JP2006217839A - 核酸の分離精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (1)核酸を含む試料溶液を核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内に核酸を吸着させる工程、(2)洗浄液により、核酸が吸着した状態で該多孔性膜を洗浄する工程、及び(3)回収液により、該多孔性膜内から核酸を脱着させる工程を含有する核酸の分離精製方法において、
該核酸吸着性多孔性膜がイオン結合が関与しない相互作用で核酸が吸着する多孔性膜であり、且つ、核酸を含む試料溶液を特定の試料溶液調製工程で得ることを特徴とする核酸の分離精製方法。
【選択図】 なし
Description
掛かり、また、液が全部排出されたことの検出が困難で、時間設定が長く、処理効率の向上の障害となる。さらにまた、粘度の低い試料液では、フィルターチューブより勢いよく液が排出されて、泡状の飛沫が隣接するフィルターチューブおよびラックに付着してコンタミネーションを生じ、精度低下を招く問題がある。
(2)洗浄液を該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、核酸が吸着した状態で該多孔性膜を洗浄する工程、及び
(3)回収液を該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内から核酸を脱着させる工程を含有する核酸の分離精製方法において、
該核酸吸着性多孔性膜がイオン結合が関与しない相互作用で核酸が吸着する多孔性膜であり、且つ、
核酸を含む試料溶液が、
(I)血液および白血球の少なくともいずれかを含み、かつ抗凝固剤を含む検体を容器に注入する工程、
(II)上記容器に、カオトロピック塩、界面活性剤、バッファー、及びタンパク質分解酵素を添加し、検体と混合して混合液を得る工程、
(III)混合液をインキュベ−トし、インキュベ−トされた混合液を得る工程、及び
(IV)インキュベ−トされた混合液に水溶性有機溶媒を添加し、核酸を含む試料溶液を得る工程、
を含有する試料溶液調製工程で得られることを特徴とする核酸の分離精製方法。
<8> 上記(II)の工程において、さらに消泡剤が添加され、その含有量が0.01〜5質量%である、<1>〜<6>のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
<9> 上記(1)、(2)及び(3)の各工程において、核酸を含む試料溶液、洗浄液又は回収液を、加圧状態で核酸吸着性多孔性膜に通過させる、<1>〜<8>のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
(a)核酸を含む試料溶液を、少なくとも二個の開口を有する容器内に、溶液が内部を通過可能な核酸吸着性多孔性膜を収容した核酸分離精製カ−トリッジの一の開口に注入する工程、
(b)核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に結合された圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態にし、注入した核酸を含む試料溶液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、核酸分離精製カ−トリッジの他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜内に核酸を吸着させる工程、
(c)核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に洗浄液を注入する工程、
(d)核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に結合された圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態にし、注入した洗浄液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜を、核酸が吸着した状態で、洗浄する工程、
(e)核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に回収液を注入する工程、
(f)核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に結合させて圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態にし、注入した回収液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜内から核酸を脱着させ、核酸分離精製カ−トリッジ容器外に排出する工程、を含む、<1>〜<10>のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
(1)核酸を含む試料溶液を核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内に核酸を吸着させる工程(以下、「吸着工程」とも言う。)、
(2)該核酸吸着性多孔性膜を、核酸が吸着した状態で、洗浄する工程(以下、「洗浄工程」とも言う。)、及び
(3)回収液を、該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内から核酸を脱着させる工程(以下、「回収工程」とも言う。)
を少なくとも含むものである。
(I)血液および白血球の少なくともいずれかを含み、かつ抗凝固剤を含む検体を容器に注入する工程、
(II)上記容器に、カオトロピック塩、界面活性剤、バッファーおよびタンパク質分解酵素を添加し、検体と混合して混合液を得る工程、
(III)混合液をインキュベ−トし、インキュベ−トされた混合液を得る工程、及び
(IV)インキュベ−トされた混合液に水溶性有機溶媒を添加し、核酸を含む試料溶液を得る工程。
本発明において検体は血液および白血球の少なくともいずれかを含む。血液としては例えば全血が挙げられる。また白血球は全血から得られたものも対象となる。
さらに、本発明における検体には抗凝固剤が含有される。抗凝固剤としては一般に、EDTA、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ACD(acid citrate dextrose solution)などが挙げられ、単独または二つ以上の組み合わせで用いられる。含有量は一般的な使用量の範囲で使用する。本発明はこれらの抗凝固剤に限られず、検体に含まれる抗凝固剤の種類によらずに、上記(1)〜(3)の工程を含む核酸分離精製方法において効率よく核酸を分離精製することができる。
検体を容器に注入する際の注入方法としては、限定はされないが、ピペットやスポイトなどの実験用器具を使用するのが好ましい。これらの器具が、ヌクレアーゼフリーかつパイロジェンフリーであれば、より好ましい。
容器への注入は特に限定なく、何れの方法、器具を用いることもできる。
本発明では、カオトロピック塩、界面活性剤、バッファー及びタンパク質分解酵素により、検体に含まれる細胞膜および核膜を溶解して核酸を可溶化する。以下、本発明において、便宜上、カオトロピック塩、界面活性剤及びバッファーを含む試薬を「核酸可溶化試薬原薬」という。さらにタンパク質分解酵素を含む試薬を「核酸可溶化試薬」という。「核酸可溶化試薬原薬」および「核酸可溶化試薬」は、溶液であっても、後述のように乾燥物であってもよい。溶液を用いることが好ましい。また、後述するように、カオトロピック塩、界面活性剤、バッファー及びタンパク質分解酵素以外の成分を含んでもよい。
カオトロピック塩の核酸可溶化試薬溶液における濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.5mol/L〜7mol/L、さらに好ましくは、1mol/L〜6mol/Lである。
本発明においてはノニオン系界面活性剤をこのましく用いることができる。ノニオン系界面活性剤は、好ましくは、ポリオキシエチレン(以下、POEとも言う。)系界面活性剤を用いることができる。例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミドを用いることができる。さらに好ましくは、POEデシルエ−テル、POEラウリルエ−テル、POEトリデシルエ−テル、POEアルキレンデシルエ−テル、POEソルビタンモノラウレ−ト、POEソルビタンモノオレエ−ト、POEソルビタンモノステアレ−ト、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、POEアルキルアミン、POEアセチレングリコ−ルから選択されるポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤である。特に好ましくは、POEソルビタンモノラウレ−ト、POEソルビタンモノオレエ−ト、POEソルビタンモノステアレ−トから選択されるポリオキシエチレンソルビタン系界面活性剤である。
界面活性剤の核酸可溶化試薬溶液における濃度は、0.1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは2〜20質量%である。
これらのバッファーは、核酸可溶化試薬中の濃度は1〜500mmol/Lであることが好ましい。より好ましくは20〜400mmol/Lであり、更に好ましくは50〜300mmol/Lである。
セリンプロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばプロテアーゼKなどを好ましく用いることができる。
システインプロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばパパイン、カテプシン類などを好ましく用いることができる。
金属プロテアーゼとしては、特に限定されず、例えばカルボキシペプチターゼ等を好ましく用いることができる。
タンパク質分解酵素は、添加時の反応系全容積1mlあたり好ましくは0.001IU〜10IU、より好ましくは0.01IU〜1IUの濃度で用いることができる。
安定化剤としては、金属イオンを好ましく用いることができる。具体的には、マグネシウムイオンが好ましく、例えば塩化マグネシウムなどの形で添加することができる。タンパク質分解酵素に安定化剤を含ませることにより、核酸の回収に必要なタンパク質分解酵素の微量化が可能となり、核酸の回収に必要なコストを低減することができる。タンパク質分解酵素の安定化剤は、反応系全量に対して好ましくは1〜1000mmol/L、より好ましくは10〜100mmol/Lの濃度で含有することが好ましい。
また、タンパク質分解酵素を含まずにカオトロピック塩、界面活性剤等のその他の試薬を核酸可溶化試薬原薬とし、タンパク質分解酵素とは個別の、2つ以上の試薬として供されても良い。後者の場合、タンパク質分解酵素を含む試薬を先に検体と混合した後に、核酸可溶化試薬原薬と混合される。また、核酸可溶化試薬原薬を先に混合した後に、タンパク分解酵素を混合してもよい。
また、タンパク質分解酵素を検体または、検体と核酸可溶化試薬原薬との混合液に、タンパク質分解酵素保存容器から直接目薬状に滴下させることもできる。この場合、操作を簡便にすることができる。
上記の方法で検体と混合された混合液を得る場合、核酸可溶化試薬原薬およびタンパク質分解酵素の保存安定性が良く、核酸収量を変えずに操作を簡便にすることができる。
一方、RNAなどDNA以外の核酸を回収する場合、核酸可溶化試薬原液または核酸可溶化試薬にDNA分解酵素を加えることが好ましい。この場合、回収された核酸に共存するDNAによる干渉を軽減することができる。また、RNA分解酵素阻害剤を加えることも好ましい。RNA分解酵素阻害剤としては、RNA分解酵素を特異的に阻害するものが好ましい。
RNA分解酵素は特に限定されず、例えば、リボヌクレアーゼ H(RNase H)等のRNA特異的分解酵素を好ましく用いることができる。
DNA分解酵素は特に限定されず、例えば、DNase I等のDNA特異的分解酵素を好ましく用いることができる。
核酸分解酵素および核酸分解酵素阻害剤は、通常用いられる濃度で用いることが出来る。また、通常どおり加温処理することができる。加温処理は、タンパク質分解酵素による処理と同時におこなうことがこのましい。
混合する際、攪拌装置により30から3000rpmで1秒から3分間混合することが好ましい。これにより、分離精製される核酸収量を増加させることができる。または、転倒混和を5から30回行うことで混合することも好ましい。また、ピペッティング操作を、10から50回行うことによっても混合することができる、この場合、簡便な操作で分離精製される核酸収量を増加させることができる。
混合液を、タンパク質分解酵素の至適温度および反応時間でインキュベ−トすることにより、分離精製される核酸の収量を増加させることがきる。インキュベーション温度は、通常20℃〜70℃、好ましくはタンパク分解酵素の至適温度であり、インキュベーション時間は通常1〜90分、好ましくはタンパク分解酵素の至適反応時間である。インキュベーション方法は特に限定されず、湯浴や加温器に入れることで行うことができる。
インキュベ−トされた混合液に添加する水溶性有機溶媒は、アルコールを好ましく用いることができる。アルコールは、1級アルコール、2級アルコール、3級アルコールのいずれでもよく、メタノール、エタノール、プロパノールまたはその異性体、ブタノールまたはその異性体を好ましく用いることができる。これらを混合して用いてもよい。これら水溶性有機溶媒の核酸を含む試料溶液における最終濃度は、5〜90質量%であることが好ましい。
上記消泡剤としては、シリコン系消泡剤とアルコール系消泡剤の2つの成分が好ましく
挙げられ、また、アルコール系消泡剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
以下に、本発明で用いる核酸吸着性多孔性膜および吸着工程について説明する。
本発明の核酸吸着性多孔性膜は、溶液が内部を通過可能なものである。ここで「溶液が内部を通過可能」とは、膜の一方の面が接する空間と膜の他方の面が接する空間の間に圧力差を生じさせた場合に、高圧の空間側から低圧の空間側へと、膜の内部を溶液が通過することが可能であることを意味する。または、膜に遠心力を掛けた場合に、遠心力の方向に、膜の内部を溶液が通過することが可能であることを意味する。
鹸化率を変えるには、水酸化ナトリウムの濃度を変えて鹸化処理を行えば良い。鹸化率は、NMR、IR又はXPSにより、容易に測定することができる(例えば、カルボニル基のピーク減少の程度で定めることができる)。
特にトリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合物を好ましく使用することができる。トリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合比(質量比)は、99:1〜1:99である事が好ましく、90:10〜50:50である事がより好ましい。
トリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合比(質量比)は、99:1〜1:99である事が好ましい。さらには、トリアセチルセルロースとジアセチルセルロースの混合比は、90:10〜50:50である事が好ましい。
有機材料の多孔性膜にグラフトポリマー鎖を結合する方法としては、多孔性膜とグラフトポリマー鎖とを化学結合させる方法と、多孔性膜を起点として重合可能な二重結合を有する化合物を重合させグラフトポリマー鎖とする2つの方法がある。
基材に結合しているグラフトポリマー鎖を形成するのに有用な化合物は、重合可能な二重結合を有しており、核酸の吸着に関与する親水基を有するという、2つの特性を兼ね備えていることが必要である。これらの化合物としては、分子内に二重結合を有していれば、親水基を有するポリマー、オリゴマー、モノマーのいずれの化合物をも用いることができる。特に有用な化合物は親水基を有するモノマーである。
くはそのアルカリ金属塩及びアミン塩も好ましく用いることができる。
多孔性膜とグラフトポリマー鎖とを化学結合にて付着させる場合は、グラフトポリマー鎖の末端の官能基と反応する官能基を無機材料に導入し、そこにグラフトポリマーを化学結合させる。また、分子内に二重結合を有している親水基を有するモノマーを使用して、多孔性膜を起点として、グラフトポリマー鎖を重合する場合は、二重結合を有する化合物を重合する際の起点となる官能基を無機材料に導入する。
親水性基を持つグラフトポリマー、および分子内に二重結合を有している親水基を有するモノマーとしては、上記、親水基を持たない有機材料の多孔性膜とグラフトポリマー鎖とを化学結合させる方法において、記載した親水性基を持つグラフトポリマー、および分子内に二重結合を有している親水基を有するモノマーを好ましく使用することができる。
価の異なるアセチルセルロースの混合物をコーティングした後に、コ−ティングしたアセチルセルロ−スまたは、アセチル価の異なるアセチルセルロースの混合物を鹸化処理することもできる。この場合、鹸化率が約5%以上であることが好ましい。さらには、鹸化率が約10%以上であることが好ましい。
すなわち、(a)核酸を含む試料溶液を、少なくとも二個の開口を有する容器内に、溶液が内部を通過可能な、核酸吸着性多孔性膜を収容した核酸分離精製カートリッジの一の開口に注入する工程、(b)核酸分離精製カートリッジの上記一の開口に結合された圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態にし、注入した核酸を含む試料溶液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、核酸分離精製カートリッジの他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜内に核酸を吸着させる工程、(c)核酸分離精製カートリッジの上記一の開口に洗浄液を注入する工程、(d)核酸分離精製カートリッジの上記一の開口に結合された圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態にし、注入した洗浄液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜を、核酸が吸着した状態で、洗浄する工程、(e)核酸分離精製カートリッジの上記一の開口に回収液を注入する工程、(f)核酸分離精製カートリッジの上記一の開口に結合された圧力差発生装置を用いて核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態にし、注入した回収液を、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、他の開口より排出することによって、核酸吸着性多孔性膜内から核酸を脱着させ、核酸分離精製カートリッジ容器外に排出する工程が挙げることができる。
以下、洗浄工程について説明する。
洗浄を行うことにより、核酸の回収量及び純度が向上し、必要な核酸を含む検体の量を微量とすることができる。また、洗浄や回収操作を自動化することによって、操作が簡便かつ迅速に行うことが可能になる。洗浄工程は、迅速化のためには1回の洗浄で済ませてもよく、また純度がより重要な場合には複数回洗浄を繰返すことが好ましい。
洗浄工程における洗浄液の液量は、2μl/mm2以上が好ましい。洗浄液量が多量であれば洗浄効果は向上するが、操作性を保ち、試料の流出を抑止するためには、200μl/mm2以下が好ましい。
また洗浄工程において、その核酸分離精製カートリッジを器械的な振動や超音波による攪拌を与えながら、または遠心分離により洗浄することもできる。
水溶性塩が洗浄液中に含まれる場合、その濃度は10mmol/L以上であることが好ましく、その上限は不純物の溶解性を損なわない範囲であれば特に問わないが、1mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/L以下であることがより好ましい。
とりわけ、水溶性塩が塩化ナトリウムであり、さらには、塩化ナトリウムが20mmol/L以上含まれていることが特に好ましい。
ここで、カオトロピック物質とは、前記のカオトロピック塩のほか、尿素などが含まれる。
回収工程において、回収液は、チューブ、ピペット、又は自動注入装置、もしくはこれ
らと同じ機能をもつ供給手段を使用して、核酸吸着性多孔性膜を装着した核酸分離精製カートリッジへ供給される。回収液は、核酸分離精製カートリッジの一の開口(核酸を含む試料溶液を注入した開口)から供給され、該開口に結合された圧力差発生装置(例えばスポイド、注射器、ポンプ、パワーピペットなど)を用いて核酸分離精製カートリッジ内を加圧状態にして核酸吸着性多孔性膜を通過させ、一の開口と異なる開口より排出させることができる。また、回収液を一の開口から供給し、同じ一の開口より排出させることもできる。さらには、核酸分離精製カートリッジの核酸を含む試料溶液を供給した一の開口と異なる開口より回収液を供給し、排出させることも可能である。しかしながら、核酸分離精製カートリッジの一の開口から供給し、核酸吸着性多孔性膜を通過させ、一の開口と異なる開口より排出さる方法が回収効率が優れてより好ましい。
(1)核酸精製カートリッジの作成
内径7mm、核酸吸着性多孔性膜を収容する部分を持つ核酸精製カートリッジをハイインパクトポリスチレンで作成した。
下記に示す処方の核酸可溶化試薬原薬及び洗浄液を調製する。
塩酸グアニジン(和光純薬社製) 5mol/L
BisTris(同仁堂社製) 300mmol/L
POEソルビタンモノオレエート(和光純薬社製) 7.5%(v/v)
蒸留水 1000mL
10mmol/L Tris‐HCl(ライフテクノロジー社製)
50%(v/v)エタノール
10mmol/L Tris‐HCl(ライフテクノロジー社製)
抗凝固剤としてヘパリンNaまたはEDTA−2Naを使用したヒト全血200μlにタンパク質分解酵素溶液(プロテアーゼN「アマノ」G)30μlと核酸可溶化試薬原薬1 250μlを添加して56℃で2分間インキュベートした。尚、ヘパリンNaは13単位/ml、EDTA−2Naは1.5mg/mlの濃度で含有される。インキュベート後、エタノール250μlを加え、攪拌した。攪拌後、上記(2)で作成した核酸吸着性多孔性膜を有する核酸精製カートリッジの一の開口に注入し、続いて上記一の開口に圧力差発生装置(チュービングポンプ)を結合し、核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した核酸を含む試料溶液を、核酸吸着性多孔性膜に通過させることで、核酸吸着性多孔性膜に接触させ、核酸分離精製カ−トリッジの他の開口より排出した。続いて、上記核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に洗浄液を注入し、上記一の開口にチュービングポンプを結合し、核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した洗浄液を、核酸吸着性多孔性膜に通過させ、他の開口より排出した。続いて、上記核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口に回収液を注入し、核酸分離精製カ−トリッジの上記一の開口にチュービングポンプを結合して核酸分離精製カ−トリッジ内を加圧状態(80kpa)にし、注入した回収液を、核酸吸着性多孔性膜に通過させ、他の開口より排出し、この液を回収した。
下記に示す処方の核酸可溶化試薬原薬を調製する。
塩酸グアニジン(和光純薬社製) 5mol/L
POEソルビタンモノステアレート(花王社製) 3%(v/v)
蒸留水 1000mL
下記に示す処方の核酸可溶化試薬原薬を調製する。
塩酸グアニジン(和光純薬社製) 5mol/L
Tris‐HCl(ライフテクノロジー社製)(pH7.0)
100mmol/L
POEソルビタンモノオレエート(和光純薬社製) 7.5%(v/v)
蒸留水 1000mL
上記回収した液の吸光度測定により、回収された核酸の純度を定量した。各波長における吸光度測定の結果を表1に示す。
Claims (12)
- (1)核酸を含む試料溶液を核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内に核酸を吸着させる工程、
(2)洗浄液を該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、核酸が吸着した状態で該多孔性膜を洗浄する工程、及び
(3)回収液を該核酸吸着性多孔性膜に通過させて、該多孔性膜内から核酸を脱着させる工程を含有する核酸の分離精製方法において、
該核酸吸着性多孔性膜がイオン結合が関与しない相互作用で核酸が吸着する多孔性膜であり、且つ、
核酸を含む試料溶液が、
(I)血液および白血球の少なくともいずれかを含み、かつ抗凝固剤を含む検体を容器に注入する工程、
(II)上記容器に、カオトロピック塩、界面活性剤、バッファー、及びタンパク質分解酵素を添加し、検体と混合して混合液を得る工程、
(III)混合液をインキュベ−トし、インキュベ−トされた混合液を得る工程、及び
(IV)インキュベ−トされた混合液に水溶性有機溶媒を添加し、核酸を含む試料溶液を得る工程、
を含有する試料溶液調製工程で得られることを特徴とする核酸の分離精製方法。 - 上記(II)の工程において、界面活性剤がノニオン系界面活性剤である、請求項1に記載の核酸の分離精製方法。
- ノニオン系界面活性剤がポリオキシエチレン系界面活性剤である、請求項2に記載の核酸の分離精製方法。
- ポリオキシエチレン系界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン系界面活性剤である、請求項3に記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(II)の工程において、バッファーがBisTris(Bis(2‐hydoroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methane)である、請求項1〜4のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(II)の工程において、カオトロピック塩がグアニジウム塩である、請求項1〜5のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(II)の工程において、さらに消泡剤が添加され、その含有量が0〜10質量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(II)の工程において、さらに消泡剤が添加され、その含有量が0.01〜5質量%である、請求項1〜6のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(1)、(2)及び(3)の各工程において、核酸を含む試料溶液、洗浄液又は回収液を、加圧状態で核酸吸着性多孔性膜に通過させる、請求項1〜8のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 上記(IV)の工程において、水溶性有機溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノールまたはその異性体、ブタノールまたはその異性体の少なくともいずれかである、請求項1〜9のいずれかに記載の核酸の分離精製方法。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の核酸分離精製方法を自動で行う装置。
- (i)核酸分離精製カ−トリッジと、(ii)タンパク質分解酵素、(iii)カオトロピック塩、界面活性剤及びバッファー、(iv)洗浄液、および(v)回収液の試薬とを含む請求項1〜10のいずれかに記載の核酸分離精製方法を行うためのキット。
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