JP2006094332A - 発振回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 発振周波数近傍における位相雑音特性を改善可能な発振回路を提供する。
【解決手段】 発振周波数を設定する共振回路1と、共振回路1の共振条件を整える負性抵抗回路2と、負性抵抗回路2の出力信号を増幅して発振信号Voutを外部に出力するバッファトランジスタQ2とを具備する発振回路であって、低位電源Vssに一端が接続されたバイパスコンデンサC9と、バイパスコンデンサC9の他端に一端が接続され、バッファトランジスタQ2のベースに他端が接続された第1利得調整用抵抗R5とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発振信号を外部に出力するバッファトランジスタを具備する発振回路に関する。
高周波の発振回路には通常、共振回路、負性抵抗回路、及びバッファ回路が設けられる。負性抵抗回路及びバッファ回路は、発振トランジスタ及びバッファトランジスタをそれぞれ備える(例えば、特許文献1参照。)。また、発振トランジスタとバッファトランジスタはカスコード接続される。この結果、発振回路の総合利得はエミッタ接地回路と同等であり、且つ、帯域幅をベース接地回路の遮断周波数まで確保できる。バッファトランジスタは、共振回路及び負性抵抗回路の発振周波数近傍で比較的大きな利得を有している。
しかしながら、発振トランジスタ及びバッファトランジスタのそれぞれにおいては雑音が発生する。更に、発振トランジスタ及びバッファトランジスタで発生した雑音は、バッファトランジスタにより増幅されて外部に出力されることとなる。この結果、発振回路の発振周波数近傍における位相雑音特性の悪化が生じる。
特開2002−171131号公報
本発明は、発振周波数近傍における位相雑音特性を改善可能な発振回路を提供する。
本発明の一態様は、発振周波数を設定する共振回路と、共振回路の共振条件を整える負性抵抗回路と、負性抵抗回路の出力信号を増幅して発振信号を外部に出力するバッファトランジスタとを具備する発振回路であって、低位電源に一端が接続されたバイパスコンデンサと、バイパスコンデンサの他端に一端が接続され、バッファトランジスタのベースに他端が接続された第1利得調整用抵抗とを備える発振回路であることを要旨とする。
本発明によれば、発振周波数近傍における位相雑音特性を改善可能な発振回路を提供できる。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。この実施の形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
本発明の実施の形態に係る発振回路は、図1に示すように、共振回路1、共振回路1に接続された負性抵抗回路2、及び負性抵抗回路2に接続されたバッファ回路3aを備える。共振回路1は、例えば入力電圧Vtuneに応じた共振周波数で共振し、発振回路の発振周波数fosc を設定する。負性抵抗回路2は、入力抵抗が負性を示し、共振回路1の共振条件を整える。バッファ回路3aは、負性抵抗回路2の出力信号を増幅し、発振信号Voutを外部に出力するバッファトランジスタQ2を備える。バッファトランジスタQ2としては、例えばnpn型のバイポーラトランジスタが使用できる。バッファ回路3aは、低位電源Vssに一端が接続されたバイパスコンデンサC9と、バイパスコンデンサC9の他端に一端が接続され、バッファトランジスタQ2のベースに他端が接続された第1利得調整用抵抗R5とを備える。この結果、バッファトランジスタQ2は、第1利得調整用抵抗R5及びバイパスコンデンサC9を介して交流的に接地され、ベース接地増幅回路として動作する。バイパスコンデンサC9の容量値は、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数foscにおいて十分低いインピーダンスとなるように、例えば100[pF]〜10000[pF]程度が選択される。尚、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数fosc は例えば2.4[GHz]程度である。共振回路1の共振周波数が可変である場合、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数foscの可変幅は例えば2.4[GHz]±20[MHz]程度となる。
また、出力端子30は図示を省略する負荷に接続される。バッファ回路3aは、出力端子30に接続される負荷のインピーダンス変動に対する安定性を確保する。即ち、バッファ回路3aを負性抵抗回路2の出力に接続することにより、負性抵抗回路2が負荷から隔離され、負荷のインピーダンス変動に起因する位相雑音特性の悪化及び発振周波数の精度の低下を防止できる。
更に、バッファ回路3aが第1利得調整用抵抗R5を具備せず、バッファトランジスタQ2のベースが直接バイパスコンデンサC9に接続される場合、バッファトランジスタQ2の電圧利得−周波数特性は、図2に示すような特性となる。図2に示すように、バッファトランジスタQ2は、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数fosc近傍で15[dB]程度の比較的大きな電圧利得を有している。この結果、発振トランジスタQ1及びバッファトランジスタQ2のそれぞれにおいて発生する雑音がバッファトランジスタQ2により増幅されて外部に出力される。
また、図2に示す例においては、バッファトランジスタQ2の電圧利得が3.5[GHz]付近まで0[dB]とならない。よって、バッファトランジスタQ2が、負性抵抗回路2の出力信号に含まれる高調波成分、即ち雑音をも増幅してしまうこととなる。
これに対して、バイパスコンデンサC9とバッファトランジスタQ2のベースとの間に第1利得調整用抵抗R5を接続することにより、図3に示すようにバッファトランジスタQ2の発振周波数fosc近傍の電圧利得を0[dB]程度に設定できる。更に、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数foscよりも高周波の帯域において、バッファトランジスタQ2の電圧利得が0[dB]以下となり、負性抵抗回路2の出力信号に含まれる雑音が増幅されることを防止できる。但し、図3においては、図1に示す第1利得調整用抵抗R5の抵抗値を30[Ω]とした場合のシミュレーション結果を示している。
また共振回路1は、例えばコンデンサC1、インダクタL1、可変容量ダイオードD1、インダクタL2、及びコンデンサC2を備える。負性抵抗回路2は、例えば発振トランジスタQ1、結合コンデンサC3、分圧用抵抗R1、帰還用コンデンサC4、コンデンサC5、インダクタL3、及び電流設定用抵抗R4を備える。バッファ回路3aは、上述したバッファトランジスタQ2、第1利得調整用抵抗R5、及びバイパスコンデンサC9に加えて、例えば分圧用抵抗R2、分圧用抵抗R3、バイパスコンデンサC6、結合コンデンサC7、バイパスコンデンサC8、及びインダクタL4を備える。発振トランジスタQ1としては、例えばnpn型のバイポーラトランジスタが使用できる。
更に、共振回路1において、コンデンサC1は入力端子10と低位電源Vssとの間に接続される。インダクタL1は、入力端子10に一端が接続され、結合コンデンサC3に他端が接続される。インダクタL2は低位電源Vssに一端が接続される。可変容量ダイオードD1は、インダクタL2の他端にアノードが接続され、インダクタL1の他端にカソードが接続される。コンデンサC2は低位電源VssとインダクタL1の他端との間に接続される。
ここで、入力端子10に印加された入力電圧Vtuneは可変容量ダイオードD1に伝達される。この結果、可変容量ダイオードD1の容量成分が調整される。よって、インダクタL1及び可変容量ダイオードD1から構成されるLC共振回路の共振周波数が制御される。
また、分圧用抵抗R1、分圧用抵抗R2、及び分圧用抵抗R3は高位電源Vccと低位電源Vssとの間に直列に接続される。分圧用抵抗R1及び分圧用抵抗R2の接続ノードは発振トランジスタQ1のベースに接続され、発振トランジスタQ1のベースにバイアスを与える。分圧用抵抗R2及び分圧用抵抗R3の接続ノードはバッファトランジスタQ2のベースに接続され、バッファトランジスタQ2のベースにバイアスを与える。
更に、負性抵抗回路2において、発振トランジスタQ1の入力インピーダンスが負性を示すように、発振トランジスタQ1のベース・エミッタ間に帰還用コンデンサC4が接続され、エミッタ・低位電源Vss間にコンデンサC5が接続される。発振トランジスタQ1のエミッタと低位電源Vssとの間において、コンデンサC5と並列に、インダクタL3及び電流設定用抵抗R4が直列接続される。電流設定用抵抗R4は、発振トランジスタQ1及びバッファトランジスタQ2のそれぞれのコレクタ電流の電流量を設定する。
また、バッファ回路3aにおいて、バイパスコンデンサC6は、バッファトランジスタQ2のエミッタと発振トランジスタQ1のコレクタとの接続ノードに一端が接続され、低位電源Vssに他端が接続される。結合コンデンサC7は、バッファトランジスタQ2のコレクタと出力端子30との間に接続される。インダクタL4は高位電源VccとバッファトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。バイパスコンデンサC8は、高位電源Vccと低位電源Vssとの間に接続される。
更に、バッファトランジスタQ2の電圧利得がピークとなる周波数は、バイパスコンデンサC6の容量値を加減することにより変化する。バイパスコンデンサC6の容量値が大き過ぎる場合、発振トランジスタQ1の出力信号がバイパスコンデンサC6を介して低位電源Vssに吸収される。したがって、バッファトランジスタQ2が出力する発振信号Voutの振幅が低下して位相雑音特性の劣化を招く。一方、バイパスコンデンサC6の容量値が小さ過ぎる場合、コレクタ接地増幅回路として動作する発振トランジスタQ1の接地インピーダンスが、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数foscにおいて高くなる。この結果、発振トランジスタQ1の入力インピーダンスが負性を示さなくなってしまい、位相雑音特性の悪化又は発振停止を招く。よって、バイパスコンデンサC6の容量値は、例えば3〜10[pF]程度に設計される。
このように、本発明の実施の形態によれば、バッファトランジスタQ2のベースを交流的に接地するバイパスコンデンサC9と直列に第1利得制御用抵抗R5を接続することにより、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数fosc近傍におけるバッファトランジスタQ2の電圧利得を削減することができる。よって、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数fosc近傍において雑音が増幅されないので、発振周波数fosc近傍における発振回路の位相雑音特性を改善できる。一例として、第1利得調整用抵抗R5を具備しない場合の発振回路の位相雑音電力は、図4に示すように、発振周波数foscから100[kHz]離調した周波数で−120.6[dBc]である。一方、本発明の実施の形態に係る発振回路においては、図5に示すように、発振周波数foscから100[kHz]離調した周波数での位相雑音電力は−125.2[dBc]と4.6[dBc]改善されている。また、既存の発振回路に対して第1利得制御用抵抗R5を付加するのみで発振回路の位相雑音特性を向上させることができるため、回路規模の増大を最小限に抑えることができる。
(第1の変形例)
本発明の実施の形態の第1の変形例に係る発振回路として図6に示すように、バッファ回路3bが、発振トランジスタQ1のコレクタとバッファトランジスタQ2のエミッタとの間に接続された第2利得調整用抵抗R6を更に備える構成でも良い。第2利得調整用抵抗R6の抵抗値を大きくすることにより、バッファトランジスタQ2の電圧利得を小さくすることができる。但し、第2利得調整用抵抗R6の抵抗値を大きくし過ぎると、発振トランジスタQ1のコレクタ・ベース間電圧Vbcが低下し、コレクタ・ベース間容量の増大により位相雑音特性が劣化する。このため、第2利得調整用抵抗R6の抵抗値は例えば5〜20[Ω]程度に設計される。
(第2の変形例)
本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発振回路は図7に示すように、バッファ回路3cが、第1利得調整用抵抗R5とバイパスコンデンサC9との間に接続されたインダクタL5を更に備える点が図1と異なる。インダクタL5、バイパスコンデンサC9、及びインダクタL5により直列共振回路(LCR共振回路)が構成される。また、インダクタL5、バイパスコンデンサC9、及びインダクタL5により構成されるLCR共振回路の共振周波数は、共振回路1及び負性抵抗回路2の発振周波数foscの周波数とほぼ等しく設定される。その他の構成は図1に示す発振回路と同様である。
第1利得制御用抵抗R5及びインダクタL5を付加した場合のバッファトランジスタQ2の電圧利得−周波数特性は、図8に示すように、図2と比して発振周波数foscの周波数よりも低周波の帯域の電圧利得が大幅に削減されている。更に、発振周波数foscよりも高周波の帯域において、バッファトランジスタQ2の電圧利得が急激に減少している。よって、バッファトランジスタQ2が雑音を増幅することによる位相雑音特性の悪化を大幅に改善できる。
このように、本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発振回路によれば、図1に示す発振回路よりも雑音の発生を抑えることが可能となる。したがって、図9に示すように、発振周波数foscから100[kHz]離調した周波数での位相雑音電力は−126.1[dBc]となり、図1に示す発振回路よりも位相雑音電力を0.9[dBc]削減できる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
その他の実施の形態に係る発振回路として、図6に示す第1利得調整用抵抗R5を備えない構成を採用しても良い。この場合、発振周波数fosc付近での電圧利得は、図10に示すように8[dB]程度となり、図2と比して7[dB]程度削減できる。但し、図10においては、第2利得調整用抵抗R6の抵抗値を5[Ω]とした場合のシミュレーション結果を示している。また、図11に示すように、発振周波数foscから100[kHz]離調した周波数での位相雑音電力が−124.3[dBc]となり、図4と比して3.7[dBc]低減されている。
上述した実施の形態の説明においては、発振回路として可変容量ダイオードD1を用いた電圧制御発振回路(VCO)を例に説明したが、可変容量ダイオードD1に代えて通常のコンデンサを接続することにより、固定発振周波数の発振回路とすることができる。また、共振回路1として誘電体共振器を含む構成を採用しても良い。
更に、実施の形態に係る発振回路のインダクタL2及びインダクタL4等を、インダクタと同様の機能を有するマイクロストリップ線路等に置き換えても良い。分圧用抵抗R1、分圧用抵抗R2、分圧用抵抗R3、電流設定用抵抗R4、及び第1利得調整用抵抗R5として金属配線等の寄生抵抗を用いても構わない。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
本発明の実施の形態に係る発振回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態に係る発振回路の電圧利得−周波数特性を示すグラフである。 第1利得調整用抵抗を有さない発振回路の電圧利得−周波数特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る発振回路の位相雑音特性を示すグラフである。 第1利得調整用抵抗を有さない発振回路の位相雑音特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の第1の変形例に係る発振回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発振回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発振回路の電圧利得−周波数特性を示すグラフである。 本発明の実施の形態の第2の変形例に係る発振回路の位相雑音特性を示すグラフである。 その他の実施の形態に係る発振回路の電圧利得−周波数特性を示すグラフである。 その他の実施の形態に係る発振回路の位相雑音特性を示すグラフである。
符号の説明
1…共振回路
2…負性抵抗回路
Q2…バッファトランジスタ
C9…バイパスコンデンサ
R5…第1利得調整用抵抗
R6…第2利得調整用抵抗
L5…インダクタ

Claims (5)

  1. 発振周波数を設定する共振回路と、前記共振回路の共振条件を整える負性抵抗回路と、前記負性抵抗回路の出力信号を増幅して発振信号を外部に出力するバッファトランジスタとを具備する発振回路であって、
    低位電源に一端が接続されたバイパスコンデンサと、
    前記バイパスコンデンサの他端に一端が接続され、前記バッファトランジスタのベースに他端が接続された第1利得調整用抵抗
    とを備えることを特徴とする発振回路。
  2. 前記バイパスコンデンサと前記第1利得調整用抵抗との間に接続されたインダクタを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の発振回路。
  3. 前記第1利得調整用抵抗、前記バイパスコンデンサ、及び前記インダクタの共振周波数と前記発振周波数が等しいことを特徴とする請求項2に記載の発振回路。
  4. 前記バッファトランジスタのエミッタに接続された第2利得調整用抵抗を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発振回路。
  5. 前記発振周波数が、外部からの入力電圧の電圧値により制御されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の発振回路。
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