JP2006078565A - 光学部材及び光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学部材を効率よく製造できエキシマレーザ露光装置の像性能を向上させることを課題とする。
【解決手段】 エキシマレーザを用いた光学装置で使用される結晶性の光学部材であって、第1面及び第2面の少なくともいずれかにおいて、サブグレインの面積の中央値が10mm以上であることを特徴とする。また、第1面及び第2面のサブグレイン面積の中央値を各々S1、S2(S1≧S2)とした場合、S1/S2≦1.5であることを特徴とする。さらに、結晶がフッ化物であり、特に、フッ化カルシウムであることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学部材及び光学装置に関し、特に、望遠鏡、カメラ及び半導体集回路製造用の露光装置などで使用される光学部材及び光学装置に関する。
従来、光学部材は望遠鏡、カメラ又は半導体集積回路製造用の露光装置等に用いられている。なかでも半導体露光装置では高品質の光学材料が望まれている。
近年、半導体集積回路の高集積化に伴い、超微細パターン形成への要求がますます高まり、微細パターンをウエハ上に転写する縮小投影型露光装置(ステッパー)が多用されている。
高集積化するためにはステッパーの解像度を上げる必要がある。
そして、解像度を上げるには短波長の光を用い、投影レンズの開口数を大きく、つまり大口径化(例えば300mm以上)する必要がある。
また、露光用の光は、Kr−Fエキシマレーザ光(波長248nm)から、Ar−Fエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)を使用することが望まれている。
Kr−Fエキシマレーザ光以降の短波長レーザでは、透過率が低く従来の光学ガラスを使用することは望ましくない。
このため、エキシマレーザ露光装置には極紫外光の透過率の高いフッ化物結晶が用いられる。
従来の光学ガラスが非結晶であることに対してこれら材料は結晶である。
米国特許第6395657号明細書
これらの材料を用いた場合、一つの結晶特有の問題として屈折率の不均一性があげられる。
屈折率の不均一性は収差になり、ステッパーの像性能に影響することが知られている。
本発明者は屈折率の変化は主に結晶の歪や残留応力によるものであり、その歪や残留応力が結晶内の転位が平面内に配列して作られている結晶の方位差の少ない粒界であるサブグレインバウンダリなどに局在することにより、収差が大きくなると考えている。
つまり、結晶におけるサブグレインバウンダリの占める量が屈折率の不均一性に影響していると考えられる。
また、通常、これらの材料の製造プロセスは、結晶を成長させるプロセス及びその後熱処理をして結晶内のひずみなどを除去するプロセスによって構成されている。いずれのプロセスも非常に時間のかかるプロセスである。
このような結晶性光学部材として効率的に高品質のものを製造するには、結晶成長プロセス完了時に、ある程度熱処理によって結晶性が改善される結晶を選別することが非常に重要になる。
そこで、本発明は、光学部材を効率よく製造できエキシマレーザ露光装置の像性能を向上させることを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、エキシマレーザを用いた光学装置で使用される結晶性の光学部材であって、第1面及び第2面の少なくともいずれかにおいて、サブグレインの面積の中央値が10mm以上であることを特徴とする。
また、本発明は、前記第1面及び第2面のサブグレイン面積の中央値を各々S1、S2(S1≧S2)とした場合、S1/S2≦1.5であることを特徴とする。
本発明によれば、光学部材を効率よく製造できエキシマレーザ露光装置の像性能を向上させることができた。
本発明によれば、熱処理前で熱処理後の光学性能をある程度予測することができるため、高品質の光学部材を効率的に製造することができた。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
まず、原料のフッ化カルシウムを前処理工程により、融解及び凝固させることにより原料中の不純物の除去を行う。
前処理された原料を用い坩堝引き下げ法(ブリッジマン法)などにより結晶成長させる。
本発明では成長中の結晶各点での温度勾配を10℃/cm以下にすることによって、熱応力を軽減させて結晶成長を行う。
図1は、X線トポグラフィーの概観を示す斜視図である。
図1に示すように、X線トポグラフィーでは、X線源1と、入射スリット2と、散乱制限スリット4と、検出器5とを備えている。
X線源1から発射されたX線は、入射スリット2によって整形された後、結晶面に対してX線回折条件を満たすように結晶3にX線を入射する。
回折したX線は、散乱制限スリット4間を通り、検出器5によって回折強度を検出する。
結晶3と検出器4を同時にスキャンすることにより結晶全面の回折強度を検出することができる。
図2は、X線トポグラフィーで撮影された写真である。
図2に示すような、この手法により得られた像から、画像解析ソフトウェアを用いることにより、個々のサブグレイン形状を抽出しサブグレイン面積の定量化を行うことができる。
ここで、サブグレインとは、小傾角粒子によって分断された領域をいい、互いが微小な傾斜角を有している。
この手法により第1面と第2面のサブグレイン面積を定量化し、ヒストグラムを作成して統計処理することにより中央値を決定する。
また、中央値とは、資料のすべてをその値の大きさの順に並べたときに、中央にくる数値のことをいう。
図3は、サブグレイン面積からサブグレインの形状を円と仮定した場合の半径に相当するものを横軸に、その頻度を縦軸にとったヒストグラムの概略図である。
図3中の破線はこのヒストグラムをフィッティングしたもので、この場合は対数正規分布関数を用いている。
サブグレイン面積の中央値が10mm以上かつ2面2相のサブグレイン面積の中央値をS1、S2(S1≧S2)とした場合、S1/S2≦1.5を満たす結晶を選別する。
その後、1100℃で熱処理することにより結晶内に残留している応力の除去を行う。
[実施例1]
以下、実施例をあげてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
市販の高純度フッ化カルシウムを原料とし、酸化防止のためのスカベンジャーであるフッ化亜鉛を0.1mol%添加し攪拌した後に、前処理用の坩堝に充填した。
200℃真空乾燥を5時間行ったあと、フッ化カルシウムの融点まで温度を上げ融解させ不純物を除去し、その後室温まで戻し、フッ化カルシウムを固化させ結晶成長用の原料とした。
結晶成長は<111>種結晶を用いた引き下げ法(ブリッジマン法)により行った。
結晶成長用原料に0.01mol%のフッ化亜鉛をスカベンジャーとして添加し、結晶成長用の坩堝に充填した。
真空度8×10−2Pa、温度1420℃に昇温し、坩堝内フッ化カルシウムを溶解、脱ガスするため真空度2.6×10−4Pa、温度1420℃として20時間保った。
次に、坩堝を0.5mm/hの速度で降下させ良質のフッ化カルシウム単結晶を成長させた。
この時の引下げ速度は、結晶成長速度に対応することが望ましいので、製作する結晶の大きさ及び形状により考慮する必要があることは言うまでもない。
一般には、結晶の大きさが大きくなれば、引下げ速度を遅くする必要がある。
このようにして得られた結晶を円盤状に加工し、光学素子にした際に光軸と交わる上底面についてX線トポグラフィーによってサブグレインの定量化を行った。
X線源にはCuを用い、発生したX線をGe(220)の4結晶モノクロメータで単色化した。
Ge(220)の4結晶モノクロメータの理論上の発散角は約12秒である。
測定は<511>の結晶面を用い、回折条件を満たすようにX線を結晶に入射させた。
検出器はイメージングプレートを用い、スキャンスピードを0.5mm/secの条件で結晶全面の測定を行った。
測定結果を図2に示す。図2から結晶は多数のサブグレインから形成されていることがわかる。
X線の入射角を変化させ測定し全てのサブグレイン像を得た。同様の作業を反対の加工面でも行い、上底面におけるサブグレイン像を得た。
これらのサブグレイン像を画像解析ソフトウェアにより、サブグレインバウンダリを抽出しサブグレイン面積の定量化を行った。
その結果、上底面のサブグレイン面積の中央値はそれぞれ22.6mm、30.5mmであった。また両者の中央値の比は約1.35である。
次に、熱処理のためにアニール炉の坩堝に成長させたフッ化カルシウム単結晶と、当該フッ化カルシウム単結晶に対して添加量0.01mol%のフッ化亜鉛を入れた。
炉内を排気して坩堝の温度を室温から1100℃に速度100℃/hで上昇させた後、約50時間の間、約1100℃に保持した。そして、5℃/hの速度で低下させて室温まで冷却した。
この時の、冷却速度は結晶の大きさが大きくなればそれに従い、冷却速度も遅くする必要がある。
つまり、遅くしないと、複屈折率を極微小にすることが困難になる。
この結晶の波面収差を測定し、屈折率差のパワー成分補正後のRMS(root mean square)を算出したところ、その値が3.14×10−8でありエキシマレーザ露光装置の像性能を向上させることができた。
[実施例2]
結晶成長は<111>種結晶を用いた引き下げ法(ブリッジマン法)により行った。
結晶成長用原料に0.01mol%のフッ化亜鉛をスカベンジャーとして添加し、結晶成長用の坩堝に充填した。
真空度8×10−2Pa、温度1420℃に昇温し、坩堝内フッ化カルシウムを溶解し、脱ガスするため真空度2.6×10−4Pa、温度1420℃として20時間保った。
次に、坩堝を1mm/hの速度で降下させ良質のフッ化カルシウム単結晶を成長させた。
この時の引下げ速度は、結晶成長速度に対応することが望ましいので、製作する結晶の大きさ及び形状により考慮する必要があることは言うまでもない。
一般には、結晶の大きさが大きくなれば、引下げ速度を遅くする必要がある。
このようにして得られて結晶を円盤状に加工し、光学素子にした際に光軸と交わる上底面についてX線トポグラフィーによってサブグレインの定量化を行った。
X線源にはCuを用い、発生したX線をGe(220)の4結晶モノクロメータで単色化した。
Ge(220)の4結晶モノクロメータの理論上の発散角は約12秒である。
測定は<511>の結晶面を用い、回折条件を満たすようにX線を結晶に入射させた。
検出器はイメージングプレートを用い、スキャンスピードを0.5mm/secの条件で結晶全面の測定を行った。
同様の作業を反対の加工面でも行い、上底面におけるサブグレイン像を得た。
これらのサブグレイン像を画像解析ソフトウェアによりサブグレインバウンダリを抽出しサブグレイン面積の定量化を行った。
その結果、上底面のサブグレイン面積の中央値はそれぞれ10.1mm、13.2mmであった。また両者の中央値の比は約1.31である。
次に、熱処理のためにアニール炉の坩堝に成長させたフッ化カルシウム単結晶と、当該フッ化カルシウム単結晶に対して添加量0.01mol%のフッ化亜鉛を入れた。
炉内を排気して坩堝の温度を室温から1100℃に速度100℃/hで上昇させた後、約50時間の間、約1100℃に保持した。
そして、5℃/hの速度で低下させて室温まで冷却した。この時の、冷却速度は結晶の大きさが大きくなれば、それに従い冷却速度も遅くする必要がある。
つまり、遅くしないと複屈折率を極微小にすることが困難になる。
この結晶の波面収差を測定し、屈折率差のパワー成分補正後のRMS(root mean square)を算出したところ、その値が6.77×10−8でありエキシマレーザ露光装置の像性能を向上させることができた。
[実施例3]
結晶成長は<111>種結晶を用いた引き下げ法(ブリッジマン法)により行った。
結晶成長用原料に0.01mol%のフッ化亜鉛をスカベンジャーとして添加し、結晶成長用の坩堝に充填させた。
真空度8×10−2Pa、温度1420℃に昇温し、坩堝内フッ化カルシウムを溶解し、脱ガスするため真空度2.6×10−4Pa、温度1420℃として20時間保った。
次に、坩堝を2mm/hの速度で降下させ良質のフッ化カルシウム単結晶を成長させた。
この時の引下げ速度は、結晶成長速度に対応することが望ましいので、製作する結晶の大きさ及び形状により考慮する必要があることは言うまでもない。
一般には、結晶の大きさが大きくなれば、引下げ速度を遅くする必要がある。
このようにして得られて結晶を円盤状に加工し、光学素子にした際に光軸と交わる上底面についてX線トポグラフィーによってサブグレインの定量化を行った。
X線源にはCuを用い、発生したX線をGe(220)の4結晶モノクロメータで単色化した。
Ge(220)の4結晶モノクロメータの理論上の発散角は約12秒である。測定は<511>の結晶面を用い、回折条件を満たすようにX線を結晶に入射させた。
検出器はイメージングプレートを用い、スキャンスピードを0.5mm/secの条件で結晶全面の測定を行った。
同様の作業を反対の加工面でも行い、上底面におけるサブグレイン像を得た。
これらのサブグレイン像を画像解析ソフトウェアによりサブグレインバウンダリを抽出しサブグレイン面積の定量化を行った。
その結果、上底面のサブグレイン面積の中央値はそれぞれ12.0mm、6.2mmであった。
また、両者の中央値の比は約1.94であり、本発明の条件を満たさなかった。
次に、熱処理のためにアニール炉の坩堝に成長させたフッ化カルシウム単結晶と、このフッ化カルシウム単結晶に対して添加量0.01mol%のフッ化亜鉛を入れた。
炉内を排気して坩堝の温度を室温から1100℃に速度100℃/hで上昇させた後、約50時間の間、約1200℃に保持した。
そして、5℃/hの速度で低下させて室温まで冷却した。
この時の冷却速度は結晶の大きさが大きくなれば、それに従い、冷却速度も遅くする必要がある。
つまり、遅くしないと、複屈折率を極微小にすることが困難になる。
この結晶の波面収差を測定し、屈折率差のパワー成分補正後のRMSを算出したところ、その値が1.124×10−7でありエキシマレーザ露光装置の像性能を満たすことが出来なかった。
X線トポグラフィーの概観を示す斜視図である。 X線トポグラフィーで撮影したフッ化カルシウムを示す写真である。 サブグレイン半径のヒストグラムの概略図である。
符号の説明
1 X線源
2 入射スリット
3 試料
4 散乱制限スリット
5 検出器

Claims (5)

  1. エキシマレーザを用いた光学装置で使用される結晶性の光学部材であって、
    第1面及び第2面の少なくともいずれかにおいて、サブグレインの面積の中央値が10mm以上であることを特徴とする光学部材。
  2. 前記第1面及び第2面のサブグレイン面積の中央値を各々S1、S2(S1≧S2)とした場合、
    S1/S2≦1.5であることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
  3. 前記結晶がフッ化物であることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
  4. 前記結晶がフッ化カルシウムであることを特徴とする請求項1記載の光学部材。
  5. 請求項1から4のいずれか1項記載の光学部材を含むことを特徴とする光学装置。


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