JP2006094261A - 映像信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、映像信号処理装置に関し、特に可変速再生に係る映像信号の作成に適用して、再生速度を種々に設定することができ、かつ動きの滑らかな可変速再生による映像信号を生成することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、動きベクトルVを用いたフィールド内挿又はフレーム内挿によりフィールド数又はフレーム数を変更した後、タイミングを補正して可変速再生に係る映像信号S5を生成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、映像信号処理装置に関し、特に可変速再生に係る映像信号の作成に適用することができる。本発明は、動きベクトルを用いたフィールド内挿又はフレーム内挿によりフィールド数又はフレーム数を変更した後、タイミングを補正して可変速再生に係る映像信号を生成することにより、再生速度を種々に設定することができ、かつ動きの滑らかな可変速再生による映像信号を生成する。
従来、放送現場等においては、ビデオテープレコーダを用いて可変速再生による映像信号を作成するようになされている。すなわち例えばスローモーション再生による映像信号においては、磁気テープの走行速度を低減させて同一フィールドの映像信号を繰り返し再生することにより、いわゆるコマ送りの映像信号を生成する。またこれとは逆に、スピードアップ再生による映像信号を生成する場合には、磁気テープの走行速度を高速度化し、コマ落としの映像信号を生成する。
これに対して高能率符号化処理、テレビジョン信号のフォーマット変換処理等の映像信号の処理においては、動きベクトルを用いた動き補正が適用されるようになされている。
このような動きベクトルの検出は、ビデオ信号をm画素×nライン(m、nは整数)のマクロブロックによりブロック化し、各マクロブロック毎に動きベクトルを検出するようになされており、例えば特開昭55−162683号公報、特開昭55−162684号公報に開示のパターンマッチング法、特開昭60−158786号公報に開示の勾配法、位相相関法等が用いられるようになされている。
ところでビデオテープレコーダを用いたスローモーション再生の映像信号は、コマ送りの映像信号であることにより、結局、再生速度を元の速度の1/N倍にしか設定できない。またビデオテープレコーダを用いたスピードアップ再生の映像信号にあっても、コマ落としの映像信号であることにより、再生速度を元の速度のN倍にしか設定できない。またこれらの映像信号は、動きもギクシャクとしたものになる。これらにより従来の手法による可変速再生の映像信号においては、再生速度をフレキシブルに設定し得ず、さらには動きが不自然な問題があった。
特開昭55−162683号公報 特開昭55−162684号公報 特開昭60−158786号公報
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、再生速度を種々に設定することができ、動きの滑らかな可変速再生による映像信号を生成することができる映像信号処理装置を提案するものである。
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、映像信号処理装置に適用して、入力映像信号を一時記録して出力する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号より動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、前記動きベクトルを用いた内挿演算により、前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号から内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を生成する内挿手段と、再生速度の指示に従って、前記第1の記憶手段からの前記入力映像信号の出力を可変すると共に、前記内挿手段における内挿演算の内挿比を順次設定することにより、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を前記再生速度に応じて可変する再生速度の制御手段と、前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を一時蓄積して出力することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号のタイミングを補正して出力する第2の記憶手段とを備えるようにする。
また請求項2の発明においては、請求項1の構成において、前記内挿手段は、ライン補間処理により1ライン単位より小さな精度により前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号を生成し、前記映像信号処理装置は、電子ズームに係る画サイズの指示に従って、前記内挿手段から出力される前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号について、内挿演算により水平方向のサンプリングのタイミングを変更して水平方向に電子ズームの処理を実行する水平電子ズーム手段と、前記電子ズームに係る画サイズの指示に従って、前記内挿手段の前記ライン補間処理に係る内挿比を可変することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号における垂直方向のサンプリングのタイミングを可変して、垂直方向に電子ズームの処理を前記内挿手段で実行させる電子ズームの制御手段とを有するようにする。
また請求項3の発明においては、請求項1又は請求項2の構成において、前記内挿手段における内挿演算の処理が、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を低減する処理であり、前記動きベクトル検出手段は、前記内挿フィールド又は内挿フレームの1つに対して、複数のフィールド間又は複数のフレーム間より動きベクトルを検出し、該検出した前記動きベクトルを第3の記憶手段に一時格納して保持し、前記第1の記憶手段から対応する前記映像信号が出力されるタイミングで保持した動きベクトルを前記内挿手段に出力する。
また請求項4の発明においては、請求項1又は請求項2の構成において、前記動きベクトル検出手段は、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数に応じて、前記動きベクトルの検出精度を可変し、前記動きベクトルの検出精度の可変を、前記動きベクトルの検出に供する処理の段階数の切り換えにより実行する。
請求項1の構成により、映像信号処理装置に適用して、入力映像信号を一時記録して出力する第1の記憶手段と、前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号より動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、前記動きベクトルを用いた内挿演算により、前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号から内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を生成する内挿手段と、再生速度の指示に従って、前記第1の記憶手段からの前記入力映像信号の出力を可変すると共に、前記内挿手段における内挿演算の内挿比を順次設定することにより、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を前記再生速度に応じて可変する再生速度の制御手段と、前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を一時蓄積して出力することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号のタイミングを補正して出力する第2の記憶手段とを備えるようにすれば、入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を種々の可変することができ、またこの可変により再生速度を種々に設定することができる。また動きベクトルを用いたフィールド内挿又はフレーム内挿により内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号が作成されることにより、動きも滑らかなものとすることができる。
また請求項2の構成によれば、請求項1の構成において、前記内挿手段は、ライン補間処理により1ライン単位より小さな精度により前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号を生成し、前記映像信号処理装置は、電子ズームに係る画サイズの指示に従って、前記内挿手段から出力される前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号について、内挿演算により水平方向のサンプリングのタイミングを変更して水平方向に電子ズームの処理を実行する水平電子ズーム手段と、前記内挿手段の前記ライン補間処理に係る内挿比を可変することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号における垂直方向のサンプリングのタイミングを可変して、垂直方向に電子ズームの処理を前記内挿手段で実行させる電子ズームの制御手段とを有するようにすることにより、個別に電子ズームの処理を実行する場合の画質劣化を低減して、併せて電子ズームの処理を実行することができる。
また請求項3の構成によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記内挿手段における内挿演算の処理が、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を低減する処理であり、前記動きベクトル検出手段は、前記内挿フィールド又は内挿フレームの1つに対して、複数のフィールド間又は複数のフレーム間より動きベクトルを検出し、該検出した前記動きベクトルを第3の記憶手段に一時格納して保持し、前記第1の記憶手段から対応する前記映像信号が出力されるタイミングで保持した動きベクトルを前記内挿手段に出力することにより、スピードアップ再生による映像信号を出力する場合にあって、滑らかな動きにより確実に映像信号を処理することができる。
また請求項4の構成によれば、請求項1又は請求項2の構成において、前記動きベクトル検出手段は、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数に応じて、前記動きベクトルの検出精度を可変し、前記動きベクトルの検出精度の可変を、前記動きベクトルの検出に供する処理の段階数の切り換えにより実行することにより、動きベクトル検出処理に係る過大な負担の増大を有効に回避して、フィールド間、フレーム間に多数のフィールド、フレームを内挿することが必要な場合には、精度の高い動きベクトルを用いて内挿処理することができ、その分、簡易な構成により高画質の処理結果を得ることができる。
本発明によれば、再生速度を種々に設定することができ、また動きの滑らかな可変速再生による映像信号を生成することができる。
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
(1)実施例の構成
図1は、本発明の実施例に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。この映像信号処理装置1は、例えばライン数525本、フィールド周波数59.94〔Hz〕の入力映像信号S1を処理対象に設定して、動きベクトルを用いた内挿演算処理によりスローモーション再生による映像信号S5を出力する。
この映像信号処理装置1において、記憶部2は、入力映像信号S1を一時記録して出力する記録装置であり、この実施例では、高速ハードディスク装置が適用される。記憶部2は、再生制御回路6から出力される読み出し制御信号S11に基づいて、保持した入力映像信号S1を続く動きベクトル検出回路3の処理に対応して順次出力する。
動きベクトル検出回路3は、記憶部2から順次出力される映像信号S2より順次動きベクトルVを検出して出力する。なおこの動きベクトルの検出は、例えばブロックマッチング法、位相相関法等、種々の検出手法を適用することができる。
動き補正回路4は、動きベクトル検出回路3で検出される動きベクトルVを用いた内挿演算により、内挿フィールドの映像信号S4を順次生成する。すなわち動き補正回路4は、再生制御回路6から出力される動き内挿比S12により動きベクトルVを内挿し、これにより記憶部2から順次読み出される映像信号S2の連続する2フィールドをそれぞれ基準にして、内挿フィールドの動きベクトルを計算する。またこの計算した内挿フィールドの動きベクトルにより、この連続する2フィールドの映像信号S2をそれぞれ動き補正した後、この動き補正した2フィールドの映像信号を例えば画素単位の直線補間により補間演算処理し、これにより動きベクトルVを用いた内挿演算により内挿フィールドの映像信号S4を生成する。
記憶部5は、この動き補正回路4から出力される映像信号S4を蓄積して保持し、再生制御回路6から出力されるタイミング信号を基準にして、この保持した映像信号S4のタイミングを補正して出力する。なおこれにより一連の処理をリアルタイムにより実行しない場合、この記憶部5は、処理結果による映像信号S5の時間軸をリアルタイムによる時間軸に圧縮して出力する時間軸圧縮手段としても機能することになる。
これらによりこの映像信号処理装置1は、入力映像信号S1のフィールド数を変換して内挿フィールドの映像信号S4を生成した後、この映像信号S4のタイミングを補正して例えば局内同期に同期させて出力するようになされている。
コントローラ8は、操作子9の操作量を検出し、この検出結果により映像信号S5の再生速度を指示する再生速度制御信号S10を生成して出力する。ここでこの実施例において、操作子9は、例えば所定の角度範囲で回転操作可能な回転操作子により構成される。コントローラ8は、この回転操作子の操作量に応じて10ビットのパラレルデータにより再生速度制御信号S10を出力する。具体的に、この映像信号処理装置1では、処理対象の入力映像信号S1の単位時間が処理結果の出力映像信号S5において何倍に拡大されているかにより再生速度を定義し、コントローラ8は、このようにして定義される再生速度のうち整数部分及び少数部分をこの10ビットのパラレルデータのMSB側4ビット及びLSB側6ビットそれぞれ割り当てて再生速度制御信号S10を出力する。
これによりコントローラ8は、1倍速による映像信号S5の出力を指示する場合には、値64により再生速度制御信号S10を出力し、1.5倍速によるスローモーション再生による映像信号S5の出力を指示する場合、値96により再生速度制御信号S10を出力し、最大で8倍速によりスローモーション再生を指示する再生速度制御信号S10を出力する。
再生制御回路6は、この再生速度制御信号S10に基づいて、読み出し制御信号S11、動き内挿比S12を出力する。すなわち再生制御回路6において、タイミング発生回路12は、入力映像信号S1の処理基準である各種の基準信号を生成して出力し、内挿比演算回路11は、再生速度制御信号S10に基づいて、入力映像信号S1の各フィールドに対する内挿フィールドの位相を順次計算する。内挿比演算回路11は、この位相計算結果から、内挿フィールドの生成に供する映像信号S1を動き補正回路4の処理に対応して順次出力するように、記憶部2の動作を制御する。またこの位相計算結果から、動き補正回路4の内挿演算に供する内挿比を順次計算し、動き補正回路4にこの計算した動き内挿比S12を通知する。
すなわち図2に示すように、例えば値96により再生速度制御信号S10が入力された場合、映像信号S1のフィールド数を1.5倍に増大させるようにフィールド内挿処理して映像信号S5を生成することにより、この場合、映像信号S1の連続するフィールドA、B、Cを時間軸上で表現した場合に、この3つのフィールドA、B、Cに対して映像信号S5では4つのフィールドA、B、C、Dを設け、この4つのフィールドA、B、C、Dを映像信号S1に係るフィールド周波数により出力する。この場合、先頭のフィールドAにあっては、記憶部2から出力される映像信号S2を何ら動き補正することなく動き補正回路4を介して記憶部5に記録して映像信号S5のフィールドAとすることができる。これによりこの場合、内挿比演算回路11は、このように記憶部2から出力される映像信号S2を何ら動き補正することなく動き補正回路4を介して記憶部5に記録するように、読み出し制御信号S11、動き内挿比S12を出力する。
これに対して続く映像信号S5のフィールドBにあっては、映像信号S1のフィールドA及びBによる時間軸を2:1により内分する点がこのフィールドBのサンプリング点となる。これによりこの場合、内挿比演算回路11は、フィールドAに続いてフィールドBを記憶部2から出力するように読み出し制御信号S11を出力し、またこのフィールドA、Bから検出される動きベクトルVを内挿比1:2により内挿するように動き内挿比S12を出力する。
また続く映像信号S5のフィールドCにあっては、映像信号S1のフィールドB及びCによる時間軸を1:2により内分する点がこのフィールドCのサンプリング点となる。これによりこの場合、内挿比演算回路11は、フィールドBに続くフィールドCを記憶部2から出力するように読み出し制御信号S11を出力し、またこのフィールドB、Cから検出される動きベクトルVを内挿比2:1により内挿するように動き内挿比S12を出力する。なおこの1.5倍による再生速度の場合、続く映像信号S5のフィールドDにあっては、最初のフィールドAにおける映像信号S1、S5の位相関係に戻ることになり、これにより内挿比演算回路11は、上述した読み出し制御信号S11、動き内挿比S12の出力を繰り返すことになる。
(2)実施例の動作
以上の構成において、この映像信号処理装置1では、処理対象の入力映像信号S1が記憶部2に蓄積され、この蓄積した入力映像信号S1が順次出力されて動きベクトル検出回路3により動きベクトルVが検出される。また再生制御回路6の制御により、この検出した動きベクトルVを用いてフィールド内挿処理が実行され、これにより入力映像信号S1のフィールド数を再生制御回路6の指示によるフィールド数に変換した内挿フィールドの映像信号S4が生成され、この内挿フィールドの映像信号S4が記憶部5を介してタイミングの補正によりフィールド周波数が変換されて出力される。
これらの処理において、映像信号処理装置1では、回転操作子9の操作に応動して再生速度を指示する再生速度制御信号S10がコントローラ8より再生制御回路6に入力され、この再生速度の指示に従って入力映像信号S1に対する内挿フィールドの位相が順次計算され、この計算結果により動き補正回路4の内挿処理に供する内挿比が順次設定されて、入力映像信号S1のフィールド数に対して内挿フィールドの映像信号S4のフィールド数が種々に設定される。
これによりこの映像信号処理装置1では、入力映像信号S1のフィールド数に対する内挿フィールドの映像信号S4のフィールド数を種々に可変して、この可変により再生速度を種々に設定することができる。また動きベクトルを用いたフィールド内挿により内挿フィールドの映像信号を作成することにより、動きも滑らかなものとすることができる。
(2)実施例の効果
以上の構成によれば、動きベクトルを用いたフィールド内挿処理により入力映像信号のフィールド数を変換した後、タイミングを補正して可変速再生に係る映像信号を生成することにより、再生速度を種々に設定することができ、かつ動きの滑らかな可変速再生による映像信号を生成することができる。
図3は、本発明の実施例2に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。この映像信号処理装置20において、図1について上述した映像信号処理装置1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
この映像信号処理装置20は、動きベクトルを用いたフィールド内挿の処理により可変速再生に係る入力映像信号S1の内挿フィールドを生成する際に、併せて垂直方向への電子ズームの処理を実行する。
すなわち実施例1について上述した映像信号処理装置1に入力する映像信号S1、又はこの映像信号処理装置1から出力される映像信号S5について、電子ズームの処理を実行する場合、可変速再生の処理に係る内挿処理、電子ズームの処理に係るライン内挿、画素内挿の処理を実行することになる。これらの処理のうち可変速再生の処理に係る内挿処理において、例えば1/8ライン単位で動き補正する場合、ライン内挿の処理が必要となるのに対し、電子ズームの処理においても、同様のライン内挿の処理が必要となり、この場合、ライン内挿処理を2回、繰り返し、その分、画質が劣化することになる。
これによりこの実施例では、動き補正に係るライン内挿処理と電子ズームに係るライン内挿処理とをまとめて1回で実行し、これにより画質劣化を低減する。
すなわちこの実施例において、動き補正/ライン数変換処理回路21は、再生制御回路6から出力される動き内挿比S12、画素数/ライン数制御回路24から出力される制御信号S21により、動きベクトル検出回路3で検出される動きベクトルVを用いて、記憶部2から出力される連続する2フィールドの映像信号S2を動き補正した後、例えば加算処理し、処理結果による映像信号S21を出力する。
この処理において、動き補正/ライン数変換処理回路21は、動きベクトル検出回路3で検出される動きベクトルVを、再生制御回路6から出力される動き内挿比S12により内挿演算処理し、映像信号S2の連続する2つのフィールドをそれぞれ基準にした内挿フィールドの動きベクトルを計算する。
またこの計算した動きベクトルを、画素数/ライン数制御回路24から出力される制御信号S21を用いて補正し、これにより電子ズームの処理による映像信号S21の各ラインに係る動きベクトルを計算する。動き補正/ライン数変換処理回路21は、この各ラインに係る動きベクトルにより、記憶部2から出力される連続する2フィールドの映像信号S2の対応するラインの画像データをライン補間して動き補正した後、例えば加算処理して映像信号S21を生成する。
画素数変換回路22は、この動き補正/ライン数変換処理回路21から出力される映像信号S21を入力し、画素数/ライン数制御回路24から出力される制御信号22に応じて、各ラインの画像データを内挿演算処理し、これにより水平方向に電子ズームの処理を実行する。映像信号処理装置20では、このようにして処理された映像信号S24を記憶部5を介して出力する。
これらの映像信号処理系の構成に対応して、コントローラ23は、実施例1について上述したコントローラ8と同様に、回転操作子の操作に応動して再生速度制御信号S10を出力する。またコントローラ23は、同様の操作子の操作に応動して電子ズームの倍率を指示する倍率指示信号S20を出力する。
画素数/ライン数制御回路24は、このコントローラ23から出力される倍率指示信号S20により電子ズームの処理に係る制御信号S21、S22を生成して出力する。
これらによりこの実施例において、動き補正/ライン数変換処理回路21は、ライン補間処理により1ライン単位より小さな精度により内挿フィールドの映像信号を生成し、画素数変換回路22は、画素数/ライン数制御回路24と共に、電子ズームに係る画サイズの指示に従って、内挿手段から出力される内挿フィールドの映像信号について、内挿演算により水平方向のサンプリングのタイミングを変更して水平方向に電子ズームの処理を実行する水平電子ズーム手段を構成する。また画素数/ライン数制御回路24は、電子ズームに係る画サイズの指示に従って、内挿手段のライン補間処理に係る内挿比を可変することにより、内挿フィールドの映像信号における垂直方向のサンプリングのタイミングを可変して、垂直方向に電子ズームの処理を内挿手段で実行させる電子ズームの制御手段を構成する。
この実施例によれば、動きベクトルを用いたフィールド内挿によりフィールド数を変更した後、タイミングを補正して可変速再生に係る映像信号を生成するようにして、このフィールド内挿処理の際に併せて電子ズームに係るライン内挿の処理を実行することにより、電子ズーム、可変速再生の処理により映像信号を生成する際に、画質劣化を低減することができる。
図4は本発明の実施例3に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。この図4の映像信号処理装置30は、スローモーションだけでなくスピードアップについても可変速再生による映像信号S35を出力可能に構成される。なおこの映像信号処理装置30において、実施例1について上述した映像信号処理装置1と同一の構成は、対応する符号を付して示し、重複した説明は省略する。
ここでスローモーションの処理においては、結局、処理対象の映像信号S1の各フィールドで動きベクトルを検出してフィールド内挿することになる。これに対してスピードアップの処理においては、再生速度によってコマ落としが必要になる。
このためこの実施例において、コントローラ31は、回転操作子の操作に応動して、スローモーションとスピードアップとについて、実施例1について上述した再生速度制御信号S10と同一に再生速度制御信号S30を生成して出力する。これによりスピードアップ再生の場合、再生速度制御信号S30は、値64より小さな値に設定される。
再生制御回路36は、この再生速度制御信号S30により指示される再生速度に基づいて、入力映像信号S1に対する内挿フィールドの位相を順次計算し、この位相計算結果から、内挿フィールドの生成に供するフィールドを順次出力するように記憶部2の動作を制御する。これにより再生制御回路36は、スローモーション再生の場合には、連続するフィールドを再生速度に応じたタイミングで順次出力するように記憶部2の動作を制御する。
これに対してスピードアップ再生においては、1つの内挿フィールドに対して、複数のフィールド間より複数の動きベクトルVを検出し、該検出した動きベクトルVを処理して内挿演算に供する動きベクトルを検出し、これにより極端に再生速度を可変した場合等においても、動きを滑らかにする。なおこのような処理においては、連続するフィールド間で検出される動きベクトルVを二次曲線近似等により補間演算処理することが考えられる。
またこのようにして計算した動きベクトルVを動きベクトル記憶部32に一時保持し、内挿フィールドに対して、前後の関係となる入力映像信号S1の2フィールドを記憶部2から読み出すと共に、この対応する入力映像信号S1が出力されるタイミングで動きベクトル記憶部32に一時保持した動きベクトルを動き補正回路4に出力する。
以上の構成によれば、動きベクトルを用いたフィールド内挿によりフィールド数を変更した後、タイミングを補正して可変速再生に係る映像信号を生成するようにして、検出した動きベクトルを記憶手段に一時格納してタイミングを補正することにより、スピードアップ再生による映像信号を出力する場合にあって、滑らかな動きにより確実に映像信号を処理することができる。
この実施例においては、スローモーション再生において、入力映像信号S1のフィールド数に対する内挿フィールドの映像信号のフィールド数に応じて、動きベクトル検出回路における動きベクトルの検出精度を可変する。なおこの実施例に係る映像信号処理装置は、この動きベクトル検出回路に係る制御が異なる点を除いて、実施例1〜3について上述した映像信号処理装置と同一に構成される。
すなわち動きベクトル検出処理は、検出精度を高くしようとすると、その処理回路の負荷が大きくなり、回路規模が増大する。なお時分割処理により負担を軽減する方法も考えられるが、この場合、処理に時間を要することになる。具体的に8個の回路ブロックによる同時並列的な処理によりフィールド間差分値を計算して動きベクトルを検出する場合、1つの回路ブロックによりフィールド間差分値を計算する場合に比して、処理時間は、1/8となるのに対し、回路規模は8倍となる。
これに対して動きベクトルを用いたフィールド内挿においては、1つのフィールド間に生成する内挿フィールドの枚数が多い程、動きベクトルの精度が求められ、動きベクトルの精度を十分に確保できない場合、内挿フィールド間で滑らかな動きを確保できなくなる。これにより例えば1つのフィールド間に2枚の内挿フィールドを作成する場合と、1つのフィールド間に4枚の内挿フィールドを作成する場合とでは、後者で、動きベクトルの検出精度が求められる。
しかしながらこのようなフィールド内挿の処理に供する動きベクトルの検出においては、再生速度を遅くすればする程、1つの動きベクトルVを用いて1つのフィールド間に生成する内挿フィールドの枚数が増大し、動きベクトルVの検出に使用可能な時間が増大する。すなわち上述の例では、1つのフィールド間に2枚の内挿フィールドを作成する場合に比して、1つのフィールド間に4枚の内挿フィールドを作成する場合では、動きベクトルの検出に使用可能な時間が2倍に変化する。
これによりこの実施例では、入力映像信号S1のフィールド数に対する内挿フィールドの映像信号のフィールド数に応じて、動きベクトル検出回路にける動きベクトルの検出精度を可変する。またこのような動きベクトル検出の精度の切り換えを、例えば順次段階的に動きベクトル検出範囲を縮小して動きベクトルを検出するようにして、この処理の段階数を切り換えるにより実行する。
これによりこの実施例では、動きベクトル検出手段における動きベクトルの検出精度の可変により、動きベクトル検出処理に係る過大な負担の増大を有効に回避して、フィールド間に多数のフィールドを内挿することが必要な場合には、精度の高い動きベクトルを用いて内挿処理するようにし、その分、簡易な構成により高画質の処理結果を得るようになされている。
なお上述の実施例においては、連続する2フィールドの映像信号等から動きベクトルを検出してフィールド内挿する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば連続する4フィールドで動きベクトルを検出し、この検出した動きベクトルを用いてフィールド内挿するようにしてもよい。なおこの場合、これら4つのフィールドにより検出される複数の動きベクトルを用いた曲線近似により内挿フィールドの動きベクトルを検出することにより、動きを一段と滑らかにすることができる。
また上述の実施例においては、連続するフィールド間で動きベクトルを検出し、フィールド内挿する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フレーム間で動きベクトルを検出し、フレーム内挿により映像信号を生成するようにしてもよい。
また上述の実施例においては、回転操作子の操作により再生速度を可変する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばジョイスティック等による各種の操作子を広く適用することができる。なおジョイスティックの場合、センターポジションでは通常スピードで映像信号を出力するようにし、下方及び上方にずらした場合、それぞれスローモーション再生、スピードアップ再生とすることにより、簡易な操作により所望する再生速度の映像信号を確保することができる。
また上述の実施例3においては、スローモーション再生、スピードアップ再生の双方でフィールド内挿する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、実用上十分に滑らかな動きを確保することができる場合には、単にコマ落としにより映像信号を出力するようにして、スピードアップ再生におけるフィールド内挿の処理を省略してもよい。
また上述の実施例2においては、ライン数の変換の後、画素数を変換する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画素数の変換の後、ライン数を変換するようにしてもよい。
また上述の実施例においては、入力映像信号と同一のフォーマットによる映像信号を出力する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、入力映像信号と異なるフォーマットによる映像信号を出力する場合にも広く適用することができる。
本発明は、映像信号処理装置に関し、特に可変速再生に係る映像信号の作成に適用することができる。
本発明の実施例1に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。 図1の映像信号処理装置の動作の説明に供する略線図である。 本発明の実施例2に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。 本発明の実施例3に係る映像信号処理装置を示すブロック図である。
符号の説明
1、20、30……映像信号処理装置、2、5……記憶部、3……動きベクトル検出回路、4……動き補正回路、6……再生制御回路、8、23、31……コントローラ、11……内挿比演算回路、12……タイミング発生回路、21……動き補正/ライン数変換処理回路、22……画素数変換回路、24……画素数/ライン数制御回路、32……動きベクトル記憶部

Claims (4)

  1. 入力映像信号を一時記録して出力する第1の記憶手段と、
    前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号より動きベクトルを検出する動きベクトル検出手段と、
    前記動きベクトルを用いた内挿演算により、前記第1の記憶手段から出力される前記入力映像信号から内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を生成する内挿手段と、
    再生速度の指示に従って、前記第1の記憶手段からの前記入力映像信号の出力を可変すると共に、前記内挿手段における内挿演算の内挿比を順次設定することにより、前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を前記再生速度に応じて可変する再生速度の制御手段と、
    前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号を一時蓄積して出力することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は内挿フレームの映像信号のタイミングを補正して出力する第2の記憶手段と
    を備えることを特徴とする映像信号処理装置。
  2. 前記内挿手段は、
    ライン補間処理により1ライン単位より小さな精度により前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号を生成し、
    前記映像信号処理装置は、
    電子ズームに係る画サイズの指示に従って、前記内挿手段から出力される前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号について、内挿演算により水平方向のサンプリングのタイミングを変更して水平方向に電子ズームの処理を実行する水平電子ズーム手段と、
    前記電子ズームに係る画サイズの指示に従って、前記内挿手段の前記ライン補間処理に係る内挿比を可変することにより、前記内挿フィールドの映像信号又は前記内挿フレームの映像信号における垂直方向のサンプリングのタイミングを可変して、垂直方向に電子ズームの処理を前記内挿手段で実行させる電子ズームの制御手段とを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の映像信号処理装置。
  3. 前記内挿手段における内挿演算の処理が、
    前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数を低減する処理であり、
    前記動きベクトル検出手段は、
    前記内挿フィールド又は内挿フレームの1つに対して、複数のフィールド間又は複数のフレーム間より動きベクトルを検出し、該検出した前記動きベクトルを第3の記憶手段に一時格納して保持し、
    前記第1の記憶手段から対応する前記映像信号が出力されるタイミングで保持した動きベクトルを前記内挿手段に出力する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の映像信号処理装置。
  4. 前記動きベクトル検出手段は、
    前記入力映像信号のフィールド数又はフレーム数に対する前記内挿フィールドの映像信号のフィールド数又は前記内挿フレームの映像信号のフレーム数に応じて、前記動きベクトルの検出精度を可変し、
    前記動きベクトルの検出精度の可変を、前記動きベクトルの検出に供する処理の段階数の切り換えにより実行する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の映像信号処理装置。

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