JP2006084323A - 隙間検査装置 - Google Patents

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裕之 北澤
Tsutomu Kamiyama
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Abstract

【課題】長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間を短時間に安定して測定することができる隙間検査装置を提供する。
【解決手段】スリットノズル2を固定保持するとともに、超音波プローブ40,50をスリットノズル2の外側に所定間隔にて対向配置する。超音波プローブ40から出射された超音波が平板2aの内壁面によって反射された反射波RS2が超音波プローブ40に到達するまでの時間から超音波プローブ40と平板2aの内壁面との間の距離が求められる。同様に、超音波プローブ50から出射された超音波が平板2bの内壁面によって反射された反射波RS4が超音波プローブ50に到達するまでの時間から超音波プローブ50と平板2bの内壁面との間の距離が求められる。超音波プローブ40と超音波プローブ50との配置間隔からそれらを減算して隙間3の間隔を測定する。
【選択図】図3

Description

本発明は、第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズル、例えば半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)にフォトレジスト等を塗布する塗布ノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置に関する。
液晶ガラス基板や半導体ウェハに対しては、フォトレジスト(以下、単にレジスト)の塗布処理、露光処理、現像処理、熱処理等が所定の順序で施されて一連のフォトリソグラフィー処理が達成される。これらのうちのレジスト塗布工程において、従来は回転する基板にレジストを吐出して塗布するいわゆるスピンコート法が一般的であったが、近年は長尺状の隙間(スリット)を有するスリットノズルを静止状態の基板に対してスキャンさせつつ当該スリットからレジストを吐出して塗布する手法が採用されつつある。
特に近年、液晶ガラス基板の大型化が急速に進展しており、第7世代(1800mm×2200mm)の大型ガラス基板が実用化されようとしている。このような大型ガラス基板を高速で回転させることは実質的に不可能であり、大型ガラス基板に対してはスリットノズルを使用したレジスト塗布を採用せざるを得ない。
スリットノズルを使用したレジスト塗布において、基板上に形成されるレジスト膜の厚みは、スリットから吐出されるレジストの吐出量に概ね比例する。従って、基板上に均一なレジスト膜を形成しようとすると、スリットの開口幅をその長手方向の全長にわたって均一にする必要がある。このために、スリットノズルの長手方向に沿って配列された複数の圧電アクチュエータによってスリット開口幅を微調整する技術が特許文献1に開示されている。
特開2003−93944号公報
しかしながら、上述の如き大型ガラス基板にレジストを塗布するためのスリットノズルの長手方向長さは基板サイズ相応の長大なもの(1800mm以上)であり、その長さに対してスリットの開口幅は約100μm程度の極めて狭いものである。しかも、基板上に均一なレジスト膜を形成するためには、スリット開口幅のバラツキをその長大な長手方向全長にわたって約±3%以下に調整する必要ある。よって、スリット開口幅の調整前後における隙間検査は非常に重要である。
従来のスリットノズルの隙間検査は、顕微鏡を使用してスリット開口部を撮像した画像を所定の画像処理によって解析するという手法が主流であった。ところが、スリットの開口部には数μm程度のダレやカエリといった加工誤差が不可避的に存在しており、顕微鏡の焦点合わせ位置によって計測されるスリットの隙間間隔が異なることとなっていた。顕微鏡の焦点合わせ位置は検査作業者の経験や主観によるところが大きく、このことが計測誤差を生じさせる要因となっていた。特に、ノズルの長手方向に沿ってスキャン計測する場合には、計測点ごとに焦点合わせが必要となるが、多数の計測点の全てについて同じ基準で焦点合わせを行うことは至難であり、計測誤差が大きくならざるを得なかった。
また、所定厚さに精密加工された隙間ゲージ(限界ゲージ)をスリットの開口部に挿入して隙間間隔を比較計測するという手法も行われてきた。しかし、±1μm以下の精度の隙間ゲージを製作することは極めて困難であるとともにコストも著しく上昇する。そして、隙間ゲージの材質が柔らかい場合には摩耗によってゲージ厚さが変化し、硬い場合にはスリット内壁を損傷させるという問題があった。
また、薄板状エアーマイクロメータを使用してスリット開口部の隙間間隔を計測する手法も提案されているが、やはり計測ツールをスリットに挿入しなければならないためスリット内壁を損傷させるおそれがあるとともに、比較計測であるため絶対値の測定には不向きであった。さらに、スリットの隙間から吐出される流体(気体または液体)の流量を計測するという手法も検討されているが、この手法では隙間間隔の平均値しか測定できず、しかも流体の蒸発やスリット開口部での表面張力による偏り、凝集等によって正確な流量を測定することが極めて困難であるという問題がある。
このため、実際には検査対象のスリットノズルによって基板に試験的にレジストを塗布し、形成されたレジスト膜の膜厚を測定した結果に基づいてスリット開口幅の微調整がなされていた。しかしながら、上記のような大型ガラス基板に形成されたレジスト膜の膜厚均一性を計測するためには、相当数の計測点について膜厚測定を行わなければならず、スリット開口幅の調整作業は膨大な時間を要するものとなっていた。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間を短時間に安定して測定することができる隙間検査装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置において、前記第1平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される超音波プローブと、前記超音波プローブから出射された超音波が前記第1平板の内壁面によって反射された反射波が前記超音波プローブに到達する時刻と前記第2平板の内壁面によって反射された反射波が前記超音波プローブに到達する時刻との時間差に基づいて前記間隔を算定する算定手段と、を備える。
また、請求項2の発明は、第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置において、前記第1平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される第1超音波プローブと、前記第1超音波プローブと所定の配置間隔を隔てて対向配置され、前記第2平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される第2超音波プローブと、前記第1超音波プローブから出射された超音波が前記第1平板の内壁面によって反射された反射波が前記第1超音波プローブに到達するまでの時間から求められる前記第1超音波プローブと前記第1平板の内壁面との距離と、前記第2超音波プローブから出射された超音波が前記第2平板の内壁面によって反射された反射波が前記第2超音波プローブに到達するまでの時間から求められる前記第2超音波プローブと前記第2平板の内壁面との距離と、を前記第1超音波プローブと前記第2超音波プローブとの前記配置間隔から減ずることによって前記隙間の間隔を算定する算定手段と、を備える。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る隙間検査装置において、前記第1超音波プローブおよび前記第2超音波プローブを前記第1平板および前記第2平板に対して平面的に走査させる駆動手段をさらに備える。
また、請求項4の発明は、第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置において、前記第1平板の外壁面に所定の入射角にて電磁波を出射する送信部と、前記送信部から出射された電磁波が前記第1平板の内壁面によって反射された第1反射波および前記第2平板の内壁面によって反射された第2反射波を受信する受信部と、前記第1反射波と前記第2反射波との受信位置間隔および前記入射角から前記隙間の間隔を算定する算定手段と、を備える。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る隙間検査装置において、前記電磁波を光とし、前記ノズルを該光を透過する材質にて形成している。
請求項1の発明によれば、超音波プローブから出射された超音波が第1平板の内壁面によって反射された反射波が超音波プローブに到達する時刻と第2平板の内壁面によって反射された反射波が超音波プローブに到達する時刻との時間差に基づいて間隔を算定するため、超音波を使用した非破壊検査によりノズルの隙間を短時間に安定して測定することができる。
また、請求項2の発明によれば、第1超音波プローブから出射された超音波が第1平板の内壁面によって反射された反射波が第1超音波プローブに到達するまでの時間から求められる第1超音波プローブと第1平板の内壁面との距離と、第2超音波プローブから出射された超音波が第2平板の内壁面によって反射された反射波が第2超音波プローブに到達するまでの時間から求められる第2超音波プローブと第2平板の内壁面との距離と、を第1超音波プローブと第2超音波プローブとの配置間隔から減ずることによって隙間の間隔を算定するため、超音波を使用した非破壊検査によりノズルの隙間を短時間に安定して測定することができる。
また、請求項3の発明によれば、第1超音波プローブおよび第2超音波プローブを第1平板および第2平板に対して平面的に走査させるため、隙間間隔の平面プロファイルを計測することができる。
また、請求項4の発明によれば、送信部から出射された電磁波が第1平板の内壁面によって反射された第1反射波と第2平板の内壁面によって反射された第2反射波との受信位置間隔および送信部からの入射角から隙間の間隔を算定するため、電磁波を使用した非破壊検査によりノズルの隙間を短時間に安定して測定することができる。
また、請求項5の発明によれば、電磁波を光とし、ノズルを該光を透過する材質にて形成しているため、光を使用した非破壊検査によりノズルの隙間を短時間に安定して測定することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<1.第1実施形態>
図1は、本発明に係る隙間検査装置の一例を示す外観斜視図である。また、図2は該隙間検査装置の側面図である。なお、図1,2および以降の各図においては、それらの方向関係を明確にするため必要に応じてZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
隙間検査装置1は、直動ガイド10、スライド基台20、保持アーム30および一対の超音波プローブ40,50を備える。スライド基台20は、X軸方向に沿って伸びる直動ガイド10に対してスライド移動自在に係合している。スライド基台20の底部にはリニアモータ21が固定設置されている。直動ガイド10は磁性材料によって形成されており、リニアモータ21に電力を供給することによってスライド基台20を直動ガイド10に沿って移動させようとする推力が発生する。その結果、スライド基台20は直動ガイド10に沿ってX軸方向にスライド移動を行う。このときに、リニアモータ21に供給する電力を制御することによって、スライド基台20の移動と停止および移動速度を制御することができる。なお、直動ガイド10に永久磁石を埋め込む形式としても良い。また、リニアモータ推進方式に代えて、回転式のモータを使用したボールネジ駆動機構またはベルト駆動機構を採用するようにしても良い。
保持アーム30は断面コの字形状であって、その基部はスライド基台20の中空部分を貫通している。スライド基台20の内部には昇降モータ22が内蔵されており、該昇降モータ22によって回転駆動されるボールネジ23と保持アーム30に連結された駆動板31とが螺合している。よって、昇降モータ22がボールネジ23を正または逆方向に回転させると、駆動板31に連結されている保持アーム30が鉛直方向(Z軸方向)に沿って昇降移動する。このときに、昇降モータ22に供給する電力を制御することによって、保持アーム30の移動と停止および移動速度を制御することができる。なお、ボールネジを使用した昇降機構に代えて、ベルト駆動機構を採用するようにしても良い。
保持アーム30の一端部には超音波プローブ40が設置され、他端部には超音波プローブ50が取り付けられている。超音波プローブ40と超音波プローブ50とは所定の配置間隔を隔てて対向配置されている。超音波プローブ40,50は保持アーム30に固設されているものであるため、リニアモータ21および昇降モータ22によってそれぞれX軸方向およびZ軸方向に移動される。
超音波プローブ40,50は設置位置が異なるのみであってともに同一の機能を有するものである。超音波プローブ40,50は入力された電気信号をメガヘルツ帯の超音波に変換して出射するとともに、受信した超音波を電気信号に変換する。
超音波プローブ40,50は、それぞれ測定器60に電気的に接続されている。測定器60は、超音波プローブ40,50に電気パルス信号を入力するとともに、超音波プローブ40,50から送信された電気信号に基づいて種々の演算処理を行う。その具体的な演算処理処理内容については後述する。
また、隙間検査装置1による検査対象となるスリットノズル2は、液晶ガラス基板にレジストを塗布するものである。スリットノズル2は、平板2aと平板2bとに挟まれて形成される長尺状の隙間3からレジストを吐出する。静止状態にて水平姿勢に保持された液晶ガラス基板の上方に所定間隔を隔てて配置したスリットノズル2の隙間3から所定流量にてレジストを吐出しつつ、スリットノズル2をその長手方向と垂直な水平方向に一定速度で移動させることによって該液晶ガラス基板の全面にレジストが塗布される。
レジスト塗布処理の際に、液晶ガラス基板上に均一にレジストを塗布するためには、隙間3の間隔(平板2aと平板2bとの間の間隔)をスリットノズル2の全長にわたって均一にしなければならない。一方、近年の液晶ガラス基板の大型化に伴ってスリットノズル2の長手方向長さが長大化していることは上述した通りである。よって、スリットノズル2の全長にわたって隙間3の間隔を均一に調整することが困難になってきており、このために隙間検査装置1を使用して以下のように隙間3の間隔を測定して隙間検査を行うのである。
図3は、第1実施形態の隙間検査装置1による隙間測定の原理を示す図である。隙間検査を行うときには、図1に示した如く、スリットノズル2を固定保持するとともに、超音波プローブ40,50をそれぞれスリットノズル2の平板2a,2bの外壁面に対向させる。超音波プローブ40と超音波プローブ50との配置間隔はスリットノズル2の全幅(平板2aの外壁面と平板2bの外壁面との距離)より若干大きな所定値となるように予め厳密に調整しておく。超音波プローブ40,50の端面には封止材として伝播封止液9が塗布されており、超音波プローブ40,50をスリットノズル2の両側面に対向配置させることによって、超音波プローブ40,50の端面と平板2a,2bの外壁面との間が伝播封止液9によって充填されることとなる。その結果、超音波プローブ40,50と平板2a,2bの外壁面とがそれぞれ伝播封止液9を介して音響的に接触することとなる。なお、伝播封止液9としては、音波を伝播し易く比較的比重の重い例えばグリセリン系の液体等を用いれば良い。また、封止材としては、液体の伝播封止液9に限定されるものではなく、音波を伝播する性質を有する材質であればよく、例えば固体であっても良い。
このような状態にて、超音波プローブ40,50をXZ平面内にてスキャンさせつつ(つまり平板2a,2bに対して平面的に走査させつつ)一定時間間隔にて超音波プローブ40,50から超音波パルスを照射して隙間3の間隔を測定する。具体的には、リニアモータ21によって超音波プローブ40,50をX軸方向(主走査方向)にスキャンさせ、昇降モータ22によって超音波プローブ40,50をZ軸方向(副走査方向)にスキャンさせる。そして、一定時間間隔にて測定器60から超音波プローブ40,50に電気パルス信号を入力することにより、超音波プローブ40,50からスリットノズル2に向けて一定時間間隔にて超音波パルスを照射する。このようにして、スリットノズル2の隙間3に対して平面的に複数測定点にて間隔測定がなされることとなる。なお、超音波プローブ40,50から超音波パルスを照射する際には超音波プローブ40,50を一旦停止するようにしても良い。
次に、一測定点における隙間3の間隔測定についてさらに説明を続ける。超音波プローブ40から超音波パルスUS1を照射すると同時に、超音波プローブ50から超音波パルスUS2を照射する。超音波パルスUS1,US2の周波数は20MHz〜100MHzであれば良く、本実施形態では20MHzの超音波を照射する超音波プローブ40,50を使用している。なお、第1実施形態のスリットノズル2は超音波を伝播する金属材料にて形成されている。
超音波プローブ40から出射された超音波パルスUS1は、伝播封止液9中を伝播して平板2aの外壁面に到達し、その一部は該外壁面で反射して超音波プローブ40に到達し、残部は平板2aの内部に入射する。平板2aの内部に入射した超音波パルスUS1は、平板2aの内壁面で反射して再び伝播封止液9中を伝播して超音波プローブ40に到達する。すなわち、超音波プローブ40から超音波パルスUS1を出射した結果、平板2aの外壁面で反射された反射波RS1と平板2aの内壁面で反射された反射波RS2が超音波プローブ40に到達することとなる。これらの反射波RS1,RS2は超音波プローブ40によって電気信号に変換され、測定器60に伝達される。
図4は、測定器60によって観測される反射波を示す図である。同図における縦軸は超音波プローブ40に到達した反射波の強度(実際にはその反射波が変換された電気信号の電圧)を示し、横軸は超音波プローブ40から超音波パルスUS1を出射してからの経過時間を示す。図4に示すように、測定器60からは反射波RS1,RS2のピークを観測することができる。なお、実際には、超音波パルスUS1が平板2aの内壁面と外壁面との間で多重反射するため多数の反射波が観測されるのであるが、そのような多重反射の後に超音波プローブ40に到達した反射波は減衰によって上記反射波RS1,RS2に比較すると著しく強度が低下しているため、大きなピークとしては観測されず、図4では省略している。
超音波プローブ40から超音波パルスUS1が出射されてから平板2aの外壁面で反射された反射波RS1が超音波プローブ40に到達するまでの経過時間T1と、伝播封止液中における音速V1とに基づいて、測定器60は次の数1から伝播封止液9の厚みL1を算出する。
Figure 2006084323
また、測定器60は、次の数2から平板2aの厚みL2を算出する。数2において、T2は超音波プローブ40から超音波パルスUS1が出射されてから平板2aの内壁面で反射された反射波RS2が超音波プローブ40に到達するまでの経過時間であり、V2は平板2aの構成材料中における音速である。
Figure 2006084323
このようにして、超音波プローブ40から出射された超音波が平板2aの内壁面によって反射された反射波RS2が超音波プローブ40に到達するまでの時間から超音波プローブ40と平板2aの内壁面との間の距離(L1+L2)が測定器60によって求められる。
同様に、超音波プローブ50から出射された超音波パルスUS2は、伝播封止液9中を伝播して平板2bの外壁面に到達し、その一部は該外壁面で反射して超音波プローブ50に到達し、残部は平板2bの内部に入射する。平板2bの内部に入射した超音波パルスUS2は、平板2bの内壁面で反射して再び伝播封止液9中を伝播して超音波プローブ50に到達する。すなわち、超音波プローブ50から超音波パルスUS2を出射した結果、平板2bの外壁面で反射された反射波RS3と平板2bの内壁面で反射された反射波RS4が超音波プローブ50に到達することとなる。これらの反射波RS3,RS4は超音波プローブ50によって電気信号に変換され、測定器60に伝達される。
図4にて説明したのと同様に、測定器60からは反射波RS3,RS4のピークを観測することができる。超音波プローブ50から超音波パルスUS2が出射されてから平板2bの外壁面で反射された反射波RS3が超音波プローブ50に到達するまでの経過時間T3と、伝播封止液中における音速V1とに基づいて、測定器60は次の数3から伝播封止液9の厚みL3を算出する。なお、数1によって求められる厚みL1は超音波プローブ40と平板2aの外壁面との間の伝播封止液9の厚みであり、数3によって求められる厚みL3は超音波プローブ50と平板2bの外壁面との間の伝播封止液9の厚みである。
Figure 2006084323
また、測定器60は、次の数4から平板2bの厚みL4を算出する。数4において、T4は超音波プローブ50から超音波パルスUS2が出射されてから平板2bの内壁面で反射された反射波RS4が超音波プローブ50に到達するまでの経過時間であり、V2は平板2bの構成材料中における音速(平板2aの構成材料中における音速と同じ)である。
Figure 2006084323
このようにして、超音波プローブ50から出射された超音波が平板2bの内壁面によって反射された反射波RS4が超音波プローブ50に到達するまでの時間から超音波プローブ50と平板2bの内壁面との間の距離(L3+L4)が測定器60によって求められる。
続いて、測定器60は以下の数5から隙間3の間隔Wdを算定する。数5において、WTは超音波プローブ40と超音波プローブ50との配置間隔である。すなわち、超音波プローブ40と超音波プローブ50との配置間隔WTから超音波プローブ40と平板2aの内壁面との間の距離(L1+L2)および超音波プローブ50と平板2bの内壁面との間の距離(L3+L4)を減算することによって、スリットノズル2の隙間3の間隔Wdを求めるのである。
Figure 2006084323
以上のようにすることによって、スリットノズル2の隙間3の間隔を短時間のうちに安定して確実に測定することができる。しかも、超音波を使用した非破壊検査であるため、スリットノズル2の内壁を損傷するおそれもない。
また、超音波プローブ40,50をXZ平面内にて自動スキャンさせつつ上記間隔測定を複数点で行うことによって、スリットノズル2の隙間3の間隔の平面プロファイル(XZ面内分布)を把握することができる。換言すれば、スリットノズル2の隙間3を3次元的に計測することができるのである。
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態ではスリットノズル2の両側に超音波プローブ40,50を配置していたが、第2実施形態の隙間検査装置では、スリットノズル2の片側のみに1個の超音波プローブ40を配置している。第2実施形態の隙間検査装置の装置構成は保持アーム30の一端部のみに超音波プローブ40が設置されいる点を除いては第1実施形態と同じである(図1参照)。
図5は、第2実施形態の隙間検査装置による隙間測定の原理を示す図である。第2実施形態において隙間検査を行うときには、スリットノズル2を固定保持するとともに、超音波プローブ40をスリットノズル2の平板2aの外壁面に対向させる。超音波プローブ40の端面には伝播封止液9が塗布されており、超音波プローブ40をスリットノズル2の平板2aの外壁面に対向配置させることによって、超音波プローブ40の端面と平板2aの外壁面との間が伝播封止液9によって充填されることとなる。その結果、超音波プローブ40と平板2aの外壁面とが伝播封止液9を介して音響的に接触することとなる。
また、第2実施形態においては、スリットノズル2の隙間3にも伝播封止液8が充填されている。伝播封止液8の材質は伝播封止液9と同じである。隙間3に充填された伝播封止液8は、表面張力と伝播封止液8の粘性とによって隙間3に保持される。
このような状態にて、超音波プローブ40をXZ平面内にてスキャンさせつつ一定時間間隔にて超音波プローブ40から超音波パルスを照射して隙間3の間隔を測定する。具体的には、リニアモータ21によって超音波プローブ40をX軸方向(主走査方向)にスキャンさせ、昇降モータ22によって超音波プローブ40をZ軸方向(副走査方向)にスキャンさせる。そして、一定時間間隔にて測定器60から超音波プローブ40に電気パルス信号を入力することにより、超音波プローブ40からスリットノズル2に向けて一定時間間隔にて超音波パルスを照射する。このようにして、スリットノズル2の隙間3に対して平面的に複数測定点にて間隔測定がなされることとなる。
ある測定点にて間隔測定を行うときには、超音波プローブ40から超音波パルスUS3を照射する。なお、第2実施形態では、50MHzの超音波を照射する超音波プローブ40を使用している。超音波プローブ40から出射された超音波パルスUS3は、伝播封止液9中を伝播して平板2aの外壁面に到達し、その一部は該外壁面で反射して超音波プローブ40に到達し、残部は平板2aの内部に入射する。平板2aの内部に入射した超音波パルスUS3は平板2aの内壁面に到達し、その一部は該内壁面で反射して超音波プローブ40に到達し、残部は隙間3に充填された伝播封止液8中を伝播して平板2bの内壁面で反射する。平板2bの内壁面で反射した超音波は再び平板2aおよび伝播封止液9中を伝播して超音波プローブ40に到達する。すなわち、超音波プローブ40から超音波パルスUS3を出射した結果、平板2aの外壁面で反射された反射波RS5と平板2aの内壁面で反射された反射波RS6と平板2bの内壁面で反射された反射波RS7とが超音波プローブ40に到達することとなる。これらの反射波RS5,RS6,RS7は超音波プローブ40によって電気信号に変換され、測定器60に伝達される。
図6は、測定器60によって観測される反射波を示す図である。同図における縦軸は超音波プローブ40に到達した反射波の強度を示し、横軸は超音波プローブ40から超音波パルスUS3を出射してからの経過時間を示す。図6に示すように、測定器60からは反射波RS5,RS6,RS7のピークを観測することができる。なお、上記第1実施形態と同様に、超音波パルスUS3が平板2aの内壁面と外壁面との間で多重反射するため多数の反射波が観測されるのであるが、そのような多重反射の後に超音波プローブ40に到達した反射波は減衰によって上記反射波RS5,RS6,RS7に比較すると著しく強度が低下しているため、大きなピークとしては観測されず、図6では省略している。
超音波プローブ40から超音波パルスUS3が出射されてから平板2aの外壁面で反射された反射波RS5が超音波プローブ40に到達するまでの経過時間T5と、伝播封止液中における音速V1とに基づいて、測定器60は次の数6から伝播封止液9の厚みL5を算出する。
Figure 2006084323
また、測定器60は、次の数7から平板2aの厚みL6を算出する。数7において、T6は超音波プローブ40から超音波パルスUS3が出射されてから平板2aの内壁面で反射された反射波RS6が超音波プローブ40に到達するまでの経過時間であり、V2は平板2aの構成材料中における音速である。
Figure 2006084323
さらに、測定器60は、次の数8から伝播封止液8の厚み、つまり隙間3の間隔Wdを算出する。数8において、T7は超音波プローブ40から超音波パルスUS3が出射されてから平板2bの内壁面で反射された反射波RS7が超音波プローブ40に到達するまでの経過時間である。
Figure 2006084323
第2実施形態ではこのようにして、超音波プローブ40から出射された超音波が平板2aの内壁面によって反射された反射波RS6が超音波プローブ40に到達する時刻と平板2bの内壁面によって反射された反射波RS7が超音波プローブ40に到達する時刻との時間差に基づいて隙間3の間隔Wdを算定する。
以上のようにすることによって、第2実施形態においてもスリットノズル2の隙間3の間隔を短時間のうちに安定して確実に測定することができる。しかも、超音波を使用した非破壊検査であるため、スリットノズル2の内壁を損傷するおそれもない。また、第1実施形態と同様に、超音波プローブ40をXZ平面内にて自動スキャンさせつつ上記間隔測定を複数点で行うことによって、スリットノズル2の隙間3の間隔の平面プロファイル(XZ面内分布)を把握することができる。
もっとも、第1実施形態の測定技術では超音波が通過する伝播封止液の層が一層のみ(超音波プローブ40,50とスリットノズル2との間の伝播封止液9)であるため、±1μmの計測精度を得るために必要な投入周波数は20MHzで足りるのに対して、第2実施形態では超音波が二層の伝播封止液(伝播封止液8,9)を通過しなければならないため、±1μmの計測精度を得るために必要な投入周波数が高くなり、50MHz以上が必要となる。このような50MHz以上の高周波数帯域ではスリットノズル2を構成する金属材料中における減衰が大きく、第2実施形態の如き片面からの測定では平板2aの厚みが20mm以下程度でなければ反射波の受信が困難である。
また、第2実施形態では超音波が二層の伝播封止液を通過しなければならないため、超音波の減衰が大きくならざるを得ず、測定精度の点では第1実施形態の測定手法の方が高い。特に、第2実施形態においては、スリットノズル2の狭い隙間3に充填した伝播封止液8から気泡が抜けにくく、このような気泡が多数存在すると、反射波RS7が乱れるため正確な計測が困難となる。
また、第1実施形態では隙間測定後にスリットノズル2の外壁面のみを洗浄すれば十分であるのに対して、第2実施形態ではスリットノズル2の隙間3にも伝播封止液を充填するため、計測後に隙間3内部の洗浄が必要であり、場合によっては分解洗浄が必要となり、非破壊検査の意義が薄くなる。
さらに、第1実施形態では超音波プローブ40と超音波プローブ50との配置間隔を精密に設定しておけばそれらとスリットノズル2外壁との間隔が多少ばらついたとしても隙間3を正確に測定することが可能であったが、第2実施形態では超音波プローブ40とスリットノズル2外壁との間隔がX軸方向に沿ってばらつくと測定誤差が大きくなる原因となる。
<3.第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1および第2実施形態では超音波によってスリットノズル2の隙間3の間隔を測定していたが、第3実施形態では光を利用して隙間検査を行っている。スリットノズル2が光を透過するガラスや石英等によって形成されている場合には、第3実施形態のようにして隙間3の間隔を測定することもできる。
第3実施形態の隙間検査装置の装置構成は、保持アーム30の一端部のみに透光子70および受光子80を設置した点を除いて図1に示したのと概ね同じである。図7は、第3実施形態の隙間検査装置による隙間測定の原理を示す図である。保持アーム30の一端部に透光子70および受光子80が鉛直方向(Z軸方向)に沿って並設されている。
第3実施形態において隙間検査を行うときには、スリットノズル2を固定保持するとともに、透光子70および受光子80をスリットノズル2の平板2aの外側に位置させる。そして、透光子70および受光子80をXZ平面内にてスキャンさせつつ一定時間間隔にて透光子70から光(例えばレーザ光)を出射して隙間3の間隔を測定する。具体的には、リニアモータ21によって透光子70および受光子80をX軸方向(主走査方向)にスキャンさせ、昇降モータ22によって透光子70および受光子80をZ軸方向(副走査方向)にスキャンさせる。そして、透光子70および受光子80をXZ平面内にてスキャンさせつつ一定時間間隔にて透光子70から光(例えばレーザ光)を出射することにより、スリットノズル2の隙間3に対して平面的に複数測定点にて間隔測定がなされることとなる。
ある測定点にて間隔測定を行うときには、透光子70がスリットノズル2の平板2aの外壁面に所定の入射角θにて光を出射する。透光子70から出射されて平板2aに入射した入射波LS1の一部は平板2aの内壁面で反射し、他の一部は平板2bの内壁面で反射する。受光子80は、平板2aの内壁面で反射した反射波LS2および平板2bの内壁面で反射した反射波LS3の双方を受光可能な位置に配置されている。受光子80は、CCD素子を二次元的に配列したCCDアレイを備えており、受光した反射波LS2および反射波LS3を電気信号に変換して測定器60に伝達する。測定器60は、受光子80によって受光された反射波LS2と反射波LS3との受光位置間隔(光路幅L)を計測する。なお、平板2aの内壁面と平板2bの内壁面とは平行であるため、反射波LS2の光路と反射波LS3の光路も互いに平行であり、上記受光位置間隔と光路幅Lとは等値である。
そして、測定器60は、次の数9から隙間3の間隔Wdを算出する。つまり、測定器60は、受光子80によって受光された反射波LS2と反射波LS3との受光位置間隔(光路幅L)および透光子70から出射された光の入射角θからスリットノズル2の隙間3の間隔Wdを算出する。
Figure 2006084323
以上のようにすることによって、第3実施形態においてもスリットノズル2の隙間3の間隔を短時間のうちに安定して確実に測定することができる。しかも、光を使用した非破壊検査であるため、スリットノズル2の内壁を損傷するおそれもない。また、第1実施形態と同様に、透光子70および受光子80をXZ平面内にて自動スキャンさせつつ上記間隔測定を複数点で行うことによって、スリットノズル2の隙間3の間隔の平面プロファイル(XZ面内分布)を把握することができる。
なお、第3実施形態のように光を使用して間隔測定を行う場合には、スリットノズル2の材質の密度変化や内部応力の偏在の影響が大きいため、内部状態を均一にすることが重要である。
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記各実施形態においては、リニアモータ21および昇降モータ22によって超音波プローブ40を自動的にスキャンさせるようにしていたが、これを手動によってスキャンさせるようにしても良い。
また、第2実施形態において、超音波プローブ40をスリットノズル2の平板2bの外壁面に対向配置するようにしても良い。
また、上記第3実施形態においては、レーザ光を使用して間隔測定を行っていたが、赤外光等を使用するようにしてもよい。また、第3実施形態における計測媒体は光に限定されるものではなく、他の電磁波であっても良い。この場合、スリットノズル2の材質を透過する性質を有する電磁波を使用しなければならない。また、電磁波としてX線等を使用する場合には防護のための安全対策をとらなければならないことも勿論である。
上記各実施形態の隙間検査装置による検査対象となるのは、液晶ガラス基板にレジストを塗布するスリットノズルに限定されるものではなく、二つの平板に挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルであれば良く、例えばシート・フィルム等の押出成形に使用するT−ダイや気体を噴射する水切り用のブローノズルの気体噴射スリットの隙間計測にも本発明に係る測定技術を適用することができる。
本発明に係る隙間検査装置の一例を示す外観斜視図である。 図1の隙間検査装置の側面図である。 第1実施形態の隙間検査装置による隙間測定の原理を示す図である。 測定器によって観測される反射波を示す図である。 第2実施形態の隙間検査装置による隙間測定の原理を示す図である。 測定器によって観測される第2実施形態の反射波を示す図である。 第3実施形態の隙間検査装置による隙間測定の原理を示す図である。
符号の説明
1 隙間検査装置
2 スリットノズル
2a,2b 平板
3 隙間
8,9 伝播封止液
21 リニアモータ
22 昇降モータ
40,50 超音波プローブ
60 測定器
70 透光子
80 受光子

Claims (5)

  1. 第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置であって、
    前記第1平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される超音波プローブと、
    前記超音波プローブから出射された超音波が前記第1平板の内壁面によって反射された反射波が前記超音波プローブに到達する時刻と前記第2平板の内壁面によって反射された反射波が前記超音波プローブに到達する時刻との時間差に基づいて前記間隔を算定する算定手段と、
    を備えることを特徴とする隙間検査装置。
  2. 第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置であって、
    前記第1平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される第1超音波プローブと、
    前記第1超音波プローブと所定の配置間隔を隔てて対向配置され、前記第2平板の外壁面と封止材を介して音響的に接触される第2超音波プローブと、
    前記第1超音波プローブから出射された超音波が前記第1平板の内壁面によって反射された反射波が前記第1超音波プローブに到達するまでの時間から求められる前記第1超音波プローブと前記第1平板の内壁面との距離と、前記第2超音波プローブから出射された超音波が前記第2平板の内壁面によって反射された反射波が前記第2超音波プローブに到達するまでの時間から求められる前記第2超音波プローブと前記第2平板の内壁面との距離と、を前記第1超音波プローブと前記第2超音波プローブとの前記配置間隔から減ずることによって前記隙間の間隔を算定する算定手段と、
    を備えることを特徴とする隙間検査装置。
  3. 請求項2記載の隙間検査装置において、
    前記第1超音波プローブおよび前記第2超音波プローブを前記第1平板および前記第2平板に対して平面的に走査させる駆動手段をさらに備えることを特徴とする隙間検査装置。
  4. 第1平板と第2平板とに挟まれて形成される長尺状の隙間から流体を吐出するノズルの当該隙間の間隔を測定する隙間検査装置であって、
    前記第1平板の外壁面に所定の入射角にて電磁波を出射する送信部と、
    前記送信部から出射された電磁波が前記第1平板の内壁面によって反射された第1反射波および前記第2平板の内壁面によって反射された第2反射波を受信する受信部と、
    前記第1反射波と前記第2反射波との受信位置間隔および前記入射角から前記隙間の間隔を算定する算定手段と、
    を備えることを特徴とする隙間検査装置。
  5. 請求項4記載の隙間検査装置において、
    前記電磁波は光であり、
    前記ノズルは該光を透過する材質にて形成されていることを特徴とする隙間検査装置。
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