JP2006093525A - セラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュール - Google Patents

セラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】Agを主成分とする電極の蒸発を抑制しながらセラミックの焼結性を向上させて焼成するための高熱伝導性を有するセラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】セラミック組成物の主成分として酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムのいずれかを用い、副成分として酸化銅と酸化ニオブを含むセラミック組成物と銀を主成分とする電極(例えば配線電極103)により構成するセラミック多層基板の製造方法において、第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う焼成工程からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、銀を主成分とする電極を用いたセラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールに関する。
従来、半導体IC等を実装する多層セラミック基板には大きく分けて高温焼成タイプのHTCC(High Temperature Co−fired Ceramics)系と低温焼成タイプのLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)系多層セラミック基板に分類できる。HTCC系多層セラミック基板の基材はAl23やAlN,BeO,SiC−BeOなどの耐熱性を有する無機粉体を用いたものである。これらのセラミック材料は前記無機粉体を主成分として混合して成形した後、1500℃以上の高温で焼成することによって製造される。このためHTCC系多層セラミック基板の内部に形成される配線用の導体材料としては融点の高いMoやWが用いられている。しかしながら、このMoやWは導体としては導電率が低いという欠点があり、導電率の高いAgやCuは融点が低く、前記HTCC系多層セラミック基板の焼成温度における焼成では溶融してしまい内層用の配線導体として用いることができない。
一方、多層セラミック基板の導体の低抵抗化の要望は高周波域におけるモジュール部品の需要とともに大きくなり、これらの要望を満足するためにアルミナ、フォルステライト等のセラミック原料をAgやCuの溶融しない温度で焼結可能としたものがLTCC系多層セラミック基板である。このLTCC系多層セラミック基板は低温焼成多層セラミック基板とも呼び、前記セラミック原料に低融点のガラス原料を混合することによって低温での焼成を可能としたものであり、例えばホウケイ酸鉛ガラス+アルミナ系、ホウケイ酸ガラス+コージエライト系およびその他各種の組成系などがある。
これらの組成を有する絶縁体材料はAgやCuの導電率の高い金属との同時焼成を可能とするために1000℃以下の温度で焼成できるように調整している。その結果、高導電率のAgやCuを内部導体として用いることができ、高周波域で用いる高密度実装を実現できる多層セラミック基板としてはこのLTCC系多層セラミック基板(低温焼成多層セラミック基板)が現在主流になってきている。
しかしながら、これらのガラスを用いたLTCC材料では熱伝導率の比較的低いガラスを多量に含むためにアルミナ等のセラミック本来の高熱伝導性という特徴は阻害される。このセラミック多層基板の熱伝導率が低下するとパワーアンプのような大きな発熱を伴う半導体素子を高密度に実装してパワーアンプモジュールなどを作製する場合、温度上昇が著しくなり、実用上使用できなくなる。特にこの傾向は小型化が強く要求される携帯型の電子機器等において顕著となる。
これに対して、低融点のガラス添加量を極力抑え、酸化銅や酸化バナジウムなどの焼結助剤を混合することによって、セラミック本来の高熱伝導率という特徴を生かしながら低温焼成を可能としたLTCCが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−109363号公報
しかしながら、前記従来の構成では、LTCC系の多層セラミック基板である被焼成体にAgと共晶反応を示すような銅酸化物などの酸化物が含まれる場合にはAgの蒸発を十分に抑制することができないという課題を有していた。
本発明は前記従来の課題を解決するもので、Agを主成分とする電極の蒸発を抑制しながら高熱伝導性を有するセラミック材料の焼結性を向上させるセラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールを提供することを目的とするものである。
前記従来の課題を解決するために、本発明は、少なくとも酸化銅を含むセラミック組成物と、銀を主成分とする電極により構成するセラミック多層基板の製造方法において、第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う焼成工程を有する構成とするものである。
本発明のセラミック多層基板の製造方法およびセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールは、酸化銅と銀との反応を抑制することにより銀の蒸発を抑制しながらセラミック材料の焼結性を向上させるセラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールを提供することができる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法およびそれを用いたセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールについて、図面を参照しながら説明する。
図1(a)〜図1(c)は本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法を説明するための断面図であり、図2は前記製造方法にて作製されたセラミック多層基板を用いたパワーアンプモジュールの断面図である。また、図3はセラミック多層基板の表層の銀電極の消失状態を示す顕微鏡写真を図示したものである。
なお、本実施の形態1ではコンデンサやコイルをセラミック多層基板の内層に内蔵したセラミック多層基板を例にとって説明する。
まず始めに、セラミック組成物を作製するために主成分として2〜5μmの平均粒子径を有する酸化アルミニウムを95重量部、副成分として0.2〜10μmの粒子径を有する酸化銅を2.5重量部、酸化ニオブを2.5重量部配合する。
さらに、このセラミック組成物100重量部に対して、水を50〜300重量部配合し、1〜5mmφの高純度アルミナを分散メディアとして使用してボールミル混合を12〜72hr行った後、セラミック組成物からなるスラリーをボールミルより取り出し乾燥した。
次に、乾燥後のセラミック組成物100重量部に対して、PVBなどの樹脂バインダ5〜15重量部、酢酸ブチル、アルコールなどの分散媒40〜100重量部、DBP,DOPなどの可塑剤2〜10重量部、さらに必要に応じて消泡剤、分散剤を少量配合し、10mmφの高純度アルミナを使用したボールミル分散を12〜72hr行ってセラミックスラリーを作製した。
次に、得られたセラミックスラリーをダイコーティング装置などのシート成型機によって離型処理されたPETフィルムなどのキャリアフィルム上に所定の厚みに塗布し、その後、乾燥炉で乾燥して図1(a)のセラミックグリーンシート101を作製する。
次に、前記セラミックグリーンシート101に必要に応じてパンチング加工あるいはレーザ加工により所定の位置に穴開け加工を行った後、スクリーン印刷などによって銀を主成分とする導電性ペーストを用いて穴開け加工されたビアホール内に充填塗布し、ビア電極102を形成する。
その後、セラミックグリーンシート101に銀を主成分とする導電性ペーストを用いてスクリーン印刷法などにより、設計された回路パターンの配線電極103を形成する。
次に、それぞれに印刷形成された配線電極103を有するセラミックグリーンシート101を図1(a)に示すように所定の設計になるように位置合わせを行いながら積層、加圧し、図1(b)に示すような積層体104を形成する。この積層体104の大きさは通常50〜200mm□であり、積層体104はマトリックス状に所定のセラミック多層基板201を多数個作製することができる。
また、この積層体104の内層部に所定の面積を有する配線電極103をセラミックグリーンシート101を介して対向するように配置することによりコンデンサ105を内蔵することができる。さらに、この配線電極103を積層することによりより大容量のコンデンサ105を内蔵することも可能である。
また、配線電極103をセラミックグリーンシート101に形成したビア電極102を介してスパイラル構造のコイル107を内蔵させることも可能である。これらのコンデンサ105およびコイル107を内蔵させることによって高密度実装可能なセラミック多層基板201を実現することができる。
次に、前記積層体104に銀を主成分とする導電性ペーストを用いて表層電極106を形成する。その後積層体104を積層体104の垂直方向に所定の圧力で加圧し、積層体104を積層圧着する。
なお、この積層および加圧の際の温度は常温〜100℃であり、圧力は20〜1000kgf/cm2で行うことが好ましい。
また、ここまでのセラミック多層基板の製造方法はセラミック組成物の材料組成以外の内容は通常のセラミック多層基板の製造方法と大きく異なることはない。
その後、積層圧着された積層体104を切断して個片化し、この個片化された積層体104を400〜600℃の温度で脱バインダ処理を行った。
次に、焼成工程として860℃−2時間の大気中雰囲気で第一段目の焼成を行う。大気中での焼成では銀を主成分とする電極の消失が加速されてしまうため、第一段目の焼成では銀を主成分とする電極の消失を抑制できる条件にて行うことが望ましく、その温度範囲は800〜880℃が好ましい。その後、温度を下げることなく、焼成雰囲気を10vol.%以下の低酸素濃度雰囲気に切り替えて第二段目の焼成を900℃にて行う。このときの焼成雰囲気はN2,CO2,O2,H2,COガスなどを用いて調整することが好ましい。また、焼成時の酸素濃度はジルコニアセンサーなどを用いてモニタリングすることができる。
このような低酸素濃度雰囲気で第二段目の焼成を行うことにより、酸化銅を同時に含むセラミック組成物においても銀との共晶反応を加速させる化合物の生成は抑制され、銀を主成分とする電極の消失を抑制することができる。また、大気中雰囲気で第一段目の焼成を行って酸化銅を含むセラミックの焼結に必要な複合酸化物を生成させておくことにより、第二段目の焼成で焼成雰囲気が低酸素濃度に変化しても焼結の進行を妨げないことが分かった。これに対して、前記第一段目の焼成を低酸素濃度雰囲気中で行うと、焼結促進効果のある複合酸化物の生成が抑制されて焼結の進行が妨げられることが分かった。
なお、第二段目の焼成温度はセラミック組成物の焼成温度と銀を含む電極材料の融点の観点から選択する必要があり、銀合金材料の導電率などを考慮すると1000℃以下の焼成温度が好ましい。
このような第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う工程からなる焼成方法により、従来の焼成方法と比較して銀を主成分とする電極の消失を抑制しながらも高熱伝導性を有するセラミック組成物の焼結性を向上させることができる。
なお、前記セラミック多層基板の焼成方法では第一段目の大気中雰囲気焼成をした後、常温に下げることなく焼成雰囲気を変更して第二段目の焼成を行ったが、第一段目の焼成後、一度常温に下げてから第二段目の焼成を行ってもよい。
また、低酸素濃度雰囲気にするのは少なくとも第二段目の焼成の最高保持温度に到達してからでも同様の効果が得られる。
また、セラミック組成物を100重量部としたとき、前記セラミック組成物中の酸化アルミニウムの含有量が90〜96重量部の範囲であれば、銀を主成分とする電極の消失を抑制しながらセラミック組成物の焼結性を向上させることができ、より高熱伝導性を有する低温焼成タイプのセラミック多層基板を作製することができた。
また、酸化アルミニウムのかわりに、酸化マグネシウムを用いて検討したが同様の効果を確認することができた。
また、副成分として酸化銅の添加量を1.0重量部以上とし、酸化ニオブの添加量を1.5重量部以上添加することにより主成分である酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムの焼結性を向上させながら、熱伝導性の高いセラミック組成物を焼結させることができた。
また、前記セラミック組成物に添加物として酸化銀および酸化チタンを加えることにより、さらにセラミック組成物の焼結性を高めることができる。このような副成分および添加物を選択することにより、銀を主成分とする電極の消失を抑制しながらセラミック組成物の焼結性を向上させることができ、より高熱伝導性を有するLTCC系のセラミック多層基板を製造することができる。
また、第一段目の焼成後のセラミック組成物の相対密度を75%以上95%未満とすることにより、銀を主成分とする電極の消失を抑制しながらセラミック組成物の焼結性を向上させることができた。これはセラミック組成物の焼結に必要な液相成分をあらかじめ大気中で生成させておくためには相対密度が75%以上95%未満としておくことにより、第二段目の焼成時の低酸素濃度における焼結性をさらに促進させることができたからである。
また、前記第二段目の焼成は10vol.%以下の酸素を含有する低酸素濃度雰囲気中にて行うことが望ましい。このような雰囲気中にて第二段目の焼成を行うことにより、銀を主成分とする電極の消失を抑制することができる。この第二段目の焼成を11vol.%以上の酸素を含有する雰囲気中にて焼成すると銀電極の消失が見られた。
また、前記第二段目の焼成の最高保持温度における保持時間が10時間以上とすることにより焼結性の低いセラミック組成物であっても銀電極の消失を抑制しながら焼成することができた。このことによって、焼結に長時間を有するより高熱伝導性を有するセラミック組成物であっても銀を主成分とする電極の消失を抑制することができる。
このような焼成条件にて焼成されたセラミック多層基板201を図3(c)に示す。このセラミック多層基板201の相対密度は95%以上であった。このようなセラミック多層基板201の製造方法を実現することにより、電極材料に導電性に優れた銀を主成分として利用することができ、かつ高熱伝導性を有するセラミック多層基板201と実現することができることから、発熱性の高い半導体デバイスを実装する小型のパワーアンプモジュール等に最適なセラミック多層基板201を提供することができる。
次に、図2に示すように前記の方法によって作製したセラミック多層基板201の表層にパワーアンプ202などの半導体部品を実装することにより、小型のパワーアンプモジュールを実現することができる。
このようなセラミック基板201を実現することにより、従来のパワーアンプモジュールと比較してサーマルビアの数を減らす、あるいはサーマルビアを用いないことで回路設計の自由度が増すと同時に配線空間の制約が緩和されるため、各種モジュールのさらなる小型化を実現でき、ひいては通信機器の小型化・多機能化が可能になる。
(実施例1)
以下、本発明のセラミック多層基板の製造方法における実施例1について説明する。
セラミック組成物の原料として、0.3±0.1μmの平均粒径を有する酸化アルミニウム(Al23);95重量部、酸化ニオブ(Nb25);2.5重量部、酸化銅(CuO);2.5重量部となるように配合した。
このセラミック組成物100重量部に対して、水200重量部を配合し、2mmφのジルコニアを使用したボールミル混合を24hr行った。
次に、乾燥後のセラミック組成物100重量部に対して、樹脂バインダとしてポリビニルブチラール樹脂を8重量部、分散媒として酢酸ブチルを80重量部、可塑剤としてジブチルフタレートを8重量部配合し、10mmφのジルコニアを使用したボールミル分散を48hr行った。
次に、得られたセラミックスラリーをダイコーティング装置を用いてPETフィルムなどのキャリアフィルム上に塗布した。このセラミックスラリーを乾燥するための乾燥炉の温度は80〜100℃とし、キャリアフィルムの走行速度は10m/min.とした。このような乾燥条件で乾燥して得られたセラミックグリーンシート101のシート厚みは20μmであった。
そして、このセラミックグリーンシート101を70×70mmに切断した後、銀ペーストを用いて配線電極103およびビア電極102を印刷塗布形成した。
その後、このセラミックグリーンシート101を積層圧着することによって積層体104を作製した。この積層圧着された積層体104をカッターなどの切断機を用いて個片化処理した。
これらの個片化された積層体104を昇温速度50℃/hr、保持温度500℃、保持時間4hrにて脱バインダ処理を行った。
その後、以下に示した焼成条件にて焼成した評価サンプルをそれぞれ30個作製した。
それぞれ全ての試料について、昇温速度は300℃/hr、降温速度は900℃/hrの一定条件とした。
(比較例1)
・第一段目の焼成……保持温度:925℃、保持時間:2hr、焼成雰囲気:大気中(酸素濃度21%)
・第二段目の焼成……なし
(比較例2)
・第一段目の焼成……保持温度:925℃、保持時間:2hr、焼成雰囲気:窒素中(酸素濃度1%)
・第二段目の焼成……なし
(比較例3)
・第一段目の焼成……保持温度:880℃、保持時間:1hr、焼成雰囲気:大気中(酸素濃度21%)
・第二段目の焼成……保持温度:925℃、保持時間:2hr、焼成雰囲気:窒素中(酸素濃度11%)
(実施例1)
・第一段目の焼成……保持温度:880℃、保持時間:1hr、焼成雰囲気:大気中(酸素濃度21%)
・第二段目の焼成……保持温度:925℃、保持時間:2hr、焼成雰囲気:窒素中(酸素濃度10%)
以上の焼成条件にて焼成されたそれぞれの評価サンプルはセラミック多層基板201の中に形成されたコンデンサ素子105の静電容量をLCRメーターにより静電容量値を測定した(1MHz)。
このコンデンサ素子105に形成されている銀電極が焼成により消失するとコンデンサ素子105の電極面積が小さくなって静電容量値の低下が見られることから、内層部における銀電極とセラミック組成物との焼結反応を評価することができる。
この銀電極の消失状態の指標としては前記静電容量の平均値を用いた。測定した比誘電率と、焼結による電極消失がないと仮定した場合の銀電極の対向電極面積より求められる計算上の静電容量値を100とし、その測定値が90%以上のときを○、90%未満のときを×として評価した。
また、静電容量ばらつきに関しては静電容量変動係数(%)(=100×標準偏差/平均値)で評価した。
また、相対密度の評価は70×70mmに切断したセラミックグリーンシート101の内部に銀電極を形成せずに50枚積層し、その後前記と同様の条件にて焼成したサンプルを用いてアルキメデス法により焼結体の相対密度を測定した。また、2段階の焼成を行った場合にはサンプルを2個用意し、一方のサンプルを第一段目の焼成した後300℃/hrの降温速度で降温して、その相対密度を求めた。他方のサンプルは第二段目の焼成後に求めた。焼結性の指標としては第二段目の相対密度(一段目しか行わなかった場合は第一段目の相対密度)を用いた。そして、実用上の観点から、その相対密度が95%以上となるときを○、95%未満となるときを×とした。これらの評価結果を(表1)に示す。
(表1)の結果より、大気中焼成のみを行った比較例1において相対密度は97%と満足する値であったもののコンデンサの静電容量値は測定不能であった。このサンプルの表層電極106を光学顕微鏡で観察したところ、図3(a)に示すように銀電極がほとんど消失していた。
また、窒素中雰囲気焼成のみを行った比較例2においてはコンデンサ105の静電容量は97と満足する値であり、表層電極106を光学顕微鏡で観察しても、図3(b)に示すように電極部の消失は殆ど見られなかった。しかしながら、相対密度は75%と焼結性が極めて悪いことが判明した。また、1MHzにおける誘電損失(tanδ(%))も10%を超える値となっていた。また、第二段目の焼成時の酸素濃度を11vol.%とした比較例3においてはコンデンサ105の静電容量は90未満となり、銀電極の一部消失が認められた。
これに対して、第一段目の焼成を大気中焼成し、第二段目を低酸素濃度(10vol.%)の雰囲気で焼成した実施例1では相対密度98%、コンデンサ105の静電容量は98となり、焼結性および銀電極の消失の抑制を両立することができた。また、この銀電極の消失は図3(c)に示したように見られなかった。
また、副成分として酸化銅と酸化ニオブの同時添加はそれぞれの単独の添加量よりも、より少量でセラミック組成物の焼成温度を低下させることができた。その時の酸化銅の含有量は1.0重量部以上とし、酸化ニオブの添加量は1.5重量部以上の添加量において効果的であった。また、それぞれの添加量がそれ以下の場合には銀を主成分とする電極材料とセラミック組成物との同時焼結性が不十分であった。
(実施例2)
主成分の原料である0.2±0.05μmの平均粒径を有する酸化アルミニウム:80〜96重量部、副成分と添加物の種類とその重量比はそれぞれ酸化銅(CuO):1.0〜7.0重量部、酸化ニオブ(Nb25):1.5〜7.5重量部、酸化銀(Ag2O):0.5〜3.0重量部、酸化チタン(TiO2):0.5〜2.0重量部としたセラミック組成物を作製した。このセラミック組成物100重量部に対して、水200重量部を配合し、2mmφの高純度アルミナを使用したボールミル混合を24hr行った。次に、乾燥後のセラミック組成物100重量部に対して、バインダ樹脂としてポリビニルブチラールを8重量部、分散媒として酢酸ブチルを80重量部、可塑剤としてジブチルフタレートを8重量部配合し、10mmφの高純度アルミナを使用したボールミル分散を48hr行った。焼成条件は以下のとおりである。
・第一段目の焼成……保持温度:910℃、保持時間:2hr、焼成雰囲気:大気中(酸素濃度21%)
・第二段目の焼成……保持温度:925℃、保持時間:3hr、焼成雰囲気:窒素中(酸素濃度0.1%)
その後は実施例1と同様の評価を行った。
さらに、実施例1に示した銀電極を内部に形成せずに50枚積層したセラミック多層基板201の常温における熱伝導率(単位:W/m・K)をレーザーフラッシュ法により測定した。これらの評価結果を(表2)に示した。
(表2)の結果より、第一段目を大気中焼成、第二段目を酸素含有率が10vol.%以下の窒素中焼成で行った結果、相対密度は95%以上、コンデンサの静電容量値は95以上となり、セラミック多層基板201の焼結性と銀電極の消失の抑制を両立することができた。
そして、酸化アルミニウムの含有率の増加とともに熱伝導率が上昇した。特に、酸化アルミニウムの含有量が90重量部以上となるとき、熱伝導率が15W/m・K以上となり、良好な熱伝導性を示した。
また、酸化アルミニウムの含有量が97重量部以上となると焼成が阻害され焼成温度のさらなる上昇を余儀なくされ銀を主成分とする電極と同時焼成することができなくなった。これらの結果より、酸化アルミニウムの含有量は90〜96重量部が好ましい。
また、添加物として酸化銀の添加量を0.5〜3.0重量部、酸化チタンの添加量を0.5〜2.0重量部添加した場合、酸化銅と酸化ニオブを副成分として添加したセラミック組成物と比較して更に50℃程度の低温焼結化を実現できることが分かった。
(実施例3)
セラミック組成物の配合原料として、0.4±0.1μmの平均粒径を有する酸化アルミニウム(Al23)92重量部、酸化銅(CuO)3重量部、酸化ニオブ(Nb25)3重量部、酸化銀(Ag2O)1重量部、酸化チタン(TiO2)1重量部を配合した。このセラミック組成物100重量部に対して、水を200重量部を配合し、2mmφの高純度アルミナを使用したボールミル混合を24hr行った。
次に、乾燥後のセラミック組成物100重量部に対して、バインダ樹脂としてポリビニルブチラール樹脂を8重量部、分散媒として酢酸ブチルを80重量部、可塑剤としてジブチルフタレートを8重量部配合し、10mmφの高純度アルミナを使用したボールミル分散を48hr行った。これ以後の積層体104の作製方法は実施例2と同様の方法によりセラミック多層基板201を作製した。
次に、第一段目の焼成と第二段目の焼成条件を検討することにより(表3)に示すような各種の相対密度を有するセラミック多層基板201の評価サンプルを作製した。以上のように、それぞれの相対密度の異なるセラミック多層基板201の評価結果を(表3)に示す。
(表3)の結果より、比較例6では第一段目の焼成後の相対密度が74%として第二段目の焼成を行っても相対密度は95%未満となり、焼結性が不十分となり、静電容量のばらつきも大きいことが分かる。
また、比較例7では第一段目の焼成後の相対密度が96%として第二段目の焼成を行うと相対密度は97%となるがコンデンサ105の静電容量は設計値の50%しかなく、銀電極の消失が顕著に見られた。
これに対して、実施例4,5,6では焼結性と銀電極の消失の抑制を両立していることが分かる。なお、比較例8に示したように第一段目の焼成を窒素雰囲気中で行うと、銀電極の消失は抑制できたもののセラミック組成物の焼結が不十分であった。これは低酸素濃度で焼成することにより、焼結促進効果のある複合酸化物の生成が抑制されたからである。
これらの結果より、第一段目の焼成後のセラミック組成物の相対密度を75%以上95%未満とすることが好ましい。
次に、第一段目の焼成を保持温度:900℃、保持時間:1hr、焼成雰囲気:大気中で行い、第二段目の焼成を保持温度:900℃、保持時間:6hrとし、第二段目の焼成における酸素濃度を変えたときの条件および評価結果を(表4)に示す。
(表4)の結果より、実施例7,8,9のように第二段目の焼成における酸素濃度が低くなり、特に0.1vol.%以下となると電極の消失が特に抑制され、コンデンサ105の静電容量も高くなった。
次に、第二段目の焼成における最高温度での保持時間を変えたときの条件および結果を示す。第二段目の保持時間以外の焼成条件を下記に示す。ここで、第一段目の焼成は保持温度:900℃、保持時間:1hr、焼成雰囲気:大気中(酸素濃度21%)とし、第二段目の焼成を保持温度:900℃、保持時間:6〜30hr、焼成雰囲気:窒素中(酸素濃度0.2%)とした。この第二段目の焼成における保持時間を変えたときの結果を(表5)に示した。
(表5)の結果より、実施例10,11,12のように第二段目の焼成温度の保持時間を長くすると焼結が進み、熱伝導率をより高くすることができた。さらに、銀電極の消失も保持時間の短い試料と同程度に抑制され、コンデンサ105の静電容量も高くなった。
また、添加物である酸化銀と酸化チタンの添加量について検討した結果、酸化銀の添加量は0.5〜3.0重量部の添加量と酸化チタンの添加量は0.5〜2.0%の添加量において酸化銅と酸化ニオブの副成分の添加に対して焼成温度を更に50℃程度低温焼成化することができた。
(実施例4)
実施例4ではセラミック多層基板201を用いたパワーアンプモジュールについて説明する。
まず、実施例3におけるセラミック組成物を用いて所定の特性値を有するコンデンサ105とコイル107を複数個内蔵したセラミック多層基板201を作製した。次に、このセラミック多層基板201の上面にパワーアンプ202を実装してパワーアンプモジュール203を作製した。それ以外の受動部品などの実装についての説明は省略する。このパワーアンプモジュール203の大きさは8mm×6mm×1.5mmである。
また、比較のために酸化アルミニウム50重量部、ホウ珪酸ガラス50重量部を用いてLTCCセラミック多層基板を作製しその上部にパワーアンプ202を実装して従来のパワーアンプモジュールを作製した。それぞれのパワーアンプ202に5Wの電力を印加し、パワーアンプ202の表面の温度上昇を非接触式温度計により調べた。
その結果、比較例である従来のパワーアンプモジュールではパワーアンプ202の表面部の温度は時間とともに上昇して150℃を超えてしまい、パワーアンプ202の誤作動が懸念された。このような発熱を抑制するためにはサーマルビアを設け、このサーマルビアより放熱を促進するという手段もあるが、モジュール形状が13mm×9mm×1.8mmと大型になってしまった。
一方、実施例4におけるパワーアンプモジュール203はサーマルビアなどを配置することなく50℃以下の発熱温度に抑制することができた。
本発明にかかるセラミック多層基板の製造方法およびセラミック多層基板並びにパワーアンプモジュールは、従来のセラミック多層基板の製造方法と比較して銀を主成分とする電極の消失を抑制しながらもセラミックの焼結性を向上させることができるという効果を有し、銀を主成分とする電極を用いた高熱伝導性を有するセラミック多層基板およびパワーアンプモジュール等として有用である。
本発明の実施の形態1におけるセラミック多層基板の製造方法を説明するための断面図 同パワーアンプモジュールの断面図 同銀電極の消失状態を示す顕微鏡写真を図示した平面図
符号の説明
101 セラミックグリーンシート
102 ビア電極
103 配線電極
104 積層体
105 コンデンサ
106 表層電極
107 コイル
201 セラミック多層基板
202 パワーアンプ
203 パワーアンプモジュール

Claims (7)

  1. セラミック組成物の主成分として酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムのいずれかを用い、副成分として酸化銅と酸化ニオブを含むセラミック組成物と、銀を主成分とする電極により構成するセラミック多層基板の製造方法において、第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う工程からなる焼成工程を有するセラミック多層基板の製造方法。
  2. セラミック組成物を100重量部としたとき、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムのいずれかの含有量を90〜96重量部とし、副成分である酸化銅の含有量を1.0重量部以上、酸化ニオブの含有量を1.5重量部以上とした請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  3. セラミック組成物に添加物として酸化銀を0.5〜3.0重量部および酸化チタンを0.5〜2.0重量部用いる請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  4. 第一段目の焼成後におけるセラミック組成物の相対密度を75%以上95%未満とする請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  5. 第二段目の焼成における最高保持温度の保持時間を10時間以上とする請求項1に記載のセラミック多層基板の製造方法。
  6. セラミック組成物の主成分として酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムのいずれかを用い、副成分として酸化銅と酸化ニオブを含むセラミック組成物と、銀を主成分とする電極により構成するセラミック多層基板の製造方法において、第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う工程によって作製したセラミック多層基板の相対密度を95%以上としたセラミック多層基板。
  7. セラミック組成物の主成分として酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムのいずれかを用い、副成分として酸化銅と酸化ニオブを含むセラミック組成物と、銀を主成分とする電極により構成するセラミック多層基板の製造方法において、第一段目の焼成を大気中にて行い、その後第二段目の焼成を酸素含有率が10vol.%以下の雰囲気中にて行う工程によって作製したセラミック多層基板の相対密度を95%以上としたセラミック多層基板の上に少なくともパワーアンプを実装したパワーアンプモジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101009058B1 (ko) * 2010-03-09 2011-01-17 천광조명 주식회사 열전도성 몰드재를 포함한 엘이디용 전기제품
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