JP2006090855A - 干渉計及び干渉縞測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 測定条件の変化に対応して移動待ち時間を最適化し、測定精度を劣化させることなく、測定時間を短縮できる干渉計を提供する。
【解決手段】 干渉計は、基準面4aを備える光学部品4に可干渉光を用い、光学部品4を透過した光を被検面7aに入射させ、被検面7aにおける反射光と、基準面4aにおける反射光とによって発生した干渉縞を干渉縞撮像手段5で取り込み、干渉縞解析装置6でデータ処理する。基準面4aを移動させる際には、所定の移動待ち時間が経過した後にデータの取り込みを行うが、移動待ち時間の設定にあたっては、移動開始からの干渉縞の変化量が一定になるまでの時間を計測し、その最短値を移動待ち時間とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学部品の面形状や、透過波面特性を評価する際に用いられる干渉計、及び干渉縞測定方法に関する。
従来の干渉計について、フィゾー型干渉計を例にして図5を参照して説明する。干渉計は、レーザ光学系101と、レーザ光学系101からの光を上方に向かって垂直に折り返すビームスプリッタ102と、光軸上に配置される基準レンズ移動手段103上に載置された基準レンズ104と、ビームスプリッタ102の下方に配置された干渉縞撮像手段105と、干渉縞解析装置106とを備え、基準レンズ104の上方には、検査対象である被検レンズ107が配置される。なお、各レンズ104,107、ビームスプリッタ102、及び各手段103,105は、同一の光軸上に配置されている。
この干渉計で測定をする際には、レーザ光源系101から可干渉光を出射させ、ビームスプリッタ102で折り返した後に、基準レンズ104に照射させる。一部の可干渉光は、基準レンズ面で反射し、可干渉光の残りは、基準レンズ104を透過する。基準レンズ104を透過した可干渉光は、被検レンズ107の被検面107aで反射し、この反射光が基準レンズ104に入射する。その結果、被検面107aによる反射光と、基準レンズ104による反射光によって、被検面107aの面形状に応じた干渉縞が発生する。この状態で、干渉縞撮像手段105で干渉縞の画像を取り込んで、位相0°の干渉縞データとして干渉縞解析装置106のメモリに格納する。なお、この際に、ランダムノイズの影響を除去するため、複数回干渉縞の画像を取り込んで、平均化処理を行う場合もある。
次に、干渉縞解析装置106は、基準レンズ移動手段103で基準レンズ104を光軸に沿って移動させ、基準レンズ104と、被検レンズ107との間の光路長を、レーザ光源系101の出射光の波長λの1/4(λ/4)だけ変化させる。そして、この位置での干渉縞の画像を取り込んで、位相90°の干渉縞データとして干渉縞解析装置106のメモリに格納する。この際に、位相0°のデータ取得時と同様に、平均化処理をしても良い。以降、同様にして、基準レンズ移動手段103を移動させて、基準レンズ104と被検レンズ107との間の光路長が出射光の波長λの1/4(λ/4)ずつ変化させ、その都度、干渉縞の画像を撮像し、それぞれ位相180°、270°、360°の干渉縞データとしてメモリに格納する。このようにして取得した5つの位相状態による干渉縞画像は、一般に5バケット(5サンプル)法と呼ばれる次式によって、2πごとの不連続点を持つ面形状データに変換される。
φ=k×arctan(2×(I3−I1)/(2×I2−I0−I4))
なお、I0は位相0°における干渉縞強度、I1は位相90°における干渉縞強度、I2は位相180°における干渉縞強度、I3は移送270°における干渉縞強度、I4は位相360°における干渉縞強度、をそれぞれ示している。不連続点をもつ面形状データは、不連続点周辺との大小関係から連続的なデータに変換されることで、被検レンズ107の面形状測定値を得ることができる。
ここで、基準レンズ移動手段103の移動量に誤差があると、面形状測定値にも誤差が生じるので、基準レンズ移動手段103の移動量と、干渉縞撮像手段105から取り込んだ干渉縞データのある点の干渉縞強度(輝度)の変化との関係から、基準レンズ移動手段103の動作量と、干渉縞の位相変化量との関係を求めることで基準レンズ移動手段103による誤差発生を防止することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−250907号公報
ところで、従来の干渉計では、基準レンズ移動手段103を駆動させ、基準レンズ104の移動が完了するのを待ってから、干渉縞の画像を取り込んでいたが、移動完了までに要する時間は、干渉計の使用状態によって変化するので、移動時間が最も長い場合を想定した移動待ち時間を予め設定し、この移動待ち時間が経過した後に干渉縞画像の取り込み作業を実施していた。なお、移動完了に要する時間を変化させる要因としては、例えば、干渉計を縦置きで使用するか、横置きで使用するかといった干渉計の姿勢差や、使用しているレンズの枚数やレンズ径によって変化する基準レンズ104の重量差などがあげられる。
しかしながら、予め設定された移動待ち時間が経過するまで干渉縞画像の取り込みを待つと、測定時間が不要に長くなるという問題があった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、測定条件の変化に対応して移動待ち時間を最適化し、測定精度を劣化させることなく、測定時間を短縮できるようにすることである。
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定するために用いられる干渉計であって、所定の面間距離で測定を行うにあたり、前記基準面又は前記被検査面を移動させる移動手段と、所定の面間距離における干渉縞を取り込む干渉縞撮像手段と、前記移動手段が前記基準面又は前記被検査面の移動を開始させてから、干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させる移動待ち時間可変手段と、干渉縞の変化量が略一定になる待ち時間を移動待ち時間として設定するために、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出する計算処理部と、を備えることを特徴とする干渉計とした。
この干渉計では、基準面と被検査面との面間距離を所定長に変化させてから測定を行う場合に、実際の測定に先立って、初期状態から同じ面間距離まで移動させつつ、異なる待ち時間で干渉縞のデータを取り込み、移動前のデータに対する変化量を求める。ここで、待ち時間が十分でない場合には、干渉縞の変化量は大きくなるので、干渉縞の変化量が時間変化によらず略一定になるまで干渉縞の測定を行う。そして、干渉縞の変化量が略一定になる待ち時間を、その面間距離に対する移動待ち時間として設定し、実際の測定においては、同じ面間距離で測定をするときには、その移動待ち時間が経過したときにデータを取り込むようにする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の干渉計において、前記移動手段は、前記基準面を有する光学部品を保持し、前記基準面を可干渉光の光軸方向に移動させる手段であり、前記移動手段には、前記基準面を有する前記光学部品の接触状態を検出するセンサが取り付けられていることを特徴とする。
この干渉計では、基準面を有する光学部品を移動手段で移動させる際に、この光学部品と移動手段との接触状態をセンサで監視する。例えば、移動手段から光学部品が離れたことが検出された場合には、基準面を有する光学部品が、異なる光学部品に交換された可能性があるので、移動待ち時間を設定し直す。
請求項3に記載の発明は、基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定するために用いられる干渉計であって、前記基準面を有する光学部品を保持し、前記基準面を可干渉光の光軸方向に移動させる移動手段と、前記移動手段に取り付けられ、前記基準面を有する前記光学部品を特定する管理情報をその前記光学部品から読み取るセンサと、前記センサの出力から前記光学部品における移動待ち時間をメモリから検索する移動待ち時間検索手段とを備えることを特徴とする干渉計とした。
この干渉計では、基準面を有する光学部品に、管理情報を予め付与しておき、この管理情報をセンサで読み取るようにし、この管理情報によってメモリを検索し、同じ測定条件における移動待ち時間が登録されている場合には、その移動待ち時間を使用するようにする。光学部品が交換等されたときでも、管理情報から同じ光学部品であると認識された場合には、同じ移動待ち時間を使用する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の干渉計において、前記基準面を有する前記光学部品の姿勢を検出するセンサをさらに備え、前記メモリには、前記基準面を有する前記光学部品の前記管理情報と、その前記光学部品が前記移動手段に保持される姿勢と、移動待ち時間とが関連付けて記憶されており、前記移動待ち時間検索手段は、前記管理情報及び前記光学部品の姿勢から移動待ち時間を検索することを特徴とする。
この干渉計では、光学部品の管理情報と、光学部品の姿勢の情報とを、移動待ち時間に対応付けてメモリに記憶しておき、同じ組み合わせで測定が行われる際には、メモリを検索して移動待ち時間を抽出し、この移動待ち時間で測定を行う。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の干渉計において、前記移動手段が前記基準面又は前記被検査面の移動を開始させてから、干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させる待ち時間可変手段と、干渉縞の変化量が略一定になる待ち時間を移動待ち時間として設定するために、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出し、その面間距離に対して設定された移動待ち時間を前記メモリに記憶させる計算処理部とを備えることを特徴とする。
この干渉計では、所定の測定条件に対してメモリに登録されている移動待ち時間がない場合に、請求項1と同様にして移動待ち時間を設定し、その移動待ち時間を他の測定時にも使用できるようにメモリに登録する。
請求項6に係る発明は、基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定する干渉縞測定方法であって、移動待ち時間を、所定の面間距離において干渉縞の変化量が略一定になるまでに要する待ち時間として設定するために、前記基準面又は前記被検査面の移動を開始してから干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させながら、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出することを特徴とする干渉縞測定方法とした。
この干渉縞測定方法では、基準面と被検査面との面間距離を所定長に変化させてから測定を行う場合の移動待ち時間を、実際の測定に先立って決定するために、異なる待ち時間で干渉縞のデータを取り込み、移動前のデータに対する変化量を求める。なお、変化量が一定になる移動待ち時間が求められたら、そのうちで最短となるものを移動待ち時間とすることが好ましい。
本発明によれば、可干渉光源系と、基準面と、光路分岐手段と、干渉縞撮像手段と、移動手段と、干渉縞解析装置とを備え、光学部品の面形状や、透過波面特性を測定する干渉計において、干渉縞を発生させた状態で、基準面と被検査面との間の面間距離を光軸方向に所定量変化させて、干渉縞のデータを取り込む際に、面間距離の変化を開始させたときから、干渉縞データを取り込むまでの待ち時間を変化させながら干渉縞のデータを取得する工程を予め繰り返して行い、初期位置からの干渉縞の変化量が一定になる待ち時間を、実際の測定における移動待ち時間に設定するようにしたので、干渉計の使用状態によらずに移動待ち時間を最適化することができる。したがって、測定精度を低下させることなく測定時間を短くすることができる。
発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に実施の形態における干渉計の構成図を示す。
干渉計は、可干渉光源1と、光路分岐手段2と、移動手段である基準面移動手段3と、基準面4aを有する光学部品4と、干渉縞撮像手段5と、干渉縞解析装置6とを備え、基準面4aと平行に配置される被検物7の被検面7aの評価を行う装置である。
ここで、可干渉光源1は、レーザ光源から出射される可干渉性の高い光から収差分を取り除き、所定の光束径の可干渉光として出射するように構成されている。光路分岐手段2は、可干渉光源1から入射する可干渉光を基準面4a、及び検査面7aに向けて折り曲げて反射する一方で、基準面4a、及び被検面7aからの反射光(干渉縞)が干渉縞撮像手段5に入射するように透過させる光学系である。基準面移動手段3は、基準面4aを固定する固定機構と、基準面4aを光軸方向に微小移動させる機構とから構成されている。基準面4aは、干渉縞を測定する際の基準となるもので、基準面4aの形状に対して検査面7aの形状に誤差等があった場合には、干渉縞が発生する。干渉縞撮像手段5は、基準面4aの反射光と被検面7aの反射光とによって発生した干渉縞を取り込んで画像データに変換し、出力する。干渉縞解析装置6は、基準面移動手段3、及び干渉縞撮像手段5に接続されたコンピュータで、各種の演算を行う計算処理部6aと、移動待ち時間を変化させる移動待ち時間可変手段6bと、メモリ6cとを備えている。
次に、この干渉計の作用について説明する。
可干渉光源1から出射した可干渉光の光束は、光路分岐手段2において出射方向に対して直角に反射され、基準面4aに照射される。可干渉光の一部は、基準面4aで反射され、その他の可干渉光は、基準面4aを透過して、被検物7の被検面7aに入射する。そして、被検面7aにおける反射光と、基準面4aにおける反射光とによって干渉縞が発生した場合には、計算処理部6aが干渉縞画像を干渉縞撮像手段5から取り込んで、初期状態の干渉縞データとしてメモリ6cに記憶させる。
次に、計算処理部6aは、基準面移動手段3に移動指令を出力し、基準面4aを光軸方向に微動させる。その結果、基準面4aと被検面7aとの間の面間距離、つまり光路長が変化し、干渉縞画像が基準面4aの移動量に対応して変化するので、移動待ち時間可変手段6bが基準面移動手段3への移動指令出力からの待ち時間を計測し、待ち時間が目標時間に達したら、計算処理部6aに干渉縞撮像手段5から干渉縞画像を取り込むように指令する。計算処理部6aは、取り込んだ干渉縞画像と、初期状態における干渉縞画像との差分演算を行って、待ち時間に対する干渉縞画像の変化量を算出する。
その後、初期状態の干渉縞画像の取り込みと、基準面4aを移動させた後の干渉縞画像の取り込みとを基準面移動手段3の移動開始からの待ち時間を徐々に変化させながら繰り返して行い、2つの干渉縞画像の変化量と、待ち時間との関係を調べる。
ここで、図2に、待ち時間と、干渉縞画像の変化量との関係の測定結果の一例を示す。
図2において、横軸は待ち時間を示し、縦軸は干渉縞の変化量を示している。時間aや、時間bのように、待ち時間が短い場合には、時間aから時間bに少し変化するだけでも干渉縞の変化量はAからBに大きく変化する。このことから、待ち時間が短いと、基準面4aの移動中に画像を取り込んでしまっていることがわかる。これに対して、待ち時間が十分に長い場合には、干渉縞の変化量は一定になる。すなわち、時間cのときの変化量Cと、時間dのときの変化量Dとは略等しい。これは、基準面4aの移動が完了した後に干渉縞画像を撮像しているからである。これらのことから、基準面4aの移動を開始してから干渉縞を撮像するまでの移動待ち時間は、干渉縞画像の変化量が略一定になる時間を選択すれば良く、さらに好適には、干渉縞画像の変化量が一定になるまでの最短時間にすると良い。
そして、このような移動待ち時間設定手順で求めた最適な移動待ち時間を用いて実際の測定を行う。例えば、位相0°、位相90°などの位相が異なるように光路長を変化させ、干渉縞画像を最適な移動待ち時間の経過後に取り込む。面形状測定には、3状態以上の位相状態での干渉縞画像が必要になるので、前述の手順をn(nは3以上の整数)状態の位相状態について実施される。そして、計算処理部7bは、これらデータを処理し、被検面7aの面形状等の測定値を取得する。
以上のように、干渉縞を発生させた状態で、基準面4aを初期位置から所定量移動させ、干渉縞データ取り込みまでの待ち時間を変化させながら、干渉縞データを繰り返して取得し、初期位置からの干渉縞の変化量を算出し、干渉縞の変化量が一定になるまでに要する時間を干渉縞データ取り込みの移動待ち時間とすることで、干渉計の使用状態によらずに移動待ち時間を最適化することができる。また、最適化した移動待ち時間を用いて計測を行うことによって、測定精度を低下させることなく、測定時間を最短にすることができる。
図3に実施例1における装置構成を示す。
可干渉光源1には、レーザ光源ユニット11が用いられている。レーザ光源ユニット11は、レーザ発振器11aと、レーザ発振器11aの出射光束から収差分を除去するスペーシャルフィルタユニット11bと、スペーシャルフィルタユニット11bからの発散光を平行光にするコリメータレンズ11cとから構成されている。光路分岐手段2には、ビームスプリッタ12が用いられている。光学部品4としては、基準面14aを有する平行平板からなる参照レンズ14を用い、基準面移動手段3は、参照レンズ14を下方から支持し、光軸方向に微動動作させる参照レンズ微動ユニット13からなる。参照レンズ微動ユニット13には、参照レンズ14の着脱を検出する参照レンズ着脱監視センサ18が取り付けられている。干渉縞撮像手段5は、結像レンズ15aと、CCD(固体撮像素子)カメラ15bとで構成される干渉縞撮像ユニット15である。干渉縞解析装置6は、干渉計全体の制御と、干渉縞解析処理とを行うパーソナルコンピュータ16(以下、パソコン16とする)であり、参照レンズ微動ユニット13と、参照レンズ着脱監視センサ18と、干渉縞撮像ユニット15と、干渉計姿勢センサ19とが接続されている。干渉計姿勢センサ19は、干渉計の使用姿勢が縦方向上向きなのか、縦方向下向きなのか、或いは横向きなのかなどを検出するセンサであり、これにより、参照レンズ14と被検物7の配置、及び姿勢、並びに可干渉光の光軸の向きが特定される。
ここで、検査対象となる被検物7は、被検面17aを有する被検レンズ17であり、被検レンズ17は参照レンズ14の上方で、かつ光軸上に不図示の支持手段によって支持させてある。
測定にあたっては、レーザ発振器11aからレーザ光を出射させる。レーザ光は、スペーシャルフィルタユニット11bで収差分が除去される際に発散光になるが、コリメータレンズ11cを透過することで所定の光束径の平行光になる。このようにして形成された平行光束は、レーザ光源ユニット11からビームスプリッタ12に導かれ、出射方向と直角な方向に反射され、参照レンズ14に垂直に照射される。参照レンズ14に照射された平行光束の一部は、参照レンズ14において反射されるが、残りは参照レンズ14を透過して、被検レンズ17に垂直に照射される。そして、被検レンズ17における反射光と、参照レンズ14における反射光とによって干渉縞が発生するように、参照レンズ14と被検レンズ17との相対的な位置調整を行い、この位置を初期位置とする。このとき、干渉縞を発生させる反射光は、ビームスプリッタ12を直進するように透過して、干渉縞撮像ユニット15に入射する。干渉縞撮像ユニット15に入射した反射光は、撮像レンズ15aによってCCDカメラ15bに結像し、電気信号に変換され、パソコン16に干渉縞の画像データとして取り込まれる。そして、パソコン16は、この画像データを初期状態の干渉縞データとしてメモリ6cに記憶する。
次に、パソコン16は、参照レンズ微動ユニット13に対して動作指令を出力し、参照レンズ14の基準面14aと、被検レンズ17の被検面17aとの面間距離である光路差が、レーザ発振器11aのレーザ波長λの1/4(λ/4)になるように微動させる。このとき、パソコン16は、自己の時間計測機能を利用して動作指令を出力してからの待ち時間を計測し、待ち時間が予め設定されている値になったら、新たに干渉縞の画像データを取り込む。そして、新たに取り込んだ干渉縞の画像データと、初期状態の干渉縞の画像データとの差分演算を行い、その待ち時間に対する干渉縞画像の変化量を算出し、メモリ6cに記憶する。その後に、初期状態の干渉縞の画像データと、光路長をλ/4変化させた後の干渉縞の画像データとを、待ち時間を徐々に増大させながら繰り返して取得し、変化量が一定になった後に、ここでの測定を終了する。そして、変化量が一定になる待ち時間のうち、最短の時間を移動待ち時間として新たに設定する。
さらに、同様の手順を、光路長がレーザ波長λの2/4、3/4、4/4のそれぞれの場合について実行する。
このようにして、移動待ち時間の設定手順を終了したら、実際の測定を開始する。パソコン16は、参照レンズ微動ユニット13に、参照レンズ14と被検レンズ17との光路差がレーザ発振器11aのレーザ波長λの1/4、2/4、3/4、4/4になるように、順番に変化させる動作指令を出力し、各光路差に相当する位置において、それぞれの光路差に対して最適化された移動待ち時間が経過した後に、干渉縞の画像データを順番に取り込む。そして、パソコン16は、初期位置を含む5個の画像データに対して前述の演算処理を行って、被検レンズ17の形状を算出する。
なお、通常の測定時には、一旦、移動待ち時間を設定した後には、測定する度に新たに移動待ち時間の設定手順を行わない。しかしながら、参照レンズ着脱監視センサ18が参照レンズ14の着脱を検出したときのように、他の参照レンズに交換された可能性がある場合や、干渉計姿勢センサ19が干渉計の使用姿勢の変化を検出した場合には、被検レンズ17の実際の測定動作を開始する前に、移動待ち時間の再設定がパソコン16によって自動的に行われる。
本実施例によれば、参照レンズ14と被検レンズ17との間の距離を変化させながら移動待ち時間を最適化することで、測定精度を低下させることなく、測定時間を最短にすることができる。さらに、移動待ち時間に影響を及ぼす要因に変化があったときには、そのような変化を参照レンズ着脱監視センサ18や、干渉計姿勢センサ19が検出するようにし、これに基づいて測定を行う前に自動的に移動待ち時間の最適値を再設定できるようにしたので、常に精度の高い測定結果が得られる。また、このような変化があった場合でも、測定作業者に負担をかけることなく、測定時間を最短に維持することができる。
図4に実施例2における装置構成を示す。
実施例2では、参照レンズ型式認識センサ20を使用している。この参照レンズ型式認識センサ20は、参照レンズ14に予め付加された管理情報である型式判別情報を取得するためのセンサで、例えば、参照レンズ14の外周面に、型式ごとに設けられた複数の突起、又は溝の有無を読み取る複数のスイッチから構成されている。これにより、パソコン16は、現在干渉計で使用されている参照レンズ14の型式を認識することが可能になる。なお、参照レンズ型式認識センサ20は、図3に示す参照レンズ着脱監視センサ18の代わりに用いられている。また、パソコン16は、型式判別情報、及び干渉計の姿勢に関する情報で、メモリ6cに格納されている移動待ち時間を検索する移動待ち時間検索手段6dを有している。その他の構成は、実施例1と同様である。
この実施例における測定手順を以下に説明する。なお、以下には、実施例1と異なる手順のみを説明する。
最初に、パソコン16のメモリ6cには、参照レンズ14の型式及び干渉計の姿勢の組み合わせと、移動待ち時間とを関連付けて記憶する領域を設けてあり、実施例1に示す移動待ち時間の設定手順に従って新たな移動待ち時間を求めた場合には、そのときに使用している参照レンズ14の型式判別情報と、干渉計の姿勢と、新たな移動待ち時間とを関連付けて記憶する。
次に、パソコン16は、被検面17aの実際の測定を開始する前に、参照レンズ型式認識センサ20から現在干渉計に取り付けられている参照レンズ14の型式判別情報を取得する。参照レンズ型式認識センサ20は、突起又は溝に対応させて配置させた各スイッチで、溝又は突起の有無をON/OFF状態として検出する。予め参照レンズ14の型式ごとにON/OFFの組み合わせを登録しておけば、参照レンズ型式認識センサ20から出力されるON/OFF情報の組み合わせによって、現在取り付けられている参照レンズ14を識別することができる。さらに、干渉計姿勢センサ19の情報から現在の干渉計の姿勢を識別する。そして、移動待ち時間検索手段6dが、参照レンズ型式と、干渉計の姿勢とでメモリ6cを検索し、これらの情報に対応付けられた移動待ち時間が存在するか否かを調べ、該当する移動待ち時間のデータが存在している場合には、その値を用いて形状測定動作を行う。また、該当する移動待ち時間のデータが存在しない場合には、実施例1における移動待ち時間設定手順を自動で実施し、これにより求められた新たな移動待ち時間で形状測定を行う。さらに、この際に、計算処理部6aは、新たな移動待ち時間と、そのときの参照レンズ型式と、干渉計の姿勢とを対応付けてメモリ6cの所定領域に記憶する。
この実施の形態によれば、干渉計に取り付けられている参照レンズ型式を認識する参照レンズ型式認識センサ20を設け、参照レンズ型式と干渉計の姿勢との組み合わせに対応した移動待ち時間をパソコン16に記憶させることで、以前に移動待ち時間設定手順を行ったことがある使用条件の組み合わせにおいては、新たに移動待ち時間設定手順を実施することなく、記憶されている移動待ち時間を使用することが可能になる。これによって、参照レンズ14を交換するたびに移動待ち時間設定手順を実施しなくもて良くなり、測定時間を短縮し、使い勝手を向上させることができる。
なお、本発明は、前記の各実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、参照レンズ14を光軸方向に移動させる代わりに、被検レンズ17を光軸方向に移動させても良く、両レンズ14,17を移動可能にしても良い。
パソコン16のメモリ6cに、使用可能な光学部品4についての移動待ち時間が予め登録されている場合には、待ち時間可変手段6bを備えなくても良い。
汎用のパーソナルコンピュータを干渉縞解析装置6として機能させるプログラムを、パーソナルコンピュータに読み込み可能に記録媒体に記録したり、電気通信回線でダウンロード可能にしたりしても良い。この場合は、測定用プログラムは、計算処理部6aと、移動待ち時間可変手段6bとを実行させるプログラム、又は、これに加えて移動待ち時間検索手段6dを実行させるプログラムである。
本発明の実施形態の概略構成を示す図である。 待ち時間と干渉縞の変化量との関係の一例を示す図である。 実施例1の装置構成の概略を示す図である。 実施例2の装置構成の概略を示す図である。 従来の干渉計の装置構成の概略を示す図である。
符号の説明
3 基準面移動手段(移動手段)
4 光学部品
4a 基準面
5 干渉縞撮像手段
6b 移動待ち時間可変手段
6c メモリ
6d 移動待ち時間検索手段
7 被検物
7a 被検面
18 参照レンズ着脱監視センサ
19 干渉計姿勢センサ
20 参照レンズ型式認識センサ

Claims (6)

  1. 基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定するために用いられる干渉計であって、
    所定の面間距離で測定を行うにあたり、前記基準面又は前記被検査面を移動させる移動手段と、所定の面間距離における干渉縞を取り込む干渉縞撮像手段と、前記移動手段が前記基準面又は前記被検査面の移動を開始させてから、干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させる移動待ち時間可変手段と、干渉縞の変化量が略一定になる待ち時間を移動待ち時間として設定するために、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出する計算処理部と、を備えることを特徴とする干渉計。
  2. 前記移動手段は、前記基準面を有する光学部品を保持し、前記基準面を可干渉光の光軸方向に移動させる手段であり、前記移動手段には、前記基準面を有する前記光学部品の接触状態を検出するセンサが取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の干渉計。
  3. 基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定するために用いられる干渉計であって、
    前記基準面を有する光学部品を保持し、前記基準面を可干渉光の光軸方向に移動させる移動手段と、前記移動手段に取り付けられ、前記基準面を有する前記光学部品を特定する管理情報をその前記光学部品から読み取るセンサと、前記センサの出力から前記光学部品における移動待ち時間をメモリから検索する移動待ち時間検索手段とを備えることを特徴とする干渉計。
  4. 前記基準面を有する前記光学部品の姿勢を検出するセンサをさらに備え、前記メモリには、前記基準面を有する前記光学部品の前記管理情報と、その前記光学部品が前記移動手段に保持される姿勢と、移動待ち時間とが関連付けて記憶されており、前記移動待ち時間検索手段は、前記管理情報及び前記光学部品の姿勢から移動待ち時間を検索することを特徴とする請求項3に記載の干渉計。
  5. 前記移動手段が前記基準面又は前記被検査面の移動を開始させてから、干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させる待ち時間可変手段と、干渉縞の変化量が略一定になる待ち時間を移動待ち時間として設定するために、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出し、その面間距離に対して設定された移動待ち時間を前記メモリに記憶させる計算処理部とを備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の干渉計。
  6. 基準面を透過した可干渉光を被検物の被検査面で反射させ、この反射光と、前記基準面で反射した可干渉光の反射光とによって干渉縞を発生させた状態で、前記基準面と前記被検査面との面間距離を変化させ、所定の移動待ち時間が経過した後に、そのときの干渉縞のデータを取り込んで光学部品の面形状や、透過波面特性を測定する干渉縞測定方法であって、
    移動待ち時間を、所定の面間距離において干渉縞の変化量が略一定になるまでに要する待ち時間として設定するために、前記基準面又は前記被検査面の移動を開始してから干渉縞のデータを取り込むまでの待ち時間を変化させながら、それぞれの待ち時間における干渉縞のデータを取得し、移動前の初期位置における干渉縞からの変化量を算出することを特徴とする干渉縞測定方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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