JP2006093432A - 記憶素子及びメモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】 スピン注入効率を向上することにより、書き込みに要する電流値を低減することができる記憶素子を提供する。
【解決手段】 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層17の上下に、中間層16,18を介して磁化固定層31,32が設けられ、それぞれの中間層16,18がいずれも絶縁層から成り、記憶層17の上下の磁化固定層31,32のそれぞれ記憶層17に最も近い強磁性層15,19の磁化M15,M19の向きが互いに反対向きであり、記憶層17の上下2つの中間層16,18が面積抵抗値に有意差を有しており、積層方向に電流を流すことにより記憶層17の磁化M1の向きが変化して、記憶層に情報が記録される記憶素子3を構成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、強磁性層の磁化状態を情報として記憶する記憶層と、磁化の向きが固定された磁化固定層とから成り、電流を流すことにより記憶層の磁化の向きを変化させる記憶素子及びこの記憶素子を備えたメモリに係わり、不揮発メモリに適用して好適なものである。
コンピュータ等の情報機器では、ランダム・アクセス・メモリとして、動作が高速で、高密度なDRAMが広く使われている。
しかし、DRAMは電源を切ると情報が消えてしまう揮発性メモリであるため、情報が消えない不揮発のメモリが望まれている。
そして、不揮発メモリの候補として、磁性体の磁化で情報を記録する磁気ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)が注目され、開発が進められている(例えば非特許文献1参照)。
MRAMは、ほぼ直交する2種類のアドレス配線(ワード線、ビット線)にそれぞれ電流を流して、各アドレス配線から発生する電流磁場によって、アドレス配線の交点にある磁気記憶素子の磁性層の磁化を反転して情報の記録を行うものである。
一般的なMRAMの模式図(斜視図)を、図6に示す。
シリコン基板等の半導体基体110の素子分離層102により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域108、ソース領域107、並びにゲート電極101が、それぞれ形成されている。
また、ゲート電極101の上方には、図中前後方向に延びるワード線105が設けられている。
ドレイン領域108は、図中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域108には、配線109が接続されている。
そして、ワード線105と、上方に配置された、図中左右方向に延びるビット線106との間に、磁化の向きが反転する記憶層を有する磁気記憶素子103が配置されている。この磁気記憶素子103は、例えば磁気トンネル接合素子(MTJ素子)により構成される。
さらに、磁気記憶素子103は、水平方向のバイパス線111及び上下方向のコンタクト層104を介して、ソース領域107に電気的に接続されている。
ワード線105及びビット線106にそれぞれ電流を流すことにより、電流磁界を磁気記憶素子103に印加して、これにより磁気記憶素子103の記憶層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うことができる。
そして、MRAM等の磁気メモリにおいて、記録した情報を安定に保持するためには、情報を記録する磁性層(記憶層)が、一定の保磁力を有していることが必要である。
一方、記録された情報を書き換えるためには、アドレス配線にある程度の電流を流さなければならない。
ところが、MRAMを構成する素子の微細化に従い、アドレス配線も細くなるため、充分な電流が流せなくなってくる。
そこで、より少ない電流で磁化反転が可能な構成として、スピン注入による磁化反転を利用する構成の磁気メモリが注目されている(例えば、特許文献1参照)。
スピン注入による磁化反転とは、磁性体の中を通過してスピン偏極した電子を、他の磁性体に注入することにより、他の磁性体において磁化反転を起こさせるものである。
例えば、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)や磁気トンネル接合素子(MTJ素子)に対して、その膜面に垂直な方向に電流を流すことにより、これらの素子の少なくとも一部の磁性層の磁化の向きを反転させることができる。
そして、スピン注入による磁化反転は、素子が微細化されても、少ない電流で磁化反転を実現することができる利点を有している。
また、上述したスピン注入による磁化反転を利用する構成の磁気メモリの模式図を図4及び図5に示す。図4は斜視図、図5は断面図である。
シリコン基板等の半導体基体60の素子分離層52により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域58、ソース領域57、並びにゲート電極51が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極51は、図中前後方向に延びるワード線を兼ねている。
ドレイン領域58は、図4中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域58には、配線59が接続されている。
そして、ソース領域57と、上方に配置された、図4中左右方向に延びるビット線56との間に、スピン注入により磁化の向きが反転する記憶層を有する記憶素子53が配置されている。
この記憶素子53は、例えば磁気トンネル接合素子(MTJ素子)により構成される。図中61及び62は磁性層を示しており、2層の磁性層61,62のうち、一方の磁性層を磁化の向きが固定された磁化固定層として、他方の磁性層を磁化の向きが変化する磁化自由層即ち記憶層とする。
また、記憶素子53は、ビット線56と、ソース領域57とに、それぞれ上下のコンタクト層54を介して接続されている。これにより、磁気記憶素子53に電流を流して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させることができる。
このようなスピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリの場合、図6に示した一般的なMRAMと比較して、デバイス構造を単純化することができる、という特徴も有している。
また、スピン注入による磁化反転を利用することにより、外部磁界により磁化反転を行う一般的なMRAMと比較して、素子の微細化が進んでも、書き込みの電流が増大しないという利点がある。
このスピン注入による磁化反転を利用する構成のメモリにおいて、消費電力をさらに抑制するためには、スピン注入効率を改善して、入力する電流を減らす必要がある。
また、読み出し信号を大きくするためには、大きな磁気抵抗変化率を確保する必要があり、そのためには記憶層の両側に接している中間層をトンネルバリア層にすることが効果的である。
この場合、バリア層の耐電圧の制限が生じるため、この点からも、スピン注入時の電流を抑制する必要がある。
そこで、スピン注入時の電流を抑制するための解決策として、記憶素子を磁化固定層/中間層/記憶層/中間層/磁化固定層の積層構造として、記憶層の上下に設けた磁化固定層の磁化の向きを反対向きにした構成が提案されている(特許文献2参照)。
そして、上記特許文献2において、上下の磁化固定層の磁化の向きを互いに反対向きにすることにより、スピン注入効率を倍増させることが可能であることが示されている。
日経エレクトロニクス 2001.2.12号(第164頁−171頁) 特開2003−17782号公報 米国特許公開第2004/0027853号明細書
確かに、理論的には、上記特許文献2に記載された構造を採ることにより、スピン注入効率が倍増すると考えられる。
しかしながら、上記特許文献2に記載された構造の記憶素子を実際に作製し、この記憶素子の特性を調べた結果、理論通りの結果は得られず、充分なスピン注入効率の向上が認められなかった。
上述した問題の解決のために、本発明においては、スピン注入効率を向上することにより、書き込みに要する電流値を低減することができる記憶素子、並びにこの記憶素子を有するメモリを提供するものである。
本発明の記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成り、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われ、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、面積抵抗値の高い方の中間層の磁気抵抗変化率が面積抵抗値の低い方の中間層の磁気抵抗変化率よりも大きいものである。
上述の本発明の記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、この記憶層の上下にそれぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられており、積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われるので、積層方向に電流を流してスピン注入による情報の記録を行うことができる。
また、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであることによって、スピン注入効率を大幅に増大させることが可能になる。これにより、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
さらに、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成るため、絶縁層により偏極電子の流れ(スピン流)の減衰を抑制して維持することができる。これにより、スピン注入効率をさらに向上して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
そして、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、面積抵抗値の高い方の中間層の磁気抵抗変化率が面積抵抗値の低い方の中間層の磁気抵抗変化率よりも大きいことにより、それぞれの中間層の磁気抵抗変化率が打ち消されても、記憶素子全体の磁気抵抗変化率を充分な大きさで確保することが可能になる。
本発明の記憶素子は、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成り、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われ、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、一方の中間層の面積抵抗値が他方の中間層の面積抵抗値の2倍以上であるものである。
上述の本発明の記憶素子の構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、この記憶層の上下にそれぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられており、積層方向に電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われるので、積層方向に電流を流してスピン注入による情報の記録を行うことができる。
また、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであることによって、スピン注入効率を大幅に増大させることが可能になる。これにより、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
さらに、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成るため、絶縁層により偏極電子の流れ(スピン流)の減衰を抑制して維持することができる。これにより、スピン注入効率をさらに向上して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
そして、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、一方の中間層の面積抵抗値が他方の中間層の面積抵抗値の2倍以上であることにより、それぞれの中間層の磁気抵抗変化率が打ち消されても、記憶素子全体の磁気抵抗変化率を充分な大きさで確保することが可能になる。
本発明のメモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、記憶素子は、記憶層の上下にそれぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成り、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向の電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われ、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、面積抵抗値の高い方の中間層の磁気抵抗変化率が面積抵抗値の低い方の中間層の磁気抵抗変化率よりも大きい構成であり、2種類の配線の交点付近かつ2種類の配線の間に記憶素子が配置され、2種類の配線を通じて記憶素子に積層方向の電流が流れるものである。
上述の本発明のメモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、記憶素子が上記本発明の記憶素子の構成であり、2種類の配線の交点付近かつ2種類の配線の間に記憶素子が配置され、これら2種類の配線を通じて記憶素子に積層方向の電流が流れるものであることにより、2種類の配線を通じて記憶素子の積層方向に電流を流してスピン注入による情報の記録を行うことができる。
また、スピン注入により記憶素子の記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
さらに、記憶素子の磁気抵抗変化率が充分な大きさであるため、磁気抵抗変化を利用して記憶素子の記憶層に記録された情報を読み出せば、高い出力が得られることから、容易に情報の読み出しを行うことができる。
本発明のメモリは、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、記憶素子は、記憶層の上下にそれぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの中間層がいずれも絶縁層から成り、記憶層の上下の磁化固定層において、それぞれ記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向の電流を流すことにより、記憶層の磁化の向きが変化して、記憶層に対して情報の記録が行われ、記憶層の上下2つの中間層は、面積抵抗値に有意差があり、一方の中間層の面積抵抗値が他方の中間層の面積抵抗値の2倍以上である構成であり、2種類の配線の交点付近かつ2種類の配線の間に記憶素子が配置され、2種類の配線を通じて記憶素子に積層方向の電流が流れるものである。
上述の本発明のメモリの構成によれば、情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、互いに交差する2種類の配線とを備え、記憶素子が上記本発明の記憶素子の構成であり、2種類の配線の交点付近かつ2種類の配線の間に記憶素子が配置され、これら2種類の配線を通じて記憶素子に積層方向の電流が流れるものであることにより、2種類の配線を通じて記憶素子の積層方向に電流を流してスピン注入による情報の記録を行うことができる。
また、スピン注入により記憶素子の記憶層の磁化の向きを反転させるために必要な電流量(閾値電流)を低減することができる。
さらに、記憶素子の磁気抵抗変化率が充分な大きさであるため、磁気抵抗変化を利用して記憶素子の記憶層に記録された情報を読み出せば、高い出力が得られることから、容易に情報の読み出しを行うことができる。
上述の本発明によれば、スピン注入効率を改善することにより、情報の記録に必要な電流量を低減することができる。
これにより、メモリ全体の消費電力を低減することが可能になる。
従って、従来にない低消費電力のメモリを実現することが可能になる。
また、本発明によれば、記録された情報を読み出す際に、高い出力を得て、容易に情報の読み出しを行うことが可能になる。
これにより、記憶素子を備えたメモリにおいて、例えば、情報の読み出しを行う際に記憶素子に流す電流を小さくして、読み出し時の消費電力を低減したり、出力を検出するための回路等の構成を簡略化したりすることが可能になる。
本発明の具体的な実施の形態の説明に先立ち、本発明の概要について説明する。
本発明は、前述したスピン注入により、記憶素子の記憶層の磁化の向きを反転させて、情報の記録を行うものである。記憶層は、強磁性層等の磁性体により構成され、情報を磁性体の磁化状態(磁化の向き)により保持するものである。
スピン注入により磁性層の磁化の向きを反転させる基本的な動作は、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)もしくはトンネル磁気抵抗効果素子(MTJ素子)から成る記憶素子に対して、その膜面に垂直な方向に、ある閾値以上の電流を流すものである。このとき、電流の極性(向き)は、反転させる磁化の向きに依存する。
この閾値よりも絶対値が小さい電流を流した場合には、磁化反転を生じない。
スピン注入によって、磁性層の磁化の向きを反転させるときに、必要となる電流の閾値Icは、現象論的に、下記数1により表される(例えば、F.J.Albert他著、Appl.Phys.Lett.,77,p.3809,2000年、等を参照)。
Figure 2006093432
本発明では、式(1)で表されるように、電流の閾値が、磁性層の体積V、磁性層の飽和磁化M、実効的な磁気異方性の大きさを制御することにより、任意に設定することが可能であることを利用する。
そして、磁化状態により情報を保持することができる磁性層(記憶層)と、磁化の向きが固定された磁化固定層とを有する記憶素子を構成する。
記憶層の磁化状態を変化させる電流の閾値は、実際には、例えば記憶層の厚さが2nmであり、平面パターンが120〜130nm×100nmの略楕円形の巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)において、+側の閾値+Ic=+0.6mAであり、−側の閾値−Ic=−0.2mAであり、その際の電流密度は約6×10A・cmである。これらは、上記の式(1)にほぼ一致する(屋上他著,日本応用磁気学会誌,Vol.28,No.2,p.149,2004年参照)。
一方、電流磁場により磁化反転を行う通常のMRAMでは、書き込み電流が数mA以上必要となる。
これに対して、スピン注入により磁化反転を行う場合には、上述のように、書き込み電流の閾値が充分に小さくなるため、集積回路の消費電力を低減させるために有効であることがわかる。
また、通常のMRAMで必要とされる、電流磁界発生用の配線(図6の105)が不要となるため、集積度においても通常のMRAMに比較して有利である。
そして、前記特許文献2に記載されているように、記憶層に対して、上下にそれぞれ磁化固定層を設けて、さらに上下の磁化固定層の磁化の向きを反対向きとした構成とすることにより、スピン注入効率を向上して、スピン注入時の電流を低減することが、理論的には可能であると考えられる。
また、記憶層の上下にそれぞれ磁化固定層を設けて、上下に磁気抵抗素子を形成し、即ち磁化固定層/中間層/記憶層/中間層/磁化固定層の積層構造として、さらに上下の磁化固定層の磁化の向きを反対向きとした構成では、記憶層の磁化の向きの反転動作による抵抗変化が、上下の磁気抵抗素子で互いに打ち消す方向になる。
従って、より多くの抵抗変化を得るためには、上下の磁気抵抗素子の構造を非対称にすることが必要である。
前記特許文献2に記載された構成では、一方の中間層を絶縁層、他方の中間層を非磁性導電層とすることにより、上下の磁気抵抗素子の構造を非対称にしている。
これにより、一方の中間層を含む磁気抵抗素子の抵抗変化が大きく、他方の中間層を含む磁気抵抗素子の抵抗変化が小さくなるため、両者の抵抗変化が打ち消されても、記憶素子全体の抵抗変化をある程度の大きさで確保することが可能になる。
しかしながら、他方の中間層として非磁性導電層、例えばCu層を用いた場合には、前述したように、実際に作製した記憶素子において、充分なスピン注入効率の向上が得られなかった。
これは、中間層を非磁性導電層とすると、偏極電子が伝わる流れ、いわゆるスピン流が、記憶層から磁化固定層に達しても磁化固定層から戻りにくくなるため、スピン流が減衰してしまい、記憶層の磁化反転を効率良く行うことができないためと考えられる。
種々の検討を行った結果、記憶層の上下の中間層を、共に絶縁層(酸化物、窒化物等)とした場合に、スピン注入効率が改善されることを見い出した。
即ち、記憶層を中心にして、その上側と下側のいずれもがMTJ素子になるように記憶素子を構成することにより、スピン注入効率を向上することができる。
ただし、記憶層の上下の中間層を共に絶縁層とした場合でも、上下の磁気抵抗効果素子の磁気抵抗変化作用が互いに打ち消し合うため、そのままでは、記憶素子全体の磁気抵抗変化率が小さくなり、記憶層に記録した情報を読み出すことが困難になる。
そこで、本発明では、記憶層の上下の中間層(絶縁層)の構成を異ならせることにより、記憶素子の上下の磁気抵抗素子の構造を非対称にして、記憶素子全体の磁気抵抗変化率が大きくなるようにする。
即ち、記憶層の上下の中間層(絶縁層)が、面積抵抗値に有意差を有し、かつ抵抗値の高い方の絶縁層ができる限り高い磁気抵抗変化率を示す構成とする。
具体的には、例えば、高抵抗側の磁気抵抗変化率が低抵抗側の磁気抵抗変化率よりも大きい構成とする、或いは、高抵抗側の面積抵抗値が低抵抗側の面積抵抗値の2倍以上である構成とする。
これにより、スピン注入により情報を記録する記憶素子の通常の構成と比較して、磁化反転電流値を半減させることが可能である。
絶縁層の材料としては、酸化物や窒化物を用いることができる。
例えば、アルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、マグネシウム酸化物等を挙げることができ、主にこれらの酸化物や窒化物から成る絶縁層を構成する。
アルミニウム酸化物は、例えば、金属Al層を形成した後に、Al層を酸化することにより形成することができる。
アルミニウム窒化物は、例えば、金属Al層を形成した後に、Al層を窒化することにより形成することができる。
マグネシウム酸化物は、例えば、RFスパッタ法により、直接酸化物を堆積させることにより形成することができる。
続いて、記憶素子が上述の特性を満たすための条件について説明する。
まず、高抵抗側の磁気抵抗効果素子(磁化固定層/絶縁層/記憶層)の構成においては、可能な限り大きい磁気抵抗効果が得られるように、絶縁性が高く高抵抗であることが求められる。
そのため、例えば、絶縁層を形成する際に、Al層やMg層等の金属層に対して、充分に酸化或いは窒化させる。
この高抵抗側の磁気抵抗効果素子の面積抵抗値RA(Ωμm)は、5Ωμm〜150Ωμmの範囲であることが望ましい。
面積抵抗値RAが5Ωμm以下である場合には、充分な磁気抵抗効果を得られるように絶縁層の膜厚を薄くすると、ピンホール形成が頻発することになり、均一な絶縁層を安定して得ることができない。
また、面積抵抗値RAが150Ωμm以上である場合には、抵抗値が高くなり過ぎるため、記憶層の磁化の向きを反転させるための最小電流値(反転電流値)が高くなる。そのため、反転電流値以上の電流を流すと、絶縁層の絶縁耐圧を超えて、絶縁層が破壊されてしまう。
また、低抵抗側の磁気抵抗効果素子(磁化固定層/絶縁層/記憶層)の構成においては、高抵抗側と面積抵抗値に有意差を有するように、絶縁性がやや低く低抵抗であり、また抵抗変化率も小さいことが求められる。
そのため、例えば、絶縁層を形成する際に、Al層やTi層等の金属層に対して、充分には酸化或いは窒化させずに、酸化不足或いは窒化不足の状態とする。
ただし、酸化或いは窒化の前の金属層があまりにも薄いと、酸化や窒化の際にピンホールが形成され、絶縁特性が得られないことがあるため、ある一定以上の膜厚が必要である。例えば、金属層としてAl層を用いる場合は、0.35nm以上の膜厚を確保することが必要である。
この低抵抗側の磁気抵抗効果素子の面積抵抗値RA(Ωμm)は、300mΩμm〜30Ωμmの範囲が望ましい。
面積抵抗値RAが300mΩμm以下である場合には、酸化或いは窒化の度合いが小さ過ぎて、金属的になってしまい、絶縁層としての特性を果たせなくなってしまう。
また、面積抵抗値RAが30Ωμm以上である場合には、もう一方の高抵抗側の磁気抵抗効果素子の面積抵抗値との差が少なくなるため、磁気抵抗変化の作用が相殺される量が無視できなくなり、記憶素子全体として抵抗変化率が小さくなってしまう。
さらに、最適なトンネル磁気抵抗効果を得るため、磁化固定層の強磁性層/絶縁層/記憶層の強磁性層の材料の組み合わせも重要である。
高抵抗側の絶縁層に接する磁化固定層及び記憶層の強磁性層には、スピン分極率の大きな材料を採用すると共に、磁気抵抗変化率が大きくなるように材料を組み合わせることが望ましい。
具体的には、絶縁層に接する強磁性層に、組成比Co60Fe40(原子%)のCoFe合金等のCo−Fe系強磁性材料や、それにボロンBが20〜30原子%添加されたアモルファス材料等を採用する。
また、絶縁層がマグネシウム系酸化物で形成され、絶縁層に接する強磁性層が鉄系材料で形成された場合には、非常に大きな磁気抵抗変化率が得られるため、望ましい組み合わせである。
そして、例えば、高抵抗側の絶縁層を主としてマグネシウム酸化物から成る構成とし、低抵抗側の絶縁層を主としてアルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、マグネシウム酸化物のいずれかから成る構成とすればよい。
低抵抗側においては、スピン注入効率を向上するために、良好なスピン分極率を有する材料が必要であるが、磁気抵抗変化率は大きくならないように材料を組み合わせることが望ましい。
また、低抵抗側においては、磁化固定層と絶縁層の間に、薄い非磁性金属層を挿入することも効果的である。この非磁性金属層は、Pt,Au,Ru,Ag,Pd,Rh等の材料を用いて、膜厚を2nm以下とすることが望ましい。
また、記憶層と絶縁層の間に、薄い非磁性金属層を挿入することも、同様に効果的である。
このように、薄い非磁性金属層を挿入することにより、スピン流を減衰させないで維持することができると共に、磁気抵抗変化率を抑制することができる。
記憶素子のその他の構成は、スピン注入により情報を記録する記憶素子の従来公知の構成と同様とすることができる。
磁化固定層は、強磁性層のみにより、或いは反強磁性層と強磁性層の反強磁性結合を利用することにより、その磁化の向きが固定された構成とする。
また、磁化固定層や記憶層は、単層の強磁性層から成る構造、或いは複数層の強磁性層を非磁性層を介して積層した積層フェリ構造とする。
なお、記憶素子の記憶層に記録された情報を読み出す方法としては、記憶素子の記憶層に薄い絶縁膜を介して、情報の基準となる磁性層を設けて、絶縁層を介して流れる強磁性トンネル電流によって、記録された情報を読み出してもよいし、磁気抵抗効果により読み出してもよい。
続いて、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施の形態として、メモリの概略構成図(斜視図)を図1に示す。
このメモリは、互いに直交する2種類のアドレス配線(例えばワード線とビット線)の交点付近に、磁化状態で情報を保持することができる記憶素子が配置されて成る。
即ち、シリコン基板等の半導体基体10の素子分離層2により分離された部分に、各メモリセルを選択するための選択用トランジスタを構成する、ドレイン領域8、ソース領域7、並びにゲート電極1が、それぞれ形成されている。このうち、ゲート電極1は、図中前後方向に延びる一方のアドレス配線(例えばワード線)を兼ねている。
ドレイン領域8は、図中左右の選択用トランジスタに共通して形成されており、このドレイン領域8には、配線9が接続されている。
そして、ソース領域7と、上方に配置された、図中左右方向に延びる他方のアドレス配線(例えばビット線)6との間に、記憶素子3が配置されている。この記憶素子3は、スピン注入により磁化の向きが反転する強磁性層から成る記憶層を有する。
また、この記憶素子3は、2種類のアドレス配線1,6の交点付近に配置されている。
この記憶素子3は、ビット線6と、ソース領域7とに、それぞれ上下のコンタクト層4を介して接続されている。
これにより、2種類のアドレス配線1,6を通じて、記憶素子3に上下方向の電流を流して、スピン注入により記憶層の磁化の向きを反転させることができる。
また、本実施の形態のメモリの記憶素子3の断面図を図2に示す。
図2に示すように、この記憶素子3は、スピン注入により磁化M1の向きが反転する記憶層17に対して、下層に第1の磁化固定層31を設け、上層に第2の磁化固定層32を設けている。即ち、記憶層17に対して、上下2つの磁化固定層31,32を設けた構成である。
第1の磁化固定層31の下に反強磁性層12が設けられ、この反強磁性層12により、第1の磁化固定層31の磁化の向きが固定される。また、第2の磁化固定層32の上に反強磁性層20が設けられ、この反強磁性層20により、第2の磁化固定層32の磁化の向きが固定される。
そして、第1の磁化固定層31は、積層フェリ構造となっている。
具体的には、第1の磁化固定層31は、2層の強磁性層13,15が、非磁性層14を介して積層されて反強磁性結合した構成である。
第1の磁化固定層31の各強磁性層13,15が積層フェリ構造となっているため、強磁性層13の磁化M13が右向き、強磁性層15の磁化M15が左向きとなっており、互いに反対向きになっている。
これにより、第1の磁化固定層31の各強磁性層13,15から漏れる磁束が、互いに打ち消し合う。
一方、第2の磁化固定層32は、単層の強磁性層19のみを有する構成である。
また、反強磁性層12の下には下地層11が形成され、反強磁性層20の上にはキャップ層21が形成されている。
記憶層17の材料としては、特に限定はないが、鉄、ニッケル、コバルトの1種もしくは2種以上からなる合金材料を用いることができる。さらにNb、Zr等の遷移金属元素やB等の軽元素を含有させることもできる。また、例えばCoFe/NiFe/CoFeの積層膜といったように、材料が異なる複数の膜を直接(非磁性層を介さずに)積層して、記憶層17を構成してもよい。
磁化固定層31,32の強磁性層13,15,19の材料としては、特に限定はないが、鉄、ニッケル、コバルトの1種もしくは2種以上からなる合金材料を用いることができる。さらにNb、Zr等の遷移金属元素やB等の軽元素を含有させることもできる。
第1の磁化固定層31の積層フェリを構成する非磁性層14の材料としては、ルテニウム、銅、クロム、金、銀等が使用できる。非磁性層14の膜厚は、材料によって変動するが、好ましくは、ほぼ0.5nmから2.5nmの範囲で使用する。
反強磁性層12,20の材料としては、鉄、ニッケル、白金、イリジウム、ロジウム等の金属元素とマンガンとの合金、コバルトやニッケルの酸化物等が使用できる。
本実施の形態においては、特に、記憶素子3の第1の磁化固定層31及び第2の磁化固定層32と記憶層17との間の中間層が、いずれも絶縁層となっている。
即ち、記憶層17と下層の第1の磁化固定層31との間には、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)となる第1の絶縁層16が設けられ、記憶層17と第1の磁化固定層31とにより、MTJ素子が構成されている。
また、記憶層17と上層の第2の磁化固定層32との間には、トンネルバリア層(トンネル絶縁層)となる第2の絶縁層18が設けられ、記憶層17と第2の磁化固定層32とにより、MTJ素子が構成されている。
さらに、本実施の形態においては、記憶層17の上下にある中間層、即ち第1の絶縁層16及び第2の絶縁層18が、面積抵抗値に有意差を有し、例えば第1の絶縁層16が相対的に高抵抗であり、第2の絶縁層18が相対的に低抵抗である構成とする。
そして、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の磁気抵抗変化率が低抵抗側(例えば第2の絶縁層18側)の磁気抵抗変化率よりも大きい、或いは、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値が低抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値の2倍以上である構成とする。
このような構成とするために、例えば、第1の絶縁層16と第2の絶縁層18に絶縁性の異なる材料をそれぞれ用いたり、絶縁層16,18を形成する際の酸化時間や窒化時間を異ならせて酸化や窒化の度合いを異ならせたりする。
そして、第1の磁化固定層31の各強磁性層13,15が積層フェリ構造となっているため、強磁性層13の磁化M13が右向き、強磁性層15の磁化M15が左向きとなっており、互いに反対向きになっている。
第2の磁化固定層32の強磁性層19の磁化M19は右向きとなっている。
即ち、第1の磁化固定層31のうち記憶層17に最も近い強磁性層15の磁化M15が左向きであり、第2の磁化固定層32の強磁性層19の磁化M19が右向きであり、これらが互いに反対の向きになっている。
このように記憶層17を挟む磁化固定層31,32において、それぞれ記憶層17に最も近い強磁性層15,19の磁化M15,M19が互いに反対の向きになっていることにより、スピン注入効率を増大させることができるため、スピン注入により記憶層17の磁化M1の向きを反転させるために必要な電流量を低減することができる。
本実施の形態の記憶素子3は、下地層11からキャップ層21までを真空装置内で連続的に形成して、その後エッチング等の加工により記憶素子3のパターンを形成することにより、製造することができる。
上述の本実施の形態によれば、記憶素子3の記憶層17を挟む磁化固定層31,32において、それぞれ記憶層17に最も近い強磁性層15,19の磁化M15,M19が互いに反対の向きになっていることにより、スピン注入効率を増大させることができる。これにより、スピン注入によって記憶層17の磁化M1の向きを反転させるために必要な電流量を、低減することができる。
また、上述の本実施の形態によれば、記憶層17とその下層の第1の磁化固定層31との間の中間層が第1の絶縁層16であり、記憶層17とその上層の第2の磁化固定層32との間の中間層が第2の絶縁層18であり、いずれの中間層16,18も絶縁層であることにより、スピン流の減衰を抑制して、充分なスピン注入効率を得ることが可能になる。これにより、スピン注入効率をさらに向上して、スピン注入によって記憶層17の磁化M1の向きを反転させるために必要な電流量を、低減することができる。
即ち、記憶素子3に情報の記録を行うために必要な電流量を低減することができ、記憶素子3を備えたメモリにおいて、消費電力を低減することができる。
従って、従来にない低消費電力のメモリを実現することが可能になる。
さらに、本実施の形態によれば、第1の絶縁層16と第2の絶縁層18の面積抵抗値に有意差があり、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の磁気抵抗変化率が低抵抗側(例えば第2の絶縁層18側)の磁気抵抗変化率よりも大きい、或いは、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値が低抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値の2倍以上である。これにより、高抵抗側の磁気抵抗変化率が低抵抗側の磁気抵抗変化率により打ち消される量が小さくなり、記憶素子3全体で大きい磁気抵抗変化率を得ることができる。
このように、記憶素子3の磁気抵抗変化率が充分な大きさであるため、磁気抵抗変化を利用して記憶素子3の記憶層17に記録された情報を読み出せば、高い出力が得られることから、容易に情報の読み出しを行うことができる。
これにより、記憶素子3を備えたメモリにおいて、例えば、情報の読み出しを行う際に記憶素子3に流す電流を小さくして読み出し時の消費電力を低減したり、出力を検出するための回路等の構成を簡略化したりすることが可能になる。
次に、本発明の他の実施の形態として、メモリを構成する記憶素子の断面図を図3に示す。
この記憶素子30は、第2の磁化固定層32が、積層フェリ構造となっている。
具体的には、第2の磁化固定層32は、3層の強磁性層22,24,26が、非磁性層23,25を介して積層されて反強磁性結合した構成である。
そして、第2の磁化固定層32の各強磁性層22,24,26が積層フェリ構造となっているため、強磁性層22の磁化M22が右向き、強磁性層24の磁化M24が左向き、強磁性層26の磁化M26が右向きとなっており、互いに反対向きになっている。
これにより、第2の磁化固定層32の各強磁性層22,24,26から漏れる磁束が、互いに打ち消し合う。
また、第2の磁化固定層32内の、それぞれの各強磁性層からの磁束が相殺される関係にある。
具体的には、第2の磁化固定層32において、合成磁化がほぼゼロとなるように、互いに磁化が反対の向きの強磁性層の飽和磁化と膜厚との積の和が等しいこと、即ち以下の関係が成り立つことが望ましい。
Ms22・t22+Ms26・t26=Ms24・t24
(ただし、Ms22,Ms24,Ms26は、それぞれ強磁性層22,24,26の飽和磁化であり、t22,t24,t26は、それぞれ強磁性層22,24,26の膜厚である。)
さらに、本実施の形態においては、第1の磁化固定層31のうち記憶層17に最も近い強磁性層15の磁化M15が左向きであり、第2の磁化固定層32のうち記憶層17に最も近い強磁性層22の磁化M22が右向きであり、これらが互いに反対の向きになっている。
このように記憶層17を挟む磁化固定層31,32において、それぞれ記憶層17に最も近い強磁性層15,22の磁化M15,M22が互いに反対の向きになっていることにより、スピン注入効率を増大させることができるため、スピン注入により記憶層17の磁化の向きを反転させるために必要な電流量を低減することができる。
その他の構成は、図2に示した記憶素子3と同様であるので、同一符号を付して重複説明を省略する。
即ち、第1の絶縁層16及び第2の絶縁層18は、図2に示した先の実施の形態の記憶素子3と同様に、面積抵抗値に有意差があり、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の磁気抵抗変化率が低抵抗側(例えば第2の絶縁層18側)の磁気抵抗変化率よりも大きい、或いは、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値が低抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値の2倍以上である。
また、本実施の形態の記憶素子30を用いて、図1に示したメモリと同様の構成のメモリを構成することができる。
即ち、記憶素子30を2種類のアドレス配線の交点付近に配置してメモリを構成し、2種類のアドレス配線を通じて記憶素子30に上下方向(積層方向)の電流を流して、スピン注入により記憶層17の磁化の向きを反転させて、記憶素子30に情報の記録を行うことができる。
上述の本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、記憶素子30の記憶層17を挟む磁化固定層31,32において、それぞれ記憶層17に最も近い強磁性層15,22の磁化M15,M22が互いに反対の向きになっていることにより、スピン注入効率を増大させることができる。これにより、スピン注入によって記憶層17の磁化M1の向きを反転させるために必要な電流量を、低減することができる。
また、記憶層17とその下層の第1の磁化固定層31との間の中間層が第1の絶縁層16であり、記憶層17とその上層の第2の磁化固定層32との間の中間層が第2の絶縁層18であり、いずれの中間層16,18も絶縁層であることにより、スピン流の減衰を抑制して、充分なスピン注入効率を得ることが可能になる。これにより、スピン注入効率をさらに向上して、スピン注入によって記憶層17の磁化M1の向きを反転させるために必要な電流量を、低減することができる。
即ち、記憶素子30に情報の記録を行うために必要な電流量を低減することができ、記憶素子30を備えたメモリにおいて、消費電力を低減することができる。
従って、従来にない低消費電力のメモリを実現することが可能になる。
さらに、本実施の形態によれば、先の実施の形態と同様に、第1の絶縁層16と第2の絶縁層18の面積抵抗値に有意差があり、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の磁気抵抗変化率が低抵抗側(例えば第2の絶縁層18側)の磁気抵抗変化率よりも大きい、或いは、高抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値が低抵抗側(例えば第1の絶縁層16側)の面積抵抗値の2倍以上である。これにより、高抵抗側の磁気抵抗変化率が低抵抗側の磁気抵抗変化率により打ち消される量が小さくなり、記憶素子30全体で大きい磁気抵抗変化率を得ることができる。
このように、記憶素子30の磁気抵抗変化率が充分な大きさであるため、磁気抵抗変化を利用して記憶素子30の記憶層17に記録された情報を読み出せば、高い出力が得られることから、容易に情報の読み出しを行うことができる。
これにより、記憶素子30を備えたメモリにおいて、例えば、情報の読み出しを行う際に記憶素子30に流す電流を小さくして読み出し時の消費電力を低減したり、出力を検出するための回路等の構成を簡略化したりすることが可能になる。
なお、上述の各実施の形態の説明では、記憶層17の下層の第1の絶縁層16が相対的に高抵抗であり、記憶層17の上層の第2の絶縁層18が相対的に低抵抗である構成として、説明したが、記憶層の下層の絶縁層が相対的に低抵抗であり、記憶層の上層の絶縁層が相対的に高抵抗である構成としてもよい。
(実施例)
ここで、本発明の記憶素子の構成において、具体的に各層の材料や膜厚等を選定して、特性を調べた。
実際には、メモリには、図1や図4に示したように、記憶素子以外にもスイッチング用の半導体回路等が存在するが、ここでは、記憶層の磁気抵抗特性を調べる目的で、記憶素子のみを形成したウエハにより検討を行った。
(膜構成1:サンプル1〜サンプル4)
まず、厚さ0.575mmのシリコン基板上に厚さ2μmの熱酸化膜を形成し、図2に示した構成の記憶素子3を形成した。
具体的には、図2に示した構成の記憶素子3において、下地膜11を膜厚3nmのTa膜、反強磁性層12を膜厚20nmのPtMn膜、第1の磁化固定層31を構成する強磁性層13,15を膜厚2nmのCo90Fe10膜、積層フェリ構造の磁化固定層31,32を構成する非磁性層14,20,22を膜厚0.8nmのRu膜、トンネル絶縁層となる第1の絶縁層16を膜厚0.5nmのAl膜を酸化した酸化アルミニウム膜、記憶層17を膜厚2nmのCo60Fe40膜・膜厚2nmのCo90Fe10膜の積層膜、第2の絶縁層18を膜厚0.4nmのAl膜を酸化した酸化アルミニウム膜、第2の磁化固定層32を構成する強磁性層19を膜厚2.5nmのCo90Fe10膜、反強磁性層20を膜厚30nmのPtMn膜、キャップ層21を膜厚5nmのTa膜と選定し、また下地膜11と反強磁性層12との間に図示しない膜厚100nmのCu膜(後述するワード線となるもの)を設けて、各層を形成した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成1)として、記憶素子3を作製した。
膜構成1:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Ox/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
なお、上記膜構成で、合金組成の示されていないPtMnの組成はPt50Mn50(原子%)とした。
酸化アルミニウム膜から成る絶縁層16,18以外の各層は、DCマグネトロンスパッタ法を用いて成膜した。
酸化アルミニウム(Al−O)膜から成る絶縁層16,18は、まず金属Al膜をDCスパッタ法により0.5nm又は0.4nm堆積させて、その後に酸素/アルゴンの流量比を1:1とし、自然酸化法により金属Al層を酸化させた。そして、高抵抗側の第1の絶縁層16は、チャンバーガス圧を10Torrとして、酸化時間により抵抗値を調整した。同様に、低抵抗側の第2の絶縁層18は、チャンバーガス圧を1Torrとして、酸化時間により抵抗値を調整した。
さらに、記憶素子3の各層を成膜した後に、磁場中熱処理炉で、10kOe・270℃・4時間の熱処理を行い、反強磁性層12,20のPtMn膜の規則化熱処理を行った。
次に、ワード線部分をフォトリソグラフィによってマスクした後に、ワード線以外の部分の積層膜に対してArプラズマにより選択エッチングを行うことにより、ワード線(下部電極)を形成した。この際に、ワード線部分以外は、基板の深さ5nmまでエッチングされた。
その後、電子ビーム描画装置により記憶素子3のパターンのマスクを形成し、積層膜に対して選択エッチングを行い、記憶素子3を形成した。記憶素子3部分以外は、ワード線のCu層直上までエッチングした。
なお、特性評価用の記憶素子には、磁化反転に必要なスピントルクを発生させるために、記憶素子に充分な電流を流す必要があるため、トンネル絶縁層の抵抗値を抑える必要がある。そこで、記憶素子3のパターンを、短軸0.09μm×長軸0.18μmの楕円形状とした。
次に、記憶素子3部分以外を、厚さ100nm程度のAlのスパッタリングによって絶縁した。
その後、フォトリソグラフィを用いて、上部電極となるビット線及び測定用のパッドを形成して記憶素子の試料を作製した。
上述の製造方法により、それぞれ絶縁層を形成する酸化時間を変えた、サンプル1〜サンプル4の記憶素子の各試料を作製した。
サンプル1及びサンプル2は、第2の絶縁層18の酸化時間を比較的短くして、面積抵抗値を低くした。サンプル3は、第2の絶縁層18の酸化時間を第1の絶縁層16の酸化時間と近くして、面積抵抗値の差を少なくした。サンプル4は、第1の絶縁層16の酸化時間を長くして、面積抵抗値を高くした。
なお、第1の絶縁層16の酸化時間は、サンプル1〜サンプル3が同じ時間である。第2の絶縁層18の酸化時間は、サンプル3とサンプル4が同じ時間である。
(膜構成2:サンプル5〜サンプル7)
上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18を窒化アルミニウム膜により形成し、その他の構成は膜構成1と同様にして、記憶素子を作製した。窒化アルミニウム膜は、金属Al膜をDCスパッタ法により0.4nm堆積させて、その後にアルゴンと窒素の混合ガスを流すことによりAl膜を窒化させて、AlN膜とした。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成2)として、記憶素子を作製した。
膜構成2:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Nx/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
そして、この膜構成2において、それぞれ絶縁層を形成する酸化時間を変えた、サンプル5〜サンプル7の記憶素子の各試料を作製した。
サンプル5及びサンプル6は、第2の絶縁層18の窒化時間を比較的短くして、面積抵抗値を低くした。サンプル7は、第2の絶縁層18の窒化時間をやや長くして、面積抵抗値の差を少なくした。
なお、第2の絶縁層18の窒化時間は、サンプル5とサンプル6が同じ時間である。
(膜構成3:サンプル8〜サンプル11)
下層の(高抵抗の)第1の絶縁層16を膜厚1nmのMgO(酸化マグネシウム)膜により形成し、その他の構成は膜構成1と同様にして、記憶素子を作製した。MgO膜は、RFスパッタ法により酸化物を直接堆積させて形成した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成3)として、記憶素子を作製した。
膜構成3:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/MgO(1nm)/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Ox/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
そして、この膜構成3において、それぞれ絶縁層を形成する酸化時間を変えた、サンプル8〜サンプル11の記憶素子の各試料を作製した。
サンプル8及びサンプル9は、第2の絶縁層18の酸化時間を比較的短くして、面積抵抗値を低くした。サンプル10は、第2の絶縁層18の酸化時間をやや長くして、面積抵抗値の差を少なくした。サンプル11は、第1の絶縁層16の面積抵抗値を高くした。
なお、第2の絶縁層18の酸化時間は、サンプル8とサンプル9、サンプル10とサンプル11がそれぞれ同じ時間である。
(膜構成4:サンプル12)
上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18と、第2の磁化固定層32を構成する磁性層19との間に、膜厚0.5nmのPt膜を形成し、その他の構成は膜構成1と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成4)として、記憶素子を作製した。
膜構成4:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Ox/Pt(0.5nm)/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル12の記憶素子の試料とした。
(膜構成5:サンプル13)
Pt膜の膜厚を3nmとして、その他の構成は膜構成4と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成5)として、記憶素子を作製した。
膜構成5:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Ox/Pt(3nm)/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル13の記憶素子の試料とした。
(膜構成6:サンプル14)
記憶層17と上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18との間に、膜厚0.5nmのRu膜を形成し、その他の構成は膜構成1と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成6)として、記憶素子を作製した。
膜構成6:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.5nm)/Al(0.4nm)-Ox/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル14の記憶素子の試料とした。
(膜構成7:サンプル15)
記憶層17と上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18との間のRu膜の膜厚を2.5nmとして、その他の構成は膜構成6と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成7)として、記憶素子を作製した。
膜構成7:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(2.5nm)/Al(0.4nm)-Ox/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル15の記憶素子の試料とした。
(膜構成8:サンプル16)
上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18を膜厚0.4nmのMgO膜により形成し、その他の構成は膜構成3と同様にして、記憶素子を作製した。即ち、下層の第1の絶縁層16及び上層の第2の絶縁層18を、共にMgO膜により形成し、MgO膜の膜厚が異なる構成である。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成8)として、記憶素子を作製した。
膜構成8:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/MgO(1nm)/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/MgO(0.4nm)/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル16の記憶素子の試料とした。
(膜構成9:サンプル17)
記憶層17と上層の(低抵抗の)第2の絶縁層18との間に、膜厚0.5nmのRu膜を形成し、その他の構成は膜構成8と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成9)として、記憶素子を作製した。
膜構成9:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/MgO(1nm)/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.5nm)/MgO(0.4nm)/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル17の記憶素子の試料とした。
(膜構成10:サンプル18)
下層の(高抵抗の)第1の絶縁層16を膜厚0.5nmの金属Al膜を窒化した窒化アルミニウム膜により形成し、その他の構成は膜構成2と同様にして、記憶素子を作製した。即ち、下層の第1の絶縁層16及び上層の第2の絶縁層18を、共に窒化アルミニウム膜により形成し、窒化アルミニウム膜の膜厚が異なる構成である。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成10)として、記憶素子を作製した。
膜構成10:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Nx/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.4nm)-Nx/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル18の記憶素子の試料とした。
(膜構成11:サンプル19)
絶縁層16までは膜構成1と同様に形成し、記憶層を膜厚2nmのCo60Fe40膜・膜厚4nmのNiFe膜の積層により形成し、その上にキャップ層を形成した構成として、記憶素子を作製した。即ち、磁化固定層が記憶層の一方の側のみに設けられた通常のスピン注入の記憶素子の構成である。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成11)として、記憶素子を作製した。
膜構成11:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/NiFe(4nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル19の記憶素子の試料とした。
(膜構成12:サンプル20)
記憶層と上層の第2の磁化固定層との間の中間層を、絶縁層ではなく、非磁性導電層である、膜厚6nmのCu膜により形成し、その他の構成は膜構成1と同様にして、記憶素子を作製した。
即ち、各層の材料及び膜厚を、下記の構成(膜構成12)として、記憶素子を作製した。
膜構成12:
Ta(3nm)/Cu(100nm)/PtMn(20nm)/Co90Fe10(2nm)/Ru(0.8nm)/Co90Fe10(2nm)/Al(0.5nm)-Ox/Co60Fe40(2nm)/Co90Fe10(2nm)/Cu(6nm)/Co90Fe10(2.5nm)/PtMn(30nm)/Ta(5nm)
これを、サンプル20の記憶素子の試料とした。
上述の各サンプルの記憶素子に対して、それぞれ以下のようにして特性の評価を行った。
なお、測定に先立ち、反転電流のプラス方向とマイナス方向の値を対称になるように制御することを可能にするため、記憶素子に対して、外部から磁界を与えることができるように構成した。また、記憶素子に流す電流量が、絶縁層16,18が破壊しない範囲内の1.2mAまでとなるように設定した。
(面積抵抗値の測定)
まず、記憶素子全体の抵抗値を測定した。
また、上述の各サンプルの記憶素子に対して、それぞれ下側半分の磁気抵抗素子(第1の反強磁性層12・第1の磁化固定層31・第1の絶縁層16・記憶層17の部分)を別に作製して、その抵抗値を測定した。
そして、記憶素子全体の抵抗値と下側半分の磁気抵抗素子の抵抗値とから、下側の第1の絶縁層に対応する第1の面積抵抗値と、上側の第2の絶縁層に対応する第2の面積抵抗値とを導出した。
(反転電流値・TMR比の測定)
記憶素子に電流を流して、その後の記憶素子の抵抗値を測定した。記憶素子の抵抗値を測定する際には、温度を室温25℃として、ワード線の端子とビット線の端子にかかるバイアス電圧が10mVとなるように調節した。さらに、記憶素子に流す電流量を変化させて、この記憶素子の抵抗値の測定を行い、測定結果から抵抗−電流曲線を得た。なお、この抵抗−電流曲線を得る測定は、両極性(プラス方向及びマイナス方向)の電流について行った。
この抵抗−電流曲線から、抵抗値が変化する電流値を求めて、これを磁化の向きを反転させる反転電流値とした。両極性の電流について、この反転電流値を求めた。さらに、両極性の反転電流値の絶対値の平均値を計算し、これを反転電流とした。
また、MTJ素子側の磁化固定層と記憶層の磁化の向きが反平行状態にあって抵抗が高い状態での抵抗値と、磁化固定層と記憶層の磁化の向きが平行状態であって抵抗が低い状態での抵抗値との比を求め、これをTMR比とした。
得られた結果をまとめて表1に示す。
Figure 2006093432
表1から、本発明の構成とした実施例のサンプルでは、30%以上のTMR比が得られると共に、磁化反転電流を0.5mA以下に低減することができることがわかる。
一方、比較例のサンプルのうち、第1及び第2の面積抵抗値の差が少ない、サンプル3・サンプル7・サンプル10では、TMR比が低く30%未満となった。
また、第1の面積抵抗値の大きい、サンプル4及びサンプル11では、磁化反転電流が非常に大きくなり、磁化反転電流を流すと素子が破壊した。
また、第2の絶縁層の界面に挿入する非磁性導電層の膜厚が厚い、サンプル13及びサンプル15では、磁化反転電流が大きくなってしまう。
また、磁化固定層が記憶層の一方のみに設けられたサンプル19では、磁化反転電流が大きい。
また、記憶層の上層の中間層を非磁性導電層としたサンプル20では、中間層が導電層であるために第2の面積抵抗値が小さくなっており、磁化反転電流が大きい。
従って、各実施例のサンプルのように、本発明の記憶素子の構成とすることにより、0.5mA以下の電流量で記憶層に情報の書き込みを行うことが可能であり、これまでにない低消費電力型のメモリを実現することが可能になる。
上述の各サンプルは、いずれも下層の第1の絶縁層16の方を高抵抗としたが、上層の第2の絶縁層18を高抵抗としても、同様に、2つの絶縁層16,18の面積抵抗値に有意差がある構成とすることにより、TMR比の向上と、記録電流の低減とを図ることができる。
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
本発明の一実施の形態のメモリの概略構成図(斜視図)である。 図1の記憶素子の断面図である。 本発明の他の実施の形態の記憶素子の断面図である。 スピン注入による磁化反転を利用したメモリの概略構成図(斜視図)である。 図4のメモリの断面図である。 従来のMRAMの構成を模式的に示した斜視図である。
符号の説明
3,30 記憶素子、11 下地層、12,20 反強磁性層、13,15,19,22,24,26 強磁性層、14,23,25 非磁性層、16 第1の絶縁層、18 第2の絶縁層、17 記憶層、21 キャップ層、31 第1の磁化固定層、32 第2の磁化固定層

Claims (10)

  1. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、
    前記記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、
    それぞれの前記中間層がいずれも絶縁層から成り、
    前記記憶層の上下の前記磁化固定層において、それぞれ前記記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、
    積層方向に電流を流すことにより、前記記憶層の磁化の向きが変化して、前記記憶層に対して情報の記録が行われ、
    前記記憶層の上下2つの前記中間層は、面積抵抗値に有意差があり、面積抵抗値の高い方の前記中間層の磁気抵抗変化率が面積抵抗値の低い方の前記中間層の磁気抵抗変化率よりも大きい
    ことを特徴とする記憶素子。
  2. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有し、
    前記記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、
    それぞれの前記中間層がいずれも絶縁層から成り、
    前記記憶層の上下の前記磁化固定層において、それぞれ前記記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、
    積層方向に電流を流すことにより、前記記憶層の磁化の向きが変化して、前記記憶層に対して情報の記録が行われ、
    前記記憶層の上下2つの前記中間層は、面積抵抗値に有意差があり、一方の前記中間層の面積抵抗値が他方の前記中間層の面積抵抗値の2倍以上である
    ことを特徴とする記憶素子。
  3. 2つの前記中間層が、酸化物或いは窒化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載の記憶素子。
  4. 2つの前記中間層が、酸化物或いは窒化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項2に記載の記憶素子。
  5. 2つの前記中間層が、主として、アルミニウム酸化物或いはアルミニウム窒化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載の記憶素子。
  6. 2つの前記中間層が、主として、アルミニウム酸化物或いはアルミニウム窒化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項2に記載の記憶素子。
  7. 2つの前記中間層のうち一方が、主としてマグネシウム酸化物から成り、もう一方が主としてアルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、マグネシウム酸化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項1に記載の記憶素子。
  8. 2つの前記中間層のうち一方が、主としてマグネシウム酸化物から成り、もう一方が主としてアルミニウム酸化物、アルミニウム窒化物、マグネシウム酸化物のいずれかから成ることを特徴とする請求項2に記載の記憶素子。
  9. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、
    互いに交差する2種類の配線とを備え、
    前記記憶素子は、前記記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの前記中間層がいずれも絶縁層から成り、前記記憶層の上下の前記磁化固定層において、それぞれ前記記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向の電流を流すことにより、前記記憶層の磁化の向きが変化して、前記記憶層に対して情報の記録が行われ、前記記憶層の上下2つの前記中間層は、面積抵抗値に有意差があり、面積抵抗値の高い方の前記中間層の磁気抵抗変化率が面積抵抗値の低い方の前記中間層の磁気抵抗変化率よりも大きい構成であり、
    前記2種類の配線の交点付近かつ前記2種類の配線の間に、前記記憶素子が配置され、前記2種類の配線を通じて、前記記憶素子に前記積層方向の電流が流れる
    ことを特徴とするメモリ。
  10. 情報を磁性体の磁化状態により保持する記憶層を有する記憶素子と、
    互いに交差する2種類の配線とを備え、
    前記記憶素子は、前記記憶層の上下に、それぞれ中間層を介して磁化固定層が設けられ、それぞれの前記中間層がいずれも絶縁層から成り、前記記憶層の上下の前記磁化固定層において、それぞれ前記記憶層に最も近い強磁性層の磁化の向きが互いに反対向きであり、積層方向の電流を流すことにより、前記記憶層の磁化の向きが変化して、前記記憶層に対して情報の記録が行われ、前記記憶層の上下2つの前記中間層は、面積抵抗値に有意差があり、一方の前記中間層の面積抵抗値が他方の前記中間層の面積抵抗値の2倍以上である構成であり、
    前記2種類の配線の交点付近かつ前記2種類の配線の間に、前記記憶素子が配置され、前記2種類の配線を通じて、前記記憶素子に前記積層方向の電流が流れる
    ことを特徴とするメモリ。
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