JP2006086327A - キャパシタ誘電体膜の形成方法 - Google Patents

キャパシタ誘電体膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電極膜にダメージを与えずにキャパシタ誘電体膜を形成する。
【解決手段】
電極膜15上に第一の薄膜17を形成する第一の成膜工程は、酸化ガスの含有率が少ない第一のスパッタガス雰囲気で行われるので、酸化ガスイオンのような高エネルギーイオンが電極膜15に入射せず、電極膜15がダメージを受けない。また、第一の薄膜17上に第二の薄膜18を成膜する第二の成膜工程は、酸化ガスの含有率が高い第二のスパッタガス雰囲気で行われるので、酸素原子が補完され、第二の薄膜18を構成する誘電体材料に酸素欠損が起こらず、その結晶性が崩れない。
【選択図】図2
キャパシタ誘電体膜 17……第一の薄膜 18……第二の薄膜

Description

本発明はキャパシタ誘電体膜の成膜技術に関する。
従来より、半導体素子のキャパシタ誘電体膜にはBSTやPZT膜が用いられており、このようなキャパシタ誘電体膜の成膜には、BST、PZT等の誘電体材料のターゲットを真空槽内でスパッタリングするスパッタ法が用いられている。
スパッタ法によりキャパシタ誘電体膜を成膜するときには、酸素欠損が起こるとキャパシタ誘電体膜中のペロブスカイト型結晶が崩れるため、ターゲットをスパッタリングする時には、化学構造中に酸素原子を有する酸化ガスを真空槽内部に供給し、キャパシタ誘電体膜の酸素を補完する必要がある。
しかしながら、酸化ガスの存在下でスパッタリングを行うと、高エネルギーの酸素プラズマが基板表面に照射され、基板表面に位置する電極膜が荒らされてしまい、誘電損失が大きくなってしまうという問題があった。
特開2000−58794号公報 国際公開第98/06131号パンフレット
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、電極膜に損失を与えずにキャパシタ誘電体膜を形成し、誘電損失が小さいキャパシタ膜を形成することにある。
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、真空槽内部に形成された第一のスパッタガス雰囲気中で誘電体材料のターゲットをスパッタリングし、前記真空槽内部に配置された基板の表面に第一の薄膜を形成する第一の成膜工程と、前記真空槽内部に第二のスパッタガス雰囲気を形成し、前記第二のスパッタガス雰囲気中で前記ターゲットをスパッタリングし、前記第一の薄膜上に第二の薄膜を形成する第二の工程とを有するキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記第二のスパッタガス雰囲気の酸化ガスの含有率を、前記第一のスパッタガス雰囲気の前記酸化ガスの含有率よりも高くし、前記酸化ガスをO2ガスとO3ガスのいずれか一方又は両方で構成するキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記第一の成膜工程は、前記第一のスパッタガス雰囲気の前記酸化ガスの含有率をゼロにするキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記ターゲットは、(Ba,Sr)TiO3-xと、SrTiO3-yと、Pb(Zr,Ti)O3-zとからなる誘電体材料の群より選択されるいずれか1つの誘電体材料を含有するキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記基板の少なくとも一部表面には電極膜が露出され、前記キャパシタ誘電体膜は、前記電極膜の露出した表面に形成されるキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
請求項5記載の発明は、請求項4記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記電極膜は貴金属と貴金属酸化物のいずれか一方又は両方を含有するキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、前記第一、第二の成膜工程は、前記基板を加熱しながら行うキャパシタ誘電体膜の形成方法である。
尚、(Ba,Sr)TiO3-xと、SrTiO3-yと、Pb(Zr,Ti)O3-z中のx、y、zは、3未満0以上の任意の実数を示している。
本発明によれば、第一の薄膜の成膜は、酸化ガスの含有率が少ない第一のスパッタガス雰囲気で行われるので、基板上の電極膜が酸素プラズマに直接晒されず、電極膜がダメージを受けない。また、第一の薄膜上に第二の薄膜を形成する第二の成膜工程は、酸化ガスの含有率が高い第二のスパッタガス雰囲気で行われるので、誘電体材料の酸素欠損が酸化ガスで補完される。従って、本発明によれば、電極膜にダメージを与えずに、酸素欠損の無いキャパシタ誘電体膜を形成することができる。
図1の符号1は本発明に用いる成膜装置の一例を示しており、この成膜装置1は真空槽3を有している。真空槽3には真空排気系9と、ガス供給系2とが接続されている。
ガス供給系2は第一、第二のガスタンク21、22を有しており、第一、第二のガスタンク21、22は第一、第二のマスフローコントローラ23、24を介して真空槽3に接続されている。
第一のガスタンク21内には希ガスが配置され、第二のガスタンク22内には後述する酸化ガスが配置されており、第一、第二のガスタンク21、22のバルブを開けると、第一のガスタンク21の希ガスと、第二のガスタンク22の酸化ガスは、第一、第二のマスフローコントローラ23、24で設定された流量で真空槽3内部に供給されるようになっている。
この成膜装置1を用いてキャパシタ誘電体膜を形成するには、先ず、真空排気系9で真空槽3内部を真空排気する。次いで、酸化ガスの流量がゼロ、希ガスの流量が、例えば10sccmになるように第一、第二のマスフローコントローラ23、24を設定し、真空槽3内に酸化ガスを含有せず、希ガスからなる第一のスパッタガスが供給する。更に、真空排気と第一のスパッタガスの供給を続け、真空槽3内部に所定圧力の第一のスパッタガス雰囲気を形成する。
真空槽3内部には基板ホルダ6が配置されており、真空槽3内部の第一のスパッタガス雰囲気を維持しながら、真空槽3内部に基板11を搬入し、基板ホルダ6上に載置する。基板ホルダ6には加熱手段7が内蔵されており、該加熱手段7に通電することで、基板ホルダ6は予め昇温しているので、基板ホルダ6に載置された基板11は熱伝導によって昇温する。
基板ホルダ6には基板11温度を測定する不図示の温度センサーが取り付けられており、加熱手段7への通電量はこの温度センサーで検出される温度に基づいて制御され、基板11は300℃以上750℃以下の加熱温度に維持される。
真空槽3内部の、基板11と対向する位置には、(Ba,Sr)TiO3-xのような誘電体材料で構成されたターゲット5が配置されている。ターゲット5は高周波電源4に接続されており、第一のスパッタガス雰囲気を維持しながら、該高周波電源4を起動し、真空槽3を接地電位に置いた状態で、ターゲット5に高周波電圧を印加すると、真空槽3内部に第一のスパッタガスのプラズマが発生する。
ターゲット5の基板11と対向する面と反対側の面上には、磁界形成手段8が配置されており、この磁界形成手段8で形成される磁界によって、ターゲット5の表面にプラズマ密度の高い領域が形成され、ターゲット5がスパッタリングされて誘電体材料のスパッタ粒子が真空槽3内部に放出される。
図2(a)は基板11の拡大断面図を示しており、基板11はシリコン基板で構成され、その表面にはシリコン酸化膜(SiO2膜)12が形成されている。
基板11のシリコン酸化膜12が形成された面上には、TiO2-x(ここではxは0.1〜0.3程度)のような金属酸化物からなるバリア膜14が形成され、該バリア膜14の表面には金属材料(ここではPt)からなる第一の電極膜15が形成されている。
基板11は第一の電極膜15が形成された側の面を、ターゲット5に向けて配置されており、ターゲット5から放出されたスパッタ粒子は基板11の第一の電極膜15が形成された側の面に入射し、堆積する。
ターゲット5がスパッタリングされるときには、真空槽3内部に供給された第一のスパッタガスがイオン化するので、基板11表面にはスパッタ粒子だけではなく、第一のスパッタガスのイオンも入射する。
第一のスパッタガスに、O2やO3のように高エネルギーイオンを発生する酸化ガスが多く含有されると、第一の電極膜15がその高エネルギーイオンが入射することで、ダメージを受けるが、第一のスパッタガスはそのような酸化ガスを含有しないので、第一の電極膜15にダメージを与えずにスパッタ粒子が堆積し、基板11の第一の電極膜15が配置された側の面に誘電体材料からなる第一の薄膜17が成長する(図2(b))。
第一のスパッタガス雰囲気を維持しながら、スパッタリングを所定時間続け、第一の薄膜17の膜厚が所定膜厚に成長したところで、ターゲット5への電圧印加を止めると、スパッタリングが停止し、第一の薄膜17の成長が止まる(第一の成膜工程)。
第二のガスタンク22にはO2ガスである酸化ガスが配置されており、所定流量の第二のガスタンク22の酸化ガスと、所定流量の第一のガスタンク21の希ガスが真空槽3内部に供給されるように、第一、第二のマスフローコントローラ23、24を設定すると、真空槽3内部に酸化ガスを含有する第二のスパッタガスが供給される。
真空排気を続けながら第二のスパッタガスの供給を続けると、真空槽3内部から第一のスパッタガスが押し出され、真空槽3内部に酸化ガスを含有する第二のスパッタガス雰囲気が形成される。
第一の成膜工程が終了し、第二のスパッタガスが供給される間も、基板11は設定された加熱温度に維持されており、従って、基板11上に形成された第一の薄膜17は加熱され、第一の薄膜17を構成する誘電体材料の結晶化が促進される(アニール化)。
このとき、真空槽3内部には酸化ガスが存在するので、真空排気を続けることで、真空槽3内部の圧力を低いまま維持しても(例えば0.43Pa)、第一の薄膜17を構成する誘電体材料から酸化が欠落しない。
第一の成膜工程終了から所定時間が経過し、アニール化が十分に進行したところで、第二のスパッタガス雰囲気を維持すると共に、基板11の加熱温度を維持しながら、ターゲット5をスパッタリングすると、基板11の第一の薄膜17が形成された側の面には、第一の成膜工程と同じターゲット5からのスパッタ粒子が入射し、第一の薄膜17表面に第二の薄膜が成長する。
真空槽3内部の酸化ガスの分圧Aと、希ガスの分圧Bの比A/Bは、真空槽3内部に供給される酸化ガスの流量aと、希ガスの流量bとの比a/bと略等しくなる。
酸化ガスの流量aと希ガスの流量bとの比a/bは、第一のスパッタガスよりも第二のスパッタガスの方が大きいので、酸化ガスの分圧Aを、真空槽3内部の全圧(A+B)で割り、100を乗じた値を酸化ガスの含有率(%)とすると、第二のスパッタガス雰囲気は、第一のスパッタガス雰囲気よりも酸化ガス含有率が高くなっている。
従って、第二のスパッタガス雰囲気でターゲット5をスパッタリングすると、第二の薄膜の誘電体材料は、酸化ガスによって酸素原子が補完されるので、酸素欠損が生じず、その結晶構造が崩れない。
第二のスパッタガス雰囲気は酸化ガス含有率が高いため、高エネルギーイオンである酸化ガスイオン(酸素プラズマ)も多く発生するが、第一の電極膜15は第一の薄膜17で覆われているので、第一の電極膜15に高エネルギーイオンが直接入射せず、第一の電極膜15がダメージを受けない。
第二のスパッタガス雰囲気を維持しながら、ターゲット5のスパッタリングを第一の成膜工程の時より長時間続け、第一の薄膜17上にその膜厚よりも厚い第二の薄膜を成長させる。第二の薄膜の成膜開始から所定時間が経過し、第二の薄膜の膜厚が所定厚さに達したところで、ターゲット5のスパッタリングを停止し、第二の成膜工程を終了する。
図2(c)は第二の成膜工程終了後の状態を示しており、この状態では、基板11上に、第一、第二の薄膜17、18からなるキャパシタ誘電体膜16が形成されている。
キャパシタ誘電体膜16が形成された状態の基板11を不図示の成膜装置に搬入し、キャパシタ誘電体膜16上に所定パターンのPt膜からなる第二の電極膜を形成する。図2(d)の符号10はキャパシタ誘電体膜16上に第二の電極膜19が形成された状態の半導体素子を示している。
図3の符号10aは、その半導体素子の一例を示しており、基板11の第一の電極膜15が形成された側の面には、図2(a)〜図2(d)には図示しなかった層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13には開口が形成され、キャパシタ誘電体膜16はその開口の底面に位置する第一の電極膜15表面に密着して形成されている。
第二の電極膜19は開口以外の部分では、層間絶縁膜13によって絶縁されているが、開口内に位置するキャパシタ誘電体膜16は第一、第二の電極膜15、19で挟まれた状態になっており、キャパシタ誘電体膜16を挟んで対向する第一、第二の電極膜15、19間に電圧を印加すると、そのキャパシタ誘電体膜16が分極する。
この半導体素子10aは、例えばDRAMのような半導体メモリ素子の他に、薄膜コンデンサ、チューナブルデバイス、デカップリングデバイス等種々の用途に用いられる。
<実施例1>
希ガスからなる第一のスパッタガスを用いて10秒間スパッタリングして第一の成膜工程を行い、上述した基板11上に膜厚5nmの第一の薄膜17を形成した後、3分間アニール処理を行い、更に、希ガスの流量/酸化ガスの流量6/1である第二のスパッタガスを用いて第二の成膜工程を行い、膜厚95nmの第二の薄膜18を形成して、膜厚100nmの誘電体膜16を得た。更に、その誘電体膜16上に第二の電極膜19を形成して実施例1の半導体素子10aを得た。
尚、第一、第二の成膜工程に用いたターゲット5の構成材料はBa0.5Sr0.5TiO3であり、第一の成膜工程、アニール処理、及び第二の成膜工程における基板11温度は700℃、真空槽3内部の圧力は1Paであり、ターゲット5の投入電力は2W/cm2であった。
<実施例2>
アニール化処理を行わず、第一の成膜工程の直後に第二の成膜工程を行った以外は、上記実施例1と同じ条件で実施例2の半導体素子10aを作成した。
<比較例1>
第一の成膜工程を行わずに、上記第二のスパッタガスを用いて膜厚100nmの誘電体膜を作成した以外は、上記実施例1と同じ条件で比較例の半導体素子を作成した。
〔比誘電率、誘電損失〕
上記実施例1、2、比較例1の半導体素子10aの比誘電率と誘電損失を測定した。尚、比誘電率と、誘電損失の測定は、インピーダンスアナライザを第一、第二の電極膜15、19に接続して測定した。尚、比誘電率の値が大きい程、キャパシタ誘電体膜として適しており、逆に誘電損失は小さいほどキャパシタ誘電体膜として適している。
図4に比誘電率と誘電損失の測定結果を示す。図4から明らかなように、実施例1、2は比較例1に比べて誘電損失率が低く、第一の成膜工程の後に、第一のスパッタガスよりも酸化ガス含有量が多い第二のスパッタガスを用いて成膜を行えば、誘電損失率が小さい誘電体膜が得られることがわかる。
また、実施例2は実用上十分な比誘電率が得られているが、実施例1は実施例2よりも比誘電率が高く、第一の成膜工程と第二の成膜工程の間でアニール化を行うことで、比誘電率が向上することがわかる。
〔基板加熱温度試験〕
第一の成膜工程、アニール化工程及び第二の成膜工程における基板の加熱温度を350℃以上700℃以下の範囲の変化させて誘電体膜16の成膜を行い、複数の半導体素子10を作成した(実施例)。
ここでは、第一のスパッタガスと、ターゲット5は上記実施例1と同じものを用いた。第一の成膜工程のスパッタリング時間は10秒間、第一、第二の成膜工程及びアニール化工程における真空槽3内の圧力を0.42Pa、第二の成膜工程のスパッタリング時間を700秒、第二のスパッタガスの希ガスの流量が30sccm、酸化ガスの流量が10sccm、ターゲット5の投入電力が1400Wで、誘電体膜16の総膜厚が100nm(1000Å)であった。
これとは別に、第一、第二の成膜工程の両方で、上記第二のスパッタガスを用い、基板11の加熱温度を350℃以上750℃以下で誘電体膜の成膜を行い、複数の半導体素子を得た(比較例)。
実施例の各半導体素子と、比較例の各半導体素子について比誘電率と誘電損失を測定した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、比誘電率は加熱温度が高くなる程高く、実施例、比較例において350度以上750℃以下の広い温度範囲で、実用上十分な比誘電率が測定された。他方、誘電損失は加熱温度による影響が少なく、比較例に比べて各加熱温度の実施例で誘電損失の値が低くなった。
〔第一の成膜工程の酸化ガス含有率〕
第一のスパッタガスの酸化ガス(O2)含有率を、0%、2.5%、10%に変化させて第一の成膜工程を行った後、アニール化工程と第二の成膜工程を行い誘電体膜16を形成した。更に誘電体膜16上に第二の電極膜19を形成して3種類の半導体素子10を得た。
尚、投入電力と、真空槽3内の圧力と、第二の成膜工程の条件と、ターゲット5の種類と、アニール化の条件は上記「基板加熱温度試験」と同じとした。また、基板11の加熱温度は450℃とした。
これら3種類の半導体素子について比誘電率と誘電損失を測定した。図6は比誘電率と誘電損失の測定結果を示すグラフであり、図6から明らかなように、第一の成膜工程における酸化ガスの含有率を0%以上25%以下の範囲で変化させても、誘電損失と比誘電率に大きな変化が見られず、少なくとも第一のスパッタガス雰囲気の酸化ガス含有率が0%以上25%以下の間では、比誘電率と誘電損失の値が実用上十分な値になることがわかる。
〔スパッタリング時間(第一の成膜工程)〕
第一の成膜工程でのスパッタリング時間を0秒、5秒、10秒、20秒と変化させて第一の成膜工程を行った後、アニール化工程と第二の成膜工程を行い誘電体膜16を形成した。更に誘電体膜16上に第二の電極膜19を形成して4種類の半導体素子10を得た。
尚、投入電力と、真空槽3内の圧力と、第二の成膜工程の条件と、ターゲット5の種類と、アニール化の条件は上記「基板加熱温度試験」と同じとした。また、基板11の加熱温度は450℃とした。
これら4種類の半導体素子10について比誘電率と誘電損失を測定した。その結果を図7に示す。尚、図7中横軸のカッコ内の数値は第一の薄膜17の膜厚を示しており、第一の薄膜17の膜厚はスパッタリング時間に比例することがわかる。
図7から明らかなように、比誘電率は、第一の成膜工程のスパッタリング時間が変わっても大きな変化が見られなかったが、誘電損失は第一の成膜工程を行わなかった場合(スパッタリング時間0秒)で大きく、第一の成膜工程を5秒以上にした場合には、誘電損失の値が実用上十分な程度に低くなった。
以上述べたとおり、酸化ガスの含有率の低い第一のスパッタガス雰囲気で誘電体薄膜の成膜を行った後、酸化ガスの含有率の高い第二のスパッタガス雰囲気で誘電体薄膜の成膜を行えば、誘電損失の値が小さいキャパシタ誘電体膜が得られる。
以上は、BSTのターゲット5を用いて、BSTのキャパシタ誘電体膜16する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、BST以外にも、STO(SrTiO3-y)、又はPZT(Pb(Zr,Ti)O3-z)のような他の誘電体材料のターゲットを用いてキャパシタ誘電体膜16を形成することができる。
スパッタガスに用いる希ガスはArガスに限定されるものではなく、Neガスも用いることができる。また、第一、第二のスパッタガスに同じ種類の希ガスを用いる必要もなく、第一、第二のスパッタガスに互いに異なる種類の希ガスを用いることもできる。
酸化ガスはO2ガスに限定されず、誘電体材料に酸素を補完可能なものであれば、例えばO3ガスを用いることが可能であり、これらの酸化ガスは単独で用いてもよいし、2種類を一緒に用いてもよい。また、第一、第二のスパッタガス、又はアニール化処理の時に同じ種類の酸化ガスを用いる必要はなく、互いに異なる種類の酸化ガスを用いることもできる。
酸化ガスは特に限定されないが、例えばN2Oガスは、キャパシタ誘電体膜中に窒素原子が混入してしまい、H2Oは水素がBSTを還元してしまうのでこれらのガスは本発明には適さない。アニール化処理は、酸化ガスの存在下であれば、希ガスを供給せずに行ってもよい。
第一、第二の電極膜15、19を構成する電極材料はPtに限定されず、その電極材料にはPt以外にも、Ru、Ir、Rh、Auなど他の貴金属や、RuO2、IrO2、SrRuO3などの貴金属酸化物を用いることができる。また、電極材料としては、それら貴金属や貴金属酸化物以外にも、Ni、Cr等種々の導電材料を用いることが可能である。これらの電極材料は単独で用いてもよいし、2種類以上の電極材料を同じ電極膜に用いてもよい。また、第一、第二の電極膜15、19を互いに同じ電極材料で構成してもよいし、互いに異なる電極材料で構成してもよい。
また、バリア膜14の構成材料もTiO2に限定されず、酸素バリア性を有するものであれば、TiSiN、TaN、TiN、TiAlN、Al23等種々の材料でバリア膜を構成することができる。
また、基板11上に形成される各膜の構成や、積層の順番は特に限定されず、形成される膜の種類、数、及び積層の順番は、半導体素子の使用目的に応じて決められる。
以上は、第一の成膜工程と、アニール化処理と、第二の成膜工程を同じ真空槽3内部で連続して行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、第一の成膜工程の後、基板11を別の処理室へ搬入し、アニール化処理を行った後、再び第一の成膜工程と同じ成膜装置1へ戻して第二の成膜工程を行ってもよいし、各工程をそれぞれ別々の処理室で行ってもよい。
本発明に用いる成膜装置の一例を説明する断面図 (a)〜(d):本発明のキャパシタ誘電体膜の成膜工程の一例を説明する断面図 本発明で形成されたキャパシタ誘電体膜を有する半導体素子の一例を説明する断面図 比誘電率と誘電損失の測定結果を示すグラフ 基板加熱温度を変えた場合の比誘電率と誘電損失の変化を説明するグラフ 第一の成膜工程のスパッタリング時間を変えた場合の比誘電率と誘電損失の変化を説明するグラフ 第一の成膜工程の酸化ガス含有率を変えた場合の比誘電率と誘電損失の変化を説明するグラフ
符号の説明
1……成膜装置 2……ガス供給系 3……真空槽 10、10a……半導体装置 11……基板 15……電極膜(第一の電極膜) 16……

Claims (6)

  1. 真空槽内部に形成された第一のスパッタガス雰囲気中で誘電体材料のターゲットをスパッタリングし、前記真空槽内部に配置された基板の表面に第一の薄膜を形成する第一の成膜工程と、
    前記真空槽内部に第二のスパッタガス雰囲気を形成し、前記第二のスパッタガス雰囲気中で前記ターゲットをスパッタリングし、前記第一の薄膜上に第二の薄膜を形成する第二の工程とを有するキャパシタ誘電体膜の形成方法であって、
    前記第二のスパッタガス雰囲気の酸化ガスの含有率を、前記第一のスパッタガス雰囲気の前記酸化ガスの含有率よりも高くし、
    前記酸化ガスをO2ガスとO3ガスのいずれか一方又は両方で構成するキャパシタ誘電体膜の形成方法。
  2. 前記第一の成膜工程は、前記第一のスパッタガス雰囲気の前記酸化ガスの含有率をゼロにする請求項1記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法。
  3. 前記ターゲットは、(Ba,Sr)TiO3-xと、SrTiO3-yと、Pb(Zr,Ti)O3-zとからなる誘電体材料の群より選択されるいずれか1つの誘電体材料を含有する請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法。
  4. 前記基板の少なくとも一部表面には電極膜が露出され、
    前記キャパシタ誘電体膜は、前記電極膜の露出した表面に形成される請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法。
  5. 前記電極膜は貴金属と貴金属酸化物のいずれか一方又は両方を含有する請求項4記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法。
  6. 前記第一、第二の成膜工程は、前記基板を加熱しながら行う請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のキャパシタ誘電体膜の形成方法。
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