JP2006083283A - ポリオレフィン系樹脂組成物およびこれよりなる易離解性防湿紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(A)99.9〜1重量%にポリプロピレン系樹脂(B)0.1〜99重量%を配合する。
(a)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下、(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、(c)式(1)と式(2)を共に満たし、
MS190>22×MFR−0.88 (1)
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(d)吸熱曲線のピークが一つである
【選択図】 選択図なし
Description
(a)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下、
(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、
(c)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に、160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである
以下、本発明について詳細に説明する。
MS190>22×MFR−0.88 (1)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(1)’
MS190>30×MFR−0.88 (1)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(1)”
MS190>7+30×MFR−0.88 (1)”
で示される関係にある。(1)式を満たさない場合、成形加工性に劣る恐れがある。
MS160>110−110×log(MFR) (2)
で示される関係にあり、好ましくは下記式(2)’
MS160>195−110×log(MFR) (2)’
で示される関係にあり、さらに好ましくは下記式(2)”
MS160>205−110×log(MFR) (2)”
で示される関係にある。(2)式を満たさない場合、成形加工性に劣る恐れがある。
0.5<log(g’)/log(g)<1.0 (3)’
さらに、Mwの3倍の絶対分子量におけるg値(g3M)とMwの1倍の絶対分子量におけるg値(gM)の間には、式(4)、好ましくは式(4)’、さらに好ましくは式(4)”で示される関係があることが、成形加工性の観点から望ましい。
0<g3M/gM≦0.9 (4)’
0<g3M/gM≦0.8 (4)”
本発明に用いられるポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(h)Mnが2,000以上であり、
(i)Mw/Mnが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することによって得られたものであることが望ましい。マクロモノマーとは、末端にビニル基を有するオレフィン重合体であり、好ましくはエチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、さらに好ましくは任意に用いられる炭素数3以上のオレフィンに由来する分岐以外の分岐のうち、長鎖分岐(すなわち、13C−NMR測定で検出されるヘキシル基以上の分岐)が、主鎖メチレン炭素1,000個当たり0.01個未満である、末端にビニル基を有する直鎖状エチレン重合体または直鎖状エチレン共重合体である。
Z=[X/(X+Y)]×2 (5)
(ここで、Xはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりのビニル末端数であり、Yはマクロモノマーの主鎖メチレン炭素1,000個当たりの飽和末端数である。)
で表されるビニル末端数と飽和末端数の比(Z)は0.25以上1以下であり、好ましくは0.50以上1以下である。XおよびYは、1H−NMR、13C−NMRまたはFT−IR等で求められる。例えば、13C−NMRにおいて、ビニル末端は114ppm、139ppm、飽和末端は32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークにより、その存在および量が確認できる。
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定した。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を140℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は1.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。分子量の検量線は、分子量既知のポリスチレン試料を用いて校正されている。なお、MwおよびMnは直鎖状ポリエチレン換算の値として求めた。
収縮因子(g’値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂の[η]を測定する手法で求めたMwの3倍の絶対分子量における[η]を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における[η]で除した値である。GPC装置としては東ソー(株)製 HLC−8121GPC/HTを用い、カラムとしては東ソー(株)製 TSKgel GMHhr−H(20)HTを用い、カラム温度を145℃に設定し、溶離液として1,2,4−トリクロロベンゼンを用いて測定した。測定試料は2.0mg/mLの濃度で調製し、0.3mL注入して測定した。粘度計は、Viscotek社製 キャピラリー差圧粘度計210R+を用いた。
収縮因子(g値)は、GPCによって分別したポリエチレン系樹脂を、光散乱によって慣性半径を測定する手法で求めた。本発明に用いるポリエチレン系樹脂のMwの3倍の絶対分子量における慣性半径の二乗平均を、分岐が全くないHDPEの同一分子量における慣性半径の二乗平均で除した値である。光散乱検出器としては、Wyatt Technology社製 多角度光散乱検出器DAWV EOSを用い、690nmの波長で、29.5°、33.3°、39.0°、44.8°、50.7°、57.5°、64.4°、72.3°、81.1°、90.0°、98.9°、107.7°、116.6°、125.4°、133.2°、140.0°、145.8°の検出角度で測定した。
ビニル末端、飽和末端などのマクロモノマーの末端構造は、日本電子(株)製 JNM−ECA400型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。溶媒はテトラクロロエタン−d2である。ビニル末端数は、主鎖メチレン炭素(化学シフト:30ppm)1,000個当たりの個数として114ppm、139ppmのピークの平均値から求めた。また、飽和末端数は、同様に32.3ppm、22.9ppm、14.1ppmのピークの平均値から求めた。このビニル末端数(X)と飽和末端数(Y)から、Z=[X/(X+Y)]×2を求めた。
密度は、JIS K6922−1(1998)に準拠して密度勾配管法で測定した。
MFRは、JIS K6922−1(1998)に準拠して190℃、2.16kg荷重で測定した。ただし、ポリプロピレン系樹脂に関しては、230℃、2.16kg荷重で測定を実施した。
ポリエチレン系樹脂の長鎖分岐数は、日本電子(株)製 JNM−GSX270型核磁気共鳴装置を用いて、13C−NMRによって測定した。
溶融張力(MS)は、バレル直径9.55mmの毛管粘度計(東洋精機製作所、商品名:キャピログラフ)に、長さ(L)が8mm、直径(D)が2.095mm、流入角が90°のダイを装着し測定した。MSは、温度を160℃または190℃に設定し、ピストン降下速度を10mm/分、延伸比を47に設定し、引き取りに必要な荷重(mN)をMSとした。
DSC(パーキンエルマー社製、商品名:DSC−7)を用いて測定を行なった。5〜10mgのポリエチレン系樹脂をアルミニウムパンに挿填し、DSCに設置した後、80℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、230℃で3分間放置する。その後、10℃/分の降温速度で−10℃まで冷却し、再度10℃/分の昇温速度で−10℃から150℃まで昇温する手順で昇温/降温操作を行い、2回目の昇温時に観測される吸熱曲線のピーク数を評価した。
家庭用ジューサーミキサー(テスコム ジューサーミキサー TM−3−A)に水0.4Lを注ぎ、その中に10cm×10cmの積層体を入れた。静置状態で60分間放置した後、ジューサーミキサーのスイッチを入れて3分間攪拌を行った。攪拌後、積層体を取り出し、目視観察を実施した。
JIS K6922−2に従い、引張試験を実施し、破断伸びを測定した。試験片は圧縮成形によって作成した。圧縮成形の加熱温度は200℃、加熱時間は3分間、圧力は10MPaとし、冷却温度は30℃とした。
引張試験片用に圧縮成形した試料をサンプルとし、ウルトラミクロトームにて調製した超薄切片を四酸化ルテニウムにて染色した後、透過電子顕微鏡(日本電子製 JEM−2000FX)を用いて観察した。
[変性ヘクトライトの調製]
水60mLにエタノール60mLと37%濃塩酸2.0mLを加えた後、得られた溶液にN,N−ジメチルオクタデシルアミン 6.55g(0.022mol)を添加し、60℃に加熱することによって、N,N−ジメチルオクタデシルアミン塩酸塩溶液を調製した。この溶液にヘクトライト20gを加えた。この懸濁液を60℃で3時間撹拌し、上澄液を除去した後、60℃の水1Lで洗浄した。その後、60℃、10−3torrで24時間乾燥し、ジェットミルで粉砕することによって、平均粒径5.2μmの変性ヘクトライトを得た。元素分析の結果、変性ヘクトライト1g当たりのイオン量は0.85mmolであった。
上記変性ヘクトライト8.0gをヘキサン29mLに懸濁させ、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714M)46mLを添加し、室温で1時間攪拌することにより、変性ヘクトライトとトリイソブチルアルミニウムの接触生成物を得た。一方、ジメチルシランジイルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド14.0mg(40μmol)をトルエンに溶解させたものを添加し、室温で一晩攪拌することにより、触媒スラリー(100g/L)を得た。
10Lオートクレーブに、ヘキサン6,000mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5mLを導入し、オートクレーブの内温を90℃に昇温した。このオートクレーブに、前記[マクロモノマー製造用触媒の調製]で調製した触媒スラリー25mLを添加し、エチレンを分圧が1.2MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が1.2MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を90℃に制御した。重合開始16分後に、内温を50℃まで降温してオートクレーブの内圧を0.1MPaまで脱圧した後、オートクレーブに窒素を0.6MPaになるまで導入して脱圧した。この操作を5回繰り返した。このオートクレーブから抜き出したマクロモノマーのMnは9,600、Mw/Mnは2.30であり、13C−NMRによりマクロモノマーの末端構造を解析したところ、ビニル末端数と飽和末端数の比(Z)はZ=0.57であった。また、13C−NMRにおいてメチル分岐が1,000炭素原子当たり0.52個、エチル分岐が1,000炭素原子当たり1.22個検出された。さらに、13C−NMRにおいて長鎖分岐は検出されなかった。
上記で製造したマクロモノマーが含まれる10Lオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(0.714mol/L)5mLとジフェニルメチレン(1−シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド 100μmolを導入し、オートクレーブの内温を85℃に昇温した。エチレンを分圧が0.1MPaになるまで導入して重合を開始した。重合中、分圧が0.1MPaに保たれるようにエチレンを連続的に導入した。また、重合温度を85℃に制御した。重合開始75分後に、オートクレーブの内圧を脱圧した後、内容物を吸引ろ過した。乾燥後、805gのポリマーが得られた。得られたポリエチレンのMFRは53g/10分、密度は972kg/m3、Mwは4.1×104、Mw/Mnは3.7、長鎖分岐数は0.03個/1,000炭素であった。その他の物性を表1〜3に示す。
実施例1で用いたポリプロピレン系樹脂の代わりに長鎖分岐ポリプロピレン(Montell社製、Profax Ultra HMS−PP PF623、MFR=18g/10分、密度910kg/m3)を用いた以外は同じ方法で目的の組成物を得て、各種試験を実施した。
実施例1で用いたポリエチレンの代わりに市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード#2000、東ソー(株)製、MFR=15g/10分、密度960kg/m3)を用いて同様の方法で混合物を得て、溶融張力、MFR、引張試験を実施した。また、押出ラミネート成形を試みたが、溶融膜が安定せず、積層体を得ることができなかった。
市販の高密度ポリエチレン(ニポロンハード#2500、東ソー(株)製、MFR=8g/10分、密度961kg/m3)50重量%と低密度ポリエチレン(ペトロセン203、東ソー(株)製、MFR=8g/10分、密度919kg/m3)50重量%を混合し、実施例1で用いたポリエチレンの代わりに用いる以外は実施例1と同様の方法で混合物を得て、各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
市販の低密度ポリエチレン(ペトロセン203、東ソー(株)製、MFR=8g/10分、密度919kg/m3)を実施例1で用いたポリエチレンの代わりに用いる以外は実施例1と同様の方法で混合物を得て、各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
市販のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(アフィニティPT1450、ダウケミカル社製、MFR=7.5g/10分、密度902kg/m3)を実施例1で用いたポリエチレンの代わりに用いる以外は実施例1と同様の方法で混合物を得て、各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
実施例1においてポリプロピレン系樹脂を混合しない以外は同じ方法で各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
実施例1においてポリエチレンを混合しない以外は同じ方法で各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
実施例2においてポリエチレンを混合しない以外は同じ方法で各種試験を実施した。結果を表5に示すが、離解性に乏しいことがわかる。
Claims (4)
- 下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(A)99.9〜1重量%とポリプロピレン系樹脂(B)0.1〜99重量%からなることを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
(a)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下、
(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、
(c)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に、160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである - 下記(a)〜(d)の要件を満たすポリエチレン系樹脂(A)99〜30重量%とポリプロピレン系樹脂(B)1〜70重量%からなり、下記(e)〜(g)の要件を満たすことを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
(a)密度が890kg/m3以上980kg/m3以下、
(b)炭素数6以上の長鎖分岐数が1,000個の炭素原子当たり0.01個以上3個以下、
(c)190℃で測定した溶融張力(MS190)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(1)
MS190>22×MFR−0.88 (1)
を満たすと共に、160℃で測定した溶融張力(MS160)(mN)と2.16kg荷重のMFR(g/10分、190℃)が、下記式(2)を満たし、
MS160>110−110×log(MFR) (2)
(d)示差走査型熱量計による昇温測定において得られる吸熱曲線のピークが一つである
(e)190℃、2.16kg荷重のMFRが20g/10分以上150g/10分以下、
(f)ポリエチレン系樹脂(A)を連続相、ポリプロピレン系樹脂(B)を分散相とする海−島型の相分離構造を形成し、
(g)JIS K6922−2にて測定した引張破断伸びが10%以下 - エチレンを重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン重合体、またはエチレンと炭素数3以上のオレフィンを共重合することによって得られる末端にビニル基を有するエチレン共重合体であり、
(h)Mnが2,000以上であり、
(i)Mw/Mnが2以上5以下である
マクロモノマーの存在下に、エチレンおよび任意に炭素数3以上のオレフィンを重合することにより得られるポリエチレン系樹脂(A)を用いることを特徴とする請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。 - 基材に紙を用い、請求項1〜3に記載のポリオレフィン系樹脂組成物を押出ラミネートして得られる易離解性防湿紙。
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