JP2006095618A - 加工機械 - Google Patents

加工機械 Download PDF

Info

Publication number
JP2006095618A
JP2006095618A JP2004282409A JP2004282409A JP2006095618A JP 2006095618 A JP2006095618 A JP 2006095618A JP 2004282409 A JP2004282409 A JP 2004282409A JP 2004282409 A JP2004282409 A JP 2004282409A JP 2006095618 A JP2006095618 A JP 2006095618A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
workpiece
heat
cooling
heating
work
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004282409A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4783000B2 (ja
Inventor
Masato Shiozaki
正人 塩崎
▲濱▼村  実
Minoru Hamamura
Haruhito Sugiyama
晴仁 杉山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shibaura Machine Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Machine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Machine Co Ltd filed Critical Toshiba Machine Co Ltd
Priority to JP2004282409A priority Critical patent/JP4783000B2/ja
Publication of JP2006095618A publication Critical patent/JP2006095618A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4783000B2 publication Critical patent/JP4783000B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)

Abstract

【課題】ワークの材質に合わせて、最も効率的な加工を実現することのできる加工機械を提供すること。
【解決手段】ワークの加工を行う加工機械において、ワークを加熱する加熱手段とワークを冷却する冷却手段の少なくともどちらか一方を備える。例えば、ワークを加熱および冷却する加熱・冷却手段8は、ワーク保持手段3に内蔵されたペルチェ素子815を含む発熱・吸熱回路81によって構成される。ペルチェ素子815に直流電流を流して発熱現象および吸熱現象を生じさせ、これにより、ワークを加熱および冷却する。さらに、発熱・吸熱回路81から発生する余分な発熱作用および吸熱作用を緩和するために、放熱手段9を備える。
【選択図】 図6

Description

本発明は、加工機械に関する。例えば、ワークに対して、切削、研削、穴あけ等の加工を行う加工機械に関する。
従来、工具を用いてワークの加工を行う加工機械としては、ワークを保持するワーク保持手段と、工具を保持する工具保持手段と、ワーク保持手段および工具保持手段を相対移動させる相対移動手段とを備えた加工機械が知られている。
このような加工機械を用いてワークを加工するには、まず、ワークをワーク保持手段に固定し、その加工に適した工具を工具保持手段に取付ける。次に、工具を高速回転させながら、相対移動手段によってワーク保持手段と工具保持手段とを相対移動させる。このようにして、ワークを加工機械で加工することができる。
しかし、ワークの硬度や常温での状態など、ワークの材質によって加工しにくい場合がある。例えば、鋼のように硬度が高い場合では、加工時の発熱によって、工具の切削性能が低下するなどの問題がある。また、冷凍食品のように常温で融解する場合では、融解するとワークが弾性を持ち正確な加工ができないことや、ワークの質の低下などが考えられ、また、迅速な加工が要求されるため丁寧な加工ができないという課題がある。
このため、従来の加工機械では、ワークが高硬度である場合に、工具に冷却剤を噴射させながら加工を行い工具の硬度低下を防止する方法や、加工時に発生した熱を熱電気変換素子によって吸収する方法(特許文献1参照)、また、ワークが常温で状態変化を伴う材質である場合に、作業室の室温を下げることよってワークの状態を維持する方法などの工夫が採られている。
特開2000−288868号公報
しかし、工具に冷却剤を噴射しながら加工を行う方法や、特許文献1に記載の方法は、工具の切削性能を保つために工具またはワークを局部的に冷却させるものであるため、ワークの材質による加工困難性は依然として解決されていない。
特に、工具に冷却剤を噴射しながら加工を行う方法では、冷却剤が作業者の身体に噴射される危険性や、冷却剤によって作業部分の視界が悪くなるなどの加工作業の支障、さらに冷却剤を循環使用するための設備費等がかかるなどの問題がある。また、作業室の室温を下げる方法では、冷房装置など設備が大型化し、かつ、低温の中での作業となるので、加工作業以外のエネルギーや手間が必要となる。
本発明の目的は、ワークの材質に合わせて、最も効率的な加工を実現することのできる加工機械を提供することである。
本発明の加工機械は、ワークを保持するワーク保持手段と、ワークを加工する工具を保持する工具保持手段と、ワーク保持手段および工具保持手段を相対移動させる相対移動手段とを有し、ワークを加熱する加熱手段およびワークを冷却する冷却手段の少なくともどちらか一方を備えたことを特徴とする。
このような構成によれば、加熱手段(冷却手段)によって、ワークの材質に合わせてワークを加熱(冷却)し、ワークの硬度を工具によって加工しやすい程度まで変化させることができる。よってワークの加工がしやすくなる。また、加熱手段(冷却手段)によってワークの温度を維持し、ワークの状態変化を抑えることができるので、ワークの品質を低下させることなく加工でき、かつ、加工作業が受ける時間の制約を軽減することができる。これらにより、加工機械は、ワークの材質に合わせて最も効率的な加工を実現することができる。
本発明の加工機械は、加熱手段を備え、加熱手段は、ワーク保持手段に内蔵され、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気熱変換手段によって構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、ワーク保持手段に内蔵された電気熱変換手段が、電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、この熱エネルギーによってワーク保持手段を加熱する。さらに、加熱されたワーク保持手段とワークとの接触面における熱伝達によってワークが加熱される。この熱伝達による加熱方法は、ワーク保持手段の外部からワークを加熱するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。さらに、これより工具は加熱されにくいので、熱による工具の切削性能の低下を少なくできる。
本発明の加工機械は、加熱手段を備え、加熱手段は、ワーク保持手段に内蔵された磁場発生手段によって構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、IH加熱(電磁誘導加熱)により、ワークを加熱することができる。つまり、磁場発生手段によって磁場を発生させると、ワークが磁性体である場合、この磁場によってワーク内部に渦電流が発生し、渦電流のジュール熱によってワークが加熱される。
磁場発生手段から発生される磁場によってワークを加熱するので、ワーク保持手段が非磁性体の場合、ワーク保持手段が加熱されることはない。また、磁場の大きさを調節することによって、工具が加熱されにくい状態にすることができる。これより、作業を円滑、安全に行うことができ、さらに、熱による工具の変形を少なくできる。
本発明の加工機械は、冷却手段を備え、冷却手段は、ワーク保持手段に形成された冷媒収納空間と、冷媒収納空間に収納された冷却用媒体とによって構成されていることが好ましい。冷却用媒体としては、例えば、ドライアイスや液体窒素等を用いることができる。
このような構成によれば、冷却用媒体を収納した冷媒収納空間がワーク保持手段に内蔵されているから、冷媒収納空間によってワーク保持手段が冷却され、冷却されたワーク保持手段とワークとの接触面における熱伝達によってワークが冷却される。この熱伝達による冷却方法は、ワーク保持手段の外部からワークを冷却するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。さらに、これにより工具は冷却されにくいので、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。また、冷却手段が比較的単純な構造であるため、加工機械の構造の簡素化を図ることができ、かつ、故障発生率を抑えることができる。また、冷媒手段がドライアイスや液体窒素等を冷却源としているから、電力などのエネルギー源を必要としない。
本発明の加工機械は、冷却手段を備え、冷却手段は、ワーク保持手段に内蔵されたペルチェ素子を含む回路によって構成されていることが好ましい。
ペルチェ素子は、種類の異なるペルチェ素子を接続し直流電流を流すと、接続部分の一端側で発熱作用が生じ他端側で吸熱作用が生じる。
よって、このような構成によれば、異なるペルチェ素子を接続したものを有する回路に直流電流を流すことによって、ペルチェ素子の接続部の一端側、他端側にそれぞれ発熱作用と吸熱作用を生じさせ、このペルチェ素子の吸熱作用によってワーク保持手段を冷却することができる。そして、冷却されたワーク保持手段とワークの接触面における熱伝達によって、ワークを冷却することができる。
熱伝達によってワークを冷却することから、ワーク保持手段の外部からワークを冷却するのに比べ作業を円滑、安全に行うことができる。さらに、これにより工具は冷却されにくいので、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。
本発明の加工機械は、加熱手段と冷却手段とを備え、加熱手段および冷却手段は、ワーク保持手段に形成された流体収納空間と、流体収納空間に収納される温調流体と、温調流体を流体収納空間に通して循環させる流体移動手段と、流体移動手段の途中に設けられ、温調流体を加熱および冷却する熱変換手段とによって構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、熱変換手段によって温度調整された温調流体を、ワーク保持手段に内蔵された流体収納空間に通過させることによって、温調流体が流体収納空間の内壁、さらに、ワーク保持手段を加熱および冷却する。加熱および冷却されたワーク保持手段とワークの接触面における熱伝達によって、ワークを温度調節することができる。温調流体は、流体移動手段によって熱変換手段と流体収納空間の間を循環され、温調流体の温度は適切な温度で一定に維持される。
これにより、加熱手段および冷却手段の役割を温調流体の温度調整によって果たすことができ、ワークの加熱および冷却の両方を行うことができる。また、熱伝達によってワークの温度調整を行うことから、ワーク保持手段の外部からワークを加熱および冷却するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。さらに、これにより工具は加熱および冷却されにくいので、熱による工具の切削性能の低下や、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。また、温調流体を循環させることから、加熱手段および冷却手段に、頻繁に交換しなければならない部材がないので、加工作業以外の手間を省くことができる。
本発明の加工機械は、加熱手段と冷却手段を備え、加熱手段および冷却手段は、ワーク保持手段に内蔵されたペルチェ素子を含む発熱・吸熱回路によって構成されているが好ましい。
ペルチェ素子は、種類の異なるペルチェ素子を接続し直流電流を流すと、接続部分の一端側で発熱作用が生じ他端側で吸熱作用が生じる。つまり、異なるペルチェ素子を接続したものを有する発熱・吸熱回路に直流電流を流すことによって、ペルチェ素子の接続部の一端側、他端側にそれぞれ発熱現象と吸熱現象を生じさせる。
よって、このような構成によれば、ワークを加熱する場合は、このペルチェ素子の発熱現象によってワーク保持手段を加熱することができ、ワークを冷却する場合は、このペルチェ素子の吸熱現象によってワーク保持手段を冷却することができる。加熱および冷却されたワーク保持手段とワークの接触面における熱伝達によって、ワークを温度調整することができる。
これにより、加熱手段および冷却手段の役割をペルチェ素子の加熱および吸熱現象によって果たすことができ、ワークの加熱および冷却の両方を行うことができる。熱伝達によってワークを温度調整することから、ワーク保持手段の外部からワークを加熱および冷却するのに比べ作業を円滑、安全に行うことができ、さらに、工具は加熱および冷却されにくいので、熱による工具の切削性能の低下や、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。また、ペルチェ素子を流れる直流電流の向きを変えることによって、ペルチェ素子の発熱作用および吸熱作用が生じる位置が切り替わるので、ワークの加熱および冷却を瞬時に切り替えることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。各実施形態の説明にあたって、同一構成については、同一符号を配し、その説明を省略する。
<第1実施形態>
図1に、第1実施形態の加工機械の斜視図、図2に、第1実施形態のワーク保持手段の模式断面図を示す。
第1実施形態の加工機械は、工具とワークを相対移動させながら、ワークを工具によって加工する機械であって、図1のように、工具とワークの相対移動を行う相対移動手段1と、工具を保持する工具保持手段2と、上面にワークを保持するワーク保持手段3と、ワーク保持手段3に内蔵されワークを加熱する加熱手段4と、相対移動手段1および工具保持手段2の駆動を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
相対移動手段1は、ワーク保持手段3に対して、可動部材であるZ軸スライダ132を互いに直交する三軸方向(X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向)へ移動させる3つの軸駆動機構を備えて構成されている。つまり、相対移動手段1は、Y軸駆動機構12、X軸駆動機構11、および、Z軸駆動機構13を備えて構成されている。
Y軸駆動機構12は、前後方向に沿って配置された左右一対のガイドレール121と、このガイドレール121間に掛け渡されたY軸ビーム122と、このY軸ビーム122をガイドレール121に沿って前後方向(Y軸方向)へ移動させるリニアモータ123とから構成されている。一方のガイドレール121とY軸ビーム122の一端側との間には、Y軸ビーム122のY軸方向の位置(移動変位量)を検出する変位検出器124が設けられている。変位検出器124は、一方のガイドレール121に沿って配設されたスケール125と、Y軸ビーム122の一端側にスケール125に対して僅かなギャップを介して対向配置された検出ヘッド126とから構成されている。
X軸駆動機構11は、Y軸ビーム122上に移動可能に設けられたX軸スライダ111と、このX軸スライダ111をY軸ビーム122に沿って左右方向(X軸方向)へ移動させるリニアモータ112とから構成されている。X軸スライダ111とY軸ビーム122との間には、X軸スライダ111のX軸方向の位置(移動変位量)を検出する変位検出器(図示省略)が設けられている。この変位検出器は、変位検出器124と同じ構成であるため、説明を省略する。
Z軸駆動機構13は、X軸スライダ111に取付けられ上下方向に沿って伸びるZ軸ガイドプレート131と、このZ軸ガイドプレート131に沿って移動可能に設けられたZ軸スライダ(可動部材)132と、このZ軸スライダ132をZ軸ガイドプレート131に沿って上下方向へ移動させるリニアモータ133とから構成されている。Z軸ガイドプレート131とZ軸スライダ132との間には、Z軸スライダ132のZ軸方向の位置(移動変位量)を検出する変位検出器(図示省略)が設けられている。この変位検出器も、変位検出器124と同じ構成であるため、説明を省略する。
工具保持手段2は、Z軸スライダ132に設置されたホルダ本体21と、ホルダ本体21の下端から下方に向かって伸び、軸中心に回転駆動を行う主軸22と、主軸22の下端に形成され工具を挟持するチャック機構23とから形成されている。チャック機構23に挟持された工具は、主軸22と一体的に回転駆動を行う。またホルダ本体21は、主軸22に回転駆動を与える動力源、例えば、モータ(図示省略)に接続されている。
ワーク保持手段3は、熱伝達性および強度を十分に有する金属製部材であり、平面板のベース31と、ベース31の上面に固定され、上面にワークを載置するテーブル32とを備えている。テーブル32は、上面の温度を計測・表示するテーブル温度計測器33と、上面に120度間隔で配置され中心へ向かって同時に進退可能に構成された3つのチャック片34と、これら3つのチャック片34を同時に進退させる開閉用駆動源(図示省略)とを備えている。チャック片34は、熱伝導性を持ち、開閉用駆動源によって移動されテーブル32の上面に載置したワークを挟持して固定する。
加熱手段4は、図2のように、テーブル32に内蔵され電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気熱変換手段41と、テーブル32に内蔵され、電気熱変換手段41の一部を被覆する断熱部材42とから構成される。
電気熱変換手段41は、発熱作用を行うヒータ411と、電源412と、ヒータの温度調整、つまり、電源412の電圧調整を行う制御装置413と、これら3つの部材を直列に連結する環状の導線414とから構成される回路である。
ヒータ411は、テーブル32の上縁部に、テーブル32のほぼ全面に広がって配置されている。
制御装置413は、外面に設置されたコンロトールパネルがテーブル32から露出しており、テーブル32の上面の温度に対応した電圧値をコントロールパネルによって入力することで、電源412の電圧を調節することができる。
断熱部材42は、ヒータ411の上面を除く全ての面を被覆している。
制御手段は、相対移動手段1およびワーク保持手段3とは別体であって、相対移動手段1の駆動、および、工具の回転速度を調節する。制御手段は、相対移動手段1および工具保持手段2に接続され、各軸駆動機構11,12,13およびモータの駆動量を信号で送信することで、これらの駆動を制御する。
第1実施形態の加工機械を用いたワークの加工方法を説明する。
工具保持手段2の主軸22に形成されたチャック機構23に加工に適した工具を挟持させ、ワーク保持手段3のテーブル32の上面にワークを載置し、チャック片34によって固定する。
次に、加熱手段4の電気熱変換手段41の制御装置413に備えられたコントロールパネルを操作して回路に電圧を与える。すると、ヒータ411によって電気エネルギーが熱エネルギーに変換され、ヒータ411は、この熱エネルギーによってテーブル32の上縁部を加熱する。さらに、テーブル32の上縁部の熱伝達によってテーブル32の上面およびチャック片34の温度が上昇し、テーブル32の上面に固定されたワークが加熱される。このとき、ヒータ411の上面を除く全ての面を断熱部材42で被覆していることから、ヒータ411から発生される熱によって、テーブル側縁部および下縁部が加熱されることはない。テーブル32の上面の温度は、制御装置413によって電源412の電圧を制御することで調節し、また、図1のテーブル温度計測器33が表示する計測値によって確認することができる。
このようにして、ワークを加工に適した温度まで加熱し、ワークの温度が安定した後、相対移動手段1の各軸駆動機構11,12,13、および、工具保持手段2のモータの適切な駆動量を、制御手段に入力する。この入力信号に従って各軸駆動機構11,12,13、および、モータが駆動し、ワークに対し工具が高速回転しながら相対移動を行ってワークが加工される。
第1実施形態によれば、次のような効果が期待できる。
(1)ワークの材質に合わせてワークを加熱し、ワークの硬度を加工しやすい程度
にまで軟化させることができる。これにより、ワークの加工がしやすくなり、ワークの材質に合わせて最も効率的な加工を実現することができる。
(2)ワークを加熱してその温度を維持し、ワークの状態変化を抑えることができ
るので、ワークの品質を低下させることなく加工でき、かつ、加工作業が受ける時間の制約を軽減することができる。これにより、ワークの材質に合わせて最も効率的な加工を実現することができる。
(3)ヒータ411がワーク保持手段3に内蔵され、加熱されたテーブル32の上
縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを加熱するので、ワーク保持手段3の外部からの加熱に比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。
(4)ヒータ411がワーク保持手段3に内蔵され、加熱されたテーブル32の上
縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを加熱するので、工具は加熱されにくく、熱による工具の切削性能の低下を少なくできる。
(5)加熱手段4に頻繁に交換しなければならない部材がないので、交換作業の手
間を省くことができる。
(6)制御装置413を用いて電源412の電圧、つまり、ヒータ411の発熱量
を調節できるから、ワークを適切な温度で維持することができる。
(7)ヒータ411の上面を除く全ての面を断熱部材42で被覆していることから
、ヒータ411から発生される熱によって、テーブル32の側縁部および下縁部が加熱されすぎることはなく、熱によるワーク保持手段の変形、損傷を比較的少なくできる。
第1実施形態では、加熱手段4はテーブル32に内蔵されているとしたが、少なくともヒータ411のみがテーブル32の上縁部に内蔵されていればよく、ヒータ411を除く加熱手段4の各部材はテーブル32の外部に設置されていてもよい。
<第2実施形態>
図3に、第2実施形態のワーク保持手段の模式断面図を示す。
第2実施形態は、第1実施形態に対して、ワーク保持手段3および加熱手段5が異なる。
第2実施形態のワーク保持手段3は、非磁性体で構成されている点が第1実施形態のワーク保持手段3と異なる。
第2実施形態の加熱手段5は、図3のように、テーブル32に内蔵された磁場発生手段51から構成される。
磁場発生手段51は、電流を通すことで磁場を発生する複数個のコイル511と、電源512と、磁場の大きさを調節、つまり、電源512の電圧の調節を行う制御装置513と、コイル511、電源512、および、制御装置513を直列に連結する環状の導線514とから構成された回路である。
複数個のコイル511は、テーブル32の上縁部に並んで配置されている。
制御装置513は、外面に設置されたコンロトールパネルがテーブル32から露出しており、テーブル32の上面の温度に対応した電圧値をコントロールパネルによって入力することで、電源512の電圧を調節することができる。
第2実施形態の加工機械を用いたワークの加工方法は、第1実施形態で前述した加工方法に対して、加熱手段4による加熱作用が加熱手段5による加熱作用になる点を除いて同様である。よって、ここでは加熱手段5による加熱作用のみを説明する。
加熱手段5の磁場発生装置51を用いて、IH加熱(電磁誘導加熱)によりワークを加熱する。まず、磁場発生手段51の制御装置513に設置されたコントロールパネルを操作して、回路に電圧を与える。すると、コイル511に直流電流が流れ電磁誘導によりコイル周辺に磁場が発生する。テーブル32の上面に固定されたワークが磁性体である場合、磁力戦がワーク内部を通過することにより、ワーク内部に渦電流が発生し、この渦電流のジュール熱によってワークが加熱される。このとき、テーブル32は非磁性体であるので、テーブル32の内部に渦電流は発生せず、テーブル32は加熱されない。ワークの温度は、磁場の大きさを調節、つまり、制御装置413によって電源412の電圧を制御することで調節可能である。
第2実施形態によって、第1実施形態で得られる作用効果(1)および(2)に加え、次のような作用効果を期待できる。
(8)ワーク保持手段3が非磁性体であることから、磁場発生手段51から発生す
る磁場はワーク保持手段3を加熱しないので、作業を円滑、安全に行うことができる。
(9)磁場発生手段51から発生する磁場によってワークが加熱されるので、磁場
の大きさを調節することで、工具が加熱されにくく、熱による工具の性能低下を少なくできる。
(10)ワーク保持手段3の内部に熱が発生することはないので、磁場発生手段51の周囲に断熱部材を設置する必要はない。
(11)加熱手段5に頻繁に交換しなければならない部材がないので、交換作業の手間を省くことができる。
(12)制御装置513を用いて電源512の電圧、つまり、コイル511から発生される磁場の大きさを調節できるから、ワークを適切な温度に維持できる。
第2実施形態では、加熱手段5は、テーブル32に内蔵されているとしたが、少なくともコイル511のみがテーブル32の上縁部に内蔵されていればよく、コイル511を除く加熱手段5の各部材はテーブル32の外部に設置されていてもよい。
<第3実施形態>
図4に、第3実施形態のワーク保持手段の模式断面図を示す。
第3実施形態は、第1実施形態に対して、加熱手段4が省略され、それに代わってワークを冷却する冷却手段6が付加されている点が異なる。
第3実施形態の冷却手段6は、テーブル32に形成された冷媒収納空間61と、冷媒収納空間61に収納された冷却用媒体としてのドライアイス62と、冷媒収納空間61の一部を被覆した断熱材63とから構成される。
冷媒収納空間61は、テーブル32の上縁部に形成されており、側面にドライアイス62を投入するための冷媒投入口611を設けている。冷媒投入口611には、冷媒収納空間61を密閉できる冷媒投入扉612が備えられている。
断熱部材63は、冷媒収納空間61の上面を除く全ての面および冷媒投入扉612を被覆している。
第3実施形態の加工機械を用いたワークの加工方法は、第1実施形態で前述した加工方法に対して、加熱手段4による加熱作用が冷却手段6による冷却作用になる点を除いて同様である。よって、ここでは冷却手段6による冷却作用のみを説明する。
冷却手段6の冷却収納空間61に備えられた冷却投入扉612を開き、冷却投入口611から冷媒収納空間61へドライアイス62を投入する。ドライアイス62は、なるべく冷媒収納空間61の床全体に配置されるようにし、冷却投入扉612を閉める。すると、ドライアイス62によって、冷媒収納空間61の内壁が冷却される。さらに、テーブル32の上縁部の熱伝導によってテーブル32の上縁部およびチャック片34の温度が低下し、テーブル32の上面に固定されたワークが冷却される。
このとき、上面を除く冷媒収納空間61の全ての面および冷媒投入扉612を断熱部材63で被覆していることから、冷媒収納空間61の内部の冷気がテーブル32の側縁部および下縁部に逃げることが少なく、また、テーブル32の熱が冷媒収納空間61に伝わりにくくなる。テーブル32の上面の温度は、冷媒収納空間61に収納するドライアイス62の量によって調節し、また、図1のテーブル温度計測器33が表示する計測値によって確認することができる。
第3実施形態によれば、次のような効果が期待できる。
(13)ワークの材質に合わせてワークを冷却し、ワークの硬度を加工しやすい程度まで硬化させることができる。これにより、ワークの加工がしやすくなり、ワークの材質に合わせて最も効率的な加工を実現することができる。
(14)ワークを冷却することで、ワークの温度を維持しその状態変化を抑えることができるので、ワークの品質を低下させることなく加工でき、かつ、加工作業が受ける時間の制約を軽減することができる。これにより、ワークの材質に合わせて最も効率的な加工を実現することができる。例えば、冷凍食品などを加工する場合でも、冷却によって冷凍状態のまま加工することができるため、加工がしやすくなり、かつ、溶解によって品質を悪化させることはない。
(15)冷媒収納空間61をワーク保持手段3に内蔵することで、冷却されたテーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを冷却することができるので、ワーク保持手段3の外部からワークを冷却するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。
(16)冷媒収納空間61をワーク保持手段3に内蔵し、テーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを冷却するので、工具は冷却されにくく、冷却による工具表面における結露の発生を少なくできる。
(17)冷却手段6が比較的単純な構造であるため、構造の簡素化を図ることができ、また、故障発生率を抑えることができる。
(18)ドライアイス62が冷却源であるから、電力などのエネルギー源を必要としない。
(19)冷媒収納空間61の上面を除く全ての面、および、冷媒投入扉612を断熱部材63で被覆していることから、冷媒収納空間61の内部の冷気がテーブル32の側縁部および下縁部に逃げることを少なくできる。また、テーブル32の側縁部および下縁部から冷媒収納空間61へ熱が侵入しにくくなるので、冷媒収納空間61の内部に収納されたドライアイス62の溶解を遅らせることができる。
第3実施形態では、冷却用媒体にドライアイス62を用いたが、例えば、液体窒素、氷などを用いてもよい。
<第4実施形態>
図5に、第4実施形態のワーク保持手段の断面模式図を示す。
第4実施形態は、第1実施形態に対して、加熱手段4が省略され、それに代わってワークを加熱および冷却する加熱・冷却手段7が付加されている点が異なる。
第4実施形態の加熱・冷却手段7は、ワーク保持手段3に形成された流体収納空間71と、流体収納空間71に収納される温調流体72と、温調流体72を流体収納空間71に通して循環させる流体移動手段73と、流体移動手段73の途中に設けられ、温調流体72を加熱および冷却する熱変換手段74と、流体収納空間71の一部の面を被覆する断熱材75とから構成される。
流体収納空間71は、テーブル32の上縁部に内蔵され、一方側壁に、流体移動手段73に接続され温調流体72が流入する流入口711と、他方側壁に、流体移動手段73に接続され温調流体72が流出する流出口712とを備えている。
流体移動手段73は、流体収納空間71および熱変換手段74を連結し、内部に温調流体72を通す環状のパイプ731と、パイプ731の途中に設けられ温調流体72に動力を与えるポンプ732とを備えている。
熱変換手段74は、内部に流入した温調流体72を加熱および冷却して、流体移動手段73のパイプ731に流出する。
温調流体72は、例えば水や油などが状態変化を生じにくい温度範囲で使用され、上記の構成により加熱・冷却手段7を循環する。
断熱部材75は、流体収納空間71の上面を除く全ての面を被覆しており、流体収納空間71に接続されている流体移動手段73のパイプ731を通す2つのパイプ孔(図示省略)を備えている。
第4実施形態の加工機械を用いたワークの加工方法は、第1実施形態で前述した加工方法に対して、加熱手段4による加熱作用が加熱・冷却手段7による加熱・冷却作用になる点を除いて同様である。よって、ここでは加熱・冷却手段7による加熱・冷却作用のみを説明する。
まず、ワークを加熱させたい場合について説明する。加熱・冷却手段7のポンプ732を稼動させて温調流体72を循環させる。同時に、熱変換手段74も稼動させて熱変換手段の内部を通過する温調流体72を加熱する。すると、熱変換手段74を通過した温調流体72は高温となる。高温となった温調流体72は、パイプ731を通って流入口711から流体収納空間71へ流入する。
流体収納空間71へ流入した温調流体72が持つ熱によって、流体収納空間71の内壁が加熱される。さらに、流体収納空間71の内壁からテーブル32の上縁部への熱伝達によってテーブル32の上縁部が加熱され、テーブル32の上面に固定されたワークが加熱される。
流体収納空間71の内壁に熱を与えたことにより、温度が低下した温調流体72は、流体収納空間71の流出口712からパイプ731へ流出する。よって、流体収納空間71を通過した温調流体72は低温となる。低温の温調流体72は、パイプ731を通って再び熱変換手段74に流入し加熱される。このような作用を伴いながら温調流体72が加熱・冷却手段7の内部を循環することで、ワークが加熱される。また、上面を除く流体収納空間71の全ての面を断熱部材75で被覆していることから、流体収納空間71の内壁に与えられた熱量によって、テーブル側縁部および下縁部が加熱されることはない。
次に、ワークを冷却させたい場合の加熱・冷却手段7による冷却作用は、ワークを加熱させたい場合の加熱・冷却手段7の加熱作用に対して、加熱ではなく冷却になる点が異なる。つまり、熱変換手段74によって温調流体72を冷却し、この低温の温調流体が流体収納空間71に流入することで、流体収納空間71の内壁が冷却され、熱伝達によってテーブル32の上縁部さらにワークが冷却される。
テーブル32の上面の温度は、熱変換手段74によって温調流体72を温度調整することで調節し、また、図1のテーブル温度計測器33が表示する計測値によって確認することができる。
第4実施形態によれば、第1実施形態から得られる作用効果(1),(2)、および、第3実施形態から得られる作用効果(13),(14)に加え、次のような作用効果を期待できる。
(20)温調流体72の温度調整によって、ワークの加熱および冷却の両方を行うことができる。
(21)流体収納空間71がワーク保持手段3に内蔵され、加熱および冷却されたテーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを温度調整するので、ワーク保持手段3の外部からワークを温度調整するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。
(22)流体収納空間71がワーク保持手段3に内蔵され、加熱および冷却されたテーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを加熱および冷却するので、工具は加熱および冷却されにくく、熱による工具の切削性能の低下や、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。
(23)加熱・冷却手段7に、頻繁に交換しなければならない部材がないので、交換作業の手間を省くことができる。
(24)熱変換手段74を用いて温調流体72の温度、つまり、流体収納空間71からの発熱量を調節できるから、ワークを適切な温度に維持することができる。
(25)流体収納空間71の上面を除く全ての面を断熱部材75で被覆していることから、流体収納空間71から発生される熱量によって、テーブル32の側縁部および下縁部が加熱されすぎることはなく、熱によるワーク保持手段3の変形、損傷を比較的少なくできる。
(26)流体収納空間71の上面を除く全ての面を断熱部材75で被覆していることから、テーブル32の側縁部および下縁部と流体収納空間71との不必要な熱の交換を少なくできるので、流体収納空間71の内部の温度を維持することができる。
第4実施形態で用いた温調流体72としては、水、油、空気、および、その他のガスなどが考えられる。また、加熱・冷却手段7は、ワーク保持手段3に内蔵されているとしたが、少なくとも流体収納空間71のみがテーブル32の上縁部に内蔵されていればよく、流体収納空間71を除く加熱・冷却手段7の各構成要素はテーブル32の外部に設置されていてもよい。
<第5実施形態>
図6は、第5実施形態のワーク保持手段の断面模式図である。
第5実施形態は、第1実施形態に対して、加熱手段4が省略され、それに代わってワークを加熱および冷却する加熱・冷却手段8が付加されている点が異なる。
加熱・冷却手段8は、ワーク保持手段3に内蔵された発熱・吸熱回路81と、発熱・吸熱回路81からの熱を受ける受熱板82とから構成される。
発熱・吸熱回路81は、テーブル32の上縁部に内蔵され、発熱および吸熱を行うペルチェ素子部811と、ペルチェ素子部811に直流電流を流す直流電源812と、直流電源812の電圧を調節する制御装置813と、ペルチェ素子部811、直流電源812および制御装置813を直列に連結した環状の導線814とによって構成された直流回路である。
ペルチェ素子部811は、テーブル32の上縁部に配置されており、並列した複数個のペルチェ素子815と、隣り合うペルチェ素子を接合する電極816とから構成される。
ペルチェ素子815は、直方形状であり、p型とn型の2種類の半導体である。これらp型半導体とn型半導体は、それぞれの長手方向を垂直方向に向け、かつ、水平方向に沿ってp型、n型が交互に並列している。
電極816は、電導性を持つ金属板であり、全てのペルチェ素子815が直列に接続されるように、隣り合うp型半導体およびn型半導体の上端面に架設された上方電極816Aと、隣り合うp型半導体およびn型半導体の下端面に架設された下方電極816Bとがある。これにより、p型半導体とn型半導体は、交互に直列接続される。
ペルチェ素子815のp型半導体とn型半導体を電極816で直列接続し直流電流を流すと、ペルチェ素子815は、それぞれ一端で発熱現象を、他端で吸熱現象を同時に起こすという材質を持つ。よって、ここでは、各ペルチェ素子815と電極816の接合部分で発熱現象または吸熱現象が生じる。また、吸熱現象によって表面に結露が発生する場合があるので、ペルチェ素子815の表面には防水加工が施されている。
制御装置813は、外面に設置されたコンロトールパネルがテーブル32から露出しており、テーブル32の上面の温度に対応した電圧値をコントロールパネルから入力することで、直流電源812の電圧を調節することができる。
受熱板82は、セラミック製の長方平面板であり、ペルチェ素子部811の上下端面に接触して、つまり、ペルチェ素子815に架設された上下の電極816に接触して設けられている。これにより、ペルチェ素子部811の一端の発熱現象によって、ペルチェ素子部811の一端に設けられた一方の受熱板82は加熱され、同時に、ペルチェ素子部811の他端の吸熱現象によって、ペルチェ素子部811の他端に設けられた他方の受熱板82は冷却される。
放熱手段9は、ワーク保持手段3に形成され、テーブル32の下縁部に内蔵される貯水空間91と、貯水空間91に収納される温調流体92と、温調流体92を貯水空間91に通して循環させる流体移動手段93と、流体移動手段93の途中に設けられ、温調流体92を加熱および冷却する熱変換手段94とから構成される。
貯水空間91は、テーブル32に内蔵され、ペルチェ素子部811の下縁部にわずかな間を挟んで形成されている。貯水空間91の一方側壁に、流体移動手段93に接続され温調流体92が流入する流入口911と、他方側壁に、流体移動手段93に接続され温調流体92が流出する流出口912とを備えている。
流体移動手段93は、貯水空間91および熱変換手段94を連結し、内部に温調流体92を通す環状のパイプ931と、パイプ931の途中に設けられ温調流体92に動力を与えるポンプ932とを備えている。
熱変換手段94は、内部に流入した温調流体92を加熱および冷却して、流体移動手段93へ流出する。ワークを加熱する場合、つまり、ペルチェ素子部811の下端側が吸熱現象を生じる場合には温調流体92を加熱し、ワークを冷却する場合、つまり、ペルチェ素子部811の下端側が発熱現象を生じる場合には温調流体92を冷却する。
温調流体91は、ある程度の高温または低温においても状態変化を生じない流体であり、上記の構成によって、放熱手段9の内部を循環する。
第5実施形態の加工機械を用いたワークの加工方法は、第1実施形態で前述した加工方法に対して、加熱手段4による加熱作用が加熱・冷却手段8による加熱・冷却作用になる点、および、放熱手段9による放熱作用が加わる点を除いて同様である。よって、ここでは、加熱・冷却手段8による加熱・冷却作用、および、放熱手段9による放熱作用を説明する。
まず、ワークを加熱したい場合について説明する。ここで、ペルチェ素子815の並びは図6に示す通りとする。はじめに、加熱・冷却手段8の、発熱・吸熱回路81の制御装置813に設けられたコントロールパネルを操作して電源を入れ、発熱・吸熱回路81に矢印Aの方向へ直流電流を流す。同時に、放熱手段9のポンプ931および熱変換手段94を稼動させる。
すると、ペルチェ素子815の内部に直流電流が流れる。このとき、ペルチェ素子815のp型半導体およびn型半導体の内部では、ペルチェ効果により正孔および電子が移動するが、この正孔および電子が熱エネルギーを運び、矢印Aの方向に電流を流した図6の場合、各ペルチェ素子815の上端と上方電極816Aとの接合部分で発熱現象が、同時に、各ペルチェ素子815の下端と下方電極816Bとの接合部分で吸熱現象が生じる。
このペルチェ素子部811の上端側で生じた発熱現象によって、上方電極816Aに接触して設けられている受熱板82が加熱される。さらに、受熱板82からテーブル32の上縁部への熱伝達によってテーブル32上面およびチャック片34の温度が上昇し、テーブル32の上面に固定されたワークが加熱される。
テーブル32の上面の温度は、制御装置813によって直流電源812の電圧を制御することで調節し、また、図1のテーブル温度計測器33が表示する計測値によって確認することができる。
このとき、このペルチェ素子部811の下端側では吸熱現象が生じており、この吸熱現象により受熱板82が冷却され、テーブル32の下縁部の温度が過度に低温となる危険性がある。このため、放熱手段9によって、ペルチェ素子部811の下端側による吸熱作用をある程度まで緩和する。
放熱手段9では、温調流体92が流体移動手段93によって循環している。発熱・吸熱回路81に直流電流を流すと同時に、熱変換手段94によって、熱変換手段94の内部を通過する温調流体92を加熱する。これにより、高温の温調流体92が貯水空間91に流入し、貯水空間91の内部の温度が上昇して内壁が加熱される。
すると、貯水空間91の内壁からテーブル32への熱伝達により、テーブル32が加熱され、その結果、テーブル32の下縁部の温度低下を抑止することができる。温調流体92は、ペルチェ素子部811の下端側の吸熱作用を、加工機械に悪影響を与えない程度、かつ、作業の安全性が保たれる程度にまで緩和できる温度であればよい。
このようにして、発熱・吸熱回路81によってワークを加熱することができ、放熱手段9によって、テーブル32の下縁部の温度変化をある程度まで抑止することができる。
ワークを冷却したい場合には、発熱・吸熱回路81にAとは反対方向に電流を流し、かつ、温調流体92を熱変換手段94によって冷却しながら放熱手段9の内部を循環させる。このときの発熱・吸熱回路81および放熱手段9の作用は、上記のワークを加熱したい場合のそれらと、加熱が冷却に変更される点が異なる。
第5実施形態によって、第1実施形態から得られる作用効果(1),(2)、および、第3実施形態から得られる作用効果(13),(14)に加え、次のような効果を期待することができる。
(27)ペルチェ素子部811の発熱および吸熱現象によって、ワークの加熱および冷却の両方を行うことができる。
(28)ペルチェ素子部811がワーク保持手段3に内蔵され、加熱および冷却されたテーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを温度調整するので、ワーク保持手段3の外部からワークを加熱および冷却するのに比べ、作業を円滑、安全に行うことができる。
(29)ペルチェ素子部811がワーク保持手段3に内蔵され、加熱・冷却されたテーブル32の上縁部とワークとの接触面における熱伝達によってワークを温度調整するので、工具は加熱および冷却されにくく、熱による工具の切削性能の低下や、冷却による工具表面における結露の発生などを少なくできる。
(30)加熱・冷却手段8に、頻繁に交換しなければならない部材がないので、交換作業の手間を省くことができる。
(31)制御装置813を用いて直流電源812の電圧、つまり、ペルチェ素子部811から発生される発熱量を調節できるから、ワークの温度を適切に維持することができる。
(32)直流電源812の直流電流の向きを変えることによって、ペルチェ素子部811の発熱部と吸熱部の位置が切り替わるので、ワークの加熱および冷却を瞬時に切り替えることができる。
(33)放熱手段9によって、ペルチェ素子部811の下端側における余分な発熱作用および吸熱作用を緩和することができるので、テーブル32の側縁部および下縁部が加熱および冷却されすぎることはなく、ワーク保持手段3の変形、損傷を比較的少なくできる。
第5実施形態では、ワークを加熱させる場合、ペルチェ素子部811の下端側の吸熱作用を放熱手段9によって緩和させたが、この吸熱作用によるテーブル32の下縁部の冷却が、テーブル32の損傷や作業の危険性を引き起こす程度ではない場合には、放熱手段9は、ペルチェ素子部811の下端の吸熱作用を緩和させる機能を備えてなくてもよい。また、第5実施形態では、温調流体92による放熱手段9を用いたが、放熱手段9は、例えば、テーブル32のペルチェ素子部811の下方に設置されたファンを備え、このファンを回転させて生じた風をテーブル32に当てることによって余分な熱を発散させる構造であってもよい。また、放熱手段9ではなく、ペルチェ素子部811の上面を除く全ての面を断熱材で被覆することで、ペルチェ素子部811の下端側とテーブル32との間の熱伝達しにくくさせてもよい。
第5実施形態の加工機械は、ワークの加熱および冷却を行えるものとしたが、ワークの冷却のみ行いたい場合は、ペルチェ素子部811を含む回路に適切な方向へ直流電流を流せばよい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、第1〜第5実施形態の加工機械は、相対移動手段1が駆動することにより、工具とワークの相対移動を行うとしたが、本発明は、ワーク保持手段3が駆動するタイプ、また、工具保持手段2およびワーク保持手段3のいずれも駆動するタイプの加工機械であっても適用することができる。
また、第1〜第5実施形態では、相対移動手段1の駆動は、制御手段に入力された信号によって制御されるとしたが、本発明では、三軸方向の駆動制御は、相対移動手段1にレバーやハンドルなどを備えて手動で行ってもよい。
また、第1および第4実施形態では、断熱材42,75によってテーブル32の側縁部および下縁部の温度変化が少なくなるようにしたが、例えば、テーブル32の下縁部に放熱手段を設け、加熱手段4または加熱・冷却手段7から発生される余分な発熱および吸熱を緩和させてもよい。放熱手段には、温調流体を用いる方法、ファンの風によって熱を発散させる方法などが考えられる。
また、第1、第2、第4、第5実施形態では、ワークの温度調整を行うには、各温度調節手段(加熱手段4,5、加熱・冷却手段7,8)を操作するとしたが、本発明では、テーブル32の上面の設定温度を入力すると、テーブル32の上面がその設定温度で一定に保たれるように、各温度調節手段の制御を自動的に行う温度制御手段(図示省略)を付加しても良い。このような構成によれば、温度調整のために各温度調節手段を細かく操作する手間を省くことができる。
本発明は、加工機械に利用することができる。
本発明の第1実施形態にかかる加工機械を示す斜視図。 本発明の第1実施形態におけるワーク保持手段を示す模式断面図。 本発明の第2実施形態におけるワーク保持手段を示す模式断面図。 本発明の第3実施形態におけるワーク保持手段を示す模式断面図。 本発明の第4実施形態におけるワーク保持手段を示す模式断面図。 本発明の第5実施形態におけるワーク保持手段を示す模式断面図。
符号の説明
1…相対移動手段,2…工具保持手段,3…ワーク保持手段,4…加熱手段,41…電気熱変換手段,5…加熱手段,51…磁場発生手段,6…冷却手段,61…冷媒収納空間,62…ドライアイス,7…加熱・冷却手段,71…流体収納空間,72…温調流体,73…流体移動手段,74…熱変換手段,8…加熱・冷却手段81…発熱・吸熱回路,815…ペルチェ素子

Claims (7)

  1. ワークを保持するワーク保持手段と、ワークを加工する工具を保持する工具保持手段と、前記ワーク保持手段および前記工具保持手段を相対移動させる相対移動手段とを有する加工機械において、
    ワークを加熱する加熱手段およびワークを冷却する冷却手段の少なくともどちらか一方を備えたことを特徴とする加工機械。
  2. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記加熱手段を備え、
    前記加熱手段は、前記ワーク保持手段に内蔵され、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電気熱変換手段によって構成されていることを特徴とする加工機械。
  3. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記加熱手段を備え、
    前記加熱手段は、前記ワーク保持手段に内蔵された磁場発生手段によって構成されていることを特徴とする加工機械。
  4. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記冷却手段を備え、
    前記冷却手段は、前記ワーク保持手段に形成された冷媒収納空間と、前記冷媒収納空間に収納される冷却用媒体とによって構成されていることを特徴とする加工機械。
  5. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記冷却手段を備え、
    前記冷却手段は、前記ワーク保持手段に内蔵されたペルチェ素子を含む回路によって構成されていることを特徴とする加工機械。
  6. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記加熱手段と前記冷却手段とを備え、
    前記加熱手段および前記冷却手段は、前記ワーク保持手段に形成された流体収納空間と、前記流体収納空間に収納される温調流体と、前記温調流体を前記流体収納空間に通して循環させる流体移動手段と、前記流体移動手段の途中に設けられ、前記温調流体を加熱および冷却する熱変換手段とによって構成されていることを特徴とする加工機械。
  7. 請求項1に記載の加工機械において、
    前記加熱手段と前記冷却手段とを備え、
    前記加熱手段および前記冷却手段は、前記ワーク保持手段に内蔵されたペルチェ素子を含む発熱・吸熱回路によって構成されていることを特徴とする加工機械。
JP2004282409A 2004-09-28 2004-09-28 加工機械 Expired - Fee Related JP4783000B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004282409A JP4783000B2 (ja) 2004-09-28 2004-09-28 加工機械

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004282409A JP4783000B2 (ja) 2004-09-28 2004-09-28 加工機械

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006095618A true JP2006095618A (ja) 2006-04-13
JP4783000B2 JP4783000B2 (ja) 2011-09-28

Family

ID=36235921

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004282409A Expired - Fee Related JP4783000B2 (ja) 2004-09-28 2004-09-28 加工機械

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4783000B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010509084A (ja) * 2006-11-13 2010-03-25 ジェンセン、ロバート、エム. ワークを等温で乾式機械加工するための装置、システム及び方法及び組付治具
JP2015199137A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 株式会社 エマージー 加工工具冷却装置及び加工方法
JP2018027588A (ja) * 2016-08-17 2018-02-22 株式会社ディスコ 研削装置のアイドリング方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59192401A (ja) * 1983-04-11 1984-10-31 Sumitomo Electric Ind Ltd 形状記憶効果を有するNiTi合金の切削加工方法
JPS6099502A (ja) * 1983-10-14 1985-06-03 ロツクウエル インターナシヨナル コーポレーシヨン 電気加熱を使用した金属加工工具
JPS63288602A (ja) * 1987-05-22 1988-11-25 Nippon Plast Co Ltd 成形品のバリ取装置
JPH0717193A (ja) * 1993-06-30 1995-01-20 Roland D G Kk 彫刻機の制御装置
JP2002355727A (ja) * 2001-05-30 2002-12-10 Daishowa Seiki Co Ltd 焼き嵌め工具ホルダー
JP2004066437A (ja) * 2002-08-09 2004-03-04 Makino Milling Mach Co Ltd 熱変形を抑制可能な工作機械

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59192401A (ja) * 1983-04-11 1984-10-31 Sumitomo Electric Ind Ltd 形状記憶効果を有するNiTi合金の切削加工方法
JPS6099502A (ja) * 1983-10-14 1985-06-03 ロツクウエル インターナシヨナル コーポレーシヨン 電気加熱を使用した金属加工工具
JPS63288602A (ja) * 1987-05-22 1988-11-25 Nippon Plast Co Ltd 成形品のバリ取装置
JPH0717193A (ja) * 1993-06-30 1995-01-20 Roland D G Kk 彫刻機の制御装置
JP2002355727A (ja) * 2001-05-30 2002-12-10 Daishowa Seiki Co Ltd 焼き嵌め工具ホルダー
JP2004066437A (ja) * 2002-08-09 2004-03-04 Makino Milling Mach Co Ltd 熱変形を抑制可能な工作機械

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010509084A (ja) * 2006-11-13 2010-03-25 ジェンセン、ロバート、エム. ワークを等温で乾式機械加工するための装置、システム及び方法及び組付治具
JP2015199137A (ja) * 2014-04-04 2015-11-12 株式会社 エマージー 加工工具冷却装置及び加工方法
JP2018027588A (ja) * 2016-08-17 2018-02-22 株式会社ディスコ 研削装置のアイドリング方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4783000B2 (ja) 2011-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105415088B (zh) 机床
KR20150097426A (ko) 작동 동안 열을 발생하는 기능성 구성요소를 갖는 기계 공구
JP6178818B2 (ja) 立旋盤
JP4783000B2 (ja) 加工機械
JP2014500156A (ja) 工作機械用誘導システム
JPH10230435A (ja) 電子冷却素子を用いた加熱・冷却方法,その加熱・冷却装置,及び工作機械の姿勢制御装置
JP2007336670A (ja) 水冷式回転電気機械
JP2008119797A (ja) 平面研削装置
JP2555331B2 (ja) 精密加工装置
JP2004042144A (ja) 加工装置及び加工方法
JP6307591B2 (ja) 大気圧プラズマ発生装置
JP2002103102A (ja) 加工装置および加工方法
JPH0350661B2 (ja)
WO2001089751A1 (fr) Machine a decharge electrique entrainee par un moteur lineaire
US11731200B2 (en) Cooling device with processing head of a lamination molding apparatus
CN112639379B (zh) 流体温度调节装置
JP6401045B2 (ja) ワーク加工機
JP2005288591A (ja) 移動用冷却装置及びこれを用いたワーク固定装置
KR101676721B1 (ko) 방열구조를 갖는 빔을 이용한 비접촉 가공장치
CN108161603B (zh) 磁场辅助平面磨削设备
JP2719759B2 (ja) 冷凍チャックおよびその冷却装置
JP6698106B2 (ja) 工作機械のクーラント装置
JP3671214B2 (ja) 工作機械の温度調節方法及び装置
JP4568834B2 (ja) 工作機械の温度調節方法及び装置
JP4618673B2 (ja) 工作機械

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070604

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070809

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110705

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110708

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140715

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4783000

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees