JP2006073941A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 静電容量及び耐圧の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】 表面に誘電体酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、陽極箔の誘電体酸化皮膜上に導電性ポリアニリンフィルムを被着させ、コンデンサ素子内に導電性ポリマーからなる電解質層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に係り、特に、固体電解コンデンサの静電容量の向上と、小型大容量化を図るべく改良を施した固体電解コンデンサの製造方法に関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作成される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、ケースの開口部を封ロゴムで封止して固体電解コンデンサを作成する。
特開平2−15611号公報
ところで、電解コンデンサには、定格電圧以上の一定の過電圧が印加された場合でもショートが発生しないことが求められる。例えば、近年、上述したような固体電解コンデンサが車載用として用いられるようになってきており、通常、車載用回路の駆動電圧は12Vであるため、固体電解コンデンサには20V程度の高い耐電圧が要求される。ところが、通常の電解コンデンサの耐電圧は陽極酸化皮膜の耐電圧によって規定されるので、陽極酸化皮膜の耐電圧をこの一定の過電圧(例えば、前記の20V程度)より大きくしなければならない。
しかしながら、このように陽極酸化皮膜に一定の耐電圧を保持させるには一定の厚さを保持させなければならず、静電容量の向上、小型化には限界があった。すなわち、陽極酸化皮膜の厚さが大きいと、静電容量が小さくなり、陽極箔そのものの厚さも大きくなるので、コンデンサのサイズは大きくならざるを得なかった。
また、静電容量を高める方法としては、陽極電極体の表面積を拡大させるエッチング処理の倍率を高めることが考えられるが、エッチングが過大になると、陽極電極体、例えばアルミニウム箔表面の溶解が同時に進行し、かえって拡面率の増大を妨げる等、電極材料からの静電容量の増大は困難であった。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、固体電解コンデンサの静電容量の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、静電容量の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者等は、陽極箔の酸化皮膜層と導電性ポリマー層との間に金属の腐食物が存在することを見出し、この金属の腐食物の存在が、固体電解コンデンサの容量出現率を低下させている要因であることを見出した。特に、陽極箔の化成電圧が低いものほど、この容量出現率は低くなることがわかった。
そこで、この知見に基づき種々検討した結果、陽極電極体として、定格電圧に対して所定の割合で高く設定された耐過電圧以下の耐電圧を有する陽極箔を用い、誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を付着させ、この陽極電極体に電圧印加した後、又は電圧を印加しながら溶媒を除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させて導電性ポリマーからなる電解質を形成することにより、良好な結果が得られることが判明したものである。
すなわち、上記のようにして得られた固体電解コンデンサを分析したところ、陽極箔の酸化皮膜と導電性ポリマー層との間に金属の腐食物は生じず、この固体電解コンデンサの特性を調べたところ、静電容量が向上することが分かった。
また、本発明によれば、重合性モノマー溶液と酸化剤溶液をコンデンサ素子に含浸する化学重合や、重合性モノマー溶液をコンデンサ素子に含浸して電圧を印加する電解重合とは異なり、導電化されたポリアニリンを含有する溶液をコンデンサ素子内に含浸し、その後その溶媒を除去するという簡単な製造工程を付加することにより、導電層となるポリアニリンフィルムを容易に形成することができるという利点もある。
さらに、この導電性ポリマー(ポリアニリンフィルム層)の耐電圧を陽極箔の耐電圧より高くすることにより、定格電圧に相応した耐電圧(定格電圧の1.75〜1.9倍)以下の耐電圧を有する陽極箔を用いても、優れた耐電圧特性を有し、静電容量の向上を可能とした固体電解コンデンサを得ることができることが判明したものである。
特に、陽極電極体に電圧を印加した後、又は電圧を印加しながら溶媒を除去することにより、良好な導電性ポリアニリンフィルムを形成することができ、陽極箔の耐電圧をさらに下げることができ、定格電圧の1.50倍以下の耐電圧を有する陽極箔を用いることができることが分かった。
(陽極箔の耐電圧についての検討)
本発明者等は、固体電解コンデンサのショート電圧と陽極箔の耐電圧の関係について検討したところ、以下のような結果が得られた。
すなわち、固体電解コンデンサへの印加電圧と電流の関係を示す図1において、A曲線で示したように、固体電解コンデンサに電圧を印加して、その印加電圧を上昇させていくと、aの時点で一旦電流が流れ始め、ピークに達した後電流が下降する。次いで、bの時点で大電流が流れてショートに至る。このaの時点の電圧が陽極箔の耐電圧であり、bの時点の電圧が導電性ポリマーの耐電圧であることが分かった。
より具体的に説明すると、定格電圧4Vの固体電解コンデンサを得る場合、従来は、陽極箔の耐電圧で過電圧対策をすべく、陽極箔の耐電圧を定格電圧に相応した耐電圧、例えば、定格電圧の1.75〜1.9倍として、過電圧印加時のショートを防止していた。なお、図1においては、陽極箔の耐電圧は定格電圧の1.8倍の7.2Vである。また、この場合、導電性ポリマーの耐電圧bは20Vであったが、このことはこれまで知られていなかった。
しかしながら、本発明者等は、導電性ポリマーの耐電圧bが20Vであることを見出し、この導電性ポリマーの耐電圧で過電圧が印加された時のショートを防止することにより、陽極箔の耐電圧で過電圧対策をする必要がなくなり、陽極箔の耐電圧aを小さくすることができると考え、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、化成電圧を下げて酸化皮膜を形成した陽極箔を用いて固体電解コンデンサを形成したところ、導電性ポリマーの耐電圧が高いため、過電圧試験でのショートは発生せず、過電圧試験の結果は良好であった。なお、この場合、図1に示したように、陽極箔の耐電圧a’は6Vであり、導電性ポリマーの耐電圧は20Vに維持されていた。
この作用機作は、以下の通りであると考えられる。すなわち、図1のA曲線あるいはA’曲線のように、固体電解コンデンサに電圧が印加されると、aあるいはa’の時点で一旦電流が流れ始め、ピークに達した後、電流が下降する。次いで、bの時点で大電流が流れてショートに至る。このaあるいはa’の時点での電圧が陽極箔の耐電圧であり、aあるいはa’の時点で陽極箔がショートに至っても、導電性ポリマーの耐電圧bが陽極箔の耐電圧より高いので、固体電解コンデンサはショートには至らない。そして、bの時点で導電性ポリマーがショートして、固体電解コンデンサがショートに至ることが分かった。
このように固体電解コンデンサの印加電圧を上昇させ、陽極箔の耐電圧aあるいはa’に至ると、陽極箔に電流が流れて陽極箔はショートするが、陽極箔がショートした時点で、その印加電圧が導電性ポリマーに印加されて導電性ポリマーが絶縁化し、電流が流れなくなる。さらに印加電圧を上昇させていくと、絶縁化した導電性ポリマーが絶縁破壊に至って、固体電解コンデンサがショートに至ると考えられる。
なお、陽極箔の耐電圧は、電解コンデンサの製造工程の最終段階で行われるエージング工程に耐え得る耐電圧以上、例えば、定格電圧の1.4〜1.7倍、より好ましくは1.5〜1.65倍まで低減することができる。
(1)固体電解コンデンサの製造方法
(1−1)その1…ポリアニリンフィルム層単体
本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に誘電体酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、陽極箔の誘電体酸化皮膜上に導電性ポリアニリンフィルムを被着させ、コンデンサ素子内に導電性ポリマーからなる電解質層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
(1−2)その2…ポリアニリンフィルム層+化学重合法による第2の導電性ポリマー層
本発明に係る固体電解コンデンサの他の製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、コンデンサ素子内で導電性ポリアニリンフィルムを形成する。
続いて、このコンデンサ素子を、重合性モノマーと酸化剤のモル比が、酸化剤を1とした場合に重合性モノマーが0.4〜15の範囲となるようにして、両者を所定の溶媒と共に混合して調製した混合液に浸漬し、コンデンサ素子内にて導電性ポリマーの重合反応を発生させて、固体電解質層(第2の導電性ポリマー層)を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
なお、重合性モノマー及び酸化剤をコンデンサ素子に含浸する方法としては、重合性モノマー溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、酸化剤溶液に浸漬する方法、または、酸化剤溶液にコンデンサ素子を浸漬した後、重合性モノマー溶液に浸漬する方法、あるいはコンデンサ素子に重合性モノマーを注入した後、酸化剤溶液を注入する方法、または、コンデンサ素子に酸化剤溶液を注入した後、重合性モノマーを注入する方法、さらに、重合性モノマー及び酸化剤を混合した混合溶液にコンデンサ素子を浸漬する方法、または、該混合溶液をコンデンサ素子に注入する方法を用いることができる。
(1−3)その3…ポリアニリンフィルム層+電解重合法による第2の導電性ポリマー層
本発明に係る固体電解コンデンサの他の製造方法は以下の通りである。すなわち、表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔を、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に修復化成を施す。続いて、このコンデンサ素子に、濃度を5wt%以下に調製した導電性ポリアニリン溶液を含浸し、陽極箔に電圧印加した後(あるいは、電圧印加しながら)、溶媒を除去して、コンデンサ素子内で導電性ポリアニリンフィルムを形成する。
続いて、このコンデンサ素子を重合性モノマーと所定の電解質を含む溶媒に浸漬し、前記コンデンサ素子の陽極箔上に形成された導電性ポリアニリンフィルムと、他に設けた電極板とに電圧を印加することで、第2の導電性ポリマー層を形成する。その後、このコンデンサ素子を外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した後、エージングを行い、固体電解コンデンサを形成する。
この電解重合法において、導電性ポリアニリンフィルムに電圧を印加する方法としては、陽極電極体に電圧を印加する方法や、接触端子を導電性ポリアニリンフィルムに接触させる方法等がある。なお、陽極電極体に電圧を印加する場合は、酸化皮膜の一部を除去して、導電性ポリアニリンフィルムが陽極電極体に直に接するようにして電圧を印加し、その後、前記直に接した部分を切断等により除去すると好ましい。
なお、一連の含浸、電圧印加、溶媒除去工程を複数回行っても良い。一連の含浸、電圧印加、溶媒除去工程を複数回行うと、導電性ポリアニリンフィルム層がエッチングピット内まで形成され、密着性が向上するため、静電容量がより向上する。
(2)適用形態
本発明の陽極電極体としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン等の弁作用金属からなる電極箔や、タンタル、ニオブ等の焼結体等が挙げられる。また、前記電極箔は、セパレータを介して巻回又は積層されてコンデンサ素子が形成され、前記焼結体は、そのままコンデンサ素子として適用される。
(3)導電性ポリアニリン溶液について
導電性ポリアニリン溶液の溶媒は、パラキシレンまたは水が好ましい。また、濃度は5wt%以下とすることが好ましい。濃度が10%を超えると均一なポリアニリンフィルムが形成できないからである。
(4)導電性ポリアニリン溶液の含浸方法
上記のようにして形成したコンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸する方法としては、以下の2つの方法がある。
第1の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を所定の容器に入れ、この溶液中にコンデンサ素子を浸漬し、浸漬した状態で、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リード、または容器内に新たに設けた陰極端子板に接続する。電極箔単板からなる素子や焼結体からなる素子等、素子の状態で陰極リードを有しない場合は、前記陰極端子板を用いる。
また、第2の方法は、所定の濃度に調製した導電性ポリアニリン溶液を、ノズル等を用いて直接コンデンサ素子に注入して含浸し、その後、陽極リードを介して陽極箔に電圧を印加する方法である。なお、この場合、陰極は陰極リードに接続する。
なお、陽極箔への電圧印加としては、パルス電圧を印加しても良い。また、陽極箔に印加する電圧は、陽極箔の化成電圧以下が好ましい。陽極箔の化成電圧以上で行うと、導電性ポリアニリン溶液中で陽極箔が化成され、酸化皮膜が厚く形成されてしまい、所望の静電容量が得られないからである。ただし、導電性ポリアニリン溶液として陽極箔が化成されない溶液を用いた場合には、陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加しても良い。
また、予め低めの電圧で化成された陽極箔を用い、導電性ポリアニリン溶液中にて陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加して、所望の酸化皮膜の厚みになるように陽極箔の化成を実施することもできる。
(5)溶媒の除去方法
コンデンサ素子に導電性ポリアニリン溶液を含浸した後、導電性ポリアニリン溶液の溶媒を除去する方法としては、陽極箔に電圧を印加した後、または電圧を印加しながら、コンデンサ素子を容器内に浸漬した状態で、恒温槽中などにおいて加熱処理して溶媒を除去する方法を用いることができる。
あるいは、上記のようにして電圧を印加した後、コンデンサ素子を容器から引き上げ、さらに電圧を印加しながら加熱処理、または電圧を印加せずに加熱処理して溶媒を除去する方法を用いることができる。
なお、上記「(4)導電性ポリアニリン溶液の含浸方法」の項で示した第2の方法は、加熱処理を行いやすいため、より好ましい。
なお、この場合も、陽極箔に印加する電圧は、陽極箔の化成電圧以下が好ましい。陽極箔の化成電圧以上で行うと、導電性ポリアニリン溶液中で陽極箔が化成され、酸化皮膜が厚く形成されてしまい、所望の静電容量が得られないからである。ただし、導電性ポリアニリン溶液として陽極箔が化成されない溶液を用いた場合には、陽極箔の化成電圧より高い電圧を印加しても良い。
(6)EDT
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDT溶液としては、その濃度が25〜32wt%となるようにEDTを揮発性溶媒に溶解させたものを用いることが好ましい。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
(7)酸化剤
酸化剤としては、エタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は45〜55wt%が好ましく、50〜55wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。なお、酸化剤の溶媒としては、上記モノマー溶液に用いた揮発性溶媒を用いることができ、なかでもエタノールが好適である。酸化剤の溶媒としてエタノールが好適であるのは、蒸気圧が低いため蒸発しやすく、残存する量が少ないためであると考えられる。
(8)修復化成の化成液
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、浸漬時間は、5〜120分が望ましい。
(9)他の重合性モノマー
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
Figure 2006073941
(10)作用・効果
このように、本発明では、図1のA曲線に示すような従来技術の陽極箔の耐電圧aに比較して、A’曲線に示すように陽極箔の耐電圧a’を低い電圧としても、ポリマーの絶縁化による耐電圧bによって固体電解コンデンサの耐電圧特性を確保しつつ、静電容量の向上を可能とすることができる。
すなわち、従来の電解コンデンサにおいては過電圧特性を満足するために、陽極箔の耐電圧としては定格電圧の1.8倍以上の耐電圧を必要としているが、本発明においては、耐電圧の低い陽極箔を用いることができる。例えば、定格電圧が10WVの固体電解コンデンサについては、通常、陽極箔の耐電圧は18V以上が必要であるが、導電性ポリマーの耐電圧が18V以上であれば、耐電圧が18V以下の陽極箔を用いることができる。
なお、本発明の製造方法を用いることにより、図1のB曲線に示すように、導電性ポリアニリンフィルムの耐電圧をより向上させることができ、陽極箔の耐電圧をa’と低いままの状態で電解コンデンサ全体の耐電圧特性をより向上させることができ、且つ、静電容量も大幅に向上させることができる。
本発明によれば、固体電解コンデンサの静電容量の向上と、小型大容量化を可能とした固体電解コンデンサの製造方法を提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例、比較例及び従来例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
アルミニウム箔の表面にエッチング層および酸化皮膜層(化成電圧5.5V)が形成された陽極箔と、アルミニウム箔の表面にエッチング層が形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。なお、セパレータとしては、40μmの6−ナイロンのナノ繊維からなる不織布を用いた。
このコンデンサ素子を、導電化された導電性ポリアニリンを含有する溶液を入れた容器内に浸漬し、陽極箔に電圧を印加した(3V)。その後、コンデンサ素子を溶液から引き出し、50℃で90分間熱処理して溶媒を除去した。この導電性ポリアニリンフィルムの形成工程を3回行った。なお、導電性ポリアニリン溶液としては、パラキシレンを溶媒とした2wt%の導電性ポリアニリン溶液を用いた。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース(アルミニウムケース)に挿入し、開口端部に封口ゴム(ブチルゴム)を装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、3.5Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。なお、定格電圧は4WV、定格容量は270μFである。
(実施例2)
実施例1における導電性ポリアニリンフィルムの形成方法を変えたものであって、導電化されたポリアニリンを含有する溶液を、ノズルを用いてコンデンサ素子に含浸した後、コンデンサ素子を恒温槽内に入れ、電圧(3V)印加しながら加熱処理して溶媒を除去した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
(実施例3)
アルミニウム箔の表面にエッチング層および酸化皮膜層(化成電圧5.5V)が形成された陽極箔と、アルミニウム箔の表面にエッチング層が形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成した。なお、セパレータとしては、40μmの6−ナイロンのナノ繊維からなる不織布を用いた。
このコンデンサ素子を、導電化された導電性ポリアニリンを含有する溶液を入れた容器内に浸漬し、陽極箔に電圧を印加した(3V)。その後、コンデンサ素子を溶液から引き出し、50℃で90分間熱処理して溶媒を除去した。この導電性ポリアニリンフィルムの形成工程を3回行った。なお、導電性ポリアニリン溶液としては、パラキシレンを溶媒とした2wt%の導電性ポリアニリン溶液を用いた。
続いて、酸化剤(P−トルエンスルホン酸第二鉄)とEDTモノマーの混合溶液(ブタノール溶液)に浸漬し、60℃で30分、150℃で60分の加熱重合を行い、導電性ポリマー層を形成した。なお、EDTモノマーと酸化剤のモル比は3:1とした。また、重合前、重合中及び重合後の湿度は25%RHに保持した。
そして、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケース(アルミニウムケース)に挿入し、開口端部に封口ゴム(ブチルゴム)を装着して、加締め加工によって封止した。その後に、150℃、120分、3.5Vの電圧印加によってエージングを行い、固体電解コンデンサを形成した。
(実施例4)
実施例3における導電性ポリアニリンフィルムの形成方法を変えたものであって、導電化されたポリアニリンを含有する溶液を、ノズルを用いてコンデンサ素子に含浸した後、コンデンサ素子を恒温槽内に入れ、電圧(3V)印加しながら加熱処理して溶媒を除去した。その他の条件及び工程は、実施例1と同様とした。
(従来例)
導電性ポリアニリンフィルムを形成せずに、コンデンサ素子形成後、重合工程を行った。なお、酸化皮膜層の化成電圧は6.0Vとした。その他の条件及び工程は、実施例3と同様とした。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例及び従来例について、電気的特性(陽極箔の耐電圧、静電容量、ESR、V−I試験でのショート電圧)を調べたところ表1に示すような結果が得られた。
なお、V−I試験とは、上記のようにして形成した固体電解コンデンサに電圧を印加し、この印加電圧を上昇させて固体電解コンデンサに流れる電流を測定し、図1に示したようなV(電圧)とI(電流)との関係(特性)を測定する試験である。ここで、V−I試験のショート電圧はbであり、すなわち導電性ポリマーの耐電圧である。また、陽極箔の耐電圧は、a、a’を測定することによって得ることができる。
Figure 2006073941
表1から明らかなように、定格電圧4Vの固体電解コンデンサにおいて、導電性ポリアニリンフィルム層のみを形成した実施例1及び実施例2は、従来例に比べて静電容量はそれぞれ約1.15倍、約1.22倍に増加し、ESRは、従来例に比べて共に約0.97倍に減少した。
また、従来例の陽極箔の耐電圧は6.0Vであり、導電性ポリマーの耐電圧は22Vであった。これに対して、化成電圧を低くした実施例1及び実施例2の陽極箔の耐電圧は共に5.5Vと低くなったが、導電性ポリマーの耐電圧はそれぞれ約1.07倍、約1.09倍に増加した。
また、導電性ポリアニリンフィルムの形成方法が異なる実施例1と実施例2とを比較すると、電圧印加しながら溶媒を除去した実施例2の方が、より良好な結果が得られた。
次に、導電性ポリアニリンフィルム層を形成すると共に、チオフェン層を形成した実施例3及び実施例4は、従来例に比べて静電容量はそれぞれ約1.26倍、約1.33倍に増加し、ESRは、従来例に比べて共に約0.92倍に減少した。
また、従来例の陽極箔の耐電圧は6.0Vであり、導電性ポリマーの耐電圧は22Vであるのに対して、化成電圧を低くした実施例3及び実施例4の陽極箔の耐電圧は共に5.5Vと低くなったが、導電性ポリマー(ポリアニリンフィルム層+チオフェン層)の耐電圧はそれぞれ約1.02倍、約1.07倍に増加した。
また、導電性ポリアニリンフィルムの形成方法が異なる実施例3と実施例4とを比較すると、電圧印加しながら溶媒を除去した実施例4の方が、より良好な結果が得られた。
さらに、導電性ポリアニリンフィルムの形成方法は同一であるが、導電性ポリアニリンフィルム層のみを形成した実施例1と、導電性ポリアニリンフィルム層を形成すると共に、第2の導電性ポリマー層としてチオフェン層を形成した実施例3を比較すると、実施例3の方が静電容量はさらに向上した。また、実施例2と実施例4を比較しても、同様に、実施例4の方が静電容量はさらに向上した。
本発明の固体電解コンデンサの作用を示すグラフ
符号の説明
A…従来の固体電解コンデンサの耐電圧特性
A’…本発明の固体電解コンデンサの耐電圧特性

Claims (7)

  1. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記陽極電極体として、定格電圧に対して所定の割合で高く設定された耐過電圧以下の耐電圧を有する陽極箔を用い、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を付着させ、この陽極電極体に電圧印加した後、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させて導電性ポリマーからなる電解質を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記陽極電極体として、定格電圧に対して所定の割合で高く設定された耐過電圧以下の耐電圧を有する陽極箔を用い、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を付着させ、この陽極電極体に電圧印加しながら溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させて導電性ポリマーからなる電解質を形成することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  3. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を付着させ、この陽極電極体に電圧印加した後、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させ、
    前記導電性ポリアニリンフィルムの耐電圧を前記陽極電極体の耐電圧より高くして、所望の過電圧特性を得ることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体上に、導電性ポリマーからなる電解質層を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、
    前記誘電体酸化皮膜を形成した陽極電極体に導電性ポリアニリン溶液を付着させ、この陽極電極体に電圧印加しながら、溶媒除去して、導電性ポリアニリンフィルムを形成しつつ、この導電性ポリアニリンフィルムを前記誘電体酸化皮膜上に被着させ、
    前記導電性ポリアニリンフィルムの耐電圧を前記陽極電極体の耐電圧より高くして、所望の過電圧特性を得ることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 前記導電性ポリアニリンフィルム上に、第2の導電性ポリマーからなる電解質層を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記第2の導電性ポリマーがチオフェン誘電体の重合体であることを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記チオフェン誘電体が3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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