図1は、本発明を実施したデジタルカメラの前面を示す斜視図、図2は、図1に示すデジタルカメラの後面を示す斜視図である。デジタルカメラ2の前面には、撮像窓3、ストロボ発光部4が設けられる。撮像窓3と、ストロボ発光部4との間には、セルフタイマー用のランプ5が設けられている。この撮像窓3の後面には、後述する第1レンズ群66の第1レンズ70が配置される。このデジタルカメラ2の上面には、電源ボタン8及びシャッタボタン9が設けられている。
デジタルカメラ2の後面には、LCD(Liquid Crystal Display)パネル11が設けられている。このLCDパネル11は撮影モードでは電子ビューファインダとして機能し、CCDイメージセンサ92(図8参照)で撮像されたスルー画像がLCDパネル11に表示される。このLCDパネル11の図2中右側上方には、ズームボタン12が設けられる。このズームボタン12は、拡大(ワイド)ボタン12a、縮小(テレ)ボタン12bから構成される。このズームボタン12の下方には、モード選択ボタン13、4つのボタンが十字配列された設定変更キー14が設けられる。なお、モード選択ボタン13は、撮影を行う撮影モード、撮影画像を再生する再生モード、各種設定を行うセットアップモードなどの各種モードを選択するために設けられる。
設定変更キー14は、モード選択ボタン13の操作によって、セットアップモードが選択されたときに、LCDパネル11に表示されたメニュー画面のカーソルの移動や、項目の選択を行う場合に操作される。また、再生モードが選択されると、図示しないメモリに記憶された画像が再生され、この状態で設定変更キー14が操作されると、メモリに記憶された異なる画像がLCDパネル11に表示される。この再生モードの際に、ズームボタン12が操作されると、LCDパネル11に表示された画像が拡大表示、或いは縮小表示される。また、撮影モードが選択された場合、設定変更キー14を操作することによって、例えばストロボ発光の有無の切換や、近接撮影、風景撮影等の撮影時のモード切換等を行うことができる。
図3は、デジタルカメラ2に内蔵される撮像ユニットの前面を分割して示す斜視図、図4は撮像ユニットの後面を示す斜視図である。この撮像ユニット20に組み込まれる撮像光学系は、プリズム71を用いた屈曲光学系から構成される。この屈曲光学系が用いられることによって、デジタルカメラ2の厚みを薄くすることができる。この撮像ユニット20は、上部ユニット21と、下部ユニット22とから構成され、これら2つのユニットがネジ23等によって一体に組み付けられる。なお、符号24はシャッタユニットであり、本実施形態では、便宜上シャッタユニット24は下部ユニット22に含まれるものとして説明する。なお、図4中符号30は第1駆動ユニット、符号31は第2駆動ユニットであり、第1駆動ユニット30は上部保持枠65に、第2駆動ユニット31は下部保持枠90に、ネジ33、34等によりそれぞれ組み付けられる。なお、図示はしないが、本発明のレンズ装置は、第1駆動ユニット30と第2レンズ群67が保持されたレンズキャリア78と、また、第2駆動ユニット31と第4レンズ群91が保持されたレンズキャリア93とから、それぞれ構成される。
図5は、第1駆動ユニット30の構成を分解して示す斜視図である。第1駆動ユニット30は、ブラケット40、移動部材41、駆動モータ42、ガイドシャフト43から構成されている。ブラケット40は、略コの字状から構成されている。この上面40a及び下面40bには、ガイドシャフト43が挿通される開口44の他に、駆動モータ42の駆動ネジ軸42aが挿通される開口45がそれぞれ設けられる。なお、符号46(図4参照)、符号47は第1駆動ユニット30を上部保持枠65に設けられたピン65aが挿入される位置決め孔であり、符号48は、ネジ33が挿通される開口である。
移動部材41は、円柱形状からなる基部41aに、ガイドシャフト43が挿通される開口41b、41cが設けられている。この基部41aから突出するように、当接片41d及び押圧片41e、41fが設けられている。この当接片41dと、押圧片41e、41fとの間には、駆動モータ42の駆動ネジ軸42aが挿入される。なお、当接片41dにはラッチ41gが設けられており、駆動モータ42の駆動ネジ軸42aと噛み合うことで、駆動ネジ軸42aの回転を移動部材41の移動に変換している。また、移動部材41には、連結片41hを備えており、この連結片41hに引張りバネ82(図7参照)の一端が取り付けられる。なお、ガイドシャフト43は、移動部材41の移動方向を規制するために設けられる。
図6は、第2駆動ユニット31の構成を分解して示す斜視図である。第2駆動ユニット31は、第1駆動ユニット30と同様に、ブラケット50、移動部材51、駆動モータ52、ガイドシャフト53から構成されている。ブラケット50は、略コの字状から構成されている。この上面50a及び下面50bには、ガイドシャフト53が挿通される開口55の他に、駆動モータ52の駆動ネジ軸52aが挿通される開口56がそれぞれ設けられる。なお、符号57(図4参照),符号58は第2駆動ユニット31を下部保持枠90に設けられたピン90aが挿入される位置決め孔であり、符号59は、ネジ34が挿通される開口である。
移動部材51は、円柱形状からなる基部51aに、ガイドシャフト53が挿通される開口51b、51cが設けられている。この基部51aから突出するように、当接片51d及び押圧片51e,51fが設けられている。この当接片51dと、押圧片51e,51fの間に駆動モータ52の駆動ネジ軸52aが挿入される。なお、当接片51dにはラッチ51gが設けられており、駆動モータ52の駆動ネジ軸52aと噛み合うことで、駆動ネジ軸52aの回転を移動部材51の移動に変換している。また、移動部材51は、連結片51hを備えており、この連結片51hに引張りバネ97(図8参照)の一端が取り付けられる。なお、ガイドシャフト53は、移動部材51の移動方向を規制するために設けられる。
図7に示すように、上部ユニット21は、上部保持枠65、第1レンズ群66、第2レンズ群67、第3レンズ群68等から構成される。第1レンズ群66は、第1レンズ70、プリズム71、第2レンズ72から構成される。第1レンズ70は、レンズホルダ73の後面側から挿入された後に、上部保持枠65に組み付けられる。上部保持枠65の前面にはピンが2カ所設けられており、これらピンによって、レンズホルダ73が上部保持枠65の前面の所定位置に位置決めされる。このレンズホルダ73は、第1レンズ73の背面が上部保持枠65のレンズ受け面65gに当接された状態で保持されることになる。なお、符号74,75は、レンズホルダ73を上部保持枠65に固定するときに用いられる留め具である。
プリズム71には、光入射面71aと光出射面71cとが直交する直交プリズムが用いられる。プリズム71は、第1レンズ70により取り込まれた第1方向(図7中符号L1)の被写体光束を光入射面71aから入射させ、全反射面70bにて90度折り曲げて第2方向(図7中符号L2)に反射させ、光出射面71cから出射させる。なお、詳細は後述するが、このプリズム71は、後述する治具120を用いて上部保持枠65に設けられたプリズム収納部65bに挿入された後に、プリズム収納部65bの外壁面に設けられた注入孔65c,65dから例えばUV接着材等が注入されることによって上部保持枠65に固着される。なお、符号76は、調光用のマスクシートである。
第2レンズ72は、例えば2枚のレンズから構成され、これらレンズが例えば金属からなるレンズホルダ77に組み込まれる。このレンズホルダ77は、上部保持枠65の下方からレンズ収納部65e(図15参照)に収納される。この際、プリズム71の光出射面71c(図10参照)と第2レンズ72とによってマスクシート76が挟持される。
第2レンズ群67は、ズーム倍率の調整を行うためのレンズ群である。この第2レンズ群67は、例えば3枚のレンズから構成され、レンズキャリア78に組み込まれる。レンズキャリア78は、第2レンズ群67を収納する収納部78a、ガイドシャフト79,80が挿通されるガイド受け部78b,78cを備えている。ガイド受け部78bは円柱形状から構成され、その中央が切欠かかれている。この部分が、トーションバネ81が収納される収納部78dとなる。このトーションバネ81の端部81a(図15参照)はガイド受け部78bに設けられた凹部78eに、その他端部81b(図15参照)は凹部78fに入り込む。このトーションバネ81の端部81aは図15中A方向に、他端部81bは図15中B方向に付勢することにより、レンズキャリア78が図15中C方向に付勢される。したがって、ガイド受け部78bに設けられた開口78g,78hの内壁面がガイドシャフト79に当接する。これにより、例えばズーム倍率の変更時において、レンズホルダ78が光軸L2方向に移動した際のレンズホルダ78のがたつきを防止することができるとともに、撮影時に振動が生じてもレンズキャリア78のがたつきを防止することができる。
また、ガイド受け部78bには、連結片78iが設けられており、この連結片78iに、引張りバネ82の他端側が組み付けられる。これにより、第1駆動ユニット30の移動部材41と、レンズキャリア78とが連結され、これら部材の相対位置が一定に保持される。この他に、レンズキャリア78には、インデックス78j(図15参照)が設けられており、このインデックス78jを上部保持枠65に組み付けられたホトインタラプタ84(図15参照)によって検出することによって、移動するレンズキャリア78を停止させる。なお、ホトインタラプタ84の位置は、テレ端、或いはワイド端のいずれか一方に配置されることが好ましい。
レンズホルダ85は、ネジ86等によって上部保持枠65の底面に組み付け固定される。このレンズホルダ85の上面には、上述したガイドシャフト79,80の一端をそれぞれ保持する軸受け部85a,85bを備える他に、第3レンズ群68が固定される取付け孔85cを備えている。
第3レンズ群68は、第2レンズ群67からの被写体光束を第4レンズ群91にリレーするためのレンズ群である。なお、第3レンズ群68は、単一レンズでも、複数のレンズから構成されて良いものとする。なお、符号65fは、第3レンズ群68をレンズホルダ85に組付け固定する際に、専用の治具131を挿通させるための開口であり、この開口65fは、第3レンズ群68をレンズホルダ85に組付け固定された後、前面蓋87によって遮蔽される。
図8に示すように、下部ユニット22は、シャッタユニット24、下部保持枠90、第4レンズ群91及びCCDイメージセンサ92等から構成され、下部保持枠90に第4レンズ群91及びCCDイメージセンサ92等が組み付けられる。第4レンズ群91は、例えば3枚のレンズから構成され、ズーム倍率の調整を行う。また、第4レンズ群91は、ズーム倍率の調整時のフォーカス調整の他に、撮像時のフォーカス調整を行う。この第4レンズ群91は、レンズキャリア93に組み付けられる。
レンズキャリア93は、第4レンズ群91を上述した収納部93aの他に、ガイドシャフト94,95が挿通されるガイド受け部93b,93cを備えている。ガイド受け部93bは円柱形状から構成されており、その中央部付近が切欠かかれている。この部分が、トーションバネ96が収納される収納部93dとなる。このトーションバネ96の一端はガイド受け部93bに設けられた凹部93eに、その他端は凹部93fに入り込む。このトーションバネ96により、レンズキャリア93が付勢され、ガイド受け部93bの開口93g、93hがガイドシャフト94に当接することになる。これにより、例えばレンズキャリア93が光軸L2方向に移動した場合に、レンズキャリア93のがたつきを防止することができるとともに、撮影時に振動が生じてもレンズキャリア93のがたつきを防止することができる。
また、ガイド受け部93bには、連結片93iが設けられており、この連結片93iに、引張りバネ97の他端側が組み付けられる。これにより、第2駆動ユニット31の移動部材51と、レンズキャリア93とが連結され、これら部材の相対位置が一定に保持される。また、このレンズキャリア93はインデックス93jを備え、下部保持枠90の側部開口90aに組み付けられるフォトインタラプタ100によって検出される。
なお、ガイドシャフト94の下端は、下部保持枠90に設けられた軸受け孔90d(図17参照)に挿入される。この軸受け孔90dにおけるガイド軸の受け面90eの位置(光軸L2方向の位置)がCCDイメージセンサ92の同一位置となるように設けられている。これにより、軸受け孔90dの深さを長くすることができ、ガイド軸の倒れ込みを防止することができる。一方、ガイドシャフト94の上端は、シャッタユニット24の底面に設けられた軸受け穴24aに挿入される(図17参照)。このシャッタユニット24の底面に設けられた軸受け穴24aの直径D1は、ガイドシャフト94の直径D2よりも大きく形成されており、例えばデジタルカメラ2を落下した等、デジタルカメラ2が衝撃を受けた場合に、その衝撃を吸収するようになっている。
下部保持枠90の底面側から、ローパスフィルタ98、CCDイメージセンサ92が組み付けられる。ローパスフィルタ98はモアレや擬色を防止するために用いられる。CCDイメージセンサ92は、第4レンズ群91を透過した被写体光が、その結像面にて結像され、被写体像の撮像信号に変換する。なお、ローパスフィルタ98は、CCDイメージセンサ92の結像面92aに対して充分な距離を置くことで、例えばローパスフィルタ98に塵等のゴミが存在する場合に、ローパスフィルタ98上のゴミの影響を低減させることが可能となる。なお、図17に示すように、ローパスフィルタ98と、CCDイメージセンサ92の結像面との距離Kは5mm以上であることが好ましい。
デジタルカメラ2の電気的構成を示す図9において、CPU105は、レリーズボタン9、ズームボタン12、或いはモード設定ボタン13等から入力される操作信号に応じて、デジタルカメラ2の各部を制御する。ROM105bには、CPU105によって実行される制御プログラムが格納されており、この制御プログラムには、動作モードの切り替えを行うモード制御プログラムが含まれている。RAM105cは、CPU105が制御プログラムを実行する際の作業用メモリである。
例えばズームボタン12の何れか一方が操作されると、CPU105は、モータドライバ106を介して、駆動モータ42及び駆動モータ52を駆動させ、第2レンズ群67、及び第4レンズ群91を光軸方向(図7及び図8に示すL2方向)に移動させる。また、CPU105はズーム倍率の変更後には駆動モータ52を駆動させ、ズーム倍率に合わせたフォーカス調整を行う。また、レリーズボタン9が半押し操作されると、駆動モータ52を駆動させて、再度フォーカス調整を行うと共に、モータドライバ106を介して、シャッタユニット24に設けられたシャッタモータ107を駆動させ、シャッタ108を駆動させる。
上述したように、第4レンズ群91の背後には、CCDイメージセンサ92が配置されている。CCDイメージセンサ92は、その受光面に結像された被写体光を撮像し、アナログの撮像信号を出力する。なお、このCCDイメージセンサ92は、CCDドライバ109によって制御される。
CCDイメージセンサ92から出力されたアナログの撮像信号は、CDS/AMP回路110に入力される。CDS/AMP回路110は、相関二重サンプリング回路(CDS)と、増幅器(AMP)とからなる。CDSは、CCDイメージセンサ92からのアナログ信号からR, G, Bの画像データを生成し、AMPは、CDSによって生成されたR, G, Bの画像データを増幅する。A/D変換器(A/D)111は、CDS/AMP回路110から出力されたアナログのR,G,Bの画像データをデジタルのR,G,Bの画像データに変換する。なお、A/D変換器111によって変換されたデジタルの画像データは、CPU105によって画像信号処理回路112に出力される。
画像信号処理回路112は、デジタルのR,G,Bの画像データに対して、階調変換、ホワイトバランス補正、γ補正処理などの各種画像処理と、YC変換処理とを施す。撮影モード下で撮影処理が実行される前には、画像信号処理回路112に入力された画像データは、簡易な画像処理とYC変換処理とが施されてVRAM113に一時的に書き込まれる。ビデオエンコーダ114は、VRAM113に書き込まれた画像データをコンポジット信号に変換し、LCDパネル11にスルー画像として表示する。一方、撮影処理が実行されたときには、画像信号処理回路112に入力された画像データは、本格的な画像処理とYC変換処理とが施され、SDRAM115に撮影画像データとして記録される。
圧縮伸張処理回路116は、撮影モード下でSDRAM115に記録された撮影画像データを所定の圧縮形式(例えばJPEG形式)で圧縮して画像ファイルを生成する。この圧縮された画像ファイルが図示しないメディアコントローラを介してメモリーカード等の記録媒体に記録される。また、圧縮伸長処理回路116は、再生モード下で、メディアコントローラによってメモリーカード等の記憶媒体から読み出された画像ファイルを伸張処理し、LCDパネル11に再生画像として表示する。
バス117には、画像データの輝度から露出値とホワイトバランス値とを算出するAE/AWB検出回路118と、画像データのコントラストから第4レンズ群91のピント位置を算出するAF検出回路119とが接続されている。各検出回路118,119は、撮影モード下でレリーズボタン9が半押し操作されたことに応答し、バス117を介してCPU105に検出結果を入力する。CPU105は、各検出回路118,119から入力された検出結果に基づいて、自動露出設定(AE制御)、自動ホワイトバランス調整(AWB制御)、ピント合わせ(AF制御)の各処理を実行する。
次に、プリズム71を上部保持枠65に組み付ける方法について、図10〜12を用いて説明する。図10に示すように、治具120は、レンズ受け面65gに当接される基準面120aと、プリズム71の光入射面71aを基準面120aと水平となるように保持するプリズム保持部120bとを備えている。また、治具120は、吸引ノズル120cを備えており、この吸引ノズル120cによって、プリズム71の光入射面71aが基準面120aと水平となる状態でプリズム71を吸着保持する。
このような治具120を用いて、プリズム71を上部保持枠65に位置決めする手順を以下に示す。まず、プリズム71の光入射面71aを治具120のプリズム保持部120bに当接させた状態で吸着保持する。この状態で治具120を移動させ、所定位置に保持された上部保持枠65のプリズム収納部65bにプリズム71を挿入する。この際、治具120の基準面120aが上部保持枠65のレンズ受け面65gに当接するまで、治具120を移動させる。上部保持枠65のレンズ受け面65gは、第1レンズ70の背面を受けて第1レンズ70を位置決めする面であり、また、プリズム71はその光入射面71aがプリズム保持部120bによって治具120の基準面120aと平行となるように吸着保持されているから、レンズ受け面65gとプリズム71の光入射面71aとが平行な面となる。これにより、第1レンズ70が上部保持枠65に保持された場合に、第1レンズ70の光軸L1に対するプリズム71の光入射面71aが垂直な面となり、光入射面71aの法線方向が光軸L1に対して傾斜した状態で、プリズム71が上部保持枠65に組み付けられることを防止できる。
また、プリズム71のレンズ収納部65bへの挿入時には、プリズム71の上面71dをレンズ収納部65bに設けられたプリズム規制部65hに当接させる。このプリズム規制部65hにプリズム71の上面71dを当接させることで、プリズム71の光出射面71cの法線方向が光軸L2に対して傾斜した状態で、プリズム71が上部保持枠65に組み付けられることを防止できる。これにより、レンズ受け部65gに治具120の基準面120aを当接させ、かつ、その時に、プリズム71の上面71dをプリズム収納部65bのプリズム規制部65hに当接させることで、上部保持枠65に対するプリズム71の位置決めが容易に、かつ高精度に行われることになる。
この状態で治具120を固定し、注入口65c,65dから、例えばUV接着剤等を注入することによって、プリズム71を上部保持枠65のプリズム収納部65bに固着させる。これにより、プリズム71がプリズム71の光入射面71a、全反射面71b、光出射面71c以外の2面でプリズム71が上部保持枠65に接着保持されることになる。なお、プリズム71を上部保持枠65に固着させた後には、プリズム収納部65bに生じる隙間にマスクシート76を挿入する。
マスクシート76を挿入した後に、上部保持枠65に設けられたレンズ収納部65eに、第2レンズ72が組み付けられたレンズホルダ77を挿入し、マスクシート76をプリズム71の光出射面71cと、第2レンズ72とによって挟持させ、例えば接着剤により固着する。これにより、プリズム71の光出射面71cに対して、第2レンズ72の光入射面が平行な面となる、つまり、光軸L2に対して第2レンズ72の光入射面が直交することになる。また、マスクシート76をプリズム71の光出射面71cと第2レンズ72によって挟持することによって、第2レンズ72の位置決めを行うことが可能となる。
その後、レンズ収納部65eに、レンズキャリア78を組み付ける。なお、レンズ収納部65eに組み付けられるレンズキャリア78には、レンズ収納部78aに第2レンズ群67が組み付けられる他に、バネ収納部78dにトーションバネ81を収納した状態で、ガイドシャフト79がガイド受け部78bに組み付けられている。なお、ガイドシャフト79をレンズキャリアに組み込む際に、巻きバネ81に挿通させて組み込むから、巻きバネ81の付勢によって、開口78g,78hの内壁面にガイドシャフト79が当接されることになる。また、トーションバネ81は、そのコイル部が収納部の壁面に対して非接触であるから、トーションバネ81の持つ付勢力を減衰させることがない。このレンズキャリア78をレンズ収納部65eに組み付ける場合には、ガイドシャフト80と共に組み付ける。その後に、レンズホルダ85を上部保持枠65の底面側に組み付け固定する。
この状態で、レンズホルダ85に設けられたレンズ組付け部85cに第3レンズ群68を組み付ける。
以下に、第3レンズ群68をレンズホルダ85に組み付ける際の位置調整装置130について説明する。図13に示すように、位置調整装置130は、治具131、光源132、ビームスプリッタ133、CCDイメージセンサ134及びコリメータレンズ135から構成される。
治具131は、レンズ受け部140、アーム部141及び治具本体142から構成される。レンズ受け部140は、その上面に、第3レンズ群68を受けるレンズ受け面140aが設けられている。なお、図示はしないが、このレンズ受け面140aに、第3レンズ群68を載置すると、第3レンズ群68が吸着保持されるようになっている。アーム部141は、レンズ受け部140と、治具本体142とを一体にするためのものである。なお、治具本体142の基準面142aと、レンズ受け面140aとは直交するように設けられる。治具本体142には、その中心軸が基準面142aに直交する開口142bが形成されている。また、治具本体142の基準面142aには、開口142bに連通する開口144が形成されたミラー145が、前記開口142bの中心軸と、ミラー145に形成された開口144の中心軸とが一致するように取り付けられている。なお、このミラー145は、光源132からの照射光を垂直に反射させる。
光源132は、照射光の光軸が治具131の開口142bの中心軸と一致するように配置される。以下では、光源132として、レーザ光を発するレーザ光源を例として説明する。ビームスプリッタ133は、光源132からのレーザ光を透過させ、コリメータレンズ135へと出射させるとともに、ミラー145からの反射光、及び上部保持枠65に固着されたプリズム71の光出射面71cで反射されたレーザ光をその内部に設けられた反射面133aでCCDイメージセンサ134へと反射させる。コリメータレンズ135は、ビームスプリッタ133から出射した光の光束を、所定幅の平行線光束にして、ミラー145に垂直に出射する。
このような調整装置130を用いて、上部保持枠65に組み付けられたレンズホルダ85に第3レンズ群68を組み付ける際には、まず、レンズ受け部140に第3レンズ群68を吸着保持させる。上部保持枠65を保持した治具152を移動させて、上部保持枠65に設けられた開口65fに治具131のレンズ受け部140を挿入する。さらに、上部保持枠65を移動させ、レンズホルダ85のレンズ組付け部85cに位置させる。この状態で、光源132からレーザ光をミラー145及びプリズム71に向けて照射する。光源132から照射されたレーザ光はビームスプリッタ133を透過した後に、コリメータレンズ135で所定の平行線光束に変換されて、治具本体142の開口142bへと照射される。治具本体142の基準面142aには、開口142bを遮蔽するようにミラー145が設けられており、ミラー145に到達した光はミラー145で反射されるか、ミラー145に設けられた開口144を通過する。
開口144を通過した光はプリズム71の光入射面71aから内部に入射する。そして、プリズム71の内部に入射した光は、反射面71bにて90度屈曲され、プリズム71の光出射面71cに到達する。なお、プリズム71と第2レンズ72との間には、マスクシート76によって形成されたエアギャップがある。このため、プリズム71の光出射面に到達したレーザ光の約3〜4%がプリズム71の光出射面71cで反射することになる。なお、以下では、プリズム71の光出射面71cで反射した光を戻り光として説明する。この戻り光は、プリズム71の内部を透過した後に、ミラー145の開口144、治具本体142の開口142bを通過する。
プリズム71からの戻り光は、ミラー145で反射した光と共に、コリメータレンズ135を透過する。この透過した光は、ビームスプリッタ133の反射面133aで反射した後に、CCDイメージセンサ134の結像面上で結像される。なお、CCDイメージセンサ134で受光された光量は制御装置150によって2次元解析することによって、スポット像の位置が判明する。なお、図14に示すように、ミラー145で反射した光によるスポット像S1は、xy座標系の原点に位置する。例えば上部保持枠65の位置が適している場合には、プリズム71からの戻り光によるスポット像S2が、ミラー145で反射した光によるスポット像S1と一致する。この場合には、その状態でUV接着剤を用いて、或いは熱カシメ等により、第3レンズ群68をレンズホルダ85に固着する。
図14に示すように、ミラー145で反射した光によるスポット像S1と、プリズム71からの戻り光によるスポット像S2とが一致しない場合には、制御装置150は、駆動装置151を作動させ、上部保持枠65を保持している治具152の位置を調整して、ミラー145で反射した光によるスポット像S1と、プリズム71からの戻り光によるスポット像S2とを一致させる。その後、第3レンズ群68をUV接着剤を用いて、或いは熱カシメ等によりレンズホルダ85に固着する。また、上部保持枠65の開口65fに、前面蓋87を組み付けるとともに、第1レンズ70をレンズホルダ73を用いて上部保持枠65に組み付ける。この状態で、上部保持枠65に、第1駆動ユニット30を組み付け、上部保持枠65の前面に設けられた開口65iから治具を挿入して、引張りバネ82の一端を移動部材41に、その他端をレンズキャリア78にそれぞれ取り付ける。これにより、上部ユニット21が完成する。
一方、下部保持枠90の下方からローパスフィルタ98を、例えばUV接着剤等を用いて下部保持枠の内部に固着する。その後、下部保持枠90のレンズ収納部90bに、第4レンズ群91が組み付けられたレンズキャリア93と、ガイドシャフト95とを組み付ける。なお、レンズキャリア93には、ガイドシャフト94が組み付けられている。なお、ガイドシャフト94をレンズキャリア93に組み込む際に、引張りバネ97に挿通させて組み込むから、引張りバネ97の付勢によって、開口93g,93hの内壁面にガイドシャフト94が当接されることになる。
これら部材を組み込んだ後に、シャッタユニット24を下部保持枠90の上方にネジ止め固定する。また、下部保持枠90の底面にCCDイメージセンサ92を組み付ける。その後、第2駆動ユニット31を下部保持枠90の所定位置に組み付けた後に、下部保持枠90の前面に設けられた開口90cから治具を使用して、引張りバネ97の一端を移動部材51に、その他端をレンズキャリア91に取り付ける。これにより、下部ユニット22が組み立てられる。そして、上部ユニット21と下部ユニット22とをネジ等によって組み付けることによって撮像ユニット20が完成する。完成した撮像ユニット20は、他の部品と共に、デジタルカメラ2に組み込まれる。
このようにして製造されたデジタルカメラ2を用いて撮影を行う場合には、まず、ズームボタン12のいずれか一方を操作して、被写体像に合わせたズーム倍率に設定する。例えば、ワイドボタン12aを操作したときには、駆動モータ42が駆動して、レンズキャリア78を図16中E方向に移動させる。このとき、駆動モータ42が駆動して移動部材41を移動させるが、レンズキャリア78は移動部材41により押圧され、図16中E方向に移動する。このレンズキャリア78の移動の際に、ガイド受け部78bに設けられた開口78g,78hの内壁面がトーションバネ81の付勢によってガイドシャフト79に摺接しながら移動するので、移動時のレンズキャリア78のがたつきを防止することができる。
この上部ユニット21のレンズキャリア78の図16中E方向の移動とともに、駆動モータが駆動してレンズキャリア93が図17中F方向に移動する。なお、上部ユニット21のレンズキャリアと同様に、レンズキャリア93が移動部材51によって押圧される。なお、図示はしないが、このレンズキャリア93の移動の際に、ガイド受け部93bに設けられた開口93g,93hの内壁面がトーションバネ96の付勢によってガイドシャフト94に摺接しながら移動するので、移動時のレンズキャリア93のがたつきが防止される。そして、ワイドボタン12aの押圧操作が解除されると、駆動モータ42,52が停止しレンズキャリア78,93が一旦停止する。その後、フォーカス調整を行うために、再度駆動モータ52が駆動し、レンズキャリア93が図17中F方向或いはH方向に、上下動する。
一方、テレボタン12bが押圧操作された場合には、移動部材41が図16中G方向に移動するが、移動部材41とレンズキャリア78とは、引張りバネ82によって連結されているので、移動部材41の移動に連動してレンズキャリア78が図16中G方向に移動する。なお、このときも同様に、レンズキャリア78のガイド受け部78bに設けられた開口78g,78hの内壁面がトーションバネ81の付勢によってガイドシャフト79に摺接しながら移動するので、移動時のレンズキャリア78のがたつきを防止することができる。
この上部ユニット21のレンズキャリア78が図16中G方向に移動するとともに、下部ユニット22のレンズキャリア93が図17中H方向に移動する。なお、移動部材51とレンズキャリア93とは、引張りバネ97によって連結されているので、移動部材51の移動に連動してレンズキャリア93が図17中H方向に移動する。なお、このときも同様に、レンズキャリア93のガイド受け部93bに設けられた開口93g,93hの内壁面がトーションバネ96の付勢によってガイドシャフト94に摺接しながら移動するので、移動時のレンズキャリア93のがたつきが防止される。そして、テレボタン12bの押圧操作が解除されると、駆動モータ42,52が停止しレンズキャリア78,93が一旦停止する。その後、フォーカス調整を行うために、再度駆動モータ52が駆動し、レンズキャリア93が図17中F方向或いはH方向に上下動する。これらズームボタンの押圧操作後にシャッタボタン9が押圧操作されると、再度フォーカス調整を行った後に、シャッタユニット24が駆動し、被写体像の撮像が行われる。
本発明では、下部ユニット22のガイドシャフト94,95のうち、ガイドシャフト94のみを、駆動モータ52とCCDイメージセンサ92との間に配置した構成としたが、ガイドシャフト94だけでなく、ガイドシャフト95も駆動モータ52とCCDイメージセンサ92との間に配置した構成としてもよい。これによれば、駆動モータ52とCCDイメージセンサ92との間の空間を効率よく利用した構成となり、撮像ユニットをさらに小型化することができる。なお、上記構成は、下部ユニットだけでなく、上部ユニットにも適用してもよい。
上記実施形態では、CCDイメージセンサ26を有する撮像装置(デジタルカメラ)8を例に説明したが、この撮像装置に限定されず、フイルムや感光板を使用する銀塩カメラや、プロジェクタなどの画像投影装置に本発明を適用できる。また、CD−ROMやDVDなどの光学メディアのデータ読み取りに使用されるピックアップレンズにも本発明を適用できる。