JP2006106242A - 反射防止膜及びその反射防止膜を有する光学物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 反射防止膜及びその反射防止膜を有する光学物品に関し、特に表面コーティング層の剥離強度の向上および耐湿性/耐候性を向上した光学物品を提供する。
【解決手段】 本発明の反射防止膜の形成方法は、蒸着装置内に配置した光学基板の表面に金属酸化物からなる薄膜を、少なくとも1層以上形成する反射防止膜であって、前記反射防止膜を少なくとも1回以上の蒸着装置から取り出すことにより耐湿性/耐候性を向上した、反射防止膜を有する光学物品を提供する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止膜及びその反射防止膜を有する光学物品に関し、特に表面コーティング層の剥離強度の向上および耐湿性/耐候性の向上に関する。
近年、レンズ等の光学物品の材料として、軽量、小型化、あるいはコストダウン等のニーズから、プラスチックが多用されている。プラスチック製光学物品(光学基板)の表面には、一般的にハードコート層(硬化層)が形成され、最表面には反射防止を目的とした金属酸化物の単層膜または多層膜(反射防止膜)が形成されている。これらプラスチック製光学物品表面に形成する反射防止膜は、反射防止特性が優れていることは言うまでもなく、プラスチック製光学物品自体の耐環境性を確保することが必要になる。
プラスチック製光学物品は、ガラス製に比べ軽く、割れにくいという特徴を持っている反面、湿度や紫外線等の環境に影響を受けやすく、ハードコート、プライマー、反射防止膜等の表面コーティング層の剥がれや、プラスチック製光学物品表面に微少な凹凸が発生するなどの問題が発生しやすい。
これらの問題点を解決するため、プラスチック表面にプラズマ処理を行い、密着性を改善する方法が開示されている。(たとえば特許文献1)またCVD法にて酸化チタン、窒化珪素等の紫外線吸収膜を形成する方法が開示されている。(たとえば特許文献2)
特開平11−316302号公報 特開平5−152213号公報
しかしながら、特許文献1に記載される製造方法ではプラスチック表面を処理するための真空装置が必要であり、通常の洗浄よりも時間がかかるため、製造時間およびコストが増加する等の課題がある。また特許文献2に記載される方法は、成膜のための温度が300℃以上でありプラスチック製光学物品には形成することができない。また紫外線を吸収するためにある程度の膜厚が必要であるため、反射防止膜の設計の自由度が低下してしまうという欠点がある。さらにプラスチック表面には一般に酸化チタンゾルを用いたハードコート層が形成されているため、透過光の吸収端が同じ酸化チタンでは紫外線の吸収を完全に遮断することは不可能である。
さらに付け加えると、前記2つの方法は表面コーティング層の剥がれを防止することは可能であるが、プラスチック製光学物品表面に発生する微少な凹凸を防止することはできない。
そこで本発明は、プラスチック製光学物品の耐環境性を向上させる反射防止膜の形成方法およびそれを有する光学物品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の反射防止膜の形成方法は、蒸着装置内に配置した光学基板の表面に金属酸化物からなる薄膜を、蒸着法によって形成する反射防止膜であって、前記反射防止膜の形成途中に少なくとも1回以上蒸着装置から取り出すことを特徴とする。
この方法によればプラスチック製光学物品の表面コーティングの剥がれや表面に発生する微少な凹凸を防止することが可能になる。紫外線の影響による表面コーティングの剥がれは、紫外線がハードコートを構成する酸化チタン等に吸収され、その付近に存在するH2O分子を分解しOHラジカルを生成(いわゆる光触媒反応)し、そのOHラジカルが有機物を分解する事によると発明者は考えている。反射防止膜の形成途中に1回以上蒸着装置から取り出すことによって反射防止膜の厚さ方向に連続したピンホール(金属酸化物薄膜の穴)が途中でとぎれるため、反射防止膜を貫通したピンホールが形成されにくくなる。そのためH2O分子(水分)がハードコート層に供給されなくなり、紫外線が存在する状況下でも表面コーティングの剥がれを防止することが可能になる。またプラスチック製光学物品の表面に発生する微少な凹凸は、反射防止膜に発生したピンホールから侵入したH2O分子がプラスチック基板に到達することによってプラスチックが膨潤し変形することによって引き起こされると発明者は考えている。そのため前記方法によればH2O分子の透過を低減できるためプラスチック製光学物品に発生する微少な凹凸を防止することが可能になる。
さらに、本発明の反射防止膜の形成方法は、蒸着装置内に配置した光学基板の表面に、金属酸化物からなる薄膜を、形成する反射防止膜であって、前記光学基板をすくなくとも1回以上の蒸着装置から取り出した後、洗浄することを特徴とする。反射防止膜の形成途中で蒸着装置内から前記光学基板を取り出し洗浄することによって、反射防止膜の形成前および形成中に付着した異物を除去することができる。そのため洗浄後に残りの反射防止膜を形成する事によって、始めに形成された反射防止膜に存在するピンホールを後の反射防止膜が覆うために、反射防止膜全体を貫通するピンホール(穴)が形成されにくくなる。また洗浄によって異物が除去された後も、環境から発生した異物や蒸着装置内の異物(パーティクル)等が再度光学基板表面に付着するが、洗浄前に異物が付着していた場所と洗浄後に付着した異物の位置が一致することは考えられないため反射防止膜全体を貫通するピンホール(穴)が形成されにくくなる。この方法によれば光学基板表面に付着した異物(ゴミ)による反射防止膜を貫通したピンホール等を低減することが可能になるため表面コーティングの剥がれや表面に発生する微少な凹凸を防止することが可能になる。
さらに、本発明の反射防止膜の形成方法は、蒸着装置内に配置した光学基板の表面に、金属酸化物からなる薄膜を、1回以上の蒸着装置から取り出した後、界面活性剤を含有した水よって超音波洗浄することを特徴とする。この方法によれば反射防止膜の形成前および形成中に付着した異物を効率的に除去することができる。そのため洗浄後に残りの反射防止膜を形成することによって元々異物のあった場所のピンホール(穴)を残りの反射防止膜によって塞ぐことが可能になる。
さらに、本発明の光学物品は蒸着装置内に配置した光学基板の表面に金属酸化物からなる薄膜を、蒸着法によって形成する反射防止膜であって、前記反射防止膜の形成途中に少なくとも1回以上蒸着装置から取り出すことを特徴とする反射防止膜が形成されていることを特徴とする。この光学物品は反射防止膜のピンホール(穴)が非常に少ないため外部環境からの水分等が光学物品の基板に到達しにくくなる。そのため表面コーティングの剥がれや、光学物品基板表面の微細な凹凸が発生しにくくなる。
さらに、本発明の光学物品はプラスチックまたはハードコート層に覆われた基板であり、蒸着装置内に配置した光学基板の表面に金属酸化物からなる薄膜を、蒸着法によって形成する反射防止膜であって、前記反射防止膜の形成途中に少なくとも1回以上蒸着装置から取り出すことを特徴とする反射防止膜が形成されていることを特徴とする。この光学物品は反射防止膜のピンホール(穴)が非常に少ないため外部環境からの水分等が光学物品の基板に到達しにくくなる。そのため表面コーティングの剥がれや、光学物品基板表面の微細な凹凸が発生しにくくなる。
本発明における多層の反射防止膜を構成する金属酸化物膜は、高屈折率層としてはZrO2、TiO2、Ta25、Nb25またはこれらの混合物、低屈折率層としてはSiO2、中屈折率層としてはAl23、Y23の金属酸化物またはこれらの混合物からなる。単層の反射防止膜としてはSiO2よりも屈折率の低いポーラスシリカ等がある。
多層反射防止膜としては、光学基板に最も近い層に低屈折率層を形成し、その低屈折率層の表面に高屈折率層と低屈折率層を交互に5層積層した多層膜、または光学基板に最も近い層が低屈折率層であり、高屈折率層と低屈折率層を交互に7層積層した多層膜、あるいは光学基板に最も近い層から中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の順に3層積層した多層膜等が一般に用いられる。
前記反射防止膜の形成途中に、少なくとも1回以上光学基板を蒸着装置から取り出すタイミングとしては、たとえば7層構成の反射防止膜の場合、1層目と2層目の間、2層目と3層目の間、3層目と4層目の間、4層目と5層目の間、5層目と6層目の間、6層目と7層目の間が主に考えられるが、各層の中間、たとえば4層目の形成途中で蒸着装置内から基板を取り出し、4層目の途中から再度反射防止膜を形成する方法であってもかまわない。この場合4層目が2つの工程に分割されるため厳密には層数が1層増加することになるが、光学的には屈折率が略同一の膜が重なっている場合、単一の層として考えることができる。単層の反射防止膜の場合は言うまでもなく層の中間で蒸着装置から取り出すことになる。すなわち層の形成途中で一旦蒸着装置より取り出した後、再度略同一の膜を形成する。この場合も前述したように単一の層が2つの工程に分割されるため厳密には2層になるが、光学的には屈折率が略同一の膜が重なっている場合、単一の層として考えることができる。
反射防止膜の形成方法に特に制限はないが、電子ビーム蒸着法、直流および高周波スパッタリング法、化学気相成長法(CVD法)等が考えられる。
また、本発明の光学物品は、プラスチックまたはハードコート層に覆われたプラスチックからなる光学基板の表面に、少なくとも1回以上光学基板を蒸着装置から取り出すことにより形成された反射防止膜が形成されたことを特徴とする。
これによれば、反射防止膜を貫通したピンホールまたは欠陥を低減した反射防止膜が形成されることにより、表面コート層の剥がれや光学物品表面にできる微細な凹凸を防止した、反射防止膜を有するプラスチック製光学物品を得ることができる。
本発明における光学物品(光学基板)としては、レンズ、光ディスク、ディスプレイ等が挙げられる。これらの光学基板の材質としては、アクリル樹脂、チオウレタン系樹脂、メタクリル系樹脂、アリル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)等のプラスチック等が挙げられる。
プラスチック製光学基板の表面に反射防止膜を形成する場合には、光学基板の表面に直接反射防止膜を形成してもよいが、ハードコート層をディッピング法またはスピンコート法等の塗布法により成膜し、このハードコート層上に反射防止膜を形成するのが密着性等を確保する上で望ましい。またハードコートと光学基板の間にプライマー層を形成することもハードコート層と光学基板の密着性を確保する上で望ましい。なお、本発明において、反射防止膜の形成の前に、光学基板またはハードコート層との密着性を高めるためにアルカリ処理、プラズマ処理、イオン処理などの表面の清浄化と活性化をする事が望ましい。
また反射防止膜の形成途中で蒸着装置内から取り出し、再度反射防止膜を形成する前にもプラズマ処理やイオン処理をすることが密着性を確保する上で望ましい。
また、本発明において、反射防止膜上に撥水層または防曇層などの保護層をつけることができる。例えば保護層の形成方法としてはディッピング法、蒸着法、プラズマCVD法、PVD法等が挙げられる。
以下、本発明の反射防止膜について説明する。先ず、反射防止膜の製造に用いる蒸着装置について説明する。
図1は反射防止膜の製造に用いる蒸着装置の模式図である。図1において、蒸着装置1は、真空容器11、排気装置20、ガス供給装置30を備えている。いわゆる電子ビーム蒸着装置である。
また、真空容器11は、真空容器11内に蒸着材料がセットされた蒸発源(るつぼ)12、13、蒸発源12、13の蒸着材料を加熱溶解(蒸発)する加熱手段14、反射防止膜を形成する基板(光学物品)Sを載置する基板支持台15、基板Sを加熱するための基板加熱用ヒータ16等を備えている。必要に応じて真空容器10内に残留した水分を除去するためのコールドトラップや、酸素等のガスを導入し、導入したガスをイオン化し加速して基板Sに照射する装置、膜厚を管理するための装置等が具備される。
蒸発源12、13は、蒸着材料がセットされたるつぼであり、真空容器11の下部に配備されている。
加熱手段14は、フィラメントに高電圧が印加されることで発生する電子ビームを、電子銃により偏向して、蒸発源12、13にセットされた蒸着材料に照射し蒸発させる。いわゆる電子ビーム蒸着が行われる。蒸着材料を蒸発させる他の方法として、タングステン等の抵抗体に通電し蒸着材料を溶融/気化する方法(いわゆる、抵抗加熱蒸着)、高エネルギーのレーザー光を蒸発させたい材料に照射する方法等がある。
基板支持台15は、所定数の基板Sを載置する支持台であり、蒸発源12,13と対向した真空容器11内の上部に配備されている。基板支持台15は、基板Sに形成される反射防止膜の均一性を確保し、かつ量産性を高めるために回転機構を有するのが好ましい。
基板加熱用ヒータ16は、例えば赤外線ランプからなり、基板支持台15の上部に配備されている。基板加熱用ヒータ16は、基板Sを加熱することにより基板Sのガス出し(あるいは、水分とばし)を行い、基板Sの表面に形成される薄膜の密着性を確保する。赤外線ランプの他に抵抗加熱ヒータ等を用いることができる。但し、基板Sの材質がプラスチックの場合には、赤外線ランプを用いるのが好ましい。
排気装置20は、真空容器11内を高真空に排気する装置であり、ターボ分子ポンプ21と、真空容器11内の圧力を一定に保つ圧力調節バルブ22を備えている。
ガス供給装置30は、Ar、N2、O2等のガスを内蔵するガスシリンダー31と、ガスの流量を制御する流量制御装置32とを備えている。ガスシリンダー31に内蔵されたガスは、流量制御装置32を介して真空容器11内に導入される。
圧力計50は、真空容器11内の圧力を検出する。圧力計50によって検出された圧力値に基づき、排気装置20の圧力調節バルブ22が、制御部(図示せず)からの制御信号により制御されて、真空容器11内の圧力が所定の圧力値に保たれる。真空容器11内の圧力は、ガス供給装置30のガスシリンダー31から供給されるガスの流量を制御する流量制御装置32を制御する方法でも可能である。
以上に説明した蒸着装置1(真空容器11)内の基板支持台15に光学物品(基板)Sが載置されて、蒸着装置1を稼動して光学物品に反射防止膜の形成が行われる。
次に、本発明を具体的に説明する。
(実施例)
本実施形態は、反射防止膜を形成する光学物品(光学基板または基板)として、例えばプラスチック製光学物品を用いた。基板Sは、チオウレタン系樹脂を熱硬化した光学基板であり、この基板Sの屈折率は1.60であった。また、基板Sの表面にはあらかじめハードコート層が形成されている。そして、形成する反射防止膜の低屈折率層の蒸着材料としてSiO2、高屈折率層としてZrO2を用いた。反射防止膜は5層で構成した。
先ず、蒸着装置1(真空容器11)内の基板支持台15に基板Sを載置する。真空排気装置20によって真空容器11内が真空に排気される。本実施例では略10-3Paまで真空引きを行った。この状態で蒸発源12内に置かれた蒸着材料のSiO2に、加熱手段14から電子ビームが照射されて、SiO2が溶融/気化することによって、基板Sの表面にSiO2の層が形成される。
次に、蒸発源13内に置かれた蒸着材料のZrO2に、加熱手段14から電子ビームが照射されて、ZrO2が溶融/気化することによって、基板Sに形成されたSiO2の層の上面に、ZrO2の層が形成される。
次に、蒸発源12内に置かれた蒸着材料のSiO2に、加熱手段14から電子ビームが照射されて、SiO2が溶融/気化することによって、基板Sに形成されたSiO2、ZrO2の層の上面にSiO2の層が形成される。
次に、反射防止膜の3層目まで蒸着した基板Sを蒸着装置から取り出し、洗浄を行った。洗浄方法は、純水による流水洗浄を行った後、純水による超音波洗浄を行い、次に界面活性剤を含む純水(洗浄液)で超音波洗浄を行い、さらに純水による超音波洗浄を行った後にIPA浸漬処理による脱水を行った。界面活性剤としてはアニオン、カチオン、ノニオン系界面活性剤のいずれでも良い。洗浄中は基板Sを上下左右に揺動させたり、洗浄液または純水の循環ないしオーバーフローによる更新などの措置によって、洗浄効果を高めることができる。また洗浄液の温度は特に指定しないが10−90℃が好適である。
洗浄終了後、蒸着装置1(真空容器11)内の基板支持台15に再度基板Sを載置する。真空排気装置20によって真空容器11内が真空に排気される。この状態で蒸発源13内に置かれた蒸着材料のZrO2に、加熱手段14から電子ビームが照射されて、ZrO2が溶融/気化することによって、基板Sに形成されたSiO2、ZrO2、SiO2の層の上面に、ZrO2の層が形成される。さらに、蒸発源12内に置かれた蒸着材料のSiO2に、加熱手段14から電子ビームが照射されて、SiO2が溶融/気化することによって、基板Sに形成されたSiO2、ZrO2、SiO2、ZrO2層の上面にSiO2の層が形成される。
本実施形態の反射防止膜は、基板Sの表面より順に、SiO2/ZrO2/SiO2/ZrO2/SiO2の5層を形成した。また、形成する各々の膜厚は、基板Sの表面から順に、略28/37/19/64/95nmとした。
電子ビームの電流値は、SiO2形成時には100mA、ZrO2形成時には300mAに設定した。
以上の成膜条件で反射防止膜を形成した場合と従来例として連続して反射防止膜を形成した場合のプラスチック製光学物品の品質評価試験を行った。
(サンシャインウエザーメータ試験)
プラスチックレンズをサンシャインウエザーメータ(スガ試験機WEL−SUN−HC)内に設置し、槽内温度40℃、降雨時間15分/1時間、加湿槽温度70℃の条件で40時間、80時間、120時間、200時間、300時間放置した後に剥離試験を行った。剥離試験は、反射防止膜に1mm間隔の(基材に達する)キズを、縦横それぞれ11本(1mm角のマスが100個できるように)カッターナイフで形成する。その上にセロハンテープを貼り付け急激に剥がすことによって、剥離するマスの数で評価を行った。たとえば10マス剥がれたとすると90/100と表記した。
(恒温恒湿試験)
プラスチックレンズを恒温恒湿槽内に設置し、温度60℃、湿度100%の環境に10日間放置した後、レンズ表面に微細な凹凸が発生しているかどうか目視により確認した。
表1にサンシャインウエザーメータ試験の結果を示す。試料は各々の条件で5試料づつ作成し評価を行った。表の横軸にサンシャインウエザーメータ試験での処理時間を示し、表中の数値は剥離試験による結果を示した。実施例による反射防止膜を形成したプラスチックレンズの場合サンシャインウエザーメータ試験300時間後でも表面コーティングの剥がれは観測されていないのに対し、従来例による反射防止膜を形成したプラスチックレンズは80時間後から徐々に剥がれが発生し始め、300時間後においてはほとんどの領域が剥がれている。
表2に恒温恒湿試験の結果を示す。試料は各々の条件で5試料づつ作成し評価を行った。表の横軸に恒温恒湿処理の日数を示し、表中には微細な凹凸が発生したかどうかを○×で評価した結果を示した。微細な凹凸が発生している場合を×、発生していない場合を○とした。
実施例による反射防止膜を形成したプラスチックレンズの場合、恒温恒湿槽に10日間放置しても、プラスチックレンズ表面に微細な凹凸は観測されないが、従来例による反射防止膜を形成したプラスチックレンズは1日以上放置することによって5試料中5試料で凹凸が観測された。
以上に説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
反射防止膜の形成途中に1回以上蒸着装置から取り出すことによって反射防止膜に発生している厚み方向に連続したピンホール(金属酸化物薄膜の穴)が途中でとぎれるため、反射防止膜を貫通したピンホールが形成されにくくなる。
そのためH2O分子(水分)がハードコート層に供給されなくなり水分に起因した品質の低下を防止することができる。また成膜の途中で光学基板を蒸着装置内から取り出し、洗浄することによって異物(ゴミ)に起因するピンホールも低減できるため水分に起因した品質の低下を防止することができる。
Figure 2006106242
Figure 2006106242
本発明の反射防止膜の形成に用いる蒸着装置の模式図。
符号の説明
1…蒸着装置、11…真空容器、12,13…蒸発源、14…加熱手段、15…基板支持台、16…基板加熱用ヒータ、20…排気装置、21…ターボ分子ポンプ、22…圧力調節バルブ、30…ガス供給装置、31…ガスシリンダー、32…流量制御装置、50…圧力計、S…光学基板としての基板。

Claims (5)

  1. 蒸着装置内に配置した光学基板の表面に、金属酸化物からなる薄膜を、蒸着法によって形成する反射防止膜であって、
    前記反射防止膜の蒸着形成途中に、少なくとも1回以上前記光学基板を蒸着装置から取り出すことを特徴とする反射防止膜の形成方法。
  2. 請求項1に記載の反射防止膜の形成方法において、
    前記光学基板を蒸着装置から取り出した後、洗浄することを特徴とする反射防止膜の形成方法。
  3. 請求項2に記載の反射防止膜の形成方法において
    洗浄が界面活性剤を含有した水による超音波洗浄であることを特徴とする反射防止膜の形成方法。
  4. 請求項1乃至請求項3に記載の反射防止膜の形成方法により反射防止膜が形成された光学物品。
  5. 請求項4記載の光学物品において、プラスチックまたはハードコート層に覆われた基板であることを特徴とする光学物品。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018110017A1 (ja) * 2016-12-14 2018-06-21 コニカミノルタ株式会社 光学製品
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