JP2006091600A - レンズへの膜形成方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成方法及び装置であって、レンズの膜形成対象表面に、膜厚均一性に優れ、緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することができるレンズへの膜形成方法及び装置を提供する。
【解決手段】成膜室10内に膜形成対象レンズ6をレンズ光軸Lが蒸着源40からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し傾斜する姿勢で配置し、該レンズ6を自転駆動しつつ蒸着源40から蒸着物質をレンズ6に蒸着させるとともにイオン又はプラズマをレンズ6に対し照射し、イオン又はプラズマの照射をレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向から照射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、DVD(digital versatile disc) 等のディスクから記録情報を再生する光ピックアップ装置などに用いられるレンズに膜を形成する方法及び装置に関する。
DVDを例にとると、今日では記録密度の増大を目的とした所謂青色DVD(使用光波長が405nm付近の青色波長のもの)が製品化されている。
かかる青色DVDに用いる光ピックアップ装置では、対物レンズが高NA化され、従来の対物レンズより曲率の大きいレンズが用いられるようになってきている。
このように曲率の大きいレンズでは、レンズ周縁部でのレンズ面の傾斜角度(レンズ光軸に垂直な面に対する傾斜角度)が大きいため、かかるレンズにレンズ光軸に平行な光を入射すると、レンズ周縁部ではレンズ面に対する光の入射角が大きくなり、そのため、650nmや780nmなどの長波長側の光の反射率が著しく上昇する。
そこで、このような場合、レンズに反射防止膜をコーティングすることが提案されている。レンズ表面への反射防止膜等の膜形成手法の一般的なものは真空蒸着法によるものである。例えば図3に示すように、成膜室1内に設けたドーム形のレンズホルダ2の下面にレンズ6をその被成膜面を下方に向けて保持させ、該ホルダを回転駆動部3で回転駆動しつつ該ホルダ下方に配置した蒸着源4からレンズ6へ向け蒸着材料(例えば誘電体材料)を蒸発させ、蒸着させるのである。
しかし、この方法では、一般にレンズの頂点部から周縁部へ向け膜厚が減少する傾向がある。レンズの曲率が大きい場合には、レンズ周縁部での膜厚の減少は特に顕著となる。その結果、曲率の大きいレンズの場合、既述のレンズ周縁部における光入射角増大による光反射率上昇と相まって、レンズ周縁部での光反射率がレンズ頂点部に対し著しく増大してしまい、所望のレンズ実用性能が得難くなる。
このようなレンズ周縁部でのレンズ面傾斜角度による膜厚減少の様子の概略を図示すると図4のようになる。図4に示すように、レンズ頂部61での膜厚をdo 、レンズ周縁部62におけるレンズ面傾斜角(換言すれば、レンズ周縁部レンズ面への蒸着物質の入射角度)をθ、レンズ周縁部での膜厚をdとすると、蒸着源からの蒸着物質が実質上広がりをもたないで平行にレンズに向かうと考えた場合、d=do cosθ(d<do )となる。
そこで、曲率の大きいレンズにおいても膜厚分布をできるだけ小さくする手法として、自公転機構(プラネタリ機構とも呼ばれる)や遊星回転機構を用いた成膜方法も既に提案されている。自公転機構については、例えば特開2003−7585号公報が開示しており、遊星回転機構については、例えば特開2000−73169号公報が開示している。
自公転機構を用いた成膜方法の例を図5に示す。この方法では、回転駆動部3’で回転駆動される第1ホルダ2’を成膜室1内に設け、該ホルダ2’にさらに第2ホルダ21を設けて、このホルダ21を回転駆動部31で回転駆動可能とし、このホルダ21にレンズ6を保持させ、かくしてレンズ6を第1ホルダ2’の回転により公転させるとともに第2ホルダ21の回転により自転させつつ、これらホルダの下方に配置した蒸着源4からレンズ6へ向け蒸着材料を蒸発させ、蒸着させるのである。
このとき、レンズ6は、その光軸Lが蒸着源4からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し、例えば角度βで傾斜するようにホルダ21に保持させる。この方法によると、レンズ6は、その光軸Lが、図3に示す方法の場合のように蒸着物質垂直上昇方向に対し平行又はほぼ平行ではなく、蒸着物質垂直上昇方向αに対し傾斜せしめられ、且つ、自公転運動しつつ膜形成されるので、それだけレンズ周縁部での膜厚減少を抑制することができる。
特開2000−73169号公報に開示されているような遊星回転機構を利用した成膜方法では、レンズ面がさらに均等に蒸着源に向けられるので、膜厚均一性はさらに向上すると考えられる。
特開2003−7585号公報 特開2000−73169号公報
しかし、遊星回転機構を利用した成膜方法は遊星回転機構が複雑で高価である。そこで自公転機構を利用してレンズの膜厚分布を改善しようとした場合、かなり大きな角度でレンズを傾ける必要がある。既述の図4を参照した説明から分かるように、レンズ面への蒸着物質の入射角度をθ’とすると、そのレンズ面への成膜による膜厚d’は、d’=do ’cosθ’(ここでdo ’はθ’=0°のとき成膜される膜厚)となる(なお、実際はすべての蒸着材料が直線的に飛来するわけではないのでここまでは減少しない)。
ここで、レンズ6の頂点部を蒸着源4に向けて成膜し、換言すれば、レンズ光軸を蒸着源4からの蒸着物質垂直上昇方向αに向けて成膜し、そのときレンズ頂点部における膜厚を1とすると、次表に示すように、該レンズにおけるレンズ面傾斜角度(レンズ光軸に垂直な面に対する傾斜角度(図4の角度θに相当する角度)が15°の部分での膜厚は0.97、30°の部分での膜厚は0.87、45°の部分での膜厚は0.71、60°の部分での膜厚は0.50と膜厚が減少していく。
これに対し、レンズ6の光軸を蒸着源4からの蒸着物質飛来方向αに対し(図5における角度βに相当する傾斜角度として)20°、40°、60°、70°と傾斜させて自転させつつ膜形成した場合、次表に示すように、40°傾けてもレンズ周縁部(例えばレンズ面傾斜角60°のレンズ面)での膜厚は依然として薄く、膜厚分布が改善されない。60°傾けると、いくらか改善される。レンズ面傾斜角が0〜60°の範囲にわたるレンズ面でほぼ均一な膜厚分布を得るためには、蒸着源に対してレンズ光軸を70°程度傾斜させる必要があることが分かる。
したがって、自公転機構によって曲率の大きいレンズ上に均一な膜厚で膜形成しようとする際には、レンズをかなり傾けた状態で成膜する必要がある。
レンズ面傾斜角に対する膜厚の変化
レンズ面傾斜角(θ) 蒸着物質垂直上昇方向αに対するレンズ光軸の傾斜角(β)
0° 20° 40° 60° 70°
0° 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00
15° 0.97 0.97 0.97 0.97 0.97
30° 0.87 0.87 0.87 0.87 0.96
45° 0.71 0.71 0.71 0.81 1.02
60° 0.50 0.50 0.54 0.76 1.03
ところが、図5に示す自公転機構による成膜方法では、レンズ6の頂点部におけるレンズ面(レンズ光軸に垂直な面や略垂直な面)が蒸着源4からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し大きく傾いているので、蒸着物質粒子のレンズ頂点部のレンズ面に対して垂直な方向のエネルギー成分が小さくなる。そのため、レンズ頂点部において膜の緻密性が損なわれ、結果としてレンズ頂点部での膜の屈折率が小さくなったり、膜のレンズ本体への密着性や膜硬度が不十分になったりする不具合が生じる。
このような不具合を解消する方法として、真空蒸着法においてレンズにイオンやプラズマを照射しながら膜形成するイオンアシスト成膜法やプラズマアシスト成膜法と呼ばれている膜形成方法を採用することが考えられる。
図6にその膜形成方法の例を示す。すなわち、図5に示す自公転機構による成膜方法において、イオン照射装置或いはプラズマ照射装置5を併用し、かかる装置5からレンズ6へ向けてイオン或いはプラズマを照射しながら膜形成するのである。これにより、成膜時の膜の緻密性等を向上させることができる。
しかし、膜厚均一性を向上させるために自公転機構による成膜方法を採用して、レンズ6を蒸着源4に対し傾けて支持し、且つ、イオンアシストやプラズマアシストを併用した場合、レンズ周縁部においては、イオンやプラズマの照射効果が認められるが、レンズ面に対する蒸着物質の入射角がもっとも大きく、膜質を改善したいレンズ頂点部においてはイオンアシストやプラズマアシストの効果が十分得られない。
そこで本発明は、レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成方法及び装置であって、レンズの膜形成対象表面に、膜厚均一性に優れ、緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することができるレンズへの膜形成方法及び装置を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するため本発明は次の膜形成方法及び膜形成装置を提供する。
(1)レンズへの膜形成方法
レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成方法であり、成膜室内に膜形成対象レンズをレンズ光軸が該成膜室内の蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し傾斜する姿勢で配置し、該レンズを自転駆動しつつ該蒸着源から蒸着物質を該レンズに蒸着させるとともにイオン又はプラズマを該レンズに対し照射し、該イオン又はプラズマの照射をレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向から照射するレンズへの膜形成方法。
(2)レンズへの膜形成装置
レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成装置であり、成膜室と、該成膜室に設置されたレンズ支持装置と、該レンズ支持装置下方において該成膜室に設置された蒸着源と、イオン照射装置又はプラズマ照射装置とを含んでおり、該レンズ支持装置は、成膜対象レンズをレンズ光軸が該蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し傾斜する姿勢で支持して自転駆動するものであり、該イオン照射装置又はプラズマ照射装置は、該レンズ支持装置に支持される成膜対象レンズにレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向からイオン又はプラズマを照射可能に設置されているレンズへの膜形成装置。
本発明に係るレンズへの膜形成方法及び装置によると、膜形成対象レンズをレンズ光軸が蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し傾斜する姿勢で配置して自転駆動しつつ蒸着源から蒸着物質を該レンズに蒸着させるので、それだけ膜厚均一性良好に膜形成できる。 なお、「自転駆動」とは、実質上レンズの光軸を中心としてレンズを回転させることを言う。
また、成膜対象レンズにレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向からイオン又はプラズマを照射しつつ膜形成するので、レンズ頂点部に十分なイオンアシスト或いはプラズマアシストの効果が発揮され、レンズ頂点部を含めレンズ全体に緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することができる。
本発明に係る膜形成方法及び装置における膜形成対象レンズとしては、DVD等のディスクから記録情報を再生する光ピックアップ装置などに用いられるレンズを例示できる。いずれにしても、特にレンズ面最大傾斜角度が60°以上のレンズを例示できる。レンズ面傾斜角度の上限についてはレンズにより異なり、それとは限定されないが概ね60°〜80°程度を例示できる。
形成する膜としては、例えばかかる光ピックアップ装置などに用いられるレンズの場合、光反射防止膜を代表例として挙げることができる。
また、本発明に係る膜形成方法及び装置における膜形成対象レンズの配置姿勢としては膜厚均一性を良好にできる姿勢であればよいが、例えば、レンズ光軸が蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し60°以上の角度で傾斜するように配置する場合を挙げることができる。上限については蒸着物質垂直上昇方向に対し80°程度以下を例示できる。
この場合、本発明に係る膜形成装置においては、前記レンズ支持装置として、膜形成対象レンズをレンズ光軸が前記蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対しそのような角度で傾斜するように該レンズを支持する装置を採用すればよい。
また、本発明に係る膜形成方法及び装置におけるイオン又はプラズマの膜形成対象レンズへの照射角度としては、緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成するうえで、レンズ光軸に対し30°以下であることが好ましい。
この場合、本発明に係る膜形成装置では、イオン照射装置或いはプラズマ照射装置として、そのような角度でイオン又はプラズマを膜形成対象レンズに照射できるものを採用すればよい。
以上説明したように本発明によると、レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成方法及び装置であって、レンズの膜形成対象表面に、膜厚均一性に優れ、緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することができるレンズへの膜形成方法及び装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係るレンズへの膜形成装置の1例を示している。
この膜形成装置Aは成膜室10内にレンズ支持装置20、蒸着源40、イオン照射装置としてイオン源50を配置するとともに膜形成対象レンズ6を加熱するためのヒータHを配置し、成膜室10内を排気装置70で所定の成膜圧力に排気減圧できるようにしたものである。
レンズ支持装置20は、成膜室10の天井壁近傍に架設した支持基体201からレンズホルダ202を吊り下げたものである。レンズホルダ202はこれを回転駆動するモータ203を介して支持基体201に支持されている。
蒸着源40はレンズ支持装置20の下方に配置されており、それとは限定されないが、本例では電子ビーム蒸着源であり、ここからの蒸着物質は上方へ飛翔する。
膜形成対象レンズ6はレンズホルダ202に支持させてモータ203にてレンズ光軸Lを中心に回転駆動することができる。また、レンズホルダ202はレンズ6をその光軸Lが蒸着源40からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し60°以上の角度βをなすように支持することができる。
イオン源50は、レンズホルダ202に前記のように支持されるレンズ6に、そのレンズ光軸Lに対し30°以下の照射角度でイオンを照射することができるように設置されている。
膜形成装置Aによると次のようにレンズ6に膜形成することができる。すなわち、図示省略の成膜室扉を開いてレンズ6をレンズホルダ202に支持させ、そのあと成膜室扉を気密に閉じ、排気装置70の運転により成膜室10内を所定の成膜圧に維持し、モータ203でレンズホルダ202を回転駆動することでそれに支持されたレンズ6を光軸Lを中心に自転駆動しつつ、また、必要に応じヒータHでレンズ6を所定の成膜温度に加熱しつつ、蒸着源40から所定の蒸着物質を蒸発させ、レンズ6に蒸着させるとともにイオン源50から所定のイオンをレンズ6に照射する。かくして、レンズ6表面に所望の膜が形成される。
この膜形成装置Aによる膜形成方法によると、膜形成対象レンズ6をレンズ光軸Lが蒸着源40からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し60°以上の角度βで傾斜する姿勢で配置して自転駆動しつつ蒸着源40から蒸着物質を該レンズに蒸着させるので、それだけ膜厚均一性良好に膜形成できる。レンズ6のレンズ面最大傾斜角度が60°以上である場合でも、膜厚分布を均一化できる。
また、レンズ6にレンズ光軸Lに対し30°以下の角度でイオンを照射しつつ膜形成するから、レンズ頂点部に十分なイオンアシスト効果が発揮され、レンズ頂点部を含めレンズ全体に緻密性良好な、従って膜硬度が高い等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することができる。
図2は本発明に係る膜形成装置の他の例Bを示している。この膜形成装置Bは膜形成装置Aにおいて、レンズ支持装置20における支持基体201をモータ30で回転駆動可能とし、支持基体201には左右対象に一対のレンズホルダ202を吊り下げ設け、各ホルダ202をモータ203で回転駆動できるようにし、イオン源50及びヒータHも左右対象のホルダ202に対しそれぞれ設けたものである。その他の点は装置Aと同様の構成であり、装置Aにおける部品や部分と同じ部品や部分には装置Aと同じ参照符号を付してある。
この装置Bにおいても、膜形成対象レンズ6はレンズホルダ202に支持させてモータ203にてホルダ202を回転駆動することでレンズ光軸Lを中心に回転駆動することができる。また、レンズホルダ202はレンズ6をその光軸Lが蒸着源40からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し60°以上の角度βをなすように支持することができる。
イオン源50は、レンズホルダ202に前記のように支持されるレンズ6に、そのレンズ光軸Lに対し30°以下の照射角度でイオンを照射することができる。
装置Bにおいても、膜形成対象レンズ6をレンズ光軸Lが蒸着源40からの蒸着物質垂直上昇方向αに対し60°以上の角度βで傾斜する姿勢で各ホルダ202に支持させて自転駆動しつつ且つ支持基体201をモータ30で回転駆動することで公転させつつ、蒸着源40から蒸着物質を該レンズに蒸着させて膜厚均一性良好に膜形成できる。
また、レンズ6にレンズ光軸Lに対し30°以下の角度でイオンを照射しつつ膜形成できるので緻密性(従って膜硬度)等の膜質の点でも優れた膜をレンズ6へ密着性良好に形成することができる。
なお、図2では、レンズホルダ202は二つしか示されていないが、三つ以上設けることも可能である。このように複数のレンズに膜形成できるので効率良く膜形成できる。また、レンズホルダ202及びこれに支持されたレンズ6は公転させるから、イオン源50は一つでもよい。しかし、二つ以上設けておくことで、効率良く所望の膜を形成できる。
また、装置A、Bのいずれにおいても、イオン源50に代えてプラズマ照射装置を採用することも可能である。さらに装置A、装置Bのいずれにおいても、レンズ上に単層膜だけでなく、多層膜を形成することも可能である。例えば、蒸着源として異なる蒸着材料を採用した複数の蒸着源を用いてレンズ上に多層膜を形成することが可能である。
次に、図1に示す膜形成装置Aを用いて光ピックアップ装置等に使用する半球形状レンズ(レンズ面最大傾斜角度ほぼ90°)の表面にLaTiO3 からなる光反射防止膜を形成した実験例1〜3について説明する。併せて比較実験例1、2についても説明する。比較実験例でも膜形成対象レンズは実験例と同じであり、装置Aを用いた。但し、比較実験例1ではイオン源50は使用しないで膜形成した。実験条件は以下のとおりである。
実験例1〜3、比較実験例1〜2のいずれにおいても、
蒸着源40はLaTiO3 を蒸着材料とする蒸着源とし、
レンズの自転回転数は100rpm、
レンズ光軸Lの蒸着物質垂直上昇方向αに対する傾斜角度βは70°、
レンズの加熱温度(成膜温度)は300℃、
成膜圧力は1×10-2Paに設定した。
実験例1〜3、比較実験例2におけるイオン源50の条件については、いずれも、
イオン源における導入ガス種及び導入ガス量は酸素ガス50sccmとし、
イオン加速電圧600V、イオンビーム電流500mAで酸素イオンをレンズに照射可能とした。
イオン照射角度はレンズ光軸に対し、実験例1では0°、実験例2では30°、実験例3では40°とした。比較実験例2では、イオン源50を成膜室10の底部中央に上方へ向けて配置してレンズにイオン照射した(イオン源の条件は実験例1〜3と同じ)。
比較実験例2では、イオン源50がレンズに直接的に向けられていないが、イオンの広がり角の範囲内にレンズが存在しており、その際のイオン照射角度はレンズ光軸に対し約50°であった。
次表にこれら実験例、比較実験例により形成した膜の評価をまとめて示す。
次表において膜屈折率は波長550nmの光に対するものである。
膜硬度は、コスリ試験にて評価した。コスリ試験による評価は、エタノールを染み込ませた綿フキンに約500g重の荷重を加え、これで膜を10往復こすったのち、膜の外観を目視観察し、試験前後での状態変化を調べることで行った。膜硬度欄において「○」はキズ無し、「△」は僅かにキズが認められるが実用上許容できる程度、「×」は実用上許容できない程度に多数のキズが認められることを示している。
膜密着は、テープ試験にて評価した。テープ試験による評価は、膜の表面にいわゆるセロファンテープ(ニチバン社製)を指の腹でしっかりと貼り付けたのち、膜面に対し垂直方向にテープを瞬時に引きはがし、膜が剥離していないかどうかを目視で調べることで行った。膜密着性欄において「○」は膜剥がれ無し、「×」は膜剥がれ有りを示している。
レンズ周縁部 レンズ頂点部
膜硬度 膜密着性 膜屈折率 膜硬度 膜密着性 膜屈折率
比較実験例1 △ ○ 1.8 × × 1.6
比較実験例2 ○ ○ 1.9 △ ○ 1.8
実験例1(0°) ○ ○ 1.9 ○ ○ 1.95
実験例2(30°) ○ ○ 1.93 ○ ○ 1.91
実験例3(40°) ○ ○ 1.93 △ ○ 1.85
イオンアシストを実施しない比較実験例1においては、レンズ周縁部では膜硬度にやや問題があるものの比較的良質の膜が形成されている。しかし、レンズ頂点部においては膜硬度、密着性、屈折率のどれも不十分な膜であった。
成膜室10の底部中央から上方に向かってイオンを照射した比較実験例2においては膜質はかなり改善されたもののレンズ頂点部での膜硬度は不足していた。膜屈折率についても満足し難い。
実験例1、2においては膜硬度及び膜密着性、膜屈折率において実用上問題のない膜が得られた。特にレンズの頂点部においては膜質が大幅に改善され、実験例1においては、レンズ周縁部よりも高い屈折率が得られた。また、レンズ周縁部においてもイオンアシストの効果により膜質の改善が見られた。
実験例3においては、レンズ周縁部の膜屈折率がさらに向上したが、頂点部の膜硬度においてやや不十分な膜であった。これはレンズ頂点部に対するイオンの入射角度が大きくなるため実験例1、2に比べて蒸着面に与えられるエネルギーが減少するためであると考えられる。しかし、実用には供し得る膜である。
以上の実験から、イオンを照射する角度としてはレンズ光軸に対して0〜40°程度が好ましく、より好ましくは0〜30°程度であると言える。
本発明は、例えば光ピックアップ装置において使用するレンズ等のレンズの表面に真空蒸着法により反射防止膜等の膜を形成するにあたり、膜厚均一性に優れ、緻密性等の膜質の点でも優れた膜を密着性良好に形成することに利用できる。
本発明に係る膜形成装置の1例を示す図である。 本発明に係る膜形成装置の他の例を示す図である。 従来の膜形成装置例を示す図である。 レンズの周縁部レンズ面に形成される膜の厚さの説明図である。 従来の膜形成装置の他の例を示す図である。 図5に示す膜形成装置の考えられる改良例を示す図である。
符号の説明
A、B 膜形成装置
10 成膜室
20 レンズ支持装置
201 支持基体
202 レンズホルダ
203 モータ
30 モータ
40 蒸着源
50 イオン照射装置の1例であるイオン源
H ヒータ
70 排気装置
6 膜形成対象レンズ
L レンズ光軸
α 蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向
β 方向αに対するレンズ光軸のなす角度
θ レンズ面傾斜角度

Claims (8)

  1. レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成方法であり、成膜室内に膜形成対象レンズをレンズ光軸が該成膜室内の蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し傾斜する姿勢で配置し、該レンズを自転駆動しつつ該蒸着源から蒸着物質を該レンズに蒸着させるとともにイオン又はプラズマを該レンズに対し照射し、該イオン又はプラズマの照射をレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向から照射することを特徴とするレンズへの膜形成方法。
  2. 前記膜形成対象レンズは、レンズ面最大傾斜角度が60°以上のレンズである請求項1記載のレンズへの膜形成方法。
  3. 前記膜形成対象レンズの配置をレンズ光軸が前記蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し60°以上の角度で傾斜するように行う請求項1又は2記載のレンズへの膜形成方法。
  4. 前記イオン又はプラズマの前記膜形成対象レンズへの照射角度がレンズ光軸に対し30°以下である請求項1、2又は3記載のレンズへの膜形成方法。
  5. レンズ表面に真空蒸着法により膜形成するレンズへの膜形成装置であり、成膜室と、該成膜室に設置されたレンズ支持装置と、該レンズ支持装置下方において該成膜室に設置された蒸着源と、イオン照射装置又はプラズマ照射装置とを含んでおり、該レンズ支持装置は、成膜対象レンズをレンズ光軸が該蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し傾斜する姿勢で支持して自転駆動するものであり、該イオン照射装置又はプラズマ照射装置は、該レンズ支持装置に支持される成膜対象レンズにレンズ光軸方向及び(又は)略レンズ光軸方向からイオン又はプラズマを照射可能に設置されていることを特徴とするレンズへの膜形成装置。
  6. 前記膜形成対象レンズは、レンズ面最大傾斜角度が60°以上のレンズである請求項5記載のレンズへの膜形成装置。
  7. 前記レンズ支持装置は膜形成対象レンズをレンズ光軸が前記蒸着源からの蒸着物質垂直上昇方向に対し60°以上の角度で傾斜するように該レンズを支持する請求項5又は6記載のレンズへの膜形成装置。
  8. 前記イオン照射装置又はプラズマ照射装置は、レンズ光軸に対し30°以下の照射角度で前記膜形成対象レンズにイオン又はプラズマを照射する請求項5、6又は7記載のレンズへの膜形成装置。
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