JP2006084635A - 光学素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複雑で微細な構造を有する光学素子を容易に製造する方法を提供する。
【解決手段】 基板1は、ガラス等の基礎基板1aの上に、紫外線硬化樹脂等からなる付加基板1bを接合したものであり、付加基板1bの表面には接着部2と光学部3が設けられ、光学部3の表面には凹凸構造が設けられている。基板4は、樹脂からなり、その表面には接着部5と光学部6が設けられ、光学部6の表面には凹凸構造が設けられている。基板1の接着部2と基板4の接着部5に接着剤を塗布し、(b)に示すように両者を接着する。すると、付加基板1bと基板4の間に空隙部7を有する光学素子が形成される。このようにして、表面に凹凸構造を有する基板を2枚組み合わせることにより、非常に細かいピッチの凹凸が形成された空隙部7を有し、しかも、その部分での空隙の高さが大きい、従来では製造できなかったような段差構造を有する光学素子を製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学素子、特に周期構造を有することにより所定の光学特性を発揮できる光学素子やフォトニック結晶等の光学素子の製造方法に関するものである。
微細加工技術の発達により、回折格子等、周期構造を有することにより所定の光学特性を発揮する光学素子や、様々な構造のフォトニック結晶が製造されるようになってきている。
このうち、フォトニック結晶を例に挙げると、2次元フォトニック結晶では円孔配列のフォトニック結晶が盛んに研究されている。3次元フォトニック結晶については、オパール法による3次元フォトニック結晶、ウエハー融着法による3次元フォトニック結晶が研究されている現状である。
しかしながら、オパール法による3次元フォトニック結晶の製造方法では、作製は容易であるが、任意に欠陥が導入できない、十分なバンドギャップが形成されないという問題点がある。また、ウエハー融着法による3次元フォトニック結晶の製造方法では、完全なバンドギャップ形成はできるものの、高精度な加工技術が必要であり、作製時間がかかり、大幅な設備投資が必要であり、かつ、大面積化が容易でない等の問題点がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複雑で微細な構造を有する光学素子を容易に製造する方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための第1の手段は、表面に凹凸構造が形成された複数枚の基板を、前記凹凸構造が形成された側の面同士を対面させて、互いの凹部と凸部の全てが接触することがないように貼り合わせる工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法(請求項1)である。
一般に凹凸構造を有する光学素子は、1枚の基板の表面に凹凸構造を形成して光学特性を持たせるか、2枚の屈折率が異なる基板の表面に、互いに嵌り合う凹凸構造を形成して嵌め合わせて接合することにより形成される。
しかし、このような方法で光学素子を形成しようとすると、凹凸のピッチが狭くなるに従い、アスペクト比が制限される関係上、凹凸の段差も小さくせざるをえず、かつ、多様な段差を形成することが困難となる。
本手段においては、表面に凹凸構造が形成された複数枚の基板を、凹凸構造が形成された側の面同士を対面させて貼り合わせるようにしているので、たとえば2枚の基板を貼り合わせた場合、凹凸の段差(空隙部の高さの差)を1枚の基板の場合の倍とすることができ、かつ、段差の種類も多様なものとすることができる。貼り合わせる基板が多数枚に及ぶ場合は、中間に挟まれる基板の両面に凹凸構造を形成すればよく、このように3枚以上の基板を用いることにより、さらに複雑な光学特性を有するものとすることができる。
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、少なくとも1枚の基板に形成された前記凹凸構造のピッチの最小値が320nm以下であり、段差の最大値が500nm以上であることを特徴とするもの(請求項2)である。
前述のように、前記第1の手段は、凹凸構造のピッチが細かく、凹凸の段差が大きい場合に、従来技術では製造が困難であったような光学素子を製造することができる。よって、1枚の基板として、凹凸構造のピッチの最小値が320nm以下であり、段差の最大値が500nm以上であるものを使用すると、特に効果が大きい。
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、貼り合わせによって形成された空隙部のピッチの最小値が320nm以下であり、高さの最大値が1μm以上であることを特徴とするもの(請求項3)である。
前述のように、前記第1の手段は、凹凸構造のピッチが細かく、凹凸の段差が大きい場合に、従来技術では製造が困難であったような光学素子を製造することができる。よって、貼り合わせによって形成された空隙部のピッチの最小値が320nm以下であり、高さの最大値が1μm以上であるようにすると、特に効果が大きい。なお、本明細書及び特許請求の範囲でいう「空隙部」とは、基板と基板の間の空隙部をいい、そこに気体や液体、ナノ分子膜やポリマー等の固体が充填されている場合を含むものである。
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、前記凹凸構造が形成された面同士を対面させて貼り合わせた光学素子の貼り合わせ面の間隔が50nm以下であることを特徴とするもの(請求項4)である。
貼り合わせ面の間隔を50nm以下とすることにより、貼り合わせ精度が良くなって、回折パターンがきれいになり、波面収差がでにくくなる。又、0次光の発生を低減することができる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、前記基板の屈折率が、2種類以上であることを特徴とするもの(請求項5)である。
第1の手段から第4の手段においては、張り合わされた基板の凹部と凸部の全てが接触することがないので、2つの基板の間に空隙部が存在する。よって、これらを考慮すると、本手段は、3種類の屈折率を有する層が積層されてできた光学素子となる。光学素子に含まれる層の屈折率の種類が多くなるほど、設計の自由度が増し、かつ、種々の特性を有する光学素子を形成可能となる。
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第1の手段から第4の手段のいずれかであって、前記基板として、光学特性に関係しない部分にアライメントマークが形成されたものを使用し、基板同士を貼り合わせる際に、前記アライメントマークを基準として位置合わせを行うことを特徴とするもの(請求項5)である。
本手段においては、アライメントマークを基準にして重ね合わせる基板の位置合わせを行っているので、正確な位置合わせができ、従って、設計値に近い光学特性を有する光学素子を形成することができる。
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第5の手段のいずれかであって、前記基板として、光学特性に関係する部分の周囲に凹部を有し、さらにこの凹部に隣接して凸部を有するものを少なくとも1枚使用し、前記凸部を貼り合わせ面とすることを特徴とするもの(請求項6)である。
本手段においては、前記凸部を貼り合わせ面として基板を貼り合わせたときに、貼り合わせ面からあふれ出た接着剤が凹部に溜まり、光学特性に関係する部分に流れ込まないので、接着剤により光学特性が設計値と異なるものになるのを防止することができる。
前記課題を解決するための第7の手段は、前記第1の手段から第6の手段のいずれかであって、少なくとも1枚の前記基板面の凹凸構造が、型からのスタンピング、又は型を利用した成型により形成されたものであることを特徴とするもの(請求項7)である。
本手段においては、少なくとも1枚の基板面の凹凸構造が、型からのスタンピング、又は型を利用した成型により形成されたものであるので、安価で多数枚の凹凸構造を有する基板を製造することができ、これらの基板を使用して光学素子を製造することができる。
前記課題を解決するための第8の手段は、前記第1の手段から第7の手段のいずれかであって、前記光学素子がフォトニック結晶であることを特徴とするもの(請求項8)である。
前記前記第1の手段から第7の手段によれば、微細で複雑な構造を有する光学素子を容易に製造することができる。よって、フォトニック結晶の製造に特に有利である。
本発明によれば、複雑で微細な構造を有する光学素子を容易に製造する方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の第1の例である光学素子の製造方法を示す図である。(a)には2枚の基板1と4が示されている。基板1は、ガラス等の基礎基板1aの上に、紫外線硬化樹脂等からなる付加基板1bを接合したものであり、付加基板1bの表面には接着部2と光学部3が設けられ、光学部3の表面には凹凸構造が設けられている。
このような基板1を作るには、例えばリソグラフィにより表面にレジストの凹凸構造を有する型を形成し、その型と基礎基板1aとを対面させて、その間に紫外線硬化樹脂を注入して、紫外線を照射し、硬化した紫外線硬化樹脂を型から剥離することにより、基礎基板1aと一体となった付加基板1bを形成するという周知の方法を採用することができる。
レジストの凹凸構造の上にニッケルめっき等を施した型を使用してもよいし、レジストの凹凸構造を有する母型から、樹脂により形成されるレプリカを作成し、このレプリカを型として用いてもよい。これらの技術は、光ディスク等を製造する技術として周知のものであるので、その説明を省略する。
基板4は、樹脂からなり、その表面には接着部5と光学部6が設けられ、光学部6の表面には凹凸構造が設けられている。基板4は、例えば、樹脂の表面に凹凸を有する型を押し付けてスタンピングを行うことにより形成される。この技術や型の形成方法は、光ディスク等を製造する技術として周知のものであるので、その説明を省略する。
基板の凹凸の形成方法としては、この他に、ガラス等の基板の上にレジストを塗布してステッパにより露光し、レジストを現像した後、ドライエッチングによりレジストと基板を同時にエッチングして、レジストのパターンを基板に転写する周知の方法も採用可能である。
基板1の付加基板1bと基板4の材質は同じである場合も異なる場合もある。光学部3と光学部6に構成される凹凸の最小ピッチは、320nm以下であり、凸部と凹部の高さの差の最高値は500nm以上とされている。なお、図1は断面図であり、紙面の奥行き方向にも、同様な凹凸構造が形成され、光学部3と光学部6に形成される凹凸構造は、高さまで考慮すると3次元的なものとなっている。
このようにして形成された基板1の接着部2と基板4の接着部5に接着剤を塗布し、(b)に示すように両者を接着する。すると、付加基板1bと基板4の間に空隙部7を有する光学素子が形成される。この空隙部7のピッチには320nm以下の部分があり、空隙部の高さの最大値は1μm以上である。光学部3の凸部と光学部6の凸部とが接触する部分があるので、空隙部の高さの最小値は0である。
このようにして、表面に凹凸構造を有する基板を2枚組み合わせることにより、320nm以下という非常に細かいピッチの凹凸が形成された空隙部7を有し、しかも、その部分での空隙の高さが1μm以上というような、従来では製造できなかったような段差構造を有する光学素子を製造することができる。
しかも、付加基板1bの表面の凹凸のピッチと、基板4の表面の凹凸のピッチをずらすことにより、非常に複雑な形状を持った空隙部7を形成することができ、複雑な光学特性を有する光学素子を製造することが可能となる。
なお、空隙部7には、空気以外の気体を充填したり、所定の屈折率を有する液体を充填したりしてもよく、又、この空隙は真空としてもよい。このことは、後に示す実施の形態においても同じである。
図2は、本発明の実施の形態の第2の例である光学素子の製造方法を示す図である。(a)には2枚の基板1と4が示されている。これらの基板1と基板4とは、図1に示されたものと同じものである。以下の説明においては、前出の図に示された構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略することがある。
(a)には第3の基板8が示されている。この基板8は樹脂からなり、両面に接着部9,10を有すると共に、光学部11,12を有している。光学部11.12には、凹凸構造が形成されている。基板8の材質は付加基板1b、基板4の一方又は両方と同じであってもよいし、付加基板1b、基板4とは屈折率の異なる物質で形成されていてもよい。基板8の製造方法は、例えば型を対向させ、その間に紫外線硬化樹脂を注入して紫外線を照射して硬化させてもよいし、両側から型で押圧して成型してもよい。
このような3つの基板の接着部2,9,10,5に接着剤を塗布し、基板8を中心にして重ね合わせて接着する。すると、(b)のような構造を有する光学素子が形成される。付加基板1bと基板8、基板8と基板4の間にそれぞれ空隙部13,14が形成される。空隙部13,14には、空気の他に他の気体や液体を封入してもよいし、空隙部13に封入される物質と空隙部14に封入される物質を変えるようにしてもよい。又、この空隙部は真空としてもよい。このようにして3層構造の基板とその間の空隙から構成される複雑な構造を有する光学素子が形成される。
4層以上の基板を有する光学素子を形成する場合には、例えば、基板8のように両面に光学部を有し、その光学部に凹凸構造が形成されたものを必要数積層して接着し、その両側を、片側に凹凸構造が形成された基板で挟んで接着すればよい。なお、前述の何れの場合においても、接着剤の厚さはなるべく薄くし、50nm以下とすることが好ましい。これ以上になると、波面収差の影響で、回折パターンがきれいに現れなくなったり、0次光が多くなったりする可能性がある。
さらに、図1、図2においては、基礎基板1aの表面、基板4の光学部6と反対側の表面は平面としているが、これらの面に光学的パワーを持たせるような形状としてもよい。
図3は、本発明の実施の形態の第3の例である光学素子の製造方法を示す図である。(a)は(b)におけるA−A断面図、(b)は平面図である。
基板21には、接着部21a、光学部21bの他に、光学部21bを取り囲むように、接着部21aとの間に凹部21cが形成され、同様に基板22には、接着部22a、光学部22bの他に、凹部22cが形成されている。接着部21a,22aに接着剤23を塗布して、基板21と22とを接着する。その際、各々の基板21、22に形成されたアライメントマーク24を基準にして位置合わせを行う。アライメントマークは、接着部21a、22aに対応する位置に形成されている。
接着に際し、接着剤23が、接着部21a、22aの外側にはみ出すが、内側にはみ出した接着剤23は、図に示すように凹部21c、22cの中に溜まり込み、光学部21b、22b中に入り込むことがないので、接着剤23により光学特性が悪化することが避けられる。なお、図3においては、凹部を基板21と22の両方に設けているが、接着する際に下側になる基板(図3においては基板22)側に設けるのみでもよい。
以上説明した実施の形態においては、一組の基板から1つの光学素子を製造する例を説明した。しかし、1つの基板に複数の光学素子を形成し、それを後にダイシング等によって切断して複数の光学素子を分離して取り出したり、複数の光学素子をアレイとして使用する場合がある。このような光学素子の製造方法は、上述の説明から、当業者は容易に類推することができるであろう。
本発明の実施の形態の第1の例である光学素子の製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態の第2の例である光学素子の製造方法を示す図である。 本発明の実施の形態の第3の例である光学素子の製造方法を示す図である。
符号の説明
1…基板、1a…基礎基板。1b…付加基板、2…接着部、3…光学部、4…基板、5…接着部、6…光学部、7…空隙部、8…基板、9…接着部、10…接着部、11…光学部、12…光学部、14…空隙部、21…基板、21a…接着部、21b…光学部、21c…凹部、22…基板、22a…接着部、22b…光学部、22c…凹部、23…接着剤、24…アライメントマーク

Claims (9)

  1. 表面に凹凸構造が形成された複数枚の基板を、前記凹凸構造が形成された側の面同士を対面させて、互いの凹部と凸部の全てが接触することがないように貼り合わせる工程を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
  2. 少なくとも1枚の基板に形成された前記凹凸構造のピッチの最小値が320nm以下であり、段差の最大値が500nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学素子の製造方法であって、貼り合わせによって形成された空隙部のピッチの最小値が320nm以下であり、高さの最大値が1μm以上であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法であって、前記凹凸構造が形成された側の面同士を対面させて貼り合わせた光学素子の貼り合わせ面の間隔が50nm以下であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  5. 前記基板の屈折率が、2種類以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記基板として、光学特性に関係しない部分にアライメントマークが形成されたものを使用し、基板同士を貼り合わせる際に、前記アライメントマークを基準として位置合わせを行うことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  7. 前記基板として、光学特性に関係する部分の周囲に凹部を有し、さらにこの凹部に隣接して凸部を有するものを少なくとも1枚使用し、前記凸部を貼り合わせ面とすることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  8. 少なくとも1枚の前記基板面の凹凸構造が、型からのスタンピング、又は型を利用した成型により形成されたものであることを特徴とする請求項1から請求項7のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  9. 前記光学素子がフォトニック結晶であることを特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
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