JP2001066125A - 干渉計測のドリフト成分抽出方法 - Google Patents

干渉計測のドリフト成分抽出方法

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JP2001066125A
JP2001066125A JP24334099A JP24334099A JP2001066125A JP 2001066125 A JP2001066125 A JP 2001066125A JP 24334099 A JP24334099 A JP 24334099A JP 24334099 A JP24334099 A JP 24334099A JP 2001066125 A JP2001066125 A JP 2001066125A
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drift component
lens
interference measurement
shape
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Masanori Suzuki
正則 鈴木
Takahiro Yamamoto
貴広 山本
Hajime Ichikawa
元 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 干渉計測装置における干渉計測のドリフト成
分抽出方法に関し、干渉計測装置のハードウエア部分に
変更をきたすことなくドリフト成分を抽出することを目
的とする。 【解決手段】 参照面と、その参照面からの参照光と被
検面からの被検光とを干渉させる干渉光学系と、2光の
干渉光を光電検出する受光素子と、被検面の形状データ
を算出する制御部とを備えた干渉計測装置における干渉
計測のドリフト成分抽出方法である。先ず、複数回の計
測で得た形状データの時間的変化を、複数種の波面形状
の線形和からなる多項式に展開し、そして、干渉計測の
ドリフト成分が、その多項式のうち特定項の係数にのみ
表れるという考え方を採用し、その特定項の係数からド
リフト成分を抽出する。このような演算によってドリフ
ト成分を抽出すれば、干渉計測装置のハードウエア部分
の変更を要しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レンズ表面などの
微細な凹凸形状を高精度に計測する干渉計測装置におけ
る干渉計測のドリフト成分抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レンズ表面などの微細な凹凸形状の計測
には、光の波長よりも小さな凹凸の計測が可能な干渉計
が用いられる。この干渉計としてよく知られたものに
は、トワイマン・グリーン型干渉計やフィゾー型干渉計
等がある。特に、フィゾー型干渉計は、被検光の光路と
参照光の光路とを重複させる構造上、参照物体と被検物
体との間隔が比較的小さい。このことから、フィゾー型
干渉計による計測は、温度変化による空気屈折率変動の
影響を受けにくいといわれている。
【0003】しかしながら、大口径レンズの形状計測
や、参照面と被検面との間隔が大きい配置の形状計測で
は、僅かな空気屈折率の揺らぎにも大きな影響を受け
る。また、干渉計固有の誤差として、干渉縞の輝度パタ
ーンを量子化する際の誤差も問題となる。そこで、現在
のフィゾー型干渉計測装置(以下、単に「干渉計測装
置」という。)では、干渉計の制御内容や干渉縞解析の
演算内容などに対して多くの工夫がなされている。
【0004】この中で、最も簡易な精度向上方法の1つ
に、平均化操作がある。形状計測を複数回行い、それら
計測結果を平均することによって上記した各種の計測誤
差(ランダム誤差成分)を除去する処理である。図6
は、従来の干渉計測装置の主な構成を示す図である。干
渉計測装置は、図6に示すように、干渉計601と、制
御部610とを備える。
【0005】干渉計601は、フィゾー型干渉計であ
り、例えば、光を出射する光源602、参照物体および
ヌル素子として使用されるフィゾーレンズ603、被検
レンズ62を支持する支持部材604、各光を所定の状
態に変換すると共に所定の方向に導く光学系(ビームエ
キスパンダ605、ビームスプリッタ606、結像レン
ズ607等)、前記フィゾーレンズ603を光軸方向へ
移動させる移動機構609、フィゾーレンズ603の参
照面(フィゾー面)からの参照光と被検レンズ62の被
検面からの被検光とによる干渉縞を2次元的に光電検出
する撮像素子608等を備える。
【0006】制御部610は、例えば図7に示すような
手順で形状計測を行う。すなわち、干渉計601を動作
させて干渉縞のパターンを取得し、そのパターンを解析
処理することによって被検レンズ62の形状データを得
る(図7ステップS13)。このような形状データの取
得の動作は複数回行われ(図7ステップS13〜S1
5)(形状データ取得手順)、制御部610は、取得し
た複数の形状データを平均化することによってランダム
誤差成分を除去し、補正形状データを得る(図7ステッ
プS16)(ランダム誤差成分除去手順)。
【0007】因みに、このようにフィゾーレンズ603
のフィゾー面を基準として得た補正形状データには、フ
ィゾー面の形状情報も含まれているので、その形状情報
を消去するために、一般には、ワーク測定(支持部材6
04に被検レンズ62を装着して行われる測定)で得た
補正形状データと、レフ測定(被検レンズ62の代わり
に面形状が既知のレンズを装着して行われる測定)で得
た補正形状データとの差が求められる(図7ステップS
19)(形状算出手順)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、実際には、
上記各形状データには、上記したランダム誤差成分の他
に、装置ドリフト(環境の変化)によるシフト量(以
下、「ドリフト成分」という。)も含まれる。ドリフト
成分発生の主な要因としては、次のような事実が挙げら
れる。
【0009】一般に、フィゾーレンズ603は複合レン
ズであって、鏡筒(不図示)によって支持されている。
一般にガラスからなるレンズと金物からなる鏡筒とでは
熱膨張係数が異なり、このために両者間に働く力は環境
温度によって徐々に変化し、フィゾー面の形状、すなわ
ち上記計測に使用される参照光の波面形状が変化する。
このとき仮に、ランダム誤差成分を確実に圧縮するため
に、取得する形状データの数(図7ステップS15にお
ける判定の基準値n)を多くすると、形状データ取得手
順(図7ステップS13〜S15)が長期化されるた
め、ドリフト成分の影響はより深刻化する。
【0010】したがって、従来の干渉計測装置では、装
置ドリフトの影響で形状データからランダム誤差成分を
除去することが困難であり、このため計測精度の向上に
限界があった。本発明は、このような従来の問題に鑑み
てなされたもので、干渉計測装置のハードウエア部分に
変更をきたすことなくその干渉計測のドリフト成分を抽
出することができる干渉計測のドリフト成分抽出方法を
提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、被検面の形状計測の基準となる参照面と、その参照
面からの参照光と被検面からの被検光とを干渉させる干
渉光学系と、2つの光による干渉光を光電検出する受光
素子と、被検面の形状データとして、参照光を基準とす
る被検光の波面形状を、受光素子の出力に基づいて算出
する制御部とを備えた干渉計測装置における干渉計測の
ドリフト成分抽出方法である。先ず、複数回の計測で得
た形状データの時間的変化を、複数種の波面形状の線形
和からなる多項式に展開する。そして、干渉計測のドリ
フト成分が、その多項式のうち特定項の係数にのみ表れ
るという考え方を採用し、その特定項の係数から、ドリ
フト成分を抽出する。このように、形状データの時間的
変化をドリフト成分とそれ以外の成分とに分解する所定
の演算によれば、干渉計測装置のハードウエア部分に変
更をきたすことなく、ドリフト成分を抽出できる。ま
た、抽出されたドリフト成分を形状データから除去すれ
ば、装置の再現性が補償される。この結果、例えば、ラ
ンダム誤差成分の除去などの各処理を確実に行うことが
できるので、形状計測の高精度化が図られる。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の干渉計測のドリフト成分抽出方法において、多項式の
各項は、各種の収差を示す波面形状であることを特徴と
する。このような多項式(例えばツェルニケ多項式)
は、従来よりレンズの収差を求める場合など、光学分野
で一般に使用されている式であるので、上記ドリフト成
分抽出は確実に実現できる。
【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の干渉計測のドリフト成分抽出方法において、干渉計測
装置は、球面状または2次非球面状の被検面の形状計測
を行う干渉計測装置である。このような干渉計測装置に
おいてアライメント誤差補正が行われた場合、計測時の
ドリフト成分は、前記多項式のうち、非点収差を示す項
(収差のアス成分、三角アス成分を示す項)にのみ表れ
る。そこで、本発明では、この項の係数を、ドリフト成
分を示す情報として抽出する。このように干渉計測装置
の計測内容に対応した演算によれば、効率よくドリフト
成分を抽出できる。
【0014】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の干渉計測のドリフト成分抽出方法において、干渉計測
装置は、平面状の被検面の形状計測を行う干渉計測装置
である。このような干渉計測装置においてアライメント
誤差補正が行われた場合、計測時のドリフト成分は、前
記多項式のうち、非点収差を示す項および屈折力(パワ
ー成分を示す項)にのみ表れる。そこで、本発明では、
この項の係数を、ドリフト成分を示す情報として抽出す
る。このように、干渉計測装置の計測内容に対応した演
算によれば、効率よくドリフト成分を抽出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の請
求項1、請求項2、請求項3、請求項4に係る実施形態
を、図1,図2,図3,図4,図5に基づいて説明す
る。図1は、本実施形態の干渉計測装置の主な構成を示
す図である。
【0016】本実施形態の干渉計測装置は、図6に示し
た従来の干渉計測装置において制御部610に代えて制
御部10を備えたものに相当する。なお、この干渉計6
01において光源602から出射された光は、先ずビー
ムエキスパンダ605およびビームスプリッタ606を
介してフィゾーレンズ603に入射する。この入射した
光の一部はフィゾーレンズ603のフィゾー面にてビー
ムスプリッタ606側に反射し、他の一部は被検レンズ
(または後述するレフレンズ)62側に入射する。さら
に被検レンズ(またはレフレンズ)62の被検面にて反
射した被検光は、再びフィゾーレンズ603を介してビ
ームスプリッタ606に戻り、先にフィゾー面で反射し
た参照光と干渉する。その干渉光は、ビームスプリッタ
606によって結像レンズ607および撮像素子608
側へと導かれる(1/4波長板や偏光板は図示省略し
た。)。
【0017】また、本実施形態の制御部10は、以下に
説明するように形状データ取得手順、ドリフト成分除去
手順、ランダム成分除去手順などを実行するものであ
る。図2は、制御部10の動作フローチャートである。
図2において図7に示すステップと同じものについては
同一の符号を付して示す。先ず、制御部10は、レフ測
定を行うべく、支持部材604に既知の形状のレンズ6
2(以下、「レフレンズ」という。)が装着され、かつ
そのアライメント(レフレンズ62(被検面)の曲率中
心とフィゾーレンズ603の焦点とを一致させる調整)
が完了した後(図2ステップS11YES側)に、従来と
同様に干渉計601をn回動作させて、n個の形状デー
タd'1(x,y),・・・,d'n(x,y)を取得する
(図2ステップS12〜S15)。
【0018】なお、干渉計601の動作のさせ方(ステ
ップS13)については、制御部10は、従来と同様に
光源602を駆動して光を出射させながら移動機構60
9を駆動して、参照光と被検光の光路長が変化している
ときに得られる撮像素子608の出力信号から干渉縞パ
ターンを取得するものである。制御部10は、そのパタ
ーンに対し4バケット法等の一般的な縞解析処理を施す
ことによって参照光波面と被検光波面の位相差分布d'i
(x,y)(形状データ)を算出する。
【0019】ここで、本実施形態における形状データ
d'i(x,y)の取得個数(すなわちステップS15に
おける判定の基準値n)については、後述するランダム
誤差成分の除去(図2ステップS4)をより有効にする
ために、十分に大きな値に設定される。続いて、制御部
10は、ワーク測定を行うべく、支持部材604に被検
レンズ62が装着され、かつそのアライメントが完了し
た後(図2ステップS11YES側)に、レフ測定時と同
様の要領で、n個の形状データd'1(x,y),・・
・,d'n(x,y)を取得する(図2ステップS13〜
S15)(形状データ取得手順)。
【0020】なお、図2ステップS18における文字の
置き換えは、レフレンズの形状データと、被検レンズの
形状データとを区別するためのものである。このよう
に、本実施形態におけるレフ測定とワーク測定とは、他
の演算手順を挟むことなく連続して行われる。また、制
御部10は、後述するオフセット補正(図2ステップS
5)に使用するデータとして、レフ測定によるn番目の
形状データdn(x,y)の取得時から、ワーク測定に
よるn番目の形状データd'1(x,y)の取得時までの
時間T1を計時し、その時間T1を記憶する(図2ステ
ップS1,S2)。また、このオフセット補正の演算を
簡単にするために、形状データd'1(x,y),・・
・,d'n(x,y)の取得時間、および形状データd1
(x,y),・・・,dn(x,y)の取得時間は等し
く設定される。
【0021】また、詳しい説明は省略するが、制御部1
0は、上記の動作に加えて最小自乗法でアライメント誤
差を補正する演算も行っており、ここでいう形状データ
i(x,y),d'i(x,y)は、何れも最適近似球
面からのずれ(面形状)で表されるとする。続いて、制
御部10は、ドリフト成分除去のサブルーチン(図2ス
テップS3)(ドリフト成分除去手順)を実行する。
【0022】図3は、ドリフト成分除去のサブルーチン
であり、図4は、このサブルーチンを説明する図であ
る。なお、この図4では、形状データのうち、ある位置
(x1,y1)についての形状データ(すなわち高さデ
ータ)のみを示している。先ず、制御部10は、レフレ
ンズの形状データdi(x,y)(図4(a))のう
ち、何れかの形状データ(例えば、dn(x,y))を
基準とした差分データDi(x,y)を求める(図4
(b))。また、被検レンズの形状データd'i(x,
y)(図4(a'))のうち、何れかの形状データ(例
えば、形状データd'1(x,y))を基準とした差分デ
ータD'i(x,y)を求める(式(1))(図3ステッ
プS32)。この差分データ(図4(b),(b'))
は、形状データの時間的変化を示すものである。
【数1】 なお、この式(1)における差分データの基準、すなわ
ちドリフト成分算出の基準は、どの形状データとしても
よいが、ここでは、後述するオフセット補正(図2ステ
ップS5)の演算を簡単にするために、レフ測定につい
ては最後に得た形状データdn(x,y)、ワーク測定
については最初に得た形状データd'1(x,y)とし
た。
【0023】次いで、制御部10は、差分データD
i(x,y),D'i(x,y)を複数種の波面形状の線
形和からなる多項式V(式(2))に展開する(図3ス
テップS33)。
【数2】 なお、この多項式Vにおける各波面形状Bjは、何れも
位置の関数で表され、例えば位置(ρ,φ)(極座標表
示)における波面形状Bj(ρ,φ)のように表され
る。例えば、複数種の収差の和からなるツェルニケ多項
式Vzは、次式(3)のように表される。
【数3】 なお、右辺のb3(2ρ2−1)は、収差のパワー成分
(屈折力)を示す波面形状であり、右辺のb4(ρ2cos
2φ)およびb5(ρ2sin2φ)は収差のアス成分を示
す波面形状であり、右辺のbk(ρ3cos3φ)およびbm
(ρ3sin3φ)は収差の三角アス成分を示す波面形状で
ある。また、このような多項式への展開は、最小二乗法
等の数値演算によって行われる。
【0024】その結果、差分データDi(x,y),D'
i(x,y)は次式(4)のように表されたとする。
【数4】 本実施形態では、ドリフト成分は、これら多項式の特定
項にのみ表れると考える。制御部10は、このうち特定
項B、例えばアス成分および三角アス成分(非点収差成
分)(式(5))が、形状データに含まれるドリフト成
分を示しているとみなす。
【数5】 制御部10は、特定項Bi(ρ,φ),B'i(ρ,φ)
を、それぞれ面形状に変換して、レフレンズの形状デー
タdi(x,y)に含まれるドリフト成分Ai(x,
y)、被検レンズの形状データd'i(x,y)に含まれ
るドリフト成分A'i(x,y)を求める(図4(c),
(c'))(式(6))(図3ステップS34)(以
上、図3ステップS32,S33,S34をドリフト成
分抽出手順とする)。
【数6】 続いて、制御部10は、このようにして求めたドリフト
成分Ai(x,y),A'i(x,y)を、それぞれ形状
データdi(x,y),d'i(x,y)から除去し、ド
リフト成分除去のサブルーチン(ドリフト成分除去手
順)を終了する(式(7))(図4(d),(d'))
(図3ステップS35)。
【数7】 このようにしてドリフト成分が除去された形状データに
は、誤差としてランダム誤差成分のみが残留する。この
誤差は、平均化の式(8)により減少させることができ
る(図2ステップS4)(ランダム誤差成分除去手
順)。
【数8】 しかも、本実施形態における平均回数nは十分に大きく
設定されているので、このような補正形状データd
(x,y),d'(x,y)は十分に高い精度で得られ
る。
【0025】すなわち、本実施形態では、形状データの
変化を所定の多項式に当てはめ、その特定項の係数を、
ドリフト成分を示す情報とみなして抽出・除去したの
で、ランダム誤差成分の除去を確実に行うことが可能と
なった。その後、制御部10は、レフレンズの補正形状
データd(x,y)と、被検レンズ62の補正形状デー
タd'(x,y)とから、フィゾー面の形状情報を消去
した形状WT(x,y)を求める(図2ステップS5)
(式(9))(形状算出手順)。
【数9】 なお、式(9)中の「ΔA(x,y)」は、レフレンズ
の形状データの基準と、被検レンズの形状データの基準
と間のオフセット量を示す。上式(7)のように、基準
とされたデータが、レフ測定については最後に得た形状
データdn(x,y)、ワーク測定については最初に得
た形状データd'1(x,y)である場合には、そのオフ
セット量ΔA(x,y)は、レフ測定とワーク測定との
間の期間(準備期間)に生じたドリフト成分に相当す
る。
【0026】図5は、準備期間に生じたドリフト成分の
推測方法を説明する図である。なお、この図では、ある
位置(x1,y1)についての形状データ(すなわち高
さデータ)のみを示している。準備期間のドリフト成分
は、図5(a)に示すように、レフ測定終了後からワー
ク測定終了までの時間(ステップS1,S2で記憶した
時間T1)と、レフ測定時におけるドリフト成分A
i(x,y)の時間的変化や、ワーク測定時におけるド
リフト成分A'i(x,y)の時間的変化に基づいて推測
される。
【0027】例えば、ドリフト成分の時間的変化が直線
的であるとみなした場合に、形状データd1(x,y)
〜dn(x,y)を得るまでにかかった時間をT(既
知)とすると、次式(10)がその準備期間のドリフト
成分を示す。
【数10】 以上説明したように、レフ測定およびワーク測定におけ
るドリフト成分、さらには準備期間のドリフト成分を考
慮した演算によれば、確実に高い精度で形状W Tを得る
ことができる。
【0028】なお、図4および図5では、レフ測定時の
ドリフト成分の時間的変化およびワーク測定時のドリフ
ト成分の時間的変化を直線的に表しているが、実際は直
線的となるとは限らず、曲線状となることもある。した
がって、この可能性を考慮し、レフ測定時におけるドリ
フト成分Ai(x,y)の時間的変化や、ワーク測定時
におけるドリフト成分A'i(x,y)の時間的変化か
ら、準備期間におけるドリフト成分の時間的変化を曲線
として求めることで、さらなる高精度化を図ってもよ
い。
【0029】その反対に、待機期間が短時間である場合
などには、その待機期間におけるドリフト成分を0とみ
なして、図2の計測時における手順ステップS1,S2
を省略すると共に、ステップS5における演算を簡略化
してもよい。また、上記説明では、球面波を生成するフ
ィゾーレンズ603を用いて2次非球面または球面状の
被検面の形状計測を行うことを前提としているが、平面
状の被検面の形状計測にも、上記実施形態とほぼ同様の
動作によってドリフト成分が抽出・除去される。但し、
その場合には、次に説明する幾つかの点において相違す
る。
【0030】先ず、被検面が平面状である場合、図1に
示す干渉計601のフィゾーレンズ603に代えて、平
面波を生成する光学系が用意される。また、この場合に
行われるアライメント誤差の補正は、形状データd
i(x,y),d'i(x,y)を、最適近似平面からの
ずれで表すものである。これに伴い、ドリフト成分の抽
出時(図3ステップS34)において、制御部10がド
リフト成分を示す情報とみなす特定項としては、アス成
分および三角アス成分(非点収差成分)に、パワー成分
(屈折力成分)が加えられる。すなわち、制御部10
は、式(5)に代えて、次式(11)を採用する。
【数11】 この考え方は、上記説明のように球面または2次非球面
の形状計測におけるアライメント誤差補正によれば、パ
ワー成分に表れる誤差は自動的に補正されるので、ドリ
フト成分抽出時には考慮する必要がなく、一方、平面の
形状計測におけるアライメント誤差補正では、パワー成
分に表れる誤差が自動的に補正されることはないので、
ドリフト成分抽出時に考慮する必要があるというもので
ある。
【0031】また、上記実施形態では、ドリフト成分の
抽出を各計測時に取得した形状データに基づいて行って
いるが、温度データ等別のデータに基づいて行ってもよ
い。温度データによって行う場合は、予め、複数又は単
数の温度計により装置の環境温度を監視しつつ形状デー
タの取得を行い、図3のステップS32,S33,S3
4に示す動作により、それらの形状データに発生したド
リフト成分を求める。そして、環境温度とドリフト成分
との関係をメモリに格納する。実際の計測時にも同様に
環境温度を監視し、各形状データから除去すべきドリフ
ト成分としては、メモリを参照して、その形状データ取
得時の環境温度に対応づけられたドリフト成分を読み出
すこととすればよい。この場合、干渉計測装置に温度計
を備える必要が生じ、しかもドリフト成分を間接的に得
るためにその計測精度が低下する点で上記実施形態より
も劣るが、実際の計測時における演算が簡略化されると
いう利点がある。
【0032】また、上記実施形態では、各手順(形状デ
ータ取得手順、ドリフト成分除去手順、ランダム誤差成
分除去手順、形状算出手順など(図2、図3))を実行
するのが、干渉計測装置に備えられた制御部10となっ
ているが、干渉計をコンピュータ接続可能に構成し、同
様の動作の全部または一部を、干渉計に接続されたコン
ピュータ内のCPUに実行させてもよい。この場合、上
記手順の一部または全部をコンピュータ読み取り可能な
記録媒体に書き込み、その記録媒体を異なる干渉計や異
なるコンピュータに対する共通の動作プログラムとして
使用してもよい。
【0033】また、上記実施形態では、参照光光路と被
検光光路とが一部重複するフィゾー型の干渉計測装置に
ついて説明したが、本発明は、他の形態の干渉計測装
置、例えば、トワイマン・グリーン型の干渉計測装置に
も適用が可能である。
【0034】
【発明の効果】上述したように本発明によれば、干渉計
測装置のハードウエア部分に変更をきたすことなくドリ
フト成分を抽出できるので、装置の再現性を補償するこ
とが可能である。この結果、例えば、ランダム誤差成分
の除去などの各処理を確実に行い、形状計測の高精度化
を図ることができる。特に、請求項2に記載の発明で
は、上記ドリフト成分抽出が確実に実現され、また、請
求項3、請求項4に記載の発明では、効率よくドリフト
成分を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の干渉計測装置の主な構成を示す図で
ある。
【図2】制御部10の動作フローチャートである。
【図3】ドリフト成分除去のサブルーチンである。
【図4】ドリフト成分除去のサブルーチンを説明する図
である。
【図5】準備期間に生じたドリフト成分の推測方法を説
明する図である。
【図6】従来の干渉計測装置の主な構成を示す図であ
る。
【図7】制御部610の動作フローチャートである。
【符号の説明】
10:制御部,62:被検レンズ,601:干渉計,6
02:光源,603:フィゾーレンズ,604:支持部
材,605:ビームエキスパンダ,606:ビームスプ
リッタ,607:結像レンズ,608:撮像素子,60
9:移動機構
フロントページの続き (72)発明者 市川 元 東京都千代田区丸の内3丁目2番3号 株 式会社ニコン内 Fターム(参考) 2F064 AA09 BB04 DD02 DD04 EE05 GG22 GG47 HH03 HH08 JJ00 JJ01 2F065 AA04 AA54 CC22 EE01 FF52 FF61 JJ03 JJ26 LL10 LL46 QQ13 QQ17 QQ18 QQ42

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検面の形状計測の基準となる参照面
    と、その参照面からの参照光と前記被検面からの被検光
    とを干渉させる干渉光学系と、前記2つの光による干渉
    光を光電検出する受光素子と、前記被検面の形状データ
    として、前記参照光を基準とする被検光の波面形状を、
    前記受光素子の出力に基づいて算出する制御部とを備え
    た干渉計測装置における干渉計測のドリフト成分抽出方
    法であって、 複数回の計測で得た形状データの時間的変化を、複数種
    の波面形状の線形和からなる多項式に展開し、 前記多項式のうち、特定項にかかる係数を、前記複数回
    の計測で発生したドリフト成分を示す情報とみなして抽
    出することを特徴とする干渉計測のドリフト成分抽出方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の干渉計測のドリフト成
    分抽出方法において、 前記多項式の各項は、各種の収差を示す波面形状である
    ことを特徴とする干渉計測のドリフト成分抽出方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の干渉計測のドリフト成
    分抽出方法において、 前記干渉計測装置は、球面状または2次非球面状の被検
    面の形状計測を行う干渉計測装置であり、 前記特定項は、前記多項式において非点収差を示す項で
    あることを特徴とする干渉計測のドリフト成分抽出方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の干渉計測のドリフト成
    分抽出方法において、 前記干渉計測装置は、平面状の被検面の形状計測を行う
    干渉計測装置であり、 前記特定項は、前記多項式において非点収差を示す項と
    屈折力を示す項とを足し合わせたものであることを特徴
    とする干渉計測のドリフト成分抽出方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013250080A (ja) * 2012-05-30 2013-12-12 Fukuda:Kk 表面プロファイルの解析方法及び装置
CN106767522A (zh) * 2017-04-01 2017-05-31 长春理工大学 一种针对大口径深矢高的光学自由曲面检测方法及装置
CN117783199A (zh) * 2024-02-27 2024-03-29 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种线膨胀系数检测装置及方法
CN117783199B (zh) * 2024-02-27 2024-05-14 中国科学院长春光学精密机械与物理研究所 一种线膨胀系数检测装置及方法

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