JP2006086335A - 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ - Google Patents

磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ Download PDF

Info

Publication number
JP2006086335A
JP2006086335A JP2004269638A JP2004269638A JP2006086335A JP 2006086335 A JP2006086335 A JP 2006086335A JP 2004269638 A JP2004269638 A JP 2004269638A JP 2004269638 A JP2004269638 A JP 2004269638A JP 2006086335 A JP2006086335 A JP 2006086335A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
magnet
magnetic field
coil
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004269638A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuichiro Urano
裕一朗 浦野
Fumihito Meguro
文仁 目黒
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumida Corp
Original Assignee
Sumida Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumida Corp filed Critical Sumida Corp
Priority to JP2004269638A priority Critical patent/JP2006086335A/ja
Publication of JP2006086335A publication Critical patent/JP2006086335A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coils Or Transformers For Communication (AREA)

Abstract

【課題】 コアの形状に対して物理的に変更を加えることなく、容易に所望の特性を得ること。
【解決手段】 磁気素子は、磁性材料からなるコア1と、コア1に巻装される巻線2と、コア1の一部に局所的に磁界を発生させ、局所的に磁束を通過させる磁界供給手段3と、を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタに関する。
特許文献1は、トロイダル型コイル部品を開示する。このトロイダル型コイル部品は、コアにギャップ部を設け、このギャップ部から空芯巻線をコイルとして挿入装着される。
特許文献2は、アンテナコイルを開示する。アンテナコイルは、たとえば、十文字状に形成されたフェライトコアと、このフェライトコアの十文字の4肢に巻きつけられる2つの巻線とを有する。
特開2003−31422号公報(要約書、明細書など) 特開2004−159348号公報(図4、段落0011など)
特許文献1のコイル部品では、トロイダルコアの直流電流重畳特性を改善するために、トロイダルコアを物理的に分断して、ギャップを形成している。この特許文献1が開示する方法は、脆い材料などでトロイダルコアを形成した場合に適用し難い。そのため、そのような脆い材料などでトロイダルコアを形成した場合において、特許文献1が開示する方法を用いて、直流電流重畳特性を改善することは難しい。
特許文献2には、十字形状のコアに2つのコイルを巻くことで、2つのアンテナコイルを一体的に形成している。そのため、別々に形成された2つのアンテナコイルを設ける場合に比べて、総合的なアンテナの占有面積を小さくすることができる。しかしながら、特許文献2のように複数のアンテナコイルのコアを共通化した場合、コイル間に相互インダクタンスが発生し、各アンテナコイルのインダクタンス値として所望の値を得ることが難しい。各アンテナコイルを設計どおりに形成したとしても、所望のインダクタンス値とはならず、十字形状のコアの大きさなどについて調整をするように何度も作り直しをしなければ、所望のインダクタンス値を得ることができない。
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、コアの形状に対して物理的に変更を加えることなく、容易に所望の特性を得ることができる磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタを得ることを目的とする。
本発明に係る磁気素子は、磁性材料からなるコアと、コアに巻装される巻線と、コアの一部に局所的に磁界を発生させ、局所的に磁束を通過させる磁界発生手段と、を有するものである。
この構成を採用すれば、磁気素子のコアのうち、磁界発生手段により局所的に磁束が通過する部分は、コアのその他の部位より磁気飽和し易くなるか、磁気飽和した状態となる。コアは、局所的に磁気飽和することで、その磁気飽和している部位において磁路としては分断される。その結果、磁気素子の直流電流の重畳特性は、磁界発生手段を設けない場合に比べて改善される。
本発明に係る磁気素子は、上述した発明の構成に加えて、コアが、フェライトコアを使用したトロイダルコアであり、フェライトの比透磁率が25以上、且つ、3万以下であるものである。
この構成を採用すれば、非常に高い直流電流重畳特性の改善効果が得られる。
本発明に係る磁気素子は、上述した各発明の構成に加えて、磁界発生手段が、コアの一部を両側から挟むように配設された第一の磁石および第二の磁石を有し、且つ、第一の磁石および第二の磁石のコア側の極性は互いに逆極性であるものである。
この構成を採用すれば、第一の磁石および第二の磁石によって、コアの一部に対して、磁界を集中的に発生させることができる。そして、そのコアの一部を磁気飽和させることができる。しかも、コアの一部を局所的に磁気飽和をさせるために、外部から電流を供給したりする必要はない。
本発明に係る磁気素子は、上述した各発明の構成に加えて、コアが、トロイダルコアであり、第一の磁石および第二の磁石が、トロイダルコアの環の一部をその環の穴の軸方向と略平行な方向から挟むように配設されているものである。
この構成を採用すれば、第一の磁石および第二の磁石として、同一サイズのものを使用することができる。その結果、第一の磁石および第二の磁石として共通の部品を使用して、磁気素子を構成する部品の種類の増加を抑制することができる。
本発明に係る磁気素子は、上述した各発明の構成に加えて、コアが、コアの一部において対向して突出する一対の突出部を有し、磁界発生手段が、一対の突出部に巻装される第一のコイルおよび第二のコイルを有するものである。
この構成を採用すれば、第一のコイルおよび第二のコイルに、それぞれのコア側の極性が互いに逆極性となるように電流を流すことで、コアの一部に磁界を集中的に発生させることができる。そして、そのコアの一部を磁気飽和させることができる。しかも、巻線などの発熱により部品温度がたとえば磁石のキュリー温度などを超えてしまうようなことがあったとしても、その磁界の集中した状態を維持することができる。
本発明に係る磁気素子は、上述した各発明の構成に加えて、磁界発生手段が、コアの一部を磁気飽和させるものである。
この構成を採用すれば、コアの一部が磁気飽和し、ギャップを形成した場合と電磁気的には似た状態となるため、優れた直流電流重畳特性を得ることができる。
本発明に係るコイル部品は、磁性材料からなるコアと、コアの周囲に巻装される少なくとも2つの巻線と、少なくとも2つの巻線の間において、コアの一部に局所的に磁界を発生させ、局所的に磁束を通過させる磁界発生手段と、を有するものである。
この構成を採用すれば、コイル部品のコアは、少なくとも2つの巻線の間に一部において局所的に磁界が発生するので、コアのその他の部位より磁気飽和し易くなるか、磁気飽和した状態となる。コアが、少なくとも2つの巻線の間において局所的に磁気飽和することで、その磁気飽和している部位の両側に巻装される2つの巻線は、電磁気的に結合しなくなる。その結果、その磁気飽和している部位の両側に巻装される2つの巻線は、互いに独立した別々のコイルとして利用することができる。
本発明に係るコイル部品は、上述した発明の構成に加えて、磁界発生手段が、コアの一部を両側から挟むように配設された第一の磁石および第二の磁石を有し、且つ、第一の磁石および第二の磁石のコア側の極性は互いに逆極性であるものである。
この構成を採用すれば、第一の磁石および第二の磁石によって、コアの一部に磁界を集中的に発生させることができる。しかも、外部から電流を供給したりする必要はない。
本発明に係るコイル部品は、上述した各発明の構成に加えて、コアが、コアの一部において対向して突出する一対の突出部を有し、磁界発生手段が、一対の突出部に巻装される第一のコイルおよび第二のコイルを有するものである。
この構成を採用すれば、第一のコイルおよび第二のコイルに、それぞれのコア側の極性が互いに逆極性となるように電流を流すことで、コアの一部に磁界を集中的に発生させることができる。しかも、巻線などの発熱により部品温度がたとえば磁石のキュリー温度を超えるようなことがあったとしても、その磁界の集中した状態を維持することができる。
本発明に係るアンテナコイルは、センター部およびこのセンター部から互いに異なる方向へ突出する少なくとも2つのアーム部を有し、磁性材料からなるコアと、少なくとも2つのアーム部の周囲に巻装される少なくとも2つの巻線と、センター部に磁界を発生させ、センター部を磁気飽和させる磁界発生手段と、を有するものである。
この構成を採用すれば、アンテナコイルの各アーム部に形成されるコイルは、互いに独立したコイルとして利用することができる。その結果、複数のコイルを一体化したことによる省スペース化を図りながら、複数のコイル間の相互インダクタンスを抑制することによる設計の容易性を確保することができる。
本発明に係る可変パワーインダクタは、バー本体およびこのバー本体の中央部から互いに逆方向に突出する一対の突出部を有し、磁性材料からなるコアと、バー本体の中央部の両側に巻装される2つの主巻線と、一対の突出部に巻装されるコイルと、を有するものである。
この構成を採用すれば、一対の突出部に巻装されるコイルで、バー本体の中央部の磁束密度を制御し、このバー本体の中央部の両側に巻装される2つの主巻線の磁気的な結合の度合いを制御することができる。その結果、インダクタンス値を制御して、可変パワーインダクタとして使用することができる。
本発明では、コアの形状に対して物理的に変更を加えることなく、容易に所望の特性を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態に係る磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタを、図面に基づいて説明する。コイル部品は、トロイダル型コイルを例として説明する。コイル部品は、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタを例として説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るトロイダル型コイルを示す正面図である。図2は、図1のトロイダル型コイルを示す側面図である。
トロイダル型コイルは、コアとしてのトロイダルコア1と、巻線2と、磁界発生手段としての磁界発生部材3と、を有する。
トロイダルコア1は、フェライトを、断面が長方形のドーナツ形状に形成したものである。トロイダルコア1に使用される材料としては、フェライト以外にも、たとえばコバルト、ネオジム、サマコバ、アルニコなどがある。これらの材料は、たとえば、粉末状にした後、プレス成形し、焼成することでコア材として形成される。このような製法で形成したコアは、ダストコアと呼ばれている。トロイダルコア1の形状としては、ドーナツ形状以外にも、たとえば円筒形状、四角形などの多角形の枠形状などであってもよい。
巻線2は、ニクロム線などの電気用の線材である。巻線2の材料としては、ニッケルクローム合金の他にも、たとえば、銅、アルミニウム、錫、亜鉛、ニッケル、それらの合金などがある。
巻線2は、ドーナツ形状のトロイダルコア1に巻装される。巻線2は、トロイダルコア1をその内穴9からその外周方向へ向かう断面の外周に沿った方向でトロイダルコア1に1周ずつ巻きつけられ、且つ、1周分の巻線2が、トロイダルコア1のドーナツ形状の周方向に複数個並ぶように、トロイダルコア1に螺旋状に巻装される。
磁界発生部材3は、第一の磁石4と、第二の磁石5とを有する。第一の磁石4および第二の磁石5は、磁性材料を板形状に形成したものである。第一の磁石4および第二の磁石5は、板の一対の面がN極およびS極となるように磁化される。
第一の磁石4は、図2においてトロイダルコア1の上面に接着(貼着)して固定される。第一の磁石4は、トロイダルコア1の上面において、トロイダルコア1の内側から外側の全体を被覆するように配設される。第一の磁石4は、トロイダルコア1に貼着される面がN極となるように配設される。
第二の磁石5は、図2においてトロイダルコア1の下面に接着(貼着)して固定される。第二の磁石5は、トロイダルコア1の下面において、トロイダルコア1の内側から外側の全体を被覆するように配設される。第二の磁石5は、トロイダルコア1に貼着される面がS極となるように配設される。
これにより、トロイダルコア1の磁界発生部材3が配設される部位は、その全体が第一の磁石4および第二の磁石5の間に挟まれた状態になる。
なお、この実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、図示外のハウジングを有するものであってもよい。この実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、このハウジングに円筒形状の穴を形成し、その穴の中に、巻線2が巻きつけられているトロイダルコア1を、磁界発生部材3とともに配設するものであってもよい。この場合、第一の磁石4および第二の磁石5は、図示外のトロイダル型コイルのハウジングによりトロイダルコア1の表面に圧接されたり、ハウジングとトロイダルコア1との隙間にシリコン系の接着剤が注入されたりすることで、トロイダルコア1の上下面に固定されるようにしてもよい。また、巻線2の両端は、ハウジングに設けられた図示外の一対の外部端子に絡げて接続すればよい。
また、この実施の形態1に係るトロイダル型コイルでは、トロイダルコア1に1本の巻線2を巻装している。この他にもたとえば、トロイダルコア1に、複数本の巻線を巻装するようにしてもよい。
次に、以上のような構成を有する実施の形態1に係るトロイダル型コイルの電磁気的特性について説明する。
実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、巻線2の両端に電源や電気回路を接続して使用される。巻線2には、その両端に接続される回路間に流れる電流が流れる。巻線2に電流が流れると、巻線2が巻装されるトロイダルコア1には磁場が形成される。トロイダルコア1には、トロイダルコア1の周方向に沿って、磁束が形成される。トロイダルコア1の磁束密度は、巻線2に流れる電流に比例する。巻線2に流れる電流が大きくなると、トロイダルコア1の磁束密度は、高くなる。
実施の形態1に係るトロイダル型コイルの第一の磁石4と第二の磁石5は、トロイダルコア1に接し、且つ、トロイダルコア1の一部6を挟んで対向して配置されている。第一の磁石4は、トロイダルコア1側がN極である。第二の磁石5は、トロイダルコア1側がS極である。そのため、第一の磁石4と第二の磁石5とにより挟まれているトロイダルコア1の部位6は、部分的に強い磁場が形成される。トロイダルコア1のその部位6には、トロイダルコア1の略垂直断面に沿って(図2において上から下へ向かう向きに沿って)、磁束が形成される。
図3は、第一の磁石4と第二の磁石5とにより挟まれるトロイダルコア1の部位6を示す模式図である。第一の磁石4と第二の磁石5とにより挟まれるトロイダルコア1の部位には、N極の第一の磁石4からS極の第二の磁石5に向かう磁束7が高密度に生成される。
このような状態において、トロイダルコア1に巻装した巻線2に電流が流れると、図3におけるトロイダルコア1の周方向に沿って、その電流による磁束8が形成される。そして、第一の磁石4と第二の磁石5とにより挟まれているトロイダルコア1の部位6には、第一の磁石4と第二の磁石5とによる高密度の磁束7と、巻線2の電流による磁束8との2種類の磁束が形成される。第一の磁石4と第二の磁石5とにより挟まれているトロイダルコア1の部位6の磁束密度は、電流による磁束8のみが形成されているトロイダルコア1のその他の部位の磁束密度より高くなる。
図4は、磁性材料のB−H特性(B−Hカーブ)を示す説明図である。図4において、横軸は磁界の強さ(H)であり、縦軸は磁性材料中の磁束密度である。磁性材料のB−H特性は、ヒステリシス特性を有する。また、図4に示すように、磁性材料中の磁束密度は、磁界強度の絶対値が大きくなるほど絶対値が大きくなる。磁性材料の磁束密度は、磁界強度の絶対値がある強さ(図4のJ点)以上になっても、ある磁束密度(Bs)に維持される。このように磁束密度の変化が少ない状態となる磁束密度は、飽和磁束密度と呼ばれる。これを磁気飽和という。
この実施の形態1のトロイダル型コイルは、磁性材料の一種であるトロイダルコア1の一部6の磁束密度が局所的に高い。巻線2に流れる電流が大きくなると、磁界強度が増し、トロイダルコア1の磁束密度は上昇する。そのため、その磁束密度が局所的に高い部位6は、トロイダルコア1のその他の部位より磁気飽和し易くなる。または、第一の磁石4と第二の磁石5とによる磁束密度が十分高い場合には、部位6は、巻線2に電流が流れていない状態で磁気飽和していることになる。
トロイダルコア1の一部6が局所的に磁気飽和状態になると、その磁気飽和している部位6の磁束密度は、上述したようにそれ以上にあがらない。その結果、トロイダルコア1のその他の部位の磁束密度も、上がり難くなる。磁束密度が上がり難くなるということは、トロイダルコア1のその他の部位は、磁気飽和し難くなることを意味する。
つまり、磁界発生部材3によりトロイダルコア1を局所的に磁気飽和させることで、その局所的に磁気飽和している部分6を磁気ギャップとして形成した場合と同様の磁気的なコア構造を、トロイダルコア1に形成することができる。なお、この場合、第一の磁石4や第二の磁石5の幅を、磁気ギャップのギャップ長とみなすことができる。
図5は、この実施の形態1に係るトロイダル型コイルの特性の一例および比較例としてのトロイダル型コイルの特性を示す特性図である。図5の特性図において横軸は、巻線2の電流値I(A)である。左側の縦軸は、インダクタンス値(μH)である。右側の縦軸は、インダクタンス値の減衰量(%)である。インダクタンス値の減衰量は、巻線2の電流値I(A)が0Aのときのインダクタンス値(μH)を100%とする減衰量である。
また、図5の特性図には、実線の特性線と、破線の特性線と、一点鎖線の特性線と、二点鎖線の特性線との4つの特性線がある。実線の特性線は、この実施の形態1によるトロイダル型コイルのインダクタンス値を示す特性線である。破線の特性線は、後述する比較例によるトロイダル型コイルのインダクタンス値を示す特性線である。一点鎖線の特性線は、この実施の形態1によるトロイダル型コイルのインダクタンス値の減衰量を示す特性線である。二点鎖線の特性線は、比較例によるトロイダル型コイルのインダクタンス値の減衰量を示す特性線である。
図5に特性線を示す比較例としてのトロイダル型コイルは、実施の形態1のトロイダルコア1と、巻線2と、を有する。ただし、磁界発生部材3は、具備しない。この比較例のトロイダルコア1および巻線2は、実施の形態1のトロイダルコア1および巻線2と同じである。トロイダルコア1に対する巻線2の巻装状態は、図1に示す実施の形態1のトロイダル型コイルと同じである。
なお、図5の特性線を有するこの実施の形態1に係るトロイダル型コイルおよび比較例のトロイダル型コイルのトロイダルコア1には、実際には、微小な隙間が分散している。このようなトロイダルコア1は、所謂ダストコアと呼ばれている。ダストコアは、直流電源のチョーク用コイルや、モーターなどにおいて電磁波抑制用のフィルター用コイルとして利用されている。
そして、図5に示すように、本実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、巻線2に流れる電流が増加した場合に、比較例のトロイダル型コイルよりインダクタンス値が低下しにくくなっている。巻線2に流れる電流が大きくなっても、巻線2に電流が流れていないときのインダクタンス値を維持する能力において優れている。つまり、本実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、比較例のトロイダル型コイルより優れた直流電流の重畳特性を有する。
以上のように、この実施の形態1に係るトロイダル型コイルは、磁界発生部材3を設けて、巻線2によりトロイダルコア1に形成される磁束8と直交する方向の磁束7をトロイダルコア1に局所的に発生させ、トロイダルコア1を局所的に磁気飽和させている。そのため、磁界発生部材3を設けない場合に比べて、優れた直流電流の重畳特性を有する。この実施の形態1に係るトロイダル型コイルの直流電流の重畳特性は、トロイダルコア1に切れ目などを入れてエアーギャップなどを形成した場合と同等に優れたものになる。
また、磁界発生部材3を第一の磁石4と第二の磁石5とで構成し、この第一の磁石4と第二の磁石5とでトロイダルコア1の一部6を挟むことで、トロイダルコア1を局所的に磁気飽和させている。そのため、トロイダルコア1を物理的に切断したり、トロイダルコア1に磁気ギャップを形成したりする必要がない。その結果、たとえば、トロイダルコア1を強度の弱い材料で形成したり、たとえば粉末冶金などの構造的に弱い形状に形成したりした場合であっても、そのトロイダルコア1を用いたトロイダル型コイルの直流電流重畳特性を改善することができる。また、たとえば厚さが数十〜数百μメートルの薄い磁気ギャップをトロイダルコア1に構造的に形成することは困難なことであるが、そのような薄い磁気ギャップを形成した場合と同等の磁気ギャップをトロイダルコア1に形成することができる。
なお、第一の磁石4と第二の磁石5の一方のみを設けることも考えられる。ただし、トロイダルコア1での磁束の集中度が高くなりにくいので、磁気ギャップとして利用しえるような磁気飽和状態をトロイダルコア1に局所的に形成するためには、第一の磁石4と第二の磁石5とでトロイダルコア1で挟み込むのがよい。
また、第一の磁石4と第二の磁石5による磁束密度と、巻線2の電流による磁束密度との両方でトロイダルコア1を局所的に磁気飽和させるようにしてもよいが、直流電流重畳特性を向上させるためには、第一の磁石4と第二の磁石5とによる磁束密度のみで、トロイダルコア1を局所的に磁気飽和させるようにした方がよい。第一の磁石4と第二の磁石5とによる磁束密度と、巻線2の電流による磁束密度との両方でトロイダルコア1を局所的に磁気飽和させた場合、そのトロイダル型コイルの磁気特性としては、局所的な磁気飽和が形成されるまでの低電流状態においては、図5の実線の特性線と点線の特性線との間の特性になる。つまり、巻線2に電流が流れていないときのインダクタンス値が上昇し、その分、直流電流重畳特性の改善効果が悪化する。
また、第一の磁石4と第二の磁石5とは、トロイダルコア1の表面から離間させない方がよい。たとえば、第一の磁石4とトロイダルコア1とが離間している場合、その離間している空間がエアーギャップとして機能し、第一の磁石4によってトロイダルコア1に形成される磁束密度が低下してしまう。その分、磁束密度を局所的に集中させることが難しくなる。
また、トロイダルコア1としては、各種の磁性材料を使用することができるが、フェライトコアを使用した場合において第一の磁石4と第二の磁石5とを設けることで、非常に高い直流電流重畳特性の改善効果が得られる。比透磁率(μI)が25以上、且つ、3万以下のフェライトコアにおいて、非常に高い直流電流重畳特性の改善効果が得られる。
また、上記実施の形態1では、第一の磁石4と第二の磁石5は、トロイダルコア1の上下に(トロイダルコア1の円環をその環の穴9の軸方向と略平行な方向から挟むように)に設けられている。この他にもたとえば、第一の磁石4と第二の磁石5は、トロイダルコア1の穴9(図1参照)と外周側とに(内外に)配設するようにしてもよい。この変形例の場合、第一の磁石4と第二の磁石5によるトロイダル型コイルの高さの増加を抑制することができる。これに対して、上記実施の形態1のように第一の磁石4と第二の磁石5とをトロイダルコア1の上下に設けた場合には、トロイダルコア1の穴9による開口スペースを減らしてしまうことがないので、巻線2の巻線数を減らしてしまったり、トロイダルコア1の大径化を抑制したりすることができる。また、第一の磁石4と第二の磁石5とを内外に設けた場合には、トロイダルコア1の曲率に応じて磁束の集中する部位が所望の範囲となるように、第一の磁石4と第二の磁石5とのサイズを替える必要があるが、第一の磁石4と第二の磁石5とを上下に設けた場合には、第一の磁石4と第二の磁石5として同じサイズの同一部品を使用することができる。これにより、部品の種類を減らすことができる。
また、上記実施の形態1では、磁界発生部材3として第一の磁石4と第二の磁石5とを使用している。この他にもたとえば、磁界発生部材3としての2つのコイルでトロイダルコア1を挟み込むようにしてもよい。この2つのコイルは、後述する実施の形態3に示すように、トロイダルコア1から一対の突出部を対向して突出させ、この一対の突出部に巻装すればよい。この2つのコイルに、その内の一方のコイルのトロイダルコア1側がN極となり、他方のコイルのトロイダルコア1側がS極となるように、電流を流すことで、第一の磁石4と第二の磁石5とでトロイダルコア1を挟み込んだ場合と同様の磁場を形成することができる。磁石の場合、その磁石のキュリー温度を超えると、磁力が放出されなくなってしまうが、コイルの場合には、そのような温度に対する問題が生じにくい。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係るアンテナコイルを示す正面図である。図7は、図6のアンテナコイルのA−A’断面図である。
アンテナコイルは、コアとしての十字コア21と、4つの巻線22と、磁界発生手段としての磁界発生部材23と、を有する。
十字コア21は、フェライトを十字形状に形成したものである。十字コア21は、略立方体形状のセンター部26と、そのセンター部26の4つの面から四方へ突出するように十字状に配置される4つのアーム部27と、を有する。十字コア21には、実施の形態1のトロイダルコアと同様の磁性材料を使用することができ、実施の形態1のトロイダルコアと同様の方法で成形することができる。
4つの巻線22は、十字コア21の4つのアーム部27に巻装される。巻線22には、ポリウレタン線、ニクロム線などの材料を使用することができる。なお、巻線22は、筒状部材のボビンの外周面に巻装し、このボビンの穴にアーム部27を挿入することで、アーム部27の周囲に巻装されていてもよい。アーム部27に対してボビンを移動させることで、コイルの周波数特性を調整することができる。また、4つの巻線22の中のたとえば同一直線上に配列される2つの巻線22は、一方の巻線22の内側の端部が他方の巻線22の内側の端部に接続され、電気回路的には、1つのコイルとして利用されるように構成されていてもよい。
磁界発生部材23は、第一の磁石としてのトップ磁石28と、第二の磁石としてのボトム磁石29とを有する。トップ磁石28およびボトム磁石29は、磁性材料を略正方形の板形状に形成したものである。トップ磁石28およびボトム磁石29は、その略正方形の一対の面がN極およびS極となるように磁化される。
トップ磁石28は、図7において十字コア21の上面に接着(貼着)して固定される。トップ磁石28は、十字コア21の上面において、十字コア21のセンター部26の全体を被覆するように配設される。トップ磁石28は、十字コア21に貼着される面がN極となるように配設される。
ボトム磁石29は、図7において十字コア21の下面に接着(貼着)して固定される。ボトム磁石29は、十字コア21の下面において、十字コア21のセンター部26の全体を被覆するように配設される。ボトム磁石29は、十字コア21に貼着される面がS極となるように配設される。
このように十字コア21のセンター部26は、その全体がトップ磁石28およびボトム磁石29に挟まれた状態となる。そのため、十字コア21のセンター部26は、十字コア21のその他の部分よりも強い磁場が部分的に形成される。十字コア21のセンター部26は、磁気飽和している。
なお、この実施の形態2に係るアンテナコイルは、図示外のハウジングを有するものであってもよい。この実施の形態2に係るアンテナコイルは、4つの巻線22が巻きつけられている十字コア21を、磁界発生部材23とともに配設するものであってもよい。また、この実施の形態2に係るアンテナコイルでは、各アーム部27に1本の巻線22を巻装している。この他にもたとえば、各アーム部27に、複数本の巻線22を巻装するようにしてもよい。
次に、以上のような構成を有する実施の形態2に係るアンテナコイルの電磁気的特性について説明する。
実施の形態2に係るアンテナコイルは、たとえば、4つの各巻線22の両端に、このアンテナコイルを使用して電波を送受信する送受信機が接続される。各巻線22には、受信する電波に応じた電流が流れる。また、電波を送信するための信号により電流が流れる。巻線22にこれらの電流が流れることで、その巻線22が巻きつけられているアーム部27には磁場が形成される。
上述したように、十字コア21のセンター部26は、トップ磁石28およびボトム磁石29が形成する磁場により磁気飽和している。十字コア21のセンター部26が部分的に磁気飽和しているので、巻線22によりアーム部27に生成される磁束は、センター部26を経由して、他のアーム部27へ通りぬけ難くなる。
したがって、アーム部27に生成される磁束は、その多くが、センター部26の手前で曲がってループを形成することになる。そのため、巻線22同士の電磁気的な結合は抑制され、巻線22同士の相互インダクタンスは小さくなる。4つのアーム部27間の電磁気的な結合は、弱くなる。各アーム部27の電磁気的な特性は、他のアーム部27の影響を受け難くなり、相互に独立性が増す。各アーム部27をその他のアーム部27から磁気的に分離することが可能となる。
その結果、各アーム部27に巻線22を巻装することで得られるインダクタンス値として、そのアーム部27のみからなるフェライトコアにその巻線22を巻装した場合に近い値のインダクタンス値を得ることができる。そのため、所望のインダクタンス値に応じた巻数で巻線22を巻装することで、その所望のインダクタンス値に近い値を得ることができる。
以上のように、この実施の形態2に係るアンテナコイルは、省スペース化などのためにそのフェライトコアが十字形状に形成され、その十字形状のフェライトコアの4つのアーム部27それぞれに4つの巻線22が巻装されているにもかかわらず、それら4つの巻線22の複雑な相互インダクタンスを考慮することなく、それぞれの巻線22のインダクタンス値としてそれぞれの巻数に応じた所望の値を得ることができる。その結果、たとえば、省スペース化と、設計の容易性とを高度に両立することができる。
なお、この実施の形態2では、フェライトコアは、4つのアーム部27を有するが、フェライトコアは、2つのアーム部27を有するものであっても、3つのアーム部27を有するものであっても、あるいは、5つ以上のアーム部27を有するものであってもよい。また、たとえば2つのアーム部27である場合、その2つのアーム部27は一直線状に配置されていても、L字状に配置されていてもよい。
また、十字コア21に対するトップ磁石28およびボトム磁石29の配置条件などは、実施の形態1におけるトロイダルコアに対する第一の磁石4および第二の磁石5の配置条件などと同様である。また、トップ磁石28およびボトム磁石29を、磁界発生部材23としての2つのコイルで構成するようにしてもよい。
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る可変パワーインダクタを示す正面図である。
可変パワーインダクタは、コアとしてのバーコア41と、巻線あるいは主巻線としての第一主巻線42と、他の巻線あるいは他の主巻線としての第二主巻線43と、磁界発生手段としての磁界発生部材44と、端子台45と、を有する。
バーコア41は、フェライトを略棒形状に形成したものである。バーコア41は、棒形状のバー本体46と、一対の突出部47,48と、を有する。一対の突出部47,48は、バー本体46の長尺方向の中央部に、バー本体46を挟んで互いに対向するように配設される。バーコア41には、実施の形態1のトロイダルコアと同様の磁性材料を使用することができ、実施の形態1のトロイダルコアと同様の方法で成形することができる。
第一主巻線42は、バーコア41のバー本体46の長尺方向の一方の側部49に巻装される。第二主巻線43は、バーコア41のバー本体46の長尺方向の他方の側部50に巻装される。第一主巻線42および第二主巻線43には、ニクロム線、銅線などの材料を使用することができる。第一主巻線42および第二主巻線43の両端は、端子台45を貫通し、端子台45の外に露出する。
磁界発生部材44は、1つの可変用巻線51を有する。可変用巻線51は、バーコア41の一対の突出部47,48に巻装される。可変用巻線51は、図8において上側の突出部47に巻装され、且つ、その上側の突出部47での巻き方向と同じ巻き方向で図8において下側の突出部48に巻装される。可変用巻線51の両端は、端子台45を貫通し、端子台45の外に露出する。以下、可変用巻線51の、図8において上側の突出部47に巻装された部分を第一主巻線部52とよび、可変用巻線51の、図8において下側の突出部48に巻装された部分を第二主巻線部53とよぶ。第一主巻線部52は、第一のコイルあるいはコイルとして機能し、第二主巻線部53は、第二のコイルあるいは他のコイルとして機能する。
なお、この実施の形態3に係る可変パワーインダクタは、図示外のハウジングを有するものであってもよい。また、この実施の形態3に係る可変パワーインダクタでは、各側部49,50に主巻線42,43を1本ずつ巻装している。この他にもたとえば、各側部49,50に、複数本の主巻線を巻装するようにしてもよい。
図8の可変パワーインダクタは、第一主巻線42の両端と、第二主巻線43の両端と、可変用巻線51の両端との合計6本の端子が端子台45から外に露出している。以下、この6つの端子を区別する場合には、図8において左側から順番に、第一端子54、第二端子55、第三端子56、第四端子57、第五端子58、第六端子59と記載する。
次に、図8の可変パワーインダクタを使用した電気回路の一例の動作について説明する。図9は、図8の可変パワーインダクタを使用した電気回路の一例を示す回路図である。図9の電気回路は、可変パワーインダクタの他に、交流電源61と、負荷機器62と、可変制御回路63と、を有する。
可変パワーインダクタの第一主巻線42の第一端子54は、交流電源61に接続される。第一主巻線42の第二端子55は、可変パワーインダクタの第二主巻線43の第五端子58に接続される。第二主巻線43の第六端子59は、負荷機器62に接続される。また、可変パワーインダクタの第三端子56および第四端子57は、可変制御回路63に接続される。
可変制御回路63は、第三端子56と第四端子57との間に、任意の値の電流を流す回路である。可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流すと、可変用巻線51の第一主巻線42および第二主巻線43に電流が流れる。可変用巻線51の第一主巻線42および第二主巻線43は、それらに流れる電流に応じた磁場を発生する。
たとえば、第三端子56から可変用巻線51に電流が流れ込む場合、可変用巻線51の、図8において上側の突出部47に巻きつけられた第一主巻線部52は、図8の上側がN極となり、下側がS極となる。また、可変用巻線51の、図8において下側の突出部48に巻きつけられた第二主巻線部53は、図8の上側がN極となり、下側がS極となる。つまり、図8において上側の第一主巻線部52は、バーコア41のバー本体46側がS極となり、図8において下側の第二突出部は、バーコア41のバー本体46側がS極となる。そのため、上側の突出部47および下側の突出部48とにより挟まれているバーコア41のバー本体46の中央部分は、一対の磁石で挟まれた場合と同様に、他の部分より強い磁場が部分的に形成される。特に、可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に所定の電流を流すと、バーコア41のバー本体46の中央部分は磁気飽和する。
交流電源61は、可変パワーインダクタの第一主巻線42、第二主巻線43および負荷機器62の直列回路に対して電圧を印加する。可変パワーインダクタの第一主巻線42、第二主巻線43および負荷機器62には、それらの全体のインピーダンスに応じた電流が流れる。
第一主巻線42は、それに電流が流れると、磁場を生成する。バー本体46の一方の側部49には、この磁場に応じた磁束が通る。可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流していない場合、バー本体46の中央部にその電流による磁場が形成されていないので、この磁束は、バー本体46の中央部を経由して、バー本体46の他方の側部50まで到達する。そのため、第一主巻線42によりバー本体46に形成される磁束は、バー本体46の他方の側部50に巻装されている第二主巻線43の内側を通過する。
第二主巻線43は、それに電流が流れると、磁場を生成する。バー本体46の他方の側部50には、この磁場に応じた磁束が通る。可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流していない場合、バー本体46の中央部にその電流による磁場が形成されていないので、この磁束は、バー本体46の中央部を経由して、バー本体46の一方の側部49まで到達する。そのため、第二主巻線43によりバー本体46に形成される磁束は、バー本体46の一方の側部49に巻装されている第一主巻線42の内側を通過する。
したがって、可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流していない場合、可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43とは、電磁気的に密に結合し、それらの間に大きな相互インダクタンスが発生する。可変パワーインダクタのインダクタンス値は、第一主巻線42の自己インダクタンス値と、第二主巻線43の自己インダクタンス値と、この相互インダクタンス値とからなるインダクタンス値となる。その結果、交流電源61が印加する電圧によって可変パワーインダクタの第一主巻線42、第二主巻線43および負荷機器62に流れる電流は、可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43との相互インダクタンスを含むインピーダンスに応じた電流になる。
次に、可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流し、バー本体46の中央部がその電流によって磁気飽和している場合について説明する。
第一主巻線42は、それに電流が流れると、磁場を生成する。バー本体46の一方の側部49には、この磁場に応じた磁束が通る。バー本体46の中央部が磁気飽和している場合、この磁束は、バー本体46の中央部を通過し難い。つまり、この磁束は、バー本体46の他方の側部50まで到達し難い。
第二主巻線43は、それに電流が流れると、磁場を生成する。バー本体46の他方の側部50には、この磁場に応じた磁束が通る。バー本体46の中央部が磁気飽和している場合、この磁束は、バー本体46の中央部を通過し難い。つまり、この磁束は、バー本体46の他方の側部50まで到達し難い。
したがって、可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に電流を流し、バー本体46の中央部がその電流によって磁気飽和している場合、可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43とは、電磁気的に結合しておらず、相互インダクタンスは発生しない。可変パワーインダクタのインダクタンス値は、第一主巻線42の自己インダクタンス値と、第二主巻線43の自己インダクタンス値とからなるインダクタンス値となる。その結果、交流電源61が印加する電圧によって可変パワーインダクタの第一主巻線42、第二主巻線43および負荷機器62に流れる電流は、可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43との相互インダクタンスを略含まないインピーダンスに応じた電流になる。
なお、バー本体46の中央部が磁気飽和しない程度の電流を可変制御回路63が第三端子56と第四端子57との間に流した場合には、可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43との間には、第三端子56と第四端子57との間に電流を流さない場合の相互インダクタンスより小さい相互インダクタンスが発生する。
以上のように、この実施の形態3に係る可変パワーインダクタでは、可変用巻線51に流す電流を制御することで、そのインダクタンス値を制御することができる。そして、そのインダクタンス値に応じた電流を、第一主巻線42および第二主巻線43に流すことができる。
また、この実施の形態3に係る可変パワーインダクタでは、第一主巻線42および第二主巻線43が1つの共通のバーコア41に巻装されているにもかかわらず、その巻線の間のバーコア41の中央部を磁気飽和させることにより、第一主巻線42と第二主巻線43との電磁気的な結合を抑制し、これらの巻線を別体のコイルとして形成した場合と同等の電磁気的な状態を作り出すことができる。そのため、この実施の形態3に係る可変パワーインダクタは、単にそのインダクタンス値が可変できるパワーインダクタとしてだけでなく、以下に示すような他の使用の仕方もある。図10は、図8の可変パワーインダクタを使用した電気回路の他の例を示す回路図である。
図10(A)の電気回路では、図8の可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43とは、交流電源61と負荷機器62との間に並列に接続されている。また、バー本体46の中央部は、可変用巻線51の電流で磁気飽和している。第一主巻線42と第二主巻線43とによる並列回路は、それぞれの自己インダクタンスを有するコイルを並列に繋いだ場合と同等のインダクタンス値となる。そして、図10(A)の電気回路において図8の可変パワーインダクタを使用することで、この2つのコイルを別々の部品する場合に比べて省スペース化が図れる。
なお、図10(A)の電気回路において、可変用巻線51に電流を流さない場合には、第一主巻線42と第二主巻線43とによる並列回路は、それぞれの自己インダクタンスとともに相互インダクタンスを含むインダクタンス値となる。
図10(B)の電気回路では、図8の可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43とは、交流電源61と負荷機器62との間に直列に接続されている。また、バー本体46の中央部は、可変用巻線51の電流で磁気飽和している。第一主巻線42と第二主巻線43とによる直列回路は、それぞれの自己インダクタンスを有するコイルを直列に繋いだ場合と同等のインダクタンス値となる。そして、図10(B)の電気回路において図8の可変パワーインダクタを使用することで、この2つのコイルを別々の部品する場合に比べて省スペース化が図れる。また、図8の可変パワーインダクタは、図10(A)および(B)に示すように、1つのインダクターでありながら、シングルフェーズとして使用したり、マルチフェーズとして使用したりすることができる。
なお、図10(B)の電気回路において、可変用巻線51に電流を流さない場合には、第一主巻線42と第二主巻線43とによる直列回路は、それぞれの自己インダクタンスとともに相互インダクタンスを含むインダクタンス値となる。
図10(C)の電気回路では、図8の可変パワーインダクタの第一主巻線42と第二主巻線43とは、交流電源61と負荷機器62とで形成される電流ループにおいて、交流電源61と負荷機器62とのそれぞれの間に独立した線路に接続されている。また、バー本体46の中央部は、可変用巻線51の電流で磁気飽和している。これにより、第一主巻線42によるコイルと、第二主巻線43によるコイルとを、コモンモードチョークコイルとして利用することができる。そして、図10(C)の電気回路において図8の可変パワーインダクタを使用することで、この2つのコイルを別々の部品する場合に比べて省スペース化が図れる。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能である。
上記各実施の形態では、コア1,21,41の周囲に巻線2,22,42,43を巻装する磁気素子に適用した例として、磁界発生部材3,23,44によりコア1,21,41の一部を局所的に磁気飽和させる構成を説明している。この他にもたとえば、磁界発生部材によりコアの一部を局所的に磁気飽和させる構成は、たとえば、積層コイル部品やICチップなどの磁気素子などにも適用することができる。また、この磁界発生部材によりコアの一部を局所的に磁気飽和させる構成は、産業機器、自動車、特殊コイルなどの多方面で使用される各種のコイルに適用することができる。
本発明は、トロイダル型コイルなどの、コアと巻線とを有する磁気素子に利用することができる。また、本発明は、アンテナコイル、可変パワーインダクタなどの、コアと複数の巻線とを有するコイル部品に利用することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るトロイダル型コイルを示す正面図である。 図2は、図1のトロイダル型コイルを示す側面図である。 図3は、第一の磁石と第二の磁石とにより挟まれるトロイダルコアの部位を示す模式図である。 図4は、磁性材料のB−H特性(B−Hカーブ)を示す説明図である。 図5は、この実施の形態1に係るトロイダル型コイルの特性および比較例としてのトロイダル型コイルの特性を示す特性図である。 図6は、本発明の実施の形態2に係るアンテナコイルを示す正面図である。 図7は、図6のアンテナコイルのA−A’断面図である。 図8は、本発明の実施の形態3に係る可変パワーインダクタを示す正面図である。 図9は、図8の可変パワーインダクタを使用した電気回路の一例を示す回路図である。 図10は、図8の可変パワーインダクタを使用した電気回路の他の例を示す回路図である。
符号の説明
1 トロイダルコア(コア)
2 巻線
3 磁界発生部材(磁界発生手段)
4 第一の磁石
5 第二の磁石
9 穴
21 十字コア(コア)
22 巻線
23 磁界発生部材(磁界発生手段)
26 センター部
27 アーム部
28 トップ磁石(第一の磁石)
29 ボトム磁石(第二の磁石)
41 バーコア(コア)
42 第一主巻線(巻線、主巻線)
43 第二主巻線(巻線、主巻線)
44 磁界発生部材(磁界発生手段)
47,48 一対の突出部
52 第一主巻線部(第一のコイル、コイル)
53 第二主巻線部(第二のコイル、コイル)

Claims (11)

  1. 磁性材料からなるコアと、
    上記コアに巻装される巻線と、
    上記コアの一部に局所的に磁界を発生させ、局所的に磁束を通過させる磁界発生手段と、
    を有することを特徴とする磁気素子。
  2. 前記コアは、フェライトコアを使用したトロイダルコアであり、上記フェライトの比透磁率が25以上、且つ、3万以下であることを特徴とする請求項1記載の磁気素子。
  3. 前記磁界発生手段は、前記コアの一部を両側から挟むように配設された第一の磁石および第二の磁石を有し、且つ、第一の磁石および第二の磁石の前記コア側の極性は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1または2記載の磁気素子。
  4. 前記コアは、トロイダルコアであり、
    前記第一の磁石および前記第二の磁石は、トロイダルコアの環の一部をその環の穴の軸方向と略平行な方向から挟むように配設されていることを特徴とする請求項3記載の磁気素子。
  5. 前記コアは、前記コアの一部において対向して突出する一対の突出部を有し、
    前記磁界発生手段は、上記一対の突出部に巻装される第一のコイルおよび第二のコイルを有することを特徴とする請求項1または2記載の磁気素子。
  6. 前記磁界発生手段は、前記コアの一部を磁気飽和させることを特徴とする請求項1から5の中のいずれか1項記載の磁気素子。
  7. 磁性材料からなるコアと、
    上記コアの周囲に巻装される少なくとも2つの巻線と、
    上記少なくとも2つの巻線の間において、上記コアの一部に局所的に磁界を発生させ、局所的に磁束を通過させる磁界発生手段と、
    を有することを特徴とするコイル部品。
  8. 前記磁界発生手段は、前記コアの一部を両側から挟むように配設された第一の磁石および第二の磁石を有し、且つ、第一の磁石および第二の磁石の前記コア側の極性は互いに逆極性であることを特徴とする請求項7記載のコイル部品。
  9. 前記コアは、前記コアの一部において対向して突出する一対の突出部を有し、
    前記磁界発生手段は、上記一対の突出部に巻装される第一のコイルおよび第二のコイルを有することを特徴とする請求項7記載のコイル部品。
  10. センター部およびこのセンター部から互いに異なる方向へ突出する少なくとも2つのアーム部を有し、磁性材料からなるコアと、
    上記少なくとも2つのアーム部の周囲に巻装される少なくとも2つの巻線と、
    上記センター部に磁界を発生させ、上記センター部を磁気飽和させる磁界発生手段と、
    を有することを特徴とするアンテナコイル。
  11. バー本体およびこのバー本体の中央部から互いに逆方向に突出する一対の突出部を有し、磁性材料からなるコアと、
    上記バー本体の中央部の両側に巻装される2つの主巻線と、
    上記一対の突出部に巻装されるコイルと、
    を有することを特徴とする可変パワーインダクタ。
JP2004269638A 2004-09-16 2004-09-16 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ Pending JP2006086335A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004269638A JP2006086335A (ja) 2004-09-16 2004-09-16 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004269638A JP2006086335A (ja) 2004-09-16 2004-09-16 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006086335A true JP2006086335A (ja) 2006-03-30

Family

ID=36164586

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004269638A Pending JP2006086335A (ja) 2004-09-16 2004-09-16 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006086335A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009141367A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Harris Corp 永久磁石を含む誘導装置及び関連方法
WO2021172844A1 (ko) * 2020-02-25 2021-09-02 주식회사 만도 인덕터 장치, 필터 장치 및 조향 제어 장치
WO2024075334A1 (ja) * 2022-10-03 2024-04-11 株式会社村田製作所 アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4849512U (ja) * 1971-10-11 1973-06-28
JPS53112453A (en) * 1977-03-11 1978-09-30 Tdk Electronics Co Ltd Variable inductor
JPS53147964A (en) * 1977-05-30 1978-12-23 Tdk Electronics Co Ltd Magnetic flux control device
JPS58105113U (ja) * 1982-01-12 1983-07-18 日本電気株式会社 チヨ−クコイル
JPS6157704U (ja) * 1984-09-19 1986-04-18
JPS62274708A (ja) * 1984-11-23 1987-11-28 ロイヤル メルボルン インスチテユ−ト オブ テクノロジ− リミテツド 電気的に可変なインダクタ
JPS6367710A (ja) * 1986-09-09 1988-03-26 Fujitsu Ltd 小型可変インダクタ
JP2000331837A (ja) * 1999-05-25 2000-11-30 Tokin Corp 線輪部品
JP2003007542A (ja) * 2000-10-25 2003-01-10 Nec Tokin Corp 磁芯及びそれを用いたインダクタンス部品
JP2003022919A (ja) * 2001-07-09 2003-01-24 Daido Steel Co Ltd 磁気素子
JP2003092509A (ja) * 2001-07-13 2003-03-28 Sumida Corporation アンテナコイル
JP2003298348A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Honda Denshi Giken:Kk アンテナ装置

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4849512U (ja) * 1971-10-11 1973-06-28
JPS53112453A (en) * 1977-03-11 1978-09-30 Tdk Electronics Co Ltd Variable inductor
JPS53147964A (en) * 1977-05-30 1978-12-23 Tdk Electronics Co Ltd Magnetic flux control device
JPS58105113U (ja) * 1982-01-12 1983-07-18 日本電気株式会社 チヨ−クコイル
JPS6157704U (ja) * 1984-09-19 1986-04-18
JPS62274708A (ja) * 1984-11-23 1987-11-28 ロイヤル メルボルン インスチテユ−ト オブ テクノロジ− リミテツド 電気的に可変なインダクタ
JPS6367710A (ja) * 1986-09-09 1988-03-26 Fujitsu Ltd 小型可変インダクタ
JP2000331837A (ja) * 1999-05-25 2000-11-30 Tokin Corp 線輪部品
JP2003007542A (ja) * 2000-10-25 2003-01-10 Nec Tokin Corp 磁芯及びそれを用いたインダクタンス部品
JP2003022919A (ja) * 2001-07-09 2003-01-24 Daido Steel Co Ltd 磁気素子
JP2003092509A (ja) * 2001-07-13 2003-03-28 Sumida Corporation アンテナコイル
JP2003298348A (ja) * 2002-03-29 2003-10-17 Honda Denshi Giken:Kk アンテナ装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009141367A (ja) * 2007-12-06 2009-06-25 Harris Corp 永久磁石を含む誘導装置及び関連方法
WO2021172844A1 (ko) * 2020-02-25 2021-09-02 주식회사 만도 인덕터 장치, 필터 장치 및 조향 제어 장치
WO2024075334A1 (ja) * 2022-10-03 2024-04-11 株式会社村田製作所 アンテナモジュールおよびそれを搭載した通信装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20070074059A (ko) 자기 코어 및 이를 포함하는 인덕터, 변압기
JP5319630B2 (ja) 複合型変圧器
US7915993B2 (en) Inductor
JP2002083722A (ja) インダクタ及びトランス
JP2010016234A (ja) インターリーブ制御力率改善回路用チョークコイル
JPWO2018173900A1 (ja) リアクトル、電源回路
TW200826123A (en) Noise filter and manufacturing method thereof
JP2002158124A (ja) インダクタンス部品
JP6445810B2 (ja) インターリーブ用チョークコイル
JP4009142B2 (ja) 磁心型積層インダクタ
JP2008078177A (ja) インダクタ
JP2006086335A (ja) 磁気素子、コイル部品、アンテナコイルおよび可変パワーインダクタ
CN108780693A (zh) 磁性元件
JP4193942B2 (ja) インダクタンス部品
JP2016100410A (ja) 可変インダクタ
TW521285B (en) Transformer, core for transformer and manufacturing method of core for transformer
JP2021019104A (ja) リアクトル装置
JPH11329849A (ja) 電流制御可変インダクタンス素子
JP4197327B2 (ja) インダクタンス部品
JP2002289443A (ja) インダクタ部品
JP4193943B2 (ja) インダクタンス部品
JP2003197436A (ja) 磁気素子用コア、これを用いた磁気素子、その磁気素子の製造方法およびその磁気素子を用いたスイッチング電源
JP2003022919A (ja) 磁気素子
JP2005039965A (ja) 限流器
JP2580367Y2 (ja) ノイズフィルタ用チョークコイル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20070904

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070905

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100325

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100406

A02 Decision of refusal

Effective date: 20100727

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02