JP2006081107A - 携帯機器のスライド機構及び携帯電話機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ベース部材の幅を狭くすることができる携帯機器のスライド機構を提供する。
【解決手段】 ベース部材4及びスライダー5のいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられ、かつ、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能なスライド付勢手段6とを備え、スライド付勢手段6の両端部が、ベース部材4及びスライダー5のスライド途中に両端部間の長さが最小となるようにベース部材及びスライダーにそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、直線方向に対して直交する直交方向に移動可能にベース部材4及びスライダー5に取り付けられ、スライド付勢手段6の一方の端部を、直交方向のスライド付勢手段6の他方の端部側に付勢する第2付勢手段7を設けたことにより、前記課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、携帯電話機などの携帯機器を構成する第1の筐体と第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせる際に用いられて好適な携帯機器のスライド機構及びその携帯機器のスライド機構を備えた携帯電話機に関するものである。
携帯機器の一種である携帯電話機において、キーボード部やマイク部等を上面に設けた送話部としての第1の筐体と、ディスプレイ部やスピーカー部等を上面に設けた受話部としての第2の筐体とを有し、これらの第1の筐体と第2の筐体が完全に重なり合って第2の筐体で第1の筐体の上面を覆う状態と、第2の筐体を第1の筐体に対して長手方向へスライドさせて第1の筐体の上面を露出させる状態とを作り出す、スライド機構付きのものが市場に出回っている。このようなスライド機構を有する携帯電話機としては、下記する特許文献1に記載されたものが公知である。
特開2003−125052号公報
この特許文献1に記載されたものは、スライドカバーとロックプレートを重ね合わせて固着したスライドケースを第2の筐体の下面に取り付けると共に、スライドケース内に摺動可能に収装したスライダーを第1の筐体の上面に取り付けることで、第2の筐体を第1の筐体に対してスライドさせることができるという構成のものであった。このような構成であると、第1の筐体と第2の筐体の相対的操作、即ち、スライド操作は全て手動で行わなくてはならず、操作性の点で難点があった。このため、本出願人は先に、半自動でスライド操作を行えるスライド機構を提案した。
このスライド機構は、例えば、第1の筐体の上面に取り付けられるベース部材と、そのベース部材に摺動可能に係合されたスライダーと、ベース部材とスライダーとの間に設けられ、スライダーをベース部材に対する所定の摺動位置から閉方向及び又は開方向へ摺動付勢させる弾性手段とで構成されており、スライダーがベース部材に対する所定の摺動位置から閉方向又は開方向へ摺動付勢されるので、第1の筐体と第2の筐体を相対的な所定のスライド位置から自動的に開閉できるものである。
このスライド機構の弾性手段としては、1つのトーションスプリングが用いられている。このトーションスプリングの一端部がベース部材の上面に回動可能に取り付けられていると共に、その他端部がスライダーの下面に回動可能に取り付けられており、スライダーの始点位置の時にはスライダーを始点位置の方向へ摺動付勢し、スライダーの終点位置の時にはスライダーを終点位置の方向へ摺動付勢するように動作するものである。すなわち、トーションスプリングは、スライダーが始点位置の時には他端部が一端部に対して始点位置側に位置されてスライダーを始点位置の方向へ摺動付勢し、スライダーを始点位置から終点位置に向けて摺動させたとき、他端部が一端部に対して終点位置側に移動して、スライダーを終点位置の方向へ付勢するものである。
このように、トーションスプリングは、スライダーを摺動させたとき、一端部側からみると、一端部を軸に回動して他端部の位置が一端部に対して反対になることにより、スライダーを閉方向と開方向の2つの方向に摺動付勢するものであるので、トーションスプリングによってベース部材及びスライダーの幅が決定されることになる。すなわち、トーションスプリングは、スライダーを始点位置及び終点位置に付勢することができる付勢力を有するものが選択されるために、この付勢力を有するトーションスプリングの一端部と他端部との間隔が最小のときにコイル部が付勢力に抗して変位し得るようにベース部材及びスライダーの幅が決定されてしまう。このため、ベース部材及びスライダーの幅をこれ以上狭くすることができなかった。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ベース部材及びスライダーの幅を狭くすることができる携帯機器のスライド機構及びその携帯機器のスライド機構を備えた携帯電話機を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明に係る携帯機器のスライド機構は、第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられ、かつ、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能なスライド付勢手段とを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、前記スライド付勢手段の両端部が、前記スライドの途中に該両端部間の長さが最小となるように前記第ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、前記直線方向に対して直交する直交方向に移動可能に前記ベース部材又は前記スライダーに取り付けられ、該スライド付勢手段の一方の端部を、前記直交方向の前記スライド付勢手段の他方の端部側に付勢する第2付勢手段を設けたことを特徴とする。
この発明によれば、スライド付勢手段の両端部が、スライドの途中に両端部間の間隔が最小となるように配置されていることにより、ベース部材及びスライダーを互いにスライドさせたとき、スライド付勢手段の両端部間の長さが最小になった後は、スライド付勢手段の付勢力によりベース部材及びスライダーが自動的にスライドする。また、スライド付勢手段の一方の端部が、ベース部材又はスライダーのスライド方向である直線方向と直交する直交方向に移動可能に取り付けられ、このスライド付勢手段の一方の端部を付勢する第2付勢手段を設けたことにより、スライド付勢手段の一方の端部を第2付勢手段の付勢力によりスライド付勢手段の一端部側に付勢して、スライド付勢手段の両端部間の長さを第2付勢手段で付勢されていない場合に比して狭くすることができる。その結果、付勢力の小さなスライド付勢手段を用いることができるので、ベース部材及びスライダーの幅を狭くすることが可能となる。
本発明に係る携帯機器のスライド機構において、前記スライド付勢手段及び前記第2付勢手段の少なくとも一方が、シリンダと、このシリンダに往復動可能に一部が収容されたロッドと、前記シリンダ内に収容され、前記ロッドをその露出長が長くなるように付勢するコンプレッションスプリングとを備えることが好ましい。
本発明に係る携帯機器のスライド機構において、前記コンプレッションスプリングが前記シリンダ内に2つ以上並列されていることが好ましい。この発明によれば、コンプレッションスプリングを並列することができ、付勢力をあげることができる。
また、本発明に係る携帯機器のスライド機構は、第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられているスライドアームとを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、前記スライドアームの両端部が、前記スライドの途中に該両端部が前記直線方向に対して直交する直線上に位置されるように前記ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、前記直線方向に対して直交する直交方向に移動可能に前記ベース部材又は前記スライダーに取り付けられ、
該スライドアームの一方の端部を、前記直交方向の前記スライドアームの他方の端部側に付勢するアーム付勢手段を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係る携帯機器のスライド機構は、第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられているスライド付勢手段とを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、前記スライド付勢手段の両端部が、前記スライドの途中に該両端部間の長さが最小となるように前記ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、該スライド付勢手段が、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能な第1付勢部材と、該第1付勢部材に回動可能に連結され、第1付勢部材とで屈曲状となる第2アームと、前記第1付勢部材と前記第2アームとを直線状になるように付勢する第3付勢手段とからなることを特徴とする。この本発明に係る携帯機器のスライド機構において、前記第3付勢手段が、湾曲コンプレッションスプリング又は湾曲引きスプリングを有することが好ましい。
本発明に係る携帯機器のスライド機構において、前記ベース部材と前記一方の筐体との間及び前記スライダーと前記他方の筐体との間の少なくとも一方に、ボールベアリングが設けられていることが好ましい。この発明によれば、ベース部材及びスライダーを互いにスライドさせたときに、筐体にかかる摩擦力がボールベアリングによって軽減されるので、ベース部材やスライダー及び筐体の磨耗を抑制することができる。
また、本発明に係る携帯電話機は、前記の本発明に係る携帯機器のスライド機構を備えたことを特徴とする。この発明によれば、前述と同様に、スライド付勢手段の一方の端部を第2付勢手段の付勢力によりスライド付勢手段の一端部側に付勢して、スライド付勢手段の両端部間の長さを第2付勢手段で付勢されていない場合に比して狭くすることができる。その結果、付勢力の小さなスライド付勢手段を用いることができるので、筐体の幅を狭くすることが可能となる。
以上説明したように本発明に係る携帯機器のスライド機構及び携帯電話機によれば、スライド付勢手段の一方の端部が移動可能に取り付けられていると共に第2付勢手段によりスライド付勢手段の一端部側に付勢されるので、付勢力の小さなスライド付勢手段を用いることがでベース部材やスライダー及び筐体の幅を狭くすることができる。
以下、本発明に係る携帯機器のスライド機構を添付図面に基づいて詳述する。
図1〜図4は、本発明に係る第1の携帯機器のスライド機構の一例を示すものである。本発明に係る携帯機器のスライド機構は、携帯機器を構成する第1の筐体と第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるものである。携帯機器としては、特に限定されず、例えば、携帯電話機、ザウルス(商標)等の携帯情報端末機、電卓、ポケットコンピュータ、携帯ゲーム機等が挙げられ、特に携帯電話機が好ましいものとして挙げられる。なお、本発明において携帯機器としては、その他、灰皿、ケース蓋等も含まれる。すなわち、2つの筐体を互いにスライドさせるものであれば特に限定されない。また、本実施の形態では、携帯機器として携帯電話機について説明するが、これに限定されるものではない。
本発明に係る第1の携帯機器のスライド機構は、図1〜図4に示すように、第1の筐体2及び第2の筐体3のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材4と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材4に対しスライド可能に係合されているスライダー5と、前記ベース部材4及び前記スライダー5のいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられ、かつ、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能なスライド付勢手段6とを備えている。本発明に係る第1の携帯機器のスライド機構1は、前記スライド付勢手段6の両端部が、前記スライドの途中に該両端部間の長さが最小となるように前記ベース部材4及び前記スライダー5にそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、前記直線方向に対して直交する直交直線方向に移動可能に前記ベース部材4又は前記スライダー5に取り付けられ、該スライド付勢手段6の一方の端部を、前記直交方向の前記スライド付勢手段6の他方の端部側に付勢する第2付勢手段7を設けたことを特徴とする。
第1の筐体2は、図1〜図3及び図10に示すように、携帯電話機の送話部を構成するものであり、キーボード部2aやマイク部等を上面に有している。第1の筐体2は、略矩形状に形成されている。第2の筐体3は、同じく携帯電話機の受話部を構成するものであり、LCDなどのディスプレイ部3aやスピーカー部等を上面に有している。第2の筐体3は、第1の筐体2と略同じ略矩形状に形成されている。なお、第1の筐体2及び第2の筐体3は、図1〜図3においていずれも想像線で記載してある。
第1の筐体2の上面には、例えば、ベース部材4(キーベース部材ということがある。)が取り付けられている。このベース部材4は、第1の筐体2の上面であってキーボード部より上方の上面に例えばねじ等により取り付けられる。ベース部材4は、図1〜図5に示すように、その下方側(キーボード部側)が矩形状に切り欠かれているが、これを除けば略矩形状に形成されている。ベース部材4の両側部41、41は、上方に略直角に折り曲げられて形成されている。すなわち、ベース部材4は、略コ字状に例えばステンレス製の金属プレートをプレス加工により形成されている。また、ベース部材4は、合成樹脂の成型品であってもよい。なお、図5中、符号48は、ベース部材4を第1の筐体2に取り付けるための取付孔を示している。この取付孔48の内壁には例えばネジ溝が設けられている。
また、ベース部材4の一方の側部近傍には、スライド付勢手段6の一端部を取り付けるための第1取付孔45が設けられている。この第1取付孔45に第1シャフト11が取り付けられている。第1シャフト11は、第1取付孔45の径より大きな寸法の径の円柱状のシャフト部11aと、そのシャフト部11aの一端面に同軸上に設けられ、第1取付孔45に挿入されると共にシャフト部11aの径より寸法が小さな径の突部11bと、シャフト部11aの他端面に同軸上に設けられ、シャフト部11aの径より寸法が大きな径のストッパ部11cとからなる。
ベース部材4の両側部の内面(それぞれ対向する表面)には、互いに対向するようにそれぞれ係合凸部43が設けられている。これらの係合凸部43は、ベース部材4の両側部の長手方向全体に形成されていてもよいし、その一部に間隔をあけて複数形成されていてもよい。また、ベース部材4の取付面(両側部が立設してない表面(裏面ということがある。))の両側部近傍には、ボールベアリング17を収容するボールベアリング収容部47が複数設けられており、これらのボールベアリング収容部47にボールベアリング17が収容された取付面が第1の筐体2の上面にボールベアリング17を介して取り付けられるようになっている。
第2の筐体3の下面には、例えば、スライダー5(LCDベース部材ということがある。)が取り付けられている。このスライダー5は、第2の筐体3の下面の上方近傍から下方近傍にかけて例えばねじ等により取り付けられている。スライダー5は、図1〜図4及び図6に示すように、その下方側が矩形状に切り欠かれているが、これを除けば略細長の矩形状に形成されている。スライダー5の両側部51、51は、下方に略直角に折り曲げられて形成されている。すなわち、スライダー5は、略コ字状に例えばステンレス製の金属プレートをプレス加工により形成されている。また、スライダー5は、合成樹脂の成型品であってもよい。スライダー5の両側部の外面(それぞれ対向する表面とは反対側の表面)間の長さは、ベース部材4の両端部の内面間の長さより小さな、好ましくは若干小さな寸法で形成されている。なお、図6中、符号58は、スライダー5を第2の筐体3に取り付けるための取付孔を示している。この取付孔58の内壁には例えばネジ溝が設けられている。
スライダー5の両側部の外面には、その長手方向に係合凹部53がそれぞれ設けられている。これらの係合凹部53とベース部材4の係合凸部43がそれぞれ係合して、ベース部材4及びスライダー5を介して第1の筐体2及び第2の筐体3が互いにその長手方向に直線上にスライドするようになっている。すなわち、ベース部材4の両側部41、41の内側にスライダー5の両側部51、51がスライド係合して、ベース部材4とスライダー5とで略矩形筒状に形成されている。係合凹部53は、一方の端部(例えば上方側の端部)が閉塞されて閉塞部54として形成されていると共に、他方の端部(下方側の端部(矩形状に切り欠かれている側の端部))が開放され、この他方の端部の開放部から係合凸部43がスライド係合される。
スライダー5の下方側の端部5b(矩形状に切り欠かれている側の端部)近傍には、ストッパ部材取付孔56が設けられている。このストッパ部材取付孔56にスライダー5の表面から立設するようにストッパ部材15が取り付けられている。ストッパ部材15は、ストッパ部材取付孔56の径より大きな寸法の径の円柱状のストッパ部15aと、そのストッパ部15aの一端面に同軸上に設けられ、ストッパ部材取付孔56に挿入されると共にストッパ部15aの径より寸法が小さな径の突部15bとからなる。
係合凹部53に係合凸部43が係合されている状態、すなわち、ベース部材4及びスライダー5がスライド係合している状態でストッパ部材取付孔56にストッパ部材15を取り付けることにより、ベース部材4のスライダー5に対する下方側の移動範囲がストッパ部材15に規制されるようになっている。すなわち、ベース部材4は、係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接する状態からベース部材4がストッパ部材15に当接する状態までの範囲でスライド移動し得るようになっている。
係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接する状態が、第1の筐体2と第2の筐体3とが重なり合った状態である閉成状態である(図1、図8(a)、図9(a)、図13(a))。なお、図8及び図9は、ベース部材、スライダー、スライド付勢手段及び第2付勢手段の位置関係が分かり易いように示した図であり、スライド付勢手段及び第2付勢手段はバネのみで記載している。また、ベース部材4がストッパ部材15に当接する状態が開成状態である(図3、図8(c)、図9(c)、図13(c))。これら閉成状態と開成状態との間の状態が中立状態である(図2、図8(b)、図9(b)、図13(b))。なお、ベース部材4を第1の筐体2に取り付け、スライダー5を第2の筐体3に取り付けたが、ベース部材4を第2の筐体3に取り付け、スライダー5を第1の筐体2に取り付けるようにしてもよい。
また、スライダー5の長手方向の略中央部には、幅方向(その長手方向と直交する方向)に延在する直線上のガイド溝21が設けられている。このガイド溝21は、スライダー5に対してベース部材4が閉成状態と開成状態との間をスライドしたとき、第1取付孔45の移動範囲(スライド付勢手段6の一端部が取り付けられる個所の移動範囲)の中央(略中央を含む。)に設けられていることが好ましい。ガイド溝21は、例えば、スライダー5の両側部近傍にわたって形成されている。このガイド溝21の一方の端部(スライダー5の一方の側部(ベース部材4の一方の側部41と対向する側の側部)51側の端部)は、ベース部材4とスライダー5とがスライド係合しているとき、第1取付孔45よりスライダー5の一方の側部51から遠い位置に位置されている。ガイド溝21には、ガイドシャフト13がガイド溝21に沿って往復移動可能に取り付けられる。ガイドシャフト13は、ガイド溝21に挿入される円柱状のシャフト部13aと、そのシャフト部13aの一端面に同軸上に設けられ、ガイドワッシャー31に挿入されると共にシャフト部13aの径より寸法が小さな径の突部13bと、シャフト部13aの他端面に同軸上に設けられ、シャフト部13aの径より寸法が大きな径であってガイド溝21の孔より大きな径のストッパ部13cとからなる。
また、スライダー5の他方の側部51近傍であってその下方側の端部よりには、第2付勢手段7の一方の端部を取り付けるための第2取付孔55が設けられている。第2取付孔55に第2シャフト12が取り付けられている。第2シャフト12は、第2取付孔55の径より大きな寸法の径の円柱状のシャフト部12aと、そのシャフト部12aの一端面に同軸上に設けられ、第2取付孔55に挿入されると共にシャフト部12aの径より寸法が小さな径の突部12bと、シャフト部12aの他端面に同軸上に設けられ、シャフト部12aの径より寸法が大きな径のストッパ部12cとからなる。
スライド付勢手段6は、一端部がベース部材4に回動可能に取り付けられ、他端部がスライダー5に回動可能に取り付けられ、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能なものである。スライド付勢手段6は、特に限定されず、例えば、コンプレッションスプリング等の付勢部材のみで形成されてもよいが、シリンダロッド構造のものであることが好ましい。このシリンダロッド構造のスライド付勢手段6としては、例えば、図1〜図4及び図7に示すように、シリンダ61と、このシリンダ61に往復動可能に一部が収容されたロッド62と、前記シリンダ61内に収容され、前記ロッド62をその露出長が長くなるように付勢する付勢部材例えばコンプレッションスプリング63とで構成されていてもよい。
シリンダ61は、ベース部材4やスライダー5等に回動可能に取り付けるためのリング状の取付部61aと、ロッド62の一部が収容されてロッド62を直線方向に移動可能(摺動可能)に支持するシリンダ本体である案内部61bとを有している。案内部61bは、例えば、付勢部材としてのコンプレッションスプリング63を2つ並設して収容し得るように断面略矩形状の孔を有している。
ロッド62は、シリンダ61の案内部61b内に一部が摺動可能に収容され、先端部が案内部61bから露出するように形成されている。すなわち、ロッド62は、シリンダ61から露出しているロッド62の長さ(シリンダ61の取付部61aとロッドの先端部(取付部62a)との間隔)が可変し得るようにシリンダ61に収容されている。ロッド62の先端部には、ベース部材4やスライダー5等に回動可能に取り付けるためのリング状の取付部62aが設けられている。また、ロッド62の後端部には、シリンダ61の案内部61bに収容された2つのコンプレッションスプリング63、63の位置がずれないようにする突部62bが2つ設けられている。シリンダ61の長さ及びロッド62の長さは、ベース部材4及びスライダー5が互いにスライドしたときに、ロッド62がシリンダ61から脱落しない寸法で形成されていることが好ましい。
付勢部材は、ロッド62をシリンダ61から突出する方向に付勢するもの、すなわち、スライド付勢手段6の両端部を互いに離間する方向に付勢するものであり、例えば、コンプレッションスプリング63である。コンプレッションスプリング63は、シリンダ61の案内部61b内に2つ挿入されて収容されている。なお、コンプレッションスプリングを2つ設けたが、これに限定されるものではなく、1つでも3つ以上でもよい。
スライド付勢手段6の一端部であるロッド62の取付部62aが例えばベース部材4の一方の側部近傍の第1取付孔45に取り付けられた第1シャフト11に回動可能に取り付けられている。スライド付勢手段6の他端部であるシリンダ61の取付部61aは、スライダー5のガイド溝21に、その溝21に沿って移動可能に取り付けられたガイドシャフト13に回動可能に取り付けられている。このガイドシャフト13には、第2付勢手段7の一端部が回動可能に取り付けられている。
第2付勢手段7は、スライド付勢手段6の一端部をガイド溝21の一方の端部側に付勢するものである。第2付勢手段7は、特に限定されず、例えば、コンプレッションスプリング等の付勢部材のみで形成されてもよいが、伸縮可能なシリンダロッド構造のものであることが好ましい。このシリンダロッド構造の第2付勢手段7としては、例えば、前記のシリンダロッド構造のスライド付勢手段6と同じ構造のもの等が挙げられる。すなわち、この第2付勢手段7は、例えば、シリンダ61と、このシリンダ61に往復動可能に一部が収容されたロッド62と、前記シリンダ61内に収容され、前記ロッド62をその露出長が長くなるように付勢する付勢部材、例えばコンプレッションスプリング63とで構成されている。第2付勢手段7の一端部であるロッド62の取付部62aがガイドシャフト13に回動可能に取り付けられ、その他端部であるシリンダ61の取付部61aが、第2シャフト12に回動可能に取り付けられている。
次に図4を用いてスライド付勢手段6及び第2付勢手段7のベース部材4及びスライダー5への組み付けを説明する。なお、本発明に係るスライド機構の全体が分かりやすいように図4においてベース部材4とスライダー5の配置を図1〜図3に示した例とは反対に記載してある。
ガイドシャフト13を、図4に示すように、スライダー5のガイド溝21に挿入する。この挿入は、スライダー5の外面側からガイドシャフト13の突部13b及びシャフト部13aをガイド溝21に挿入してガイド溝21からガイドシャフト13の突部13b及びシャフト部13aを突出させる。このガイドシャフト13のシャフト部13aをスライド付勢手段6の他端部であるシリンダ61の取付部61aに挿入してから第2付勢手段7の一端部であるロッド62の取付部62aに挿入する。挿入後、ガイドシャフト13の突部13bをガイドワッシャー31に挿入した後、この突部13bをカシメる。これにより、ガイドシャフト13は、ガイド溝21に沿って移動可能にスライダー5に取り付けられて、スライド付勢手段6のシリンダ61の取付部61aがスライダー5に回動可能であってスライダー5の長手方向に移動可能に取り付けられると共に、第2付勢手段7のロッド62の取付部62aがガイドシャフト13に回動可能に取り付けられることになる。
第2シャフト12をその突部12bから第2付勢手段7の他端部であるシリンダ61の取付部61aに挿入した後にスライダー5の第2取付孔55に突部12bをその内面から挿入する。このとき、シリンダ61の案内部61b内にコンプレッションスプリング63を介してガイドシャフト13に取り付けられているロッド62の一部を予め収容させておく。第2シャフト12の突部12bをカシメることにより、第2シャフト12がスライダー5に取り付けられて、シリンダ61の取付部61aがスライダー5に回動可能に取り付けられることになる。
第1シャフト11をその突部11bからワッシャー32を介してスライド付勢手段6の一端部であるロッド62の取付部62aに挿入した後にベース部材4の第1取付孔45に突部11bをベース部材4の内面から挿入する。この第1シャフト11の突部11bをカシメることにより、第1シャフト11がベース部材4に取り付けられて、ロッド62の取付部62aがベース部材4に回動可能に取り付けられることになる。
このベース部材4を、スライダー5の下方の端部側の係合凹部53が開放されている開放部から係合凸部43をスライドさせてスライダー5に係合させる。このとき、スライド付勢手段6のシリンダ61の案内部61b内にコンプレッションスプリング63を予め収容させておくと共に、その案内部61bの開口部とスライド付勢手段6のロッド62の後端部とをつき合わせる。これにより、ベース部材4とスライダー5とをスライド係合させると、そのロッド62の後端部がシリンダ61の案内部61b内に挿入されて、その案内部61b内に収容されているコンプレッションスプリング63を変位させる。
そして、ベース部材4がスライダー5に対して閉成状態より開成状態側にスライドした後にストッパ部材取付孔56にストッパ部材15を取り付けて、ベース部材4のスライダー5に対する下方側の移動範囲をストッパ部材15に規制させる。これにより、スライド付勢手段6及び第2付勢手段7をベース部材4及びスライダー5に組み付けることができる。なお、スライド付勢手段6及び第2付勢手段7のベース部材4及びスライダー5への組み付けは、前述の記載に限定されず、組み付けを行うことができれば特に限定されるものではない。
このように組み付けられたベース部材4及びスライダー5は、例えば、第1の筐体2及び第2の筐体3にそれぞれ取り付けられており、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態にあっては、図1及び図8(a)に示したように、スライド付勢手段6のコンプレッションスプリングの付勢力によって、ベース部材4がスライダー5の上方、すなわち、係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接するように付勢されて、ベース部材4とスライダー5とが係止されている。よって、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態が維持されている。なお、この閉成状態をより確実に維持するために、ロック機構を設けるようにしてもよい。
この閉成状態のとき、スライド付勢手段6の他端部が取り付けられているガイドシャフト13には、第2付勢手段7の一端部が取り付けられており、第2付勢手段7によってガイド溝21の一方の端部側にガイドシャフト13が付勢されている。この第2付勢手段7の他端部は、スライド付勢手段6の一端部よりガイド溝21に近い位置であるので、第2付勢手段7の付勢力によってガイドシャフト13は、ガイド溝21の他方の端部より一方の端部側に離間した位置例えばガイド溝21の略中央部に位置されている。
この閉成状態から開成方向、すなわち係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54から離間する方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、スライド付勢手段6の両端部は回動しつつその両端部間の長さが短くなる、すなわち、スライドさせるときの力がコンプレッションスプリング63にかかりコンプレッションスプリング63が荷重を受けてその付勢力に抗して縮む。このとき、スライド付勢手段6の一端部は、第2付勢手段7の他端部よりガイド溝21に近づくので、スライド付勢手段6の付勢力によってガイドシャフト13は、ガイド溝21の他方の端部側に移動する。
そして、図2及び図8(b)に示したように、スライド付勢手段6の両端部間の長さが最小になる、すなわち、スライド付勢手段6の両端部がガイド溝21が延びる直線上に位置されると、スライド付勢手段6のコンプレッションスプリング63は最小に縮むと共に、そのコンプレッションスプリング63の付勢力によりガイドシャフト13がガイド溝21の他方の側部側の端部に当接する。この状態(中立状態ということがある。)を過ぎると、スライド付勢手段6の一端部は、ガイド溝21よりスライダー5の下方の端部側に移動してスライド付勢手段6の両端部間の長さが長くなる。このとき、スライド付勢手段6のコンプレッションスプリング63は、スライド付勢手段6の両端部を互いに離間する方向に付勢するので、筐体2、3及びベース部材4、スライダー5は自動的にスライド移動して、図3及び図8(c)に示したように、ベース部材4がストッパ部材15に当接して開成状態になる。
この開成状態においても、スライド付勢手段6のコンプレッションスプリング63は、両端部を互いに離間する方向に付勢する、すなわち、ベース部材4がストッパ部材15に当接するように付勢するので、第1の筐体2と第2の筐体3は開成状態が維持されることになる。これにより、第1の筐体2の上面に設けたキーボード部2aが露出するので、通話及びキーボード操作が可能となる。なお、この開成状態をより確実に維持するために、ロック機構を設けるようにしてもよい。よって、閉成状態から開成状態にスライド移動させるときに半自動でスライド動作を行えることになる。
この開成状態のとき、第2付勢手段7の他端部は、スライド付勢手段6の一端部よりガイド溝21から遠い位置にあるが、スライド付勢手段6の一端部との長さの違いが小さいので、ガイドシャフト13は第2付勢手段7によってガイド溝21の一方の端部側に付勢される。このため、ガイドシャフト13すなわちスライド付勢手段6の他端部は、ガイド溝21の他方の端部より一方の端部側に離間した位置例えばガイド溝21の略中央部よりに位置される。このように、スライド付勢手段6の他端部が回動可能に取り付けられているガイドシャフト13は、ガイド溝21によってスライダー5の幅方向(ベース部材4又はスライダー5のスライド方向と直交する方向)に移動可能であると共に、第2付勢手段7によってガイド溝21の一方の側部側の端部に付勢されているために、閉成状態及び開成状態では、ガイドシャフト13がガイド溝21の他方の側部から離間した位置に位置されている。すなわち、スライド付勢手段6の両端部間の間隔が第2付勢手段7で付勢されていない場合に比して狭くなる。その結果、付勢力の小さなスライド付勢手段6を用いることができるので、ベース部材4やスライダー5及び筐体2、3の幅を狭くすることが可能となる。
開成状態から閉成方向、すなわちベース部材4がストッパ部材15から離間する方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、スライド付勢手段6の両端部間の長さが短かくなると共に、そのコンプレッションスプリング63が付勢力に抗して縮む。スライド付勢手段6の両端部間の長さが最小になった後は、コンプレッションスプリング63が両端部を互いに離間する方向に付勢するので、筐体2、3は自動的にスライド移動して係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接して閉成状態になる。よって、開成状態から閉成状態にスライド移動させるときに半自動でスライド動作を行えることになる。
したがって、本発明に係る第1の携帯機器のスライド機構1は、構成が簡単な上に、第1の筐体2と第2の筐体3とを半自動的にスライドさせることができ、操作性が向上すると共に、ベース部材4やスライダー5及び筐体2、3の幅を狭くすることができる。
また、スライド付勢手段6及び第2付勢手段7としてシリンダロッド構造の付勢手段を用いることにより、付勢部材例えばコンプレッションスプリング63を2つ以上並列することができ、スライド付勢手段6の付勢力を強くすることができる。すなわち、コンプレッションスプリングのみを例えばスライド付勢手段6として用いる場合には、コンプレッションスプリングは、例えば、その一端部を軸とすると回動するために、2つ以上並設する場合には、コンプレッションスプリングが回動するときに他のコンプレッションスプリングに邪魔にならないように間隔を空けなくてはならず、幅が広くなってしまう。これに対して、シリンダロッド構造の付勢手段を用いることにより、シリンダ61内に収容されている付勢部材例えばコンプレッションスプリング63自身が回動することがないので、コンプレッションスプリング63を2つ以上近接させて並設することができるので、大幅に付勢手段の幅が広くなることがない。
また、ベース部材4と第1の筐体2の間には、ボールベアリング17が設けられているために、ベース部材4、スライダー5を互いにスライドさせたときに、第1の筐体2にかかる摩擦力がボールベアリング17によって軽減されるので、ベース部材4及び第1の筐体2の磨耗を抑制することができる。
なお、図示例では、ベース部材4と第1の筐体2の間にボールベアリング17が設けられているが、スライダー5の取付面(両側部が立設してない表面(裏面))の両側部近傍に、ボールベアリングを収容するボールベアリング収容部を複数設けて、スライダー5と第2の筐体3の間にボールベアリングを設けるようにしてもよい。
また、1つのスライド付勢手段6を設けて半自動でスライド動作を行えるように構成したが、2つ以上例えば2つのスライド付勢手段により半自動でスライド動作を行えるように構成してもよい。この本発明に係る第2の携帯機器のスライド機構において、2つのスライド付勢手段は、ベース部材4又はスライダー5の幅方向の中央を中心線として対称に取り付けられていることが好ましい。すなわち、2つのスライド付勢手段は、ベース部材4とスライダー5とがスライド係合されている中央、言い換えると、係合凹部53又は係合凸部43の間の中央を中心線として対称に取り付けられていることが好ましい。このように、2つのスライド付勢手段がベース部材又はスライダー5の幅方向の中央を中心線として対称に取り付けられていることにより、ベース部材4、スライダー5を互いにスライドさせるときの片減りを抑制することが可能となる。
具体的には例えば、図9に示すように、2つのスライド付勢手段60の一端部がベース部材40の両側部近傍に回動可能に取り付けられている。スライダー50には、その幅方向に延びるガイド溝22が設けられ、このガイド溝22に2つのスライド付勢手段60の他端部が回動可能で、かつ、ガイド溝22に沿って移動可能に取り付けられている。また、2つのスライド付勢手段60の他端部には、第2付勢手段70の両端部が取り付けられており、2つのスライド付勢手段60の他端部がガイド溝22の端部にそれぞれ当接するように付勢されている。
このように構成すると、閉成状態にあっては、図9(a)に示したように、スライド付勢手段60のコンプレッションスプリングの付勢力によって、ベース部材40がスライダー50の上方、すなわち、係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接するように付勢されて、ベース部材40とスライダー50とが係止されている。よって、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態が維持されている。この閉成状態のとき、スライド付勢手段60の他端部が第2付勢手段70の付勢力によってガイド溝22の端部にそれぞれ当接されている。
この閉成状態から係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54から離間する方向にベース部材40、スライダー50を互いにスライドさせると、スライド付勢手段60の両端部は回動しつつその両端部間の長さが短くなり、コンプレッションスプリングが縮む。そして、スライド付勢手段60の両端部がガイド溝22が延びる直線上に位置されると、スライド付勢手段60のコンプレッションスプリングは最小に縮むと共に、第2付勢手段70のコンプレッションスプリングも最小に縮み、2つのスライド付勢部手段60及び1つの第2付勢手段70がガイド溝22が延びる直線上に直列に並ぶ。
この状態を過ぎると、スライド付勢手段60の一端部は、ガイド溝22よりスライダー50の下方の端部側に移動してスライド付勢手段60の両端部間の長さが長くなる。このとき、スライド付勢手段60のコンプレッションスプリングは、スライド付勢手段60の両端部を互いに離間する方向に付勢するので、ベース部材40、スライダー50は自動的にスライド移動してベース部材40がストッパ部材15に当接して開成状態になる。この開成状態においても、スライド付勢手段60のコンプレッションスプリングは、両端部を互いに離間する方向に付勢する、すなわち、ベース部材40がストッパ部材15に当接するように付勢するので、開成状態が維持されることになる。また、開成状態のとき、スライド付勢手段60の他端部が第2付勢手段70の付勢力によってガイド溝22の端部にそれぞれ当接されている。
したがって、このように構成しても、構成が簡単な上に、ベース部材40、スライダー50を半自動的にスライドさせることができ、操作性が向上すると共に、ベース部材40やスライダー50の幅を狭くすることができる。
図10は本発明に係る第3の携帯機器のスライド機構の一例を示す図である。この第3の携帯機器のスライド機構は、図10に示すように、スライドアーム101の両端部が、前記スライドの途中に該両端部が前記直線方向に対して直交する直線上に位置されるようにベース部材4及びスライダー5にそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、スライド方向に対して直交する直交方向に移動可能にベース部材4又はスライダー5に取り付けられ、スライドアーム101の一方の端部を、前記直交方向の前記スライドアーム101の他方の端部側に付勢するアーム付勢手段102を設けたことを特徴とする。すなわち、前記の第1の携帯機器のスライド機構1において、スライド付勢手段6の代わりにスライドアーム101を用いたことに特徴がある。アーム付勢手段102は、前記の第1の携帯機器のスライド機構1においては第2付勢手段に相当する。なお、前記の第1の携帯機器のスライド機構1と同じ部材には同じ名称を付し、その説明を省略する。また、図10は、ベース部材、スライダー、スライドアーム及びアーム付勢手段の位置関係が分かり易いように示した図であり、スライドアーム付勢手段はバネのみで記載している。
スライドアーム101は、例えば棒状で形成されている。スライドアーム101の一端部は、例えばベース部材4の一方の側部近傍に例えばシャフト105を介して回動可能に取り付けられている。スライドアーム101の他端部は、スライダー5のガイド溝103に、その溝103に沿って移動可能でかつ回動可能に例えばガイドシャフト106を介して取り付けられている。このガイドシャフト106には、アーム付勢手段102の一端部が取り付けられている。
アーム付勢手段102は、スライドアーム101の一端部をガイド溝103の一方の端部側に付勢するものである。アーム付勢手段102は、特に限定されず、前記の伸縮可能なシリンダロッド構造のものでもよいが、コンプレッションスプリングのみで形成されていてもよい。アーム付勢手段102としてコンプレッションスプリングのみを用いた場合には、このコンプレッションスプリングがスライダー5のガイド溝103内に収容され、その一端部がスライドアーム101の他端部であるガイドシャフト106に接続されていると共に、他端部をガイド溝103の他方の端部(スライダー5の他方の側部近傍側の端部)に接続されている。
このように構成して、ベース部材4及びスライダー5を、例えば、第1の筐体2及び第2の筐体3にそれぞれ取り付けた場合、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態にあっては、図10(a)に示したように、アーム付勢手段102のコンプレッションスプリングの付勢力によって、スライドアーム101を介してベース部材4がスライダー5の上方、すなわち、係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接するように付勢されて、ベース部材4とスライダー5とが係止されている。よって、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態が維持されている。
この閉成状態から開成方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、スライドアーム101の一端部がコンプレッションスプリングを押圧してコンプレッションスプリングが荷重を受けてその付勢力に抗して縮み、ガイド溝103の他方の端部側に移動する。
そして、図10(b)に示したように、スライドアーム101の両端部がガイド溝103が延びる直線上に位置されると、アーム付勢手段102のコンプレッションスプリングが最小に縮む。この状態(中立状態ということがある。)を過ぎると、コンプレッションスプリングが、スライドアーム101の一端部をガイド溝103の一方の端部側に付勢するので、筐体2、3及びベース部材4、スライダー5は自動的にスライド移動して、図10(c)に示したように、ベース部材4がストッパ部材15に当接して開成状態になる。
この開成状態においても、コンプレッションスプリングは、スライドアーム101の一端部をガイド溝103の一方の端部側に付勢するので、第1の筐体2と第2の筐体3は開成状態が維持されることになる。これにより、第1の筐体2の上面に設けたキーボード部2aが露出するので、通話及びキーボード操作が可能となる。
開成状態から閉成方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、コンプレッションスプリングが付勢力に抗して縮む。スライドアーム101の両端部がガイド溝103が延びる直線上に位置された後は、コンプレッションスプリングがスライドアーム101の一端部をガイド溝103の一方の端部側に付勢するので、筐体2、3は自動的にスライド移動して閉成状態になる。よって、開成状態から閉成状態にスライド移動させるときに半自動でスライド動作を行えることになる。
したがって、本発明に係る第3の携帯機器のスライド機構100は、構成が簡単な上に、第1の筐体2と第2の筐体3とを半自動的にスライドさせることができ、操作性が向上する。
図11及び図12は本発明に係る第4の携帯機器のスライド機構の一例を示す図である。この第4の携帯機器のスライド機構は、図11及び図12に示すように、スライド付勢手段210が、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能な第1付勢部材211と、この第1付勢部材211に回動可能に連結され、第1付勢部材211とで屈曲状となる第2アーム212と、前記第1付勢部材211と前記第2アーム212とを直線状になるように付勢する第3付勢手段213とからなることを特徴とする。なお、前記の第1の携帯機器のスライド機構1と同じ部材には同じ名称を付し、その説明を省略する。図11及び図12は、ベース部材、スライダー、スライド付勢手段の位置関係が分かり易いように示した図であり、第1付勢部材及び第3付勢手段はバネのみで記載している。
スライド付勢手段210は、一端部がベース部材4に回動可能に取り付けられ、他端部がスライダー5に回動可能に取り付けられているものである。スライド付勢手段210は、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能な第1付勢部材211と、この第1付勢部材211に回動可能に連結され、第1付勢部材211とで屈曲状となる第2アーム212と、前記第1付勢部材211と前記第2アーム212とを直線状になるように付勢する第3付勢手段213とからなる。
第1付勢部材211は、例えば、コンプレッションスプリング等の付勢部材のみで形成されてもよいが、シリンダロッド構造のものであることが好ましい。このシリンダロッド構造の第1付勢部材211としては、前記の第1の携帯機器のスライド機構1のスライド付勢手段6と同じ構造のもの等が挙げられる。すなわち、第1付勢部材211は、例えば、シリンダ61と、このシリンダ61に往復動可能に一部が収容されたロッド62と、前記シリンダ61内に収容され、ロッド62をその露出長が長くなるように付勢する例えばコンプレッションスプリング63とで構成されている。第1付勢部材211の一端部は、例えばベース部材4の一方の側部近傍に例えばシャフト221を介して回動可能に取り付けられ、その他端部と第2アーム212の一端部とが互いに回動可能に取り付けられている。
第2アーム212は、例えば棒状で形成されている。第2アーム212の他端部は、スライダー5に例えばシャフト222を介して回動可能に取り付けられている。この第2アーム212と第1付勢部材211とには、これら第2アーム212と第1付勢部材211とを直線上になるように付勢する第3付勢手段213が設けられている。
第3付勢手段213は、屈曲している第1付勢部材211と第2アーム212とを直線状になるように付勢するものである。第3付勢手段213としては、例えば、図11に示すように、湾曲コンプレッションスプリング215や、図12に示すように、湾曲引きスプリング216等が挙げられる。第3付勢手段213の付勢力、第1付勢部材211の長さ、付勢力及び第2アーム212の長さ等は、閉成状態にあってはベース部材4がスライダー5の上方に当接するように付勢すると共に、開成状態にあってはベース部材4がストッパ部材15に当接するように付勢し、かつ、ベース部材4、スライダー5あるいは両方をスライドさせて中立状態を過ぎた後は、スライド付勢手段210の両端部が互いに離れる方向に付勢するようにそれぞれ任意の範囲から選定されるようにする。
このように構成して、ベース部材4及びスライダー5を、例えば、第1の筐体2及び第2の筐体3にそれぞれ取り付けた場合、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態にあっては、図11(a)及び図12(a)に示したように、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリングの付勢力及び第3付勢手段213の付勢力によって、ベース部材4がスライダー5の上方、すなわち、係合凸部43が係合凹部53の閉塞部54に当接するように付勢されて、ベース部材4とスライダー5とが係止されている。よって、第1の筐体2と第2の筐体3が互いに重なり合った閉成状態が維持されている。
この閉成状態から開成方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリング及び第3付勢手段213が荷重を受けてその付勢力に抗してそれぞれ弾性変形する。
そして、図11(b)及び図12(b)に示したように、スライド付勢手段210の両端部間の長さが最小になると、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリングは最小に縮むと共に、第3付勢手段213が最も大きく弾性変形する。この状態(中立状態ということがある。)を過ぎると、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリングの付勢力及び第3付勢手段213の付勢力によって筐体2、3及びベース部材4、スライダー5が自動的にスライド移動して、図11(c)及び図12(c)に示したように、ベース部材4がストッパ部材15に当接して開成状態になる。
この開成状態においても、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリングの付勢力及び第3付勢手段213の付勢力によって、ベース部材4がストッパ部材15に当接するように付勢するので、第1の筐体2と第2の筐体3は開成状態が維持されることになる。
開成状態から閉成方向に第1の筐体2、又は第2の筐体3、あるいは両方の筐体2、3をスライドさせると、中立状態を過ぎると、スライド付勢手段210のコンプレッションスプリングの付勢力及び第3付勢手段213の付勢力によって筐体2、3及びベース部材4、スライダー5が自動的にスライド移動して閉成状態になる。よって、開成状態から閉成状態にスライド移動させるときに半自動でスライド動作を行えることになる。
また、スライド付勢手段210の他端部(第2アームの他端部)はスライダー5の他方の側部より中央に位置させることができるので、スライド付勢手段210の両端部間の間隔を例えばコンプレッションスプリングのみでスライド付勢手段を構成する場合に比して狭くすることができる。その結果、付勢力の小さなスライド付勢手段6を用いることができるので、ベース部材4やスライダー5及び筐体2、3の幅を狭くすることが可能となる。
したがって、本発明に係る第4の携帯機器のスライド機構200は、構成が簡単な上に、第1の筐体2と第2の筐体3とを半自動的にスライドさせることができ、操作性が向上すると共に、ベース部材4やスライダー5の幅を狭くすることができる。
以上説明したように本発明に係るスライド機構は、構成が簡単な上に、第1の筐体と第2の筐体とを半自動的にスライドさせることができるので、操作性が向上し、かつ、ベース部材やスライダーの幅を狭くすることができ、携帯端末の中でもとくに携帯電話機のスライド機構として好適に用いられるものである。
本発明に係る第1の携帯端末のスライド機構の閉成状態を示す平面図である。 本発明に係る第1の携帯端末のスライド機構の開成動作を説明する平面図である。 本発明に係る第1の携帯端末のスライド機構の開成状態を説明する平面図である。 本発明に係る第1の携帯端末のスライド機構を示す分解斜視図である。 本発明に係るベース部材の一例を示す斜視図である。 本発明に係るスライダーの一例を示す斜視図である。 本発明に係る付勢手段の一例を示す分解斜視図である。 本発明に係る第1の携帯端末のスライド機構の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。 本発明に係る第2の携帯端末のスライド機構の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。 本発明に係る第3の携帯端末のスライド機構の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。 本発明に係る第4の携帯端末のスライド機構の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。 本発明に係る第4の携帯端末のスライド機構の他の例の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。 携帯電話機の動作状態を説明する概略平面図で、(a)は閉成状態を示す図、(b)は開成動作を示す図、(a)は開成状態を示す図である。
符号の説明
1 スライド機構
2 第1の筐体
3 第2の筐体
4 ベース部材
5 スライダー
6 スライド付勢手段
7 第2付勢手段
11 第1シャフト
12 第2シャフト
13 ガイドシャフト
15 ストッパ部材
17 ボールベアリング
21 ガイド溝
43 係合凸部
53 係合凹部
54 閉塞部
61 シリンダ
62 ロッド
63 コンプレッションスプリング

Claims (8)

  1. 第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられ、かつ、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能なスライド付勢手段とを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、
    前記スライド付勢手段の両端部が、前記スライドの途中に該両端部間の長さが最小となるように前記ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、前記直線方向に対して直交する直交方向に移動可能に前記ベース部材又は前記スライダーに取り付けられ、
    該スライド付勢手段の一方の端部を、前記直交方向の前記スライド付勢手段の他方の端部側に付勢する第2付勢手段を設けたことを特徴とする、携帯機器のスライド機構。
  2. 前記スライド付勢手段及び前記第2付勢手段の少なくとも一方が、シリンダと、このシリンダに往復動可能に一部が収容されたロッドと、前記シリンダ内に収容され、前記ロッドをその露出長が長くなるように付勢するコンプレッションスプリングとを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の携帯機器のスライド機構。
  3. 前記コンプレッションスプリングが前記シリンダ内に2つ以上並列されていることを特徴とする、請求項2に記載の携帯機器のスライド機構。
  4. 第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられているスライドアームとを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、
    前記スライドアームの両端部が、前記スライドの途中に該両端部が前記直線方向に対して直交する直線上に位置されるように前記ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、これら両端部のいずれか一方の端部が、前記直線方向に対して直交する直交方向に移動可能に前記ベース部材又は前記スライダーに取り付けられ、
    該スライドアームの一方の端部を、前記直交方向の前記スライドアームの他方の端部側に付勢するアーム付勢手段を設けたことを特徴とする、携帯機器のスライド機構。
  5. 第1の筐体及び第2の筐体のいずれか一方の筐体に取り付けられるベース部材と、その残りの他方の筐体に取り付けられ、前記ベース部材に対しスライド可能に係合されているスライダーと、前記ベース部材及び前記スライダーのいずれか一方に一端部が回動可能に取り付けられていると共に、その残りの他方に他端部が回動可能に取り付けられているスライド付勢手段とを備えて、前記第1の筐体と前記第2の筐体を直線方向に相対的にスライドさせるスライド機構であって、
    前記スライド付勢手段の両端部が、前記スライドの途中に該両端部間の長さが最小となるように前記ベース部材及び前記スライダーにそれぞれ配置され、
    該スライド付勢手段が、両端部を互いに離間する方向に付勢する伸縮可能な第1付勢部材と、該第1付勢部材に回動可能に連結され、第1付勢部材とで屈曲状となる第2アームと、前記第1付勢部材と前記第2アームとを直線状になるように付勢する第3付勢手段とからなることを特徴とする、携帯機器のスライド機構。
  6. 前記第3付勢手段が、湾曲コンプレッションスプリング又は湾曲引きスプリングを有することを特徴とする、請求項5に記載の携帯機器のスライド機構。
  7. 前記ベース部材と前記一方の筐体との間及び前記スライダーと前記他方の筐体との間の少なくとも一方に、ボールベアリングが設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の携帯機器のスライド機構。
  8. 前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯機器のスライド機構を備えたことを特徴とする携帯電話機。
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