JP2006091499A - 定着装置、摺動部材および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置60であって、定着ロール61と、定着ロール61に接触しながら移動可能なエンドレスベルト62と、エンドレスベルト62の内側に接触するように配置された低摩擦シート68と、低摩擦シート68を介して、エンドレスベルト62を定着ロール61に圧接させて定着ロール61とエンドレスベルト62との間に記録材が通過するニップ部Nを形成する圧力パッド64とを備え、低摩擦シート68は、エンドレスベルト62と接する摺動面側にフッ素樹脂等の耐熱性樹脂100重量部と合成雲母等の層間剥離性フィラー0.1重量部〜15重量部とを配合してなる樹脂層を有する。
【選択図】 図2
Description
即ち、特許文献1に記載した定着装置は、表面が弾性変形する回転可能な定着ロールと、この定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルトと、このエンドレスベルトの内側に非回転状態で配置された圧力パッドとを具備し、圧力パッドによって、定着ロールとの接触面が形成されるようにエンドレスベルトを定着ロールに圧接させ、エンドレスベルトと定着ロールとの間にシートを通過させることができるようにベルトニップを設けるとともに、定着ロールの表面のうち、シートの出口側を局部的に弾性変形させるように構成されたものである。
即ち、例えば、フッ素樹脂を含浸させたガラス繊維シートからなる低摩擦フィルムの場合は、長期の使用により最表層に被覆されたフッ素樹脂層が磨耗し、補強基材のガラス繊維シートが剥き出しになる傾向がある。このような剥き出しになった表面がエンドレスベルトの内面を磨耗させ、エンドレスベルトの信頼性が損なわれる。また、摩耗により生じた磨耗粉が蓄積したり、ガラス繊維面とエンドレスベルト内周面とが直接接触する機会が増加することにより、エンドレスベルト内周面−低摩擦シート表面間の摩擦係数が増大し、その結果、薄肉の定着ロールコアのギア受け部に作用する応力が大きくなり、ギアやコアの破損、また、駆動モーターへの負担の増大等の問題がある。
即ち、本発明の目的は、長期の使用において高品質な定着画像を形成する定着装置を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、長期の使用に耐えうる摺動部材を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、定着画像を形成する画像形成装置を提供することにある。
ここで、耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から選ばれる少なくとも1種類のフッ素樹脂であることが好ましい。さらに、フッ素樹脂のなかでも、電子線架橋されたポリテトラフルオロエチレン、または、電子線架橋されたポリテトラフルオロエチレン及びポリテトラフルオロエチレン混合物であることが好ましい。
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置を示した概略構成図である。図1には、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置が示されている。図1に示された画像形成装置は、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー画像を記録材(記録紙)である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
図1に示すような画像形成装置では、画像読取装置(IIT)(図示せず)やパーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等から出力される画像データは、画像処理装置(IPS)(図示せず)により所定の画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。IPSでは、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の所定の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
一方、用紙Pへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回動に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニングバックアップロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
図2は、本実施の形態が適用される定着装置60の構成を示す側断面図である。定着装置60は、回動部材の一例としての定着ロール61と、ベルト部材の一例としてのエンドレスベルト62と、およびエンドレスベルト62を介して定着ロール61から押圧される圧力部材の一例としての圧力パッド64と、により主要部が構成されている。
定着ロール61の内部には、発熱源として、例えば、定格600Wのハロゲンヒータ66が配設されている。一方、定着ロール61の表面には温度センサ69が接触して配置されている。画像形成装置の制御部40は、この温度センサ69による温度計測値に基づいてハロゲンヒータ66の点灯を制御し、定着ロール61の表面温度が所定の設定温度(例えば、175℃)を維持するように調整している。
図3に示すように、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65の両端部にエッジガイド部材80が配設されている。エッジガイド部材80は、ニップ部Nとその近傍に対応する部分に切り欠きが形成された円筒状、すなわち断面がC形状のベルト走行ガイド部801と、このベルト走行ガイド部801の外側に設けられ、エンドレスベルト62の外径よりも大きな外径で形成されたフランジ部802と、さらにフランジ部802の外側に設けられ、エッジガイド部材80を定着装置60本体に位置決めして固定するための保持部803と、で構成されている。
ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62の内部に配置されたホルダ65に、長手方向に沿って取り付けられている。また、ベルトガイド部材63には、エンドレスベルト62の回転方向に向けて複数のリブが形成され、エンドレスベルト62内周面との接触面積を極力少なくするように構成されている。さらに、ベルトガイド部材63は、エンドレスベルト62がスムーズに回動することができるように摩擦係数が低い材質であって、かつ、エンドレスベルト62から熱を奪い難いように熱伝導率が低い材質で形成されている。具体的にはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)やポリフェニレンサルファイド(PPS)等の耐熱性樹脂が用いられる。
低摩擦シート68は、ニップ部Nの上流側端部が低摩擦シート固定部材68aによってホルダ65に固定されている。そして、エンドレスベルト62の回動方向に沿って、圧力パッド64とエンドレスベルト62内周面との間に挟持された状態で、ニップ部Nの全域に亘って配設されている。なお、低摩擦シート68のニップ部N下流側は、低摩擦シート68に歪みが生じないように、固定されず自由端(フリー)の状態に設定されている。そして、低摩擦シート68は、ニップ部Nにおいて圧力パッド64と定着ロール61との間に押圧力が印加されている状態の下で、エンドレスベルト62内周面と圧力パッド64との摺動抵抗(摩擦抵抗)を低減している。
まず、定着ロール61では、コア611は、鉄、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、銅等の熱伝導率の高い金属または合金、セラミックス、FRMで形成された、例えば外径φ30mm、肉厚1.8mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
耐熱性弾性体層612は、耐熱性の高い弾性体で構成され、特に、ゴム硬度が15°〜45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましい。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等を用いることができる。なかでも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。このようなシリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。本実施の形態の定着装置60では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムを600μmの厚さでコア611に被覆している。耐熱性弾性体層612の厚さは、通常、3mm以下、好ましくは、0.1mm〜1.5mmの範囲内である。耐熱性弾性体層612のコア611の表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法、成型などが採用できる。
離型層613の厚さは、通常、10μm〜50μm、好ましくは15μm〜30μmの範囲内である。離型層613を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、上述したコーティング法などが挙げられる。また、押出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法が挙げられる。本実施の形態の定着装置60では、厚さ30μmのPFAを被覆している。
剥離ニップ部材64bは、PPS、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド等の耐熱性を有する樹脂、または鉄、アルミニウム、SUS等の金属で形成されている。剥離ニップ部材64bの形状としては、ニップ部Nにおける外面形状が一定の曲率半径を有する凸状曲面に形成されている。そして、本実施の形態の定着装置60では、エンドレスベルト62は、圧力パッド64により定着ロール61に約40°の巻き付き角度でラップされ、約8mm幅のニップ部Nを形成している。
前述した第1の実施の形態では、加熱手段として発熱源を有する定着ロール61を用い、加圧手段として圧力パッド64が押圧されたエンドレスベルト62を用いた定着装置60が搭載された画像形成装置について説明した。第2の実施の形態では、図1に示した画像形成装置に搭載する定着装置であって、加熱手段として発熱源が押圧された定着ベルトを用い、加圧手段として加圧ロールを用いた定着装置について説明する。尚、第1の実施の形態と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
セラミックヒータ82は、加圧ロール91側の面がほぼフラットに形成されている。そして、定着ベルト92を介して加圧ロール91に押圧される状態で配置され、ニップ部Nを形成している。したがって、セラミックヒータ82は圧力部材としても機能している。ニップ部Nを通過した用紙Pは、ニップ部Nの出口領域(剥離ニップ部)において定着ベルト92の曲率の変化によって定着ベルト92から剥離される。
さらに、定着ベルト92内周面とセラミックヒータ82との間には、定着ベルト92の内周面とセラミックヒータ82との摺動抵抗を小さくするため、摺擦部材の一例としての低摩擦シート68が配設されている。この低摩擦シート68は、セラミックヒータ82と別体に構成しても、セラミックヒータ82と一体的に構成しても、いずれでもよい。
また、剥離の補助手段として、定着ベルト92のニップ部Nの下流側に、剥離補助部材70を配設することも可能である。剥離補助部材70は、剥離バッフル71が定着ベルト92の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ベルト92と近接する状態でバッフルホルダ72によって保持されている。
尚、セラミックヒータ82の押圧力は、軸方向において一定に設定すればよいので、セラミックヒータ82の設定に際して複雑な調整を必要とせず、生産性の向上、製造コストの低下を図ることもできる。
1.画質評価
第1の実施の形態において説明した定着装置60と同様な構成の定着装置を備えた画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)を用いて、フルカラーのベタ画像をC2紙に出力し、以下の基準に従い画質を評価した。
(画質評価基準)
○:画質欠陥が発生しない。
△:画質欠陥は軽微に存在するが、実用上問題ない。
×:実用上問題のある画質欠陥が発生する。
ダイレクトトルクメーター(富士ゼロックス株式会社内作製機器)の測定ギヤを定着ロールのギヤ部に嵌め合わせて、定着ロールの初期駆動及び経時駆動に駆動に要するトルクを測定した(単位:Nm)。駆動トルクが1.0Nmを超えると、駆動源である定着ロールの駆動ギヤに負担がかかり、実用上問題がある。特に不具合を示す現象としては、画像を得る用紙に紙皺が発生したり、ギヤの異音が発生する。
定着ロールは、外径26mm、肉厚1.8mm、長さ360mmである円筒状鉄製のコアの外周面に、厚さ600μmのシリコーンHTVゴム(ゴム硬度33度:JIS−A)の弾性層が設けられ、この弾性層の表面に、厚さ25μmのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)のチューブが離型層として被覆され、鏡面状態に近い表面に仕上げられている。定着ロールのコアの内部には、加熱源としてハロゲンランプ(600w)が配設されている。定着ロールの表面温度は、加熱された定着ロールの表面に当接した状態で配置された感温素子である温度センサー及び温度コントローラーとにより175℃に制御した。
エンドレスベルトを押圧する圧力パッドは、幅10mm、厚さ5mm、長さ340mmのシリコーンゴムからなる支持体上に低摩擦シートが設けられ、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてパーフルオロポリエーテルオイル(ダイキン工業株式会社製:S100)が供給されている。また、支持体の上に配置されたベルト走行ガイドの表面には、ベルト回転方向のリブが設けられており、エンドレスベルトの内周面との接触面積を少なくしている。圧力パッドは、エンドレスベルトを介して圧縮コイルスプリングにより定着ロールを34.5kgの荷重で押圧している。
フッ素樹脂(三井デュポンフロロケミカル株式会社製:テフロン(登録商標)モールディングパウダー)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成膨潤マイカ(TOPY工業株式会社製:直径約150nm、長さ約10μm)2重量部とを、予め溶融させながら分散させて混合ペレットを作製した。次に、この混合ペレットを、温度380℃にて圧縮成型機を用いて基体を作製し、この基体を厚さ30μmにスカイビングして低摩擦シートを調製した。続いて、この低摩擦シートを圧力パッド上に固定した。
層間剥離性フィラーとしてモンモリナイト(クニミネ工業株式会社製クニピアF:直径約180nm、長さ約0.5μm)5重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
層間剥離性フィラーとしてナトリウムヘクトライト(TOPY工業株式会社製DMA−80E:直径約200nm、長さ約10μm)5重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
層間剥離性フィラーとして珪酸アルミニウムマグネシウム(コープケミカル株式会社製SWF:直径約200nm、長さ約0.08μm)1重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様の条件で低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
フッ素樹脂として変性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製:ニューポリフロンM111)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成マイカ(TOPY工業株式会社製4CD−Ts:直径約150nm、長さ約10μm)3重量部を配合し、実施例1と同様の条件で低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
フッ素樹脂として変性フッ素樹脂(ダイキン工業株式会社製:ニューポリフロンM111)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成マイカ(コープケミカル株式会社製MEE:直径約150nm、長さ約10μm)3重量部を配合し、スカイブフィルムを作製した。次に、このスカイブフィルムを2枚用いてガラスクロス(株式会社有沢製作所製)の両面を挟んだサンドイッチ構造の低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
フッ素樹脂として架橋フッ素樹脂粉末含有フッ素樹脂(日立電線株式会社製:XF)100重量部と、層間剥離性フィラーとして合成マイカ(TOPY工業株式会社製4CD−Ts:直径約150nm、長さ約10μm)3重量部を配合し、実施例1と同様の条件で低摩擦シートを調製した。また、低摩擦シート表面には、潤滑剤としてアミノ変性シリコーンオイル(信越化学株式会社製:KS9001A)を供給した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、初期と経時で駆動トルクに変動がなく、画質も極めて良好であった。結果を表1及び図5に示す。
フッ素樹脂(三井デュポンフロロケミカル株式会社製:テフロン(登録商標)モールディングパウダー)をガラス繊維に含浸させて低摩擦シートを調製し、続いて、この低摩擦シートを圧力パッド上に固定した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、画質は初期には良好であったが、経時的に画像乱れが生じ、記録シートの紙皺も発生した。また、駆動トルクは、初期には低いが、経時的に上昇した。結果を表1及び図5に示す。
フッ素樹脂(三井デュポンフロロケミカル株式会社製:テフロン(登録商標)モールディングパウダー)の繊維に、同種のフッ素樹脂からなる多孔質フッ素樹脂皮膜を積層させて低摩擦シートを調製し、続いて、この低摩擦シートを圧力パッド上に固定した。
次に、実施例1と同様に、このように調製した低摩擦シートを用いた定着装置を画像形成装置(富士ゼロックス株式会社製:カラープリンター DCC400)に組み込み、20万枚までのランニング試験を実施し、初期と経時(20万枚プリント後)でプリントした際の駆動トルク及びプリントの画質を確認した。その結果、画質は初期には良好であったが、経時的に画像乱れが生じ、記録シートの紙皺も発生した。また、駆動トルクは、初期には低いが、経時的に上昇した。結果を表1及び図5に示す。
一方、層間剥離性フィラーを配合せずに調製した低摩擦シートを使用した画像形成装置の場合は(比較例1及び比較例2)、駆動トルクは、経時的に1Nm以上に増加する。駆動トルクが0.8Nmを超えると駆動モーターに過負荷がかかり、駆動性に悪影響を及ぼすことにより、プリント枚数が50000枚程度で許容駆動トルクを超え、紙皺及び画像乱れが生じることが分かる。
即ち、本発明によれば、フリー回転体方式、特にベルト回転体方式を用いた定着装置において、低摩擦シートとして層間剥離性フィラーを含有した耐熱性樹脂組成物からなる低摩擦摺動部材を用いることにより、微細凹凸による接触面積の低減、層間剥離性フィラーのもつ低摩擦特性、潤滑剤内部浸透からくる表面膨潤などによる化学的変質を招来させず、ニップ形状のばらつきによる定着画像乱れなどの画質欠陥を防止することができる。
また、層間剥離性フィラーを好適量添加した場合には補強効果と潤滑性を同時に実現できるため、機器の長期使用において、従来よりも信頼性の高い画像定着装置を実現することができる。
Claims (10)
- 記録材に担持されたトナー像を定着する定着装置であって、
回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に接触するように配置された摺動部材と、
前記摺動部材を介して、前記ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
前記摺動部材は、前記ベルト部材と接する摺動面側に耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有する
ことを特徴とする定着装置。 - 前記摺動部材は、凹凸表面を有する材料からなる基材と、前記基材表面に形成された、前記耐熱性樹脂と前記層間剥離性フィラーとを配合してなる前記樹脂層を有することを特徴とする請求項1記載の定着装置。
- 前記凹凸表面を有する材料がガラス繊維であることを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 記録材に担持されたトナー像をベルト部材を用いて定着する定着装置に使用し、当該ベルト部材に摺動する摺動部材であって、
摺動面側に、耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有することを特徴とする摺動部材。 - 前記耐熱性樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体から選ばれる少なくとも1種類のフッ素樹脂であることを特徴とする請求項4記載の摺動部材。
- 前記フッ素樹脂は、電子線架橋されたポリテトラフルオロエチレン、または、前記電子線架橋されたポリテトラフルオロエチレン及びポリテトラフルオロエチレン混合物であることを特徴とする請求項4記載の摺動部材。
- 前記層間剥離性フィラーは、厚さ0.005μm〜1μm、長さ0.01μm〜50μmである形状を有することを特徴とする請求項4記載の摺動部材。
- 前記層間剥離性フィラーは、合成雲母、モンモリナイト、サポナイト、スメクタイトから選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項4記載の摺動部材。
- 前記樹脂層が、前記耐熱性樹脂100重量部と、当該耐熱性樹脂に対して前記層間剥離性フィラー0.1重量部〜15重量部とを配合してなる樹脂組成物から形成されることを特徴とする請求項4記載の摺動部材。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成されたトナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写されたトナー像を当該記録材に定着する定着手段とを含み、
前記定着手段は、
回動部材と、
前記回動部材に接触しながら移動可能なベルト部材と、
前記ベルト部材の内側に接触するように配置された摺動部材と、
前記摺動部材を介して、前記ベルト部材を前記回動部材に圧接させて当該回動部材と当該ベルト部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する圧力部材とを備え、
前記摺動部材は、前記ベルト部材と接する摺動面側に耐熱性樹脂と層間剥離性フィラーとを配合してなる樹脂層を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
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