JP3922702B2 - 干渉計装置の被検体位置調整方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光波干渉計装置、特にフィゾー型等の同一光路干渉計装置を用いて、被検面からの波面形状を観察する場合における被検体位置の調整方法に関し、詳しくは、ガラス板などの平行な2つの面を有する被検体についていずれか一方の面を被検面とした場合に、被検面の干渉縞に重畳される非被検面からの干渉縞ノイズを抑制し得るように構成された干渉計装置の被検体位置調整方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、平行平面ガラスの表面形状を測定する手法として、可干渉性の良いレーザ光源を搭載したフィゾー型干渉計を用いることが知られているが、この手法においては、可干渉性の良いレーザ光を使用しているために、平行平面ガラスの被検面の干渉縞のみならず被検面とは反対側の非被検面(以下、単に「非被検面」と称する)の干渉縞が同時に発生してしまう。すなわち、参照光と物体光の光路長が互いに異なるフィゾー型干渉計(同一光路干渉計)においては、可干渉性の良いレーザ光束を使用することが必須となるため、基準面と被検面、基準面と非被検面、および被検面と非被検面からの光干渉が各々生じてしまう。通常、所望される干渉縞は基準面と被検面からの光干渉のみであるため、その他の面相互の光干渉によって生じる干渉縞はノイズとなり、被検面の形状を高精度で測定することが困難となってしまう。
【0003】
そこで、このような問題を解決する手法として、フィゾー型干渉計の光源に、参照光と物体光の光路長が等しい位置、すなわち基準面位置を中心として光軸方向に周期的に干渉縞が生じるようなコヒーレンス関数を有する光を発振するものを用いた干渉計装置が知られている。なお、この光源としては、多モードの半導体レーザまたは複数本の半導体レーザが用いられる(米国特許公報 5,452,088)。
【0004】
このような手法を用いた干渉計装置によれば、被検面位置では縞が発生し、被検面とは光軸方向に所定距離だけ離れた非被検面位置では縞が発生しないようにすることで被検面からの干渉縞のみを観察することができる。しかし、この手法では、半導体レーザ光源毎に縦モードが決定されており、その光源毎にその干渉縞の縞周期が決定されてしまうので、被検体の光学的厚みが上記周期と一致する場合は、被検面についての干渉縞を良好なものとしつつ、非被検面についての干渉縞ノイズを除去することは困難となってしまうという問題があった。
【0005】
一方、注入電流を変化させることで波長が変化するという特徴を有する半導体レーザ光源を用い、干渉縞を撮像する素子の1光蓄積期間に対し十分短い周期で光源から出力されるレーザ光を複数の波長に変調し、被検体からの干渉光を上記素子により受光して上記1光蓄積期間に亘って積分する手法(以下、「光源光変調手法」と称する)が知られている。
【0006】
干渉縞を撮像する素子は、所定の光蓄積期間を有しているため、その1光蓄積期間よりも十分速い速度で波長を走査すれば、多波長の光を同時に出力する光源を用いて干渉縞を観察する場合と同様の結果が得られることになる。例えば1995 年 5 月光波センシング予稿集第 75 〜 82 頁には、矩形波を基準レベル(DCレベル)を中心として上下に振幅を変化させながら、ランプ状に変化させてなる制御信号により注入電流を制御することで、所望とするコヒーレンス関数を生成する技術が開示されている。
【0007】
上記光源光変調手法は、このような知見に基づくものであり、この手法を用いれば、上記米国特許公報に記載された手法における問題点を解消することが可能となる。しかし、この光源光変調手法においては、注入電流が変化すれば光強度も変化することについての考慮がなされていないために、干渉縞ノイズを良好に抑制することができないという問題点を有している。
【0008】
そこで、本願発明者は、注入電流の変化に対する光強度の変化についての関係を考慮して(例えば、ウィナー・キンチンの定理に基づき)、単一縦モードの半導体レーザ光源から出力されるレーザ光を複数の波長に変調する場合に、上記1光蓄積期間に亘って積分された各波長の光が被検体の非被検面からの干渉縞ノイズを抑制し得る所定の光強度と各々なるように、この各波長に対する変調期間を設定する技術を開示している(特願 2002 − 192619 号明細書)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した光源光変調手法や、本願発明者により開発された技術を干渉計装置に適用して、ガラス板などの平行な2つの面を有する被検体において、被検面の干渉縞に重畳される非被検面からの干渉縞ノイズを抑制しつつ被検面の干渉縞解析を行なうためには、干渉計装置の基準面と被検面との光学距離を所定の条件を満たす距離に高精度に設定する必要がある。
【0010】
すなわち、基準面と被検面との光学距離が所定の距離(光源光の変調状態等により決まる)に設定されている場合には、非被検面からの干渉縞ノイズを抑制しつつ被検面の干渉縞を良好に観察することが可能となるが、誤って基準面と非被検面との光学距離が上記所定の距離に設定された場合、非被検面の干渉縞を観察してしまう虞がある。一般に、干渉縞の状態を見ただけでは、被検面の干渉縞なのか非被検面の干渉縞なのかを判断することはできないので、被検面の干渉縞解析を高精度に行なうためには、基準面と被検面との高精度な位置調整を行なうことが必要不可欠となる。
【0011】
被検体の厚みが事前に分かっている場合には、被検体の載置面と基準面との距離をマイクロメータ等により計測することにより、基準面と被検面との位置調整を行なうことも可能となるが、被検体の厚みが未知の場合には、このような位置調整方法を行なうことはできない。また、被検体の厚み(被検面と非被検面との距離)が事前に分かっている場合でも、被検体が湾曲変形するなどの虞があって厚みに関する情報の信頼性が低いような場合、このような方法による位置調整では信頼性が得られない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、透明な被検体の表面と裏面のように互いに対向する2つの面のうち、一方が被検面で、他方が被検面ではない面(非被検面)であるような被検体に関し、被検面についての干渉縞のコントラストは良好とし、かつ非被検面についての干渉縞の発生を抑制するために、上述した光源光変調手法等を適用した干渉計装置を用いて干渉縞解析を行なう場合において、干渉計装置の基準面と被検面との位置調整を、被検体の厚みなどの条件に関わらず、高精度に行ない得る干渉計装置の被検体位置調整方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の干渉計装置の被検体位置調整方法は、単一縦モードのレーザ光を発振する波長走査が可能な光源を用い、透明な被検体の非被検面からの干渉縞ノイズを抑制する干渉計装置において、該干渉計装置の基準面に対する前記被検体の位置調整を行なうための干渉計装置の被検体位置調整方法であって、前記基準面を、該基準面からの光と前記被検体からの光とにより干渉縞が生じないように配置した状態において、前記レーザ光を、前記干渉計装置の撮像素子の1光蓄積期間に対して十分短い周期で複数の波長に変調して前記被検体に照射し、該被検体からの光を前記撮像素子により受光して前記1光蓄積期間で積分することで、該被検体の被検面からの光と前記非被検面からの光とにより生成される干渉縞ノイズが低減するように、前記レーザ光の調整を行なうレーザ光調整手順と、前記基準面を前記干渉計装置における所定位置に配置した状態において、一方の表面のみにおいて前記レーザ光を正反射せしめる校正用の平面板を、前記干渉計装置の光軸と略直交するように、かつ該光軸方向に移動可能に挿入し、前記レーザ光調整手順において調整されたレーザ光を前記基準面および前記平面板の前記一方の表面に照射し、該一方の表面からの光と前記基準面からの光により生じる干渉縞のコントラストを、該平面板を前記光軸方向に所定の距離区間内において移動させながら測定して、該コントラストが最良となったときの該平面板の前記一方の表面の配置位置をコントラスト最良位置として特定し、このコントラスト最良位置に前記被検面が位置するように前記被検体を前記平面板に代えて設置する被検体設置手順とを行なうことを特徴とするものである。
【0014】
前記レーザ光調整手順における前記波長の変調は、前記各波長の光の光強度が、前記被検体の前記被検面からの光と前記非被検面からの光とにより該各波長の光別に生成される干渉縞ノイズを、前記1光蓄積期間において平均化して全体として低減させる所定の光強度と各々なるように、該各波長に対する変調期間が設定されていることが好ましい。
【0015】
また、前記被検体設置手順において、前記基準面と前記コントラスト最良位置に配置された前記平面板との間に、対物レンズを前記光軸方向に移動可能に挿入し、該対物レンズを該光軸方向に移動させながら該対物レンズの開口の明るさを観察し、該対物レンズの該開口全体が明るくなったときの該対物レンズの位置を対物レンズ基準位置として特定し、次に、前記対物レンズ基準位置に前記対物レンズを固定した状態において、前記平面板を光路外に退去させると共に、前記被検体を前記光軸方向に移動させながら前記対物レンズの前記開口の明るさを観察し、該対物レンズの該開口全体が明るくなったときに前記被検体の移動を停止せしめることにより、前記コントラスト最良位置に前記被検面を位置させることができる。
【0016】
また、前記複数の波長が2波長の場合において、これら2波長のレーザ光に対する前記変調期間は、前記1光蓄積期間で積分された各レーザ光の光強度が互いに略等しくなるように設定することができる。
【0017】
なお、上記「非被検面」とは、被検体のうち被検面以外の光学面をいうものとする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
まず、図1を用いて、本発明の一実施形態方法を適用する干渉計装置の構成について説明する。図1は干渉計装置の概略構成を示す図である。
【0019】
図示のように、この干渉計装置1は、透明な平行平面ガラス板(被検体)17の被検面17aの表面形状を干渉縞により観察するフィゾー型の干渉計本体10と、コンピュータ20と、モニタ21と、半導体レーザ光源(LD)11の電源(LD電源)22と、この電源(LD電源)22からの出力電流値を制御する制御信号を発生するファンクション・ジェネレータ23とを備えてなる。
【0020】
上記干渉計本体10は、半導体レーザ光源11からの可干渉光を平行光とするコリメータレンズ12、発散レンズ13、ビームスプリッタ14、コリメータレンズ15、被検体17との間にワークスペースを介して対向する、基準面16aを有する基準板16、ならびに光干渉により得られた干渉縞を撮像する撮像レンズ18およびCCD撮像装置19とを備えてなる。
【0021】
この干渉計本体10においては、半導体レーザ光源11からのレーザ光30を基準板16の基準面16aに入射させて、該基準面16aにおいて透過光束と反射光束とに2分割し、透過光束を平行平面ガラス17の被検面17aに入射させてその反射光を物体光とするとともに基準面16aにおける反射光を参照光とし、これら物体光および参照光の光干渉により生じる干渉光をコリメータレンズ15、ビームスプリッタ14、撮像レンズ18を介してCCD撮像装置19に導き、このCCD撮像装置19において干渉縞を撮像するようになっている。
【0022】
撮像された干渉縞はコンピュータ20において解析され、これにより被検面17aの表面形状を測定し得るようになっている。なお、撮像された干渉縞および解析された被検面17aの表面形状はモニタに表示されるようになっている。
【0023】
なお、上記基準板16は、図示されないPZT駆動回路に接続されたピエゾ素子24を介して図示されない基準板支持部材に支持されている。そして、コンピュータ20からの指示にしたがい、ピエゾ素子24に所定電圧が印加され該ピエゾ素子24が駆動され、これにより基準板16aが光軸Z方向に所定位相分だけ移動せしめられる。この移動により変化する干渉縞の画像データはコンピュータ20に出力され、これら複数枚の画像データに対して、縞画像解析が行なわれる。また、上記基準板16は、後述する被検体位置調整方法を実施する際、図示した光路上の位置から光路外に退出可能に構成されている。
【0024】
上記半導体レーザ光源11は、温度制御機能が施されたものを用い、前述したように単一縦モードのレーザ光(例えば波長λが650nm付近)を発振し得るようになっている。さらに、注入電流を変化させると、出力されるレーザ光の波長と光強度が変化するという、一般の半導体レーザ光源としての特徴を有している。
【0025】
また、上記CCD撮像装置19は、1光蓄積期間が1/30(秒)のCCDを用いている。
また、上記ファンクション・ジェネレータ23から出力される上記制御信号は、矩形波(階段状矩形波を含む)とされており、その周波数は、例えば200Hz程度で、CCDにより撮像された画像情報を再生する際にフリッカが生じない程度の速さに設定されている。
【0026】
ところで、フィゾー型等の同一光路の干渉計装置1においては、基準面16aからの参照光と被検面17aからの物体光の光路長が互いに異なるため、可干渉性の良好な光を使用する必要があり、一般には、本実施形態のように照明光としてレーザ光を用いる。しかしながら、このように可干渉性の良好な光を照明光として用いると、図1において、基準面16aと被検面17aのみならず、基準面16aと被検体裏面17b、および被検面17aと被検体裏面17bからの光干渉も生じてしまう。したがって、基準面16aと被検面17aからの光干渉以外の光干渉によって生じる干渉縞はノイズとなり、被検面17aの形状を高精度で測定することが困難となってしまうことから、この干渉縞ノイズの発生を阻止するために、上記干渉計装置1においては、以下のような特徴点を備えている。
【0027】
すなわち、干渉計装置1の構成の主要な特徴点は、▲1▼単一縦モードの半導体レーザ光源11を用い、干渉縞を受光する素子(CCD撮像装置19のCCD)の1光蓄積期間に対し十分短い周期で光源11から出力されるレーザ光30を複数の波長に変調し、被検体17からの干渉光を上記素子により受光することで、その干渉光を上記1光蓄積期間に亘って積分する点、および▲2▼波長の変調は、上記1光蓄積期間に亘って積分された各波長の光が被検体17の被検体裏面(非被検面)17bからの干渉縞ノイズを抑制し得る所定の光強度と各々なるように、この各波長に対する変調期間が設定されている点にある。
【0028】
このような特徴点▲1▼および▲2▼を備えた干渉計装置1は、本願発明者により発明されたものであり、その詳細な内容は既に、本願出願人により特許庁に対して開示されている(特願2002−192619号明細書)。
【0029】
ところで、上記干渉計装置1においては、上記▲1▼および▲2▼の条件を満たすようにレーザ光30を複数の波長に変調した上で、さらに基準面16aと被検面17aとの距離を所定の条件を満たす距離(以下「目標距離」と称する)に設定した場合に、非被検面17bからの干渉縞ノイズを抑制して被検面17aのみの干渉縞を得ることが可能である。
【0030】
以下、上記干渉計装置1において、基準面16aと被検面17aとの距離を上記目標距離に設定するための、本発明の一実施形態方法の手順について、図2〜図5を用いて説明する。図2〜図5は本発明の一実施形態方法の手順を段階的に示す図である。なお、図2〜図5においては、干渉計装置1の構成を一部省略して示している。
【0031】
〈レーザ光調整手順〉
まず、図2に示すように、基準板16を光路外に移動させ(あるいは基準板16を傾け)、基準面16aからの光と被検体17からの光とにより干渉縞が生じないようにした状態において、レーザ光30の調整を行なう。この調整は、レーザ光30をCCD撮像装置19のCCDの1光蓄積期間に対して十分短い周期で複数の波長に変調して被検体17に照射し、被検体17の被検面17aからの光と非被検面17bからの光とにより各波長の光別に生成される干渉縞ノイズが低減されるように行なう。
【0032】
このときの波長の変調は、被検体17の厚みが既知の場合は、変調期間をどのように設定すればよいのかを後述するような計算により求め、その結果に基づいて行なうことが可能であるが、被検体17の厚みが未知の場合であっても、干渉縞ノイズを観察しながら、これが十分に低減されるように変調期間を調整することにより行なうことができる。なお、この波長変調においては、各波長の光強度が、上記干渉縞ノイズを上記1光蓄積期間において平均化して全体として低減させる所定の光強度と各々なることを考慮して、各波長に対する変調期間が設定されることが好ましい。
【0033】
〈被検体設置手順〉
次に、図3に示すように、基準板16を干渉計装置1における所定位置(計測時に基準板16が設置される通常の位置)に配置する。この状態において、一方の表面40a(以下、「表面40a」と略称することがある)のみにおいてレーザ光30を正反射せしめる校正用の平面板40を、干渉計装置の光軸Zと略直交するように、かつ光軸Z方向に移動可能に挿入する。そして、上記レーザ光調整手順において調整されたレーザ光30を基準面16aおよび平面板40の表面40aに照射し、この表面40aからの光と基準面16aからの光により生じる干渉縞のコントラストを、平面板40を光軸Z方向に所定の距離区間内において移動させながら測定して、このコントラストが最良となったときの平面板表面40aの配置位置をコントラスト最良位置として特定する。もしくは、周期的に生じる干渉縞が消える位置を移動方向に前後2箇所確認し、その中間位置をコントラスト最良位置として特定する。このコントラスト最良位置と基準面16aとの距離が上記目標距離となる。この目標距離は、後述するような計算によっても求めることができるが、上記平面板40を用いて目標距離を特定できる本実施形態方法では、そのような計算を行なう必要はない。
【0034】
次いで、図4に示すように、基準面16aと上記コントラスト最良位置に配置された平面板表面40aとの間に、無限系の対物レンズ41を光軸Z方向に移動可能に挿入し、この対物レンズ41を光軸Z方向に移動させる。このとき、対物レンズ41の開口の明るさの変化を、CCD撮像装置19により取り込まれた画像により観察する。そして、対物レンズ41の開口全体が明るくなったときの対物レンズ41の位置(レーザ光30が平行光の場合、このときに、対物レンズ41の焦点位置と平面板表面40aの位置とが一致する)を対物レンズ基準位置として特定する。
【0035】
次に、上記対物レンズ基準位置に対物レンズ41を固定した状態において、平面板40を光路外に退去させる。そして、図5に示すように、被検体17を光軸Z方向に移動させ、このときの対物レンズ41の開口の明るさの変化を、CCD撮像装置19により取り込まれた画像により観察する。そして、対物レンズ41の開口全体が明るくなったときに、被検体17の移動を停止せしめることにより、上記コントラスト最良位置に被検面17aを位置させる。
【0036】
上述した手順により、基準面16aに対する被検面17aの位置を、非被検面17bからの干渉縞ノイズは抑制しつつ被検面17aからのみの干渉縞を得ることのできる位置に高精度に設置することが可能となる。しかも、上述したように、被検体17の厚みが未知の場合であっても、また、上記目標距離を計算により求めなくとも基準面16aと被検面17aとの距離調整が可能である。
【0037】
以下では、数式を用いて、被検面17aについての干渉縞のコントラストは良好とし、かつ被検体裏面17bについての干渉縞は消去する条件について説明する。なお、ここでは、上述した実施形態の構成を基本とし、さらに以下の如き条件を満足しているものとする。
【0038】
(1)半導体レーザ光源11の注入電流を時間軸に対し矩形波信号(CCDの1光蓄積期間に対して十分に短い周期を有する)を用いて変調することで2種類の波長の光が交互に出力されるように切り替える。
【0039】
(2)CCDの1光蓄積期間において積分された2種類の波長の光の強度が互いに略等しくなるように矩形波信号のデューティ比が調整されている。
【0040】
これらの条件を満足していることから、1光蓄積期間が1/30(秒)のCCDにおいては、受光された2種類の波長の光を上記期間に亘り積分し、これら両者の1光蓄積期間における光強度を互いに略等しくすることで、光強度が互いに等しく、波長が互いに異なる2つの光を出力する、一般の2波長レーザ光源(常時2種のレーザ光を出力する光源)を用いた場合と同様の結果が得られることになる。また、上述した如き半導体レーザ光源11を用いた場合、注入電流を変調する矩形波信号(ファンクション・ジェネレータ23から出力される制御信号)の振幅を変化させることで、上記2種類の波長の差を変化させたり、DCレベルを変化させたりすることが可能である。
【0041】
このような前提の下、上記2つの波長をλ1、λ2とし、被検面17aと被検体裏面17bの光路長差を2L(=2nT、nは屈折率、Tは厚み)とすると、2種類の波長の光による2つの面からの反射光により生じる干渉縞の強度I(x,y)は、各光によって生じる干渉縞の強度I01(x,y)、I02(x,y)の和となり、下式(1)で表される。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
【数3】
【0045】
【数4】
【0046】
【数5】
【0047】
【数6】
【0048】
【数7】
【0049】
したがって、上式(8)の条件を満足する場合には、コントラストが良好な干渉縞を得ることができることになる。
【0050】
【数8】
【0051】
したがって、上式(10)の条件を満足する場合には、干渉縞を消すことができることになる。
【0052】
このことから、波長λと面間隔Lが既知の場合、2つの波長の差がΔλとなるように、かつ、CCDの1光蓄積期間内で得られる2つの波長の光の強度が互いに略等しくなるように、半導体レーザ光源11の電源22を制御するファンクション・ジェネレータ23を設定すれば、被検面17aからの光と非被検面17bからの光とによって生じる干渉縞を略消去することが可能となる。
【0053】
一方、上述した基準面16aから被検面17aまでの目標距離を上式(8)により求め、すなわち、(8)式を満たす距離Lを上述した目標距離として求め、基準面16aから被検面17aまでの距離をこの目標距離に設定すれば、被検面17aの形状を表す干渉縞のみを観察することが可能となる。また、測定すべき被検体17の厚みが予め分かっている場合には、平面板40の配置位置をコントラスト最良位置として特定した後、このコントラスト最良位置に対し被検体17の被検面17aが前後にどれだけの距離離れているのかを、被検体17の厚み等から計算し、その離れた距離分の位置調整を行なうことにより、被検面17aの形状を表す干渉縞のみを観察することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態のものに限られるものではなく、その他の種々の態様の変更が可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態においては、被検体設置手順において特定されたコントラスト最良位置に被検面を設置するために、対物レンズを用いる方法を採用しているが、光波干渉計等の非接触型あるいはダイヤルインジケータ等の接触型の測距手段、または上記平面板40の一方の表面40aを基にしたストッパ等の機械的位置決定手段などを用いた他の方法によりコントラスト最良位置に被検面を設置するようにしてもよい。
【0056】
また、上記実施形態においては、被検体設置手順においてコントラスト最良位置を特定しているが、被検体の厚みが予め分かっている場合には、コントラストが最低となる位置(コントラスト最低位置)を特定しておき、一旦このコントラスト最低位置に被検面を設置した後、被検体の厚みにより求まる所定の距離分被検体を移動させることにより、被検面をコントラスト最良位置に相当する位置に設置するようにしてもよい。
【0057】
また、本発明は、フィゾー型等の同一光路(コモンパス)干渉計装置を用いる場合のみならず、マイケルソン型やマッハツェンダー型等の二光路型干渉計装置や斜入射型の干渉計装置を用いる場合に適用することも可能である。
さらに、レーザ光の変調においては、2種類の波長に変調する場合の外、3種類以上の波長の光に変調する場合についても、本発明を適用することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の干渉計装置の被検体位置調整方法によれば、被検面からの光と非被検面からの光とにより生成される干渉縞ノイズが低減するように、レーザ光を撮像素子の1光蓄積期間に対して十分短い周期で複数の波長に変調する。次に、一方の表面のみが正反射する校正用の平面板を光路上に挿入して光軸方向に移動させながら、調整されたレーザ光を基準面および平面板の表面に照射し、平面板の上記一方の表面からの光と基準面からの光により生じる干渉縞のコントラストが最良となるときの平面板の上記一方の表面の配置位置をコントラスト最良位置として特定する。そして、このコントラスト最良位置に被検面が位置するように被検体を平面板に代えて設置する。
【0059】
このように、まず、被検面からの光と非被検面からの光とにより生成される干渉縞ノイズが低減するようにレーザ光の調整を行ない、次に、校正用の平面板を用いて特定したコントラスト最良位置に被検面を設置することにより、非被検面からの干渉縞ノイズを抑制して被検面からのみの干渉縞を得ることができるように、基準面と被検面との位置調整を高精度に行なうことが可能となる。
【0060】
レーザ光の調整は、干渉縞ノイズを観察しながら行なえるので、被検体の厚みが未知であっても調整が可能である。また、被検面の設置目標位置は、コントラスト最良位置として特定できるので、この設置目標位置を計算等により予め求めておかなくても、位置調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態方法を適用する干渉計装置の概略図
【図2】本発明の一実施形態方法の手順の第1段階を示す図
【図3】本発明の一実施形態方法の手順の第2段階を示す図
【図4】本発明の一実施形態方法の手順の第3段階を示す図
【図5】本発明の一実施形態方法の手順の第4段階を示す図
【符号の説明】
1 干渉計装置
10 干渉計本体
11 半導体レーザ光源(LD)
12 コリメータレンズ
13 発散レンズ
14 ビームスプリッタ
15 コリメータレンズ
16 基準板
16a 基準面
17 平行平面ガラス板(被検体)
17a 被検面
17b 非被検面
18 撮像レンズ
19 CCD撮像装置
20 コンピュータ
21 モニタ
22 電源(LD電源)
23 ファンクション・ジェネレータ
24 ピエゾ素子
30 レーザ光
40 平面板
40a 一方の表面
41 対物レンズ
Z 光軸
Claims (4)
- 単一縦モードのレーザ光を発振する波長走査が可能な光源を用い、透明な被検体の非被検面からの干渉縞ノイズを抑制する干渉計装置において、該干渉計装置の基準面に対する前記被検体の位置調整を行なうための干渉計装置の被検体位置調整方法であって、
前記基準面を、該基準面からの光と前記被検体からの光とにより干渉縞が生じないように配置した状態において、前記レーザ光を、前記干渉計装置の撮像素子の1光蓄積期間に対して十分短い周期で複数の波長に変調して前記被検体に照射し、該被検体からの光を前記撮像素子により受光して前記1光蓄積期間で積分することで、該被検体の被検面からの光と前記非被検面からの光とにより生成される干渉縞ノイズが低減するように、前記レーザ光の調整を行なうレーザ光調整手順と、
前記基準面を前記干渉計装置における所定位置に配置した状態において、一方の表面のみにおいて前記レーザ光を正反射せしめる校正用の平面板を、前記干渉計装置の光軸と略直交するように、かつ該光軸方向に移動可能に挿入し、前記レーザ光調整手順において調整されたレーザ光を前記基準面および前記平面板の前記一方の表面に照射し、該一方の表面からの光と前記基準面からの光により生じる干渉縞のコントラストを、該平面板を前記光軸方向に所定の距離区間内において移動させながら測定して、該コントラストが最良となったときの該平面板の前記一方の表面の配置位置をコントラスト最良位置として特定し、このコントラスト最良位置に前記被検面が位置するように前記被検体を前記平面板に代えて設置する被検体設置手順とを行なうことを特徴とする干渉計装置の被検体位置調整方法。 - 前記レーザ光調整手順における前記波長の変調は、
前記各波長の光の光強度が、前記被検体の前記被検面からの光と前記非被検面からの光とにより該各波長の光別に生成される干渉縞ノイズを、前記1光蓄積期間において平均化して全体として低減させる所定の光強度と各々なるように、該各波長に対する変調期間が設定されていることを特徴とする請求項1記載の干渉計装置の被検体位置調整方法。 - 前記被検体設置手順において、
前記基準面と前記コントラスト最良位置に配置された前記平面板との間に、対物レンズを前記光軸方向に移動可能に挿入し、該対物レンズを該光軸方向に移動させながら該対物レンズの開口の明るさを観察し、該対物レンズの該開口全体が明るくなったときの該対物レンズの位置を対物レンズ基準位置として特定し、
次に、前記対物レンズ基準位置に前記対物レンズを固定した状態において、前記平面板を光路外に退去させると共に、前記被検体を前記光軸方向に移動させながら前記対物レンズの前記開口の明るさを観察し、該対物レンズの該開口全体が明るくなったときに前記被検体の移動を停止せしめることにより、前記コントラスト最良位置に前記被検面を位置させることを特徴とする請求項1または2記載の干渉計装置の被検体位置調整方法。 - 前記複数の波長が2波長であって、これら2波長のレーザ光に対する前記変調期間は、前記1光蓄積期間で積分された各レーザ光の光強度が互いに略等しくなるように設定されていることを特徴とする請求項2または3記載の干渉計装置の被検体位置調整方法。
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