例B4,表層域の結晶粒が大きすぎ且つ粗大な析出物が析出した比較例5は、何れも破断伸び比が小さな値となっており、脆性破断からも判るように著しい溶融金属脆化割れが発生していた。
Figure 2006097129
以上に説明したように、本発明のZn-Al-Mg合金めっき鋼板は、表層から板厚×1/3の深さまでの領域の平均結晶粒径が50μm以下と微細な結晶粒をもち、Ti,Nb,V,Mo,Zr等の固溶,再析出で粒界が強化された下地鋼に高耐食性のZn-Al-Mg合金めっき層を設けている。そのため、溶接時等で高温雰囲気に曝されても、溶融しためっき層が結晶粒界に侵入することが抑えられ、優れた耐溶融金属脆化割れ性を示す。したがって、Zn-Al-Mg合金めっき層の高耐食性を活用し、過酷な腐食雰囲気に曝される各種構造材として使用できる。

Claims (3)

  1. 下地鋼の表面にZn-Al-Mg合金めっき層が設けられているめっき鋼板であり、
    下地鋼がC:0.001〜0.3質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下を含み、更にTi:0.001〜0.1質量%,Nb:0.001〜0.1質量%,V:0.01〜0.3質量%,Mo:0.01〜0.5質量%,Zr:0.01〜0.5質量%の一種又は二種以上を含み、残部が不可避的不純物を除きFeの組成をもち、粒径:10〜2000ÅのTi,Nb,V,Mo,Zr系析出物又はこれらの複合析出物がマトリックスに分散しており、表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn-Al-Mg合金めっき鋼板。
  2. 下地鋼の表面にZn-Al-Mg合金めっき層が設けられているめっき鋼板であり、
    下地鋼がC:0.001〜0.3質量%,Si:1.5質量%以下,Mn:0.05〜2.0質量%,P:0.2質量%以下,S:0.03質量%以下,B:0.0001〜0.01質量%を含み、更にTi:0.001〜0.1質量%,Nb:0.001〜0.1質量%,V:0.01〜0.3質量%,Mo:0.01〜0.5質量%,Zr:0.01〜0.5質量%の一種又は二種以上を含み、残部が不可避的不純物を除きFeの組成をもち、粒径:10〜2000ÅのTi,Nb,V,Mo,Zr系析出物又はこれらの複合析出物がマトリックスに分散しており、表層から板厚×1/3の深さまでの領域における平均結晶粒径が50μm以下であることを特徴とする耐溶融金属脆化割れ性に優れたZn-Al-Mg合金めっき鋼板。
  3. 下地鋼のP含有量が0.02質量%を超え0.2質量%以下の範囲にある請求項1又は2記載のZn-Al-Mg合金めっき鋼板。
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