JP2006088073A - イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 膨潤や収縮を生じることなく親水性を高めてタンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができ、更にこれらの性能を長期間にわたって維持することができるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供する。
【解決手段】 イオン交換基を有する充填剤粒子表面をプラズマ処理することにより親水化するイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、膨潤や収縮を生じることなく親水性を高めてタンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができ、更にこれらの性能を長期間にわたって維持することができるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法に関する。
イオン交換液体クロマトグラフィー法は、各種生体関連物質の分離分析に極めて有効な方法として知られている。なかでも、近年では糖化ヘモグロビン類(以下、ヘモグロビンA1cともいう)の分析方法として注目されている。
ヘモグロビンA1cは、血液中の糖がヘモグロビンのα鎖N末端と化学的に結合したものであり、ヘモグロビン中に占めるヘモグロビンA1cが占める割合、すなわち、ヘモグロビンA1cと非糖化ヘモグロビンとの合計に対するヘモグロビンA1cの割合は、1〜2ヶ月の期間の血糖値の平均を反映するものと言われている。そのため、ヘモグロビンA1cが占める割合を示すヘモグロビンA1c値(%)は、一時的に大きく変動し得る血糖値に代えて、糖尿病診断の指標として広く用いられるようになってきている。
イオン交換液体クロマトグラフィー法に用いられる充填剤としては、例えば、シリカ系化合物からなる基剤にイオン交換基を導入したもの、有機合成高分子からなる架橋性粒子にイオン交換基含有化合物を反応して得られたもの(特許文献1等)、架橋性単量体とイオン交換基含有化合物とを反応させて得られたもの(特許文献2、特許文献3等)等が知られている。
これらのイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤は、イオン交換基と基材とからなるが、基剤部分には、膨潤したり収縮したりしないことが求められている。このため、例えば、基材として樹脂を用いる場合には、架橋度の高い樹脂が用いられている。しかし、架橋度の高い樹脂は、親水性が低いことからタンパク質等の非特異吸着を引き起し、測定精度が低下するという問題があった。このような非特異吸着を抑制する方法として、基材樹脂に親水性単量体を多く含有させる方法等が検討されているが、親水性を高めると基材の膨潤や収縮が生じやすくなり、高流速下における分析ができなくなったり、複数の溶離液を用いた場合の平衡化が遅れたりし、測定の遅延を招くという問題があった。
これに対して特許文献4には、イオン交換基を有する充填剤粒子表面を親水化処理した、具体的には、イオン交換基を有する充填剤粒子表面にタンパク質等の親水基を有する化合物を吸着して親水化したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤が開示されている。このようなイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤では、基材が膨潤したり収縮したりしない一方で、親水性表面によりタンパク質等の非特異吸着を効果的に防止することができる。しかしながら、このように物理吸着により親水性化合物が固定化されている場合、使用初期の段階では高い性能を発揮できるものの、長期間使用しているうちに充填剤粒子の表面から親水性化合物が脱離してしまい、保持時間や測定値が変動することがあるという問題があった。また、吸着させる親水化合物のロット間差によっても保持時間や測定値が変動するという問題点もあった。
特開平1−262468号公報 特公昭63−59463号公報 特公平8−7197号公報 特開2001−91505号公報
本発明は、上記現状に鑑み、膨潤や収縮を生じることなく親水性を高めてタンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができ、更にこれらの性能を長期間にわたって維持することができるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、イオン交換基を有する充填剤粒子表面を常圧プラズマ処理することにより親水化処理を施すイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、イオン交換基を有する充填剤粒子表面に常圧プラズマ処理を施すことにより、充填剤粒子の表面のみが親水化されることを見出し、本発明を完成するに至った。プラズマ処理とは、電極間に導いた気体に電圧を印加することにより励起させてプラズマ化ガスとし、このプラズマ化ガスにより被処理物の表面を処理するものである。このような方法により親水化処理を行った場合には、プラズマ処理が施された表面部分のみが親水化されることから、水系媒体中でも膨潤したり収縮したりすることがなく、一方、その親水化表面にはタンパク質等が非特異吸着することもない。更に、化学的な親水化処理であることから、物理的な親水化処理方法のように親水化合物が脱落したりすることもなく、長期間にわたって親水性を維持することができる。
上記充填剤粒子としては、従来からイオン交換液体クロマトグラフィー法の充填剤粒子として用いられているものを用いることができ、例えば、シリカ、ジルコニア等の無機系粒子;セルロース、ポリアミノ酸、キトサン等の天然高分子からなる有機系粒子;ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル等の合成高分子からなる有機系粒子等が挙げられる。なかでも、合成高分子からなる有機系粒子は、架橋度等を調整することにより高い耐圧性や耐膨潤性を得ることができることから好ましい。
上記イオン交換基としては特に限定されず、陽イオン交換基であっても、陰イオン交換基であってもよい。上記陽イオン交換基としては特に限定されず、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。上記陰イオン交換基としては特に限定されず、例えば、3級アミノ基、4級アミノ基等が挙げられる。なかでも、スルホン酸基を用いる場合には、長期間にわたって性能を維持することができ、また、ヘモグロビンA1cの分析にも高い効果が得られることから好適である。
上記イオン交換基を有する充填剤粒子は、粒子の表面にイオン交換基を導入したり、イオン交換基を有する単量体を含む単量体混合物を重合して粒子としたりする方法により調製することができる。
上記粒子の表面にイオン交換基を導入する方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、高分子からなる有機系粒子の場合では、官能基を有する高分子からなる粒子を調製した後、該官能基にイオン交換基を有する化合物を化学的に反応させる方法等が挙げられる。
上記イオン交換基を有する単量体を含む単量体混合物を重合して粒子とする方法としては、例えば、イオン交換基を有する単量体と架橋性単量体とを混合し、重合開始剤の存在下で重合する方法等が挙げられる。また、特公平8−7197号公報に記載された方法ように、架橋性重合体粒子を調製した後、イオン交換基を有する単量体を添加し、重合体粒子の表面付近にイオン交換基を有する単量体を重合させる方法;(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル等の重合性エステル化合物を架橋性単量体等と混合し、重合開始剤の存在下で重合した後、得られた粒子を加水分解処理し、エステル化合物を陽イオ
ン交換基に変換する方法等も用いることができる。
上記イオン交換基を有する充填剤粒子の平均粒子径としては特に限定されないが、好ましい下限は0.1μm、好ましい上限は20μmである。0.1μm未満であると、カラム内が高圧になりすぎ分離不良を起こすことがあり、20μmを超えると、カラム内のデッドボリュームが大きくなりすぎて分離不良を起こすことがある。
上記イオン交換基を有する充填剤粒子の粒度分布について、粒子径のCV値の好ましい上限は40%である。40%を超えると、カラム内のデッドボリュームが大きくなりすぎ分離不良を起こすことがある。より好ましい上限は15%である。
本発明のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法においては、上記イオン交換基を有する充填剤粒子表面をプラズマ処理することにより親水化する。
プラズマ処理の方法としては特に限定されないが、装置及び操作を簡便化できることから常圧プラズマ処理が好適である。
なお、本明細書において常圧とは、大気圧近傍の圧力下のことを意味し、具体的には1.333×10〜10.664×10Paの圧力下のことを意味する。なかでも、圧力調整が容易で、装置が簡便になる9.331×10〜10.397×10Paの範囲における常圧プラズマ処理が好適である。
上記常圧プラズマ処理時に用いる処理ガスとしては特に限定されないが、例えば、アンモニアガスが好適である。アンモニアガスを用いることにより、充填剤粒子の表面に親水性基としてアミノ基を導入することができる。
また、経済性及び安全性の観点から、処理ガス単独雰囲気よりも、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン等の希ガスや窒素ガス等の希釈ガスを併用することが好ましい。これらの希釈ガスは単独でも用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、併用によりプラズマ密度を高め高速処理を可能とすることができ、また、入手が容易で安価でもあることから、アルゴンガス、窒素ガスが好適である。
希釈ガスを併用する場合には、ガス全体に占める処理ガスの割合の好ましい下限は1体積%、好ましい上限は20体積%である。1体積%未満であると、プラズマ処理に時間がかかったり、充分な親水化効果が得られなかったりすることがある。20体積%を超えると、反応に使用されずに排出される処理ガスが増え、経済性及び安全性の点で好ましくない。
このような処理ガスを対向する電極間に供給しながら、高周波、パルス波、マイクロ波等の電界を印加してグロー放電プラズマを発生させることによりプラズマ化したガスが生成させることができる。
この場合の電界としては、パルス電界が好ましく、特に、電界の立ち上がり及び/又は立ち下がり時間が10μs以下であるパルス電界が好適である。パルス電界の立ち上がり及び/又は立ち下がり時間が10μsを超えると、放電状態がアーク放電に移行しやすく不安定なものとなり、高密度プラズマ状態を保持しにくくなることがある。より好ましくは5μs以下である。電界の立ち上がり及び/又は立ち下がり時間は、短いほどプラズマ発生の際のガスの電離が効率よく行われ、効率よくプラズマ化したガスを得ることができるが、現時点では40ns未満の立ち上がり時間のパルス電界を実現することは困難である。
なお、本明細書において電解の立ち上がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して増加する時間を意味し、立ち下がり時間とは、電圧(絶対値)が連続して減少する時間を意味する。
上記電界の電界強度の好ましい下限は10kV/cm、好ましい上限は1000kV/cmである。10kV/cm未満であると、プラズマ化したガスの生成に時間がかかりすぎることがあり、1000kV/cmを超えると、アーク放電が発生しやすくなり、高密度プラズマ状態を保持しにくくなることがある。
上記電界の周波数の好ましい下限は0.5kHzである。0.5kHz未満であるとプラズマ密度が低いためプラズマ化したガスの生成に時間がかかりすぎることがある。上限は特に限定されず、常用されている13.56MHz、試験的に使用されている50MHzといった高周波帯であってもよいが、負荷との整合のとり易さや取り扱い性を考慮すると500kHz以下であることが好ましい。
また、上記パルス電界におけるひとつのパルス継続時間の好ましい下限は0.5μs、好ましい上限は200μsである。200μsを超えると、アーク放電に移行しやすくなる。
なお、本明細書においてひとつのパルス継続時間とは、ONとOFFとの繰り返しからなるパルス電界における、ひとつのパルスの連続するON時間を意味する。
また、このときのOFF時間の好ましい下限は0.5μs、好ましい上限は1000μsであり、より好ましい上限は500μsである。
また、上記ガスを対向する電極間に供給する速度としては特に限定されず、プラズマの状態や処理条件等により適宜調整すればよいが、好ましい下限は1m/s、好ましい上限は50m/sである。1m/s未満であると、電流パスができやすく、放電が不安定になることがある。より好ましい下限は2m/s、より好ましい上限は20m/secである。
上記イオン交換基を有する充填剤粒子表面をプラズマ処理する方法としては、イオン交換基を有する充填剤粒子を電極間に置き、そのまま処理ガスとともに電圧を印加する直接法であってもよいし、電極間で発生したプラズマガスを電極間の外部に設置したイオン交換基を有する充填剤粒子に吹き付けるリモート法であってもよい。なかでも、容器型の電極内でイオン交換基を有する充填剤粒子を処理ガス注入により分散させ、そこに、プラズマを発生させる方法が、イオン交換基を有する充填剤粒子の表面を均一に処理することができることから好適である。
上記電極の形状としては、特に限定されないが、電界集中によるアーク放電の発生を避けるために、対向電極間の距離が一定になる構造であることが好ましく、例えば、平行平板型、円筒対向平板型、球対向平板型、双曲対向平板型、同軸円筒型構造等が挙げられる。上記電極間の距離は、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して適宜決定されるが、1〜50mmであることが好ましい。1mm未満では、電極間の間隔を置いて設置するのに充分でないことがある。50mmを超えると、均一なプラズマを発生させにくい。
また、上記電極の対向面は固体誘電体で被覆されていることが好ましい。この場合、固体誘電体と電極とが密着し、かつ、接する電極の対向面を完全に覆うようにすることが好ましい。固体誘電体によって覆われずに電極同士が直接対向する部位があると、そこから異常放電が生じて高密度プラズマ状態を保持しにくくなることがある。
上記条件下で実施される常圧プラズマ処理の処理時間の好ましい下限は1秒間、好ましい上限は1200秒間である。1秒未満であると、充填剤粒子表面のアミノ基導入量が少なく、タンパク質等の非特異吸着を充分に防止できないことがあり、1200秒を超えると、充填剤粒子が劣化してその強度が不充分となることがある。より好ましい下限は10秒間、より好ましい上限は600秒間である。
本発明のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤は、プラズマ処理が施された表面部分のみが親水化されていることから、水系媒体中でも膨潤したり収縮したりすることがなく、また、タンパク質等が非特異吸着することもないことから極めて正確な測定を行うことができる。また、長期間にわたってこのような性能を維持することができ、長期間の使用後でも保持時間や測定値のバラツキが少ない。更に、ロット間差による保持時間や測定値のバラツキも極めて少ない。
本発明のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたものであるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤もまた、本発明の1つである。
本発明のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤は、とりわけ糖化ヘモグロビンの分析に好適に用いることができる。
本発明のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたものである糖化ヘモグロビン分析用イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤もまた、本発明の1つである。
本発明の糖化ヘモグロビン分析用イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いる糖化ヘモグロビンの分析方法もまた、本発明の1つである。
本発明によれば、膨潤や収縮を生じることなく親水性を高めてタンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができ、更にこれらの性能を長期間にわたって維持することができるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)イオン交換基を有する充填剤粒子の調製
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸200g、ジエチレングリコールジメタクリレート400g、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン80g、及び、ベンゾイルパーオキサイド1.5gを混合し、2.5Lの4重量%ポリビニルアルコール水溶液に分散させた。これを窒素雰囲気下で撹拌しながら昇温し、80℃で8時間重合した後、洗浄・分級して、スルホン酸基を有する充填剤粒子を得た。
得られた充填剤粒子についてレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したところ、平均粒子径は8μm、CV値は14%であった。
(2)常圧プラズマ処理
得られた充填剤粒子10gを常圧プラズマ処理装置(積水化学工業社製)を用いて、アルゴンガス:アンモニアガスを90:10の割合で混合したガスを装置内が10.100×10Paになるまで導入し、電極間に電圧14.0kV、周波数6.0kHzのパルス電界を印加してグロー放電プラズマを発生させ、300秒間プラズマ処理を行った。
(比較例1)
実施例1で調製したスルホン酸基を有する充填剤粒子を、常温プラズマ処理を行わずにそのままイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤とした。
(比較例2)
実施例1で調製したスルホン酸基を有する充填剤粒子20gにリン酸緩衝液(pH5.7)に溶解させた0.2重量%ウシ血清アルブミン(BSA)200mLを加え、2分間超音波処理し、80℃の恒温水槽中で24時間ゆるやかに撹拌したのち、恒温水槽から取り出し、室温になるまで放置した。その後、遠心分離にて上清を除去し、リン酸緩衝液(pH8.5)を200mL添加し、再度遠心分離により上清を除去した。次いで、リン酸緩衝液(pH5.7)を200mL添加し、再々度遠心分離にて上清を除去し、物理吸着によるBSAが固定されたイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を得た。
(評価)
実施例1及び比較例1、2で得られたイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤について以下の評価を行った。
(1)ヘモグロビンA1c測定における初期測定値の評価
実施例1及び比較例1で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を液体クロマトグラフィーシステムのカラムに充填した。一方、グリコHbコントロールレベル2(国際試薬社製、参考数値10.4±0.5%)を200μLの注射用水で溶解した後、希釈液(0.1%トリトンX−100を含有するリン酸緩衝液(pH7.0))で100倍に希釈したものを調製し、測定試料とした。
得られたカラムを用いて、下記の条件により測定試料中のヘモグロビンA1c量及び非糖化ヘモグロビン量を測定し、ヘモグロビンA1cと非糖化ヘモグロビンとの合計に対するヘモグロビンA1cの割合(ヘモグロビンA1c値(%))を求めた。測定は10検体連続で行い、その後半5検体の平均値を測定値とした。
結果を表1に示した。
システム:送液ポンプ LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラー ASU―420(積水化学工業社製)
検出器 SPD−6AV(島津製作所社製)
溶離液:第1液 170mMリン酸緩衝液(pH5.7)
第2液 300mMリン酸緩衝液(pH8.5)
溶出法:0〜3分は第1液を、3〜3.2分は第2液を、3.2〜4分は第1液にて溶出
流速:1.0mL/分
検出波長:415nm
資料注入量:10μL
Figure 2006088073
表1より実施例1で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いた場合には、極めて正確な測定ができたのに対して、比較例1で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤も用いた場合には、想定される値よりもかなり低いヘモグロビンA1c値(%)が得られた。これは、比較例1のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いた場合には、タンパク質等の非特異吸着が起こっているためと考えられる。
(2)ヘモグロビンA1c測定における測定値変動の評価(耐久性評価)
実施例1及び比較例2で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を液体クロマトグラフィーシステムのカラムに充填した。一方、グリコHbコントロールレベル2(国際試薬社製、参考数値10.4±0.5%)を200μLの注射用水で溶解した後、希釈液(0.1%トリトンX−100を含有するリン酸緩衝液(pH7.0))で100倍
に希釈したものを調製し、測定試料とした。また、負荷試料として、健常人血をNaF採血し、溶血希釈液(0.1重量%トリトンX−100を含有するリン酸緩衝液(pH7.0))で溶血し、150倍に希釈したものを用いて、1日に300検体を測定した。
各負荷検体数測定した後のカラムを用いて、下記の条件により測定試料中のヘモグロビンA1c量及び非糖化ヘモグロビン量を測定し、ヘモグロビンA1cと非糖化ヘモグロビンとの合計に対するヘモグロビンA1cの割合(ヘモグロビンA1c値(%))を求めた。測定は10検体連続で行い、その平均値を測定値とした。また、ヘモグロビンA1cの保持時間も測定した。
結果を表2に示した。
システム:送液ポンプ LC−9A(島津製作所社製)
オートサンプラー ASU―420(積水化学工業社製)
検出器 SPD−6AV(島津製作所社製)
溶離液:第1液 170mMリン酸緩衝液(pH5.7)
第2液 300mMリン酸緩衝液(pH8.5)
溶出法:0〜3分は第1液を、3〜3.2分は第2液を、3.2〜4分は第1液にて溶出
流速:1.0mL/分
検出波長:415nm
試料注入量:10μL
Figure 2006088073
表2より、実施例1で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いた場合には、4500検体の負荷試験を行ったあとでも、ほとんどヘモグロビンA1cの保持時間に変化がなく、正確なヘモグロビンA1c値(%)が可能であることが判った。一方、
比較例2で作製したイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いた場合には、負荷検体数が増えるに従ってヘモグロビンA1cの保持時間が変化する傾向があり、得られたヘモグロビンA1c値(%)も、実施例1の場合に比べてバラツキが大きいものであった。
本発明によれば、膨潤や収縮を生じることなく親水性を高めてタンパク質等の非特異吸着を効果的に抑制することができ、更にこれらの性能を長期間にわたって維持することができるイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法を提供することができる。

Claims (7)

  1. イオン交換基を有する充填剤粒子表面をプラズマ処理することにより親水化することを特徴とするイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
  2. プラズマ処理は、常圧プラズマ処理であることを特徴とする請求項1記載のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
  3. 処理ガスとしてアンモニアガスを用いることを特徴とする請求項1又は2記載のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
  4. イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法。
  5. 請求項1、2、3又は4記載のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたものであることを特徴とするイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤。
  6. 請求項1、2、3又は4記載のイオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤の製造方法により製造されたものであることを特徴とする糖化ヘモグロビン分析用イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤。
  7. 請求項6記載の糖化ヘモグロビン分析用イオン交換液体クロマトグラフィー用充填剤を用いることを特徴とする糖化ヘモグロビンの分析方法。
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