JP2007095862A - 多層セラミック集合基板および多層セラミック基板並びに多層セラミック集合基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に縦横方向の分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結温度では焼結しない無機粒子を主成分とする拘束層を前記未焼結多層セラミック体の両面又は片面に密着するように設けて積層体となし、当該積層体を未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼結した後、前記拘束層を除去してなる多層セラミック集合基板であって、焼結後の多層セラミック集合基板の少なくとも一つの分割溝が断面略U字状である多層セラミック集合基板である。
【選択図】 図3
Description
ここで無収縮プロセスは、基板用グリーンシートの焼成温度では焼結しない無機材料(アルミナ等)を有機バインダ中に分散させた無機組成物ペーストからなる拘束グリーンシートを用意し、この拘束グリーンシートを未焼結の多層セラミック基板の上面および下面に対し密着して設け、その上で焼成するものである。このとき拘束層の収縮抑制作用により基板表面の収縮が抑制される。
また、従来の分割溝は単純にカッターの刃先が反映された、例えば略V字状のものであった。分割し易さの面からは切り込み溝は深い方が良いが、逆に深い溝ほどハンドリング性が悪くなる。つまり上部がめり込んでダレたり、刃先の型離れが悪くなってシートが変形してしまうのである。その結果、焼結過程で割れが発生してしまう問題があった。このような問題は、特に厚いセラミックス基板の場合に顕著になり、小片の多層セラミック基板においては端部欠陥となって現われる。
前記上端部又は下端部よりも凹状となっている部分とは、前記分割溝跡の切欠き部において、基板の表面(上面又は下面)の端部(上端部又は下端部)から厚さ方向に垂線を引いたとき、その垂線より基板の内部方向(基板平面の中心方向)に窪んでいる部分のことを言う。
図1は多層セラミック集合基板の製造過程の一例を示す断面図である。工程順序や材料は一例を示しただけで、必ずしも下記である制約は無く、また複数の工程を同時に実施してもよい。場合によっては、不要となる工程は実施しない場合もある。図2は多層セラミック集合基板の斜視図の一例である。但し、多層セラミック基板の小片数は任意である。図3は多層セラミック集合基板の分割溝部分を示す断面図である。図4は分割溝に沿って分割した後の多層セラミック基板の分割溝部分を示す断面図である。
また、用いる低温焼結可能なセラミック材料としては、800〜1000℃で銀などの導体ペーストと同時焼成できるセラミック材料であって、所謂LTCCセラミックスなら何でも使用できる。一例としては、主成分であるAl、Si、Sr、TiをそれぞれAl2O3、SiO2、SrO、TiO2に換算したとき、Al2O3:10〜60質量%、SiO2:25〜60質量%、SrO:7.5〜50質量%、TiO2:20質量%以下(0を含む)であり、その主成分100質量部に対して、副成分として、Bi、Na、K、Coの群のうちの少なくとも1種をBi2O3換算で0.1〜10質量%、Na2O換算で0.1〜5質量%、K2O換算で0.1〜5質量%、CoO換算で0.1〜5質量%含有し、更に、Cu、Mn、Agの群のうちの少なくとも1種をCuO換算で0.01〜5質量%、MnO2換算で0.01〜5質量%、Agを0.01〜5質量%含有し、その他不可避不純物を含有している混合物を一旦700℃〜850℃で仮焼し、これを粉砕して平均粒径0.6〜2μmの微粉砕粒子からなる誘電体磁器組成物を挙げることができる。
先ず、未焼結多層セラミック体7の表層となる基板用グリーンシート1aを、固定用フィルム上にセットし、上側の金型で所定の圧力、温度、時間でプレスし圧着する。例えば、圧力10〜50kg/cm2、温度30〜60℃、時間3〜15秒である。熱圧着上下の金型はヒーターを内蔵した単純な平板形状でよい。プレスによる圧着が終わると、基板用グリーンシート1aのキャリアフィルムを剥離する。この時、グリーンシートは固定用フィルムに強固に固定されており、キャリアフィルムの剥離に際して一緒に剥離されることはない。
次に、第2層目の基板用グリーンシート1bを積層する。基板用グリーンシート1bには、内層に所定の内部回路を構成する導体パターン2が印刷されている。基板用グリーンシート1bの主面が第1層の基板用グリーンシート1aに当接するようにセットし、第1層の基板用グリーンシート1aの場合と同様に、プレスし圧着する。この時、プレス温度を印刷ペースト内の粘着剤が軟化固着する温度とすれば、加圧力により印刷部が相手側の基板用グリーンシートと接合する。従って、基板用グリーンシート同士は、印刷導体ペーストを介して結合される。また、電極が無くセラミック層同士が直接接触するところも、電極を介する場合と同様に軟化して固着し結合する。このときの圧着温度は粘着剤の種類にもよるが、通常40〜90℃程度の低温でよく、接合強度は加圧力を変えることにより調整できる。圧着後、基板用グリーンシート1bのキャリアフィルムを剥離する。第3層の基板用グリーンシート1c以降は、第2層目の基板用グリーンシート1bの積層で述べたものと同様な一連の作業を繰り返す。また、積層体を強力に一体化させるために、さらに圧着工程を行ってもよい。ここでは3層としているが、積層数は特定できず、回路構成によって異なり10層以上の未焼結多層セラミック体とする場合もある。
その後、CIP装置にて、100〜400kg/cm2、85℃で熱圧着し、各層が一体化した未焼結多層セラミック体7となす(図1(a))。
そして、上記未焼結多層セラミック体7の上面及び下面に、上記で用意した拘束グリーンシートを位置合わせして、その拘束用グリーンシートの厚さが200μm程度になるように積層し、CIP装置にて、100〜400kg/cm2、85℃で熱圧着し拘束層と未焼結多層セラミック体を一体化した積層体を得る(図1(b))。
焼成後、焼結した多層セラミック体の拘束層を超音波洗浄やブラスト処理等により取り除き、多層セラミック集合基板11を得る(図1(c))。
多層セラミック集合基板11の一例を図2に示す。このように大型の集合基板11には縦方向および横方向に分割溝14が形成されており、この分割溝に沿って破断して小片の多層セラミック基板を得ることができる。若しくは砥石カッターにより切断して多層セラミック基板を得ることができる。
本発明では、この焼結により、分割溝14の深さの基板厚さに対する比率は大きくなることがわかり、未焼結多層セラミック体7の状態では、分割溝14の深さ(m2)は、上下面の分割溝を合わせ、未焼結多層セラミック体7の厚さ(l2)の30%以下に設定されている。つまり、本発明では、(m2×2)/l2が30%以下となるように構成されている。また、この未焼結多層セラミック体に形成する分割溝は、0.2mm以下とすることが好ましい。あまり深いと、例え未焼結多層セラミック体の厚さが厚くても、セラミック体が変形するなど不具合を生じてしまう。そして、焼結後、分割溝14の深さ(m1)は、上下面の分割溝を合わせ、多層セラミック集合基板11の厚さ(l1)の2/3以下となるように構成している。
分割溝をこのようにして構成することにより、未焼結時には浅いV溝として、切り込み溝形成の作業性、ハンドリング性を高め、焼結後は未焼結時に比較し基板厚さに対して深いU字状溝とすることができ、これによって、上下の分割溝間の距離が近くなり、しかもU字型に広がることによって分割がし易く、ハンドリング性も良いものである。
また図4(b)は、図3(b)の多層セラミック集合基板11を分割した実施例である。この実施例では、多層セラミック基板15の側面の上端部15a及び下端部15bには分割溝跡の切欠き部16を有し、この分割溝跡の切欠き部16は、前記上端部15a又は下端部15bから基板平面に対してほぼ垂直となっている部分16bを有している。
この積層体を脱バインダを行い、900℃で2時間保持し焼結体となした。この焼結体の拘束層を除去し、超音波洗浄を行い、残存アルミナを除去して、多層セラミック集合基板を得た。
その後、分割溝の切り込みに沿って破断するか、あるいは砥石で切断することにより、小片の多層セラミック基板を得た。多層セラミック基板と取れ数は90個であった。
以上の結果を表1に示す。
試料番号7、8は、分割溝用の切り込み溝の深さ及び焼結後の分割溝の深さは良好であったが、焼結後の分割溝の形状がV字状となっており、分割し易さの評価が好ましくなかった。
試料番号22は、分割溝用の切り込み溝の深さは、両面合わせて未焼結多層セラミック体の厚さの25%であったが、実際の切り込み深さが一つの切り込み溝において0.25mmと、深さ自体が大きく、切り込み溝形成作業時の作業性が好ましくなかった。また、焼結後の分割溝の深さが、両面合わせて多層セラミック集合基板の厚さの75%となり、2/3より大きく、焼結後のハンドリング性が悪く、割れが多く発生し、好ましくなかった。
以上により本発明によれば良好な多層セラミック基板が得られることが分かった。
2:内部電極
3:ビアホール
4:外部電極
5:オーバーコート層
6:外部端子電極
7:未焼結多層セラミック体
8:シート状上面拘束層
9:シート状下面拘束層
10:拘束層を設けた未焼結多層セラミック体(積層体)
11:多層セラミック集合基板
14:分割溝
15:多層セラミック基板
16:分割溝跡の切欠き部
Claims (5)
- セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に縦横方向の分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼結してなる多層セラミック集合基板であって、前記多層セラミック集合基板の少なくとも一つの分割溝が断面略U字状であることを特徴とする多層セラミック集合基板。
- セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に縦横方向の分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼結して多層セラミック集合基板となし、当該多層セラミック集合基板を前記分割溝に沿って分割してなる多層セラミック基板であって、当該多層セラミック基板の少なくとも一つの側面の上端部及び/又は下端部には前記分割溝跡の切欠き部を有し、前記分割溝跡の切欠き部は、前記上端部又は下端部から基板平面に対してほぼ垂直となっている部分を有することを特徴とする多層セラミック基板。
- セラミックを含む低温焼結材からなる基板用グリーンシートを積層した未焼結多層セラミック体の両面又は片面に縦横方向の分割溝を形成し、前記未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼結して多層セラミック集合基板となし、当該多層セラミック集合基板を前記分割溝に沿って分割してなる多層セラミック基板であって、当該多層セラミック基板の少なくとも一つの側面の上端部及び/又は下端部には前記分割溝跡の切欠き部を有し、前記分割溝跡の切欠き部は、前記上端部又は下端部よりも凹状となっている部分を有することを特徴とする多層セラミック基板。
- 前記多層セラミック基板は、厚さが0.18〜1.2mmであって、前記分割溝跡の切欠き部の深さが両面合わせて前記多層セラミック基板の厚さの2/3以下となっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の多層セラミック基板。
- セラミックを含む低温焼結材よりなる基板用グリーンシートを準備する工程と、
前記基板用グリーンシートのうち、所望のグリーンシートに導体ペーストで所望の導体パターンを形成する工程と、
前記導体パターンを適宜形成した基板用グリーンシートを積層、圧着して未焼結多層セラミック体を作製する工程と、
前記未焼結多層セラミック体の両面又は片面の縦横方向に深さ10〜200μmの分割溝を、前記分割溝の深さが両面合わせて未焼結多層セラミック体の厚さの30%以下となるように形成する工程と、
前記基板用グリーンシートの焼成温度では焼結しない無機粒子を主成分とする拘束層を前記未焼結多層セラミック体の両面又は片面に設ける工程と、
前記拘束層を設けた未焼結多層セラミック体を当該未焼結多層セラミック体の焼結する温度で焼結する工程と、
焼結した後、当該多層セラミック体から前記拘束層を除去する工程とを具備し、
前記焼結過程において少なくとも一つの分割溝を、断面略U字状の溝となし、前記分割溝の深さが両面合わせて焼結後の多層セラミック体の厚さの2/3以下となるように形成することを特徴とする多層セラミック集合基板の製造方法。
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