JP2006090350A - バッフルプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】 変速機ケースの内周面の形状に整合して容易に接触可能であり、設計および製造の容易なバッフルプレートを提供する。
【解決手段】 ドリブンスプロケット12の回転面の両面を囲うバッフルプレート60のケース底壁51と近接する側に、ゴム板76、86、88を配置する。これにより変速機ケース50のケース底壁51の内周面が複雑な形状である場合にも、バッフルプレート60のケース底壁51と近接する側をケース底壁51の内周面に密着させることができ、バッフルプレート60の設計および製造が容易となる。また、ドリブンスプロケット12が回転する際のオイルの攪拌抵抗を少なくすることができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、自動変速機内の回転体を囲うバッフルプレートに関する。
従来、自動変速機のファイナルギア等の回転体を包囲するプレート(以下、バッフルプレート)がある。このようなバッフルプレートは、回転体が高速回転する際に回転体側への油の進入を防止し、回転体が攪拌する油量を減少させてフリクションの低減を図っている。
また、コンパクトにバッフルプレートを構成するために、バッフルプレートの一部を開口し、該開口を変速機ケースの内周面に接触させて変速機ケースをバッフルプレートの一部として使用するものがある。
この場合、バッフルプレートは変速機ケースの内周面と接触させるために、変速機ケースの内周面の形状に整合するように、バッフルプレートの開口が形成されていた。
このようなバッフルプレートの構成が、特開平11−98616号公報に記載されている。
特開平11−98616号公報
しかしながら、変速機ケースの内周面が複雑な形状である場合に、この形状に整合するようにバッフルプレートの開口を形成しなければならず、バッフルプレートの設計および製造が非常に困難なものとなってしまうといった問題があった。
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、変速機ケースの内周面の形状に整合して容易に接触可能であり、設計および製造の容易なバッフルプレートを提供することを目的とする。
本発明は、自動変速機内の回転体の少なくとも一部を囲むバッフルプレートにおいて、一部が自動変速機の変速機ケースの内壁に近接するプレート本体部と、該プレート本体部の変速機ケースの内壁に近接する部位に設けられ、弾性変形可能もしくは塑性変形可能な部材で構成されたシール部材とより構成され、シール部材を変速機ケースの内壁に密着可能とするものとした。
本発明によれば、バッフルプレートをシール部材を介して変速機ケースの内周面に密着させることにより、変速機ケースの内周面が複雑な形状である場合にもバッフルプレートをケースの内周面に密着させることができ、バッフルプレートの設計および製造が容易となる。
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
図1は、実施例を示す正面図である。
自動変速機の入力軸2に図示しないエンジンからの動力が伝達される。
入力軸2に入力された動力は、入力軸2に備えられたプライマリプーリと、セカンダリ軸に備えられたセカンダリプーリと、両プーリに掛け渡されたVベルトとで構成される図示しない変速機構部によって回転数の変換が行われて図示しないリダクションギヤに伝達される。リダクションギヤはディファレンシャルのファイナルギヤ5に噛み合い、リダクションギヤからディファレンシャルに動力が伝達される。
ディファレンシャルに伝達された動力は図示しない車両の駆動輪へ伝達されて車両の駆動が行われる。
入力軸2の回転力によって駆動されるオイルポンプ10が、オイルポンプ回転軸11と入力軸2とが平行になるように配置される。オイルポンプ10は変速機ケース50の下部に取り付けられたオイルパンにたまる油をオイルストレーナによって吸い込むため、変速機ケース50の下方の底壁51近傍に配置されている。
オイルポンプ10のポンプ本体部13の図1中奥側が、変速機ケース50の底壁51から垂直に広がる支持壁52に取り付けられている。
オイルポンプ回転軸11の図中手前側の端部には、ドリブンスプロケット12が取り付けられている。
ドリブンスプロケット12とファイナルギヤ5の回転面は、略同一面となっている。
支持壁52には入力軸2を支持するカバー53が取り付けられ、該カバー53の図中手前側に入力軸2に支持されたトルクコンバータ6が配置される。また、カバー53の図中奥側に、入力軸2に支持されたプライマリプーリが配置されている。
トルクコンバータ6のポンプインペラーにはドライブスプロケット7が取り付けられ、該ドライブスプロケット7とオイルポンプ回転軸11に取り付けられたドリブンスプロケット12とにチェーン8を掛け渡すことによって、オイルポンプ10の駆動を行う。
なおケース底壁51のオイルポンプ10の真下部分にはケース穴が設けられ、変速機ケース50内の油がケース穴から変速機ケース50の下部に取り付けられたオイルパンに流れ込むようになっている。
オイルポンプ10は、ケース底壁に設けられたケース穴を通過する油路を介してオイルストレーナと接続されている。
ファイナルギヤ5と支持壁52との間隙からポンプ本体部13とドリブンスプロケット12との間隙に渡り、ファイナルギヤ5の側面の一部およびドリブンスプロケット12の側面を囲うバッフルプレートベース部61が配置されている。
また、ドリブンスプロケット12の図中手前側において、ドリブンスプロケット12の側面全体を囲うバッフルプレートカバー部65が配置される。
よって、バッフルプレートベース部61とバッフルプレートカバー部65とで、ドリブンスプロケット12の回転面の両面が囲まれている。
バッフルプレートベース部61とバッフルプレートカバー部65とでバッフルプレート60が構成される。
バッフルプレート60によってファイナルギヤ5およびドリブンスプロケット12とを囲むことにより、ファイナルギヤ5やドリブンスプロケット12およびチェーン8が回転した際の油の攪拌量が少なくなる。
次に、バッフルプレート60を構成するバッフルプレートベース部61およびバッフルプレートカバー部65の詳細について説明する。
図2の(a)は、バッフルプレートベース部61の正面図であり、図2の(b)は、バッフルプレートベース部61の下面図である。
バッフルプレートベース部61は、ファイナルギヤ5の側面の一部を囲むファイナルギヤカバー部62と、ドリブンスプロケット12の側面の一方の側を囲むチェーンカバー部63とで構成されている。
ファイナルギヤカバー部62とチェーンカバー部63とは、曲げ加工によって図2の(b)に示すようにそれぞれの面がオフセットしている。
ファイナルギヤカバー部62は、ファイナルギヤ5のオイルポンプ10に近い側の側面(ギヤの回転面と平行な面)の約4分の1を囲う扇形状に形成されている。
ファイナルギヤカバー部62の扇形状外径縁には、図2の(a)において手前方向に立ち上がる分離壁64が形成されている。
ファイナルギヤカバー部62の扇形状外径縁において、チェーンカバー部63と接続する部分には、扇形状外径縁に沿って湾曲した断面L字形状の分離壁部材64Aをチェーンカバー部63に溶接することによって分離壁64が形成され、チェーンカバー部63と接続しない部分は、ファイナルギヤカバー部62の扇形状外形側の端部を折り曲げて形成した分離壁部材64Bによって分離壁64が形成される。
分離壁部材64A、64Bとで構成される分離壁64によって、ファイナルギヤ5側とドリブンスプロケット12側とが仕切られる。
ファイナルギヤカバー部62には、ボルトによってバッフルプレートベース部61を支持壁52に固定するためにボルト穴70が形成され、さらに、ファイナルギヤカバー部62から図2の(a)において上方向に延びる突出部71にボルト穴71が形成されている。
チェーンカバー部63のプレート本体部66には、オイルポンプ回転軸11を差し込むための軸穴73が設けられている。
軸穴73の図2の(a)中の右側には、チェーンカバー部63をボルトによってポンプ本体部13に固定するためのボルト穴74が形成されている。
チェーンカバー部63のプレート本体部66の底壁51側(図2の(b)中の下方側)には、加硫接着によりゴム板76が取り付けられたゴム取り付け板75が溶接されている。
なおゴム板76の底壁51側の縁は、底壁51の内周面の形状に整合し、さらに図2の(b)に示されるように、ゴム板76の底壁51側の縁がゴム板76とゴム取り付け板75との接続部よりも図中上方に位置するようにゴム板76が傾斜している。
分離壁部材64Aの分離壁部材64B側の端部において、図2の(a)中の手前側の縁からチェーンカバー部63方向に延びるカバー取り付け突出部79が形成される。
カバー取り付け突出部79には、図2の(b)中の上方向に伸びるボルト80が取り付けられている。
チェーンカバー部63の図2の(a)中の右側端部からカバー取り付け突出部77が延びている。カバー取り付け突出部77には、図2の(b)中の上方向に伸びるボルト78が取り付けられている。
このボルト78、80によってバッフルプレートカバー部65のバッフルプレートベース部61への取り付けを行う。
図3の(a)は、バッフルプレートカバー部65の正面図であり、図3の(b)は、バッフルプレートカバー部65の下面図である。
バッフルプレートカバー部65のケース底壁51に近接する側(図3の(a)の下方側)には、バッフルプレートベース部61側(図3の(a)中の奥側)に折り曲げてカバー底壁81が形成されている。
バッフルプレートカバー部65のケース底壁51と最も近い部分の周囲が切り欠かれ、カバー切り欠き部82が形成されている。
カバー底壁81の図3の(a)中の奥側の縁から図3の(a)の右側方向に延びるカバー突出部83が形成される。
カバー突出部83には、バッフルプレートベース部61のボルト78が差し込まれる取り付け穴84が形成されている。
バッフルプレートカバー部65の図3の(a)中の左側には、バッフルプレートベース部61のボルト80が差し込まれる取り付け穴85が形成されている。
カバー切り欠き部82の両側(図3の(b)における左右側)には、ゴム板86が差し込まれたゴム差込板87、ゴム板88が差し込まれたゴム差込板89とがそれぞれ溶接されている。
なお、図4に示すようにゴム板86は、板部90と本体部92とで構成されており、本体部92に板部90の長さ方向に沿って溝91が設けられている。
板部90の長さは、本体部92よりも長く形成されて、本体部92よりも一部が突出している。
このゴム板86の溝91を、ゴム差込板87に形成されたスリット95に、板部90が突出した側から差し込むことによってゴム板86が保持される。
ゴム板86が差し込まれたゴム差込板87は、スリット95の開口側をカバー切り欠き部82の切り欠き縁側に向けて、バッフルプレートカバー部65の内側からカバー底壁81に重ねて溶接されている。
これにより、ゴム板86が抜け落ちることがない。
同様にしてゴム板88がゴム差込板89に設けられたスリット96に差し込まれ、バッフルプレートカバー部65の外方側からカバー底壁81に重ねて溶接される。
バッフルプレートカバー部65から図3の(a)中の下方に伸びるゴム板86、88の先端は、バッフルプレート60が支持壁52に取り付けられた状態で、ケース底壁51と接する。
図5は、上方向からオイルポンプ周りを見た場合のバッフルプレート60の配置を模式的に示す図である。
オイルポンプ10の下方(図5における奥側)のケース底壁51には、ケース穴54が設けられ、変速機ケース50内の油がケース穴54を通ってオイルパンへ流れ込む。
オイルポンプ10のオイルポンプ回転軸11に取り付けられたドリブンスプロケット12は、チェーン8が通る空間(図5中の略手前方向)を除いて、チェーンカバー部63、バッフルプレートカバー部65およびケース底壁51によって囲まれている。
チェーンカバー部63に取り付けられたゴム板76をケース底壁51と当接させ、さらにバッフルプレートカバー部65に取り付けられたゴム板86およびゴム板88をケース底壁51に当接させ、チェーンカバー部63とバッフルプレートカバー部65とで囲まれる空間内の油が、直接ケース穴54に流れ込むことがないようにしてある。
またファイナルギヤ5のオイルポンプ10側をファイナルギヤカバー部62によって囲むことによって、ファイナルギヤ5の近傍の油が、直接ケース穴54に流れ込むことがないようにしてある。
本実施例は以上のように構成され、バッフルプレート60のケース底壁51と近接する側にゴム板76、86、88を配置したことにより、変速機ケース50のケース底壁51の内周面が複雑な形状である場合にもバッフルプレート60のケース底壁51と近接する側をケース底壁51の内周面に密着させることができる。
よって、ドリブンスプロケット12が回転する際のオイルの攪拌抵抗を少なくすることができ、またバッフルプレート60の設計および製造が容易となる。(請求項1に対応する効果)
またゴム板76、86、88を、回転体としてのドリブンスプロケット12の下方側のケース底壁51と密着させることにより、ドリブンスプロケット12の回転によって生じた気泡を含んだ油の流れを遮ることができる。(請求項2に対応する効果)
さらにドリブンスプロケット12およびファイナルギヤ5と、油が流れ込むケース穴54との間にバッフルプレート60を配置したことにより、ファイナルギヤ5やドリブンスプロケット12によって攪拌されて気泡を含んだ油が直接ケース穴54に流れ込むことがなくなり、オイルポンプ10がオイルストレーナから気泡を含んだ油を吸い込んでしまうことを防止することができる。(請求項3に対応する効果)
あるいは、ドリブンスプロケット12の回転面の両側をバッフルプレートベース部61およびバッフルプレートカバー部65によって囲むことにより、ドリブンスプロケット12やチェーン8の回転による油の攪拌抵抗を少なくすることができる。(請求項4に対応する効果)
また、ケース底壁51とバッフルプレート60とを密着させる部材としてゴム板76、86、88を用いたことにより、ケース底壁51の内周面の形状に合わせて加工が容易であり、機密性を保つことができ、安価な素材によってケース底壁51とバッフルプレート60とを密着させることができる。(請求項5に対応する効果)
なお本実施例において、ケース底壁51とバッフルプレート60とを密着させる部材として、ゴム板76、86、88を用いたが、これに限らず弾性変形可能もしくは塑性変形可能な他の部材を用いることもできる。この場合にも、上記と同様の効果を得ることができる。
また本実施例において、バッフルプレートによってファイナルギヤ、ドリブンスプロケットおよびチェーンを囲うものとしたが、これに限定されず、他の回転体を囲むこともでき、さらにバッフルプレートによって囲む回転体の数も限定されない。
本発明における実施例を示す図である。 バッフルプレートベース部を示す図である。 バッフルプレートカバー部を示す図である。 ゴム板を示す図である。 バッフルプレートの配置を示す模式図である。
符号の説明
2 入力軸
5 ファイナルギヤ(回転体)
7 ドライブスプロケット
8 チェーン(回転体)
10 オイルポンプ
11 オイルポンプ回転軸
12 ドリブンスプロケット(回転体)
13 ポンプ本体部
50 変速機ケース
51 ケース底壁
52 支持壁
54 ケース穴
60 バッフルプレート
61 バッフルプレートベース部
62 ファイナルギヤカバー部
63 チェーンカバー部
64 分離壁
65 バッフルプレートカバー部
66 プレート本体部(プレート本体部)
75 ゴム取り付け板(プレート本体部)
76、86、88 ゴム板(シール部材)
81 カバー底壁
82 カバー切り欠き部

Claims (5)

  1. 自動変速機内の回転体の少なくとも一部を囲むバッフルプレートにおいて、
    一部が自動変速機の変速機ケースの内壁に近接するプレート本体部と、
    該プレート本体部の前記変速機ケースの内壁に近接する部位に設けられ、弾性変形可能もしくは塑性変形可能な部材で構成されたシール部材とより構成され、
    前記シール部材を前記変速機ケースの内壁に密着可能としたことを特徴とするバッフルプレート。
  2. 前記シール部材は、前記回転体の下方側の変速機ケースの内壁と密着可能としたことを特徴とする請求項1に記載のバッフルプレート。
  3. 前記回転体と自動変速機内のオイルストレーナの吸入口との間に配置可能としたことを特徴とする請求項1または2に記載のバッフルプレート。
  4. 前記回転体の回転軸方向の少なくとも両側を囲うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のバッフルプレート。
  5. 前記シール部材は、ゴムで構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載のバッフルプレート。
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