JP2005213585A - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高品質で再現性が高い、中間屈折率を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を提供する。
【解決手段】 本発明のマグネトロンスパッタ装置1は、真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、前記2つのターゲットが円筒形状であって、当該各ターゲットの中心軸と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とする。
90°≦θ≦270° (1)
【選択図】図2
【解決手段】 本発明のマグネトロンスパッタ装置1は、真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、前記2つのターゲットが円筒形状であって、当該各ターゲットの中心軸と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とする。
90°≦θ≦270° (1)
【選択図】図2
Description
本発明は、マグネトロンスパッタ装置に関する。
従来より、蒸着法やスパッタリング法などを用いて、所望の光学的特性をもつ光学薄膜が形成されているが、薄膜の屈折率は、使用する光学材料の屈折率に依存する割合が大きく、設計上の要求を満足する屈折率を有する薄膜の形成は必ずしも容易とはいえない。
そこで、例えば、高屈折率物質と低屈折率物質との混合蒸着法や、あるいは2源蒸着法などを用いることにより、所望の中間屈折率をもつ薄膜を形成する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−171609号公報
そこで、例えば、高屈折率物質と低屈折率物質との混合蒸着法や、あるいは2源蒸着法などを用いることにより、所望の中間屈折率をもつ薄膜を形成する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、特許文献1に開示された技術は、真空蒸着法により基板上に所望の中間屈折率をもつ薄膜を形成するものであるため、薄膜の再現性が悪いという問題や、膜構造が物理的、化学的に不安定となり、基板への付着力が弱いという問題点がある。
本発明の課題は、上述の問題を考慮したものであり、高品質で再現性が高い、中間屈折率を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を提供することである。
以上の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記真空槽内に前記ターゲットの種類に応じた放電ガス及び反応ガスを導入した状態で前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、前記2つのターゲットが円筒形状であって、当該各ターゲットの中心軸と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とする。
90°≦θ≦270° (1)
90°≦θ≦270° (1)
請求項1に記載の発明によれば、種類が異なるターゲット同士を上記式1を満たす範囲内で離して配置することにより、各ターゲットに対する放電を安定させ、薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上することができる。
請求項2に記載の発明は、真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記真空槽内に前記ターゲットの種類に応じた放電ガス及び反応ガスを導入した状態で前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、前記2つのターゲットが平板形状であって、当該ターゲットの左右方向の中心位置と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とする。
90°≦θ≦270° (1)
90°≦θ≦270° (1)
請求項2に記載の発明によれば、種類が異なるターゲット同士を上記式1を満たす範囲内で離して配置することにより、各ターゲットに対する放電を安定させ、薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のマグネトロンスパッタ装置において、前記真空槽内の一部が、前記2つのターゲットのうち一方のターゲットを格納する第1スパッタ領域と、他方のターゲットを格納する第2スパッタ領域とに物理的に区分されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、各スパッタ領域内に、ターゲットの種類に応じて放電ガス及び反応ガスを所定の混合比で導入した場合に、これらガスのスパッタ領域外への拡散を防止できるので、中間屈折率を有する薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上できる。
請求項3に記載の発明によれば、各スパッタ領域内に、ターゲットの種類に応じて放電ガス及び反応ガスを所定の混合比で導入した場合に、これらガスのスパッタ領域外への拡散を防止できるので、中間屈折率を有する薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上できる。
本発明によれば、高品質で再現性が高い、中間屈折率を有する薄膜を形成できるマグネトロンスパッタ装置を得られる。
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
なお、本実施の形態においては、マグネトロンスパッタ装置として、多角形(本実施の形態においては正12角形)の筒型の基板ホルダが、垂直方向に伸びる中心軸の周りを回転しながら薄膜形成を行う、カルーセル型の装置を用いて説明する。なお、円柱形の基板ホルダを用いても良い。
なお、本実施の形態においては、マグネトロンスパッタ装置として、多角形(本実施の形態においては正12角形)の筒型の基板ホルダが、垂直方向に伸びる中心軸の周りを回転しながら薄膜形成を行う、カルーセル型の装置を用いて説明する。なお、円柱形の基板ホルダを用いても良い。
図1及び図2に示すように、マグネトロンスパッタ装置1は、矩形状の箱体からなる真空槽2内に、複数のターゲット10、マグネット20、基板30等を格納している。
真空槽2は、箱型のベルジャ本体3と、その上面及び底面をそれぞれ気密に覆う蓋4及びベースプレート5からなり、真空槽2の内部空間でスパッタリングによる成膜が行われる。ベルジャ本体3及び蓋4はベースプレート5に対して昇降自在であり、また蓋4は図示しないヒンジ機構によりベルジャ本体3に対して開閉自在となっている。
真空槽2は、箱型のベルジャ本体3と、その上面及び底面をそれぞれ気密に覆う蓋4及びベースプレート5からなり、真空槽2の内部空間でスパッタリングによる成膜が行われる。ベルジャ本体3及び蓋4はベースプレート5に対して昇降自在であり、また蓋4は図示しないヒンジ機構によりベルジャ本体3に対して開閉自在となっている。
基板ホルダ6は、成膜時にその側面に複数の基板30を保持した状態で中心軸6aを中心として、図2中に矢印で示す方向に回転するように真空槽2内に軸支されている。なお、基板ホルダ6は導電性を有し、ベルジャ本体3及び蓋4、さらにベースプレート5に対して電気的に導通されており、成膜時にはアース電位として用いられる。
基板ホルダ6に保持される基板30は、プラスチック基板として、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ゼオネックス樹脂(日本ゼオン社製、商品名)、アートン樹脂(日本合成ゴム社製、商品名)、その他透明性に優れた一般的な樹脂を使用することができ、ガラス基板として、レンズ、ミラー、プリズム、導光板、光ファイバー、表示装置保護カバー、その他ガラスからなる一般的な光学部品の全てに適用できる。
基板ホルダ6に保持される基板30は、プラスチック基板として、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ゼオネックス樹脂(日本ゼオン社製、商品名)、アートン樹脂(日本合成ゴム社製、商品名)、その他透明性に優れた一般的な樹脂を使用することができ、ガラス基板として、レンズ、ミラー、プリズム、導光板、光ファイバー、表示装置保護カバー、その他ガラスからなる一般的な光学部品の全てに適用できる。
真空槽2内の左右二箇所に、仕切り板2aで区切られた第1スパッタ領域S1と第2スパッタ領域S2が設けられており、各スパッタ領域S1、S2内には円筒状のターゲット10が二個一組で設置されている。左側の二個のターゲット10は同種の材料(例えばチタン)からなり、右側の二個のターゲット10は、左側の二個のターゲット10とは異なる同種の材料(例えばシリコン)からなっている。
また、各ターゲット10の周囲には回転式のシャッター機構40が設けられている
ターゲット10は、導電性を有するステンレス製あるいは銅製の円筒状のターゲットホルダ11の外周面に、その内周面を密着させて取り付けられる円筒状の材料である。
ターゲット10としては、例えば、低屈折率材料用としてシリコン、フッ化マグネシウムが挙げられ、高屈折率材料用としてチタン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、又は前記材料の低級酸化物が挙げられる。
また、各ターゲット10の周囲には回転式のシャッター機構40が設けられている
ターゲット10は、導電性を有するステンレス製あるいは銅製の円筒状のターゲットホルダ11の外周面に、その内周面を密着させて取り付けられる円筒状の材料である。
ターゲット10としては、例えば、低屈折率材料用としてシリコン、フッ化マグネシウムが挙げられ、高屈折率材料用としてチタン、タンタル、ニオブ、ハフニウム、又は前記材料の低級酸化物が挙げられる。
図3及び図4に示すように、ターゲットホルダ11の中空部内にはベースプレート5に固定されたマグネット20が配置されている。
マグネット20は、ベースプレート5に立設されたロッド(図示せず)で支持された鉄製のコア21と、コア21に固定された第1マグネット列22と、第1マグネット列22を取り囲むようにコア21に固定された第2マグネット列23とからなる。
第1マグネット列22及び第2マグネット列23はターゲットホルダ11の長手方向(上下方向)に沿って延ばされている。ターゲットホルダ11の内周面に向けられた側の磁極は、第1マグネット列22がN極、第2マグネット列23がS極となっており、各々の磁極の先端とターゲットホルダ11の内周面まではほぼ等距離となっている。
マグネット20は、ベースプレート5に立設されたロッド(図示せず)で支持された鉄製のコア21と、コア21に固定された第1マグネット列22と、第1マグネット列22を取り囲むようにコア21に固定された第2マグネット列23とからなる。
第1マグネット列22及び第2マグネット列23はターゲットホルダ11の長手方向(上下方向)に沿って延ばされている。ターゲットホルダ11の内周面に向けられた側の磁極は、第1マグネット列22がN極、第2マグネット列23がS極となっており、各々の磁極の先端とターゲットホルダ11の内周面まではほぼ等距離となっている。
ターゲット10の任意の横断面において図4に点線で示すような多数の磁力線が発生しており、第1マグネット列22のN極から発生した磁力線は、第1マグネット列22のN極に最も近いターゲットホルダ面を通過してターゲット10の外部から第2マグネット20のS極に至ることになる。
なお、ターゲット10の長手方向に関しても同様の磁力線が発生し、ターゲット10表面のうち、基板30に対向する領域でほぼ均一な磁界が得られるようになっており、この領域がエロージョン領域Aとなる。本実施の形態においては、エロージョン領域Aの形状は、マグネット20の配列方向(上下方向)を長辺とする略四角枠状となる。
なお、ターゲット10の長手方向に関しても同様の磁力線が発生し、ターゲット10表面のうち、基板30に対向する領域でほぼ均一な磁界が得られるようになっており、この領域がエロージョン領域Aとなる。本実施の形態においては、エロージョン領域Aの形状は、マグネット20の配列方向(上下方向)を長辺とする略四角枠状となる。
ターゲットホルダ11の中空部は、上記マグネット20の設置スペースになるほか、冷却水の流路としても用いられる。ターゲットホルダ11の中空部内に冷却水を通すことによってターゲットホルダ11及びターゲット10の過熱を防ぐことができ、グロー放電を安定に保ち、またターゲット10の不要な化学反応を防ぐことができる。
また、ターゲットホルダ11は、ターゲット10の中心軸10a(図4を参照)回りに回転可能な構成となっている。
また、ターゲットホルダ11は、ターゲット10の中心軸10a(図4を参照)回りに回転可能な構成となっている。
そして、本実施の形態のように各ターゲット10が円筒形状の場合には、図2に示すように、これらターゲット10のうち、種類が異なる2つのターゲット10の中心軸10aと基板ホルダ6の中心軸6aとを結ぶ2つの線分同士L1、L2が成す角θが、90°≦θ≦270°(式1)を満たすように、各ターゲット10が配置されている。
このように、各スパッタ領域S1、S2内にそれぞれ同種のターゲット10を配置すると共に、種類が異なるターゲット10同士を上記式1を満たす範囲内で離して配置することにより、各スパッタ領域S1、S2内に、ターゲット10の種類に応じて放電ガス及び反応ガスを所定の混合比で導入した場合に、これらガスのスパッタ領域外への拡散を防止できるので、中間屈折率を有する薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上できる。
このように、各スパッタ領域S1、S2内にそれぞれ同種のターゲット10を配置すると共に、種類が異なるターゲット10同士を上記式1を満たす範囲内で離して配置することにより、各スパッタ領域S1、S2内に、ターゲット10の種類に応じて放電ガス及び反応ガスを所定の混合比で導入した場合に、これらガスのスパッタ領域外への拡散を防止できるので、中間屈折率を有する薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上できる。
θが式1を満たさない場合、即ち、種類が異なる2つのターゲット10間の距離が近い場合、ターゲット10の種類毎に当該ターゲット10に対する印加電圧のパルス周波数が異なることに起因して、放電が不安定になるという問題が生じる。この問題は、印加電圧の出力を増加した場合により顕著なものとなる。
また、真空槽2内をスパッタ領域S1、S2で区分しない場合、放電ガス及び反応ガスは真空槽2内全体に拡散するので、放電ガスと反応ガスとの混合比をターゲット10近傍で一定にすることが困難となり、薄膜の品質、再現性及び成膜速度が低下する。
また、真空槽2内をスパッタ領域S1、S2で区分しない場合、放電ガス及び反応ガスは真空槽2内全体に拡散するので、放電ガスと反応ガスとの混合比をターゲット10近傍で一定にすることが困難となり、薄膜の品質、再現性及び成膜速度が低下する。
シャッター機構40は、略円筒状のシャッター41と、上下方向に伸びる開口部42とを備えている。
そして、図5に示すように、非成膜時にはシャッター41を回転させて、開口部42を基板30に対向しない位置まで移動させることにより、ターゲット10表面を基板30から遮蔽し、基板30表面に不必要な膜が形成されることを防ぐようになっている。なお、以下の説明においては、開口部42が基板30に対向する位置まで移動した状態を開状態とし、開口部42が基板30に対向しない位置まで移動した状態を閉状態とする。
そして、図5に示すように、非成膜時にはシャッター41を回転させて、開口部42を基板30に対向しない位置まで移動させることにより、ターゲット10表面を基板30から遮蔽し、基板30表面に不必要な膜が形成されることを防ぐようになっている。なお、以下の説明においては、開口部42が基板30に対向する位置まで移動した状態を開状態とし、開口部42が基板30に対向しない位置まで移動した状態を閉状態とする。
真空槽2の外部には、反応ガスと放電ガスを混合するための混合容器7が配置され、各ターゲット10の近傍には、混合容器7からの混合気体を真空槽2内部に導入するための導入口8が設けられている。
放電ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス、アルゴンを主成分とするガス(例えば、酸素を10w%含むアルゴンガス)が挙げられる。
反応ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、酸素を主成分とするガス(例えば、アルゴンを30w%含む酸素ガス)が挙げられる。
放電ガスとしては、アルゴンガス、ヘリウムガス、アルゴンを主成分とするガス(例えば、酸素を10w%含むアルゴンガス)が挙げられる。
反応ガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、酸素を主成分とするガス(例えば、アルゴンを30w%含む酸素ガス)が挙げられる。
次に、マグネトロンスパッタ装置1の動作について説明する。なお、本説明においては、左の二つのターゲット10にチタンを用い、右の二つのターゲット10にシリコンを用いることで、基板30の表面にチタン酸化物とシリコン酸化物との混合膜を形成するものとする。
まず、ベルジャ本体3及び蓋4を開放し、左側の二個のターゲットホルダ11にチタンを含有するターゲット10を装着し、右側の二個のターゲットホルダ11にシリコンを含有するターゲット10を装着し、基板ホルダ6に基板30を複数装着する。なお、各シャッター41は閉状態としておく。
まず、ベルジャ本体3及び蓋4を開放し、左側の二個のターゲットホルダ11にチタンを含有するターゲット10を装着し、右側の二個のターゲットホルダ11にシリコンを含有するターゲット10を装着し、基板ホルダ6に基板30を複数装着する。なお、各シャッター41は閉状態としておく。
次に、ベルジャ本体3及び蓋4を閉じ、図示しない真空排気装置を作動させて、排気口9を介して真空槽2内の空気を吸引することで、真空槽2内を所定の高真空状態にし、その後、左右の導入口8から各スパッタ領域S1、S2内に、ターゲット10の種類に応じた放電ガスと反応ガスとを所定の混合比で導入し、各スパッタ領域S1、S2内を所定のガス圧に保つ。
そして、ターゲットホルダ11に冷却水を通し、シャッター41が全て閉状態であることを確認した後、基板ホルダ6をアース電位とし、各ターゲットホルダ11(陰極)との間に、DCパルス電圧を印加する。なお、極性が変化するサイン波形の電圧や矩形波形の電圧を印加してもよい。
そして、各シャッター41を開状態にし、基板ホルダ6とターゲットホルダ11との間に放電ガスのプラズマが生成された状態で、基板ホルダ6を中心軸6a回りに回転させる。
すると、ターゲット10表面のエロージョン領域Aは、放電で生じた正電荷を有するアルゴンイオン(Ar+)でスパッタされ、スパッタ粒子が開口部42を通過して真空中に飛散し、混合ガス中の酸素ガスによりチタン酸化物(TiO2)及びシリコン酸化物(SiO2)の状態になって基板30の表面に堆積していく。
一定時間が経過して、基板30表面にチタン酸化物とシリコン酸化物とからなる混合膜が形成された後は、基板ホルダ6の回転を停止し、各ターゲットホルダ11に対する電圧の印加を停止すると共に、各シャッター41を閉状態にする。
すると、ターゲット10表面のエロージョン領域Aは、放電で生じた正電荷を有するアルゴンイオン(Ar+)でスパッタされ、スパッタ粒子が開口部42を通過して真空中に飛散し、混合ガス中の酸素ガスによりチタン酸化物(TiO2)及びシリコン酸化物(SiO2)の状態になって基板30の表面に堆積していく。
一定時間が経過して、基板30表面にチタン酸化物とシリコン酸化物とからなる混合膜が形成された後は、基板ホルダ6の回転を停止し、各ターゲットホルダ11に対する電圧の印加を停止すると共に、各シャッター41を閉状態にする。
なお、長期間の成膜作業により、ターゲット10表面の侵食(エロージョン)が進行した場合には、ターゲットホルダ11を中心軸10a回りに回転させることで、ターゲット10の他の領域をスパッタに使用することができる。
以上のように、本実施の形態に示したマグネトロンスパッタ装置1は、種類が異なる2つのターゲット10の中心軸10aと基板ホルダ6の中心軸6aとを結ぶ2つの線分L1、L2同士が成す角θが上記式(1)を満たすようにこれらターゲット10を配置するので、ターゲット10の種類に応じて放電ガス及び反応ガスを所定の混合比で各スパッタ領域S1、S2内に導入した場合に、これらガスのスパッタ領域外への拡散を防止でき、中間屈折率を有する薄膜の品質、再現性及び成膜速度を向上できる。
また、本実施の形態においては、ターゲット10が円筒形状であるとしたが、例えば、図6に示すように、ターゲット10が平板形状であってもよい。この場合、ターゲット10の左右方向(ターゲット10表面における上下方向に垂直な方向)の中心位置10bと基板ホルダ6の中心軸6aとを結ぶ2つの線分L1、L2同士が成す角θが上記式(1)を満たすように各ターゲット10を配置することで、ターゲット10が円筒形状の場合と同様の効果を得られる。
また、本実施の形態においては、ターゲットホルダ11の中空部内に、一つの第1マグネット列22と二つの第2マグネット列23が配置される構成としたが、これに限らず、図7に示すように、第1マグネット列22と第2マグネット列23を一つずつ配置する構成としてもよい。
なお、本実施の形態では、真空槽2内の左右に二個ずつ計4個のターゲット10を格納する構成としたが、真空槽2内に種類が異なる2つのターゲットが配置されていれば良い。
次に、実施例について説明する。
本実施例では、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて、上記θを式1の範囲内で変更しながらチタンとシリコンとの混合膜を形成した。また、比較例として、上記θが式1を満たさない状態(θ=30°、60°)で同様に混合膜を形成した。
本実施例では、上記実施の形態で示したマグネトロンスパッタ装置を用いて、上記θを式1の範囲内で変更しながらチタンとシリコンとの混合膜を形成した。また、比較例として、上記θが式1を満たさない状態(θ=30°、60°)で同様に混合膜を形成した。
なお、表1及び表2中の符号A〜Fは、図8に示すターゲットの符号と一致するものであり、例えば、θ=90°は、チタンターゲットとしてAのターゲットを用い、シリコンターゲットとしてCのターゲットを用いて成膜を行なったことを示す。
表1より、仕切り板が無く、θ=30°、60°の状態では、放電が安定せず成膜が不可能であり、θ=90°、120°の状態では、放電がやや不安定であるものの、屈折率のバラツキは0.02以下であり良好な状態、θ=180°、210°の状態では、放電が安定し、屈折率のバラツキは0.012と良好な状態となった。
表1より、仕切り板が無く、θ=30°、60°の状態では、放電が安定せず成膜が不可能であり、θ=90°、120°の状態では、放電がやや不安定であるものの、屈折率のバラツキは0.02以下であり良好な状態、θ=180°、210°の状態では、放電が安定し、屈折率のバラツキは0.012と良好な状態となった。
また、表2より、仕切り板を備え、θ=30°の状態では、放電が安定せず成膜が不可能であり、θ=60°の状態では、放電がやや不安定であり、屈折率のバラツキが0.02を大きく超えるため薄膜の再現性が悪く、θ=90°〜210°の状態では、放電は安定し、屈折率のバラツキが小さく良好な状態となった。
以上より、真空槽内を仕切り板で区切ると共に、θを上記式1の範囲内とすることで、仕切り板を設けない場合と比較して、より放電を安定させる角度範囲を増大させるとともに、薄膜の屈折率のバラツキをより小さく抑えることができ、再現性により優れることが分かる。
以上より、真空槽内を仕切り板で区切ると共に、θを上記式1の範囲内とすることで、仕切り板を設けない場合と比較して、より放電を安定させる角度範囲を増大させるとともに、薄膜の屈折率のバラツキをより小さく抑えることができ、再現性により優れることが分かる。
A エロージョン領域
1 マグネトロンスパッタ装置
2 真空槽
6 基板ホルダ
10 ターゲット
11 ターゲットホルダ
20 マグネット
30 基板
40 シャッター機構
41 シャッター
42 開口部
1 マグネトロンスパッタ装置
2 真空槽
6 基板ホルダ
10 ターゲット
11 ターゲットホルダ
20 マグネット
30 基板
40 シャッター機構
41 シャッター
42 開口部
Claims (3)
- 真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記真空槽内に前記ターゲットの種類に応じた放電ガス及び反応ガスを導入した状態で前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、
前記2つのターゲットが円筒形状であって、当該各ターゲットの中心軸と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
90°≦θ≦270° (1) - 真空槽内に、基板を保持した状態で中心軸回りに回転する角柱形状又は円柱形状の基板ホルダと、種類が異なる少なくとも2つのターゲットとを備え、前記真空槽内に前記ターゲットの種類に応じた放電ガス及び反応ガスを導入した状態で前記ターゲットに磁場を印加してスパッタ粒子を発生させるマグネトロンスパッタ装置において、
前記2つのターゲットが平板形状であって、当該ターゲットの左右方向の中心位置と前記基板ホルダの中心軸とを結ぶ2つの線分同士が成す角θが次の式(1)を満たすことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
90°≦θ≦270° (1) - 請求項1又は2に記載のマグネトロンスパッタ装置において、
前記真空槽内の一部が、前記2つのターゲットのうち一方のターゲットを格納する第1スパッタ領域と、他方のターゲットを格納する第2スパッタ領域とに物理的に区分されていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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