JP2006087348A - 水産養殖用飼料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発酵食品粕を含有する水産養殖用飼料であって、前記水産養殖用飼料の全量に対し0.0001〜5重量%好ましくは0.001〜2重量%の炭粉を含有する。
【選択図】なし
Description
従来の技術としては、(特許文献1)に「焼酎粕50部に、配合飼料,穀物末,米糠,フスマ,魚粉,油粕等を合計50部以下の割合で混練し、ペレット状,顆粒状,粉末状に乾燥させた養魚の餌」が開示されている。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、陸上由来タンパク質である焼酎粕の割合が多く、陸上由来タンパク質は海洋由来タンパク質である魚粉に比べ魚介類に吸収され難いため、魚介類の成長が遅いという課題を有していた。
(2)魚介類の排泄物には、飼料に含まれるタンパク質(窒素)の内、魚介類の体内に蓄積されなかった余剰分のアンモニア態窒素が含まれる。これが水中に拡散して水質を悪化させるが、焼酎粕は魚介類に吸収され難いため、排泄物中のアンモニア濃度が高くなり水質が早期に悪化し易くなるという課題を有していた。
(3)特に、魚介類を陸上の人工池や水槽等で養殖する場合には、水質の悪化による魚介類の成長速度の低下や病害の発生等を防止するため、浄化設備や換水設備によって水質を維持する必要があるが、これらの設備の負荷が大きくなり、生産性に欠け原価が高くなるとともに省エネルギー性に欠けるという課題を有していた。
(4)工場廃水等で汚染された海水中の重金属類は、プランクトンを経て魚に摂取されていく間に濃縮される。重金属類が濃縮された魚粉を飼料として用いると、養殖魚にも重金属類が蓄積されていく。養殖魚の体内の重金属類を体外に排出させる手段はなく、魚介類の重金属汚染(生物濃縮)を防止する手段がないという課題を有していた。
本発明の請求項1に記載の水産養殖用飼料は、発酵食品粕を含有する水産養殖用飼料であって、前記水産養殖用飼料の全量に対し0.0001〜5重量%好ましくは0.001〜2重量%の炭粉を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)水産養殖用飼料の全量に対し0.0001〜5重量%好ましくは0.001〜2重量%の炭粉を含有しているので、飼料に含まれるタンパク質(窒素)の内、魚介類の体内に蓄積されなかった余剰分のアンモニア態窒素が炭粉に吸着されて固定化され、排泄物中に炭粉がアンモニア態窒素を固定化した状態で排泄されるので、アンモニア態窒素が水中に拡散するのを防止して水質が悪化するのを防止することができる。
(2)アンモニア態窒素が固定化された排泄物を系内から除去することで、排泄物とともにアンモニア態窒素を系内から除去でき水質を清浄に保つことができる。
(3)炭粉の含有量が少ないため、水産養殖用飼料に含まれ水中で溶解して魚介類の嗅覚に訴え誘引する水溶性物質の全量を吸着することなく魚介類の誘引性に優れ、また炭粉が無味、無臭で、かつ、炭粉の含有量が少ないため、給餌した魚介類に違和感を与えず食い付きを妨げることがない。
(4)発酵食品粕を含有しているので、食品廃棄物の有効利用を図ることができる。
(5)炭粉を含有しているので、魚介類の腸内に入った炭粉が腸内を清浄にし、魚介類の健康に寄与する。
なお、泥炭,タール等の石炭質、石油残渣,オイルカーボン等の石油質、パルプ廃液,合成樹脂廃材,有機質廃棄物等の廃材を原料にした炭粉は用いないのが好ましい。それらの廃材を原料にした炭粉は発ガン性等のおそれがあり、この飼料を給餌された魚介類を人間が食することになるからである。
なお、タラ肝油,イカ肝油,サーモン油等の油脂類等は、炭粉と発酵食品粕等とを混練して所定の形状に形成した後、その成形体の表面に吹き付けるのが好ましい。炭粉の表面の細孔が油脂類で閉塞されないようにして、炭粉の吸着性が失われるのを防止するためである。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)炭粉の平均粒径が0.01〜500μm好ましくは0.1〜400μmなので、魚介類が違和感なく食べ易く、また炭粉の表面積を大きくして炭粉と窒素分との接触面積を大きくできるので、炭粉の表面の細孔に窒素分を吸着させ固定化させることができ、窒素分の固定化能力に優れる。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)発酵食品粕が水産養殖用飼料の全量に対し1〜30重量%好ましくは1〜20重量%含有されているので、漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減でき、さらに多量に発生し廃棄処理が問題となっている発酵食品粕を飼料として有効利用できる。
(2)魚粉の含有量を減らすことができるので、魚粉に濃縮された重金属類の摂取量を減らすことができる。
(3)発酵食品粕が水産養殖用飼料の全量に対し1〜30重量%好ましくは1〜20重量%含有されており、発酵食品粕には粗繊維や有効成分が多く残留しているので、魚介類の腸の活動を活性化させ抗生物質に求められる機能を代替でき、飼料中に抗生物質を投与しなくても魚介類の耐性を高めることができ、養殖の歩留を高めることができ、さらに魚介類の体内の残留抗生物質を排除でき食品としての魚介類の安全性を高めることができる。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)マグロ粉末はヒスチジン等を多く含みアミノ酸組成に優れているので、良好なタンパク質を魚介類に供給することができる。
(2)マグロの肉部を刺身に成形する際に発生する成形屑はこれまで廃棄されていたが、これを粉末にして用いることができるので、廃棄物の有効利用を図ることができるとともに、漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減させることができる。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)おからが水産養殖用飼料の全量に対し1〜30重量%好ましくは1〜10重量%含有されているので、タンパク質を供給でき、さらに漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減でき、またおからは粗繊維や有効成分が多く残留しているため魚介類の腸の活動を活性化させ、さらに豆腐製造時の豆乳の絞り粕であり大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄され廃棄処理が問題となっているおからを飼料として有効利用できる。
(2)おからは、豆腐の製造工程によって、有害な酵素類やミネラルの利用を阻害するフィチン酸の含有量が大幅に低減されているので、大豆油粕を飼料に利用する場合に必要な有害な酵素類を失活させるための高温処理やフィチン酸の消化を促進する消化酵素の添加を必要とせず、生産性に優れるとともに、有害酵素等の含有量が著しく少ないため、通常の大豆油粕の配合量より多量に配合できる。
(3)おからは乾燥して粉末状にできるので、水産養殖用飼料中に均一に混合でき生産性に優れる。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)アミノ酸や核酸性物質を含む誘引活性物質が水産養殖用飼料の全量に対し、0.5〜5重量%好ましくは2〜3重量%含有されているので、水中に投下すると誘引活性物質中のアミノ酸や核酸性物質が水に溶け、魚介類の嗅覚に訴え魚介類を誘引し給餌効率を高めることができる。
(2)脱臭性の高い炭粉が含有されているので、一部の誘引活性物質中の有効成分は炭粉に吸着されてしまうが、所定量の誘引活性物質が配合されているので、残部が水中に溶け出し魚介類を誘引し給餌効率を高めることができる。
この構成によって、請求項1乃至6の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)焼酎の生産時に副生される焼酎粕又は焼酎廃液の濃縮液は、アミノ酸を豊富に含有しているため、水中に投下することでアミノ酸が水に溶解し魚介類の嗅覚に訴え誘引し集魚性に優れる。
(2)アミノ酸を豊富に含有し味覚も良いので、食い付いた魚介類が旨味を感じ、吐き出すことなく飲み込むため残餌を少なくすることができる。
(3)焼酎粕や焼酎廃液中に稚魚の成長促進物質が含有されているとともに消化性に優れ、稚魚の成長を促進させることができる。
焼酎粕の粉末の水分量は、5〜17重量%好ましくは10〜15重量%に調整されたものが好適である。水分量が10重量%より少なくなるにつれ他の原料と混合し混練する混練作業性が低下する傾向がみられ、水分量が15%重量%より多くなるにつれに腐敗し易くなり保存性が低下する傾向がみられる。特に、5重量%より少なくなるか17重量%より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)飼料に含まれるタンパク質(窒素)の内、魚介類の体内に蓄積されなかった余剰分のアンモニア態窒素が炭粉に吸着されて固定化され、排泄物中に炭粉がアンモニア態窒素を固定化した状態で排泄されるので、アンモニア態窒素が水中に拡散するのを防止して水質が悪化するのを防止することができ水質保全性に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)アンモニア態窒素が固定化された排泄物を系内から除去することで、排泄物とともにアンモニア態窒素を系内から除去でき水質を清浄に保つことができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(3)水質浄化のための換水量を少なくすることができ、池中養殖、特に一定の水温に保った水槽内で魚介類を養殖する陸上養殖の場合には、水温調整のためのエネルギー消費量を少なくすることができ、省エネルギー性に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(4)簡易な濾布等を用いて排泄物(糞)を除去するだけで水質を保全でき、大規模な浄化設備が不要であり、さらに水中のアンモニア態窒素を吸着させるゼオライト等の濾材を必要とせず、そのような濾材の交換も必要とせずランニングコストを低減できる水産養殖用飼料を提供することができる。
(5)水産養殖用飼料に含まれ水中で溶解して魚介類の嗅覚に訴え誘引する水溶性物質の全量を吸着することなく魚介類の誘引性に優れ、また炭粉が無味、無臭で、かつ、炭粉の含有量が少ないため、給餌した魚介類に違和感を与えず食い付きを妨げることがない水産養殖用飼料を提供することができる。
(6)発酵食品粕を含有しているので、食品廃棄物の有効利用を図ることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(7)炭粉を含有しているので、魚介類の腸内に入った炭粉が腸内を清浄にし、魚介類の健康に寄与する水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)魚介類が違和感なく食べ易く、また炭粉の表面積を大きくして炭粉と窒素分との接触面積を大きくできるので、炭粉の表面の細孔に窒素分を吸着させ固定化させることができ、窒素分の固定化能力に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減でき、さらに多量に発生し廃棄処理が問題となっている発酵食品粕を飼料として有効利用できる水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)魚粉の含有量を減らすことができるので、魚粉に濃縮された重金属類の摂取量を減らすことができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(3)魚介類の腸の活動を活性化させ抗生物質に求められる機能を代替でき、飼料中に抗生物質を投与しなくても魚介類の耐性を高めることができ、養殖の歩留を高めることができ、さらに魚介類の体内の残留抗生物質を排除でき食品としての魚介類の安全性を高めることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)良好なタンパク質を養殖魚に供給することができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)廃棄物の有効利用を図ることができるとともに、漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減させることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)漁獲量が変動し供給不足が発生するイワシやアジ等の魚粉の含有量を減らして原料コストを低減でき、またおからは粗繊維や有効成分が多く残留しているため魚介類の腸の活動を活性化させ、さらに豆腐製造時の豆乳の絞り粕であり大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄され廃棄処理が問題となっているおからを飼料として有効利用できる水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)おからは、豆腐の製造工程によって、有害な酵素類やミネラルの利用を阻害するフィチン酸の含有量が大幅に低減されているので、大豆油粕を飼料に利用する場合に必要な有害な酵素類を失活させるための高温処理やフィチン酸の消化を促進する消化酵素の添加を必要とせず、生産性に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(3)おからは乾燥して粉末状にできるので、水産養殖用飼料中に均一に混合でき生産性に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)水中に投下すると誘引活性物質中のアミノ酸や核酸性物質が水に溶け、魚介類の嗅覚に訴え魚介類を誘引し給餌効率を高めることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)脱臭性の高い炭粉が含有されているので、一部の誘引活性物質中の有効成分は炭粉に吸着されてしまうが、所定量の誘引活性物質が配合されているので、残部が水中に溶け出し魚介類を誘引し給餌効率を高めることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(1)アミノ酸を豊富に含有しているため、水中に投下することでアミノ酸が水に溶解し魚介類の嗅覚に訴え誘引し集魚性に優れた水産養殖用飼料を提供することができる。
(2)アミノ酸を豊富に含有し味覚も良いので、食い付いた魚介類が旨味を感じ、吐き出すことなく飲み込むため残餌を少なくすることができ、残餌による水質劣化を防止できる水産養殖用飼料を提供することができる。
(3)稚魚の成長に対する有効成分を含有するとともに消化性に優れ、稚魚の成長を促進させることができる水産養殖用飼料を提供することができる。
(実験例1)
発酵食品粕としての甘藷を原料とした焼酎粕粉末10重量部、炭粉としての平均粒径400μmの竹炭の粉砕粉5重量部、炭水化物としての小麦粉4重量部、α化澱粉4重量部、タンパク質源としての魚粉30重量部、マグロ粉末28重量部、油脂源としての魚油5重量部、DHA等のn−3系不飽和脂肪酸1重量部、ビタミン混合物3重量部、ミネラル混合物2重量部、ビタミンC誘導体0.1重量部、ラクトフェリン0.1重量部、カルボキシメチルセルロース(CMC)5重量部、αセルロース2.8重量部を配合し、総量100重量部を混合した後、混練機及びペレッタを用いて混練・成形した。これによって、実験例1の直径2mm、長さ5mmのペレット状の水産養殖用飼料を得た。
なお、焼酎粕粉末は、水分量12〜13重量%にドラム乾燥させ製造したものである。
炭粉の配合量を0.1重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例2の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
炭粉の配合量を0.01重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例3の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
炭粉の配合量を0.004重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例4の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
炭粉の配合量を0.0004重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例5の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
炭粉の配合量を4.0重量部にした以外は、実験例1と同様にして、実験例6の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
平均粒径が500μmの竹炭の粉砕粉を用いた以外は、実験例2と同様にして、実験例7の水産養殖用飼料を得た。
発酵食品粕として甘藷を原料とした焼酎粕粉末に代えて、米を原料とした焼酎粕粉末10重量部、おから粉末2重量%を配合し混合した以外は、実験例1と同様にして、実験例8の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
オキアミミール6重量%、おから粉末2重量%を配合し混合した以外は、実験例1と同様にして、実験例9の水産養殖用飼料を得た。なお、オキアミミール、おから粉末を配合したことにより、総量が100重量部になるように、小麦粉を3重量部、α化澱粉を3重量部、αセルロースを0重量部、魚粉を26.8重量部にして調整した。
実験例1の配合において、炭粉を配合しない以外は、実験例1と同様にして、比較例1の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。
実験例1の配合において、炭粉及び焼酎粕粉末の配合量を0重量部にして(炭粉及び焼酎粕粉末を配合しない)、魚粉の配合量を33重量部にした以外は、実験例1と同様して、比較例2の水産養殖用飼料を得た。なお、総量が100重量部になるようにαセルロースの量を増減して調整した。ここで、魚粉の配合量を33重量部にしたのは、焼酎粕粉末を配合しないことによってタンパク質の含有量が減るのを補うためである。
海水を入れた100Lの容積の飼育水槽を11個用意し、各々の飼育水槽内に1尾あたりの重量約50gのトラフグ10尾を放ち養殖を行った。飼育密度(魚重量/水重量×100%)としては、0.5重量%であった。飼育水槽内の水は、物理濾過と生物濾過を組み合わせた濾過装置との間で循環し、飼育水槽内のトラフグの排泄物や食べ残しの飼料を系内から除去した。
各々の飼育水槽に実験例1〜9、比較例1〜2の水産養殖用飼料を給餌し、各々の飼育水槽内のトラフグの増重率、血中のヘマトクリット,ヘモグロビン,コルチゾール,血清中のタンパク質,殺菌活性値,貪食率を測定した。なお、この養殖実験は、各々の試験区について3回行い、その平均値を求めた。
増重率は、各飼育水槽内の飼育開始直後のトラフグ10尾の平均体重(A)と所定期間経過時のトラフグ10尾の平均体重(B)とを算出し、(B−A)/A×100の計算によって求めた。
血中のヘマトクリット,ヘモグロビン,コルチゾール,血清中のタンパク質は、飼育水槽からトラフグを採捕後、ヘパリン処理した注射器を用いて肝動脈から採血を行った血液又は遠心分離した血清を用いて測定した。これらは、5尾の平均値を求めた。
殺菌活性値は、飯田らが報告した方法(Nippon Suisan Gakkaishi 55(3),463-465(1989))に準じて求めた。即ち、Tris buffer(PH=7.5)で4倍希釈した血清にトリプトソヤ寒天培地で培養したEscherichia coli IAM1239株懸濁液(0.001mg/mL)を等量加え、25℃で6時間振とうしながらインキュベートしたものをトリプトソヤ寒天培地(平板)に接種し、25℃でコロニーを形成させ、コロニー形成数よりEscherichia coliの生残数を求めたものである。
貪食率は、遠藤らが報告した方法(Fisheries Science 63(4),644-645(1997))及び飯田が1996年に報告した方法に準じて求めた。即ち、ホルマリン処理したEscherichia coli IAM1239株を含むHank’s buffered salt solution(HBSS)0.2mLを飼育水槽内の魚の鰾に接種し、そのまま飼育水槽内に戻す。数時間後、ヘパリン100Unitを含有したHBSS0.8mLを鰾に接種し、魚体を数回静かに転倒させた後、鰾内に遊走した好中球を注射器を用いて回収し、回収した好中球をHBSSで1×106細胞/mLとなるよう希釈する。希釈液0.5mLに等量のオプソニン化ザイモサンを加え25℃で貪食反応させ、1時間後、冷却して反応を停止させる。HBSSで5倍希釈した反応液を軽く遠心分離し、好中球と貪食されなかったザイモサンを分離する。サイトスピンを用いて好中球をスライドグラスに塗抹し、May-Gruemwald染色及びGimsa染色を行う。次いで、EIKITTを使用して染色したスライドグラスを包埋し、顕微鏡で全好中球数を観察し、貪食率(ザイモサンを貪食した好中球の割合)を算出するという方法である。
また、飼育水槽内の水中のアンモニア態窒素の濃度についても測定した。
なお、実験例9の水産養殖用飼料を給餌した飼育水槽は、実験例8の水産養殖用飼料を給餌した飼育水槽より残餌が少なく、また増重率も高かった。これは、誘引活性物質としてのオキアミミールが配合されているからだと推察された。
なお、平均粒径が0.01、0.1、1、50、200μmの炭粉を用い、炭粉、発酵食品粕、おからの配合量を変えた水産養殖用飼料を作成して同様の実験を行ったところ、魚介類の増重率、ヘマトクリット等の数値、飼育水槽内のアンモニア態窒素の濃度の評価とも同様の傾向であった。
Claims (7)
- 発酵食品粕を含有する水産養殖用飼料であって、前記水産養殖用飼料の全量に対し0.0001〜5重量%好ましくは0.001〜2重量%の炭粉を含有していることを特徴とする水産養殖用飼料。
- 前記炭粉の平均粒径が、0.01〜500μm好ましくは0.1〜400μmであることを特徴とする請求項1に記載の水産養殖用飼料。
- 前記発酵食品粕が、前記水産養殖用飼料の全量に対し1〜30重量%好ましくは1〜20重量%含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の水産養殖用飼料。
- マグロ粉末を含有していることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の水産養殖用飼料。
- 前記水産養殖用飼料の全量に対し、1〜30重量%好ましくは1〜10重量%のおからを含有していることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の水産養殖用飼料。
- アスパラギン酸等のアミノ酸又はイノシン酸等の核酸性物質を含む誘引活性物質が、前記水産養殖用飼料の全量に対し、0.5〜5重量%好ましくは2〜3重量%含有されていることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載の水産養殖用飼料。
- 前記発酵食品粕が、焼酎の生産時に副生される焼酎粕又は焼酎廃液の濃縮液であることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1に記載の水産養殖用飼料。
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