JP2006082135A - 鋼板の検査方法、製造方法、及び熱延鋼板の製造設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱間圧延後の酸洗工程における酸洗槽8の入側に、超音波探傷設備20を設けて、搬送中の熱延鋼板の欠陥について連続的に探傷を行い、その探傷による探傷情報に基づき、当該探傷位置よりも上流側の鋳造条件等の工程条件を修正する。
【選択図】 図1
Description
また、欠陥が検出されても、下流側での検出では冷延鋼板の転用先が限定され、例えば,製品寸法に精整された後に発見された場合には、検査後の板の向け先の変更を行うことができずにスクラップ材となり、歩留りの低下が大きく不経済であった。
また、各処理ラインに分かれる前の冷間圧延機出側に探傷装置を設置することも考えられるが、板の搬送速度が速すぎて探傷装置による検出反応が追いつかず、実現困難である。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、鋼板欠陥に対する対策が立てやすく且つ早期に鋼板欠陥に対する応答が可能な鋼板の検査や製造等を提供することを課題としている。
次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対し、熱間圧延後に酸洗工程を備えた設備において、上記探傷を、酸洗工程で行うことを特徴とするものである。
次に、請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した構成に対し、上記探傷を行う前に鋼板の形状を平坦に矯正することを特徴とするものである。
次に、請求項5に記載した発明は、熱延鋼板を製造する際に、熱間圧延後に、搬送中の鋼板の欠陥について連続的に探傷を行い、その探傷による探傷情報に基づき、当該探傷位置よりも上流側の工程条件を修正することを特徴とする熱延鋼板の製造方法を提供するものである。
次に、請求項7に記載した発明は、熱間圧延された熱延鋼板の処理設備に、搬送される熱延鋼板の欠陥を連続的に探傷する探傷装置を配設したことを特徴とする熱延鋼板の処理設備を提供するものである。
次に、請求項9に記載した発明は、請求項7または請求項8に記載した構成に対し、上記探傷装置の上流および下流に張力付与手段を配置したことを特徴とするものである。
次に、請求項10に記載した発明は、請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載した構成に対し、上記探傷装置は酸洗工程に配置されることを特徴とするものである。
ここに、熱延鋼板の処理設備とは、文字通り、熱延鋼板を処理する設備であり、冷延鋼板を製造する設備においては、熱間圧延後から冷間圧延前に配置される設備であり、熱延鋼板を製造する設備にあっては、熱間圧延後から熱延製品出荷前までの設備を指す。
なお、本発明が対象とする欠陥とは、介在物等による内部欠陥や、スリバ、ヘゲ、スケール疵、ガウジ等の、介在物に起因した、あるいは介在物(酸化鉄も含む)を巻き込むなどして含む表面欠陥を指す。本発明の方法によりこれらの欠陥はすべて検出可能であるが、特定の欠陥に限定して検査を行つても良いことは言うまでもない。
また、熱間圧延工程と冷間圧延工程との間には、通常,熱延鋼板の酸洗工程があり、この酸洗工程での鋼板の搬送速度は、熱間圧延工程や冷間圧延工程での搬送速度よりも遅く、しかも比較的に搬送速度の自由度が大きいことに鑑み、探傷装置の設置位置としては、酸洗工程が好適である。さらに、探傷装置が水浸漬法つまり水中で探傷を行う構成であれば、水に浸漬した鋼板の乾燥が不要な点で酸洗槽の入側が好適となる。
また、巻き戻されて連続的に搬送される鋼板(鋼帯)を全幅にわたり連続的に探傷できる探傷装置としては、漏洩磁束法による探傷装置と、超音波を利用した探傷装置とが考えられる。
ここで、超音波探傷装置としては、板波UT法,集束ビームUT法,透過型配置での反射型探傷法(以下、超音波ラインセンサとも称する)が考えられる。
この点、集束ビームUT法や超音波ラインセンサは、非接触で検査が行われるために、上記問題はなく、つまり、鋼板の搬送の際のパスライン変動による影響が小さく有利である。
このようなことから、超音波探傷装置のうち、検出部を、非接触で且つ透過型配置(鋼板を挟んで送信部及び受信部を配置)での反射型探傷を行う超音波ラインセンサを利用したものが好適である。
なお、超音波探傷装置による探傷は、超音波プローブと鋼板との良好な音響結合を維持するため、つまり検出精度を上げるために、液体中で行うことが好ましい。
また、本発明は、上工程でしかも製造工程が分かれる前である、熱間圧延後から冷間圧延前(熱延鋼板を製造する場合には熱間圧延後)の工程で欠陥の検出を行う。このため、欠陥を、早期に且つその欠陥の原因発生位置に近い位置で検出するために、その原因是正の対策が取りやすく且つ早期に対応できる。
また、各冷延鋼板が分流する冷間圧延前に欠陥の探傷を行うことで、その探傷情報に基づき、鋼板毎に下流の工程条件を変えて欠陥に応じた冷延鋼板の処理が行えたり、冷延後に振り分ける冷延鋼板の処理ラインを、欠陥状況に応じて適正に選択可能となる。
また、欠陥の原因特定が容易となると共に早期に欠陥に対する対応を図ることができて、熱延鋼板の歩留りが向上すると共に鋼板の品質向上も図られる。
なお、この方式は、他の金属板、例えばAlやCuの帯状体を作る工程で採用しても同様の効果が発揮された。
次に、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態は、冷延鋼板の製造設備に係るものである。その設備は、上流側から、高炉−転炉−(脱ガス処理設備)−連続鋳造設備−(スラブ保管)−熱間圧延−熱延鋼板の酸洗工程−冷間圧延工程−連続焼鈍工程−(2次冷間圧延や箱焼鈍工程−)調質圧延工程−精整工程からなり、冷延後の処理ライン(連続焼鈍工程−調質圧延工程−精整工程)が、最終製品に応じて複数の処理ラインに分かれる。なお、上記冷間圧延工程後の処理ラインは一例であり、冷延鋼板の鋼種によっては、例えば,めっき処理工程等の工程がある場合もある。
ここで、上記テンションレベラ6は、熱延鋼板15表面のスケールにクラックを入れて酸洗槽8での酸による洗浄を促進させる働きを持つと共に、探傷前に板の形状を矯正して平坦にする働きを持って、探傷のための形状矯正手段を兼ねる。また、探傷装置20の前後にあるブライドルロール5,7は、探傷位置において板に長手方向の引張力を付与する働きを持つ。すなわち、上記テンションレベラ6及びブライドルロール5,7は、超音波探傷装置20と共に探傷設備の一部を成す。
液槽21の入側には、第1の搬送ロール22が配置され、その第1の搬送ロール22と水中に全没の第2の搬送ロール23によって熱延鋼板15の搬送路が垂直下方に変更され液槽21内の水内に誘導される。水中に浸漬された熱延鋼板15は、水中に全没の第2及び第3の搬送ロール23,24によって、水平方向に搬送方向が曲げられ、続いて第3の搬送ロール24及び水面上方に位置する第3の搬送ロール24によって、垂直方向に搬送方向が曲げられて水中,つまり液槽21から出る。続けて、熱延鋼板15は、第4の搬送ロール25によって下流側ブライドルロール7側、つまり酸洗槽8側に誘導される。ここで、第1及び第4の搬送ロール22,25をそれぞれ2本のロールで構成されているのは、一旦,熱延鋼板15の搬送路の高さを高くして液槽21内に誘導可能とするものであり、必ずしも二つ必要なわけではない。
ここで、本実施形態では、気泡による検出精度の劣化を防止するため、熱延鋼板15を、水面に対し垂直に水中に進入し、熱延鋼板15が浸漬する際の気泡の発生を最低限に抑え、また、水から出た熱延鋼板15に付着した水を、水面近傍でリンガーロール32で絞り確実にリンガーロール32設置高さから液を落下させて、液受け33で受けて、落下した液が水面に直接衝突することを回避して、水面上方の熱延鋼板15部分から落下する液による気泡発生を防止する(図5参照)。なお、落下する液は、液受け33で受けるので、必ずしもリンガーロール32は必要ではないが、熱延鋼板15と共に水が下流工程へ搬送されることを防止するためと、液の落下高さを低くすることで、液受け33に衝突した液の跳ね上がりを小さくする効果を持つ。
ここで、必ずしもテンションレベラ6やブライドルロール5,7が必要なわけではないが、テンションレベラ6等が無いと、その分だけ探傷位置での熱延鋼板15の平坦度が劣化して検出精度が低下する。また形状矯正手段はテンションレベラ6に限定されず、たとえば調質圧延機等を使用してもよい。またブライドルロール5,7も張力付与手設であれば他の公知の手段を使用しても良い。
なお、上記実施形態では、検出精度を上げるため、ロールを全没させた水槽による水浸漬法を採用しているが、このような探傷方式に限定されるものではない。例えば、図8に示すような、鋼帯を搬送しつつ水(液体)をシールする2組のぺアーロール23'および24'を用いた、異なる水浸潰法を用いてもよい。また、浸潰しない大気中や雰囲気中での探傷方式も採用可能である。
また、上記実施形態では、酸洗工程に探傷設備を設けた例で説明しているが、熱間圧延と冷間圧延との間であれば、トリマーや冷間圧延の入側設備等の他の位置に上記探傷設備を設けてもよい。例えば、タンデム式冷間圧延機の入側設備である図6において、溶接機40の出側である符号K部分に上記探傷設備を介装すればよい(探傷設備は不図示)。なお、図6中、符号41がペイオフリール、符号42がルーパ、符号43が冷間圧延機を表す。
なお、冷延後の擦り疵の有無等の確認は、従来通り必要に応じて製品出荷前に行う。熱延鋼板15として出荷する場合も同様である。
上記冷延鋼板の製造設備において、1トン当たり0.3個(1平方m当たり0.005個)の介在物を含む鋼板を上記探傷設備で検査した結果、認識率ほぼ100%の割合で欠陥介在物が検出できたことを確認した。
ここで、上記ブライドルロール5,7による張力付与を行わない状態で探傷した場合には、認識率が99.5%程度に低下し、さらに、テンションレベラ6も利用しない場合は、認識率が99.0%程度に低下した。
このように、本発明に基づき欠陥の探傷を行うと、高精度に欠陥を検出できることが分かる。しかも1箇所で集中して、しかも早期に検出できる。
次に、本願発明に関する第2の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の設備・装置等は、同一の符号を付してその詳細説明は省略する。
この第2の実施形態は、熱延鋼板15の製造設備であって、酸洗工程までは、第1の実施形態と同様な装置構成となっているが、酸洗工程の下流に精整工程が配置されている。すなわち、高炉−転炉−(脱ガス処理設備)−連続鋳造設備−(スラブ保管)−熱間圧延−熱延鋼板の酸洗工程−精整工程の設備例から構成される。
他の構成及び作用・効果は、上記第1の実施形態と同様である。
すなわち、熱延鋼板15を製品として出荷する場合であっても、鋼板の欠陥が精度良く検出でき、高精度で品質管理を可能となる。
なお、探傷設備の設置は、酸洗工程に限定されず、酸洗工程と精整工程との間に別途設けるなどしても良い。
次に、第3の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の設備・装置等は、同一の符号を付してその詳細説明は省略する。
本実施形態は、冷延鋼板の製造設備についてのもので、上記第1の実施形態と同じ設備構成となって、酸洗工程や冷間圧延の入側設備など、熱間圧延と冷間圧延との間で、探傷設備により上述のように精度よく熱延鋼板15での欠陥を検出する。
例えば、缶用鋼板の製造設備を考えた場合、従来にあっては、介在物による内部欠陥等の本発明が対象とする欠陥の発見は、下工程であるめっき原板の検査や表面処理鋼板での検査、さらには製缶工程で製缶加工を行って初めて発見・指摘を受けていた。この結果、発見や指摘を受けても、その対策を講じるためには欠陥サンプルを取り寄せ、原因を推定した後、その不良品の製造工程履歴を見直し、不具合条件を見つけて対策を講じることになるので、原因解明及びその対策決定までに時間と手間が掛かり、その間に製造した多くの鋼板は、格下げ転用し、その補充を行うためには、当初の工程生産計画を組み直し、再生産を行わざるを得ず、その経済的打撃は非常に大きかった。
また、原因となる工程条件と探傷位置が近いことから、原因の特定も容易である。
しかも、本実施形態で採用したラインセンサ26による超音波探傷装置20は、欠陥の発生位置及び、欠陥の形状・寸法等に関する詳細な情報も得られるので即座に原因・対策を講じることができる。
上記超音波探傷装置20を利用し、その探傷情報を上工程にフィードバックするにあたり、先ず、以下の調査・確定を行った。なお、下記説明は、冷延鋼板として缶用鋼板を想定したものであるが、缶用鋼板に限定されるものではない。
まず、超音波探傷装置20が指示した熱延鋼板15の位置からサンプルを採取し、圧延方向断面と幅方向断面を顕微鏡で観察し、欠陥の種類及び発生工程により、次の3種類に分類し、発生工程に遡り、その3種類の分類について、原因と対策を結び付けた。
すなわち、(1)熱間圧延時に発生したスケールきず(Scale;ISIJ TR009−1980社団法人日本鉄鋼協会)、及びへげ(Scab)、(2)熱間仕上圧延機以後に生成するガウジ(Gouge)、(3)製鋼−連続鋳造で発生するスリバ(Sliver)、及びスキンインクルージョン(Skin Inclusion)を含む非全属介在物に大別した。この結果と探傷情報、すなわち、欠陥の熱延鋼板15の幅方向及び長さ幅方向での混入位置、形状、寸法とを対比し、工程基準とした。
製缶工程における缶用鋼板素材に起因する不良缶の許容は下記表1に示すように非常に厳しく、従来であれば不良缶発生率は1000ppm程度が下限であったが、最近では更に不良率を小さく抑える必要があり、不良缶を製缶ラインから除去するために、ラインを停止して、直接に人間が手を加えて復旧したとしても、不良缶発生率は100ppm程度が下限であった。
ここで、缶用鋼板は、自動車用鋼板等に比較して非常に厳しく、製缶速度、充填速度とも1000缶/分以上と、生産性も高く、また、収容物が食品のためもあって、上述のように、不良缶の発生管理は非常に厳しく、従来から研究・改善が進められている。
すなわち、缶用鋼板に使われる低炭素Alキルド鋼(C<0.10wt%、Al<0.15wt%)用の連続鋳造鋳片を製造するにあたって、230t底吹き転炉により、強攪拌で炉内反応を均―にし、炉内反応時間を短くして、スラグ中の酸化鉄(T,Fe)を少なく、鋼中の酸素量も少なくなるように仕上げる吹錬・溶製を行い、C;0.03%となして出鋼した。出鋼においては、スラグ検知機でスラグ流出を検知し、スラグストッパーでスラグ流出量を最小限に抑えるようにした。転炉スラグの代わりに保温等のため合成スラグを溶鋼湯面に添加した。
介在物の合体粗大・浮上分離を促進するため、溶鋼温度は1500℃以上の高温を確保した。このとき、30μmφ程度の極微小のものは、そのままでは浮上分離に期待できないので、溶鋼温度を高温にして、合体粗大化することが重要になる。40μmφ程度以上のものであれば、浮上時間の確保により浮上分離が期待される。
なお、Alキルド鋼以外にSiキルド、T1キルド、あるいはこれらの組み合せによる鋼も近年用いられている。この場合、AのタイプのAl2 O3 系介在物は減少するが、B型,C型等の比率が増加する。
以上の研究結果から、分類Bの非金属介在物が検出された場合は、分類Aの改善及び、タンディッシュフラックスが懸濁しないように、取鍋からタンディッシュに溶鋼を注入するための耐火物ノズルがタンディッシュの底面近くに設定されているかを確認、その後は深か目に設定するという鋳造条件の変更を行うことで改善が図れる。
以上の研究結果から、分類Cの非金属介在物が検出された場合は、分類Aと同様の改善及び、渦流式鋳型湯面制御装置の測定値を確認し、湯面変動を小さくするといった鋳造条件の変更を行うことで解決できる。
ここで、上記実施例では、鋳造条件によって発生する欠陥である介在物を対象とし、その探傷情報に基づいて、探傷位置よりも上流の鋳造工程における工程条件を修正して、早期対応を図っているが、これに限定されるものではない。
次に、本願発明に関する第4実施形態について説明する。なお、上記第3の実施形態と同様の設備・装置等は、同一の符号を付してその詳細説明は省略する。
この第4の実施形態は、熱延鋼板15の製造設備であって、酸洗工程までは、第3の実施形態と同様な装置構成となっているが、酸洗工程の下流に精整工程が配置されている。すなわち、高炉−転炉−(脱ガス処理設備)−連続鋳造設備−(スラブ保管)−熱間圧延−熱延鋼板の酸洗工程−精整工程の設備例から構成される。
他の構成及び作用・効果は、上記第3の実施形態と同様である。
すなわち、熱延鋼板15を製品として出荷する場合であっても、早期に鋼板欠陥の対応が行われて、同じ欠陥を有するホットコイルの連続発生率がほぼ無くなり、熱延鋼板15の製造における歩留り向上、品質向上が図られる。
次に、第5実施形態について説明する。なお、上記各実施形態と同様の設備・装置等は、同一の符号を付してその詳細説明は省略する。
本実施形態は、上記第1の実施形態と同じ設備を持った冷延鋼板の製造設備に係るものであり、対象とする冷延鋼板として品質が厳しい缶用鋼板を製造するものである。
本実施形態では、上述のように、鋼板が各ラインに分流する前の熱延鋼板15の酸洗工程等で探傷した探傷情報、例えば,介在物の寸法,量等を検出し、その探傷情報によって、冷間圧延後の冷延処理ラインを選別したり、冷延条件等を決定・変更する。
たとえば、所定以上の介在物混入の危険が有るために、従来にあっては充当困難であった連鋳の開始・終了付近のスラブ(非定常スラブ)についても、冷延直後の適正な向け先(鋼種に応じた冷延処理ライン)を判定可能となるため、缶用鋼板への適用が可能になる。
酸洗工程で検出した、平方メートル当たりの介在物の平均個数に基づき、鋼板を表2のように欠陥の程度により、鋼板を1〜6のランクに分類し、各ランク対応に、冷延処理ラインの充当先を変更して処理を行った。
また、製品仕様に応じて、1次冷間圧延の圧下率,焼鈍温度,調質圧延(又は2次冷延)の圧下率等を決定した。なお、DR材は、焼鈍後,調質圧延(1%程度の軽圧下による硬度調整及び形状調整)に代えて、2次冷延(数%〜数十%の圧下により減厚及び硬度確保)を行い硬度を上げたものである。硬度を上げるには、焼鈍温度の低下や調質圧延(又は2次冷間圧延)の圧下率の増加で一応可能であるが、等級(硬度)別に成分が異なる場合もあり、同一等級内での転用が便利である。
転用例1:ランク3のT4級(板厚0.20mm)、の缶用鋼板に充当予定の熱延鋼板を、酸洗ラインにて探傷検査したところ、平均0.025個/m2 の介在物が検出された。そこで、オーダー状況等を参考に、ランク4のT3級(板厚0.20mm)に転用することとした。冷間圧延、焼鈍、調質圧延等の処理ラインや、冷間圧下率の変更は行わなかったが、硬さ等級の変更に伴い、焼鈍温度を30℃上げ、調質圧延の伸び率を0.3%下げた。
上記表2に基づき、冷延前に探傷した探傷情報に基づき、欠陥の度合に応じて、各鋼板の冷延処理ライン,及び冷延以降の処理条件を適切に変更したところ、各鋼種での歩留りが向上して、全体として製品となる鋼板が20%以上拡大した。
6 テンションレベラ
7 出側ブライドルロール
15 熱延鋼板
20 探傷装置
21 液槽
22 水
22〜25 搬送ロール
26 ラインセンサ(検出部)
31 探傷装置本体
Claims (11)
- 熱延鋼板を製造する際に、熱間圧延後に、搬送中の鋼板の欠陥について連続的に探傷を行うことを特徴とする熱延鋼板の検査方法。
- 熱間圧延後に酸洗工程を備えた設備において、上記探傷を、酸洗工程で行うことを特徴とする請求項1に記載した熱延鋼板の検査方法。
- 上記探傷を行う前に鋼板の形状を平坦に矯正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した熱延鋼板の検査方法。
- 上記探傷は、超音波探傷装置によって行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載された熱延鋼板の検査方法。
- 熱延鋼板を製造する際に、熱間圧延後に、搬送中の鋼板の欠陥について連続的に探傷を行い、その探傷による探傷情報に基づき、当該探傷位置よりも上流側の工程条件を修正することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
- 上記探傷は、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載した熱延鋼板の検査方法で行うことを特徴とする請求項5に記載した熱延鋼板の製造方法。
- 熱間圧延された熱延鋼板の処理設備に、搬送される熱延鋼板の欠陥を連続的に探傷する探傷装置を配設したことを特徴とする熱延鋼板の処理設備。
- 上記探傷装置の上流に形状矯正手段を配置したことを特徴とする請求項7に記載した熱延鋼板の処理設備。
- 上記探傷装置の上流および下流に張力付与手段を配置したことを特徴とする請求項7または請求項8に記載した熱延鋼板の処理設備。
- 上記探傷装置は酸洗工程に配置されることを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載した熱延鋼板の処理設備。
- 上記探傷装置は、超音波探傷装置であることを特徴とする請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載した熱延鋼板の処理設備。
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