JP2006087429A - 核酸の分離精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】核酸を含む試料溶液、核酸を固相に吸着させるための溶液及び回収溶液をそれぞれ用いて、固相に核酸を吸着させ次いで脱着させる工程を含む、核酸分離精製方法において、該核酸を含む試料溶液として、動物組織に組織溶解液を加える工程により得られた試料溶液を用い、且つ固相として多糖構造を有する有機高分子からなる固相を使用する核酸分離精製方法。
【選択図】 なし
Description
すなわち、
1.
(1)固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2)上記、固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相に接触させて該固相に核酸を吸着させる工程、
(3)洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄する工程、及び(4)回収液を該固相に接触させて、該固相から核酸を脱着させる工程、
を有する核酸分離精製方法において、
上記固相に核酸を吸着させるための溶液が、動物組織に組織溶解液を加えて得られた核酸を含む試料溶液に、さらに前処理液を加えて得られた溶液であり、
上記固相が多糖構造を有する有機高分子からなる固相であることを特徴とする核酸分離精製方法。
2.
(1)固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2)上記、固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相に接触させて該固相に核酸を吸着させる工程、
(3)洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄する工程、及び(4)回収液を該固相に接触させて、該固相から核酸を脱着させる工程、
を有する核酸分離精製方法において、
上記固相に核酸を吸着させるための溶液が、動物組織に前処理液とタンパク質分解酵素を加えて得られた溶液であり、
上記固相が多糖構造を有する有機高分子からなる固相であることを特徴とする核酸分離精製方法。
3.
組織溶解液が、界面活性剤、緩衝剤、核酸安定化剤、アルカリ金属のハロゲン化物、カオトロピック塩、タンパク質分解酵素及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液である、前記1に記載の核酸分離精製方法。
4.
前処理液が、消泡剤、核酸安定化剤、カオトロピック塩、界面活性剤及び緩衝剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液である、前記1〜3のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
5.
界面活性剤がノニオン界面活性剤である、前記3または4に記載の核酸分離精製方法。6.
ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレン系界面活性剤である、前記5に記載の核酸分離精製方法。
7.
ポリオキシエチレン系界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン系界面活性剤である、前記6に記載の核酸分離精製方法。
8.
緩衝剤がBisTris(Bis(2−hydoroxyethyl)iminotr
is(hydroxymethyl)methane)である、前記3〜7のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
9.
多糖構造を有する有機高分子が、アセチルセルロースである、前記1〜8のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
10.
多糖構造を有する有機高分子が、アセチルセルロース又はアセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物を、鹸化処理した有機高分子である、前記1〜8のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
11.
鹸化処理した後の、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物の鹸化率が5%以上である、前記10に記載の核酸分離精製方法。
12.
鹸化処理した後の、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物の鹸化率が10%以上である、前記10に記載の核酸分離精製方法。
13.
多糖構造を有する有機高分子が、再生セルロースである、前記1〜8のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
14.
固相が多孔性膜である、前記1〜13のいずれかに記載の方法。
15.
多孔性膜が表裏非対称性の多孔性膜である、前記14に記載の方法。
16.
多孔性膜が平均孔径0.1〜10.0μmの多孔性膜である、前記14又は15に記載の方法。
17.
多孔性膜が厚さ10〜500μmの多孔性膜である、前記14〜16のいずれかに記載の方法。
18.
固相に核酸を吸着させるための溶液が、さらに水溶性有機溶媒を添加して得られる、前記1〜17のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
19.
水溶性有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールから選ばれる少なくとも一つを含む、前記18に記載の核酸分離精製方法。
20.
動物組織に組織溶解液を加えて得られた試料溶液から、さらに未溶解の残渣組織成分を取り除く工程を含む、前記1〜19のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
21.
動物組織に組織溶解液を加えて得られた試料溶液に、さらにRNA分解酵素溶液を添加する工程を含む、前記1〜20のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
22.
少なくとも2つの開口を有する容器内に固相を収容した核酸分離精製ユニットを用いて核酸の吸着及び脱着を行う、前記1〜21のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
23.
(a)固相、
(b)該固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器、及び
(c)該容器の一の開口に結合された圧力差発生装置、
を含む核酸分離精製ユニットを用いて核酸の吸着及び脱着を行う前記1〜22のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
24.
圧力差発生装置が加圧の装置である前記23に記載の核酸分離精製方法。
25.
圧力差発生装置が減圧の装置である前記23に記載の核酸分離精製方法。
26.
圧力差発生装置が、容器の一の開口に着脱可能に結合されている前記23〜25の何れかに記載の核酸分離精製方法。
27.
以下の工程を含む前記23又は24に記載の核酸分離精製方法。
(1a)動物組織に組織溶解液を加えて処理することで組織を溶解し、核酸を含む試料溶液を調製する工程、
(1b)上記核酸を含む試料溶液に前処理液を加えて、固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2a)上記固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器の一の開口に注入する工程、
(2b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した固相に核酸を吸着させるための溶液を他の開口より排出することにより、該溶液を容器内の固相に接触させて核酸を該固相に吸着させる工程、
(3a)前記一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に洗浄液を注入する工程、(3b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した洗浄液を上記他の開口より排出することにより、洗浄液を容器内の固相に接触させて固相を洗浄する工程、
(4a)前記一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に回収液を注入する工程、(4b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した回収液を前記他の開口より排出させることにより、回収液を容器内の固相に接触させて固相に吸着された核酸を脱着させ、容器外に排出する工程。
28.
上記(4a)の工程の前に、
(3c)固相にDNA分解酵素溶液を接触させた後、洗浄液を用いて固相を洗浄する工程、
を行うことを含む、前記27に記載の核酸分離精製方法。
29.
洗浄液が、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びn−プロパノールから選ばれる少なくとも一つを20〜100質量%含む溶液である、前記1〜28のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
30.
回収液が塩濃度0.5mol/L以下の溶液である、前記1〜29に記載の核酸分離精製方法。
31.
(i)核酸分離精製ユニットと、(ii)組織溶解液またはタンパク質分解酵素、(iii)前処理液、(iv)洗浄液、および(v)回収液の試薬とを含む前記1〜30の何れかに記載された方法を行うための試薬キット。
32.
前記1〜31の何れかに記載された方法を行うための装置。
本発明の核酸分離精製方法は、
(1)固相に核酸を吸着させるための溶液(以下、「核酸吸着用溶液」とも称する)を調製する工程(以下、「溶液調製工程」とも称する)、
(2)上記、固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)を固相に接触させて、該固相に核酸を吸着させる工程(以下、「吸着工程」とも称する)、
(3)洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄する工程(以下、「洗浄工程」とも称する)、及び
(4)回収液を該固相に接触させて、該固相から核酸を脱着させる工程(以下、「回収工程」とも称する)、
を少なくとも含むものである。
すなわち、本発明では、動物組織から調製した核酸を含む試料溶液に前処理液を加えて、固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)としたのち、この核酸吸着用溶液を固相に接触させることにより、試料溶液中の核酸を固相に吸着させ、洗浄液により洗浄し、次いで、固相に吸着させた核酸を、回収液を用いて固相から脱着させる。好ましくは、動物組織から調製した核酸を含む試料溶液は、動物組織に界面活性剤、緩衝剤、核酸安定化剤、アルカリ金属のハロゲン化物タンパク質分解酵素及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む組織溶解液を加える工程で得られる。また、核酸吸着用溶液は、得られた核酸を含む試料溶液に、消泡剤、核酸安定化剤、カオトロピック塩、界面活性剤及び緩衝剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む前処理液を添加した溶液であることが好ましい。
〔核酸を含む試料溶液〕
試料溶液における「試料」とは、核酸を含む任意の動物組織から得られる試料を意味する。試料中の核酸の種類は1種類でも2種類以上の複数でもよい。個々の核酸の長さも特に限定されず、例えば、数bp〜数Mbpの任意の長さの核酸を使用することができる。取り扱い上の観点からは、核酸の長さは一般的には、数bp〜数百kbp程度である。
本発明において使用できる動物組織に制限はないが、腎臓、肝臓、膵臓、心臓、肺、脳などの動物の臓器及びその一部、あるいは動物の尾、耳などの体の一部が対象となる。
また、組織から分離された細胞や、動物それ自体や組織から得られる液体・固体成分も対象にできる。培養された細胞、自立増殖できる細胞、細胞内で増殖できる粒子も対象にできる。また、動物組織を擦って採取した物も対象にできる。
採取した試料は、そのまま使用しても、凍結して使用しても良い。また、凍結保存された物でも良く、そのままでも解凍して使用しても良い。さらには、保存溶液に保存された物、薄片状に保存された物、樹脂などに包埋された物なども使用できる。試料は後述する組織溶解液を保存溶液として用いて保存しても良い。
を変更したりすることができ、また組織溶解液に浸して静置しておくこともできる。さらに別の方法として、組織を物理的な手段、例えばミルやホモジナイザーなどを利用して動物組織を断片化する工程を利用することもできる。
組織溶解液は目安として0.1mg〜200mg組織当たり、1〜2000μl使用でき、組織の状態により前記範囲より増減できる。また、組織から分離された液体の場合1μl〜2ml当たり、1〜2000μl使用でき、液体の状態により前記範囲より増減できる。細胞や粒子の場合10個〜1x108個当たり、1〜2000μl使用でき、細胞や粒子の状態により前記範囲より増減できる。
そのpHは、4〜12の範囲で使用でき、好ましくは6〜11、より好ましくは7.5〜9.5で用いる事ができる。これらの増減範囲は、抽出操作に適した体積で増減できる。
組織溶解液の組成は[組織溶解液及び前処理液の組成]において後述する。
酵素溶液には、緩衝剤を含有して良く、また1価または2価のアルカリ金属塩を含有しても良く、該アルカリ金属は1価のものと2価のものを組み合わせて用いてもよく、グリセロールなどの多価アルコール類を含有しても良い。
例えば、10〜100mg/mlのRNaseを組織溶解液200μl当たり0.1〜100μl添加する事ができ、試料の状態により前記範囲より増減できる。好ましくは、100mg/mlのRNaseを組織溶解液200μl当たり1〜50μl加えることができる。
これら酵素は、天然物でもよく、また、組換え体でも良く、複数混合して用いても良い。
上記の動物組織に組織溶解液を加える工程で得られた試料溶液は、その溶液中の核酸を可溶化するために前処理液で処理される。これにより、さらに細胞膜及び核膜が溶解されて、核酸が試料溶液中に分散して、核酸吸着用溶液となる。
前処理液は目安として、溶解した組織に対し溶解するとき使用した質量0.1mg〜200mg当たり、1〜2000μl使用でき、溶解した組織の量により前記範囲より増減できる。また、組織から分離された液体の場合1μl〜2ml当たり、1〜2000μl使用でき、液体の状態により前記範囲より増減できる。細胞や粒子の場合10個〜1x108個当たり、1〜2000μl使用でき、細胞や粒子の状態により前記範囲より増減できる。これらの増減範囲は、抽出操作に適した体積で増減できる。
そのpHは、3〜12の範囲で使用でき、好ましくは4〜8、より好ましくは5〜7で用いる事ができる。
前記の動物組織に組織溶解液を加える工程で得られた試料溶液と前処理液とを混合する場合、攪拌装置により30〜3000rpmで1秒から30分攪拌することができる。また、転倒混和を1回〜30回行う事もできる。また、ピペッティング操作を1回〜50回行う事ができる。また、タッピング操作を1回〜50回行うことができる。混合の方法は、これらのうち1つを行なってもよく、また、これらを併用してもよい。良く混合することが好ましい。
混合の後に、加温してもよい。例えば、30℃〜95℃に1分〜60分加温しても良い。好ましくは50℃〜75℃に1分〜15分加温することができる。
本発明で用いられる前記組織溶解液は、界面活性剤、緩衝剤、核酸安定化剤、アルカリ金属のハロゲン化物、カオトロピック塩、タンパク質分解酵素及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液であることが好ましい。また上記前処理液は、消泡剤、核酸安定化剤、カオトロピック塩、界面活性剤及び緩衝剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液であることが好ましい。
本発明で用いる界面活性剤の具体例としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、アニオン界面活性剤及びノニオン界面活性剤が好ましく用いられる。
アニオン界面活性剤の場合は、前処理液中に、0.01〜50質量%となるように加える事ができる。好ましくは0.1〜20質量%の範囲で選択できる。作用濃度として0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
ノニオン界面活性剤の場合は、前処理液中に、0.01〜50質量%となるように加える事ができる。好ましくは0.1〜20質量%の範囲で選択できる。作用濃度として0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
また組み合わせて使用する場合にも好ましくは、アニオン界面活性剤が前処理液中に、0.1〜20質量%の範囲で、ノニオン界面活性剤が前処理液中に、0.1〜20質量%の範囲で含まれる範囲で選択できる。アニオン界面活性剤の作用濃度として0.05〜10質量%の範囲が好ましい。ノニオン界面活性剤の作用濃度として0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
組織溶解液における界面活性剤の濃度は、組織を溶解して膜へ吸着させる時の界面活性剤の濃度で、0〜100質量%となる範囲で選択でき、0.1〜20質量%であることが好ましい。作用濃度として0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
アニオン界面活性剤の場合は、0.01〜50質量%となるように加える事ができる。好ましくは0.1〜20質量%の範囲で選択できる。作用濃度はとして0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
ノニオン界面活性剤の場合は、0.01〜50質量%となるように加える事ができる。好ましくは0.1〜20質量%の範囲で選択できる。作用濃度はとして0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
また組み合わせて使用する場合にも好ましくは、アニオン界面活性剤が前処理液中に、0.1〜20質量%の範囲で、ノニオン界面活性剤が前処理液中に、0.1〜20質量%の範囲で含まれる範囲で選択できる。アニオン界面活性剤の作用濃度はとして0.05〜10質量%の範囲が好ましい。ノニオン界面活性剤の作用濃度はとして0.05〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明で用いる緩衝剤の具体例としては、通常用いられるpH緩衝剤(buffer)を挙げることができる。好ましくは、生化学試験に通常用いられるpH緩衝剤が挙げられる。このような緩衝剤としては、クエン酸塩、リン酸塩又は酢酸塩からなる緩衝剤、Tris−HCl、TE(Tris-HCl/EDTA)、TBE(Tris-Borate/EDTA)、TAE(Tris-Acetate/EDTA)、グッド緩衝剤が挙げられる。グッド緩衝剤としては、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)、Bis−Tris{Bis(2-hydoroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane}、HEPES{2-[4-(2-Hydroxyethyl)-1-piperazinyl]ethanesulfonic asid}、PIPES{Piperaxine-1,4-bis(2-ethanesulfonic acid)}、ACES{N-(2-Acetamino)-2-aminoethanesulfonic acid}、CAPS{N-Cyclohexyl-3-aminopropane-sulfonic acid}、TES{N-Tris(hydroxymethyl)methyl-2-aminoethane-sulfonic acid}が挙げられる。
これらの緩衝剤は、前記組織溶解液及び前処理液中の濃度は1〜300mmol/Lであることが好ましい。より好ましくは、20〜150mmol/Lの範囲で選択できる。
本発明で用いる核酸安定化剤の具体例としては、ヌクレアーゼの活性を不活性化させる作用を有するものが挙げられる。動物組織によっては、核酸を分解するヌクレアーゼ等が含まれていることがあり、核酸をホモジナイズするとこのヌクレアーゼが核酸に作用し、収量が激減することがある。前記核酸安定化剤は、動物組織中の核酸を安定に存在させることができ、好ましい。
核酸安定化剤は、前記組織溶解液及び前処理液における濃度は0.1〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは、0.3〜15質量%で、用いることができる。
l/Lの作用濃度範囲で用いることができる。好ましくは組織溶解液に含有させることにより、内因性のヌクレアーゼ活性の不活化に作用させることができる。またキレート剤の前記組織溶解液及び前処理液における濃度は、1〜1000mmol/Lであることが好ましく、より好ましくは5〜100mmol/Lである。
本発明で用いるアルカリ金属のハロゲン化物の具体例としては、ナトリウム、カリウム、リチウムのハロゲン化物、好ましくは塩化物である。アルカリ金属のハロゲン化物は、前記組織溶解液における濃度は1〜200mMで、用いることができる。
本発明で用いるタンパク質分解酵素の具体例としては、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、金属プロテアーゼが挙げられ、少なくとも1つのタンパク質分解酵素を好ましく用いることができる。また、タンパク質分解酵素は、複数種以上のタンパク質分解酵素の混合物も好ましく用いることができる。
セリンプロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばプロテアーゼKなどを好ましく用いることができる。システインプロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばパパイン、カテプシン類などを好ましく用いることができる。金属プロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばカルボキシペプチターゼ等を好ましく用いることができる。
本発明で用いる消泡剤の具体例としては、シリコン系消泡剤(例えば、シリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン、シリコーンエマルジョン、変性ポリシロキサン、シリコーンコンパウンドなど)、アルコール系消泡剤(例えば、アセチレングリコール、ヘプタノール、2−エチルヘキサノール、高級アルコール、ポリオキシアルキレングリコールなど)、エーテル系消泡剤(例えば、ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ−3−ヘプチルソルビトールなど)、油脂系消泡剤(例えば、動植物油など)、脂肪酸系消泡剤(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸など)、金属セッケン系消泡剤(例えば、ステアリン酸アルミ、ステアリン酸カルシウムなど)、脂肪酸エステル系消泡剤(例えば、天然ワックス、トリブチルホスフェートなど)、リン酸エステル系消泡剤(例えば、オクチルリン酸ナトリウムなど)、アミン系消泡剤(例えば、ジアミルアミンなど)、アミド
系消泡剤(例えば、ステアリン酸アミドなど)、その他の消泡剤(例えば、硫酸第二鉄、ボーキサイトなど)などが挙げられる。好ましくは、シリコン系消泡剤、アルコール系消泡剤である。これらの消泡剤は、単独または組み合わせて用いてもよい。特に好ましくは、消泡剤として、シリコン系消泡剤とアルコール系消泡剤の2つの成分を組み合わせて使用することである。また、アルコール系消泡剤としては、アセチレングリコール系界消泡剤を使用することが好ましい。
消泡剤は、組織溶解液及び/又は前処理液中における濃度は、0〜10質量%の範囲で選択できる。核酸吸着用溶液中における濃度は、0.1〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量%である。
本発明で用いるカオトロピック塩の具体例としては、グアニジン塩、イソチアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等を使用することができる。中でもグアニジン塩が好ましい。グアニジン塩としては、塩酸グアニジン、イソチオシアン酸グアニジン、チオシアン酸グアニジンが挙げられ、中でも塩酸グアニジンが好ましい。これらの塩は単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。前記の組織溶解液や前処理液、そして本発明の核酸の分離精製方法によって得られた核酸精製液中のカオトロピック塩濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜4mol/L、さらに好ましくは、1〜3mol/Lである。
カオトロピック塩の代わりに、カオトロピック物質として尿素を用いることもできる。尿素は0〜10mol/Lの範囲で選択して良い。
このような水溶性有機溶媒としては、アルコール類、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。これらの中でも、アルコール類が好ましい。アルコール類としては、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコールのいずれでもよい。中でもメタノール、エタノール、プロパノール及びその異性体、ブタノール及びその異性体を好ましく用いることができる。エタノールがさらに好ましい。これらの水溶性有機溶媒
は単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
水溶性有機溶媒は、目安として、溶解した組織に対し溶解するとき使用した質量0.1mg〜200mg当たり、1〜2000μl使用でき、溶解した組織の量により前記範囲より増減できる。また、組織から分離された液体の場合1μl〜2ml当たり、1〜2000μl使用でき、液体の状態により前記範囲より増減できる。細胞や粒子の場合10個〜1x108個当たり、1〜2000μl使用でき、細胞や粒子の状態により前記範囲より増減できる。これらの増減範囲は、抽出操作に適した体積で増減できる。
水溶性有機溶媒は、前記したように前処理液を加えた後に単独で水溶性有機溶媒を加えてもよく、また前記処理液と混合してから動物組織に組織溶解液を加える工程で得られた試料溶液に加えても良い。さらには、また前記処理液と混合してから動物組織に組織溶解液を加える工程で得られた試料溶液に加え、その後でさらに水溶性有機溶媒を単独で加えても良い。
水溶性有機溶媒を添加した後に混合する場合、攪拌装置により30〜3000rpmで1秒から30分攪拌することができる。また、転倒混和を1回〜30回行う事もできる。また、ピペッティング操作を1回〜50回行う事ができる。また、タッピング操作を1回〜50回行うことができる。これらのうち1つを行なってもよく、また、これらを併用してもよい。良く混合することが好ましい。
核酸吸着用溶液中に存在することが好ましい塩としては、各種カオトロピック物質(グアニジウム塩、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム)や塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム等が挙げられ、特にグアニジウム塩が、細胞膜の溶解と核酸の可溶化の効果を併有するので特に好ましい。
温度は、5℃〜50℃でよく、好ましくは10℃〜40℃、より好ましくは15℃〜35℃の範囲から選択できる。
次ぎに、液中に核酸が可溶化し分散している、固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)を固相に接触させ、該固相に核酸を吸着させる。
本発明方法においては、多糖構造を有する有機高分子からなる固相が用いられる。多糖構造を有する有機高分子は、イオン結合が実質的に関与しない相互作用で核酸を吸着することができる。「イオン結合が実質的に関与しない」とは、固相側の使用条件で「イオン化」していないことを意味し、環境の極性を変化させることで、核酸と固相が引き合うよ
うになると推定される。これにより分離性能に優れ、しかも洗浄効率よく、核酸を単離精製することができる。多糖構造を有する有機高分子は、親水基を有するため、環境の極性を変化させることで、核酸と固相の親水基同士が引きあうようになると推定される。
多糖構造を有する有機高分子としては、セルロース、ヘミセルロース、デキストラン、アガロース、デキストリン、アミロース、アミロペクチン、デンプン、グリコーゲン、プルラン、マンナン、グルコマンナン、リケナン、イソリケナン、ラミナラン、カラギーナン、キシラン、フルクタン、アルギン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン、キチン、キトサン等を好ましく用いることができる。これらの多糖構造の誘導体を用いてもよい。例えば、多糖構造の水酸基が任意の置換度で、エステル化したもの、エーテル化したもの、ハロゲン化したものが挙げられる。多糖構造及びその誘導体の少なくともいずれかであれば前記に挙げた材料に限定されることなく用いることができる。これらの誘導体は、従来公知の方法で製造することができる。これらの誘導体は、従来公知の方法で製造することができる。特にエステル誘導体を好ましく用いることができる。また、エステル誘導体の鹸化物も好適なものとして挙げられる。
には、これらの芳香族カルボニル基から選ばれる少なくとも一つを有することが好ましい。また、これら芳香族カルボニルエステルの鹸化物も好適なものとして挙げられる。
鹸化率は、NMRにより、容易に測定することができる(例えば、カルボニル基のピーク減少の程度で定めることができる)。
本発明における固相は、溶液が固相内部を通過可能なフィルター又は膜状の形態で使用することが好ましい。この場合、固相の厚さは10μm〜500μm、さらには50μm〜250μmであることが好ましい。この範囲内にあることが、洗浄性の観点から好ましい。またこのような溶液が内部を通過可能な固相(以下、「溶液貫流性固相」とも称する)は、多孔性膜であることが好ましい。多孔性膜の孔の平均孔径は0.1μm〜10μm、さらには1μm〜5μmであることが好ましい。この範囲内にあれば、核酸が吸着するのに十分な表面積が得られると共に、目詰まりもし難いので好ましい。このような固相の平均孔径は、バブルポイント法(ASTM F316−86、JIS K−3832に準拠)を用いて測定することができる。
膜の物理的性質の例としては、平均孔径が挙げられる。また膜の化学的性質としては鹸化度が挙げられる。
平均孔径が表裏非対称性の多孔性膜を本発明で使用する場合は、液の通過する方向に平均孔径が、大→小に変化するようにするのが好ましい。ここで、最大孔径と最小孔径の比が2以上である多孔性膜を用いることが好ましい。さらに好ましくは、最大孔径と最小孔径の比が5以上である。これにより、核酸が吸着するのに十分な表面積が得られるとともに、目詰まりし難い。
空隙率:50〜95%、さらには65〜80%。
バブルポイント:0.1〜10kgf/cm2、さらには0.2〜4kgf/cm2。
圧力損失:0.1〜100kPa、さらには0.5〜50kPa。この範囲内にあることで、過圧時に均一な圧力が得られるので好ましい。ここで、圧力損失とは、膜の厚さ100μm当たりの、水を通過させるのに必要な最低圧力である。
25℃で1kg/cm2の圧力で水を通過させたときの透水量(膜1cm2当たり1分間で):1〜5000mL、さらには5〜1000mL。
多孔性膜1mgあたりの核酸の吸着量:0.1μg以上、さらには0.9μg以上。
以下、洗浄工程について説明する。
以上のようにして核酸を固相に吸着させた後、洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄することにより、核酸の回収量及び純度が向上し、必要な核酸を含む動物組織の量を微量とすることができる。また、洗浄工程や後述する回収工程を自動化することによって、操作が簡便かつ迅速に行うことが可能になるので好ましい。洗浄工程は、迅速化のためには1回の洗浄で済ませてもよく、また純度がより重要な場合には複数回洗浄を繰返すことが好ましい。
洗浄液は、水溶性有機溶媒及び/又は水溶性塩を含んでいる溶液であることが好ましい。また必要に応じて緩衝剤、界面活性剤を含んでいてもよい。洗浄液は、固相に核酸と共に吸着した核酸吸着用溶液中の不純物を洗い流す機能を有する必要がある。そのためには、固相から核酸は脱着させないが不純物は脱着させる組成であることが必要である。この目的には、核酸がアルコール等の水溶性有機溶媒に難溶性であるので、核酸を保持したまま核酸以外の成分を脱着させるのに適している。また、水溶性塩を添加することにより、核酸の吸着効果が高まるので、不純物及び不要成分の選択的除去作用が向上するので好ましい。
洗浄液に含まれる水溶性有機溶媒としては、アルコール、アセトンなどを用いることができ、アルコールが好ましい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールが挙げられる。プロパノールとしては、イソプロパノール、n−プロパノールのいずれでもよく、ブタノールも直鎖状でも分岐状でもよい。これらアルコールは、複数種類を使用することもできる。この中でも、エタノールを用いることが好ましい。洗浄液中に含まれる水溶性有機溶媒の量は、20〜100質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
一方、洗浄液に含まれる水溶性塩は、ハロゲン化物の塩であることが好ましく、中でも塩化物がより好ましい。また、水溶性塩は、一価又は二価のカチオンであることが好ましく、特にアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が好ましく、中でもナトリウム塩、カリウム塩およびリチウム塩が好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
洗浄液のpHは、3〜11の物でよく、好ましくは5〜10、より好ましくは6.5〜8.5のものから選択できる。
ニジン塩、イソチアン酸ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどである。
カオトロピック塩を含まないことで分光光度計の測定値260/230nmが、1.5より大きな値を示し、高純度な核酸を精製することができる。このことにより、精製した核酸を、PCRなどの分子生物学的実験を行うときに不都合を生じることなく高精度な実験を行うことができる。
一回に投入できる洗浄液は、核酸分離精製ユニットの容量範囲内で任意に選択できる。例えばカートリッジ容量が800μlで有れば、50〜800μlの範囲良い。好ましくは、400〜800μlにすることもできる。
洗浄液の総量は、カートリッジに投入した試料溶液の1/4量から10倍量を用いることができる。好ましくは、1/2量から4倍量の範囲から選択できる。
NAを分解することもできる。いずれの場合も、その後に洗浄液を用いて固相を洗浄し、RNA分解酵素又はDNA分解酵素を固相から除いておくことが望ましい。
次に、固相に吸着した核酸を脱着せしめるために、核酸を脱着せしめうる溶液である回収液を、洗浄後の固相に接触させる。固相と接触した後の回収液(以下、「精製後溶液」とも称する)には目的とする核酸が含まれているので、これを後に続く工程、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)による核酸の増幅に提供する。
回収液としては、好ましくは精製蒸留水、Trisバッファ、Tris/EDTAバッファ等が使用できる。回収液のpHは、pH2〜11であることが好ましい。さらには、pH5〜9であることが好ましい。また特にイオン強度と塩濃度は吸着核酸の溶出に効果を及ぼす。回収液は、塩濃度が0.5mol/L以下の溶液であることが好ましい。また回収液は、イオン強度が500mol/L以下、さらには290mmol/L以下、特には90mmol/L以下であることが好ましい。より好ましくは、20mmol/Lである。こうすることで、核酸の回収率が向上し、より多くの核酸を回収できることができる。
回収液の温度は、5℃〜90℃にする事ができる。好ましくは10℃〜50℃、より好ましくは15℃〜35℃にしても良い。
本発明の核酸分離精製方法は、少なくとも2つの開口を有する容器内に固相を収容した核酸分離精製ユニットを用いることが好ましい。以下、少なくとも2つの開口を有する容器内に固相を収容した核酸分離精製ユニットを核酸分離精製カートリッジともいう。
本発明の核酸分離精製方法に用いる核酸分離精製ユニットとして、さらには
(a)固相、
(b)該固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器、及び
(c)該容器の一の開口に結合された圧力差発生装置、
を含むことが好ましい。以下、核酸分離精製ユニットについて説明する。
くは減圧)及び加圧が可能なポンプ等が挙げられる。これらの内、手動操作には注射器が、自動操作にはポンプが適している。また、ピペッタは片手操作が容易にできるという利点を有する。好ましくは、圧力差発生装置は、前記容器の一の開口に着脱可能に結合されている。
次に、前記した核酸分離精製ユニットを使用した、核酸の精製方法について説明する。
(a)固相、
(b)該固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器、及び
(c)該容器の一の開口に結合された圧力差発生装置、
を含む核酸分離精製ユニットを用いて核酸の吸着及び脱着を行うことができる。
(1a)動物組織に組織溶解液を加えて処理することで組織を溶解し、核酸を含む試料溶液を調製する工程、
(1b)上記核酸を含む試料溶液に前処理液を加えて、固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)を調製する工程、
(2a’)上記固相に核酸吸着用溶液に核酸分離精製ユニットを構成する容器の一の開口を挿入する工程、
(2a”)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を減圧状態にし、固相に核酸吸着用溶液を吸引し、固相に接触させる工程、
(2b’)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を加圧状態にし、吸引されて容器内にある核酸吸着用溶液を容器外に排出することにより、再度該溶液を容器内の固相に接触させて核酸を該固相に吸着させる工程、
(3a’)上記容器の一の開口を洗浄液に挿入する工程、
(3a”)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を減圧状態にし、洗浄液を吸引して固相に接触させる工程、
(3b’)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を加圧状態にし、吸引されて容器内にある洗浄液を容器外に排出することにより、再度洗浄液を容器内の固相に接触させて固相を洗浄する工程、
(4a’)上記容器の一の開口を、回収液中に挿入する工程、
(4a”)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を減圧状態にし、回収液を吸引して固相に接触させる工程、及び
(4b’)上記容器の他の開口に結合された圧力差発生装置を用いて容器内を加圧状態にし、吸引されて容器内にある回収液を容器外に排出することにより、回収液を容器内の固相に接触させて固相に吸着された核酸を脱着させ、容器外に排出する工程。
装置を用いてユニットの容器内を加圧して、吸引した溶液を排出する。この操作までに間隔を開ける必要はなく、吸引後直ちに排出してもよい。
この部材と当該開口の間には、オーバーフローした核酸吸着用溶液等を溜めることができ、圧力差発生装置内に吸引されることを防ぐための空間を設けることが好ましい。この空間の大きさも当業者が適宜選択することができる。なお、核酸を効率よく集めるためには、固相の全体が浸る以上の量の核酸吸着用溶液を吸引することが好ましい。
(1a)動物組織に組織溶解液を加えて処理することで組織を溶解し、核酸を含む試料溶液を調製する工程、
(1b)上記核酸を含む試料溶液に前処理液を加えて、固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)を調製する工程、
(2a)上記核酸吸着用溶液を、核酸分離精製ユニットを構成する容器の一の開口に注入する工程、
(2b)上記容器の一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した核酸吸着用溶液を上記容器の他の開口より排出することにより、該溶液を容器内の固相に接触させて、核酸を該固相に吸着させる工程、
(3a)上記容器の一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に洗浄液を注入する工程、
(3b)上記容器の一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した洗浄液を上記容器の他の開口より排出することにより、洗浄液を容器内の固相に接触させて固相を洗浄する工程、
(4a)上記容器の一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に回収液を注入する工程、
(4b)上記容器の一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した回収液を上記容器の他の開口より排出させることにより、回収液を容器内の固相に接触させて固相に吸着された核酸を脱着させ、容器外に排出する工程。
きるので好ましい。あるいは、転倒混和の場合には5から30回行うことで混合することが好ましい。また、ピペッティング操作の場合には、10から50回行うことによって混合することが好ましい。
(3c)固相にDNA分解酵素溶液を接触させた後、洗浄液を用いて固相を洗浄する工程、を行うことで、DNAとRNAを含む核酸混合物溶液からRNAのみを選択的に分離精製することもできる。DNA分解酵素溶液としては、特に限定無く、公知のいずれのDNaseも用いることが出来る。
(1)核酸分離精製ユニット(核酸分離製カートリッジ)の作製
内径7mm、核酸吸着性の多孔性膜の固相を収容する部分を持つ少なくとも2個の開口を有する容器(核酸分離精製カートリッジ)を耐衝撃性ポリスチレンで作製した。
以下に示す処方の、動物組織からのDNA分離精製用の組織溶解液、前処理液、洗浄液及び回収液を調製した。
1mol/L Tris−HCL {和光純薬工業(株)製} 26g
塩化ナトリウム 3g
0.5mol/L EDTA {和光純薬工業(株)製} 140g
10質量%SDS{和光純薬工業(株)製} 160g
蒸留水 350g
pH8.2
グアニジン塩酸塩 {和光純薬工業(株)(株)製} 380g
Tween−20(ICN社製) 120g
アセチレングリコール(Air Products社製) 3g
シリコーンオイル{GE東芝シリコーン(株)製} 0.6g
BiS−Tris 15.5g
蒸留水 275g
pH6.0
1mol/L Tris塩酸 {和光純薬工業(株)製} 8g
塩化ナトリウム {和光純薬工業(株)製} 4.5g
エタノール {和光純薬工業(株)製} 360g
蒸留水 350g
pH7.6
1mol/L Tris塩酸{和光純薬工業(株)(株)製} 2.5g
蒸留水 250g
pH9.0
マウスの肺、腎臓、尾、肝臓をそれぞれ5mg用意した。これらの動物組織をそれぞれ、凍結後にハンマーで粉砕し小片とした。これらの動物組織の小片(5mg)を、それぞれヌクレアーゼフリーでかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れ、前記(3)で調製した組織溶解液180μLとタンパク質分解酵素のプロテアーゼK20mg/mL(SIGMA社製)溶液20μLを添加して攪拌し、55℃で12時間インキュベートすることで、動物組織を溶解した。遠心分離により未溶解の残渣組織を沈殿させ、その上澄みを別のヌクレアーゼフリーでかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れた。続いて、RNA分解酵素100mg/mL(RibonucleaseA:SIGMA社製)の10mmol/L Trisバッファ15mmol/L
NaCl溶液20μLを添加し、25℃で2分間インキュベートして、動物組織に組織溶解液を加える工程による試料溶液を得た。
上記(4)で得られたそれぞれの試料溶液に、前記(3)で調製した前処理液180μLを添加して攪拌し、70℃で10分間インキュベートした。続いて、エタノール240μLを加え、攪拌して固相に核酸を吸着させるための溶液(核酸吸着用溶液)を得た。
次ぎに上記(5)で得られた核酸吸着用溶液を、前記(2)で作製した多孔性膜の固相を有する核酸分離精製カートリッジの一の開口に注入し、続いて該一の開口に圧力差発生装置(チュウビングポンプ)を結合して、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した核酸吸着用溶液を、核酸吸着性の多孔性膜の固相の中を通過させることで、該多孔性膜の固相に接触させ、核酸分離精製カートリッジの他の開口より排出することにより、多孔性膜の固相に核酸吸着用溶液中の核酸を吸着させた。続いて、該核酸分離精製カートリッジの一の開口に、前記(3)で調製した洗浄液750μlを注入し、該一の開口にチュウビングポンプを結合して、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、多孔性膜の固相中を通過させ、他の開口より排出することにより、多孔性膜に吸着した核酸を洗浄した。3回この操作を実施した。続いて、該核酸分離精製カートリッジの一の開口に、前記(3)で調製した回収液200μlを注入し、該核酸分離精製カートリッジの一の開口にチュウビングポンプを結合して、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した回収液を、多孔性膜の固相中を通過させ、他の開口より排出することにより、多孔性膜に吸着した核酸を脱着させて核酸を含む液(精製後溶液)として回収した。この核酸分離精製操作(核酸を含む試料溶液を前記のカートリッジに注入してから回収するまで)は室温で行われ、この操作に要した時間は12分であった。
上記(5)で得られた核酸吸着用溶液を、ガラスフィルターを用いた遠心法(QIAGEN社DNeasyTissueKitカタログ#69504)により核酸分離精製を行い、核酸を含む液(精製後溶液)を回収した。
上記の実施例で回収した精製後溶液について、DNAのアガロースゲル電気泳動の結果を図1に示す。また、上記の実施例および比較例で回収した精製後溶液について、図2にパルスフィールド電気泳動の結果を示す。
さらに、この精製後溶液のUV測定から換算したDNAの収量、及び純度の指標としてのタンパク質の混入を示す260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)を表1に示す。さらにまた、実施例および比較例で回収した精製後溶液について、異物の混入を示す260nmと230nmの吸光度の比(A260/A230)を表2に示す。表1および表2のいずれも、数値が低い場合純度が低いと判定できる。
さらに、表1および表2の結果から明らかなように、本発明の方法を用いることにより、動物組織より核酸を極めて効率よく分離離精製できることが分かる。さらにまた、比較例としてガラスフィルターを用いた遠心カラム法に比べ、本発明の方法を用いた実施例は、明らかに230nmの異物の混入が少ない高純度なDNAを精製できることがわかる。
以上のように、本発明の方法により、分離性能に優れ、洗浄効率がよいために、前記した時間で迅速に、高収量でかつ高純度で核酸を得ることができた。
(1)核酸分離精製カートリッジの作製および(2)多孔性膜の収容
実施例1と同様に作成した。
(4)動物組織の溶解処理
マウスの肺、腎臓、尾、肝臓をそれぞれ5mg用意した。これらの動物組織をそれぞれ、凍結後にハンマーで粉砕し小片とした。これらの動物組織の小片(5mg)をそれぞれヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れ、QIAGEN社製ATL液180μLとタンパク質分解酵素のプロテアーゼK20mg/ml(QIAGEN社製)溶液20μLを添加して攪拌し、55℃で12時間インキュベートすることで、動物組織を溶解した。遠心分離により未溶解の残渣組織を沈殿させ、その上清を別のヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れた。続いて、RNA分解酵素100mg/ml(QIAGEN社製)の溶液を4μLを添加し、25℃で2分間インキュベ−トした。
上記(4)で得られたそれぞれの溶液に、QIAGEN社製AL液200μLを添加して攪拌し、70℃で10分間インキュベートした。続いて、エタノール200μlを加え、攪拌して核酸吸着用溶液を得た。
(6)核酸の分離精製操作
続いて上記(5)で得られた溶液をそれぞれ前記(2)で作成した多孔性膜の固相を有する核酸分離精製カートリッジの一の開口に注入し、続いて前記一の開口に圧力差発生装置(チュウビングポンプ)を結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した溶液を多孔性膜の固相を通過させることで、多孔性膜の固相に接触させ、核酸分離精製カートリッジの他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に、QIAGEN社製AW1液洗浄液を500μl注入し、前記一の開口にチュウビングポンプを結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に、QIAGEN社製AW2液洗浄液を500μl注入し、前記一の開口にチュウビングポンプを結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口にQIAGEN社製AE液回収液を200μl注入し、核酸分離精製カートリッジの前記一の開口にチュウビングポンプを結合して核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した回収液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出し、精製後溶液を回収した。この核酸分離精製操作(核酸を含む試料溶液を前記のカートリッジに注入してから回収するまで)に要した時間は12分であった。
上記の実施例2の(6)の操作で回収したそれぞれの精製後溶液について、UV測定から換算したDNAの収量、および純度の指標としてのタンパク質の混入を示す260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)を表3に、異物の混入を示す260nmと230nmの吸光度の比(A260/A230)を表4に示す。いずれも、数値が低い場合純度が低いと判定できる。
この実施例2でも核酸が抽出された。
(1)核酸分離精製カートリッジの作製および(2)多孔性膜の収容
実施例1と同様に作成した。
(3)組織溶解液、前処理液及び洗浄液の調製
実施例1と同様に調製した。
(4)動物組織の溶解処理
マウスの尾を5mg用意した。この動物組織の小片(5mg)をヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れ、上記(3)で調製した組織溶解液180μLとタンパク質分解酵素のプロテアーゼK20mg/ml(QIAGEN社製)溶液20μLを添加して攪拌し、55℃で12時間インキュベートすることで、動物組織を溶解した。遠心分離により未溶解の残渣組織を沈殿させ、その上清を別のヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーの1
.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器に入れた。
上記(2)で得られたそれぞれの溶液に、実施例1で作成した前処理液180μLとエタノール240μL混合した物を添加してボルテックスで15秒攪拌して核酸吸着用溶液を得た。
(6)核酸の分離精製操作
続いて上記(5)で得られた溶液を前記(2)で作成した多孔性膜の固相を有する核酸分離精製カートリッジの一の開口に注入し、続いて前記一の開口に圧力差発生装置(チュウビングポンプ)を結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した溶液を多孔性膜の固相に通過させることで、多孔性膜の固相に接触させ、核酸分離精製カートリッジの他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に、実施例1で作成した洗浄液を750μL注入し、前記一の開口にチュウビングポンプを結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出した。この操作を3回行った。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に実施例1で作成した回収液を200μL注入し、核酸分離精製カートリッジの前記一の開口にチュウビングポンプを結合して核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した回収液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出し、精製後溶液を回収した。この核酸分離精製操作(核酸を含む試料溶液を前記のカートリッジに注入してから回収するまで)に要した時間は10分であった。
上記の実施例3の(6)の操作で回収した精製後溶液について、UV測定から換算したDNAの収量、および純度の指標としてのタンパク質の混入を示す260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)を表5に、異物の混入を示す260nmと230nmの吸光度の比(A260/A230)を表6に示す。いずれも、数値が低い場合純度が低いと判定できる。
この実施例3では、実施例1同等の純度収量の核酸が回収された。
(1)核酸分離精製カートリッジの作製および(2)多孔性膜の収容
実施例1と同様に作成した。
(3)組織溶解液、前処理液及び洗浄液の調製
実施例1と同様に調製した。
(4)動物組織の溶解処理
実施例では口腔スワブを用いた。
綿棒にて口腔内を数回かきとった。ヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーの1.5mLマイクロチューブ{プラチナチューブ;BM機器(株)製}の容器にPBS(リン酸平衡緩衝液)200μLまたは組織溶解液200μLを分注しておき、かきとった綿棒を数回上下させることにより口腔内細胞を懸濁した。上記(3)で調製した前処理液200μLを添加して攪拌し、続いてタンパク質分解酵素のプロテアーゼK20mg/ml(SIGMA製)溶液10μLを添加して攪拌し、56℃で10分間インキュベートすることで、細胞を溶解した。
上記で得られた溶液に、エタノール200μLを加え、攪拌した。続いてこの溶液をそれぞれ前記(1)で作成した多孔性膜の固相を有する核酸分離精製カートリッジの一の開口に注入し、続いて前記一の開口に圧力差発生装置(チュウビングポンプ)を結合し、核酸分離精製カートリッジト内を加圧状態(80kpa)にし、注入した溶液を多孔性膜の固相に通過させることで、多孔性膜の固相に接触させ、核酸分離精製カートリッジの他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に、実施例1(3)で調整した洗浄液を注入し、前記一の開口にチュウビングポンプを結合し、核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出した。続いて、前記核酸分離精製カートリッジの前記一の開口に実施例1(3)で調整した回収液を注入し、核酸分離精製カートリッジの前記一の開口にチュウビングポンプを結合して核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した回収液を、多孔性膜の固相に通過させ、他の開口より排出し、精製後溶液を回収した。この核酸分離精製操作(核酸を含む試料溶液を前記のカートリッジに注入してから回収するまで)に要した時間は2分であった。
上記(5)で得られた核酸吸着用溶液を、一般的なガラスフィルターを用いた遠心法(QIAGEN社DNeasyTissueKitカタログ#69504)、磁気ビーズを用いた全自動抽出機(QIAGEN社EZ-1 DNA Tissue kitカタログ#953034,EZ-1 DNA
BuccalSwabCardカタログ#9015589)により核酸分離精製を行い、精製後溶液を回収した。
上記の実施例の(6)の操作で回収した精製後溶液について、DNAの電気泳動の結果を図3に示す。またそれぞれの精製後溶液のUV測定から換算したDNAの収量、および純度の指標として、異物の混入を示す260nmと230nmの吸光度の比(A260/A230)を表7に示す。いずれも、数値が低い場合純度が低いと判定できる。
2:実施例、腎臓。
3:実施例、尾。
4:実施例、肝臓。
1’:比較例、肺。
2’:比較例、腎臓。
3’:比較例、尾。
4’:比較例、肝臓。
M:分子量マーカー(1kbpラダー)。
M1:分子量マーカー(λ Hind III digest マーカー)。
M2:分子量マーカー(Mid Range PFG Marker II)。
M3:1kb Ladder
5:比較例:EZ−1
6:比較例:QIAスピンカラム、DNeasyTissueKit
7:実施例:PBS
8:実施例:組織溶解液
Claims (32)
- (1)固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2)上記、固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相に接触させて該固相に核酸を吸着させる工程、
(3)洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄する工程、及び(4)回収液を該固相に接触させて、該固相から核酸を脱着させる工程、
を有する核酸分離精製方法において、
上記固相に核酸を吸着させるための溶液が、動物組織に組織溶解液を加えて得られた核酸を含む試料溶液に、さらに前処理液を加えて得られた溶液であり、
上記固相が多糖構造を有する有機高分子からなる固相であることを特徴とする核酸分離精製方法。 - (1)固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2)上記、固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相に接触させて該固相に核酸を吸着させる工程、
(3)洗浄液を該固相に接触させて、核酸が吸着した状態で該固相を洗浄する工程、及び(4)回収液を該固相に接触させて、該固相から核酸を脱着させる工程、
を有する核酸分離精製方法において、
上記固相に核酸を吸着させるための溶液が、動物組織に前処理液とタンパク質分解酵素を加えて得られた溶液であり、
上記固相が多糖構造を有する有機高分子からなる固相であることを特徴とする核酸分離精製方法。 - 組織溶解液が、界面活性剤、緩衝剤、核酸安定化剤、アルカリ金属のハロゲン化物、カオトロピック塩、タンパク質分解酵素及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液である、請求項1に記載の核酸分離精製方法。
- 前処理液が、消泡剤、核酸安定化剤、カオトロピック塩、界面活性剤及び緩衝剤の中から選ばれる少なくとも一つを含む溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 界面活性剤がノニオン界面活性剤である、請求項3または4に記載の核酸分離精製方法。
- ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレン系界面活性剤である、請求項5に記載の核酸分離精製方法。
- ポリオキシエチレン系界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン系界面活性剤である、請求項6に記載の核酸分離精製方法。
- 緩衝剤がBisTris(Bis(2−hydoroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane)である、請求項3〜7のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 多糖構造を有する有機高分子が、アセチルセルロースである、請求項1〜8のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 多糖構造を有する有機高分子が、アセチルセルロース又はアセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物を、鹸化処理した有機高分子である、請求項1〜8のいずれかに記載
の核酸分離精製方法。 - 鹸化処理した後の、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物の鹸化率が5%以上である、請求項10に記載の核酸分離精製方法。
- 鹸化処理した後の、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物の鹸化率が10%以上である、請求項10に記載の核酸分離精製方法。
- 多糖構造を有する有機高分子が、再生セルロースである、請求項1〜8のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 固相が多孔性膜である、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 多孔性膜が表裏非対称性の多孔性膜である、請求項14に記載の方法。
- 多孔性膜が平均孔径0.1〜10.0μmの多孔性膜である、請求項14又は15に記載の方法。
- 多孔性膜が厚さ10〜500μmの多孔性膜である、請求項14〜16のいずれかに記載の方法。
- 固相に核酸を吸着させるための溶液が、さらに水溶性有機溶媒を添加して得られる、請求項1〜17のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 水溶性有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールから選ばれる少なくとも一つを含む、請求項18に記載の核酸分離精製方法。
- 動物組織に組織溶解液を加えて得られた試料溶液から、さらに未溶解の残渣組織成分を取り除く工程を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 動物組織に組織溶解液を加えて得られた試料溶液に、さらにRNA分解酵素溶液を添加する工程を含む、請求項1〜20のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 少なくとも2つの開口を有する容器内に固相を収容した核酸分離精製ユニットを用いて核酸の吸着及び脱着を行う、請求項1〜21のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- (a)固相、
(b)該固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器、及び
(c)該容器の一の開口に結合された圧力差発生装置、
を含む核酸分離精製ユニットを用いて核酸の吸着及び脱着を行う請求項1〜22のいずれかに記載の核酸分離精製方法。 - 圧力差発生装置が加圧の装置である請求項23に記載の核酸分離精製方法。
- 圧力差発生装置が減圧の装置である請求項23に記載の核酸分離精製方法。
- 圧力差発生装置が、容器の一の開口に着脱可能に結合されている請求項23〜25の何れかに記載の核酸分離精製方法。
- 以下の工程を含む請求項23又は24に記載の核酸分離精製方法。
(1a)動物組織に組織溶解液を加えて処理することで組織を溶解し、核酸を含む試料溶液を調製する工程、
(1b)上記核酸を含む試料溶液に前処理液を加えて、固相に核酸を吸着させるための溶液を調製する工程、
(2a)上記固相に核酸を吸着させるための溶液を、固相を収容する少なくとも2つの開口を有する容器の一の開口に注入する工程、
(2b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した固相に核酸を吸着させるための溶液を他の開口より排出することにより、該溶液を容器内の固相に接触させて核酸を該固相に吸着させる工程、
(3a)前記一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に洗浄液を注入する工程、(3b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した洗浄液を上記他の開口より排出することにより、洗浄液を容器内の固相に接触させて固相を洗浄する工程、
(4a)前記一の開口から圧力差発生装置を外し、該一の開口に回収液を注入する工程、(4b)上記一の開口に圧力差発生装置を結合して容器内を加圧状態にし、注入した回収液を前記他の開口より排出させることにより、回収液を容器内の固相に接触させて固相に吸着された核酸を脱着させ、容器外に排出する工程。 - 上記(4a)の工程の前に、
(3c)固相にDNA分解酵素溶液を接触させた後、洗浄液を用いて固相を洗浄する工程、
を行うことを含む、請求項27に記載の核酸分離精製方法。 - 洗浄液が、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びn−プロパノールから選ばれる少なくとも一つを20〜100質量%含む溶液である、請求項1〜28のいずれかに記載の核酸分離精製方法。
- 回収液が塩濃度0.5mol/L以下の溶液である、請求項1〜29に記載の核酸分離精製方法。
- (i)核酸分離精製ユニットと、(ii)組織溶解液またはタンパク質分解酵素、(iii)前処理液、(iv)洗浄液、および(v)回収液の試薬とを含む請求項1〜30の何れかに記載された方法を行うための試薬キット。
- 請求項1〜31の何れかに記載された方法を行うための装置。
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