JP2005213587A - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】全域で均一な膜質を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を提供する。
【解決手段】 本発明のマグネトロンスパッタ装置1は、非成膜時にターゲット10表面を基板30から遮蔽するシャッター機構40を備え、シャッター機構が、エロージョン領域Aに対向する位置に開口部42を備えると共に、成膜時に基板表面であってエロージョン領域に対向する成膜領域Bから離れた領域へのスパッタ粒子の飛散を防止する開口制限機構と、成膜時に前記成膜領域内への膜厚分布を調整する膜厚分布補正機構とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、マグネトロンスパッタ装置に関する。
従来より、光学薄膜や導電性薄膜などの成膜手段として、グロー放電で生成した陽イオンを電気的に加速してターゲットに衝突させ、これにより叩き出された原子を基板に被着させることによって成膜を行うスパッタリング法が知られている。
スパッタリング法では、グロー放電のために真空槽内にアルゴンガスなどの不活性ガスを導入し、化学反応性スパッタリングを行う際にはさらに酸素ガス,窒素ガスなどの反応ガスも導入する。スパッタリングで形成した薄膜は、真空蒸着法で形成した薄膜と比較して、成膜に時間がかかるという難点はあるものの、膜構造が緻密で物理的、化学的に安定しており、また、基板への付着力が強いという利点がある。
また、スパッタリングの成膜効率を向上させるために、ターゲット表面に磁界を形成し、グロー放電で発生した陽イオンの密度をターゲット表面で高く維持し、スパッタ速度を上げるマグネトロンスパッタリング法が知られている。
マグネトロンスパッタリング法に用いられるマグネトロンスパッタ装置では、カソード内部に配置された磁石が発生する磁場によってイオン粒子のプラズマが局所的に収束され、ターゲットの長手方向(磁石の配列方向、以下、この方向を「上下方向」とする。)に沿ったエロージョン領域が生じる。
エロージョン領域でターゲットがスパッタされることにより、スパッタ粒子が基板に向かって飛んでいくことになるが、通常、基板表面のうち、エロージョン領域に対向する領域には多くのスパッタ粒子が付着する一方で、当該領域から例えば左右方向に離れた領域では、スパッタ粒子が斜入射することに起因して、スパッタ粒子の付着量が少なくなり、両領域で膜質に違いが生じることになる。
そこで、従来より、このような膜質の違いを解消するための技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特許文献1及び2に開示されている技術は、いずれも、ターゲットと基板の間に、開口制限機構としての遮蔽板を配置し、基板に対して左右方向から斜入射することになるスパッタ粒子を基板に到達する以前に除去し、基板に対して略垂直に入射するスパッタ粒子のみを用いて成膜を行うものである。
特開平5−339725号公報 特開2000−96224号公報
ところが、一般的に、ターゲットから基板までの距離は、スパッタ粒子の平均自由工程以内とすることが望ましく、温度T=293K、動作圧力P=1×10-1Pa、分子直径d=3.6×10-10mとしたときの平均自由工程は約70mmと狭く、ターゲットと基板の間に上記開口制限機構を配置することは必ずしも容易ではなかった。
特に、カルーセル方式、即ち、中心回転式の基板ホルダーを採用するマグネトロンスパッタ装置では、スパッタの前段階としてターゲットを予め暖めておく、いわゆるプレスパッタ中に、基板表面に不必要な膜が形成されることを防ぐために、ターゲットを周囲から遮蔽するためのシャッター機構が必要となるため、上記開口制限機構に加えて、シャッター機構をターゲットと基板の間に配置することは容易ではない。
また、上記特許文献1及び2に記載された開口制限機構は、左右方向に関する開口幅を制限するものであるため、薄膜の膜質に関して、その左右方向では略均一となるが、上下方向(ターゲット長手方向)では必ずしも均一とはいえないため、上下方向の膜質を均一化するための手段を別途設ける必要がある。
また、ターゲットからの輻射熱による動作不良を避けるため、ターゲットと基板の間に配置する上記開口制限機構等はそれぞれ強固な構造とする必要がある一方で、上述したように、ターゲットから基板までの距離が短いことにより、これらを独立して配置することは困難であった。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、全域で均一な膜質を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を提供することである。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、基板に対向して配置したターゲットに磁場を印加することにより、当該ターゲット表面に生じるエロージョン領域からスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、非成膜時に前記ターゲット表面を前記基板から遮蔽するシャッター機構を備え、前記シャッター機構が、前記エロージョン領域に対向する位置に開口部を備えると共に、成膜時に前記基板表面であって前記エロージョン領域に対向する成膜領域から離れた領域へのスパッタ粒子の飛散を防止する開口制限機構と、成膜時に前記成膜領域内への膜厚分布を調整する膜厚分布補正機構とを備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、マグネトロンスパッタ装置が、非成膜時にターゲット表面を基板から遮蔽するシャッター機構を備え、当該シャッター機構に開口制限機構としての機能と膜厚分布補正機構としての機能を持たせている。従って、ターゲットから基板までの狭小領域に、シャッター機構、開口制限機構及び膜厚分布補正機構を配置することが可能となり、膜質及び膜厚を薄膜全体で均一化することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置において、前記膜厚分布補正機構は、前記開口部の長手方向の任意の位置における開口幅を変更可能な構造からなることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、膜厚分布補正機構を開口部の開口幅を変更可能な構造とするので、マグネトロンスパッタ装置を比較的簡易な構成とすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマグネトロンスパッタ装置において、前記開口制限機構は、前記ターゲット表面上の前記エロージョン領域の中心位置からの法線もしくは垂線に対して、前記ターゲット表面の位置からのなす角度が前記成膜領域から離れる方向に20°以上の角度となる領域を前記開口部において遮断することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、開口制限機構が、ターゲット表面上の前記エロージョン領域の中心位置からの法線もしくは垂線に対して、ターゲット表面の位置からのなす角度が成膜領域から離れる方向に20°以上の角度で発生したスパッタ粒子を開口部において遮断する。
これにより、成膜速度を大幅に低下させることなく、薄膜の膜質が不均一になったり、例えば薄膜の屈折率が低下するといったことを抑制できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置において、前記ターゲットが円筒形状であり、その中心軸回りに回転可能であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、ターゲットを回転させることで、ターゲット表面の全体をスパッタに用いることができ、ターゲットの有効利用が可能となる。
本発明によれば、全域で均一な膜質を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を得られる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
なお、本実施の形態においては、マグネトロンスパッタ装置として、多角形(本実施の形態においては正12角形)の筒型の基板ホルダが、垂直方向に伸びる中心軸の周りを回転しながら薄膜形成を行う、カルーセル型の装置を用いて説明する。
図1及び図2に示すように、マグネトロンスパッタ装置1は、矩形状の箱体からなる真空槽2内に、複数のターゲット10、マグネット20、基板30等を格納している。
真空槽2は、箱型のベルジャ本体3と、その上面及び底面をそれぞれ気密に覆う蓋4及びベースプレート5からなり、真空槽2の内部空間でスパッタリングによる成膜が行われる。ベルジャ本体3及び蓋4はベースプレート5に対して昇降自在であり、また蓋4は図示しないヒンジ機構によりベルジャ本体3に対して開閉自在となっている。
基板ホルダ6は、成膜時にその側面に複数の基板30を保持した状態で中心軸6aを中心として、図2中に矢印で示す方向に回転するように真空槽2内に軸支されている。なお、基板ホルダ6は導電性を有し、ベルジャ本体3及び蓋4、さらにベースプレート5に対して電気的に導通されており、成膜時にはアース電位として用いられる。
基板ホルダ6に保持される基板30は、プラスチック基板として、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ゼオネックス樹脂(日本ゼオン社製、商品名)、アートン樹脂(日本合成ゴム社製、商品名)、その他透明性に優れた一般的な樹脂を使用することができ、ガラス基板として、レンズ、ミラー、プリズム、導光板、光ファイバー、表示装置保護カバー、その他ガラスからなる一般的な光学部品の全てに適用できる。
真空槽2内の左右二箇所には円筒状のターゲット10が二個一組で設置され、さらに各ターゲット10を取り囲むように回転式のシャッター機構40が設けられている。
ターゲット10は、導電性を有するステンレス製あるいは銅製の円筒状のターゲットホルダ11の外周面に、その内周面を密着させて取り付けられる円筒状の材料である。
ターゲット10としては、例えば、低屈折率材料用としてシリコン、フッ化マグネシウムが挙げられ、高屈折率材料用としてチタン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、又は前記材料の低級酸化物が挙げられる。
図3及び図4に示すように、ターゲットホルダ11の中空部内にはベースプレート5に固定されたマグネット20が配置されている。
マグネット20は、ベースプレート5に立設されたロッド(図示せず)で支持された鉄製のコア21と、コア21に固定された第1マグネット列22と、第1マグネット列22を取り囲むようにコア21に固定された第2マグネット列23とからなる。
第1マグネット列22及び第2マグネット列23はターゲットホルダ11の長手方向(上下方向)に沿って延ばされている。ターゲットホルダ11の内周面に向けられた側の磁極は、第1マグネット列22がN極、第2マグネット列23がS極となっており、各々の磁極の先端とターゲットホルダ11の内周面まではほぼ等距離となっている。
ターゲット10の任意の横断面において図4に点線で示すような多数の磁力線が発生しており、第1マグネット列22のN極から発生した磁力線は、第1マグネット列22のN極に最も近いターゲットホルダ面を通過してターゲット10の外部から第2マグネット20のS極に至ることになる。
なお、ターゲット10の長手方向に関しても同様の磁力線が発生し、ターゲット10表面のうち、基板30に対向する領域でほぼ均一な磁界が得られるようになっており、この領域がエロージョン領域Aとなる。本実施の形態においては、エロージョン領域Aの形状は、マグネット20の配列方向(上下方向)を長辺とする略四角枠状となる。
ターゲットホルダ11の中空部は、上記マグネット20の設置スペースになるほか、冷却水の流路としても用いられる。ターゲットホルダ11の中空部内に冷却水を通すことによってターゲットホルダ11及びターゲット10の過熱を防ぐことができ、グロー放電を安定に保ち、またターゲット10の不要な化学反応を防ぐことができる。
また、ターゲットホルダ11は、その中心軸11a(図4を参照)回りに回転可能な構成となっている。
シャッター機構40は、略円筒状のシャッター41と、上下方向に伸びる開口部42と、開口部42の左右両縁に取り付けられる複数のフラップ43を備えている。
そして、図5に示すように、非成膜時にはシャッター41を回転させて、開口部42を基板30に対向しない位置まで移動させることにより、ターゲット10表面を基板30から遮蔽し、基板30表面に不必要な膜が形成されることを防ぐようになっている。なお、以下の説明においては、開口部42が基板30に対向する位置まで移動した状態を開状態とし、開口部42が基板30に対向しない位置まで移動した状態を閉状態とする。
図3に示すように、フラップ43は、シャッター41の曲率に沿った円弧状で平面視矩形状の板体であり、その上下2箇所に左右方向に伸びる開口43aを有する。
各フラップ43は、開口43aに挿通したボルト43bをシャッター41の内面側からナット43cで締結することにより、開口部42の左右両縁に固定されている。そして、ナット43cによる締結を弛めることにより、各フラップ43を左右方向にスライド移動させることが可能となっている。
そして、本発明においては、これら複数のフラップ43により、成膜時に基板30表面であってエロージョン領域Aに対向する成膜領域Bから離れた領域へのスパッタ粒子の飛散を防止する開口制限機構の機能と、成膜時に前記成膜領域B内へのスパッタ粒子の飛散量を調節する膜厚分布補正機構の機能が達成されるようになっている。
即ち、各フラップ43の左右方向の位置を調節することにより、円筒形状のターゲット10を用いる場合に、図4に示すように、ターゲット10表面上のエロージョン領域Aの中心位置からの法線L1、L2に対して、ターゲット10表面の位置からのなす角度が成膜領域Bから離れる方向にθ=20°以上の角度で発生したスパッタ粒子をフラップ43に衝突させて、基板30表面への付着を防止する開口制限機能が実現されるようになっている。
なお、本実施の形態のように、エロージョン領域Aの形状が上下方向を長辺とする略四角枠状となる場合には、左右2つの長辺各々の幅(円周方向の長さ)の中心点を、「エロージョン領域Aの中心位置」と定義する。従って、本実施の形態においては、エロージョン領域Aの左右2つの長辺のそれぞれにエロージョン領域Aの中心位置が存在することになり、これに対応して、「ターゲット表面上のエロージョン領域の中心位置からの法線」もL1とL2の2本存在することになる。
また、上記法線L1、L2に対して成膜領域Bから離れる方向に20°以上の角度で発生したスパッタ粒子を遮断することができる範囲内、つまり、上記開口制限機能を阻害しない範囲内で各フラップ43の左右方向の位置を調節することで、開口部42の長手方向(上下方向)の任意の位置における開口幅が変更されることになり、これにより、成膜時に開口部42を通過して基板30表面に到達するスパッタ粒子の飛散量を調節する膜厚分布補正機構が実現されるようになっている。
真空槽2の外部には、反応ガスと放電ガスを混合するための混合容器7が配置され、各ターゲット10の近傍には、混合容器7からの混合気体を真空槽2内部に導入するための導入口8が設けられている。
放電ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス、アルゴンを主成分とするガス(例えば、酸素を10w%含むアルゴンガス)が挙げられる。
反応ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、酸素を主成分とするガス(例えば、アルゴンを30w%含む酸素ガス)が挙げられる。
次に、マグネトロンスパッタ装置1の動作について説明する。なお、本説明においては、ターゲット10としてシリコン及びチタンを用い、基板30の表面にシリコン酸化物からなる膜とチタン酸化物からなる膜を積層して薄膜を形成するものとする。
まず、ベルジャ本体3及び蓋4を開放し、左側の二個のターゲットホルダ11にシリコンを含有するターゲット10を装着し、右側の二個のターゲットホルダ11にチタンを含有するターゲット10を装着し、基板ホルダ6に基板30を複数装着する。なお、各シャッター41は閉状態としておく。
次に、各フラップ43を所定の位置まで移動させる。なお、フラップ43の適切な位置は、形成する薄膜の膜質や膜厚等によって異なるため、実験等により予め算出しておくものとする。
次に、ベルジャ本体3及び蓋4を閉じ、図示しない真空排気装置を作動させて、排気口9を介して真空槽2内の空気を吸引することで、真空槽2内を所定の高真空状態にし、その後、導入口8から反応ガスと放電ガスの混合気体を導入し、真空槽2内を所定のガス圧に保つ。
そして、ターゲットホルダ11に冷却水を通し、シャッター41が全て閉状態であることを確認した後、基板ホルダ6をアース電位とし、左側の二個のターゲットホルダ11(陰極)との間に、DCパルス電圧を印加する。なお、極性が変化するサイン波形の電圧や矩形波形の電圧を印加してもよい。
そして、左側の二個のシャッター41を開状態にし、基板ホルダ6とターゲットホルダ11との間に放電ガスのプラズマが生成された状態で、基板ホルダ6を中心軸6a回りに回転させる。
すると、ターゲット10表面のエロージョン領域Aは、放電で生じた正電荷を有するアルゴンイオン(Ar+)でスパッタされ、スパッタ粒子が開口部42を通過して真空中に飛散し、混合ガス中の酸素ガスによりシリコン酸化物(SiO2)の状態になって基板30の表面に堆積していく。
この際に、エロージョン領域Aの中心位置における法線に対して成膜領域Bから離れる方向に20°以上の角度で発生したスパッタ粒子は、フラップ43に衝突することになり、薄膜の形成に寄与しない。また、開口部42の開口幅は、フラップ43により上下方向の任意の位置で異なるように調節されている。従って、開口幅が他の領域に対して相対的に広い領域ではスパッタ粒子の通過量が多くなり、一方、開口幅が他の領域に対して相対的に狭い領域ではスパッタ粒子の通過量が少なくなり、結果として、成膜領域Bに到達するスパッタ粒子の量を均一化することができる。
一定時間が経過して、基板30表面にシリコン酸化物からなる薄膜が形成された後は、基板ホルダ6の回転を停止し、左側の二個のターゲットホルダ11に対する電圧の印加を停止すると共に、左側の二個のシャッター41を閉状態にする。そして、右側の二個のターゲットホルダ11に対する電圧の供給を開始すると共に右側の二個のシャッター41を開状態にし、基板ホルダ6を再び回転させる。
すると、ターゲット10表面のエロージョン領域Aは、放電で生じた正電荷を有するアルゴンイオン(Ar+)でスパッタされ、スパッタ粒子が開口部42を通過して真空中に飛散し、混合ガス中の酸素ガスによりチタン酸化物(TiO2)の状態になって基板30の表面に堆積し、チタン酸化物からなる薄膜が形成される。
以上のような工程を繰り返すことにより、シリコン酸化物からなる膜とチタン酸化物からなる膜が積層した薄膜が形成されることになる。
なお、長期間の成膜作業により、ターゲット10表面の侵食(エロージョン)が進行した場合には、ターゲットホルダ11をその中心軸11a回りに回転させることで、ターゲット10の他の領域をスパッタに使用することができる。
なお、上記説明では、成膜開始前にフラップ43の位置を予め調節しておくものとしたが、これに限らず、成膜作業を一時的に停止しながら、作業者が成膜状況を確認し、必要に応じてフラップ43の位置を調節するものとしてもよい。
以上のように、本実施の形態に示したマグネトロンスパッタ装置1は、非成膜時にターゲット10表面を基板30から遮蔽するシャッター機構40を備え、開口部42の左右両縁に取り付けた複数のフラップ43の左右方向の位置を調節することで、シャッター機構40に開口制限機構としての機能と膜厚分布補正機構としての機能を持たせている。これにより、ターゲット10から基板30までの狭小範囲に、シャッター機構40、開口制限機構及び膜厚分布補正機構を配置することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、膜厚分布補正機構が、平面視矩形状の複数のフラップ43の左右方向の位置を調節することで、開口部42の長手方向の任意の位置における開口幅を変更可能な構造からなるものとしたが、これに限らず、例えば図6に示すように、フラップ43の左右両縁のうち、開口部42側の縁部を曲線形状とすることにより、成膜時におけるスパッタ粒子の飛散量を調節するものとしてもよい。
また、本実施の形態においては、ターゲット10が円筒形状であるとしたが、例えば、図7に示すように、ターゲット10が平板形状であってもよい。この場合にも、エロージョン領域Aの形状はマグネット20の配列方向(上下方向)を長辺とする略四角枠状となるので、左右2つの長辺各々の幅(左右方向の長さ)の中心点を、「エロージョン領域Aの中心位置」と定義する。従って、エロージョン領域Aの左右2つの長辺のそれぞれにエロージョン領域Aの中心位置が存在することになり、これに対応して、「ターゲット表面上のエロージョン領域の中心位置からの垂線」がL1とL2の2本存在することになる。
また、本実施の形態においては、ターゲットホルダ11の中空部内に、一つの第1マグネット列22と二つの第2マグネット列23が配置される構成としたが、これに限らず、図8に示すように、第1マグネット列22と第2マグネット列23を一つずつ配置する構成としてもよい。この場合、エロージョン領域Aの形状は、本実施の形態で示したような略四角枠状ではなく、マグネット20の配列方向に沿った一本の直線状となるので、この直線状のエロージョン領域Aの幅(円周方向の長さ)の中心点を「エロージョン領域Aの中心位置」と定義する。これに対応して、「ターゲット表面上のエロージョン領域の中心位置からの法線」はL1の1本になり、エロージョン領域Aの中心位置における法線L1に対して、成膜領域Bから離れる方向となる左右20°以上の角度で発生したスパッタ粒子をフラップ43で遮断することになる。
なお、本実施の形態では、真空槽2内の左右に二個ずつ計4個のターゲット10を格納する構成としたが、ターゲット10は真空槽2内に少なくとも一個配置されていれば良い。
また、フラップ43の位置調節を作業者が手作業により行うものとしたが、これに限らず、例えばモータ等の電気的駆動手段を用いて位置調節を行っても良い。
次に、実施例1について説明する。
本実施例では、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて赤外カットフィルターを形成し、これを一定環境下で放置した場合の透過率の変化を示す。また、比較例として、開口制限機構を持たないマグネトロンスパッタ装置を用いて形成した赤外カットフィルター、即ち、エロージョン領域の中心位置における法線に対して、成膜領域から離れる方向に20°以上の角度で発生したスパッタ粒子を遮断することなく成膜した赤外カットフィルターの透過率変化を示す。
表1に層構成を示し、表2に成膜条件を示す。
Figure 2005213587
Figure 2005213587
図9(a)は、本実施例の赤外カットフィルターを、60℃、湿度90%の条件下で168時間放置する前(実線で示す)と後(点線で示す)での透過率の変化を示すものであり、グラフの縦軸が透過率(%)を表し、横軸が光線の波長(nm)を表している。
また、図9(b)は、図9(a)のグラフのうち、可視光領域と赤外光領域との境界領域(図9(a)中の点線で囲んだ領域)を拡大したグラフである。
また、図9(c)は、比較例の赤外カットフィルターを、60℃、湿度90%の条件下で168時間放置する前(実線で示す)と後(点線で示す)での透過率の変化を示すものである。
以上より、比較例の赤外カットフィルターの上記境界領域における透過率変化は最大で7nm程度である一方、本実施例の赤外カットフィルターの透過率変化は最大で0.5nm程度で抑えられており、保存環境による光学特性の変化が少ない、良質な膜質を有する赤外カットフィルターが得られたことが分かる。
次に、実施例2について説明する。
本実施例では、図10に示すように、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて、フラップの位置を調節することにより開口部の開口幅を変化させ、エロージョン領域の中心位置における法線に対して、成膜領域から離れる方向に8°以上、13°以上及び20°以上の角度で発生したスパッタ粒子を遮断してチタン酸化物からなる薄膜を形成した場合の屈折率変化を示す。また、比較例として、上記角度を23°以上、26°以上、29°以上、31°以上、32°以上と変化させてチタン酸化物からなる薄膜を成形した場合の屈折率変化を示す。
図10より、上記角度が0°〜20°までの範囲では薄膜の屈折率に大きな変化が無く、20°を超える範囲で屈折率が大きく低下することが分かる。これより、エロージョン領域の中心位置における法線に対して、成膜領域から離れる方向に20°以上の角度で発生したスパッタ粒子を遮断する機能を開口制限機構に持たせることが好ましいと判断できる。
次に、実施例3について説明する。
本実施例では、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて形成した薄膜の、ターゲット長手方向(上下方向)の各位置における膜厚の変化率を示す。また、比較例として、膜厚分布補正機構を持たないマグネトロンスパッタ装置を用いて形成した薄膜、即ち、開口部の開口幅を変更せずに、成膜時に開口部を通過して基板表面に到達するスパッタ粒子の飛散量を調節することなく形成された薄膜のターゲット長手方向の各位置における膜厚の変化率を示す。なお、グラフの横軸は、ターゲットの最下点を基準(0cm)と規定した場合のターゲットの長手方向の位置を示しており、グラフの縦軸は、ターゲットの中央位置(25cm)における膜厚を基準(1.00)とした場合の膜厚の変化率を示している。
図11より、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて製造した薄膜では、ターゲット長手方向における膜厚はほぼ一定に保たれていることが分かる。
マグネトロンスパッタ装置の外部構造を示す斜視図である。 マグネトロンスパッタ装置の構造を概略的に示す図である。 シャッター機構の構造を示す斜視図である。 シャッター機構の構造を示す平面図である。 シャッター機構の構造を示す平面図である。 シャッター機構の構造を示す斜視図である。 シャッター機構の構造を示す平面図である。 シャッター機構の構造を示す平面図である。 薄膜の透過率変化を示すグラフ(a)〜(c)である。 薄膜の屈折率変化を示すグラフである。 薄膜の膜厚分布を示すグラフである。
符号の説明
A エロージョン領域
B 成膜領域
1 マグネトロンスパッタ装置
2 真空槽
6 基板ホルダ
10 ターゲット
11 ターゲットホルダ
20 マグネット
30 基板
40 シャッター機構
41 シャッター
42 開口部
43 フラップ

Claims (4)

  1. 基板に対向して配置したターゲットに磁場を印加することにより、当該ターゲット表面に生じるエロージョン領域からスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、
    非成膜時に前記ターゲット表面を前記基板から遮蔽するシャッター機構を備え、
    前記シャッター機構が、前記エロージョン領域に対向する位置に開口部を備えると共に、成膜時に前記基板表面であって前記エロージョン領域に対向する成膜領域から離れた領域へのスパッタ粒子の飛散を防止する開口制限機構と、成膜時に前記成膜領域内への膜厚分布を調整する膜厚分布補正機構とを備えることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  2. 請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装置において、
    前記膜厚分布補正機構は、前記開口部の長手方向の任意の位置における開口幅を変更可能な構造からなることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のマグネトロンスパッタ装置において、
    前記開口制限機構は、前記ターゲット表面上の前記エロージョン領域の中心位置からの法線もしくは垂線に対して、前記ターゲット表面の位置からのなす角度が前記成膜領域から離れる方向に20°以上の角度となる領域を前記開口部において遮断することを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のマグネトロンスパッタ装置において、
    前記ターゲットが円筒形状であり、その中心軸回りに回転可能であることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
JP2004021629A 2004-01-29 2004-01-29 マグネトロンスパッタ装置 Pending JP2005213587A (ja)

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